JP3791303B2 - プロジェクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源から出射された光束を変調した後に投写レンズで拡大投写して投写画像を形成するプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
近年、プロジェクタを使用する環境が拡がりつつあり、社内会議や出張先でのプレゼンテーションなどで用いられる他、CAD/CAM/CAEのデータを取り込んで拡大投写することで、研究開発部門等での技術検討会に用いられたり、各種セミナーや研修会、さらには視聴覚教育を行う学校の授業でも用いられている。また、CTスキャンやMRIなどの医療画像やデータを投写し、治療法の検討、医療指導などに役立てたり、展示会や大勢が集まるイベントなどを効果的に演出するのにも用いられる。
【0003】
このように、あらるゆる環境でプロジェクタが用いられる現在では、プロジェクタに求められる仕様・機能も様々であり、携帯性を追求した軽量コンパクトモデル、画像品質を追求した高輝度モデルおよび高解像度モデル、各デジタル機器やモバイルツールとの接続を可能にした高機能モデルなどがある。
そして、使用される環境のさらなる拡大が予想されることから、新たな使用環境を想定したより高付加価値のプロジェクタの開発が盛んに行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのような中にあって、プロジェクタ内部を汚染から保護するための開発が行われている。とりわけ内部の各種光学系の部品は、良好な画像品質を確保するうえで塵や埃等からできるだけ保護する必要があり、従って、それらの部品を冷却する冷却用空気の防塵対策が重要となる。
また、冷却用のファンとして専ら使用される軸流ファンは、冷却の対象となる内部部品に近接させて配置する必要があるので、プロジェクタ内での配置位置が限定される場合が多い。このため、ファンを含めた内部部品のレイアウト設計の自由度が少なく、プロジェクタの小型化を阻害しているという問題もある。
また、従来のプロジェクタは、吸気口が外装ケースの底面部や上面部に設けられることが多い。したがって、プロジェクタの設置箇所上にある塵や埃を底面部から吸い込んだり、外装ケースの上面部にたまる塵、埃を吸い込んだりし易かった。さらに、軸流ファンを用いて底面部や上面部から吸気を行なうため、吸気に伴う空気抵抗が発生しやすかった。したがって、フット等によって本体と設置面との間に比較的広い隙間を確保することが必要となり、装置高さの低減、ひいてはプロジェクタの小型化を阻害してしまうという問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、防塵性能を確保できるとともに、コストを削減でき、かつ小型化を促進できるプロジェクタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1のプロジェクタは、光源から出射された光束を変調した後に投写レンズで拡大投写して投写画像を形成するプロジェクタであって、前記投写レンズの側方の外装ケース側面部には冷却空気を吸い込む吸気口が設けられ、投写レンズの下方には吸気用のシロッコファンが設けられ、このシロッコファンの吸込口は前記投写レンズと対向しており、前記シロッコファンの吐出口と前記光束を変調する光変調装置の下方との間には上方に開口した椀形状の吐出側ダクトが設けられており、前記吐出側ダクトには、前記シロッコファンから吐き出された冷却空気の流れの向きを鉛直方向に変える滑らかな曲面状に形成された方向変換部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の構成では、吸気口を外装ケースの側面部に設けるので、プロジェクタの設置箇所上の塵、埃を吸い込む可能性が低くなり、また、塵、埃が吸気口回りに付着し難くなり、吸気口にフィルターを取り付けなくとも防塵性能が確保される。また、フィルターを付けた場合でも、塵、埃が吸気口回りに付着し難いのでフィルターの交換をする回数を減らすことが可能となり、場合によっては交換をする必要をなくすことが可能となる。フィルターの交換をする必要がなくなれば、フィルターの交換構造は不要となる。
フィルターもしくは交換構造が不要になれば、部品点数が低減するうえ、吸気口回りの構造も簡略化され、コスト削減が図れる。
【0008】
また、吸気口を外装ケースの側面部に設け、シロッコファンの吸気口を投写レンズと対向させているため、吸気に伴う空気抵抗を低減することができ、装置の小型化を促進することが可能となる。さらに、余剰スペースになり易い投写レンズの下方のスペースにシロッコファンを設けるから、配置スペースの有効利用が図れるとともに、他の内部部品のレイアウト設計の自由度が増し、プロジェクタの小型化が促進される。また、上方に開口した椀形状で、滑らかな曲面状に形成された冷却空気の流れの向きを鉛直方向に変える方向変換部を備えた吐出側ダクトを設けることにより、冷却空気がシロッコファンの吐出口から光変調装置へ冷却空気の流れの方向が確実に変えられて、冷却空気が漏れなくスムーズに流れるようになり、ノイズ等の発生が抑えられる。
【0009】
本発明のプロジェクタでは、前記吸気口と前記シロッコファンの吸込口との間に吸込側ダクトが設けられていることが好ましい。吸込側ダクトを設けることにより、シロッコファンの吸込口へ冷却空気が効率よく流入し、内部部品の冷却効率が向上する。
【0011】
本発明のプロジェクタでは、前記吸気口と前記シロッコファンの吸込口との間に吸込側ダクトが設けられ、前記シロッコファンの吐出口と前記光束を変調する光変調装置の上方または下方との間に吐出側ダクトが設けられ、これらのダクトが一体に形成されていることが好ましい。このような構成によれば、冷却効率が向上するのに加え、一体のダクトを用いるので、その取扱性が向上し、プロジェクタ内への組付が容易になる。
【0014】
さらに、いずれかの前記ダクトには、前記投写レンズの周面と近接対向する凹部が設けられていることが好ましい。
投写レンズは一般に円柱状であるから、その周面に近接してシロッコファンを配置した場合でも、シロッコファンと投写レンズと間には隙間が生じる。このような隙間の形状に対応した凹部をダクトに設け、投写レンズに近接対向させれば、シロッコファンの吸込口近傍の空間がダクト内空間の一部として確実に確保され、冷却空気がシロッコファンの吸込口へ無理なく流入するようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
〔1.プロジェクタの主な構成〕
図1は、本実施形態に係るプロジェクタ1を上方から見た全体斜視図、図2は、プロジェクタ1を下方から見た全体斜視図、図3は、プロジェクタ1の内部を示す斜視図である。
図1ないし図3において、プロジェクタ1は、外装ケース2と、外装ケース2内に収容された電源ユニット3と、同じく外装ケース2内に配置された平面L字形の光学ユニット4とを備えている。
【0017】
外装ケース2は、図4に示すように、合成樹脂製のアッパーケース21と、アルミニウム等の金属製のロアーケース22と、同じくアルミニウム等の金属製のフロントケース23とで構成されている。これらのケース21、22、23は、互いにネジで固定されている。
【0018】
アッパーケース21は、上面部211および背面部212が一体成形された形状である。
上面部211の内部側には、アルミニウム板のパンチング加工による多孔状の第1電磁遮蔽部材213が取り外し可能に設けられている。アッパーケース21の背面部212の内部側にも、アルミニウム板からなる第2電磁遮蔽部材214が設けられている。第2電磁遮蔽部材214は、ロアーケース22側にネジ止めされている。
【0019】
ロアーケース22は、底面部221および対向し合う一対の側面部222が一体に形成された形状であり、プレスやマシニングセンタ等で加工された所定形状のアルミニウム板等を曲げ加工することで、底面部221および側面部222が互いに折曲して形成されている。
【0020】
底面部221の前方の両隅部分には、プロジェクタ1全体の傾きを調整して投写画像の位置合わせを行う高さ位置調整機構7が設けられている。これに対して底面部221の後方側中央部には、樹脂製のフット部材6(図2)が嵌合しているのみである。
【0021】
フロントケース23は、外装ケース2の前面部231を形成する部材であり、やはりプレスやマシニングセンタ等で加工された所定形状のアルミニウム板等の曲げ加工あるいは絞り加工によって形成されている。この フロントケース23には投写レンズ46に対応して丸孔開口232が設けられ、丸孔開口232の周辺は絞り加工によって内部側に湾曲している。
【0022】
このような外装ケース2には、内部に冷却空気を取り入れるための吸気口2A,2B,2C、および内部から冷却空気を排出するための排気口2D,2Eの他、操作パネル2Fや、スピーカの位置に対応した多数の孔2G等が設けられている。また、外装ケース2の背面側には、インターフェース用の種々のコネクタが露出しており。各コネクタがマウントされるドライバーボードや他のボードは、背面側の開口部分を塞ぐように固定されたアルミ板50に支持されるようになっている。このアルミ板50は、電磁遮蔽板としても機能する。
【0023】
電源ユニット3は、外装ケース2(図3)内の前面側に配置された主電源31と、主電源31の後方に配置されたバラスト32とで構成されている。主電源31は、電源ケーブルを通して供給された電力をバラスト32や図示しないドライバーボード(電子回路基板)等に供給するものであり、前記電源ケーブルが差し込まれるインレットコネクタ33(図2)、周囲を囲むアルミニウム製のフレーム34、図示しない電源回路等を備えている。
バラスト32は、電力を主に光学ユニット4の光源ランプ(後述)に供給するものであり、ランプ駆動回路を備えている。
【0024】
光学ユニット4は、図5に示すように、インテグレータ照明光学系41、色分離光学系42、リレー光学系43、電気光学装置44、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム45、および投写光学系としての投写レンズ46を備えている。
【0025】
〔2.光学系の詳細な構成〕
図5において、インテグレータ照明光学系41は、光源ランプ411およびリフレクタ412を含む光源装置413と、第1レンズアレイ414と、偏光変換素子415と、第2レンズアレイ416とを備えている。光源ランプ411から射出された光束は、リフレクタ412によって集光点に集光するように反射した後、集光点までの途中位置に配置された第1レンズアレイ414によって複数の部分光束に分割され、そして、偏光変換素子415によって1種類の偏光光に変換され、第2レンズアレイ416に入射する。なお、このような偏光変換素子415は、例えば特開平8−304739号公報に紹介されている。
偏光変換素子415によって1種類の偏光光に変換された各部分光束は、集光レンズ417に集光し、最終的に電気光学装置44を構成する3枚の光変調装置(ライトバルブ)としての液晶パネル441(色光毎に液晶パネル441R,441G,441Bと示す)上にほぼ重畳される。
【0026】
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421、422によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
【0027】
リレー光学系43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432、434を備え、色分離光学系42で分離された色光、例えば、青色光を液晶パネル441Bまで導く機能を有している。
【0028】
電気光学装置44は、3枚の光変調装置となる液晶パネル441R,441G,441Bを備え、これらは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、色分離光学系42で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル441R,441G,441Bによって、画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
【0029】
クロスダイクロイックプリズム45は、3枚の液晶パネル441R,441G,441Bから射出された各色光ごとに変調された画像を合成してカラー画像を形成するものである。なお、クロスダイクロイックプリズム45には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に形成され、これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成される。そして、クロスダイクロイックプリズム45で合成されたカラー画像は、投写レンズ46から射出され、スクリーン上に拡大投写される。
【0030】
以上説明した各光学系41〜45は、図6に示す合成樹脂製のライトガイド47に収容される。すなわち、このライトガイド47には、光源装置413を覆う光源保護部471の他、前述の各光学部品414〜416,421〜423,431〜434を上方からスライド式に嵌め込む溝部472〜481が設けられている。ここで、溝部473には、一体にユニット化された偏光変換素子415および第2レンズアレイ416が嵌め込まれる。そして、ライトガイド47には、図3に示すカバー48が取り付けられている。
【0031】
また、ライトガイド47の光出射側にはヘッド部49が形成されている。ヘッド部49の一端側に液晶パネル441R,441G,441Bが取り付けられたクロスダイクロイックプリズム45が固定され、他端側の半円筒状部分に沿ったフランジ上に投写レンズ46が固定されている。
【0032】
〔3.冷却構造〕
図1ないし図3において、プロジェクタ1内には、投写レンズ46脇および外装ケース2底面の吸気口2Aから吸引された冷却空気が排気口2Dから排気される第1冷却系統A、外装ケース2の側面に設けられた吸気口2Bから吸引された冷却空気が排気口2Eから排気される第2冷却系統B、外装ケース2の底面に設けられた吸気口2Cから吸引された冷却空気が排気口2Eから排気される第3冷却系統Cが形成されている。
【0033】
第1冷却系統Aでは、主電源31の投写レンズ46側に軸流吸気ファン51(図3中に一点鎖線で図示)が設けられ、バラスト32の光源装置413側に第1シロッコファン52が設けられている。
軸流吸気ファン51の駆動によって投写レンズ46脇および吸気口2Aから吸引された冷却空気は、主電源31を冷却した後に第1シロッコファン52に吸引される。また、この第1シロッコファン52の吸引作用により、吸気口2Aからの冷却空気の一部は、バラスト32を冷却しながらシロッコファン52側に流れ、吸引される。第1シロッコファン52から吐き出された冷却空気は、ライトガイド47に設けられた吸気用切欠部471A(図6)から光源保護部471内に入り込んで光源装置413を後方から冷却し、排気用切欠部471B(図6)から排気され、最終的に排気口2Dから外装ケース2外に排気される。
【0034】
第2冷却系統Bでは、図7、図8の断面図に示すように、投写レンズ46の下側に第2シロッコファン53が設けられている。この第2シロッコファン53は、吸気口2Bから電気光学装置44の下方まで冷却空気を導くダクト部材60(図6)の途中に配置されている。
吸気口2Bから吸引された吸気は、ダクト部材60に導かれて第2シロッコファン53に吸い込まれ、外装ケース2の底面に沿って吐き出された後、電気光学装置44を冷却する。この後に冷却空気は、光学ユニット4の上部に配置された図示しないドライバーボードを冷却しながら背面側の軸流排気ファン54に向かい、この排気ファン54で排気口2Eから排気される。
なお、この第2冷却系統Bの詳細については、後述する。
【0035】
第3冷却系統Cでは、図6中に一点鎖線で示すように、ライトガイド47の下面における外装ケース2底面の吸気口2C(図2、図4)に対応した位置に第3シロッコファン55が設けられている。吸気口2Cは、個々の孔を極力小径とすることで、プロジェクタ1の設置箇所上にある塵や埃を吸い込み難くしている。
吸気口2Cから第3シロッコファン55に吸い込まれた冷却空気は、外装ケース2の底面およびライトガイド47の下面間に形成されるダクト状部分を通って光源装置413側に吐き出された後、ライトガイド47の溝部473に対応して設けられた吸気用開口473A(図6)に導かれ、この溝部473に配置される前述したユニット(偏光変換素子415および第2レンズアレイ416からなるユニット)を下方から上方に向かって冷却する。この後に冷却空気は、カバー48の排気用開口48A(図3)から排気され、最終的に背面側の軸流排気ファン54で排気口2Eから排気される。
【0036】
〔4.第2冷却系統の詳細な構成〕
図7ないし図10において、投写レンズ46の下方に配置された第2シロッコファン53は、吸込口531が投写レンズ46の周面に対向する向きで、かつ吐出口532が投写レンズ46の後方に向くように配置され、上方からのネジでロアーケース22の底面部221に固定されている。
【0037】
ダクト部材60は、合成樹脂製とされ、図10に示すように、第2シロッコファン53を収容する収容部61と、収容部61からロアーケース22の吸気口2B側に延設された吸込側ダクト62と、収容部61から電気光学装置44側に延設された吐出側ダクト63とが一体となった平面略L字状に形成されている。
【0038】
収容部61の上面は、投写レンズ46の周面に沿った曲面からなる凹部611となっており、この凹部611を投写レンズ46に近接対向させることで、第2シロッコファン53の吸込口531上の空間が確実に確保されるようになっている。
吸込側ダクト62は、吸気口2B側に拡開したコ字形状の開口部分を有し、吸気口2Bから流入した冷却空気を第2シロッコファン53の吸込口531に導いている。
【0039】
吐出側ダクト63は、上方に開口した椀形状とされ、周方向に連続した上部側の鉛直面部631と、底部632と、鉛直面部631および底部632を連続させる滑らかな曲面部633とで形成され、この曲面部633が方向変換部になっている。すなわち、第2シロッコファン53の吐出口532から水平方向に吐き出された冷却空気は、曲面部633に沿って鉛直方向に流れるようになり、電気光学装置44の液晶パネル441R,441G,441Bを下方から上方に向けて冷却している。
【0040】
このとき、図7、図9に示すように、液晶パネル441G,441R,441Bとクロスダイクロイックプリズム45との間には隙間が形成されており、この隙間を通っても冷却空気が下方から上方に流れることで、液晶パネル441G,441R,441Bを両面側から冷却することが可能である。
【0041】
〔5.実施形態の効果〕
(1)本実施形態の第2冷却系統Bでは、吸気用のファンとして、吸込口531が投写レンズ46側と対向した第2シロッコファン53が用いられ、さらに、吸気口2Bがロアーケース22の側面部222に設けられているので、外装ケース2の底面部221や上面部211に吸気口を設ける必用がない。このため、プロジェクタ1の設置箇所上の塵、埃を吸い込む心配がなく、また、塵、埃を吸気口2B回りに付着し難くでき、吸気口2Bにフィルターを取り付けなくとも防塵性能を確保できる。また、フィルターを取り付けた場合でも、塵、埃が吸気口回りに付着し難いのでフィルターの交換をする回数を減らすことが可能となり、場合によっては交換不要とすることが可能となる。フィルターの交換をする必要がなくなれば、フィルターの交換構造は不要となる。
フィルターもしくは交換構造が不要になれば、、部品点数が低減するうえ、吸気口2B回りの構造も簡略化でき、コストを削減できる。
また、吸気口を外装ケースの側面部に設け、シロッコファンの吸気口を投写レンズと対向させているため、吸気に伴う空気抵抗を低減することができ、装置の小型化を促進することが可能となる。
【0042】
さらに、余剰スペースになり易い投写レンズ46の下方スペースを利用して第2シロッコファン53が設けられているから、配置スペースの有効利用を図ることができるとともに、他の内部部品のレイアウト設計の自由度を大きくでき、プロジェクタ1の小型化を促進できる。
【0043】
(2)ダクト部材60には、冷却空気を吸気口2Bから第2シロッコファン53の吸込口531に導く吸込側ダクト62が設けられているため、第2シロッコファン53の吸込口531へ冷却空気を効率よく流入させることができ、液晶パネル441R,441G,441Bの冷却効率を向上させることができる。
【0044】
(3)ダクト部材60には、冷却空気を第2シロッコファン53の吐出口532から液晶パネル441R,441G,441Bの下方に導く吐出側ダクト63も設けられているので、冷却空気を第2シロッコファン53の吐出口532から液晶パネル441R,441G,441Bへ漏れなく確実に送ることができ、冷却効率をさらに向上させることができる。
【0045】
(4)ダクト部材60では、吸込側ダクト62と吐出側ダクト63とが一体に形成されているから、それぞれのダクト62,63を個別に扱うよりも取扱性を良好にでき、ロアーケース22への組付を容易にできる。
【0046】
(5)ダクト部材60の吐出側ダクト63には、第2シロッコファン53から吐き出された冷却空気の流れの向きを鉛直方向に変える曲面部633が設けられているので、冷却空気の流れの方向を下方から上方に確実に変えることができ、液晶パネル441R,441G,441Bを一層良好に冷却できる。
【0047】
(6)滑らかな曲面部633で冷却空気の流れ方向が変えられるため、冷却空気をスムーズに流すことができ、ダクト部材60内での乱流やノイズ等の発生を抑制できる。
【0048】
(7)ダクト部材60の収容部61の上面部分は、投写レンズ46の周面と近接対向した曲面からなる凹部611になっているので、第2シロッコファン53の吸込口531上の空間をダクト部材60の内部空間として最大限に利用でき、冷却空気を吸込口531に無理なく送り込むことができる。
【0049】
(8)第1〜第3冷却系統A〜Cでは、冷却空気を吸引するのにシロッコファン52,53,55が用いられているので、これらの代わりに軸流ファンを用いるのに比べると、ファンの回転による騒音を格段に小さくできる。
【0050】
〔6.変形例〕
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0051】
例えば、前記実施形態の第2冷却系統Bでは、ダクト部材60の収容部61上面は投写レンズ46の周面形状に応じた曲面からなる凹部611になっていたが、このような上面部分を単なる平坦面で形成してもよい。
【0052】
また、ダクト部材60の吐出側ダクト63では、曲面部633によって方向変換部が形成されていたが、例えば、鉛直面部631のみを設け、これを方向変換部としてもよい。ただし、方向変換部を曲面部633のように形成することで、冷却空気の流れがスムーズになるという効果がある。
【0053】
なお、方向変換部の形状はこれらに限定されるものではなく、冷却空気の流れを分割案内板等を用いて幾つかに分割し、よって冷却空気を任意の方向に案内して流す場合などには、このような分割案内板で方向変換部を形成してもよい。
【0054】
ダクト部材60には、吸込側ダクト62と吐出側ダクト63とが一体に形成されていたが、これらの、吸込側ダクトと吐出側ダクトとをそれぞれ別体の部材で構成してもよい。そして、このような場合には、例えば、吸込側の部材をシロッコファンの吸込口近傍まで設けることにより、前記実施形態での収容部61に相当する部材を省いてもよい。
【0055】
なお、本発明では、ダクトは必須の構成ではなく、吸込側や吐出側のダクトを用いない場合でも、本発明に含まれる。
【0056】
第2シロッコファン53は投写レンズ46の下方に配置されていたが、本発明に係るシロッコファンとしては、投写レンズの上方に配置し、その吸込口を下方に向けて投写レンズと対向させてもよい。
【0057】
前記実施形態の第3冷却系統Cでは、吸気口2Cから冷却空気を吸引する第3シロッコファン55が用いられていたが、例えば、第2冷却系統Bでの冷却空気の一部をロアーケース22とライトガイド47との間を流通させて光源装置413の前面側に送り込んでもよい。こうすることで、底面部221に設けられた吸気口2Cを不要にできるので、塵や埃等の吸い込みをより確実に無くすことができる。
【0058】
前記実施形態において、外装ケース2の側面に設けられた吸気口2Bにフィルターを設けてもよい。このようなフィルターを設けることによって、より防塵機能を向上させることが可能となる。さらに、このフィルターを取り外すための交換構造を設けるようにしても良い。
【0059】
前記実施形態では、3つの光変調装置を用いたプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、1つの光変調装置のみを用いたプロジェクタ、2つの光変調装置を用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の光変調装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。また、前記実施形態では、光変調装置として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いても良い。さらに、前記実施形態では、光入射面と光出射面とが異なる透過型の光変調装置を用いていたが、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の光変調装置を用いても良い。さらにまた、前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投写を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投写を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、吸気用のファンとして、吸込口を投写レンズの周面と対向させたシロッコファンが用いられ、また、外部から冷却空気を吸入するための吸気口が外装ケースの側面部に設けられているので、外装ケースの底面部や上面部に吸気口を設ける必要がない。このため、プロジェクタの設置箇所上の塵、埃を吸い込む心配がなく、また、塵、埃を吸気口回りに付着し難くでき、フィルターを取り付けなくとも防塵性能を確保できる。また、フィルターを取り付けた場合でも、塵、埃が吸気口回りに付着し難いのでフィルターの交換回数を減らすことが可能となり、場合によっては交換不要とすることが可能となる。フィルターの交換をする必要がなくなれば、フィルターの交換構造は不要となる。
フィルターもしくは交換構造が不要になれば、部品点数が低減するうえ、吸気口回りの構造も簡略化でき、コストを削減できる。また、吸気口を外装ケースの側面部に設け、シロッコファンの吸気口を投写レンズと対向させているため、吸気に伴う空気抵抗を低減することができ、装置の小型化を促進することが可能となる。さらに、余剰スペースになり易い投写レンズの上方または下方のスペースにシロッコファンが設けられているので、配置スペースの有効利用を図ることができるとともに、他の内部部品のレイアウト設計の自由度を大きくでき、プロジェクタの小型化を促進できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一本実施形態に係るプロジェクタを上方から見た全体斜視図である。
【図2】プロジェクタを下方から見た全体斜視図である。
【図3】プロジェクタの内部を示す斜視図である。
【図4】前記実施形態の外装ケースの分解斜視図である。
【図5】プロジェクタの各光学系を模式的に示す平面図である。
【図6】プロジェクタの光学ユニットの構成部材を示す斜視図である。
【図7】図1の矢印VII−VIIから見た縦断面図である。
【図8】図1の矢印VIII−VIIIから見た縦断面図である。
【図9】前記実施形態の一冷却系統を示す斜視図である。
【図10】前記冷却系統でのシロッコファンとダクト部材とを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 プロジェクタ
2 外装ケース
2B 吸気口
46 投写レンズ
53 第2シロッコファン
60 ダクト部材
62 吸込側ダクト
63 吐出側ダクト
222 側面部
441,441R,441G,441B 光変調装置である液晶パネル
531 吸込口
532 吐出口
611 凹部
633 方向変換部である曲面部
Claims (4)
- 光源から出射された光束を変調した後に投写レンズで拡大投写して投写画像を形成するプロジェクタであって、前記投写レンズの側方の外装ケース側面部には冷却空気を吸い込む吸気口が設けられ、前記投写レンズの下方には吸気用のシロッコファンが設けられ、このシロッコファンの吸込口は前記投写レンズと対向しており、
前記シロッコファンの吐出口と前記光束を変調する光変調装置の下方との間には上方に開口した椀形状の吐出側ダクトが設けられており、前記吐出側ダクトには、前記シロッコファンから吐き出された冷却空気の流れの向きを鉛直方向に変える滑らかな曲面状に形成された方向変換部が設けられていることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1に記載のプロジェクタにおいて、前記吸気口と前記シロッコファンの吸込口との間には吸込側ダクトが設けられていることを特徴とするプロジェクタ。
- 請求項2に記載のプロジェクタにおいて、前記吸込側ダクトと、前記吐出側ダクトが一体に形成されていることを特徴とするプロジェクタ。
- 請求項2ないし請求項3のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、いずれかの前記ダクトには、前記投写レンズの周面と近接対向する凹部が設けられていることを特徴とするプロジェクタ。
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