JP3791087B2 - 演奏データ編集装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、演奏データの編集を行う演奏データ編集装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近は、音源を備えたパーソナルコンピュータや演奏データを取り扱うソフトウエアが各種提供されており、誰もが簡単にコンピュータミュージックを楽しむことができるようになっている。すなわち、この種のコンピュータミュージックに対応したパーソナルコンピュータによれば、使用者はキーボード等を操作して1ステップずつ演奏データを入力し、音楽的にまとまった一連の演奏データを編集することができる。従って、楽器演奏に不慣れな者あるいは楽器演奏をすることが全くできない者であっても、作曲、編曲等の音楽的創作行為を楽しむことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コンピュータのキーボード等を操作して演奏データを作成する行為は、演奏を目的とした行為ではあるが、意思や感情を直接的に表出する楽器演奏という行為からは余りにも掛け離れている。このような意思や感情の表出とは縁遠い操作により、実際の楽器演奏のような表現力豊かな自動演奏を行うのにはどうしても無理があると考えられる。このためか、コンピュータを使用して編集された演奏データを用いて電子楽器の自動演奏を行った場合と実際の演奏者が電子楽器の演奏を行った場合とを比較すると、前者の演奏は後者のものに比べて平坦で無表情な印象を与えてしまう。楽譜を見ながら演奏データを作成した場合はなおさらであり、全く個性のない自動演奏になってしまう。
【0004】
この発明は以上の背景のもとでなされたものであり、平坦で無表情な印象を与えがちな自動演奏を幾分でも表情を持った自動演奏とすることができる演奏データ編集装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数パートからなる楽曲を表す演奏データであって、楽曲を構成する個々の楽音を発音するときの音量を表す音量データを含む演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、前記複数パートのうち編集対象パートとするパートを指定するパート指定手段と、前記パート指定手段により編集対象パートとされたパート毎に、該パートに属する楽音の音量データの上限値と下限値とを設定する設定手段と、前記演奏データ記憶手段に記憶された演奏データを分析し、前記パート指定手段により編集対象パートとされたパート毎に、該パートに属する楽音の音量データの最大値と最小値とを求める分析手段と、前記編集対象パートとされたパート毎に、前記分析手段により求められた各音量データの大小関係を維持しつつ、該パートに属する各楽音の音量データの分布範囲が前記設定手段により設定された上限値と下限値との範囲内に収るように、該パートに属する各楽音の音量データを所定の演算を行って更新する音量データ更新手段とを具備することを特徴とする演奏データ編集装置を要旨とする。
【0006】
かかる発明によれば、演奏データに基づいて自動演奏が行われる際の特定パートの音量の変化の範囲を調整することができる。従って、自動演奏を聴いた後、その全体的印象に基づいて特定のパートを際立たせる、といった操作を簡単に行うことができ、演奏データに基づく自動演奏に表情を付けることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に理解しやすくするため、実施の形態について説明する。
かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲で任意に変更可能である。
【0008】
A.構成
図1はこの発明の一実施形態である演奏データ編集装置の外観を示す図である。本実施形態は、音源を内蔵した一般的なパーソナルコンピュータに対し、演奏データの編集のためのソフトウエアをインストールして構成したものである。図1を参照し、各構成要素について説明すると、1はコンピュータ本体、2はCRTディスプレイ、3はキーボード、4はマウス、5Lおよび5Rはスピーカである。6は複数の発音チャネルにより同時に複数の音を発音し得る複音式の音源ボードであり、コンピュータ本体1内に収容される。また、図1に示す例では、コンピュータ本体1に対し、MIDIケーブル7を介して鍵盤電子楽器8が接続されている。
【0009】
コンピュータ本体1の内部の電気的構成を図2に示す。図2において、11はこの演奏データ編集装置の各部の制御を行うCPUである。12は表示部であり、CPU11による制御の下、CRTディスプレイ2等の表示手段の表示制御を行う。13は操作部であり、CPU11はこの操作部13を介してキーボード3,マウス4等の操作手段に対してなされる操作を検知する。14はCPU11のワークエリアとして設けられたRAMであり、CPU11が各種制御を行う上で必要な制御用のレジスタが設定される。図3はこれらの制御用レジスタのうち主要なものを図示したものである。また、RAM14には、自動演奏あるいは演奏データの編集の際に演奏データの記憶手段として使用される。15はROMであり、図4に示すように、演奏データの編集を行うための編集プログラムの他、CPU11によって実行される各種制御プログラムを記憶している。
【0010】
16はハードディスク装置であり、演奏データの他、種々の情報を記憶するために設けられた大容量の記憶手段である。17はMIDIインタフェースであり、CPU11はこのMIDIインタフェース17を介して外部の電子楽器等との間でMIDIデータの授受を行う。図1におけるMIDIケーブル7はこのMIDIインタフェース17に接続されている。また、図1に示した音源ボード6、スピーカ5Lおよび5Rからなる楽音発生手段もCPU11の制御下に置かれている。
【0011】
この演奏データ編集装置の動作モードとして次の4種類のものがある。いずれの動作モードも、CPU11がROM15内に記憶された各モードに対応した制御プログラムを実行することにより提供されるものである。
【0012】
▲1▼記憶モード
記憶モードが設定された場合、CPU11はROM15内の記憶プログラムを実行する。この記憶モードにおいては、後述するMIDIデータ作成モードにおいてステップ入力により逐次入力される演奏データあるいは外部の電子楽器等からMIDIインタフェース17経由で入力される演奏データがRAM14に格納される。
【0013】
▲2▼再生モード
再生モードが設定された場合、CPU11はROM15内の再生プログラムを実行する。この再生モードにおいては、CPU11による制御の下、RAM14内に格納された演奏データに従って音源ボード6に各種制御情報が送られ、演奏データに基づく自動演奏が行われる。
【0014】
▲3▼編集モード
編集モードが設定された場合、CPU11はROM15内の編集プログラムを実行する。この編集モードにおいては、演奏データの変更・削除・追加を行うことが可能である他、以下の特徴的な編集処理を実行することが可能である。いずれも使用者が特定のMIDIチャネルを指定することにより、全演奏データのうち当該特定MIDIチャネルに対応したもののみがその編集処理の処理対象となる。
【0015】
(a)ベロシティエキスパンダ編集処理
演奏データの構成要素の1つとして発音の際の音量を決定するベロシティデータ(音量データ)がある。このベロシティエキスパンダ編集処理は、特定のMIDIチャネルに対応したベロシティデータを処理対象とし、処理対象たるベロシティデータ全体が所定の範囲内に収るように各ベロシティデータの分布範囲を拡大するものである。すなわち、このベロシティエキスパンダ編集処理は、自動演奏時における特定パートの音量の変化の起伏を大きくし、その特定パートを際立たせる効果を奏するものである。
【0016】
(b)発音重複化編集処理
音源ボード6の複数の発音チャネルにより同じ楽音を重複して形成すると、1つの発音チャネルを使用した場合に比べて芯のある太い楽音が得られる。発音重複化編集処理は、特定のパートについてこの効果を得るために行われる処理である。すなわち、この発音重複化編集処理は、特定のMIDIチャネルに対応したキーオンイベントを処理対象とするものであり、既にあるキーオンイベントに対し、これと重複するキーオンイベントを付加するものである。ここで、この重複するキーオンイベントの付加を全く無条件に行った場合には発音チャネルが不足するおそれがある。そこで、本実施形態においては、既存のキーオンイベントの発生状況を時系列的に把握し、各時点において発音チャネルの不足が生じないという条件を満たす限りにおいて、重複したキーオンイベントの付加を行う。
【0017】
(c)タイミングチューナ編集処理
タイミングチューナ編集処理は、実際の楽器演奏を記録した実演奏データあるいはキーボード3の操作によって作成される実演奏データに基づき、特定のMIDIチャネルに対応したキーオンイベントの再生タイミングを調整する編集処理である。
【0018】
▲4▼MIDIデータ作成モード
キーボード3,マウス4等の操作手段を操作して1ステップずつ演奏データを順次作成してゆく動作モードである。
【0019】
次に図3を参照し、RAM14内に設定された制御用レジスタのうち主要なものについて説明する。
【0020】
(a)モードレジスタ
使用者は、キーボード3またはマウス4を操作することにより、記憶モード、再生モード、編集モードおよびMIDIデータ作成モードのうち所望のものを指定することができる。各動作モードにはモード指定情報「0」〜「3」が各々割り当てられており、これらのモード指定情報のうち使用者により指定された動作モードに対応したものがこのモードレジスタに設定される。
【0021】
(b)エキスパンダレジスタEXP,MIN,MAX
このエキスパンダレジスタは、上述したベロシティエキスパンダ編集処理を制御するための情報を記憶する手段であり、3種類のレジスタEXP、MAXおよびMINによって構成されている。レジスタEXP(CH)(CH=0〜15)は、ベロシティエキスパンダ編集処理を適用するか否かを示す情報を各MIDIチャネル毎に記憶するレジスタであり、チャネル番号CHのMIDIチャネルに対しベロシティエキスパンダ編集処理を適用する場合にはEXP(CH)=“1”とされ、適用しない場合にはEXP(CH)=“0”とされる。レジスタMAX(CH)(CH=0〜15)およびMIN(CH)(CH=0〜15)は、ベロシティエキスパンダ編集処理実行後のベロシティデータの分布範囲の上限値および下限値を各MIDIチャネル毎に各々記憶するレジスタである。各MIDIチャネルに対応したベロシティデータの上限値および下限値は使用者がキーボード3等の操作手段を介して設定することができるが、この使用者による設定がない場合はデフォルト値が設定される。
【0022】
(c)ダブラレジスタDBL
ダブラレジスタDBL(CH)(CH=0〜15)は、上述した発音重複化編集処理を適用するか否かを示す情報を各MIDIチャネル毎に記憶するレジスタであり、チャネル番号CHのMIDIチャネルに対し発音重複化編集処理を適用する場合にはDBL(CH)=“1”とされ、適用しない場合にはDBL(CH)=“0”とされる。
【0023】
(d)チューナレジスタTUN
チューナレジスタTUN(CH)(CH=0〜15)は、上述したタイミングチューナ編集処理を適用するか否かを示す情報を各MIDIチャネル毎に記憶するレジスタであり、チャネル番号CHのMIDIチャネルに対しタイミングチューナ編集処理を適用する場合にはTUN(CH)=“1”とされ、適用しない場合にはTUN(CH)=“0”とされる。
【0024】
B.動作
以下、本実施形態の動作を説明する。
(1)全般的動作
キーボード3,マウス4等の操作手段の操作がなされると、操作部13からCPU11に対して割込み要求がなされる。この結果、CPU11は、ROM15内に記憶された操作検出プログラム(図4)を割込み処理として実行する。
【0025】
この操作検出プログラムのフローは図5に示す通りである。まず、ステップS101に進み、CPU11は、操作部13を介して操作の内容を検知し、その操作がモード設定を要求する操作か否かを判断する。この判断結果が「YES」の場合はステップS106に進み、記憶モード、再生モード、編集モードおよびMIDIデータ作成モードのモード指定情報(「0」〜「3」)のうち、操作によって要求された動作モードに対応した情報をモードレジスタに設定し、この操作検出プログラムを終了する。
【0026】
ステップS101の判断結果が「NO」の場合はステップS102に進み、操作部3を介して検知した操作がベロシティエキスパンダ編集処理を指示する操作か否かを判断する。この判断結果が「YES」の場合は、ステップS107に進み、ベロシティエキスパンダ編集処理の実行に必要な制御情報の設定を行う。すなわち、上記ベロシティエキスパンダ編集処理を指示する操作においては、その処理対象となるMIDIチャネルの番号、ベロシティエキスパンダ編集処理後のベロシティデータの分布範囲の上限値および下限値の指定が入力されるので、そのMIDIチャネルの番号CHに対応したレジスタEXP(CH)に“1”を設定し、レジスタMAX(CH)およびMIN(CH)に上限値および下限値を設定する。なお、使用者は上限値および下限値の指定を省略することができるが、その場合にはレジスタMAX(CH)およびMIN(CH)に対し所定のデフォルト値(例えば「120」および「10」)を設定する。各レジスタへのデータ設定を終えると、操作検出プログラムを終了する。
【0027】
ステップS102の判断結果が「NO」の場合はステップS103に進み、操作部3を介して検知した操作が発音重複化編集処理を指示する操作か否かを判断する。この判断結果が「YES」の場合はステップS108に進み、使用者が発音重複化編集処理の処理対象として指定するMIDIチャネルの番号を操作部13を介して検知し、そのMIDIチャネルの番号CHに対応したダブラレジスタDBL(CH)に“1”を設定し、操作検出プログラムを終了する。
【0028】
ステップS103の判断結果が「NO」の場合はステップS104に進み、操作部3を介して検知した操作がタイミングチューナ編集処理を指示する操作か否かを判断する。この判断結果が「YES」の場合はステップS109に進み、使用者がタイミングチューナ編集処理の処理対象として指定するMIDIチャネルの番号を操作部13を介して検知し、そのMIDIチャネルの番号CHに対応したチューナレジスタTUN(CH)に“1”を設定し、操作検出プログラムを終了する。
【0029】
そして、ステップS104の判断結果が「NO」の場合は、以上説明したステップS102〜S104において判断した指示内容とは別の種類の指示内容に対応した操作検出処理(ステップS105)を実行し、操作検出プログラムを終了する。
【0030】
編集モードが設定されると、CPU11はROM15内の編集プログラムを実行する。この編集プログラムは、図6に示すようにベロシティエキスパンダ編集処理、発音重複化編集処理およびタイミングチューナ編集処理に各々対応した3種類の編集用サブプログラムによって構成される。
【0031】
各編集用サブプログラムは、いずれも図7に示すようにアナライザとチェンジャによって構成されている。これらのうちチェンジャは、各編集用サブプログラムの本来の目的である演奏データの編集処理を行うためのプログラムである。そして、アナライザは、処理対象となる演奏データの分析を行い、チェンジャの実行に必要な情報を演奏データから抽出するプログラムであり、チェンジャの実行に先立って実行される。
【0032】
アナライザおよびチェンジャの具体的な処理内容は各編集用サブプログラムにより異なるが、いずれの編集用サブプログラムのアナライザも基本的には図8に示すフローに従って演奏データの分析および編集処理に必要な情報の抽出を行うものである。すなわち、MIDIチャネルの番号CHを「0」〜「15」まで変化させ(ステップS201,S205,S206)、各チャネル番号CHに対応した各MIDIチャネルが編集処理の対象であるか否か、すなわち、例えば当該アナライザがベロシティエキスパンダ編集処理のためのアナライザである場合にはレジスタEXP(CH)の内容が“1”か否かを判断する(ステップS202)。そして、この判断結果が「YES」となったチャネル番号CHについては、そのチャネル番号CHのMIDIチャネルに対応した演奏データをRAM14内のワークエリアに取り込み(ステップS203)、この取り込んだ演奏データを分析して後続のチェンジャが必要とする情報を抽出する(ステップS204)。このようにしてアナライザに対応した各処理が終了すると、これにより得られた情報に従ってチェンジャに対応した各処理が実行され、ベロシティエキスパンダ編集処理、発音重複化編集処理あるいはタイミングチューナ編集処理が完了するのである。
【0033】
以下、ベロシティエキスパンダ編集処理、発音重複化編集処理、タイミングチューナ編集処理の順に各々の具体的な処理内容を詳述する。
【0034】
(2)ベロシティエキスパンダ編集処理
図9は、処理対象として指定されたMIDIチャネルのうち1つのMIDIチャネル(チャネル番号CH)に対応したベロシティデータを演奏の進行順に並べてグラフ化したものであり、実線の曲線Pはベロシティエキスパンダ編集処理がなされる前のベロシティデータの変化を、破線の曲線Qはベロシティエキスパンダ編集処理後のベロシティデータの変化を表したものである。この図に例示するように、ベロシティエキスパンダ編集処理においては、ベロシティデータ全体がレジスタMAX(CH)に設定された上限値とレジスタMIN(CH)に設定された下限値によって限られた範囲内に収るように各ベロシティデータの分布範囲を拡大する。
【0035】
ベロシティエキスパンダ編集処理用のアナライザにおいては、処理対象として指定されている各MIDIチャネル(すなわち、EXP(CH)=“1”となっているMIDIチャネル)について、ベロシティデータの最大値maxおよび最小値min(図9参照)を求める分析処理を行う。
【0036】
分析処理の直接の対象はベロシティデータであるが、このベロシティデータは演奏データの一部をなすキーオンイベントに含まれている。このキーオンイベントのデータフォーマットを図10に示す。同図に示すように、キーオンイベントは3バイトの情報によって構成されている。まず、第1バイトはキーオンステータスを表示するものであり、上位4ビットがキーオンイベントの識別コード「9」を表し、下位4ビットは当該キーオンイベントのMIDIチャネルの番号CHを表している。次に第2バイトは、当該キーオンイベントにより発音する楽音のノートナンバを表している。そして、キーオンイベントの第3バイトがこの分析処理の直接の処理対象であるベロシティデータとなっている。そこで、ベロシティデータの最大値maxおよび最小値minを求めるに当たっては、演奏データのうちキーオンイベントに対応したもののみに着目し、その第3バイト目のベロシティデータの大小判定を行うという手順を踏む。図11はこの手順に従って実行される分析処理のフローを示している。なお、この分析処理は、図8に示すステップS204に相当するものである。以下、図11に示すフローチャートを参照し、分析処理について詳述する。
【0037】
まず、最大値maxおよび最小値minの初期設定を行う(ステップS301)。次いで処理対象となっているMIDIチャネルに対応した演奏データの中から先頭のイベントを取り込む(ステップS302)。次に、この取り込んだイベントの第1バイトの上位4ビットの値が「9」か否か、すなわち、当該イベントがキーオンイベントか否かを判断する(ステップS303)。この判断結果が「YES」である場合にはステップS304に進み、「NO」の場合はステップS308に進む。
【0038】
次にステップS304に進むと、今回取り込んだキーオンイベントの第3バイト目にあるベロシティデータVelを参照し、このベロシティデータVelが現在の最大値max以上か否かを判断する。そして、この判断結果が「YES」である場合には、そのベロシティデータVelによって最大値maxを更新し(ステップS305)、ステップS308へ進む。一方、ステップS304の判断結果が「NO」の場合には、今回取り込んだキーオンイベントのベロシティデータVelが現在の最小値min以下か否かを判断する(ステップS306)。そして、この判断結果が「YES」の場合はそのベロシティデータVelによって最小値minを更新し(ステップS307)、その後、ステップS308へ進み、「NO」の場合はステップS307を実行することなくステップS308に進む。
【0039】
次にステップS308に進むと、処理対象となっているMIDIチャネルに対応した全てのイベントについて以上説明した処理を実行したか否か、すなわち、分析を終了してよいか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合は、今回取り込んだイベントの次のイベントを取り込み(ステップS309)、この取り込んだイベントについてステップS303〜S308からなる処理を実行する。以下、同様にして処理対象たるMIDIチャネルに対応した全てのイベントについてステップS303〜S308からなる処理が実行される。そして、ステップS308の判断結果が「YES」になると、その時点における最大値maxおよび最小値minをRAM14内の所定のエリアに格納し(ステップS310)、当該MIDIチャネルに対応した処理を終了する。
【0040】
チェンジャとしての処理は、図12に示すフローに従って実行される。まず、MIDIチャネルのチャネル番号CHを「0」に初期設定する(ステップS401)。次いでレジスタEXP(CH)の内容が“1”か否か、すなわち、現在のチャネル番号CHに対応したMIDIチャネルがベロシティエキスパンダ編集処理の処理対象となっているか否かを判断する(ステップS402)。そして、この判断結果が「NO」である場合はチャネル番号CHを1だけ増加させた後(ステップS403)、チャネル番号CHが「15」を超えているか否かを判定し(ステップS407)、超えていなければステップS402の判断を再び行う。
【0041】
一方、レジスタEXP(CH)の内容が“1”となっている場合には、そのチャネル番号CHに対応したMIDIチャネルのベロシティデータVelをRAM14から1個ずつ順次読み出す(ステップS404)。そして、このベロシティデータVelを以下の式(1)に従って更新し、更新後のベロシティデータVelをRAM14内の元の位置に戻す(ステップS405)。
Vel=〔{MAX(CH)−MIN(CH)}・
(Vel−min)/(max−min)〕+MIN(CH)
……(1)
【0042】
ただし、この式(1)において、maxおよびminは、チャネル番号CHに対応したMIDIチャネルにおけるベロシティデータの最大値および最小値であり、既に図11を参照して説明した処理により求められ、RAM14内に格納されていた情報である。
【0043】
次に、チャネル番号CHのMIDIチャネルに対応した全てのベロシティデータを読み終えたか否かを判断する(ステップS406)。そして、この判断結果が「NO」の場合はステップS404に戻り、後続のベロシティデータについて同様の処理を行う。そして、ステップS406の判断結果が「YES」となった場合には、チャネル番号CHを増加させた後(ステップS403)、ステップS407に進んでチャネル番号CHが「15」を超えているか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合はステップS402に進み、ステップS402において他に処理対象となっているMIDIチャネルが見つかった場合には、そのMIDIチャネルについて上述の処理を行う。そして、すべてのMIDIチャネルについての処理が終了すると、ステップS407の判断結果が「YES」となり、チェンジャとしての処理が終了する。
【0044】
以上の処理により、処理対象となったMIDIチャネルに対応した全ベロシティデータは、レジスタMAX(CH)およびMIN(CH)に設定された上限値および下限値によって限られた範囲内に分布範囲が拡大される。図13は、このベロシティデータの分布範囲の拡大の様子を図示したものである。この図に示すように、最大値maxから最小値minまでの範囲に分布していた各ベロシティデータは、前掲式(1)の適用により、各々相互の大小関係をそのまま維持した状態で、上限値MAX(CH)および下限値MIN(CH)によって挟まれた広い範囲内にその分布範囲が拡大されるのである。
【0045】
このように本実施形態によれば、指定したMIDIチャネルについてベロシティデータの分布範囲を任意に広げることができるので、自動演奏時における特定パートの音量の変化の起伏を任意に大きくし、演奏に表情を持たせることができる。
【0046】
(3)発音重複化編集処理
発音重複化編集処理においては、処理対象となっている各MIDIチャネル(DBL(CH)=“1”となっているMIDIチャネル)について、当該MIDIチャネルに対応した既存のキーオンイベントに対し、これと重複するキーオンイベントを付加する処理を行う。この重複するキーオンイベントの付加を全く無条件に行った場合には発音チャネルが不足するおそれがある。そこで、既存のキーオンイベントの発生状況を時系列的に把握する分析処理を行った後、各時点において発音チャネルの不足が生じないという条件を満たす限りにおいて、重複したキーオンイベントを付加する処理を行う。前者の分析処理はアナライザの実行により行われ、後者の処理はチェンジャの実行により行われる。
【0047】
アナライザの分析処理(図8のステップS204に相当する処理)においては、処理対象たるMIDIチャネルに対応した各キーオンイベントについて、各々と同一のキーオンイベントを付加した場合に発音チャネルが不足しないか否かを判定する。この処理の概要を図14を参照して説明する。図14(a)(b)において、KON1,KON2,…等は各々キーオンイベントを表しており、KOFF1,KOFF2,…等はこれらのキーオンイベントによって開始された発音動作を終了させるキーオフイベントを表している。これらの各キーオンイベントおよび各キーオフイベントは、RAM14内に記憶された演奏データの中から抽出されたものであり、図面横方向を時間の進行方向とし、各々の再生順序に従って時系列的に並べられている。
【0048】
ここで、図14(a)および(b)に示す各状況について、発音チャネル不足の有無を如何にして判定するか、その例を説明する。なお、以下では音源ボードが4個の発音チャネルを有していることを前提とする。また、図示されたキーオンイベントおよびキーオフイベントは、すべて発音重複化編集処理の処理対象となっているMIDIチャネルに対応したものであるとする。
【0049】
まず、図14(a)に示す状況においては、各キーオンイベントKON1〜KON3によって開始される各発音期間は時間軸上において重複しない。従って、各キーオンイベントKON1〜KON3はいずれも各々に重複したキーオンイベントを付加することが可能である。
【0050】
次に、図14(b)に示す状況について検討する。この場合、各キーオンイベントKON1〜KON5によって開始される各発音期間の中には時間軸上において相互に重複するものがある。そこで、各キーオンイベントについて重複したキーオンイベントを付加可能か否かを検討する。
【0051】
まず、キーオンイベントKON1について検討すると、このキーオンイベントの発生タイミングにおいては他のキーオンイベントによる発音は行われていない。また、キーオンイベントKON1による発音がキーオフイベントKOFF1によって終了するまでの間にキーオンイベントKON2およびKON3が生じるが、これらのキーオンイベントに対応した発音を行ったとしても、依然として発音チャネルが1個余る。従って、キーオンイベントKON1による発音が行われる期間、さらに1個の発音チャネルを使用して発音を行ったとしても、発音チャネル不足は生じない。よって、キーオンイベントKON1については、これと同じキーオンイベントを付加し、同一音について発音チャネルを2個使用した重複発音を行ってもよいという判定結果となる。
【0052】
次に、キーオンイベントKON2について検討する。上記判定の結果に従うとすると、キーオンイベントKON1に関しては発音チャネルを2個使用して重複した発音が行われるため、キーオンイベントKON2に対応した発音を行う際には発音チャネルを3個使用することとなる。そして、キーオンイベントKON2による発音がキーオフイベントKOFF2によって終了するまでの間に、キーオンイベントKON3に対応した発音が開始される。ここで、キーオンイベントKON3に対応した発音開始時点においては、依然としてキーオンイベントKON1に対応した発音が行われているので、この時点において発音チャネルを4個使用することとなる。従って、仮にキーオンイベントKON2について発音チャネルを2個使用した発音を行ってしまうと、キーオンイベントKON3に対応した発音を開始する時点において発音チャネルが不足してしまう。よって、キーオンイベントKON2については、発音チャネルを2個使用した重複発音は許可できないという判定結果となる。
【0053】
次に、キーオンイベントKON3について検討する。上記各判定の結果に従うとすると、キーオンイベントKON1に関しては発音チャネルを2個使用して重複した発音が行われ、キーオンイベントKON2に関しては発音チャネルを1個使用した発音が行われるため、キーオンイベントKON3に対応した発音を行う際には発音チャネルを4個使用することとなる。従って、キーオンイベントKON3に関しては、発音チャネルを2個した重複発音をすることができないのは明らかである。
【0054】
次に、キーオンイベントKON4について検討する。このキーオンイベントKON4に対応した発音を開始する時点においては、キーオンイベントKON1に対応した発音が既に終了している。従って、この時点においては、キーオンイベントKON2、KON3およびKON4に対応した発音を行うために3個の発音チャネルを使用することとなり、発音チャネルが1個余る。また、キーオンイベントKON4による発音がキーオフイベントKOFF4によって終了するまでの間、他のキーオンイベントに対応した発音は開始されない。よって、キーオンイベントKON4については、発音チャネルを2個使用した重複発音を認めてよいという判定結果となる。
【0055】
以上説明した判定は、複数のキーオンイベントに対応した発音期間が時間軸上において重複し、いずれかのキーオンイベントについて重複発音を行うと発音チャネルの不足が生じる場合には、時間的に先に再生されるキーオンイベントを優先して重複発音を許可するというルールに従って行われるものである。なお、このようなルールの他、発音重複化についての各キーオンイベントの競合を回避する各種のルールが考えられるが、その説明は省略する。
【0056】
発音重複化編集処理の分析処理においては、以上のような原理に従い、重複発音の適用の可否の判定を処理対象たるMIDIチャネルに対応した各キーオンイベントについて行うのである。
【0057】
この分析処理を行うためには、各キーオンイベントおよび各キーオフイベントの発生状況を時系列的に捉える必要がある。そこで、本実施形態においては、演奏データに含まれているステップタイムを参照し、各キーオンイベントに対応した発音期間の時間軸上での占有位置を求める。すなわち、演奏データ中の各イベントの前には、図15に例示するようにステップタイムを表すデータが付加されている。このステップタイムは、その直前のイベントを再生してから当該イベント(ステップタイムの直後のイベント)を再生するまでの待機時間である。従って、任意のイベントについて当該イベントよりも前に存在する全てのステップタイムの合計値を演算すれば、自動演奏の開始時刻を基準とした当該イベントの相対的な再生時刻を求めることができる。本実施形態においては、各キーオンイベントおよび各キーオフイベントについてこのような演算を行うことにより、各キーオンイベントに対応した発音期間の時間軸上での占有位置を求めるのである。
【0058】
次に図16を参照し、発音重複化編集処理の分析処理の具体的なフローについて説明する。まず、処理対象となっているMIDIチャネルに対応した演奏データの中から先頭のイベントを取り込む(ステップS501)。次に、この取り込んだイベントがキーオンイベントか否かを判断する(ステップS502)。この判断結果が「YES」である場合にはステップS503に進み、「NO」の場合はステップS508に進む。
【0059】
次にステップS503に進むと、今回取り込んだキーオンイベントの周辺イベントの調査を行う。すなわち、上述したようにステップタイムに基づいて把握される各キーオンイベントに対応した各発音期間に着目し、次の事項の調査を行う。
【0060】
a.今回取り込んだキーオンイベントに対応した発音期間が他のキーオンイベントに対応した発音期間と時間軸上において重複していないかどうか。
b.発音期間の重複が認められる場合において、今回取り込んだキーオンイベントに重複発音を適用した場合に発音チャネルの不足が生じないかどうか。
【0061】
次にステップS504に進み、上記ステップS503での調査結果に基づき、今回取り込んだキーオンイベントに対し、重複発音を適用可能か否かを判断する。この判断の結果は、次の3通りに分れる。
【0062】
a.無条件に重複発音を認めて構わない。
この判断がなされる状況を図17(a)に例示する。この例では、キーオンイベントKON1およびKON2に対応した各発音期間は、他のキーオンイベントに対応した発音期間と全く重複していない。よって、今回取り込んだキーオンイベントがこの例に示すキーオンイベントKON1およびKON2のような状況に置かれている場合には、無条件に重複発音を適用可能という判定結果となる。
【0063】
b.条件付きで重複発音を認めてもよい。すなわち、今回取り込んだキーオンイベントと競合する他のキーオンイベントがあるため、今回取り込んだキーオンイベントに重複発音を適用可能か否かはこれらの他のキーオンイベントに重複発音を適用するか否かによる。
【0064】
この判断がなされる状況を図17(b)に例示する。この例では、キーオンイベントKON1、KON2およびKON3は各々の発音期間が時間軸上において重複しているため、これらのうち1個のみについて重複発音を適用することが許される。また、キーオンイベントKON4は、キーオンイベントKON2およびKON3と発音期間が重複している。従って、キーオンイベントKON4については、キーオンイベントKON2およびKON3のいずれについても重複発音が適用されていない場合に限り、重複発音を認めてよい。今回取り込んだキーオンイベントがこの例に示すキーオンイベントKON1〜KON4のような状況に置かれている場合には、これらに対し重複発音を適用可能か否かは競合する他のキーオンイベントに対する重複発音の適用如何によることとなる。
【0065】
c.今回取り込んだキーオンイベントに重複発音を認める余地は全くない。
キーオンイベントの追加を行わなくても既に発音チャネルが全て使用されており、重複発音を行うと必ず発音チャネルが不足してしまう状況である。
【0066】
ステップS504の判定において、判定結果が上記aまたはbに該当する場合にはステップS505に進み、上記cに該当する場合にはステップS508に進む。
【0067】
次にステップS505に進むと、ステップS504の判定結果が上記bであるか否かを判断する。この判断結果が「YES」の場合はステップS506に進み、今回取り込んだキーオンイベントの内容と時間軸上での位置を示す情報をRAM14内に記録する。そして、ステップS508に進む。
【0068】
一方、ステップS504の判定結果が「NO」の場合、すなわち、今回取り込んだキーオンイベントが上記の状況bに置かれている場合にはステップS507に進み、競合を回避するための調整を行う。この調整は、例えば既に図14を参照して説明したように先に再生されるキーオンイベントを優先して重複発音を適用するルールに従って行う。この方法の他、例えば競合しているキーオンイベントをCRTディスプレイ2に表示し、いずれのキーオンイベントに重複発音を適用するかを使用者に選択させるようにしてもよい。重複発音を適用するキーオンイベントを決定すると、そのキーオンイベントの内容および時間軸上での位置を示す情報をRAM14内に記録し、ステップS508に進む。
【0069】
次にステップS508に進むと、処理対象となっているMIDIチャネルに対応した全てのイベントについて以上説明した処理を実行したか否か、すなわち、分析を終了してよいか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合は、次のイベントを取り込み(ステップS509)、ステップS502へ戻る。以下、同様にして処理対象たるMIDIチャネルに対応した全てのイベントについてステップS502〜S508からなる処理が実行される。そして、ステップS508の判断結果が「YES」になることを以て、このアナライザとしての処理を終了する。
【0070】
チェンジャとしての処理は、図18に示すフローに従って実行される。まず、MIDIチャネルのチャネル番号CHを「0」に初期設定する(ステップS601)。次いでダブラレジスタDBL(CH)の内容が“1”か否か、すなわち、現在のチャネル番号CHに対応したMIDIチャネルが発音重複化編集処理の処理対象となっているか否かを判断する(ステップS602)。そして、この判断結果が「NO」である場合はチャネル番号CHを1だけ増加させた後(ステップS605)、チャネル番号CHが「15」を超えているか否かを判定し(ステップS604)、超えていなければステップS602の判断を再び行う。
【0071】
一方、レジスタDBL(CH)の内容が“1”となっている場合には、ステップS603に進んでキーオンイベント挿入処理を実行する。すなわち、チャネル番号CHに対応したMIDIチャネルのイベントをRAM14から1個ずつ順次読み出し、読み出したイベントをRAM14内の別のエリアに順次書込んでゆく。その際に、上述したアナライザの実行の際にRAM14に格納した各キーオンイベントに関する情報を参照し、RAM14から読み出した各イベントが重複発音を適用することとしたキーオンイベントであるか否かを判定する。そして、重複発音を適用することとしたキーオンイベントについては、これと同一内容のキーオンイベントを付加し、RAM14へ書込む。このキーオンイベント挿入処理が終わると、ステップS605に進んでチャネル番号CHを1増加させる。そして、ステップS604に進んで、チャネル番号CHが「15」を超えたか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合はステップS602に戻る。その後、処理が進んでチャネル番号CHが「15」を超えることにより、ステップS604の判断結果が「YES」となり、チェンジャとしての処理が終了する。
【0072】
以上のように、本実施形態によれば、所望のMIDIチャネルのキーオンイベントに対し重複発音を適用することができるため、所望のパートの音を芯のある太い音とすることができる。
【0073】
(4)タイミングチューナ編集処理
最初に、図19を参照し、タイミングチューナ編集処理の概要を説明する。図19において、横方向の直線は時間軸を示しており、この時間軸の上側に並べられた一連の白抜きの三角マークは各々、このタイミングチューナ編集処理の処理対象たるキーオンイベントの再生タイミングを示している。また、時間軸の下側には一連の黒塗りの三角マークが記されているが、これらは使用者が発音を望んでいるタイミングを示している。
【0074】
このタイミングチューナ編集処理においては、処理対象たるMIDIチャネル(TUN(CH)=“1”となっているMIDIチャネル)に対応したキーオンイベントまたはキーオフイベントについて、各々が使用者の望むタイミングで再生されるように再生タイミングの補正を行うものである。タイミングチューナ編集処理は、既存のキーオンイベントまたはキーオフイベントの再生タイミングと使用者が望む再生タイミングとのずれ時間、すなわち、図19に示すΔt1,Δt2,…を求める分析処理と、この分析処理の結果に基づいて各キーオンイベントおよびキーオフイベントの再生タイミングを補正する処理とにより構成される。前者の分析処理を行うためのプログラムがアナライザであり、後者の処理を行うためのプログラムがチェンジャである。
【0075】
アナライザを実行するに当たり、使用者が望む再生タイミングを表すデータを予め準備する必要がある。このデータを得るための方法としては次の2通りがある。
【0076】
a.使用者が実演奏をすることによる方法
例えば使用者が他の電子楽器を使用して特定パート(例えばリズムパート)の演奏を行う。その際に得られる実演奏データをMIDIインタフェース17からこの演奏データ編集装置に供給し、実演奏データ中のキーオンイベントまたはキーオフイベントの再生タイミングを使用者が望む再生タイミングとして使用する。
【0077】
b.図20に示すように使用者がキーボード3のスペースキーを叩くことにより所望の再生タイミングを指定する実演奏データを作成する方法
この方法を利用する場合、使用者は、演奏データ編集装置の動作モードをMIDIデータ作成モードに設定した後、スペースキーのみを使用したリズム演奏をする。すなわち、発音を開始させたいタイミングにおいてスペースキーをオンとし、発音を終了させたいタイミングにおいてスペースキーをオフとすればよい。従って、この方法は、電子楽器演奏に不慣れな使用者にとっては便利である。
【0078】
図21は、この方法に従ってリズム系の楽音のキーオンイベントの再生タイミングを表す実演奏データを作成する実演奏データ作成プログラムのフローを示すものである。以下、このプログラムの処理内容を説明する。
【0079】
このプログラムは所定のコマンドが入力されることにより開始される。まず、ステップS701に進むと、スペースキーのオンイベントがあったか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合にはステップS704に進み、処理終了の指示がなされたか否か(図示しない終了ボタンが押されたか否か)を判断する。そして、この判断結果が「NO」の場合はステップS701に戻る。
【0080】
スペースキーのオンイベントが発生すると、ステップS701の判断結果が「YES」となってステップS702に進む。そして、現在の動作モードがMIDIデータ作成モードか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合は何等のデータを作成することもなくこのプログラムを終了する。
【0081】
一方、ステップS702の判断結果が「YES」の場合はステップS703に進み、MIDIエンコード処理を実行する。すなわち、このプログラムの実行を開始してからの経過時間に相当するステップタイムと所定のキーオンイベントを作成し、RAM14内の所定のエリアに書込む。そして、この書込みを終えた後、ステップS701に戻る。
【0082】
その後、再びスペースキーのオンイベントが発生すると、ステップS701,S702を介してステップS703に進み、再びMIDIエンコード処理を実行することとなる。この場合には、前回、ステップタイムおよびキーオンイベントの書込みを行ってから現在に至るまでの経過時間に相当するステップタイムと所定のキーオンイベントを作成し、RAM14内の所定のエリアに書込む。以後、同様に、スペースキーのオンイベントが検知される毎に、ステップタイムとキーオンイベントのRAM14への記録を行ってゆく。そして、スペースキーの操作が途絶え、処理終了の指示がなされるとステップS704の判断結果が「YES」となり、処理が終了する。
【0083】
以上の処理により、使用者が望むキーオンイベントの再生タイミングを表す実演奏データがRAM14内に得られる。
【0084】
なお、持続系の音のキーオンイベントおよびキーオフイベントの両方の再生タイミングを指定するデータをスペースキー操作によって作成したい場合には、図21に示すプログラムに対し、スペースキーのオンイベントだけでなくオフイベントも判定するように処理を追加すればよい。
【0085】
このようにして実演奏データが得られると、次にアナライザが実行され、タイミングチューナ編集処理の処理対象となっているMIDIチャネル(TUN(CH)=“1”となっているMIDIチャネル)について、図22に示す分析処理が実行される。まず、ステップS801に進むと、RAM14内の演奏データからキーオンイベント以外のイベントの除去された楽譜データを作成する。すなわち、処理対象たるMIDIチャネルに対応した一連のイベントとこれらの各イベント間に介挿されたステップタイムをRAM14から順次読み出してゆく。そして、この読み出しを行うのと並行し、次の処理を行う。
【0086】
a.キーオンイベントが読み出されるまでの間は、その間に読み出されるステップタイムを累算してゆく。
b.キーオンイベントが読み出された時点でステップタイムの累算値と当該キーオンイベントをRAM14内の楽譜データ用の記憶エリアに書込む。
c.この書込みを行った後は、ステップタイムの累算値を0に戻し、aの処理を行う。
【0087】
以上の処理が行われる結果、処理対象たるMIDIチャネルに対応したイベントが全て読み出された時点で、RAM14内にキーオンイベント以外のイベントを含まない楽譜データが得られる。
【0088】
次にステップS802に進み、RAM14内の楽譜データおよび実演奏データの各々からイベントおよびその前に置かれたステップタイムを順次取り出してゆく。次いでステップS803に進み、このようにして取り出された楽譜データの各ステップタイムと実演奏データの各ステップタイムとを各々対応するもの同士について比較し、差分(すなわち、前掲図19に示すΔt1,Δt2,…等のずれ時間)を求める。そして、この差分を各キーオンイベントに対応させてRAM14内に書込み、分析処理を終了する。
【0089】
チェンジャとしての処理は、図23に示すフローに従って実行される。まず、MIDIチャネルのチャネル番号CHを「0」に初期設定する(ステップS901)。次いでチューナレジスタTUN(CH)の内容が“1”か否か、すなわち、現在のチャネル番号CHに対応したMIDIチャネルがタイミングチューナ編集処理の処理対象となっているか否かを判断する(ステップS902)。そして、この判断結果が「NO」である場合はチャネル番号CHを1だけ増加させ(ステップS905)、ステップS904に進んでチャネル番号CHが「15」を超えたか否かが判断される。この判断が「NO」の場合は、再びステップS902の処理を行う。
【0090】
一方、レジスタTUN(CH)の内容が“1”となっている場合には、ステップS903に進んでステップタイム変更処理を実行する。すなわち、チャネル番号CHに対応したMIDIチャネルのイベントをRAM14から1個ずつ順次読み出し、読み出したイベントをRAM14内の別のエリアに順次書込んでゆく。この間、キーオンイベントが読み出された場合には、RAM14に格納された当該キーオンイベントに対応したステップタイムの差分を参照する。そして、当該キーオンイベントの直前のステップタイムについては、この差分に相当するだけ値の補正を行い、この補正後のステップタイムを当該キーオンイベントと共にRAM14に書込む。この処理が行われる結果、処理対象たるMIDIチャネルに対応した各キーオンイベントの再生タイミングは、実演奏データの各キーオンイベントの再生タイミングと一致するように補正される。なお、上記差分をそのまま補正に使用するのではなく、1より小さい所定の係数を差分に乗じたものを補正に使用し、キーオンイベントの再生タイミングを実演奏データのキーオンタイミングに近づけるようにしてもよい。
【0091】
このステップタイム変更処理が終わるとステップS905に進み、チャネル番号CHを増加させる。そして、ステップS904に進み、チャネル番号CHが「15」を超えたか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合は、ステップS902に戻る。その後、処理が進んでチャネル番号CHが「15」を超えると、ステップS904の判断結果が「YES」となり、チェンジャとしての処理が終了する。
【0092】
以上のように、本実施形態によれば、上記タイミングチューナ編集処理により、特定のパートに対応した楽音の再生タイミングを使用者の望むタイミングに微調整することができるため、自動演奏に使用者の好みの乗りを持たせることができる。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、自動演奏の際の特定パートの音量の変化の範囲を所望の範囲に調整することができるので、各パート毎に演奏を際立たせたりあるいは控え目にしたりすることができ、自動演奏に表情を持たせることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態である演奏データ編集装置の外観を示す図である。
【図2】 同実施形態の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】 同実施形態の制御用レジスタを示す図である。
【図4】 同実施形態のROM15内の制御プログラムを示す図である。
【図5】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図7】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図8】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図9】 同実施形態のベロシティエキスパンダ編集処理を説明する図である。
【図10】 ベロシティエキスパンダ編集処理の処理対象であるキーオンイベントを示す図である。
【図11】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図12】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図13】 ベロシティエキスパンダ編集処理の効果を示す図である。
【図14】 同実施形態の発音重複化編集処理を説明する図である。
【図15】 発音重複化編集処理の処理対象を示す図である。
【図16】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図17】 発音重複化編集処理の分析処理を説明する図である。
【図18】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図19】 同実施形態のタイミングチューナ編集処理を説明する図である。
【図20】 同実施形態における実演奏データの作成方法を説明する図である。
【図21】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図22】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図23】 同実施形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11……CPU(音量変更手段)、
12……表示部、13……操作部(パート指定手段)、
14……RAM(演奏データ記憶手段)、
15……ROM、16……ハードディスク装置、
17……MIDIインタフェース、
6………音源ボード、5L,5R……スピーカ。

Claims (1)

  1. 複数パートからなる楽曲を表す演奏データであって、楽曲を構成する個々の楽音を発音するときの音量を表す音量データを含む演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、
    前記複数パートのうち編集対象パートとするパートを指定するパート指定手段と、
    前記パート指定手段により編集対象パートとされたパート毎に、該パートに属する楽音の音量データの上限値と下限値とを設定する設定手段と、
    前記演奏データ記憶手段に記憶された演奏データを分析し、前記パート指定手段により編集対象パートとされたパート毎に、該パートに属する楽音の音量データの最大値と最小値とを求める分析手段と、
    前記編集対象パートとされたパート毎に、前記分析手段により求められた各音量データの大小関係を維持しつつ、該パートに属する各楽音の音量データの分布範囲が前記設定手段により設定された上限値と下限値との範囲内に収るように、該パートに属する各楽音の音量データを所定の演算を行って更新する音量データ更新手段と
    を具備することを特徴とする演奏データ編集装置。
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