JP3794651B2 - メルカプト化合物、メルカプト化合物の製造方法、テトラオール化合物およびテトラオール化合物の製造方法 - Google Patents

メルカプト化合物、メルカプト化合物の製造方法、テトラオール化合物およびテトラオール化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、メルカプト化合物、メルカプト化合物の製造方法、テトラオール化合物およびテトラオール化合物の製造方法、特に、新規なメルカプト化合物およびその製造方法、当該メルカプト化合物を製造するための中間体としての新規なテトラオール化合物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
有機光学材料の分野では、樹脂の高屈折率化を図ることを目的として、樹脂原料のモノマー分子内に原子屈折が高い硫黄原子の含有率を高めることが試みられている(例えば、特開平2−270859号、特開平5−208950号参照)。ここで、硫黄原子の含有率を高めるためには、一般にメルカプト化合物が用いられている。メルカプト化合物としては、例えばメタンチオール、エタンチオールおよびエタンジチオールなどの低分子量メルカプト化合物が広く知られている。ところが、このような低分子量メルカプト化合物は、メルカプト基に基づく特有の臭気があり、また、樹脂を硬化させるために用いる他の樹脂原料との組成比の関係で使用量が制限されることが多い。このため、低分子量メルカプト化合物は、作業者に不快感を与える等の点で取扱いが容易ではなく、また、樹脂中の硫黄原子の含有率を理想的に高めるのが困難である。
【0003】
このため、低分子量メルカプト化合物に代えて、トリメチロールプロパントリス−(チオグリコレート)やペンタエリスリトールテトラキス−(チオグリコレート)などの、エポキシ樹脂硬化剤として用いられている分子量が大きな多官能性のメルカプト化合物の利用が考えられる。しかし、この種のメルカプト化合物は、分子量が大きいために臭気が少なく取扱い性が良好であるものの、分子内の硫黄原子含有率が小さいために、樹脂中の硫黄原子の含有率を理想的に高めるのは困難である。
【0004】
従って、メルカプト化合物としては、硫黄原子の含有率が高く、しかも多官能性で分子量が大きい(臭気が少ない)ものが望まれることになるが、このようなメルカプト化合物は現在提供されるに至っていない。
【0005】
本発明の目的は、硫黄原子の含有率が高く、しかも多官能性で臭気が少ないメルカプト化合物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような状況に鑑み鋭意検討した結果、硫黄原子の含有率が高く、しかも多官能性で臭気が少ないメルカプト化合物を見い出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明に係るメルカプト化合物は、下記の式(1)で示されるメルカプト化合物である。
【0008】
【化11】
Figure 0003794651
【0009】
この式(1)で示されるメルカプト化合物の製造方法は、ビス−(2−メルカプトエチル)サルファイトとペンタエリスリチルテトラハライドとを塩基の存在下で反応させる工程を含んでいる。ここで、ペンタエリスリチルテトラハライドは、例えば、ペンタエリスリチルテトラブロミドである。
【0010】
式(1)で示されるメルカプト化合物の他の製造方法は、ビス−(2−メルカプトエチル)サルファイトと下記の一般式(2)で示されるペンタエリスリトールスルホン酸エステルとを塩基の存在下で反応させる工程を含んでいる。
【0011】
【化12】
Figure 0003794651
【0012】
なお、一般式(2)中、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基、フェニル基、クロロフェニル基、ニトロフェニル基またはトリル基である。
【0013】
式(1)で示されるメルカプト化合物のさらに他の製造方法は、下記の式(3)で示されるメルカプト化合物とペンタエリスリチルテトラハライドとを塩基および触媒の存在下で反応させて下記の式(4)で示されるテトラオール化合物を得る工程と、得られたテトラオール化合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させ、当該テトラオール化合物とチオ尿素との反応生成物を得る工程と、この反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する工程とを含んでいる。
【0014】
【化13】
Figure 0003794651
【0015】
【化14】
Figure 0003794651
【0016】
なお、この製造方法において、ペンタエリスリチルテトラハライドは、例えば、ペンタエリスリチルテトラブロミドである。また、触媒は、例えば、4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩である。
【0017】
本発明に係るテトラオール化合物は、通常、上述の式(1)で示されるメルカプト化合物を製造するための中間体として用いられるものであり、下記の式(4)で示される。
【0018】
【化15】
Figure 0003794651
【0019】
このテトラオール化合物の製造方法は、下記の式(3)で示されるメルカプト化合物とペンタエリスリチルテトラハライドとを塩基および触媒の存在下で反応させる工程を含んでいる。
【0020】
【化16】
Figure 0003794651
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係るメルカプト化合物は、下記の式(1)で示されるものである。
【0022】
【化17】
Figure 0003794651
【0023】
このメルカプト化合物は、硫黄原子の含有率が高いので、例えば、有機光学材料として用いられる樹脂中の硫黄原子含有率を高めるために有用である。具体的には、このメルカプト化合物は、有機光学材料用の樹脂を製造するためのモノマーとして使用されると、目的とする樹脂中の硫黄原子含有率を高めることができ、この結果、当該樹脂の高屈折率化を容易に図ることができる。このような目的で用いられる本発明のメルカプト化合物は、分子量が比較的大きく、メルカプト基に基づく特有の臭気が少ないので、取扱い性が良好である。
【0024】
なお、本発明のメルカプト化合物は、上述の有機光学材料に対して用いられる他に、従来から知られたメルカプト化合物に代えて、加硫剤、架橋剤、エポキシ樹脂硬化剤、重合調整剤および酸化防止剤などの広範囲な分野に対して用いることも可能である。
【0025】
次に、上述のメルカプト化合物の製造方法について説明する。ここでは、上述のメルカプト化合物の製造方法として、3種類の製造方法を説明する。
【0026】
(第1の製造方法)
第1の製造方法では、ビス−(2−メルカプトエチル)サルファイト(以下、DMDSと略す)とペンタエリスリチルテトラハライドとを原料として用い、両者を塩基の存在下で反応させる。
【0027】
ここで用いられるペンタエリスリチルテトラハライドとしては、ペンタエリスリチルテトラブロミド、ペンタエリスリチルテトラクロライド、ペンタエリスリチルテトラヨーダイドなどの各種ハライドを用いることができるが、反応性および経済性の点でペンタエリスリチルテトラブロミドを用いるのが好ましい。
【0028】
また、この反応で用いられる塩基は、無機系および有機系のいずれの塩基であってもよい。無機系の塩基としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩が挙げられる。一方、有機系の塩基としては、例えば、ナトリウムメチラートやナトリウムエチラートなどのアルカリ金属アルコラート、トリエチルアミンやトリブチルアミンなどの脂肪族アミンが挙げられる。なお、このような各種塩基のうち、反応性および経済性の点で水酸化ナトリウムを用いるのが最も好ましい。
【0029】
上述のDMDSと上述のペンタエリスリチルテトラハライドとを反応させる場合には、両者を混合し、加熱下で上述の塩基を添加しながら撹拌して反応させる。このときの反応温度は、通常、30〜120℃に設定するのが好ましく、70〜120℃に設定するのがより好ましい。反応温度が30℃未満の場合は、反応速度が遅くなり過ぎ、本製造方法の実用性が乏しくなる。逆に、反応温度が120℃を超えると、副反応が発生しやすくなり、目的とするメルカプト化合物の収率が低下するおそれがある。
【0030】
なお、この反応は、常圧、すなわち大気圧で実施してもよいし、加圧下で実施してもよい。加圧下で反応させる場合、圧力範囲は大気圧〜15気圧(ゲージ圧)に設定するのが好ましく、大気圧〜10気圧(ゲージ圧)に設定するのがより好ましい。圧力が15気圧を超えると、使用できる反応器が限定されるため好ましくない。
【0031】
このようにDMDSとペンタエリスリチルテトラハライドとを反応させる際には、反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロピルアルコールなどの低級アルコール溶媒を用いることができる。また、反応原料であるDMDSを反応溶媒として用いることもできる。なお、反応溶媒としては、トルエンまたはDMDSを用いるのが好ましいが、特に、経済性の点で原料であるDMDSを用いるのが好ましい。
【0032】
DMDSとペンタエリスリチルテトラハライドとの使用割合は、ペンタエリスリチルテトラハライドに対してDMDSを4倍モル以上に設定するのが好ましく、4〜50倍モルに設定するのがより好ましい。DMDSの使用割合が4倍モル未満の場合は、反応の選択性が低下し、目的とするメルカプト化合物の収率が低下するおそれがある。逆に、DMDSの使用割合が50倍モルを超える場合は、使用量に比例してメルカプト化合物の収率が増加しにくくなり、経済的でない。
【0033】
塩基の使用量は、通常、ペンタエリスリチルテトラハライドの4〜6倍モルに設定するのが好ましい。この使用量が4倍モル未満の場合は、目的とするメルカプト化合物の収率が低下するおそれがある。逆に、6倍モルを超えると、副反応が発生し易くなる。
【0034】
反応の際には、反応を促進するために触媒を添加することができる。使用可能な触媒としては、例えば、テトラエチルアンモニウムブロミド,テトラ−n−プロピルアンモニウムブロミド,テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド,テトラ−n−ペンチルアンモニウムブロミド,テトラ−n−ヘキシルアンモニウムブロミド,テトラ−n−ヘプチルアンモニウムブロミド,テトラ−n−オクチルアンモニウムブロミド,テトラ−n−デシルアンモニウムブロミド,テトラ−n−アミルアンモニウムブロミド.トリオクチルメチルアンモニウムクロリドなどの4級アンモニウム塩、テトラエチルホスホニウムブロミド,テトラ−n−プロピルホスホニウムブロミド,テトラ−n−ブチルホスホニウムブロミド,テトラ−n−ペンチルホスホニウムブロミド,テトラ−n−ヘキシルホスホニウムブロミド,テトラ−n−ヘプチルホスホニウムブロミド,テトラ−n−オクチルホスホニウムブロミド,テトラフェニルホスホニウムブロミドなどの4級ホスホニウム塩を挙げることができる。このうち、経済性の点で、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドを用いるのが好ましい。なお、このような触媒の使用量は、通常、ペンタエリスリチルテトラハライドの0.01〜1.0倍モルに設定するのが好ましい。
【0035】
反応の完結に要する時間は、反応条件、すなわち反応温度や圧力などにより異なるが、概ね0.5〜24時間である。なお、反応の進行状況は、高速液体クロマトグラフィーを用いて容易に確認することができる。
【0036】
目的とするメルカプト化合物は、反応液を分液した後に水洗し、これを濃縮すると得られる。
【0037】
(第2の製造方法)
第2の製造方法では、第1の製造方法で用いたペンタエリスリチルテトラハライドに代えてペンタエリスリトールスルホン酸エステルを用い、第1の製造方法と同様の反応を行うと目的とするメルカプト化合物を得ることができる。
【0038】
この製造方法で用いられるペンタエリスリトールスルホン酸エステルは、下記の一般式(2)で示されるものである。
【0039】
【化18】
Figure 0003794651
【0040】
なお、一般式(2)中、Rは、メチル基,エチル基,n−プロピル基,n−ブチル基などの炭素数が1〜4のアルキル基、フェニル基、クロロフェニル基、ニトロフェニル基またはトリル基である。
【0041】
このような一般式(2)で示されるペンタエリスリトールスルホン酸エステルとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(メタンスルホネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(エタンスルホネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(プロパンスルホネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(ベンゼンスルホネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(クロロベンゼンスルホネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(ニトロベンゼンスルホネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(トルエンスルホネート)などを挙げることができる。このうち、取扱いが容易な点および経済性の点で、ペンタエリスリトールテトラキス(ベンゼンスルホネート)およびペンタエリスリトールテトラキス(トルエンスルホネート)が好ましく用いられる。
【0042】
(第3の製造方法)
第3の製造方法では、下記の式(4)で示されるテトラオール化合物を中間体として製造し、このテトラオール化合物から目的とするメルカプト化合物を製造する。以下、この製造方法を工程順に説明する。
【0043】
【化19】
Figure 0003794651
【0044】
先ず、下記の式(3)で示されるメルカプト化合物とペンタエリスリチルテトラハライドとを反応原料として用い、上記式(4)で示されるテトラオール化合物を製造する。
【0045】
【化20】
Figure 0003794651
【0046】
式(3)で示されるメルカプト化合物は、2−メルカプトエタノールとエチレンスルフィドとから、またはエチレンオキシドとエタンジチオールとから合成することができる。一方、ペンタエリスリチルテトラハライドとしては、第1の製造方法で用いたものと同様のものを用いることができるが、反応性および経済性の点でペンタエリスリチルテトラブロミドを用いるのが好ましい。
【0047】
式(4)で示されるテトラオール化合物を製造する際には、式(3)で示されるメルカプト化合物とペンタエリスリチルテトラハライドとを塩基および触媒の存在下で反応させる。ここで利用可能な塩基は、第1の製造方法で用いたものと同様の無機系または有機系の塩基(特に、脂肪族アミン類)であるが、特に、反応性および経済性の点で水酸化ナトリウムが好ましい。一方、ここで利用可能な触媒は、第1の製造方法で用いたものと同様の4級アンモニウム塩または4級スルホニウム塩であるが、経済性の点でテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドまたはテトラ−n−ブチルホスホニウムブロミドを用いるのが好ましい。
【0048】
式(3)で示されるメルカプト化合物とペンタエリスリチルテトラハライドとを反応させる際には、両者を混合し、これにベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、またはメタノール,エタノール,プロピルアルコールなどの低級アルコール溶媒を加え、さらに触媒および塩基を添加して撹拌する。反応温度は、20〜120℃に設定するのが好ましく、50〜100℃に設定するのがより好ましい。反応温度が20℃未満の場合は、反応速度が遅くなり過ぎ、本製造方法の実用性が乏しくなる。逆に、反応温度が120℃を超えると、副反応が発生しやすくなり、この工程で製造しようとするテトラオール化合物の収率が低下するおそれがある。
【0049】
式(3)で示されるメルカプト化合物とペンタエリスリチルテトラハライドとの使用割合は、式(3)で示されるメルカプト化合物をペンタエリスリチルテトラハライドの4倍モル以上に設定するのが好ましく、4〜6倍モルに設定するのがより好ましい。式(3)で示されるメルカプト化合物の使用量が4倍モル未満の場合は、テトラオール化合物の収率が低下するおそれがある。逆に、6倍モルを超えると、使用量に比例してテトラオール化合物の収率が増加しにくくなり、経済的でない。
【0050】
また、塩基の使用量は、式(3)で示されるメルカプト化合物に対し0.8〜1.2倍モルに設定するのが好ましい。さらに好ましくは等モルである。塩基の使用量がこの範囲以外の場合は、テトラオール化合物の収率が低下するおそれがある。さらに、触媒の使用量は、ペンタエリスリチルテトラハライドの0.01〜1.0倍モルに設定するのが好ましい。触媒の使用量が0.01倍モル未満の場合、反応速度が遅くなる。逆に、1.0倍モルを超える場合は、使用量に比例してテトラオール化合物の収率が増加しにくくなり、経済的でない。
【0051】
反応の完結に要する時間は、反応条件、すなわち反応温度などにより異なるが、概ね0.5〜24時間である。なお、反応の進行状況は、高速液体クロマトグラフィーを用いて容易に確認することができる。
【0052】
この工程で目的とするテトラオール化合物は、反応液を室温まで冷却して結晶物を濾過した後に分液して水洗し、さらにこれを濃縮すると得られる。
【0053】
次に、得られたテトラオール化合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させ、テトラオール化合物とチオ尿素との反応生成物を得る。ここで用いられる鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸などが挙げられるが、目的とするメルカプト化合物の着色を抑制することができる点で塩酸が好ましい。
【0054】
テトラオール化合物と反応させるチオ尿素の使用量は、テトラオール化合物の4倍モル以上に設定するのが好ましく、4〜12倍モルに設定するのがより好ましい。チオ尿素の使用量が4倍モル未満の場合は、目的とするメルカプト化合物の収率が低下するおそれがある。逆に、12倍モルを超えると、使用量に比例してメルカプト化合物の収率が増加しにくくなり、経済的でない。また、鉱酸の使用量は、テトラオール化合物の4〜16倍モルに設定するのが好ましい。鉱酸の使用量が4倍モル未満の場合は、目的とするメルカプト化合物の収率が低下するおそれがある。逆に、16倍モルを超えると、使用量に比例してメルカプト化合物の収率が増加しにくくなり、経済的でない。
【0055】
なお、ここでの反応温度は、通常、室温〜還流温度の範囲に設定するのが好ましい。
【0056】
次に、得られた反応生成物を塩基によりアルカリ性にして加水分解することによりメルカプト化する。これにより、目的とするメルカプト化合物が得られる。
【0057】
この工程で用いられる塩基は、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、アンモニア、トリエチルアミンやヒドラジンなどの脂肪族アミン類である。なお、このような塩基の使用量は、通常、式(4)で示されるテトラオール化合物の4倍モル以上に設定するのが好ましく、4〜16倍モルに設定するのがより好ましい。塩基の使用量が4倍モル未満の場合は、目的とするメルカプト化合物の収率が低下するおそれがある。逆に、16倍モルを超えると、使用量に比例してメルカプト化合物の収率が増加しにくくなり、経済的でない。
【0058】
なお、このような加水分解反応は、通常、室温〜還流温度の範囲で実施するのが好ましい。
【0059】
このようにして得られたメルカプト化合物は、トルエンなどの有機溶媒を用いて反応液から抽出した後に、酸水洗、水洗、濃縮という一般的な手法により精製することができる。
【0060】
なお、本製造方法に係る一連のメルカプト化工程は、特開平2−270859号に記載された公知の方法である。
【0061】
【実施例】
実施例1
撹拌機、温度計および冷却器を備えた1,000mlの4つ口フラスコを用意し、これにビス−(2−メルカプトエチル)サルファイトを600g(3.9モル)、ペンタエリスリチルテトラブロミドを50g(0.129モル)および触媒としてのテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドを4.1g(0.0127モル)加えた。次に、これを80〜100℃に加熱し、窒素雰囲気下で10%水酸化ナトリウム水溶液を219g(0.53モル)滴下した。その後、80〜100℃に維持しながら3時間撹拌した。
【0062】
次に、反応液を50℃まで冷却し、分液して2回水洗した後に有機層を減圧下で濃縮した。この濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて分離したところ、上記式(1)で示されるテトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンが72.6g(0.107モル)得られた。これのペンタエリスリチルテトラブロミドに対する収率は、82.9%であった。
【0063】
得られたテトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンの元素分析値およびNMR分析結果をそれぞれ表1および表2に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0003794651
【0065】
【表2】
Figure 0003794651
【0066】
実施例2
ペンタエリスリチルテトラブロミド50g(0.129モル)に代えてペンタエリスリトールテトラキス(ベンゼンスルホネート)89.8g(0.129モル)を用い、他は実施例1と同様に操作したところ、上記式(1)で示されるテトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンが70.1g(0.09モル)得られた。これのペンタエリスリトールテトラキス(ベンゼンスルホネート)に対する収率は、79.8%であった。なお、得られたテトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンの元素分析値およびNMR分析結果は、実施例1の場合と同様であった。
【0067】
実施例3
撹拌機、温度計および冷却器を備えた1,000mlの4つ口フラスコを用意し、これに2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エタノールを71.8g(0.52モル)、ペンタエリスリチルテトラブロミドを50g(0.129モル)および触媒としてのテトラ−n−ブチルホスホニウムブロミドを1.7g(0.005モル)加えた。さらに、トルエンを325g添加し、10%の水酸化ナトリウム水溶液を104g(0.52モル)徐々に加えた。その後、70〜80℃に加熱して8時間撹拌した。
【0068】
次に、反応液を40℃まで冷却し、分液して2回水洗した後に有機層を減圧下で濃縮したところ、上記式(4)で示されるテトラキス−(7−ヒドロキシ−2,5−ジチアヘプチル)メタンが70.8g得られた。これのペンタエリスリチルテトラブロミドに対する収率は、89.1%であった。
【0069】
得られたテトラキス−(7−ヒドロキシ−2,5−ジチアヘプチル)メタンの元素分析値およびNMR分析結果をそれぞれ表3および表4に示す。
【0070】
【表3】
Figure 0003794651
【0071】
【表4】
Figure 0003794651
【0072】
実施例4
撹拌機、温度計および冷却器を備えた1,000mlの4つ口フラスコを用意し、これに2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エタノールを71.8g(0.52モル)、ペンタエリスリチルテトラブロミドを50g(0.129モル)および触媒としてのテトラ−n−ブチルホスホニウムブロミドを1.7g(0.005モル)加えた。さらに、トルエンを325g添加し、10%の水酸化ナトリウム水溶液を104g(0.52モル)徐々に加えた。その後、70〜80℃に加熱して8時間撹拌した。
【0073】
次に、反応液を40℃まで冷却し、分液して2回水洗した後に有機層を減圧下で濃縮した。この濃縮液を35%塩酸214.8g(1.61モル)に溶解し、チオ尿素107.6g(1.38モル)を加えて100〜110℃で5時間撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、28%アンモニア水104.7g(1.73モル)を20〜40℃で加えてアルカリ性とし、100℃で2時間撹拌した。
【0074】
次に、反応液を室温まで冷却し、トルエン350mlを加えて抽出操作を行い有機層を分取した。この有機層を5%の塩酸100mlで洗浄後、水100mlを用いて2回洗浄し、硫酸マグネシウムを20g加えて乾燥した。さらに、有機層を減圧濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離したところ、上記式(1)で示されるテトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンが71.6g(0.105モル)得られた。これのペンタエリスリチルテトラブロミドに対する収率は、81.4%であった。
【0075】
得られたテトラキス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンの元素分析値およびNMR分析結果は、実施例1の場合と同様であった。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、硫黄原子の含有率が高く、しかも多官能性で臭気が少ない、上記式(1)で示される新規なメルカプト化合物が提供される。
【0077】
また、本発明に係るメルカプト化合物の製造方法によれば、硫黄原子の含有率が高く、しかも多官能性で臭気が少ない、上記式(1)で示される新規なメルカプト化合物を製造することができる。
【0078】
さらに、本発明によれば、本発明に係るメルカプト化合物を製造するための中間体として有用な、新規なテトラオール化合物が提供される。
【0079】
さらに、本発明に係るテトラオール化合物の製造方法によれば、本発明に係るメルカプト化合物を製造するための中間体として有用な、新規なテトラオール化合物を製造することができる。

Claims (10)

  1. 下記の式(1)で示されるメルカプト化合物。
    Figure 0003794651
  2. ビス−(2−メルカプトエチル)サルファイトとペンタエリスリチルテトラハライドとを塩基の存在下で反応させる工程を含む、
    下記の式(1)で示されるメルカプト化合物の製造方法。
    Figure 0003794651
  3. 前記ペンタエリスリチルテトラハライドがペンタエリスリチルテトラブロミドである、請求項2に記載のメルカプト化合物の製造方法。
  4. ビス−(2−メルカプトエチル)サルファイトと下記の一般式(2)で示されるペンタエリスリトールスルホン酸エステルとを塩基の存在下で反応させる工程を含む、
    下記の式(1)で示されるメルカプト化合物の製造方法。
    Figure 0003794651
    Figure 0003794651
    〔一般式(2)中、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基、フェニル基、クロロフェニル基、ニトロフェニル基またはトリル基である。〕
  5. 下記の式(3)で示されるメルカプト化合物とペンタエリスリチルテトラハライドとを塩基および触媒の存在下で反応させて下記の式(4)で示されるテトラオール化合物を得る工程と、
    前記テトラオール化合物を鉱酸の存在下でチオ尿素と反応させ、前記テトラオール化合物と前記チオ尿素との反応生成物を得る工程と、
    前記反応生成物を塩基を用いてアルカリ性にすることにより加水分解する工程と、
    を含む下記の式(1)で示されるメルカプト化合物の製造方法。
    Figure 0003794651
    Figure 0003794651
    Figure 0003794651
  6. 前記ペンタエリスリチルテトラハライドがペンタエリスリチルテトラブロミドである、請求項5に記載のメルカプト化合物の製造方法。
  7. 前記触媒が4級アンモニウム塩である、請求項5または6に記載のメルカプト化合物の製造方法。
  8. 前記触媒が4級ホスホニウム塩である、請求項5または6に記載のメルカプト化合物の製造方法。
  9. 下記の式(4)で示されるテトラオール化合物。
    Figure 0003794651
  10. 下記の式(3)で示されるメルカプト化合物とペンタエリスリチルテトラハライドとを塩基および触媒の存在下で反応させる工程を含む、
    下記の式(4)で示されるテトラオール化合物の製造方法。
    Figure 0003794651
    Figure 0003794651
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