JP3796857B2 - 表面処理方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置、水晶発振子、回路基板又は線材などのワークを表面処理して、例えば半田の濡れ性を向上させるなどのための表面処理方法及びその装置に関する。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、真空プラズマにより生成される水素原子により金属表面を清浄化する方法(特開平2−190489)や、真空プラズマクリーニングにより基板の半田の濡れ性を改善する方法(特開平3−174972)が提案されている。
【0003】
本願出願人は、従来の真空プラズマに代えて、大気圧プラズマによりガスを活性化し、イオン、励起種等の活性種により、半田付けされるワークの濡れ性を向上させる技術を既に提案している(WO94/22628、特願平7−2950)。
【0004】
ここで、上述した真空プラズマ及び大気圧プラズマを利用した処理では、いずれもプラズマにより励起された活性種により表面処理を行っている。
【0005】
ここで、被処理体をプラズマに晒す直接放電処理方式では、プラズマダメージに起因した被処理体の物理的性質の破壊が生じやすく、好ましくない。特に、被処理体の被処理面が金属であると、突起した部分に集中的に強いプラズマが生成され、被処理面全体を均一に処理できなくなる。
【0006】
一方、プラズマ発生部にて生成された活性種を、プラズマに晒されない位置に配置された被処理体に導いて処理する間接放電処理方式も提案されている。この場合には、上述したプラズマダメージは生じない。
【0007】
しかし、この活性種には寿命があり、この寿命が比較的短いため、被処理体をプラズマ発生部より離れた位置に置くことで、表面処理が不能になるか、あるいは処理効率が大幅に低下してしまう。従って、この間接放電処理方式は、被処理体の設置場所に制約が生じて実用的でない。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、プラズマダメージがない状態で被処理体の表面を改質させる処理ができ、しかも被処理体の設置場所の自由度が大きい表面処理方法及びその装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、安定な物質から反応性の高い処理ガスを生成して、該処理ガスにより被処理体の表面を改質させる処理ができる表面処理方法及びその装置を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、比較的高価なヘリウムHeを必ずしも要せずに、しかも、処理ガスの消費量を低減しながら、低ランニングコストにて被処理体の表面を改質させる表面処理が可能な表面処理装置及びその方法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、被処理体を酸化させるオゾンの発生を抑制しながら被処理体の表面を改質させる表面処理が可能な表面処理装置及びその方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段及びその作用】
本発明方法は、ハロゲン又はハロゲン化水素を含む処理ガスを被処理体の表面に接触させ、前記被処理体の表面を処理することを特徴とする。ハロゲン、ハロゲン化水素の代表的なものとして、フッ素F2、フッ化水素HFを挙げることができる。
【0013】
本発明では、フッ素ラジカル等の寿命が短い活性種に頼らずに、反応性の高いハロゲン又はハロゲン化水素を含む処理ガスにより、被処理体を化学反応により表面処理することができる。しかも、被処理体をプラズマに晒すことがないので、プラズマダメージによる欠陥が被処理体に生ずることもない。
【0014】
本発明方法は、ハロゲン化合物を、熱分解、光分解、放電による分解又は電気分解のうちの一又は複数の組合せにより分解して、前記処理ガスを生成することが好ましい。このために、本発明装置では、上記のいずれかの方式にてハロゲン化合物を分解して処理ガスを生成する処理ガス生成手段と、その処理ガスを被処理体の表面に導く処理ガス供給手段とを備える。
【0015】
ハロゲン又はハロゲン化水素は、それ自体反応性が高く腐食性も強いので、安定なハロゲン化合物を原料とし、これを上記のいずれかの方法により分解して処理ガスを生成している。このハロゲン又はハロゲン化水素は、活性種のように寿命が短くないので、分解後被処理体に到達するまでの時間に制約がない。従って、被処理体の処理位置の設定の自由度が大きくなる。
【0016】
ここで、原料となるハロゲン化合物として有機ハロゲン化合物を用いると、これらは中性であるため取り扱いが容易である。
【0017】
また、熱分解、光分解及び放電による分解に適するハロゲン化合物として、NF3、SF6、CF4又はNH4Fのいずれかを用いることが好ましい。これらのハロゲン化合物は、原料ガスとなり、原料ガス供給手段を介して処理ガス生成手段に供給される。
【0018】
ハロゲン化合物を放電により分解する際には、大気圧又はその近傍の圧力下で、原料ガスを50kHz以下の低周波数の交流電圧又は直流電圧が印加される一対の電極により励起して分解することが好ましい。このために、本発明装置の処理ガス生成手段は、50kHz以下の低周波数の交流電圧又は直流電圧を出力する電源と、その電圧が印加される一対の電極を備え、大気圧又はその近傍の圧力下にてプラズマを誘起するプラズマ発生部と、を有する。
【0019】
上述の低周波数の交流電圧又は直流電圧を一対の電極間に印加すると、放電電圧のピーク ツー ピーク電圧を比較的大きくでき、プラズマ生成用ガスであるHe等を供給しなくても、安定して放電を生成することができる。このような安定した大気圧プラズマを生成するのに、必ずしもHeを用いる必要が無くなり、ランニングコストを低減できる。
【0020】
この熱分解、光分解及び放電によるハロゲン化合物の分解工程を、水分を含む雰囲気中にて実施することが好ましい。水分の存在により、ハロゲン化合物からハロゲン化水素を効率よく分解させることができるからである。
【0021】
電気分解に適するハロゲン化合物としては、電気分解され易いハロゲン化塩の水溶液が適している。
【0022】
熱分解、光分解、放電による分解又は電気分解のいずれの方式の場合でも、処理ガスをキャリアガスにより圧送して、被処理体に接触させることが好ましい。このとき、ハロゲン化合物の分解工程後に、処理ガスにキャリアガスを混合するとさらに良い。キャリアガスとして酸素を含む気体を用いても、ハロゲン化合物の分解時にオゾンの発生が増大しないからである。このために、本発明装置では、原料ガス供給手段又は処理ガス供給手段のいずれかに、キャリアガス供給手段が連結される。
【0023】
本発明方法及び本発明装置では、上記の分解方式に代えて、ハロゲン又はハロゲン化水素の水溶液にキャリアガスを接触させて、処理ガスを生成することができる。
【0024】
こうすると、ハロゲン又はハロゲン化水素の液体を含む処理ガスが生成され、それにより被処理体を処理できる。
【0025】
本発明方法では、
被処理体に向けて供給された処理ガス及び反応生成物を強制排気する工程と、
排気途中にて、処理ガス又は前記反応生成物をトラップする工程と、
をさらに有することが好ましい。このために、本発明装置では、強制排気手段とトラップ手段とを備える。
【0026】
処理ガスは腐食性に富むため、未反応の腐食性の高い処理ガスあるいは反応生成物を強制排気途中でトラップすることで、大気に散乱させずに回収できる。
【0027】
本発明方法では、処理ガスを被処理体の表面に接触させることで、被処理体の表面の酸化物をハロゲン化合物に置換して、その表面での半田の濡れ性を向上させる処理に適用することが好ましい。
【0028】
この種の処理に適する被処理体として、回路基板、集積回路(IC)などの電子部品、半田付けされる線材、あるいは水晶振動子を挙げることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の表面処理方法及び表面処理装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
<処理ガスの生成方法について>
本発明では、ハロゲン例えばF2、Cl2、Br2、I2など、又はハロゲン化水素例えばHF、HCl、HBr、HIなどを含む処理ガス被処理体に接触させ、この反応性の高い処理ガスにより、被処理体を表面処理している。この反応性の高い処理ガスを生成するために、図1〜図5の5通りの方法のいずれかを採用している。
【0031】
図1〜図5において、共通する構成として、処理ガス生成用容器1と、生成された処理ガスを被処理体に向けて導く処理ガス供給管2とを有する。
【0032】
図1では、原料ガスであるハロゲン化合物例えばNF3を処理ガス生成用容器1に供給する原料ガス供給管3と、処理ガス生成用容器1内を加熱する加熱器4とを有する。そして、図1では、処理ガス生成用容器1内にて、ハロゲン化合物を熱エネルギーにより熱分解して、ハロゲン又はハロゲン化水素を含む処理ガスを生成している。
【0033】
原料ガスをNF3とした時、これを熱分解するのに必要な温度は300℃以上であり、本実施例にて500℃にて加熱したところ、
2NF3→N2+3F2
の熱分解により、フッ素F2を約1000ppm含む処理ガスを生成できた。
【0034】
図2の実施例では、処理ガス供給管2及び原料ガス供給管3が連結された処理ガス生成用容器1内にて、原料ガスであるハロゲン化合物を光分解して、処理ガスを生成している。このために、処理ガス生成用容器1内に光例えば紫外線を照射するUVランプ5を設けている。
【0035】
原料ガスをNF3とした時、UVランプ5のランプ出力を100mW/cm2とし、出射される光の波長を400nmとしたところ、図1の場合と同じ反応式の光分解が生じて、フッ素F2を約100ppm含む処理ガスを生成できた。
【0036】
図3の実施例では、処理ガス供給管2及び原料ガス供給管3が連結された処理ガス生成用容器1内にて、原料ガスであるハロゲン化合物を、大気圧又はその近傍の圧力下での放電により分解して、処理ガスを生成している。このために、処理ガス生成用容器1内に、一対の電極を備えたプラズマ発生部6を設けている。
【0037】
図3の装置を用いて、原料ガスCF4を100cc/minで供給し、一対の電極に供給される電源周波数を約10kHzとし、放電電圧のピーク ツー ピーク電圧がAC10kVppで放電を生じさせた。このとき、原料ガスは、
2CF4→C26+F2
と分解され、フッ素F2を約800ppm含む処理ガスを生成できた。
【0038】
図3の装置を用いて、原料ガスとしてCF4+H2Oを300cc/minで供給し、他の条件を上記と同じに設定したところ、
CF4+2H2O→CO2+4HF
と分解され、フッ化水素HFを約7200ppm含む処理ガスを生成できた。このように、水の添加により、フッ化水素を効率よく生成することができた。
【0039】
また、上記のように、電源周波数を10kHzと低周波数を用いるいることで、Heを供給しなくても安定して放電を起こすことができた。この結果、ランニングコストを低減できる。なお、Heを供給せずに放電を安定して起こすためには、低周波数を用いて放電電圧のピーク ツー ピーク電圧がある値以上大きいことが必要である。本発明者等の実験によれば、直流電圧、10kHz、30kHz、40kHzの各交流電圧で上述の放電が確認でき、放電電圧のピーク ツー ピーク電圧を大きく確保できる観点から、50kHz以下の低周波数の交流電圧又は直流電圧が有用であることが分かった。
【0040】
また、図1〜図3の装置により分解されるハロゲン化合物として、CF4、Cn(2n+2)などのパーフルオロカーボン、C224などのHFC、C22Cl4などのフロン、C23Cl3などの塩素系溶剤、C22Br4などのハロン等の有機ハロゲン化合物を用いると、例えばハロゲン化水素などと異なり、それらが中性のため取り扱い性の点で優れている
【0041】
図4の実施例は、処理ガス供給管2が連結された処理ガス生成用容器1内にて、ハロゲン化合物の水溶液を電気分解して、処理ガスを生成している。このために、処理ガス生成用容器1内に、ハロゲン化合物の水溶液として、ハロゲン化塩例えば濃度2%のNaFの水溶液を収容し、仕切り板7にて仕切られた各領域に電極8a,8bを配置した。この電極8a,8bに例えばDC24Vを印加したところ、フッ素F2を約1000ppm含む処理ガスを生成できた。
【0042】
なお、電気分解に適するハロゲン化塩としては、NaFの他、KF、LiF、CsF、NaCl、KCl、KBr、NaBr、NaIなどを挙げることができる。
【0043】
図5の実施例は、キャリアガス供給管9及び処理ガス供給管2が連結された処理ガス生成用容器1内にて、キャリアガスをハロゲン又はハロゲン化水素の水溶液と接触させ、ハロゲン又はハロゲン化水素の液体を含む処理ガスを生成している。例えば、HF、HCl、HBr、HI、HCsなどの水溶液にキャリアガスを接触させることで、これらハロゲン化水素の液体を含む処理ガスを生成できる。
【0044】
<間接放電を用いた表面処理装置>
図6は、図3の間接放電方式の実施例にかかる表面処理装置の全体構成を示す概略説明図である。図6に示す実施例において、半田付されるワークをIC10とし、IC10は、例えばコンベアライン14上に載置され、図面の裏面から表面に向かう方向に順次搬送される。ここで、IC10のリードフレーム12は、予め半田メッキ処理されている。従って、リードフレーム12の表面はスズ(Sn)で覆われているが、これが酸化されることで酸化スズ(SnO)となっている。本実施例は、このリードフレーム12の表面に形成された酸化スズ(SnO)をハロゲン化合物に置換することで、リードフレーム12の半田の濡れ性の向上を図っている。このIC10のリードフレーム12を表面処理するために、表面処理ユニット30と、それに連結される給気連結管20及び排気連結管24が設けられている。
【0045】
給気連結管20には、表面処理ユニット30内部にて生成された処理ガスが導入され、IC10の上方にて傘状に広がる給気部22を介して、その処理ガスをIC10の特にリードフレーム12に曝露させている。排気連結管24は、リードフレーム12に曝露された処理ガス及び反応生成物を吸引して、表面処理ユニット30を介して強制排気するためのものである。
【0046】
表面処理ユニット30の構造
この表面処理ユニット30は、図7に示すように、1つの筺体32内部に、処理ガス給気管40,原料ガス給気管41,電源50,プラズマ発生部60,排気管70及びトラップ手段である除害装置80を搭載している。
【0047】
原料ガス給気管41は、図7に示すプラズマ発生部60の上流側に連結され、この原料ガス給気管41の途中には流量計42が配設されている。この原料ガス給気管41には、工場内の設備を利用して、CF4等のハロゲン化合物を含む原料ガスが導入される。また、プラズマ発生部60の下流側に連結され処理ガス給気管40の開口端は、図6に示す給気連結管20に接続されている。
【0048】
プラズマ発生部60は、電源50からの電源供給を受けて、大気圧またはその近傍の圧力下にてプラズマを生成するものである。このプラズマ発生部60は、図8に示すように、一対の電極62a及び62bの間に多孔質絶縁体64が配置されることで、各電極62a,62bが対向配置されてる。一方の電極62aには電源50が接続され、他方の電極62bは接地されて、50kHz以下の比較的低周波数の交流電圧又は直流電圧が各電極間に印加される。
【0049】
電源50は、0〜50kHzの比較的低周波数の交流電圧又は直流電圧を、一対の電極62a,62bに印加するもので、コンセントに差し込まれるプラグ52を有する。
【0050】
このように、電源50にて比較的低周波数の交流電圧を出力させている理由は下記の通りである。すなわち、従来より大気圧プラズマを生成するためには、比較的プラズマの立ち易いHeガスを大量に必要としていた。この場合には、一対の電極間に印加される交流電圧の周波数を、商用周波数である13.56MHzとすることができた。しかしながら、比較的高価なHeガスを要せずに、空気又はN2等の雰囲気では、商用周波数である13.56MHzの交流電圧では大気圧プラズマを生成することができなかった。本実施例では、0〜50kHzの比較的低周波数の交流電圧又は直流電圧を一対の電極に印加することで、大気圧プラズマを安定して生成できた。この理由は、低周波数の交流電圧の場合、そのpeak to peak電圧を大きくでき、結果としてプラズマの生成に寄与するエネルギーを確保できたからと推測される。
【0051】
しかも、ワークを1cm2処理するための処理ガスの供給量を、0.01cc〜50ccとして処理ガスの消費量を低減しながら、しかも高価なHeをキャリアガスとして使用せずに、プラズマ生成用電極に印加される交流電圧の周波数を50kHz以下と低周波数にすることで、大気圧又はその近傍の圧力下にて安定してプラズマを生成することができた。
【0052】
また、本実施例では、プラズマ発生部60の下流側の処理ガス給気管40途中に、キャリアガス給気管90を連結している。この給気管90に導入されるキャリアガスとしては、N2などの不活性ガスとしてもよいが、圧縮空気を導入することもできる。キャリアガスとして圧縮空気を用いた場合、この圧縮空気をプラズマ発生部60内部に導入すると、この圧縮空気中の酸素が励起されてオゾンが生成されてしまう。このオゾンがIC10のリードフレーム12に曝露されると、リードフレーム12をかえって酸化させてしまう。そこで、本実施例では、プラズマ発生部60の下流側にて処理ガスにキャリアガスを混合することで、このキャリアガスにより処理ガスをリードフレーム12に向けて圧送している。
【0053】
さらに、表面処理ユニット30の筺体32内部には、リードフレーム12に曝露された処理ガスを強制排気するための排気管70が設けられている。この表面処理ユニット30内の排気管70は、図6に示す排気連結管24と接続される。
【0054】
さらに、この排気管70は、トラップ手段の一例である除害装置80が接続されている。ここで、原料ガスをCF4とした場合には、この原料ガスがプラズマ発生部60にて励起されると、下記の通り分解する。
【0055】
2CF4→C26+F2
この分解により生じたフッ素(F2)を含む処理ガスが、IC10のリードフレーム12の表面処理に寄与することになるが、その一部は化学反応に寄与せずに排気される。しかし、フッ素(F2)は腐蝕ガスであるため、大気中に放出することはできない。この除害装置80は、排気管70を介して導入された処理ガス中の上記の腐蝕成分を、吸着あるいは水に溶かすことで除去するものである。
【0056】
図7の表面処理ユニットを用いた表面処理方法
この第1実施例では、キャリアガスとして圧縮空気を用い、原料ガスとしてハロゲン化合物例えばCF4を用いてる。これらキャリアガス及び原料ガスは、工場内に配置された設備を用いて、表面処理ユニット30のキャリアガス給気管90,原料ガス給気管41にそれぞれ導入される。原料ガス及びキャリアガスは、各給気管41,90途中に設けられた流量計42、92により流量調整されている。本実施例では、キャリアガスである圧縮空気の流量が20リットル/minであるのに対し、原料ガスであるCF4の流量が50cc/minとなっている。従って、キャリアガスに対する原料ガスの濃度は、(50cc/20リットル)×100=0.25体積%となっている。なお、原料ガスの濃度は、0.5体積%未満、すなわち100cc/min未満としてもよい。
【0057】
本実施例では、流量調整された原料ガスであるCF4のみがプラズマ発生部60に導入される。プラズマ発生部60内に設けられた一対の電極62a,62bには、10〜50kHzの比較的低周波数の交流電圧が印加されている。従って、原料ガスであるCF4が少量であったとしても、しかもプラズマを立ち易くするHeガスが大量に存在しなくても、交流化電圧の周期が長くなるため、大気圧またはその近傍の圧力下にて安定してプラズマを生成することができる。
【0058】
プラズマ発生部60内では、原料ガスであるCF4励起されて分解され、反応性に富むハロゲンであるフッ素F2を生成する。また、このプラズマ発生部60の下流側の処理ガス給気管40にはキャリアガス給気管90が連結され、20リットル/minの比較的大流量のキャリアガスが、生成された処理ガスと混合させることで、この処理ガスがキャリアガスにより圧送されることになる。
【0059】
表面処理ユニット30の処理ガス給気管40より導出された処理ガス及びキャリアガスは、このユニット30に連結された給気連結管20を介して、給気部22よりIC10の表面に曝露されることになる。これにより、IC10のリードフレーム12が、下記の化学式により表面処理されることになる。
【0060】
2SnO+2F2→2SnF2+O2
ここで、SnOは、リードフレーム12表面に存在する酸化物であり、これが処理ガスと接触することで、ハロゲン化合物(SnF2)に置換される。また、ワークであるIC10がプラズマに晒されることがないため、IC10がダメージを受けることもない。
【0061】
一方、リードフレーム12に曝露された処理ガス及びキャリアガスと、反応生成物とは、排気連結管24を介して表面ユニット30内部に導入されることになる。表面処理ユニット30では、排気管70を介して上記のガスを除害装置80に導いている。
【0062】
この除害装置80では、処理ガスが分割されることで生じるF2を吸着または水溶してトラップし、腐食性の強い成分を除去し、残りのガスのみを排気することになる。腐蝕成分を吸着して除去する除害装置としては、関東電化工業株式会社製の乾式排ガス処理装置であるカンデンエフトール(登録商標)を好適に用いることができる。腐蝕成分を水溶して除去する場合には、排気ガスを水中に通過させればよい。
【0063】
従って、表面処理ユニット30の除害装置80を介して外部に配置された処理ガスを、工場に備えられた設備を利用して強制排気したとしても、腐蝕などの汚染を防止することができる。
【0064】
図9の表面処理ユニットの構造
次に、工場に配置された給排気設備を利用せずに表面処理を行うことのできる表面処理ユニットについて、図9を参照して説明する。
【0065】
図9に示す表面処理ユニット100が、図7に示すものと相違する点は、筺体32に、処理ガスボンベ44,キャリアガス用の給気ファン82,排気ファン94及びそれらのファン駆動部84,96をさらに搭載した点である。ファン駆動部84,96は共に電源50に接続される。
【0066】
処理ガスボンベ44は、その内部にCF4などの原料ガスを充填しており、原料ガス給気管41,流量計42を介してプラズマ発生部60に原料ガスを導入可能としている。プラズマ発生部60に導入される原料ガスの流量は、上述したようにキャリアガスに対して0.5体積%未満の例えば0.25体積%程度の少量のガスでよいため、一本のガスボンベ44により多数のIC10のリードフレーム12の表面処理を行うことが可能となる。
【0067】
また、キャリアガス給気管90の前段にファン94を配設することで、工場内部の空気を圧縮空気として排気管70に導入することができる。さらに、除害装置80の後段に排気ファン82を増設することで、図6に示す連結排気管24及び処理ユニット30内部の排気管70,除害装置80を経由して、IC10の周囲のガスを強制排気することが可能となる。
【0068】
この結果、工場に配置された給排気設備を何ら利用しなくても、表面処理ユニット100に給気及び排気連結管20,24を連結するのみにて、IC10のリードフレーム12の表面処理が可能となる。
【0069】
使用可能な処理ガスについて
プラズマ発生部60に導入される原料ガスとしては、上述したCF4等に代表される安定なハロゲン化合物であればよい。ハロゲンあるいはハロゲン化水素は、それ自体反応性が高いが、腐食性を有するので、上記実施例のように、プラズマにより励起して初めて処理ガスとなるフッ素F2等に分解され、それ以前では安全なCF4などのハロゲン化合物を原料ガスとして用いる方が優れている。
【0070】
原料ガスとして用いるハロゲン化合物として、ヘキサフルオロエタン、パーフルオロプロパン、パーフロオロペンタン等のパーフルオロカーボンの全て、オクタフロオロシクロブタン、テトラフルオロエタン、トリフルオロメタン、モノブロモトリフルオロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、6フッ化硫黄、3フッ化窒素、3塩化ホウ素などを挙げることができる。
【0071】
なお、本発明の範囲外であるが、上述のハロゲン元素を含むガスに代えて、還元ガスである例えば水素ガスH2を用いることができる。この水素ガスH2をプラズマ発生部60にて励起して活性化し、その後この処理ガスをリードフレーム12に曝露させた際の化学反応は下記の通りである。
【0072】
SnO+H2→Sn+H2
この還元ガスH2を用いることで、リードフレーム12表面に存在する酸化物SnOが還元され、この結果リードフレーム12の濡れ性を高めることができた。なお、還元ガスを用いる場合には反応生成物としても腐蝕成分が生じないので、除害装置80は不要となる。
【0073】
キャリアガスとして使用できるガスについて
上述の実施例では、キャリアガスとして圧縮空気を用いた。圧縮空気を用いる場合としては、図9の表面処理ユニット100を用いた場合のように、工場内部の空気を利用できる点で優れている。しかし、空気をキャリアガスとして用いた場合には、これをプラズマ発生部60に導入するとオゾンが発生し、リードフレーム12の酸化現象が問題となる。従って、図7または図9に示すように、キャリアガス給気管90を、プラズマ発生部60の下流側の処理ガス給気管40に接続する必要がある。
【0074】
一方、キャリアガスとして、リードフレーム12の表面に対して不活性なガスであれば、このキャリアガスをプラズマ発生部60に導くことも可能である。これらの不活性ガスとしては、比較的安価なチッ素N2などを挙げることができる。
【0075】
また、キャリアガスを用いれば、活性化された処理ガスをワーク10に向けて圧送できる点で好ましいが、必ずしもキャリアガスを用いなくても良い。この場合にも、ワークを1cm2処理するための前記処理ガスの供給量を、0.01cc〜50ccと比較的少量の処理ガスを導入するだけで、表面処理に必要な活性化のための大気圧プラズマを安定して生成することができる。
【0076】
水分の添加について
プラズマ発生部60内部に、添加物として水を加えると、処理速度が向上することがわかった。水分を添加するには、例えば原料ガスを純水に通過させればよい。水分を添加する理由は下記の通りである。
【0077】
添加物として水を加えない場合には、例えば原料ガスとしてCF4を用いた場合には、プラズマ発生部60中にて下記の反応が生ずる。
【0078】
2CF4→C26+F2
上記反応式中のフッ素F2が活性ガスとして化学反応を促進することになる。
【0079】
一方、添加物として水を加えた場合には、プラズマ発生部60中にて下記の反応が生ずる。
【0080】
CF4+2H2O→4HF+CO2
このように、水を添加した場合には、HFなどの酸の発生を増やすことができ、これにより表面処理速度が向上すると考えられる。
【0081】
添加物として水を加えた場合には、単に処理速度を向上させることに限らず、プラズマ発生部60中でのオゾンの発生を抑制することができる。
【0082】
このオゾンの発生量(%)と湿度との関係は、下記の表1の通りである。ただし、表1におけるオゾン発生量とは、乾燥空気のオゾン発生量を100%とした時の値である。
【0083】
【表1】
Figure 0003796857
このように、添加物として水を加えると、プラズマ発生部60内部でのオゾンの発生を抑制でき、これによりリードフレーム12の酸化を防止することが可能となる。
【0084】
なお、この水の添加に関しては、図1,2に示す熱分解、光分解の場合にも、上述の放電による分解と同様に有効である。
【0085】
プラズマ発生部を持たない表面処理ユニット
次に、図5の方式による表面処理装置及びその方法について、図11を参照して説明する。
【0086】
図11は、装置全体の構成を示すもので、図6の場合と同様に、給気連結管20及び排気連結管24が接続された表面処理ユニット110が設けられている。この表面処理ユニット110は、1つの筺体112の内部に、キャリアガス給気管120,液体収容部130,排気管140及び除害装置150を有している。
【0087】
キャリアガス給気管120として、液体収容部130の上流側の第1のキャリアガス給気管120aと、液体収容部130の下流側の第2のキャリアガス給気管120bと、第1,第2のキャリアガス給気管同士を連結する第3のキャリアガス給気管120cを有している。
【0088】
液体収容部130の内部には、HF、HClなどのハロゲン化水素の水溶液が収容されている。第1のキャリアガス給気管120aを介して液体収容部130内部に導入された例えばN2などのキャリアガスは、その液体と接触することで、酸性に富んだ処理ガスとされる。この処理ガスは、第2のキャリアガス給気管120bを介して液体収容部130から排出されると共に、第3のキャリアガス給気管120cからのキャリアガス自体の圧力により圧送され、表面処理ユニット110の外部に導出されることになる。
【0089】
この酸性に富んだ処理ガスは、図10に示す給気連結管20,給気部22を介して、IC10のリードフレーム12に曝露されることになる。これにより、リードフレーム12の表面は、下記の化学反応により表面処理されることになる。
【0090】
処理ガスとしてフッ化水素HFを用いた場合には、下記の化学式に従い表面処理がなされる。
【0091】
SnO+2HF→SnF2+H2
処理ガスとして、塩化水素Hclを用いた場合には、下記の化学式に従い表面処理が成される。
【0092】
SnO+2HCl→SnCl2+H2
なお、本発明の範囲外ではあるが、液体収容部130の内部にH2NO3などの酸性液体、あるいはアンモニア水などの塩基性液体を収容することもできる。硝酸H2NO3を用いた場合には、下記の化学式により表面処理がなされる。
【0093】
SnO+H2NO3→SnNO3+H2
この他、液体収容部130にシュウ酸などの他の酸性気体を収納することもできる。
【0094】
液体収容部132塩基性液体例えばアンモニア水を収容した場合には、下記の化学式に従い表面処理がなされる。
【0095】
SnO+NH3+2H2O→NH4+[Sn(OH)3-
一方、リードフレーム12に曝露された処理ガスは、排気連結管24を介して表面処理ユニット110内部に導入されることになる。ここで、上述の酸性又は塩基性に富んだ処理ガスは、それ自体が腐食性ガスであり、これを大気中に放出することはできない。そこで、この表面処理ユニット110内部では、排気管140を介して除害装置150に処理ガスを導き、この除外装置150にて処理ガス中の上記の腐蝕成分を除外することになる。
【0096】
なお、図11に示す表面処理ユニット110の場合も、図9に示す場合と同様に、工場内の給排気設備を用いない構成、すなわち、給気ファン、排気ファン及びそれらを駆動するファン駆動装置を筺体112内部に増設することもできる。
【0097】
表面処理ユニットの各種タイプについて
次に、上述した表面処理ユニット30,100及び110の形状もしくはそれらに連結される給気連結管20、排気連結管24の形状を変更した各種タイプについて、図12以降を参照して説明する。
【0098】
(1)ラインタイプ
図12及び図13に示すラインタイプの表面処理ユニット160は、コンベアライン14により搬送される例えば板状のワーク500と対向する上方位置に、設けられている。この表面処理ユニット160は、筺体161の下部に給排気部162を備えている。この給排気部162は、給気管164及び排気管166にて二重管構造を構成している。本実施例では、中心部に給気管164を配置し、その周囲に排気管166を配置し、排気管166の下端部は、傘状に広がる形状となっている。
【0099】
コンベアライン14によりワーク500が間欠的にあるいは連続的に搬送されると、このワーク500が表面処理ユニットの給排気部162と対向することで、ワーク500の表面が表面処理されることになる。これにより、表面処理ユニット160を固定しながらも、ワーク500の全面について、多数のワーク500を連続的に表面処理することが可能となる。
【0100】
(2)スタンドタイプ
図14に示すスタンドタイプの表面処理ユニット200は、載置可能な底面を有する筺体201を有している。この筺体201内部には、上述した通り原料ガス、及び/又はキャリアガスが導入され、除害装置を経由して排気ガスが排気される。この筺体201には、上方に伸びる給気連結管210及び排気連結管230が設けられている。給気連結管210は屈曲され、下端にて開口する給気部220を有する。この給気部220の周囲には、処理ガスの拡散を防止するための傘状の拡散防止板222が設けられている。一方、排気連結管230は、拡散防止板222と対向する位置に、上方に向かうに従い開口面積の増大する傘状の排気吸引部240が形成されている。
【0101】
そして、図14及び図15に示すとおり、ワークとして例えば端部の被覆材がはがされた線材250の先端部を表面する処理に際して、この線材250の予めメッキ処理された先端部252を給気部220の直下の位置に配置する。こうすると、給気部220より導出される処理ガスにより線材250の先端部252が表面処理され、その曝露された処理ガスは排気吸引部240及び排気連結管230を介して筺体201内の除害装置に導かれることになる。
【0102】
このように、スタンドタイプの表面処理ユニット200を用いることで、空気中に局所的な処理ガスの雰囲気を作ることができ、線材250などのワークを容易に表面処理することが可能となる。
【0103】
(3)棒状タイプについて
図16及び図17に示す実施例は、表面処理ユニット300自体を、例えば半田ごてのような筒状の筺体301にて構成したものである。この筺体301に連結された給気連結管310及び排気連結管320は二重管構造となっており、内側の給気連結管310により処理ガスがワーク500に向けて導出され、外側の排気連結管320よりその曝露された処理ガスが筺体301内部に導かれる。排気連結管320の先端部は、排気領域を拡大する観点から、図16及び図17に示すとおり、傘状に広がる形状とすることが好ましい。
【0104】
このように、表面処理ユニット300自体を棒状タイプに構成すれば、この表面処理ユニット300自体を手で操作して、各種ワークの表面処理を行うことが可能となる。
【0105】
(4)トースタータイプ
図18及び図19に示す表面処理ユニット400は、筺体401の一面例えばその上面に、板状のワーク500を挿入できるスリット状の挿入部410を有している。このスリット状の挿入部410には排気管420が連結されている。一方、スリット状の挿入部410の例えば両側壁には、該側壁にて一端が開口する処理ガス給気管430、キャリアガス給気管440がそれぞれ設けられている。
【0106】
この構成によれば、板状のワーク500を、筺体401の上面に設けられたスリット状の挿入部410内部に挿入することで、このワーク500の両面より処理ガスが吹き付けられ、板状のワーク500の両面を同時に表面処理することが可能となる。なお、ワーク500の片面のみが表面処理されるものにあっては、処理ガス給気管430をスリット状の挿入部410の一方の側壁のみに開口させればよい。
【0107】
(5)バッチ処理タイプ
図20は、多数のワークをバッチ式で処理する装置を示している。この装置は、上述の表面処理ユニット30(又は100又は110)に接続された給気連結管20及び排気連結管24を、バッチ処理ボックス450に連結している。このバッチ処理ボックス450は、内部に多数のワーク510を収容するものである。バッチ処理されるワーク510としては、上述のIC10、線材250、板状のワーク500の他、例えばロール状に巻回されたTABテープであってもよい。
【0108】
このバッチ処理タイプによれば、一度に多数のワーク510を表面処理することが可能となる。なお、本発明の処理方法に表面処理されたワークは、改善されたその半田の濡れ性を、表面処理後比較的長い時間維持することができるため、バッチ処理後半田付けまでワークをストックしておいても、良好な半田付けを行うことができる。
【0109】
【実施例】
次に、本発明方法により表面処理されたワークの半田の濡れ性を評価するための実験結果について、表2,表3を参照して説明する。
【0110】
水晶発振子の電極に銀を蒸着した日から13日後に、該水晶発振子の電極に半田付けされる線材の先端を各種条件下にて表面処理し、同日に半田付け(マウント)した時の、半田の流れ評価を下記の表2に示す。
【0111】
【表2】
Figure 0003796857
ここで、条件1は表面処理の無い場合であり、条件2〜6及び8はいずれも原料ガスにCF4(50cc/min)、キャリアガスにN2(20リットル/min)を用い、CF4は純水を通過させて水分を添加した。条件7は、原料ガスは条件2などと同じとし、キャリアガスに圧縮空気(20リットル/min)を用いた。プラズマ生成条件として、条件2ではパワーを50〜90Wと比較的低パワーとし、条件3〜8では250Wとした。
【0112】
上記の表2にて時間は9cmの長さをスキャンしたトータル時間を示している。また、マウント条件は、半田付け時の半田ごての本電圧及び予備電圧を示している。
【0113】
表2に示すとおり、表面処理をしていない条件1と比較すると、条件2〜8でいずれも半田の流れ結果は向上しており、特にキャリアガスにN2を用いた条件2〜6及び8ではきわめて良好な結果が得られた。
【0114】
表2中の条件3での表面処理を行ったものと、表面処理をしていないもとについて、それぞれマウント数量を増やして半田の流れ不良及びマウント後の水晶発振子の電気的特性とを評価した結果を、下記の表3に示す。
【0115】
【表3】
Figure 0003796857
表3中の周波数f0は水晶発振子の発振周波数を示し、条件1,3が処理無しのもの、条件2,4が表面処理有りのものをそれぞれ示す。なお、条件1,2では、水晶発振子の電極に銀を蒸着した日から14日後に、該水晶発振子の電極に線材を半田付け(マウント)した。条件2の表面処理工程は、マウント工程の2日前に実施した。条件3,4では、水晶発振子の電極に銀を蒸着した日から17日後に、該水晶発振子の電極に線材を半田付け(マウント)した。条件4の表面処理工程は、マウント工程の2日前に実施した。
【0116】
条件1と2との比較、条件3と4との比較から明らかなように、表面処理を実施した方が、半田流れ不良率及び電気特性不良率が共にほぼ半減していることが分かる。
【0117】
<比較例1>
図3の方式は、ハロゲン化合物が一対の電極間での放電により分解されたハロゲン又はハロゲン化水素を処理ガスとして用いるものであり、被処理体は直接プラズマに晒されない間接放電処理である。一方、一対の電極の一方に被処理体を載置し、被処理体をプラズマに直接晒して処理する直接放電処理は公知である。
【0118】
下記の表4は、本実施例の間接放電処理を、公知の直接放電処理と、いずれの処理も行われない未処理のものとに対して、半田の濡れ性の良否を比較したものである。なお、本実施例の間接放電処理では、原料ガスCF4を500cc/min、キャリアガスN2を20リットル/minで供給した。直接放電処理では、原料ガスCF4を500cc/min、プラズマ生成用ガスHeを20リットル/minで供給した。
【0119】
【表4】
Figure 0003796857
表4から明らかなように、本実施例の間接放電処理では不良率が格段に低下していることが分かる。ここで、間接放電処理での不良原因は、全て半田の流れ過ぎによるもので、半田の濡れ性が向上していることでは良品と変わりはない。
【0120】
これに対して、上記の実験結果によると、直接放電処理では、半田流れが不良となる不良率が、未処理の場合よりも20%低下しただけであった。この理由は下記の通りと考えられる。その一つは、被処理体のリード先端部分に強い放電が生じ、部分的にしか処理されないことである。他の一つは、電極間ギャップが数mmと狭い直接放電処理では、被処理体のセット状態のばらつきにより、プラズマの状態が変化するからである。プラズマ強度が大きすぎると、被処理体が変色し、半田の流れは不良となる。
【0121】
<比較例2>
上述した各実施例では、処理ガスとしてハロゲン又はハロゲン化水素を含む処理ガスを用いているが、プラズマ発生部にて発生した例えばフッ素ラジカル等の活性種を、プラズマ発生部外に配置した被処理体に導いて処理する方式も知られている。ただし、活性種はその寿命があるため、本実施例の間接放電処理と比較すると、プラズマ発生部から被処理体までの距離を大きくすることはできない。
【0122】
プラズマ発生部に連結される処理ガス供給管として、一般に配管チューブとして知られている1/4径サイズ(外径6.35mm、内径3.17mm)を使用した場合、原料ガス供給流量とチューブ断面積とから、処理ガスの流速を求めてみた。原料ガスの供給流量を100cc/minとした場合、処理ガスの流速は21.12cm/sとなる。フッ素ラジカルの寿命は、1/1000s以下であるので、プラズマ発生部から0.0211cm離れた位置で消滅する。原料ガスの供給流量を30cc/minとした場合には、処理ガスの流速は6.335cm/sとなり、プラズマ発生部から0.0063cm離れた位置で消滅する。
【0123】
これに対して、上述した各実施例では、処理ガスとしてハロゲン又はハロゲン化水素を含む処理ガスを用いているので、処理ガス生成用容器より十分に離れた位置に被処理体をおいても処理が可能である。
【0124】
【図面の簡単な説明】
【図1】熱分解により処理ガスを生成する装置を模式的に示す本発明の実施例の概略説明図である。
【図2】光分解により処理ガスを生成する装置を模式的に示す本発明の実施例の概略説明図である。
【図3】放電による分解により処理ガスを生成する装置を模式的に示す本発明の実施例の概略説明図である。
【図4】電気分解により処理ガスを生成する装置を模式的に示す本発明の実施例の概略説明図である。
【図5】液体との接触により処理ガスを生成する装置を模式的に示す本発明の実施例の概略説明図である。
【図6】本発明の実施例に係る表面処理装置の全体構成を示す概略説明図である。
【図7】図6に示す表面処理ユニットの内部構成を示す概略説明図である。
【図8】図7示すプラズマ発生部の構成を示す概略説明図である。
【図9】表面処理ユニットの他の実施例を示す概略説明図である。
【図10】処理ガスを直接にワークに向けて導出する実施例を示す概略説明図である。
【図11】表面処理ユニットのさらに他の実施例を示す概略説明図である。
【図12】表面処理ユニツトによりラインタイプの処理装置を構成した実施例を示す概略説明図である。
【図13】図12に示す表面処理ユニットの給排気部を示す概略断面図である。
【図14】表面処理ユニツトによりスタンドタイプの処理装置を構成した実施例を示す概略説明図である。
【図15】図14に示す表面処理ユニットの給排気部を示す概略断面図である。
【図16】表面処理ユニツトにより棒状タイプの処理装置を構成した実施例を示す概略説明図である。
【図17】図16に示す表面処理ユニットの給排気部を示す概略断面図である。
【図18】表面処理ユニツトによりトースタータイプの処理装置を構成した実施例を示す概略説明図である。
【図19】図18に示す表面処理ユニットの給排気部を示す概略断面図である。
【図20】表面処理ユニツトによりバッチ処理タイプの処理装置を構成した実施例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 処理ガス生成用容器
2 処理ガス供給管
3 原料ガス供給管
4 加熱器
5 UVランプ
6 プラズマ発生部
7 仕切板
8a,8b 電極
9 キャリアガス供給管
10、250、500、 ワーク
20、210、310 給気連結管
24、230、320 排気連結管
30、100、110、160、200、300、400 表面処理ユニット
32、112、161、201、301、401 筺体
40、164、430 処理ガス給気管
42、92 流量計
44 ガスボンベ
50 電源
60 プラズマ発生部
62a、62b 電極
70、140、166、420 排気管
80、150 除害装置
82 排気ファン
90、120 キャリアガス給気管
94 給気ファン
130 液体収容部

Claims (13)

  1. 水分を含む雰囲気中にてハロゲン化合物を分解してハロゲン化水素を含む処理ガスを生成する工程と、
    前記処理ガスを被処理体の表面に接触させ、前記被処理体の表面を処理する工程と、
    を有することを特徴とする表面処理方法。
  2. 請求項1において、
    大気圧又はその近傍の圧力下で、前記原料ガスを50kHz以下の低周波数の交流電圧又は直流電圧が印加される一対の電極により励起して分解することを特徴とする表面処理方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記処理ガスを、キャリアガスにより圧送して、前記被処理体に接触させることを特徴とする表面処理方法。
  4. 請求項3において、
    前記ハロゲン化合物の分解工程後に、前記処理ガスに前記キャリアガスを混合することを特徴とする表面処理方法。
  5. ハロゲン化水素の水溶液にキャリアガスを接触させて、ハロゲン化水素の液体を含む処理ガスを生成する工程と、
    前記処理ガスを被処理体の表面に接触させ、前記被処理体の表面を処理する工程と、
    を有することを特徴とする表面処理方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
    前記被処理体に向けて供給された前記処理ガス及び反応生成物を強制排気する工程と、
    排気途中にて、前記処理ガス又は前記反応生成物をトラップする工程と、
    をさらに有することを特徴とする表面処理方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記処理ガスを前記被処理体の表面に接触させて、前記被処理体の表面の酸化物をハロゲン化合物に置換して、前記表面での半田の濡れ性を向上させることを特徴とする表面処理方法。
  8. 被処理体の表面を処理する表面処理装置において、
    ハロゲン化合物を含む原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
    水分を含む雰囲気中にて前記ハロゲン化合物を放電により分解して、ハロゲン化水素を含む処理ガスを生成する処理ガス生成手段と、
    前記処理ガスを前記処理ガス生成手段より前記被処理体の前記表面に導く処理ガス供給手段と、
    を有することを特徴とする表面処理装置。
  9. 請求項8において、
    前記処理ガス生成手段は、
    50kHz以下の低周波数の交流電圧又は直流電圧を出力する電源と、
    前記電圧が印加される一対の電極を備え、大気圧又はその近傍の圧力下にてプラズマを誘起するプラズマ発生部と、
    を有することを特徴とする表面処理装置。
  10. 請求項8または9において、
    前記原料ガス供給手段に接続され、前記原料ガスに混合されるキャリアガスを供給するキャリアガス供給手段をさらに有することを特徴とする表面処理装置。
  11. 請求項8乃至10のいずれかにおいて、
    前記処理ガス供給手段に接続され、前記処理ガスに混合されるキャリアガスを供給するキャリアガス供給手段をさらに有することを特徴とする表面処理装置。
  12. ハロゲン水素を含む水溶液にキャリアガスを接触させて、ハロゲン化水素を含む処理ガスを生成する処理ガス生成手段と、
    前記処理ガスを前記処理ガス生成手段より前記被処理体の前記表面に導く処理ガス供給手段と、
    を有することを特徴とする表面処理装置。
  13. 請求項8乃至12のいずれかにおいて、
    前記被処理体に向けて供給された前記処理ガス及び反応生成物を強制排気する排気手段と、
    排気途中にて、前記処理ガス又は前記反応生成物をトラップするトラップ手段と、
    をさらに有することを特徴とする表面処理装置。
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