JP3797171B2 - ステッピングモーター用小型マウントおよび小型モーター用小型マウント - Google Patents
ステッピングモーター用小型マウントおよび小型モーター用小型マウント Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防振部材として用いられる小型マウントに関するものであり、OA機器に内蔵されるステッピングモーターの振動制御用(ステッピングモーター用)、および、家電機器に内蔵される小型モーターの振動制御用(小型モーター用)として用いられる小型マウントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
OA機器の多様化に伴い、フィードバック制御が不用で、低速・高トルク、始動・停止の信頼性が高いステッピングモーターが、OA機器における光学系機構や用紙の自動処理機構に使用されるようになり、需要が伸びてきている。それに伴い、モーターの構造上発生する振動を制御するためのモーターマウントの需要も増加している。このようなモーターマウントとしては、従来では、2枚の金属板(金具)の間にゴム材を挟み、金属板とゴム材とを接着剤で貼着してなる、金属板/接着剤/ゴム材/接着剤/金属板の積層構造を有する小型マウントが用いられてきた。
【0003】
しかしながら、上記のような従来の小型マウントは、金属部材を構成要素としているため、軽量化がしにくく、しかも、金属部材は、高度の寸法精度を出すのが難しく、錆対策(防錆処理)も必要となるため、小型マウントの製造コストが割高となるという難点がある。また、上記小型マウントは、その製造工程において、接着剤を塗布する作業を要するため、その分だけ製造工程が長くなり、また接着材料費もかさむという問題も生じている。
【0004】
これらの問題を解決するため、例えば、2枚の変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)製基板の間にSBR系ゴムを介在させ、同時一体成形してなるステッピングモーター用防振ゴムが、近年、提案されている(特開平5−168193号公報)。上記提案に係るステッピングモーター用防振ゴムは、金属部材に代えて樹脂部材(変性PPE製基板)を用いているため、先に述べたような金属部材を構成要素とすることによる問題が解消されている。しかも、上記提案のステッピングモーター用防振ゴムは、接着剤を使用せずに複合一体化されているため、接着剤の塗布工程等も要しない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記提案のステッピングモーター用防振ゴムは、その構成要素である変性PPE製基板が、剛性強度が弱く、耐油性にも劣るため、使用環境による制限を受けやすいといった難点がある。しかも、上記基板の形成材料である変性PPEは、材料単価が割高であり、また溶融粘度が高いために加工性も悪いという難点もある。そして、上記変性PPE製基板とSBR系ゴムとの接着力は、SBR系ゴム中のスチレンが、変性PPE製基板上に拡散して得られるものである。したがって、SBR系のゴムしか使うことができず、設計自由度が小さくなってしまう。さらにこの接着力は、環境依存性が高く、例えば、上記提案のステッピングモーター用防振ゴムを湿熱条件下で使用すると、上記接着力が低下し、変性PPE製基板からゴムが剥がれる(界面剥離する)等の問題が生じる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、軽量で、かつ製造コストが安価であり、湿熱条件下で使用した場合であっても界面剥離を生じないステッピングモーター用小型マウントおよび小型モーター用小型マウントの提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、2層のポリアミド樹脂層の間に防振ゴム層が介在している小型マウントであって、上記防振ゴム層が、下記の(A)〜(D)を必須成分とするゴム組成物の加硫物からなり、ポリアミド樹脂層と化学的接着しているステッピングモーター用小型マウントを第1の要旨とし、2層のポリアミド樹脂層の間に防振ゴム層が介在している小型マウントであって、上記防振ゴム層が、下記の(A)〜(D)を必須成分とするゴム組成物の加硫物からなり、ポリアミド樹脂層と化学的接着している小型モーター用小型マウントを第2の要旨とするものである。
(A)メチレン基を有するゴム。
(B)過酸化物加硫剤。
(C)レゾルシノール系化合物。
(D)メラミン系樹脂。
【0008】
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、防振ゴム層を挟んで対峙させる2つの層の形成材料としてポリアミド樹脂を用いると、材料単価が低コストで、充分な剛性強度が得られ、さらに複雑な形状であっても高度の寸法精度が容易に出すことができ、しかも軽量化をも実現できるようになるとの知見を得た。そして、接着剤の塗布工程を省く目的で、上記防振ゴム層の形成材料であるゴム組成物中に接着剤成分を配合することを想起し、ポリアミド樹脂層と防振ゴム層との接着性が高くなるよう、ゴム成分と接着剤成分との組み合わせについて各種の研究を続けた結果、ゴム成分として、メチレン基を有するゴムを用い、これと、特定の接着剤成分(レゾルシノール系化合物とメラミン系樹脂)とを組合わせ、これらを配合した特殊なゴム組成物を、過酸化物加硫すると、ポリアミド樹脂との優れた接着力が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
ここで、上記特殊なゴム組成物からなるゴム成分がポリアミド樹脂に対して優れた接着力を奏する理由は、以下のように推測される。すなわち、レゾルシノール系化合物が、主に架橋剤として作用するとともに、メラミン系樹脂が主に架橋助剤として作用し、加熱過程において、レゾルシノール系化合物が、メラミン系樹脂の分解により生じたHCHO(ホルムアルデヒド)を供与され、これが、レゾルシノール系化合物の芳香環とポリアミド樹脂のアミド結合(−CONH−)とを架橋(共有結合)するため、接着力が発揮されるものと思われる。これは、例えば、下記の式で表される。
【0010】
【化1】
【0011】
したがって、本発明において、化学的接着とは、上記架橋反応による接着を意味する。そして、このような化学的接着により、ポリアミド樹脂層と防振ゴム層とが強固に接着されているため、例えば、雰囲気温度の上昇によりポリアミド樹脂層が軟質化しても接着力は維持され界面剥離が生じない。また、接着剤の使用も不要化できることから、接着材料の節約および接着工程の省略も実現できるようになる。
【0012】
また、上記(A)のメチレン基を有するゴムが、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM),エチレン−プロピレンゴム(EPM),水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)からなる群から選ばれた少なくとも一つのゴムであり、これが上記(B)の過酸化物加硫剤により加硫されると、上記反応が、より円滑に行われ、防振ゴム層とポリアミド樹脂層との接着力が向上し、より強固に一体化されるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0014】
本発明のステッピングモーター用小型マウントおよび小型モーター用小型マウント(これらを、以下、「小型マウント」と略す)の一例を、図1に基づいて説明する。この小型マウントは、2層のポリアミド樹脂層1の間に防振ゴム層2が介在され構成されている。そして、上記防振ゴム層2が、特殊なゴム組成物の加硫物からなり2層のポリアミド樹脂層1と化学的接着しているという構成をとる。
【0015】
上記特殊なゴム組成物は、特定のゴム(A成分)と、過酸化物加硫剤(B成分)と、レゾルシノール系化合物(C成分)と、メラミン系樹脂(D成分)とを用いて得ることができる。
【0016】
上記特定のゴム(A成分)としては、メチレン基を有するゴムが用いられる。上記メチレン基を有するゴムとしては、具体的には、EPDM,EPM,H−NBR,アクリルゴム(ACM),ヒドリンゴム(ECO,CO),ウレタンゴム,水素添加スチレン−ブタジエンゴム(H−SBR),シリコーンゴム(Q),ビニル基含有シリコーンゴム(VMQ),フロロシリコーンゴム(FVMQ),フッ素ゴム(FKM)等があげられる。なかでも、強度と耐熱性からEPDM,H−NBRが好ましい。
【0017】
上記特定のゴム(A成分)とともに用いられる過酸化物加硫剤(B成分)としては、例えば、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルペルオキシヘキサン、n−ブチル−4,4′−ジ−t−ブチルペルオキシバレレート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,3ビス−(t−ブチルパーオキシ−イソ−プロピル)ベンゼン等の過酸化物加硫剤があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、ジクミルパーオキサイドが好適に用いられる。
【0018】
そして、上記A成分のメチレン基を有するゴムが、EPDM,EPM,H−NBRからなる群から選ばれた少なくとも一つであると、架橋反応がより円滑に進むことによって、防振ゴム層2とポリアミド樹脂層1との接着力が向上し、より強固に一体化されるようになるため、好ましい。
【0019】
上記過酸化物加硫剤(B成分)の配合割合は、上記特定のゴム(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して、0.5〜10部の範囲が好ましい。すなわち、B成分が0.5部未満であると、架橋密度が低いため圧縮永久歪みが大きくなり、また接着性も低く、逆にB成分が10部を超えると、架橋密度が高くなりすぎ、耐久性も低下する傾向がみられるからである。
【0020】
上記A成分およびB成分とともに用いられるレゾルシノール系化合物(C成分)としては、特に限定はなく、例えば、変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン、レゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、低揮発性、低吸湿性、ゴムとの相溶性が優れる点で、変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が好適に用いられる。
【0021】
上記変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、下記の一般式(1)〜(3)で表されるものがあげられる。このなかでも、下記の一般式(1)で表されるものが特に好ましい。
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
上記レゾルシノール系化合物(C成分)の配合割合は、上記特定のゴム(A成分)100部に対して、0.1〜10部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜5部である。すなわち、C成分が0.1部未満であると、ポリアミド樹脂との接着性に劣り、逆にC成分が10部を超えると、ゴムの物性が低下するおそれがあるからである。
【0026】
上記A〜C成分とともに用いられるメラミン系樹脂(D成分)としては、主に架橋助剤として作用し、ホルムアルデヒドを供与しうるものであれば特に限定はなく、例えば、ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物、ヘキサメチレンテトラミン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、低揮発性、低吸湿性、ゴムとの相溶性が優れる点で、ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物が好適に用いられる。これらは、加硫工程等の加熱下において分解し、ホルムアルデヒドを系に供給する。
【0027】
上記ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物としては、例えば、下記の一般式(4)で表されるものが好適に用いられる。
【0028】
【化5】
【0029】
そして、上記メラミン系樹脂(D成分)のなかでも、上記一般式(4)で表される化合物の混合物が好ましく、n=1の化合物が43〜44重量%、n=2の化合物が27〜30重量%、n=3の化合物が26〜30重量%の混合物が特に好ましい。
【0030】
また、上記レゾルシノール系化合物(C成分)と、メラミン系樹脂(D成分)との配合比は、重量比で、C成分/D成分=1/0.5〜1/2の範囲が好ましく、特に好ましくはC成分/D成分=1/0.77〜1/1.5である。すなわち、D成分の重量比が0.5未満であると、ゴムの引張強さ(TB)や伸び(EB)等が若干悪くなる傾向がみられ、逆にD成分の重量比が2を超えると、接着性が飽和し接着力が安定するため、それ以上D成分の重量比を高くしても、コストアップにつながるのみで、それ以上の効果は期待できないからである。
【0031】
なお、上記特殊なゴム組成物には、上記A〜D成分に加えて、カーボンブラック、プロセスオイル等を配合することが好ましい。
【0032】
上記カーボンブラックの配合量は、上記ゴム(A成分)100部に対して30部以上が好ましく、特に好ましくは30〜150部の範囲である。
【0033】
また、上記特殊なゴム組成物には、上記各成分に加えて、老化防止剤、加工助剤、架橋促進剤、白色充填剤、反応性モノマー、発泡剤等を必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
【0034】
上記特殊なゴム組成物は、上記A〜D成分および必要に応じてその他の成分を用いて常法により調製することができる。すなわち、過酸化物加硫剤(B成分)、レゾルシノール系化合物(C成分)およびメラミン系樹脂(D成分)を除いた各成分を予備混合した後、80〜140℃で数分間混練する。その後、得られた混練物に、過酸化物加硫剤(B成分)、レゾルシノール系化合物(C成分)およびメラミン系樹脂(D成分)を追加混合〔なお、レゾルシノール系化合物(C成分)、メラミン系樹脂(D成分)は予備混合で添加しても差し支えない。〕し、これらをオープンロール等のロール類を用いて、ロール温度40〜70℃で5〜30分間混練した後、分出し、シート状またはリボン状のゴムを得ることができる。
【0035】
本発明の小型マウントを構成する2層のポリアミド樹脂層1の形成材料であるポリアミドは、アミド結合(−CONH−)を繰り返し単位にもつ高分子化合物であれば特に限定はなく、例えば、重合形式により、以下のものがあげられる。
【0036】
(1)ジアミンと二塩基酸との重縮合によるもの、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−キシリレンジアミンのような脂肪族、脂環族または芳香族のジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸のような脂肪族、脂環族または芳香族のジカルボン酸とから製造されるポリアミド。
【0037】
(2)アミノカルボン酸の重縮合によるもの、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸のようなアミノカルボン酸から製造される結晶性または非結晶性のポリアミド。
【0038】
(3)ラクタムの開環重合によるもの、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタムのようなラクタムから製造されるポリアミド。
【0039】
上記ポリアミド樹脂層1の形成材料としては、上記ポリアミドの他、共重合ポリアミド、ポリアミドの混合物、あるいはこれらポリアミドと他の樹脂とのポリマーブレンド等が使用できる。上記ポリアミドの具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体、芳香族ナイロン、非晶質ナイロン等があげられる。これらのなかでも、剛性および耐熱性が特に良好な点で、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロンが好ましい。そして、上記ポリアミド樹脂層1は、曲げ弾性率が6000MPa以上で、TB120MPa以上になるよう設定することが好ましく、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ウィスカー、粘度鉱物等を配合して補強しても差し支えない。
【0040】
そして、本発明の小型マウントは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
【0041】
すなわち、まず、上記ポリアミド樹脂層1形成材料を用い、金型成形等により、ポリアミド樹脂製基板を作製する。このようにして得られたポリアミド樹脂製基板を2枚用意し、前記のようにして調製された特殊なゴム組成物を2枚のポリアミド樹脂製基板の間に挟み、その後加熱加硫(150〜180℃の温度で3〜30分程度)して架橋させることにより、2つのポリアミド樹脂層1の間に防振ゴム層2が形成されてなる小型マウントを得ることができる。なお、上記特殊なゴム組成物は、2枚のポリアミド樹脂製基板の間に挟む際に、予め予備成形しておいてもよい。また、ポリアミド樹脂製基板の表面は、アルカリ洗浄液により洗浄処理するか、あるいはアルカリ洗浄液と研磨材とを用いてポリアミド樹脂表面をウェットブラスト処理しても差し支えない。
【0042】
他方、本発明の小型マウントは、上記のようにポリアミド樹脂層1と防振ゴム層2とを別工程で作製するのではなく、例えば、上記ポリアミド樹脂層1形成材料と、上記特殊なゴム組成物とを、インジェクション成型等の方法により一体成形するようにしても、得ることができる。このような製法により、ポリアミド樹脂層1と防振ゴム層2とを同時に架橋成形することができるため、その分、製造工程を削減することができ、製造コスト等の面において好ましい。
【0043】
なお、上記の場合、ポリアミド樹脂層1と防振ゴム層2との接着は、化学的接着でなされていて接着剤を用いていないが、場合によっては、補助的に、接着剤を用いてもよい。
【0044】
このようにして得られた本発明の小型マウントは、OA機器に内蔵されるステッピングモーターの振動制御用として用いられるほか、家電機器に内蔵される小型モーターの振動制御用に利用することができる。
【0045】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0046】
【実施例1】
〔防振ゴム層形成材料〕
EPDM(EP474、住友化学社製)100部と、酸化亜鉛(ZnO)5部と、ステアリン酸1部と、HAF(ショウブラックN330、昭和キャボット社製)45部と、ナフテン系オイル(サンセン410、日本サン石油社製)5部とをバンバリーミキサーを用いて120℃で5分間混練し、ついで、前記一般式(1)で表される変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂(スミカノール620、住友化学工業社製)4部と、ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物(スミカノール507A、住友化学工業社製)3.08部と、パークミルD−40(日本油脂社製)6.75部とを追加混合し、オープンロールを用いて50℃で10分間混練し、防振ゴム層形成材料を調製した。
【0047】
〔ポリアミド樹脂層〕
6−ナイロン(アラミンCM1011G−45、東レ社製)からなるポリアミド樹脂板(大きさ:50mm×50mm、厚み:5mm)を2枚用意した。
【0048】
〔小型マウントの作製〕
上記防振ゴム層形成材料を分出し、シート状のゴム組成物(大きさ:40mm×40mm、厚み:6mm)を得た。ついで、準備しておいた2枚のポリアミド樹脂板で上記シート状のゴム組成物を挟み、油圧プレスを用いて170℃で20分間加熱して架橋を行った。このようにして、2層のポリアミド樹脂層の間に防振ゴム層が介在されてなる小型マウントを得た。
【0049】
【実施例2】
EPM(EP11、JSR社製)100部と、酸化亜鉛5部と、ステアリン酸1部と、HAF(ショウブラックN330)45部と、ナフテン系オイル(サンセン410)5部とをバンバリーミキサーを用いて120℃で5分間混練し、ついで、前記一般式(1)で表される変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂(スミカノール620)4部と、ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物(スミカノール507A)3.08部と、パークミルD−40(日本油脂社製)6.75部とを追加混合し、オープンロールを用いて50℃で10分間混練して防振ゴム層形成材料を調製した。そして、実施例1のポリアミド樹脂板に代えて、同寸法の6,6−ナイロン(アラミンCM3001G−45、東レ社製)からなるポリアミド樹脂板を用い、かつ上記防振ゴム層形成材料を用いること以外は、実施例1と同様にして、目的とする小型マウントを得た。
【0050】
【実施例3】
H−NBR(ゼットポール2010、日本ゼオン社製)100部と、酸化亜鉛5部と、ステアリン酸1部と、SRF40部と、フタレート系可塑剤(DOP)10部とをバンバリーミキサーを用いて120℃で5分間混練し、ついで、前記一般式(1)で表される変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂(スミカノール620)4部と、ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物(スミカノール507A)3.08部と、ペロキシモンF−40(日本油脂社製)6部とを追加混合し、オープンロールを用いて50℃で10分間混練して防振ゴム層形成材料を調製した。そして、実施例1のポリアミド樹脂板に代えて、同寸法の6,6−ナイロン(アラミンCM3001G−45)からなるポリアミド樹脂板を用い、かつ上記防振ゴム層形成材料を用いること以外は、実施例1と同様にして、目的とする小型マウントを得た。
【0051】
【比較例1】
NR(RSS#3、JSR社製)100部と、酸化亜鉛5部と、ステアリン酸1部と、SRF(シーストS、東海カーボン社製)45部と、ナフテン系オイル(サンセン410)3部とをバンバリーミキサーを用いて120℃で5分間混練し、ついで、サンセラーCZ−G(三新化学社製)0.8部と、硫黄加硫剤(S−ptc、鶴見化学工業社製)3.45部を追加混合し、オープンロールを用いて50℃で10分間混練して防振ゴム層形成材料を調製した。そして、実施例1のポリアミド樹脂板に代えて、同寸法の6,6−ナイロン(アラミンCM3001G−45)からなるポリアミド樹脂板を用い、かつ上記防振ゴム層形成材料を用いること以外は、実施例1と同様(但し、油圧プレスによる加熱条件は160℃×20分間)にして、目的とする小型マウントを得た。
【0052】
【比較例2】
NR80部と、SBR(SL556、日本合成ゴム社製)20部と、酸化亜鉛5部と、ステアリン酸1部と、SRF50部と、ナフテン系オイル(サンセン410)5部とをバンバリーミキサーを用いて120℃で5分間混練し、ついで、サンセラーCZ−G0.5部と、硫黄加硫剤(S−ptc)2.87部とを追加混合し、オープンロールを用いて50℃で10分間混練して防振ゴム層形成材料を調製した。そして、実施例1のポリアミド樹脂板に代えて、同寸法の変性PPE(VESTORAN1900−GF20、ダイセルデグサ社製)からなる基板を用い、かつ上記防振ゴム層形成材料を用いること以外は、実施例1と同様(但し、油圧プレスによる加熱条件は160℃×20分間)にして、目的とする小型マウントを得た。
【0053】
【比較例3】
NR100部と、酸化亜鉛5部と、ステアリン酸1部と、SRF45部と、ナフテン系オイル(サンセン410)3部とをバンバリーミキサーを用いて120℃で5分間混練し、ついで、サンセラーCZ−G0.8部と、硫黄加硫剤(S−ptc)3.45部を追加混合し、オープンロールを用いて50℃で10分間混練して防振ゴム層形成材料を調製した。そして、実施例1のポリアミド樹脂板に代えて、同寸法の変性PPEからなる基板を用い、かつ上記防振ゴム層形成材料を用いること以外は、実施例1と同様(但し、油圧プレスによる加熱条件は160℃×20分間)にして、目的とする小型マウントを得た。
【0054】
このようにして得られた実施例品および比較例品の小型マウントを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1に示した。
【0055】
〔常態特性〕
小型マウントの防振ゴム層の破断強度(TB)および破断伸び(EB)を、JIS K 6250に記載の方法に準じて測定した。
【0056】
〔接着性〕
小型マウントにおける2層のポリアミド樹脂層のうちの1層を、金属板を用いて水平に固定した後、もう一方のポリアミド樹脂層を上方に50mm/分の速度で引っ張り破断させた。破断した時の荷重を接着力(MPa)とし、また破断面の状態(破壊状態)を測定・評価した。なお、表中の破壊状態の欄において、「R100」とは、ゴム部分(R)において100%破断したことを意味し、「R0」とは、ポリアミド樹脂とゴムの界面部分において界面剥離を生じたため、ゴム部分(R)の破断割合が0%であることを意味する。
【0057】
〔接着性(高温時)〕
小型マウントを高温条件下(100℃)に30分放置した。そして、その後、上記と同様にして、接着力(MPa)と破断面の状態(破壊状態)とを測定・評価した。
【0058】
〔接着性(耐久後)〕
小型マウントを高温高湿条件下(60℃×80%RH)に500時間放置した。そして、その後、上記と同様にして、接着力(MPa)と破断面の状態(破壊状態)とを測定・評価した。
【0059】
【表1】
【0060】
上記表の結果から、全実施例品は、ゴムの常態特性に優れ、層間接着力も非常に高いことがわかる。また、上記層間接着力は、湿熱放置後であっても、ほとんど下がっていないことがわかる。
【0061】
これに対して、比較例1品は、接着剤成分となるレゾルシノール系化合物およびメラミン系樹脂をいずれも配合していないため、防振ゴムとポリアミド樹脂とが接着していないことがわかる。また、比較例2品は、初期の層間接着力には優れているものの、湿熱放置後の層間接着力は、初期に比べて非常に劣っていることがわかる。さらに、比較例3品は、SBR系ゴムを用いていないため、変性PPE製基板とゴム層とが接着していないことがわかる。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明の小型マウントは、2層のポリアミド樹脂層の間に防振ゴム層が介在しており、この防振ゴム層が、特殊なゴム組成物からなっていてポリアミド樹脂層と化学的接着しているため、例えば、湿熱条件下であっても接着力を維持することができ、過酷な条件下での使用に耐えうるようになる。また、特に、接着剤を使用しなくてもよくなるため、接着剤の不要化、接着剤塗布工程の不要化により、製造コストを大幅に下げることが可能となる。さらに、金属系材料に代えてポリアミド樹脂を用いているため、材料コストが安価であり、錆の問題も生じず、軽量化もなされ、しかも複雑な形状の成形が可能となり、例えば、マウントのモーターやシャーシへのワンタッチ取り付けも実現できるようになる。
【0063】
また、上記特殊なゴム組成物中に用いられるメチレン基を有するゴムが、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM),エチレン−プロピレンゴム(EPM),水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)からなる群から選ばれた少なくとも一つのゴムであり、これが過酸化物加硫剤により加硫されると、架橋反応がより円滑に進むため、防振ゴム層とポリアミド樹脂層との接着力が向上し、その結果、より耐久性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の小型マウントを示す断面図である。
【符号の説明】
1 ポリアミド樹脂層
2 防振ゴム層
Claims (4)
- 2層のポリアミド樹脂層の間に防振ゴム層が介在している小型マウントであって、上記防振ゴム層が、下記の(A)〜(D)を必須成分とするゴム組成物の加硫物からなり、ポリアミド樹脂層と化学的接着していることを特徴とするステッピングモーター用小型マウント。
(A)メチレン基を有するゴム。
(B)過酸化物加硫剤。
(C)レゾルシノール系化合物。
(D)メラミン系樹脂。 - 上記防振ゴム層とポリアミド樹脂層との化学的接着が、上記(C)のレゾルシノール系化合物を架橋剤とし、上記(D)のメラミン系樹脂を架橋助剤とする架橋反応によりなされている請求項1記載のステッピングモーター用小型マウント。
- 上記(A)のメチレン基を有するゴムが、エチレン−プロピレン−ジエンゴム,エチレン−プロピレンゴム,水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つのゴムである請求項1記載のステッピングモーター用小型マウント。
- 2層のポリアミド樹脂層の間に防振ゴム層が介在している小型マウントであって、上記防振ゴム層が、下記の(A)〜(D)を必須成分とするゴム組成物の加硫物からなり、ポリアミド樹脂層と化学的接着していることを特徴とする小型モーター用小型マウント。
(A)メチレン基を有するゴム。
(B)過酸化物加硫剤。
(C)レゾルシノール系化合物。
(D)メラミン系樹脂。
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