JP3796463B2 - ビーフエキス様天然調味料およびその製造方法 - Google Patents

ビーフエキス様天然調味料およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業の属する技術分野】
本発明は、醗酵食品、特にビーフエキス様天然調味料およびその製造方法に関する。
本発明における「食肉」とは、牛以外の家畜および家禽類からなる群より選ばれる1以上のものの食肉を、「その骨」とは、牛以外の家畜および家禽類からなる群より選ばれる1以上のものの骨を指す。以後、「牛肉以外の食肉および/またはその骨」と省略することもある。本発明におけるエキスとは、牛以外の家畜および家禽類からなる群より選ばれる1以上のものの食肉および/またはその骨より得られた煮汁、だし、スープ類等を指す。
【0002】
【従来の技術】
現在市販されている牛原料以外を用いたビーフエキス様天然調味料はアミノ酸と糖の加熱メイラード反応臭を用いたものか、もしくは酵母エキス等を配合したものがほとんどであり、どれも本来のビーフエキスとは異なるものであった。
【0003】
ビーフエキスは従来、コーンビーフを製造する工程において副産物として産出される煮汁を濃縮したものである。平成13年9月10日に日本で初めての牛海綿状脳症感染乳牛が確認されて以来、ビーフエキスを使用した調味料が敬遠されている。しかしながらビーフエキスは特徴の有る酸味と旨味と香を有しており天然の調味料としてそれにかわるものは無かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
また天然の原料のみを用いて酵素分解や乳酸醗酵を行うことでビーフエキス様の調味料を製造する試みはこれまでに無かった。
これまで、ビーフエキス以外のエキスにアミノ酸や糖類を加えメイラード反応を起こさせることや、酵母エキス等を配合したビーフエキス様調味料はあったが、どれも風味は完全なものではなかった。また、天然の原料のみを用いて酵素分解や乳酸醗酵を行うことでビーフエキス様の調味料を製造する試みはこれまでに無かった。
【0005】
本発明は、牛肉以外の食肉原料を用いて、牛肉を原料として抽出されたビーフエキスと同等の風味を有するビーフエキス様天然調味料を提供することを課題とする。
【0006】
本発明は、従来のメイラード反応や配合ではどれも本来のビーフエキスと同等のものは得られなかったが、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料として抽出したエキスを酵素分解や乳酸醗酵をすることによりビーフエキス様天然調味料を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料とし抽出したエキスを用いたビーフエキス様天然調味料であって、エキスに乳酸醗酵産物を加えたものであることを特徴とする天然調味料を要旨としている。
【0008】
また、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料とし抽出したエキスを用いたビーフエキス様天然調味料であって、エキスに糖を加え乳酸醗酵することにより得られた乳酸醗酵エキスであることを特徴とする天然調味料を要旨としている。
【0009】
酵素分解したエキスに糖を加え乳酸醗酵することにより得られたものであり、その場合、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料とし抽出したエキスを用いたビーフエキス様天然調味料であって、エキスを酵素分解し、それに糖を加え乳酸醗酵することにより得られたものであることを特徴とする天然調味料である。
【0010】
天然の糖を加えて加熱することにより加熱反応臭を付与させたものであり、その場合、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料とし抽出したエキスを用いたビーフエキス様天然調味料であって、エキスに乳酸醗酵産物を加えたものであること、あるいはエキスまたは酵素分解したエキスに糖を加え乳酸醗酵することにより得られた乳酸醗酵エキスであること、ならびに、天然の糖を加えて加熱することにより加熱反応臭を付与させたものであることを特徴とする天然調味料である。
【0011】
その他の調味料等を配合したものであり、その場合、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料とし抽出したエキスを用いたビーフエキス様天然調味料であって、エキスに乳酸醗酵産物を加えたものであること、あるいはエキスまたは酵素分解したエキスに糖を加え乳酸醗酵することにより得られた乳酸醗酵エキスであること、ならびに、その他の調味料等を配合したものであることを特徴とする天然調味料である。
【0012】
濃縮型の液体であり、その場合、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料とし抽出したエキスを用いたビーフエキス様天然調味料であって、エキスに乳酸醗酵産物を加えたものであること、あるいはエキスまたは酵素分解したエキスに糖を加え乳酸醗酵することにより得られた乳酸醗酵エキスであること、必要に応じ天然の糖を加えて加熱することにより加熱反応臭を付与させたものであること、および/または、その他の調味料等を配合したものであること、ならびに、濃縮型の液体であることを特徴とする天然調味料である。
【0013】
粉末状であり、その場合、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料とし抽出したエキスを用いたビーフエキス様天然調味料であって、エキスに乳酸醗酵産物を加えたものであること、あるいはエキスまたは酵素分解したエキスに糖を加え乳酸醗酵することにより得られた乳酸醗酵エキスであること、必要に応じ天然の糖を加えて加熱することにより加熱反応臭を付与させたものであること、および/または、その他の調味料等を配合したものであること、ならびに、粉末状であることを特徴とする天然調味料である。
【0014】
本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料として抽出したエキスに、乳酸醗酵産物を加えることを特徴とするビーフエキス様天然調味料の製造方法を要旨としている。
【0015】
また、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料として抽出したエキスに糖を加え、乳酸醗酵して乳酸醗酵エキスを製造することを特徴とするビーフエキス様天然調味料の製造方法を要旨としている。
【0016】
上記糖を加える前にエキスに酵素分解処理をしており、その場合、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料として抽出したエキスに酵素分解処理をし、糖を加え、乳酸醗酵して乳酸醗酵エキスを製造することを特徴とするビーフエキス様天然調味料の製造方法である。
【0017】
乳酸醗酵は、通常、食品に使用される乳酸菌の液体培養菌や凍結乾燥菌体を接種して、その菌に適当な温度と時間培養して、行われることを特徴としており、その場合、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料として抽出したエキスに、あるいは酵素分解処理をしその酵素分解したエキスに、糖を加え、通常、食品に使用される乳酸菌の液体培養菌や凍結乾燥菌体を接種して、その菌に適当な温度と時間培養する乳酸醗酵をして乳酸醗酵エキスを製造することを特徴とするビーフエキス様天然調味料の製造方法である。
【0018】
得られた乳酸醗酵エキスに天然の糖を加えて加熱することにより加熱反応臭を付与させており、その場合、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料として抽出したエキスに、乳酸醗酵産物を加えること、あるいはエキスまたは酵素分解処理をしその酵素分解したエキスに、糖を加え、乳酸醗酵をして、より具体的には、通常、食品に使用される乳酸菌の液体培養菌や凍結乾燥菌体を接種して、その菌に適当な温度と時間培養する乳酸醗酵をして、乳酸醗酵エキスを製造すること、得られた乳酸醗酵エキスに天然の糖を加えて加熱することにより加熱反応臭を付与させることを特徴とするビーフエキス様天然調味料の製造方法である。
【0019】
濃縮工程を付加して濃縮型の液体として取得しており、その場合、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料として抽出したエキスに、乳酸醗酵産物を加えること、あるいはエキスまたは酵素分解処理をしその酵素分解したエキスに、糖を加え、乳酸醗酵をして、より具体的には、通常、食品に使用される乳酸菌の液体培養菌や凍結乾燥菌体を接種して、その菌に適当な温度と時間培養する乳酸醗酵をして乳酸醗酵エキスを製造すること、必要に応じ得られた乳酸醗酵エキスに天然の糖を加えて加熱することにより加熱反応臭を付与させること、ならびに、濃縮工程を付加して濃縮型の液体として取得することを特徴とするビーフエキス様天然調味料の製造方法である。
【0020】
粉末化工程を付加して粉末として取得しており、その場合、本発明は、牛肉以外の食肉および/またはその骨を原料として抽出したエキスに、乳酸醗酵産物を加えること、あるいはエキスまたは酵素分解処理をしその酵素分解したエキスに、糖を加え、乳酸醗酵をして、より具体的には、通常、食品に使用される乳酸菌の液体培養菌や凍結乾燥菌体を接種して、その菌に適当な温度と時間培養する乳酸醗酵をして、乳酸醗酵エキスを製造すること、必要に応じ得られた乳酸醗酵エキスに天然の糖を加えて加熱することにより加熱反応臭を付与させること、ならびに、粉末化工程を付加して粉末として取得することを特徴とするビーフエキス様天然調味料の製造方法である。
【0021】
【発明実施の形態】
本発明におけるエキスとは、
上記に定義した通り、本発明における「牛肉以外の食肉」とは、牛以外の家畜、家禽類または魚介類の食肉を、「その骨」とは、牛以外の家畜、家禽類または魚介類の骨を指す。本発明におけるエキスとは、牛肉以外の食肉および/またはその骨より得られた煮汁、だし、スープ類等を指す。例えばカツオエキス、マグロエキス、チキンエキス、等がある。
カツオエキス、マグロエキス、チキンエキス等には多くの旨味成分が含まれている。ビーフエキス、カツオエキス、マグロエキス、チキンエキスのアミノ酸・核酸分析結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003796463
【0023】
しかしながら、ビーフエキスと呈味的に大きく異なる点は、ビーフエキスに含まれる乳酸によるpHである。ビーフエキスはpHが低く、他のものは中性域付近である。ビーフエキス、カツオエキス、マグロエキス、チキンエキスのpH測定結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
Figure 0003796463
【0025】
そこで、本発明はこの乳酸を乳酸菌(ビフィズス菌を含む)の醗酵により補うことで、天然調味料としてビーフエキス様調味料を得ることが可能となる。
【0026】
乳酸醗酵は、通常、食品に使用される乳酸菌の液体培養菌や凍結乾燥菌体を接種して、その菌に適当な温度と時間培養して行われる。より具体的には、上記の乳酸醗酵は、通常、食品に使用される乳酸菌を用いて、醗酵条件として10−40℃、12−48時間を採用し、凍結乾燥菌体で0.01〜0.1%、液体培養菌で1〜10%の添加量の条件下で行われる。
以下に、乳酸菌、その添加量、その他醗酵条件に付いて説明する。
乳酸醗酵は、通常、食品に使用される乳酸菌を用いる。醗酵に用いる乳酸菌として、Lactobacillus gasseriLactobacillus caseiLactobacillus acidophilusLactobacillus sakei subsp. sakeiLactobacillus curvatusLactobacillus rhamnosusLactobacillus pentosusLactobacillus paracasei subsp. paracaseiLactobacillus plantarumLactobacillus jugurtiLactococcus lactis subsp. lactisLactococcus lactis subsp. cremorisStreptococcus thermophilusEnterococcus faeciumBifidobacterium bifidumBifidobacterium longum 等が挙げられる。
【0027】
乳酸菌の添加量は、通常は、凍結乾燥菌体で0.01〜0.1%、液体培養菌で1〜10%の範囲である。しかし、この範囲に限定されるわけではなく、使用材料や目的とする調味料によっては、これより高いあるいは低い濃度で使用される可能性がある。
【0028】
例として丸鶏エキス中の乳酸菌の生育を図1に、鶏骨エキス中の乳酸菌の生育を図2に示す。
【0029】
乳酸菌の生育に必要な糖源としてグルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース(砂糖)等を利用することが可能である。また、適切な糖濃度で醗酵させることにより醗酵後の乳酸量、およびpHのコントロールが可能である。
丸鶏エキス中の糖濃度と乳酸量(滴定酸度)の増加を表3に、pHの変化を表4に示す。
【0030】
【表3】
Figure 0003796463
【0031】
【表4】
Figure 0003796463
【0032】
また、乳酸菌の醗酵時間によっても醗酵後の乳酸量、およびpHのコントロールが可能である。丸鶏エキス中の醗酵時間と乳酸量の変化を図3に、pHの変化を図4に示す。乳酸菌スターターとして前培養を行った菌液以外に、醗酵乳、チーズ、醗酵ソーセージ等の製造用に市販されているスターターを用いることもできる。
【0033】
醗酵条件としては、通常10〜40℃、好ましくはそのスターターの生育至適温度で醗酵を行うことができる。醗酵時間は、12〜48時間が一般的であるが、図1、図2に示すとおり24時間程度でほぼ生育の定常期を迎えるため経済的見地から醗酵時間は12〜24時間にすることができる。
【0034】
また、生育時間は菌種により相違があり、原料あるいは好みの生成乳酸量・風味等の条件により変化させることができる。また、醗酵基質の濃度を調節することにより生成乳酸量の調整を行うこともできる。
例として表5にマグロエキスをBrix5、10、15、20に調節したときの濃縮ビーフエキス様天然調味料(Brix80)の乳酸量を示す。このことにより基質濃度により最終の乳酸量の調整が可能であることが確認される。
【0035】
【表5】
Figure 0003796463
【0036】
醗酵をそれ以上進めなくする方法として、加熱等による乳酸菌の殺菌、フィルター除菌等の方法を取ることができる。醗酵終了後、透明な液を要求する場合は遠心分離、フィルター濾過等の処理により、菌体・濁りを除去することが可能である。その様にして調製したエキスをビーフエキス様天然調味料とする。
【0037】
ビーフエキス様天然調味料は、乳酸醗酵エキスに対し濃縮工程を付加して濃縮型の液体として取得することができる。濃縮手段は特に制限がなく、減圧濃縮法、常圧加熱濃縮法、膜濃縮法等を利用することができる。食品用の真空濃縮装置を用いて濃縮する場合、濃縮条件として、例えば、真空度0.07MPa、温度55〜65℃で濃縮し濃縮型の液体(濃縮物)とする。
【0038】
ビーフエキス様天然調味料は、乳酸醗酵エキスに対し粉末化工程を付加して粉末状として取得することができる。粉末化手段は特に制限がなく、 スプレー乾燥法、ドラム乾燥法、真空乾燥法等を利用することができる。 乳酸醗酵エキスに対し、必要に応じハチミツ、デキストリンなどを配合し加温することによりデキストリンを溶解させ、溶解後、加熱殺菌を行ない、その後、スプレー乾燥機にて、例えば、雰囲気温度180℃、排風温度80℃の条件で、粉末化を行い、醗酵エキス粉末を作成し、粉末状のビーフエキス様天然調味料とする。
【0039】
さらに、天然の糖を加え加熱することにより加熱反応臭を付与し、その他の調味料を配合することにより風味豊かなビーフエキス様天然調味料を得ることが可能となる。
天然の糖を加え加熱する段階は、加熱した天然の糖を加えても香りの改善には大きく寄与しない。乳酸醗酵後→糖を加え→加熱反応を行う。また、糖を加え→加熱反応を行い→乳酸醗酵というフローも考えられるが、▲1▼乳酸醗酵後に加熱反応を行わせる方がpHが低下しているため反応性は良い。▲2▼加熱反応後に乳酸醗酵を行わせると褐変物質が乳酸菌の生育を阻害する可能性がある。これらのことを勘案すると上記、乳酸醗酵→加糖→加熱反応のフローがベストである。上記の加熱反応臭の付与とは、メイラード反応臭(糖とアミノ酸の反応)、および/または、カラメル臭(糖の褐変反応)を付与することを意味する。
【0040】
通常、ビーフエキスに限らず天然調味料の呈味性への影響は、「味に複雑味、コク味、厚みを付与する。香りに対して、豊かにする、食品の持つ嫌な香りをマスキングする、食品の持つ良い香りを高める、あるいは増強する」ということが言われている。本発明のビーフエキス様天然調味料も各種食品に対して上記のような呈味性への影響を与えるような使い方をする。特に、ビーフエキス様天然調味料を調理用原料とする加工食品、例えば、インスタント食品(ラーメン、カレー、シチュー等)、畜肉練り製品及び加工品、水産練り製品及び加工品、米菓・スナック(ポテトチップス等)、各種スープ、缶詰類、液体調味料、冷凍食品等、加工食品への用途は非常に広く存在する。
【0041】
【作用】
これまで、ビーフエキス以外のエキスにアミノ酸や糖類を加えメイラード反応を起こさせることや、酵母エキス等を配合したビーフエキス様調味料はあったが、どれも風味は完全なものではなかった。また、天然の原料のみを用いて酵素分解や乳酸醗酵を行うことでビーフエキス様の調味料を製造する試みはこれまでに無かった。
牛肉以外の食肉原料(牛以外の家畜、家禽類の他魚介類を含む)および/またはその骨を原料としエキスを抽出し、そのエキスを乳酸醗酵させることにより、あるいは抽出したエキスを酵素分解し、乳酸醗酵させることにより、ビーフエキス特有の風味、旨味、香りを付与した天然のビーフエキス様調味料を得ることが可能となった。
【0042】
牛肉以外の食肉原料を抽出したエキスを原料として製造する際、従来は細菌汚染とその増殖の問題があったが、工程中の乳酸菌の醗酵作用によってpHの低下が起こり食品の保存性を高める効果を応用し、この細菌汚染を防止でき安全かつ安定な生産を可能とした。すなわち、製造工程中での細菌汚染は、乳酸醗酵させることにより原料のpHが低下し、雑菌増殖が抑制され工程が安定化すると同時に管理、設備の簡素化を実現でき、産業上の利点も極めて大である。
【0043】
さらに、天然の糖を加え加熱することにより加熱反応臭を付与し、その他の調味料を配合することにより風味豊かなビーフエキス様天然調味料を得ることが可能となる。
【0044】
【実施例】
本発明の詳細を実施例で説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0045】
実施例1
(丸鶏を用いたビーフエキス様天然調味料)
まず、丸鶏10kgに対し水20kgを加えた。約95℃の湯中で8時間抽出を行い、ミストの除去および油液分離を行った。液部をBrix16まで濃縮し、チキンエキスとした。チキンエキスの固形分に対し0.5%の蛋白分解酵素を添加し50℃にて4時間分解を行った。
チキンエキスに対し、1.0%(w/w以下同様)の砂糖を添加し95℃、30分の加熱殺菌を行った。加熱殺菌後、チキンエキスの温度を37℃に調整し、乳酸菌 Lactobacillus gasseri の培養物を1/100量接種した。チキンエキスの醗酵は37℃で、24時間行った。24時間後、95℃30分間の加熱殺菌を行うことにより醗酵を停止させた。加熱殺菌後、遠心分離を12,000×gで15分間行い、約1.3kgのビーフエキス様天然調味料を得た。
【0046】
原料であるチキンエキスと実施例1ビーフエキス様天然調味料と目標品であるビーフエキスのGC−MS分析結果チャートを図5に示す。分析結果より、(ロ)と(ハ)は同等の香を有することが確認された。
【0047】
実施例2
(配合型調味料)
実施例1により作成されたビーフエキス様天然調味料1kgに対し、酵母エキス0.6%を添加した。その後、加熱感を増加させるために砂糖1%を加え加圧加熱(121℃×4時間)を行った。また、常圧において微沸騰状態で8時間加熱することでも同様に加熱反応臭を増加させることが可能である。糖を加え加熱することにより加熱反応臭を増加させ風味がさらに良くなる。その後、Brix80%となるまで濃縮を行うことにより、ビーフエキス様天然調味料を約250g得ることができた。
【0048】
原料であるチキンエキスに試薬乳酸を加えて濃縮したもの(ニ)と、実施例2濃縮型ビーフエキス様天然調味料(ホ)のGC−MS分析結果チャートを図6に示す。分析結果により、(ニ)と(ホ)とは成分的には同じものが出ているが、(ホ)は(ニ)に比べて量的に多いという結果であることがわかる。
官能的にも、原料であるチキンエキスに試薬乳酸を加えて濃縮したものは香りが単調で、醗酵させた本実施例品が明らかに良いという結果が得られた。
【0049】
【発明の効果】
天然の原料のみを用いて酵素分解や乳酸醗酵を行うことでビーフエキス様の調味料を提供することができる。
牛肉以外の食肉原料を用いて、牛肉を原料として抽出されたビーフエキスと同等の風味を有するビーフエキス様天然調味料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】丸鶏エキス中の乳酸菌の生育を示す図面である。
【図2】鶏骨エキス中の乳酸菌の生育を示す図面である。
【図3】丸鶏エキス中の醗酵時間と酸度(乳酸量%)の変化を示す図面である。
【図4】丸鶏エキス中の醗酵時間とpHの変化を示す図面である。
【図5】(イ)原料(チキンエキス)、(ロ)実施例1(ビーフエキス様天然調味料)、(ハ)目標品(ビーフエキス)のGC−MS分析結果チャートを示す図面である(各エキスBrix16に調製)。
【図6】(ニ)原料であるチキンエキスに試薬乳酸を加えて濃縮したもの、(ホ)実施例2濃縮型ビーフエキス様天然調味料(各エキスBrix16に調製)。

Claims (13)

  1. チキンエキスを用いたビーフエキス特有の酸味と旨味と香を有するビーフエキス様天然調味料であって、チキンエキスに糖を加え乳酸醗酵することにより得られた乳酸醗酵エキスであることを特徴とするビーフエキス様天然調味料。
  2. 酵素分解したチキンエキスに糖を加え前記乳酸醗酵することにより得られた乳酸醗酵エキスである請求項のビーフエキス様天然調味料。
  3. 上記の乳酸醗酵エキスに天然の糖を加えて加熱することにより加熱反応臭を付与させたものである請求項1または2のビーフエキス様天然調味料。
  4. 上記の乳酸醗酵エキスにその他の調味料等を配合したものである請求項1ないしのいずれかのビーフエキス様天然調味料。
  5. 上記の乳酸醗酵エキスに濃縮工程を付加して取得した濃縮型の液体である請求項1ないしのいずれかのビーフエキス様天然調味料。
  6. 上記の乳酸醗酵エキスに粉末化工程を付加して取得した粉末である請求項1ないしのいずれかのビーフエキス様天然調味料。
  7. 請求項1ないしのいずれかのビーフエキス様天然調味料を調理用原料とする加工食品。
  8. チキンエキスに糖を加え、乳酸醗酵して乳酸醗酵エキスを製造することを特徴とするビーフエキス特有の酸味と旨味と香を有するビーフエキス様天然調味料の製造方法。
  9. 上記糖を加える前にチキンエキスに酵素分解処理をする請求項8のビーフエキス特有の酸味と旨味と香を有するビーフエキス様天然調味料の製造方法。
  10. 乳酸醗酵は、通常、食品に使用される乳酸菌の液体培養菌や凍結乾燥菌体を接種して、その菌に適当な温度と時間培養して、行われることを特徴とする請求項またはのビーフエキス特有の酸味と旨味と香を有するビーフエキス様天然調味料の製造方法。
  11. 得られた乳酸醗酵エキスに天然の糖を加えて加熱することにより加熱反応臭を付与させる請求項ないし10のいずれかのビーフエキス特有の酸味と旨味と香を有するビーフエキス様天然調味料の製造方法。
  12. 濃縮工程を付加して濃縮型の液体として取得する請求項8ないし11のいずれかのビーフエキス特有の酸味と旨味と香を有するビーフエキス様天然調味料の製造方法。
  13. 粉末化工程を付加して粉末として取得する請求項8ないし11のいずれかのビーフエキス特有の酸味と旨味と香を有するビーフエキス様天然調味料の製造方法。
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