JP3789091B2 - トナー、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法 - Google Patents

トナー、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法及びトナージェット記録法の如き記録法に用いられるトナー、該トナーを用いた画像形成装置、プロセスカートリッジ及び記録材上のトナー画像を加熱加圧定着して定着画像を形成する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては、米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報および、特公昭43−24748号公報等に記載されているように多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し種々の手段により感光体上に電気的潜像(静電潜像)を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着し、複写物を得るものであり、感光体上に転写されずに残ったトナーは種々の方法でクリーニングされ、上記の工程が繰り返されるものである。
【0003】
近年、このような複写装置は、複合化やパーソナル化等、変遷しつつある市場ニーズを反映し、より小型化、より軽量化、より高速化、そして更なる高信頼性が厳しく追及されてきており、その結果、トナーに要求される性能も、より高度化してきている。
【0004】
中でも、シンプルな構造の現像器でトラブルが少なく、寿命も長く、メンテナンスが容易であることから、磁性トナーを用いた一成分現像法が好ましく用いられている。
【0005】
また近年、複写機及びレーザービームプリンタの如き電子写真技術を用いた画像形成装置の機能が多様化し、得られたトナー画像の高精細化、高画質化が求められており、それらの適したトナー及びそれらのトナーを用いたプロセスカートリッジが用いられる。
【0006】
例えば特公昭51−23354号公報には、架橋剤と分子量調整剤を加え、適度に架橋されたビニル系重合体からなるトナーが開示され、更にはビニル系重合体において、Tg、分子量及びゲルコンテントを組み合わせたブレンド系のトナーが多数提案されている。
【0007】
このような架橋されたビニル系重合体あるいはゲル分を含有するトナーは、耐オフセット性においては優れた効果を示す。しかし、これらを含有させるにあたり、トナー原材料としてこの架橋されたビニル重合体を用いると、トナー製造時の溶融混練工程にて、重合体中の内部摩擦が非常に大きくなり、大きなせん断力が重合体にかかる。このために多くの場合、分子鎖の切断が起こり、溶融粘度の低下を招き、耐オフセット性に悪影響を与える。
【0008】
そこで、これを解決するために、特開昭55−90509号、同57−178249号、同57−178250号、同60−4946号公報では、カルボン酸を有する樹脂と金属化合物をトナー原材料として用い、溶融混練時に加熱反応させ、架橋重合体を形成させてトナー中に含有させることが開示されている。
【0009】
また、ビニル系樹脂単量体と更に特異なモノエステル化合物とを必須構成単位とするバインダーと多価金属化合物とを反応させ、金属を介して架橋するということが特開昭61−110155号、同61−110156号公報に開示されている。
【0010】
また、特開昭63−214760号、同63ー217362号、同63−217363号、同63−217364号公報では、低分子量と高分子量の2群に分かれる分子量分布を有し、低分子量側に含有されたカルボン酸基と多価金属イオンを反応させ架橋させる(溶液重合して得られた溶液に金属化合物の分散液を加え、加温して反応させる)ということが開示されている。
【0011】
また、特開平2−168264号、同2−235069号、同5−173363号、同5−173366号、同5−241371号公報では、結着樹脂中の低分子量成分と高分子量成分の分子量、混合比、酸価およびその比率を制御し、定着性や耐オフセット性等を改良したトナー用バインダー組成物及びトナーが開示されている。
【0012】
また、特開昭62−9256号公報では、分子量と樹脂酸価が異なる2種類のビニル系樹脂をブレンドしたトナー用バインダー組成物について開示されている。
【0013】
また、特開平3−63661号、同3−63662号、同3−63663号、同3−118552号公報では、カルボキシル基含有ビニル共重合体とエポキシ基含有ビニル共重合体に金属化合物を反応させて架橋させるということが開示されている。
【0014】
また、特開平7−225491号公報、同8−44107号公報では、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ樹脂が反応し架橋構造を形成するということが開示されている。
【0015】
また、特開昭62−194260号、特開平6−11890号、同6−222612号、同7−20654号、同9−185182号、同9−244295号、同9−319410号、同10−87837号、同10−90943号公報では、グリシジル基含有樹脂を架橋剤として用い、カルボキシル基含有樹脂より構成される樹脂組成物において、分子量分布、ゲル分、酸価、エポキシ価などを制御し、定着性や耐オフセット性等を改良したトナー用バインダー組成物及びトナーが開示されている。
【0016】
以上述べてきたこれらの提案は、耐オフセット性を向上させるという点で、一長一短はあるものの、優れた効果が得られることは事実である。ただし、一成分現像用の磁性トナーに適用した場合、現像性と耐久性に問題があり、更なる改良が必要である。
【0017】
また、特開平1−257968号公報、特開平4−124681号公報、特開平6−51556号公報では、磁性トナーの誘電正接を制御し、帯電性の良好なトナーが開示されている。
【0018】
しかし上記提案では、コピーボリュームの大きい高速機に適用した場合、耐久性に問題があり、樹脂と磁性体との分散性を向上させるため更なる改良が必要である。
【0019】
上記提案で述べられているように、磁性トナーの帯電性能により画像形成の品質が大きく左右される。また、磁性トナーは、磁性体をトナー中に含有させることによりトナーに磁性を持たせている。また、磁性体の一部がトナー粒子から遊離、あるいは表面に露出しているため、現像器内の磁性トナーの流動性や帯電部材との摩擦帯電性に影響を与え、現像性及び耐久性に影響を与えている。特に、近年では、磁性トナーの特性として、高耐久性が求められるため、トナー粒子中において、用いられる樹脂の特性と磁性体の分散性の両立が難しく、特に架橋系の樹脂を適用した場合、材料及び磁性体の更なる改良が必要である。
【0020】
従来より磁性体に関して、数々の提案が行われている。例えば、特開平8−101529号公報には、珪素と亜鉛が含有されている磁性体が提案され、特開平7−175262号公報、特開平5−72801号公報、特開昭62−278131号公報、特開昭61−34070号公報、特開平8−25747号公報、特開平9−59024号公報、特開平9−59025号公報には、珪素が含有されている磁性体が提案されており、特開平7−110598号公報、特開平5−281778号公報には、珪素とアルミニウムが含有されている磁性体が提案されており、特開平5−345616号公報には、マグネシウムが含有されている磁性体を用いた磁性トナーが提案されている。それぞれ、良好な現像性が得られているが、正帯電性磁性トナーに適用した場合や、高速機に適用した場合や、補給を繰り返し長期にわたってコピーボリュームが非常に多くなる場合、トナーの更なる現像性の向上や磁性体の遊離を防止する等の耐久性の向上が待望されている。
【0021】
このように、トナー粒子からの磁性体の脱離を防止するためには、磁性体のみの改良だけでは限界があり、用いられる結着樹脂等の改良も求められている。
【0022】
一方、トナー像を紙のごときシートに定着する工程に関して種々の方法や装置が開発されている。現在最も一般的な定着方法は、加熱ローラを介した固定発熱ヒータによる圧着加熱方法である。
【0023】
この定着装置において定着ローラは中空状に形成され、この定着ローラの中心軸上には発熱体が保持手段により保持されている。発熱体は例えば、ハロゲンランプなどの管状発熱ヒータにより構成され、所定の電圧が印加されることにより発熱するものである。このハロゲンランプは定着ローラの中心軸に位置しているため、ハロゲンランプから発せられた熱は定着ローラ内壁に均一に輻射され、定着ローラの外壁の温度分布は円周方向において均一となる。定着ローラの外壁は、その温度が定着に適した温度(例えば、150〜200℃)になるまで加熱される。この状態で定着ローラと加圧ローラは圧接しながら互いに逆方向に回転し、トナーが付着したシートを挟持する。定着ローラと加圧ローラとの圧接部(以下、ニップ部ともいう)において、シート上のトナーは定着ローラの熱により溶解し、両ローラから作用する圧力によりシートに定着される。
【0024】
しかし、ハロゲンランプなどから構成される発熱体を備えた上記定着装置においては、ハロゲンランプからの輻射熱を利用して定着ローラを加熱するため、電源を投入した後、定着ローラの温度が定着に適した所定温度に達するまでの時間(以下、ウォームアップタイムという)に比較的長時間を要していた。その間、使用者は複写機を使用することができず、長時間の待機を強いられるという問題があった。
【0025】
その一方、ウォームアップタイムの短縮を図ってユーザの操作性を向上すべく多量の電力を定着ローラに印加したのでは、定着装置における消費電力が増大し、省エネルギー化に反するという問題が生じていた。このため、複写機などの商品の価値を高めるためには、定着装置の省エネルギー化(低消費電力化)と、ユーザの操作性向上(クイックプリント)との両立を図ることが一層注目され重視されてきている。
【0026】
かかる要請に応える装置として、特開昭59−33787号公報に示されるように、加熱源として高周波誘導を利用した誘導加熱方式の定着装置が提案されている。この誘導加熱定着装置は、金属導体からなる中空の定着ローラの内部にコイルが同心状に配置されており、このコイルに高周波電流を流して生じた高周波磁界により定着ローラに誘導渦電流を発生させ、定着ローラ自体の表皮抵抗によって定着ローラそのものをジュール発熱させるようになっている。この誘導加熱方式の定着装置によれば、電気−熱変換効率がきわめて向上するため、ウォームアップタイムの短縮化が可能となる。
【0027】
また、コイルに磁性体からなるコア(磁界遮断部材)を組み合わすことで、高周波磁界の発生を効率的に行えることができる。特に断面形状がT型のコアを用いた場合、高周波磁界の効率的な集中や、発熱部位以外への磁界の遮蔽効果により、定着装置として必要な熱量を停電力で発生させることができる。
【0028】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には下記のような問題が生じていた。上述した誘導加熱方式の定着装置にあっては、定着装置起動時に定着ローラ表面の温度が定着に適当な温度になるまでに要する時間が短くできるという特長を生かすためには、定着ローラの熱容量はできるだけ小さい方がよい。そのために薄肉の定着ローラを用いると、定着部材の剛性上定着ニップ部での加圧力を高く設定することが難しくなり、定着温度を低く設定することが難しくなる。またこの場合、定着ローラの回転軸方向での熱の伝達がしにくくなり、例えば小サイズの紙を連続して通紙すると、通紙部と非通紙部との定着ローラ温度の差が大きくなりやすい。この時、定着ローラの通紙部で温調すると非通紙部が定着に適する温度を大きく超えてしまい、非通紙部で定着ローラ表面へのトナーのオフセットが発生したり、紙が定着ローラに巻き付くことによる紙詰まりを生じやすくなる。
【0029】
また、コイルに高周波電流を流すことにより発生する高周波磁界は、磁界遮断部材より、わずかに漏れ出し、定着装置突入前の未定着の転写材上の磁性トナー画像を乱すという、定着飛び散りを発生し易かった。これらは、トナーと転写材の静電気力を上げるため、転写時の転写電流を増やすことで解決するが、これにより、高電界下での放電流は感光体まで流れ込み、感光体表面を粗し、感光体寿命を縮めるという弊害が発生する。
【0030】
また、誘導加熱方式の定着装置を用いた系においては、既に上述した如き遊離した磁性体の一部が、定着装置より漏れる高周波磁界により未定着画像を乱しやすくなる。
【0031】
以上述べてきた様な、一成分現像方式及び誘導加熱方式の定着方式に適用されるトナーには、他の方式に比べ要求される性能がより高度になってきており、現像性、定着性、耐オフセット性のさらなる性能の向上が要求される。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決し、現像性及び耐久性に優れているトナー及び該トナーを用いて静電潜像を現像する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0033】
さらに、本発明の目的は、電磁誘導加熱方式により記録材上のトナー画像を加熱定着して記録材に定着画像を形成する場合においても、低速から高速まで優れた低温定着性、耐高温オフセット性を有し、定着飛び散りのない鮮鋭な画像の得られるトナーを提供することにある。
【0034】
また、本発明の目的は、定着装置の省エネルギー化(低消費電力化)と、ユーザの操作性向上(クイックプリント)との両立を達成できる画像形成方法を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子を有するトナーにおいて、
該結着樹脂として、カルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂を少なくとも含有し、
該トナーの誘電正接(tanδ)において、20乃至150℃の温度範囲で少なくとも極大値と極小値を有し、それぞれ極大値をMax、極小値をMinとしたとき、log10(Max/Min)≦2であって、
該着色剤が磁性体であり、該磁性体は、長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素aを少なくとも一種類以上含有している磁性酸化鉄であり、該磁性体中に含有される元素aの含有率は、磁性体中のFe基準で、0.1乃至4.0質量%であり、該トナー中に遊離した磁性体が該トナー粒子10,000個当たり70乃至500個存在することを特徴とするトナーに関する。
【0036】
また、本発明は、少なくとも感光体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて可視化してトナー像を形成させる現像手段、該トナー像を転写材に転写させることにより画像を形成する転写手段より構成される画像形成装置において、
該現像手段が、現像剤担持体において、少なくとも交流バイアスを印加させることによりトナーを静電荷像に付着させ可視画像化するものであり、
該トナーが少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子を有しており、
該結着樹脂として、カルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂を少なくとも含有し、
該トナーの誘電正接(tanδ)において、20乃至150℃の温度範囲で少なくとも極大値と極小値を有し、それぞれ極大値をMax、極小値をMinとしたとき、log10(Max/Min)≦2であって、
該着色剤が磁性体であり、該磁性体は、長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素aを少なくとも一種類以上含有している磁性酸化鉄であり、該磁性体中に含有される元素aの含有率は、磁性体中のFe基準で、0.1乃至4.0質量%であり、該トナー中に遊離した磁性体が該トナー粒子10,000個当たり70乃至500個存在することを特徴とする画像形成装置に関する。
【0037】
また、本発明は、感光体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて可視化してトナー像を形成させ、該トナー像を転写材に転写させることにより画像を形成する画像形成装置に用いられ、同装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジにおいて、
感光体と前記感光体を帯電させる帯電手段と、前記感光体上に静電潜像を形成させる潜像形成手段と、前記トナー像を記録材に転写させる転写手段と、前記転写材にトナー像が転写された後に前記感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段とから選ばれる少なくとも1つの手段が、前記感光体上に形成された前記静電潜像にトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と一体に支持され、該プロセスカートリッジは、静電潜像を保持するための静電潜像保持体及び該静電潜像を現像するためのトナーを少なくとも有しており、該現像手段の現像剤担持体において、少なくとも交流バイアスを印加させることによりトナーを静電荷像に付着させ可視画像化し、
該トナーが、少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子を有しており、
該結着樹脂として、カルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂を少なくとも含有し、
該トナーの誘電正接(tanδ)において、20乃至150℃の温度範囲で少なくとも極大値と極小値を有し、それぞれ極大値をMax、極小値をMinとしたとき、log10(Max/Min)≦2であって、
該着色剤が磁性体であり、該磁性体は、長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素aを少なくとも一種類以上含有している磁性酸化鉄であり、該磁性体中に含有される元素aの含有率は、磁性体中のFe基準で、0.1乃至4.0質量%であり、該トナー中に遊離した磁性体が該トナー粒子10,000個当たり70乃至500個存在することを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
【0038】
さらに、本発明は、加熱加圧手段により記録材上のトナー画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成する画像形成方法において、
<1>トナー画像を形成しているトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子を有するトナーであり、
該結着樹脂として、カルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル脂を少なくとも含有し、
該トナーの誘電正接(tanδ)において、20乃至150℃の温度範囲で少なくとも極大値と極小値を有し、それぞれ極大値をMax、極小値をMinとしたとき、log10(Max/Min)≦2であって、
該着色剤が磁性体であり、該磁性体は、長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素aを少なくとも一種類以上含有している磁性酸化鉄であり、該磁性体中に含有される元素aの含有率は、磁性体中のFe基準で、0.1乃至4.0質量%であり、該トナー中に遊離した磁性体が該トナー粒子10,000個当たり70乃至500個存在し、
<2>該加熱加圧手段として、(1)磁界発生手段と、(2)電磁誘導により発熱する発熱層及び離型層を少なくとも有する回転加熱部材と、(3)該加熱部材とニップを形成している回転加圧部材を少なくとも有する加熱加圧手段を使用し、
該回転加熱部材を記録材を介して該回転加圧部材を押圧しながら該記録材上のトナー画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成することを特徴とする画像形成方法に関する。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、少なくとも結着樹脂と着色剤を有するトナーにおいて、該結着樹脂として、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂、カルボキシル基とエポキシ基を有するビニル樹脂、及びカルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂からなるグループより選択される1種以上のビニル樹脂を少なくとも含有し、特定の温度領域において、トナーの誘電正接が特定の値であるとき、良好な現像性及び耐久性を達成でき、また定着飛び散りのない鮮鋭な画像が得られることを明らかにした。
【0040】
更に、該トナー中のTHF可溶分のGPCにより測定される分子量分布が特定の分子量分布を有する、または、該トナーの結着樹脂成分中に特定のTHF不溶分を有する、または、該トナーのTHF可溶分が特定の酸価を有することにより、更に上記の効果を向上させることができる。
【0041】
また、更に、磁性トナーに適用した場合、該磁性体中に特定の元素aを特定の割合で含有した磁性体を用い、該トナー中に遊離した磁性体量をコントロールすることにより、良好な現像性及び耐久性を達成でき、また定着飛び散りのない鮮鋭な画像が得られることを明らかにした。
【0042】
本発明における効果発現の理由について以下に述べる。
【0043】
本発明の特徴としては、該トナーは少なくとも結着樹脂と着色剤を有しており、該結着樹脂として、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂、カルボキシル基とエポキシ基を有するビニル樹脂、及びカルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂からなるグループより選択される1種以上のビニル樹脂を少なくとも含有し、該トナーの誘電正接(tanδ)において、20乃至150℃の温度範囲で少なくとも極大値と極小値を有し、それぞれ極大値をMax、極小値をMinとしたとき、log10(Max/Min)≦2である場合、良好な現像性と耐久性を達成することができ、定着飛び散りが少なく、ドット再現性の良い鮮鋭な画像が得られる。
【0044】
本発明のトナーの誘電正接(tanδ)において、20乃至150℃の温度範囲で少なくとも極大値と極小値を有し、それぞれ極大値をMax、極小値をMinとしたとき、log10(Max/Min)≦2であることが好ましい。更に好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.0以下である。
【0045】
本発明のトナーの誘電正接は、周波数1000Hzでの値であり、この値は、トナー粒子界面における誘電電荷分極を示している。
【0046】
トナーの誘電正接(tanδ)において、log10(Max/Min)が上記範囲の場合、良好な現像性を達成でき、特に高温高湿環境下において、良好な現像性を発現する。log10(Max/Min)が2を超える場合には、環境温度変化に対しての帯電の緩和が大きくなり、安定した帯電を保持することができなくなり、現像性が悪化する。また、定着飛び散り、ドット再現性も悪化する。
【0047】
特に、誘導加熱方式を用いた定着方法に適用される場合、コイルへの高周波電流を流した際に発生する高周波磁界の影響を受け、転写材上における定着飛び散りが悪化する。
【0048】
これは、現像手段において、感光体/現像スリーブ間に交流バイアスを印加した場合に顕著であり、log10(Max/Min)が上記範囲の場合、交流バイアス電界下(交番電界)においてのエネルギー損失が小さいため、トナー粒子の帯電能を維持することができ、感光体上の静電荷像に対して再現性の良い、つまり、現像性、ドット再現性のよい作像が可能となる。
【0049】
誘導加熱方式を用いた定着方法においても同様であり、転写材上における定着飛び散りを抑制できる。
【0050】
また、本発明のトナーの誘電正接(tanδ)は、20乃至150℃の温度範囲で1.0×100以下であることが好ましく、更に好ましくは5.0×10-1以下であり、特に好ましくは1.0×10-1以下である。
【0051】
トナーの誘電正接(tanδ)が1.0×100以下の場合、良好な現像性を達成でき、特に高温高湿環境下において、良好な現像性を発現する。1.0×100を超える場合には、環境温度変化に対しての帯電の緩和が大きくなり、安定した帯電を保持することができなくなり、現像性が悪化する。また、定着飛び散り、ドット再現性も悪化する。
【0052】
本発明のトナーは、トナー製造工程中の混練工程などで熱溶融混練され、結着樹脂が架橋反応を行う。その際、結着樹脂中のカルボキシル基ユニットとエポキシ基ユニットの架橋反応下において、本発明の磁性トナーに適用した場合、トナー中に元素aを少なくとも一種類以上特定範囲内で含有する磁性体(詳細は後述)を含有させることにより、結着樹脂と磁性体の親和性が増し、トナー粒子中で良好な分散性が達成できる。更に、結着樹脂からの脱離も抑制でき、結果として、トナーより遊離した磁性体が減少する。
【0053】
また、トナーより遊離した磁性体が減少することにより、現像部においては、トナーの帯電安定性が高まり、感光体上の静電荷潜像へのドット再現性が良好になり、更に、誘導加熱方式を用いた定着方法において、コイルへの高周波電流を流した際に発生する高周波磁界の影響を、未定着転写材上のトナーが受けずらくなり、定着飛び散りが少なくなり、優れたドット再現性が得られる。
【0054】
更に、本発明のトナーは、上記のように架橋反応を行うことにより、トナー自身を強靭化させることができ、高速機などに適用した場合、コピーボリュームが増加した際においても、安定した耐久性を達成できる。
【0055】
本発明のトナーのTHF可溶成分の酸価は、0.1乃至50mgKOH/gが好ましく、更に好ましくは0.5乃至50mgKOH/g、特に好ましくは0.5乃至40mgKOH/gである。本発明のトナーが、所望の酸価を有することにより、良好な現像性と耐久性を達成できる。
【0056】
トナーのTHF可溶成分の酸価が0.1mgKOH/g未満の場合、カルボキシル基と磁性体との相互反応による分散性の向上やそれに伴うトナー粒子からの脱離防止効果が発現しない。50mgKOH/gを超える場合には、正帯電性トナーに適用した場合、トナー粒子中の負帯電性が強くなり、現像性が悪化する。
【0057】
また、本発明において、トナー中のTHF可溶分のGPCにより測定される分子量分布において、数平均分子量が好ましくは1,000乃至40,000、更に好ましくは2,000乃至20,000であり、特に好ましくは3,000乃至15,000であることがよく、重量平均分子量が好ましくは10,000乃至10,000,000、更に好ましくは20,000乃至5,000,000、特に好ましくは30,000乃至1,000,000であることが良い。
【0058】
本発明で用いられるトナーのTHF可溶分のGPCのクロマトグラムにおいて、上記の平均分子量を示す場合、トナーが適正な帯電量及び強靭性を保持することが可能となり、良好な現像性と耐久性を達成できる。
【0059】
数平均分子量が1,000未満の場合または重量平均分子量が10,000未満の場合は、トナーの溶融粘度が低下し、トナー粒子中における磁性体の分散性が悪化し、不均一な帯電分布になり、カブリ抑制等が悪化し、現像性また耐久性が悪化する。数平均分子量が40,000を超える場合または重量平均分子量が10,000,000を超える場合は、結着樹脂中の高分子成分と低分子成分との相溶性が悪化し、結着樹脂自体の成分分布が不均一になり、磁性体の分散性が悪化し、ドット再現性が悪化する。
【0060】
更に、本発明において、トナー中のTHF可溶分のGPCにより測定される分子量分布において、好ましくは分子量4,000乃至30,000の領域にメインピークを持つのが良く、更に好ましくは分子量5,000乃至20,000の領域にメインピークを持つものが良い。
【0061】
メインピークが分子量4,000未満の場合には、トナーの溶融粘度が低下し、トナー粒子中における材料の分散性が悪化し、不均一な帯電分布になり、カブリ等が悪化し、現像性及び耐久性が悪く、分子量が30,000を超える場合には、磁性体の分散性が悪化し、ドット再現性も悪化する。
【0062】
また、上記分子量分布において、分子量30,000以下のピーク面積が全体のピーク面積に対して、60乃至100%の割合であることが好ましい。分子量30,000以下のピーク面積が、上記範囲内である場合、トナー粒子中において、磁性体の良好な分散性が達成でき、遊離磁性体量を減少できる。60%未満の場合、樹脂の溶融粘度が増加し、磁性体の分散性が悪化し、その結果、遊離磁性体量が増加し、現像性、耐久性が悪化する。
【0063】
更に、本発明のトナーの樹脂成分は、THF不溶分を0.1乃至60質量%含有しても良い。更に好ましくは5乃至60質量%、特に好ましくは10乃至45質量%含有することが好ましい。THF不溶分が上記範囲内である場合、トナー粒子中において、材料の均一な分散性が達成でき、良好な現像性を達成できる。
【0064】
THF不溶分が60質量%を超える場合、トナー粒子内において、材料の分散状態が悪化し、不均一な帯電を持つようになるため、感光体上においても不均一な帯電分布になり、ドット再現性も悪化する。
【0065】
本発明のトナーのガラス転移温度(Tg)は、50乃至70℃が好ましい。Tgが50℃未満の場合は保存性が悪化し、70℃を超える場合には定着性が悪化する。
【0066】
本発明において、トナーの誘電正接は次の条件で測定される。
【0067】
<誘電正接の測定>
4284AプレシジョンLCRメータ(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、1000Hz及び1MHzの周波数で校正後、周波数1000Hzにおける複素誘電率の測定値より誘電損失(tanδ=ε”/ε’)を算出する。
【0068】
トナーは、1.0g秤量し、19600kPa(200kgf/cm2)の荷重を1分間かけて成形し、直径25mm、厚さ2mm以下(好ましくは0.5mm〜1.5mm)の円盤状の測定試料にする。この測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着し、温度80℃まで加熱し、溶融固定する。その後、温度20℃まで冷却し、0.49〜1.96N(50〜200g)の荷重をかけた状態で、周波数1000Hz一定とし、温度20乃至150℃の温度範囲において、昇温速度2.0℃/1minで昇温を行い、測定することより得られる。
【0069】
本発明において、トナー及び結着樹脂のTHFを溶媒としたGPCによる分子量分布は次の条件で測定される。
【0070】
<GPCによる分子量分布の測定>
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なお、カラムをしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合わせを挙げることができる。
【0071】
また、試料は以下の様にして作製する。
【0072】
試料をTHF中に入れ、数時間後放置した後、十分振とうしTHFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)などが使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。また、試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0073】
本発明において、トナー中の結着樹脂成分のTHF不溶分及び原料結着樹脂のTHF不溶分は以下のようにして測定される。
【0074】
<THF不溶分の測定>
トナー1.0〜2.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙社製No.86R)を入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mlを用いて10時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分溶液をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中の焼却残灰分の重さを求める(W3g)。
【0075】
焼却残灰分は以下の手順で求める。あらかじめ精秤した30mlの磁性るつぼに約2.0gの試料を入れ精秤し、試料の質量(Wa)gを精秤する。るつぼを電気炉に入れ約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケータ中に1時間以上放冷し、るつぼの質量を精秤する。ここから、焼却残灰分(Wb)gを求める。
(Wb/Wa)×100=焼却残灰分含有率(質量%)
【0076】
この含有率から試料中の焼却残灰分の質量(W3g)が求められる。
【0077】
THF不溶分は下記式から求められる。
【0078】
THF不溶分=(W1−(W3+W2))/(W1−W3)×100(%)
【0079】
本発明において、トナーのTHF可溶成分及び結着樹脂の酸価(JIS酸価)は、以下の方法により求める。尚、結着樹脂の酸価は、結着樹脂中のTHF可溶成分の酸価を意味する。
【0080】
<酸価の測定>
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予めトナー及び結着樹脂のTHF不溶成分を除去して使用するか、上記のTHF不溶分の測定で得られるソックスレー抽出器によるTHF溶媒によって抽出された可溶成分を試料として使用する。試料の粉砕品0.5〜2.0(g)を精秤し、可溶成分の重さをW(g)とする。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置ATー400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。)
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
(5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
【0081】
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
【0082】
本発明のトナーのガラス転移温度の測定方法を以下に示す。
【0083】
<トナーのガラス転移温度の測定>
トナーのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0084】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、本発明のトナーのガラス転移温度Tgとする。
【0085】
本発明において、トナーは、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂、あるいは、カルボキシル基及びエポキシ基を有するビニル樹脂、あるいは、これらの官能基を反応させた樹脂からなるグループより選択される1種以上のビニル樹脂を少なくとも含有する。
【0086】
カルボキシル基を有するビニル樹脂を構成するカルボキシル基ユニットを有するモノマーとして以下のものが挙げられる。
【0087】
カルボキシル基ユニットを有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、チグリン酸及びアンゲリカ酸などのアクリル酸、これらの無水物及びα−あるいはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和ジカルボン酸、そのモノエステル誘導体、無水物及びα−あるいはβ−アルキル誘導体などが挙げられる。
【0088】
このようなカルボキシル基ユニットを有するモノマーは単独、あるいは混合して、他のビニル系モノマーと公知の重合方法に共重合させることによりカルボキシル基を有するビニル樹脂を得ることができる。
【0089】
カルボキシル基を有するビニル樹脂の酸価は、0.5乃至60mgKOH/gが好ましい。0.5mgKOH/g未満の場合には、カルボキシル基とエポキシ基との架橋反応部位が少なくなるため、架橋成分が少なく、トナーの耐久性が発現されにくくなるが、このような場合には、エポキシ価の高いエポキシ基を有するビニル樹脂を用いることによりある程度補償は行える。60mgKOH/gを超える場合には、正帯電性トナーに適用した場合、トナー粒子中の結着樹脂の負帯電性が強くなり、画像濃度が低下し、カブリが増加する傾向がある。
【0090】
カルボキシル基を有するビニル基のガラス転移温度(Tg)は、40〜70℃が好ましい。Tgが40℃未満の場合、トナーの耐ブロッキング性が悪化し、70℃を超える場合はトナーの定着性が悪化する。
【0091】
カルボキシル基を有するビニル樹脂において、数平均分子量は、良好な定着性や現像性を達成するために、1,000乃至40,000が好ましく、重量平均分子量は、良好な耐オフセット性、耐ブロッキング性や耐久性を達成するために、10,000乃至10,000,000が好ましい。
【0092】
カルボキシル基を有するビニル樹脂は、低分子量成分と高分子成分で構成させていることが望ましい。低分子量成分のピーク分子量は良好な定着性を達成するために、4,000乃至30,000が好ましく、高分子量成分のピーク分子量は、良好な耐オフセット性、耐ブロッキング性や耐久性を達成するために、100,000乃至1,000,000が好ましい。
【0093】
高分子量成分共重合体の合成方法として本発明に用いることのできる重合法として、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法や懸濁重合法が挙げられる。
【0094】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であリ、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合濃度が大きく、高重合度のものが得られる。更に、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であることから、トナー用バインダー樹脂の製造方法として有利な点がある。
【0095】
しかしながら、添加した乳化剤のために重合体が不純になリ易く、重合体を取リ出すには塩析などの操作が必要で、この不便を避けるためには溶液重合及び懸濁重合が好都合である。
【0096】
懸濁重合においては、水系溶媒100質量部に対して、モノマー100質量部以下(好ましくは10〜90質量部)で行うのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、一般に水系溶媒100質量部に対して0.05〜1質量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択される。
【0097】
樹脂組成物の調製に使用される樹脂組成物の高分子量重合体は、本発明の目的を達成する為に、以下に例示する様な多官能性重合開始剤単独あるいは単官能性重合開始剤と併用して生成することが好ましい。
【0098】
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイド等の1分子内に2つ以上のパーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤;及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤が挙げられる。
【0099】
これらのうち、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン)プロパン及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
【0100】
これらの多官能性重合開始剤は、トナー用バインダーとして要求される種々の性能を満足する為には、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。特に該多官能性重合開始剤の半減期10時間を得る為の分解温度よリも低い半減期10時間を有する重合開始剤と併用することが好ましい。
【0101】
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α−α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)べンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾおよびジアゾ化合物等が挙げられる。
【0102】
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つ為には、重合エ程において該多官能性重合開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好ましい。
【0103】
これらの開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.01〜10質量部用いるのが好ましい。
【0104】
低分子量成分の合成方法としては、公知の方法を用いることができる。しかしながら、塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を速めることで、低分子量の重合体を得ることができるが、反応をコントロールしにくいという問題点がある。その点、溶液重合法では、溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また、開始剤量や反応温度を調整することで低分子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、カルボキシル基を有するビニル樹脂中の低分子量成分を得るには好ましい。
【0105】
溶液重合で用いる溶媒として、キシレン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピルアルコールまたはベンゼンが用いられる。スチレンモノマーを使用する場合、キシレン、トルエンまたはクメンが好ましい。重合するポリマーによって溶媒は適宜選択される。反応温度としては、使用する溶媒、重合開始剤、重合するポリマーによって異なるが、通常70〜230℃で行うのが良い。溶液重合においては、溶媒100質量部に対してモノマー30〜400質量部で行うのが好ましい。
【0106】
更に、重合終了時に溶液中で他の重合体を混合することも好ましく、数種の重合体を混合できる。
【0107】
本発明で用いられるエポキシ基を有するビニル樹脂中のエポキシ基とは、酸素原子が同一分子内の2原子の炭素と結合している官能基のことであり、環状エーテル構造を有する。代表的な環状エーテル構造としては、3員環、4員環、5員環、6員環があるが、中でも3員環構造のものが好ましい。
【0108】
エポキシ基を有するビニル樹脂を構成するエポキシ基ユニットを有するモノマーとして以下のものが挙げられる。
【0109】
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸β−メチルグリシジル、メタクリル酸β−メチルグリシジル、アリルグリシジルエーテル、アリルβ−メチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、一般式(1)で表されるグリシジルモノマーが好ましく用いられる。
【0110】
【化1】
Figure 0003789091
(一般式(1)において、R1、R2及びR3は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボキシル基及びアルコシキカルボニル基を示す。)
【0111】
このようなエポキシ基ユニットを有するモノマーは単独、あるいは混合して、ビニル系モノマーと公知の重合方法により共重合させることにより該エポキシ基を有するビニル樹脂を得ることができる。
【0112】
エポキシ基を有するビニル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは2,000乃至100,000、より好ましくは2,000乃至50,000、更に好ましくは3,000乃至40,000であることが良い。Mwが2,000未満の場合、結着樹脂中の架橋反応によって分子量が増大して混練工程によって分子の切断が多く、耐久性を悪化させる。Mwが100,000を超える場合には、定着性に影響を及ぼす様になる。
【0113】
また、エポキシ価は、0.05乃至5.0eq/kgものが好ましい。0.05eq/kg未満の場合、架橋反応が進行しにくく、高分子量成分やTHF不溶分の生成量が少なくなり、トナーの強靭性が小さくなる。5.0eq/kgを超える場合、架橋反応は起こりやすい反面、混練工程において分子切断が多く、磁性体の分散性が悪化する。
【0114】
本発明のエポキシ基を有するビニル樹脂は、カルボキシル基含有ビニル樹脂中のカルボキシル基1当量に対して、エポキシ基が0.01乃至10.0当量、好ましくは0.03乃至5.0当量の混合比で用いられることが好ましい。
【0115】
エポキシ基が0.01当量未満の場合、結着樹脂中において、架橋点が少なくなり、耐久性などの架橋反応による効果が発現しにくくなる。また、10当量を超えると、架橋反応は起こりやすくなる反面、過剰のTHF不溶分の生成などにより、分散性の悪化などが生じ、粉砕性の悪化、現像の安定性に問題が出てくる。
【0116】
エポキシ基を有するビニル樹脂のエポキシ価は、以下の方法により求める。
【0117】
〈エポキシ価の測定〉
基本操作はJIS K−7236に準ずる。
(1)試料を0.5〜2.0(g)を精秤し、その重さをW(g)とする。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、クロロホルム10ml及び酢酸20mlに溶解する。
【0118】
この溶液に、臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液10mlを加える。0.1mol/lの過塩素酸酢酸溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置ATー400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用い、自動滴定が利用できる。)。この時の過塩素酸酢酸溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時の過塩素酸酢酸溶液の使用量をB(ml)とする。
【0119】
次式によりエポキシ価を計算する。fは過塩素酸酢酸溶液のファクターである。
【0120】
エポキシ価(eq/kg)=0.1×f×(S−B)/W
【0121】
カルボキシル基及びエポキシ基を有するビニル樹脂において、数平均分子量は、良好な現像性と耐久性を達成するため、10,000乃至40,000が好ましい。また、重量平均分子量は、耐オフセット性、耐ブロッキング性及び耐久性を達成するため、10,000乃至10,000,000が好ましい。
【0122】
カルボキシル基及びエポキシ基を有するビニル樹脂は、カルボキシル基ユニットを有するモノマーとエポキシ基ユニットを有するモノマーを混合し、他のビニルモノマーと公知の重合方法により共重合させることにより得られる。
【0123】
また、本発明において、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂を樹脂製造時において、予め反応させたものを使用しても良い。反応手段としては、▲1▼カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂を溶液状態で混合し、反応釜内で熱を加えることにより架橋反応を起こさせる、また、▲2▼カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂をそれぞれ反応釜から取り出し、ヘンシェルミキサー等でドライブレンドを行い、2軸押し出し機等で熱溶融混練することにより、架橋反応を起こさせたものを使用しても良い。
【0124】
上記のカルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有する樹脂が反応したビニル樹脂を用いる場合、THF不溶分を0.1乃至60質量%含有することが好ましい。THF不溶分が上記範囲である場合、製造工程中の混練工程において、樹脂自体が適度な溶融粘度を有することができるため、材料の均一な分散性を達成する事ができる。
【0125】
THF不溶分が60質量%を超える場合、樹脂自体の溶融粘度が大きくなり、材料の分散性を悪化させてしまう。
【0126】
カルボキシル基ユニットを有するモノマー及びエポキシ基ユニット有するモノマーと共重合させるビニルモノマーは以下のものが挙げられる。
【0127】
カルボキシル基ユニットを有するモノマー、エポキシ基ユニットを有するモノマー以外のモノマーとして、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンのようなスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのようなエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン,イソプレンのような不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルのようなビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−1−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸ステアリル、アクリル酸(2−クロルエチル)、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンのようなビニルケトン類;N−ビニルピロ一ル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンのようなN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸誘導体もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。これらのビニルモノマーは単独もしくは2つ以上のモノマーを混合して用いられる。
【0128】
これらの中でもスチレン系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましく、この場合、少なくともスチレン系共重合体成分またはスチレン−アクリル系共重合体成分を65質量%以上含有することが定着性、混合性の点で好ましい。
【0129】
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、その他下記の重合体を添加することも可能である。
【0130】
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ピニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレンーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
【0131】
本発明で用いるトナーに、正帯電性または負帯電性を保持させるためには、荷電制御剤を含有させる制御させることが好ましい。
【0132】
トナーを正帯電性に制御するものとして下記の物質がある。
【0133】
例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物がある。これらを単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、イミダゾール化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0134】
また、トナーを負帯電性に制御するものとして下記の物質がある。
【0135】
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸金属錯体、芳香族ジカルボン酸金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある。
【0136】
荷電制御剤をトナーに含有させる方法として、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの荷電制御剤の使用量は結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に決定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0137】
本発明においては、トナーに離型性を与えるために次のようなワックス類を含有させることが好ましい。融点が70〜165℃で、160℃における溶融粘度が1000mPa・s以下のワックスであり、その具体例としてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックスや、エチレン、プロピレン、ブテン、ぺンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセンのような直鎖のα−オレフィン及び分枝部分が末端にあるような分枝α−オレフィン及びこれらの不飽和基の位置の異なるオレフィンの単独重合体もしくはこれらの共重合体等が挙げられる。その他、アルコールワックス、脂肪酸ワックス、エステルワックス、天然ワックスも用いられる。
【0138】
更に、ビニル系モノマーによりブロック共重合体としたり、グラフト変性などを施した変性ワックス、また、酸化処理を施した酸化ワックスでも良い。
【0139】
これらのワックスは、トナー製造に際し、予め重合体成分中に添加・混合しておくこともできる。その場合は、重合体成分の調製時に、ワックスと高分子量重合体とを溶剤に予備溶解した後、低分子重合体溶液と混合する方法が好ましい。これによりミクロな領域での相分離が緩和され、高分子量成分の再凝集が制御され、低分子重合体との良好な分散状態も得られる。
【0140】
また、上記ワックスの添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましい。尚、2種類以上のワックスを併用して添加しても良い。
【0141】
本発明のトナーに使用できる着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。例えば、顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは定着画像の光学濃度を維持するために必要な量が用いられ、結着樹脂100質量部に対して、0.1乃至20質量部、好ましくは0.2乃至10質量部の添加量が良い。同様の目的で、更に染料が用いられる。例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり、結着樹脂100質量部に対して、0.1乃至20質量部、好ましくは0.3乃至10質量部の添加量が良い。
【0142】
本発明のトナーにおいては、着色剤として磁性体を用い、磁性トナーとしても使用することができる。
【0143】
本発明のトナーに、着色剤として磁性体を使用した場合、本発明の結着樹脂に、長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素aを少なくとも一種類以上、磁性体中にFe基準で、0.1乃至4.0質量%以上含有する場合、トナー粒子からの磁性体の脱離を抑制できることを見出した。
【0144】
このことは、結着樹脂中のカルボキシル基、エポキシ基または酸無水物基と磁性体中に元素aを含有することにより、上記官能基を有する結着樹脂と相互作用により、親和性が増加し、トナー粒子中での良好な分散性が達成できる。その結果、トナー粒子からの欠落が抑制されるようになるからであると推測される。
【0145】
磁性体中に含有される元素aは、磁性酸化鉄の結晶格子にこの元素aを置き換えた状態で存在させることが好ましく、長周期型の元素周期表の第三周期以降の元素aが好ましく用いられる。
【0146】
元素aは、好ましくは、第三周期、第四周期または第五周期の元素であり、更に好ましくは、第三周期または第四周期の元素である。元素aは、鉄元素の電気陰性度(1.83(II)、1.96(III))に近いことが好ましいことから、元素aの電気陰性度は、Paulingの電気陰性度で、1.0乃至2.5であり、好ましくは1.2乃至2.3であり、更に好ましくは1.5乃至2.1であるのが良い。
【0147】
具体的には、好ましい元素aとしては、Al(1.61)、Si(1.90)、P(2.19)、Ti(1.54)、V(1.63)、Cr(1.66)、Mn(1.55)、Co(1.88)、Ni(1.91)、Cu(2.00)、Zn(1.65)、Ga(1.81)、Ge(2.01)、Zr(1.33)、Sn(1.80)、Pb(1.87)であり、更に好ましくは、Al、Si、Ti、Mn、Znである。
【0148】
磁性体中における元素aの含有率は、磁性体中のFe基準で0.1乃至4.0質量%であることが好ましい。この範囲内ある場合、現像性と耐久性を向上でき、トナー粒子からの磁性体の脱離を抑制できる。特に、元素aが、Al、Si、Ti、Mnである場合に、更に高温高湿環境下においても、良好な現像性を発現できる。
【0149】
元素aの含有量が、0.1質量%未満の場合、帯電が過剰になり、帯電分布が不均一になり、カブリ抑制が悪化する。4.0質量%を超えると、磁気特性に影響を与えやすく、現像性に与える影響が大きくなり好ましくない。
【0150】
次に発明における磁性体中の元素の含有量の測定方法について述べる。
【0151】
<磁性体中の元素aの含有量>
本発明の磁性体中の元素の含有量は、蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理学電機工業(株)製)を使用し、JIS K0119「蛍光X線分析通則」に従って、蛍光X線分析を行うことにより測定する。
【0152】
次に本発明における遊離した磁性体の個数の測定方法について述べる。
【0153】
本発明のトナーは、トナー中に遊離した磁性体が該トナー粒子10,000個当たり70乃至500個存在することが好ましい。
【0154】
遊離した磁性体が70個未満の場合、磁性体は実質遊離していないことを示す。このような場合、トナーとしての帯電量が増加することによりトナーがチャージアップを起こしやすく、結果的に画像濃度が低下し、現像性を悪化させてしまう。また、500個を超える場合には、トナーの誘電正接の値が大きくなり、トナーの帯電量が下がり現像性を悪化させるだけでなく、感光体の削れや、それに伴うトナー融着が発生しやすく、また、クリーニング工程にいて磁性体が過剰に蓄積されることによるクリーニング不良が発生し、画像汚れを生ずる。
【0155】
特に、誘導加熱方式を用いた定着方法においては、未定着転写材上のトナーが飛び散り、定着後画像のドット再現性が悪化する。
【0156】
次に本発明における遊離した磁性体の個数の測定方法について述べる。
【0157】
<遊離した磁性体の個数の測定方法>
ここで、「遊離した磁性体の個数」とは、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により測定したものであり、パーティクルアナライザーはJapan Hardcopy 97論文集の65〜68頁に記載の原理で測定を行う。具体的には、該装置はトナー等の微粒子を一個ずつプラズマへ導入し、微粒子の発光スペクトルから発光物の元素、粒子数、粒子の粒径を知ることができる装置である。
【0158】
例えば、トナー粒子をプラズマに導入した場合を考えるが、プラズマに導入した際に、トナー1粒子に対して、結着樹脂の構成元素である炭素の発光と磁性体中の鉄原子の発光がそれぞれ観察される。即ち、トナー1粒子につき1個の発光が得られるので、発光の回数からトナー粒子の個数を求めることができる。その時、炭素原子の発光から、2.6msec以内に発光した鉄原子を同時発光した鉄原子とし、それ以降の鉄原子の発光は鉄原子のみの発光とした。本発明中のトナーは磁性体を多く含有しているため、炭素原子と鉄原子が同時に発光するということはトナー中に磁性体が分散していることを意味し、鉄原子のみの発光は、磁性体がトナー粒子から遊離していると言える。具体的な方法としては、温度23℃,湿度60%の環境下で一晩放置することで調湿したトナーサンプルを上記環境下で測定する。即ち、チャンネル1で炭素原子(測定波長247.86nm)、チャンネル2で鉄原子(測定波長239.56nm、Kファクター3.3764)を測定し、1回のスキャンで炭素原子の発光数が1000〜1400個となるようにサンプリングを行い、炭素原子の発光数が総数で10000以上となるまでスキャンを繰り返し、発光数を積算する。
【0159】
この時、炭素元素の発光個数を縦軸に、元素の三乗根電圧を横軸に取った分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、谷が存在しない分布となるようにサンプリングし、測定を行う。そして、このデータを元に、全元素のノイズカットレベルを1.50Vとし、上記計算式を用い、鉄及び鉄化合物の遊離率を算出する。
【0160】
また、荷電制御剤であるアゾ系鉄錯体等といった、鉄原子を含有する無機化合物以外の材料もトナー中に含まれている場合があるが、こういった化合物が炭素原子を含有する有機金属化合物であれば、鉄原子と同時に有機物中の炭素も同時に発光するため鉄原子のみの発光はありえず、遊離の鉄原子としてはカウントされない。
【0161】
また、磁性体の個数平均粒子径としては、0.05〜1.0μmが好ましく、更に好ましくは0.1〜0.6μm、特に好ましくは0.1〜0.4μmである。
【0162】
磁性体の個数平均粒径の測定方法は、電子顕微鏡H−700H(日立製作所製)を用いて、磁性体を50,000倍で撮影し、焼き付け倍率2倍として、最終倍率100,000倍とする。これにより、0.03μm以上の粒子100個をランダムに選び出して、各粒子の最大長(μm)を計測し、その平均をもって個数平均径とする。
【0163】
本発明においてトナーに含有させる磁性体の量は、結着樹脂100質量部に対して10〜200質量部、好ましくは20〜170質量部、更に好ましくは30〜150質量部である。
【0164】
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を添加することが好ましい。
【0165】
本発明に用いられるシリカ微粉末は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲内のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対してシリカ微粉体0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部使用するのが良い。
【0166】
また、本発明に用いられるシリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
【0167】
本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。
【0168】
例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱口ーラー定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子などである。
【0169】
例えば滑剤としては、ポリ弗化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末等が挙げられ、中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。また研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末等が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。流動性付与剤としては、酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末等が挙げられ、中でも疎水性のものが好ましい。導電性付与剤としては、カーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化アンチモン粉末、酸化スズ粉末等が挙げられる。またさらに、逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0170】
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後粉砕及び分級を行い、更に必要に応して所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合し、本発明のトナーを得ることができる。
【0171】
例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサ一(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製)が挙げられ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0172】
次に、図1を参照して、本発明の画像形成装置について説明する。但し、この発明の範囲をそれらに限定するものでない。図1は、画像形成装置の概略断面図である。
【0173】
1は、回転ドラム型の感光体であり、図面上時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転される。742は帯電ローラであり、感光体1面に押圧力をもって圧接され、感光体1の回転に伴い従動回転を行う。743は、帯電ローラ742に電圧を印加するために帯電バイアス電源V2であり、帯電ローラ742にバイアスが印加されることにより、感光体1表面が、所定の極性・電圧に帯電される。次いで、画像露光705により、静電荷像が形成され、現像手段により、トナー画像として順次可視化されていく。
【0174】
帯電ローラを用いた場合の好ましいプロセス条件としては、ローラの当接圧が5乃至500N/mで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=500乃至5000Vpp、交流周波数=50乃至5000Hz、直流電圧=±0.2乃至±1500Vであり、直流電圧=±0.2乃至±1500Vである。
【0175】
現像手段を構成する現像スリーブ704には、現像バイアス電源712より現像バイアスV1が印加される。現像バイアスV1としては、交流バイアス、パルスバイアス、及び/又は直流バイバスが用いられる。現像により潜像保持体上に形成されたトナー像は、転写バイアス電源V3が印加された当接転写手段としての転写ローラ2より転写材P(転写紙)に静電転写され、転写材上のトナー像は、加熱加圧手段である定着ローラ707により、加熱加圧定着される。トナー画像転写をの感光体1面では、転写残りトナー等の付着汚染物質を、感光体1にカウンター方向に圧接した弾性クリーニングブレード708を具備したクリーニング装置で清浄面化され、さらに除電露光装置706により除電され、繰り返し作像される。
【0176】
現像バイアス電源712により現像スリーブ704に印加される現像バイアスは、交流バイアスの場合、交流周波数は200乃至4000Hz、Vppが500乃至3000Vの範囲で用いられる。
【0177】
現像部における磁性トナー粒子の感光体上への転移に際し、感光体表面の静電的力及び交流バイアスまたはパルスバイアスの作用によって、磁性トナー粒子は静電荷像側つまり感光体上に転移する。
【0178】
本発明のトナーを該画像形成装置に適用した場合、感光体/現像スリーブ間の交番電界下におけるトナーの電界応答性が良好であるため、感光体上の静電荷像に対しての現像性、ドット再現性が良好である。特に、Vppを大きくした場合でもカブリやドット再現性の悪化を抑制することができ、高速機に適用した場合の機内昇温環境下において選択現像性を抑制できる。
【0179】
一次帯電手段として、以上の如き接触帯電手段として、帯電ローラ742を用いて説明したが、帯電ブレード、帯電ブラシの如き接触帯電手段でもよく、更には非接触のコロナ帯電手段でも良い。しかしながら、帯電によるオゾンの発生が少ない点で接触帯電方式が好ましい。
【0180】
転写手段としては、以上の如く転写ローラ2を用いて説明したが、転写ローラの如き接触帯電手段でもよく、更に非接触のコロナ転写手段でもよい。しかしながら、こちらも転写によるオゾンの発生が少ない点で接触帯電方式が好ましい。
【0181】
次に、本発明のプロセスカートリッジについて説明する。但し、この発明の範囲をそれらに限定するものではない。
【0182】
図2を参照して、本発明に係るプロセスカートリッジについて説明する。図2はプロセスカートリッジの概略断面図である。
【0183】
プロセスカートリッジは、現像手段と静電荷像保持体とを少なくとも一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体(例えば複写機、レーザービームプリンタ等)に着脱可能な様に形成されている。
【0184】
図2では、現像手段709、ドラム状の静電荷像保持体(感光ドラム)1、クリーニングブレード708aを有するクリーナ708、一次帯電器(帯電ローラ)742を一体としたプロセスカートリッジ750が示されている。
【0185】
また、現像手段709は、磁性ブレード711とトナー容器760内に磁性トナー710を有し、該磁性トナー710を用い、現像時には、バイアス印加手段からのバイアスにより感光体ドラム1と現像スリーブ704との間に所定の電界が形成され、静電荷像を保持した感光体ドラムに該トナーが現像される。
【0186】
次に、本発明の画像形成方法に用いられる好適な加熱定着装置について説明する。ただし、この発明の範囲をそれらに限定するものではない。
【0187】
図3を参照して、本発明に係る加熱装置について説明する。図3は定着装置の概略構成断面図である。
【0188】
定着ローラ31は、例えば外径40mm,厚さ0.7mmの鉄製の芯金シリンダに、表面の離型性を高めるために例えばPTFE10〜50μmや、PFA10〜50μmの層を設けることで構成される。加圧ローラ32は中空芯金44と、その外周面に形成される表面離型性耐熱ゴム層である弾性層45とからなる。この加圧ローラ32の両端には軸受け部が形成され、図示しない定着ユニットフレームに回転自在に取り付けられている。定着ローラ31と加圧ローラ32は回転自在に支持されていて、定着ローラ31のみを駆動する構成になっている。加圧ローラ32は定着ローラ31の表面に圧接していて、圧接部(ニップ部)での摩擦力で従動回転するように配置してある。また加圧ローラ32は、定着ローラ31の回転軸方向に、例えばバネなどを用いた図示しない機構によって加圧されている。加圧ローラ32は例えば約294N(約30kg重)で荷重されて、その場合の圧接部の幅(ニップ部)は約6mmに構成される。もちろん使用条件などを考慮して荷重を変化させてニップ幅を変えてもよい。
【0189】
温度センサー36は定着ローラ31の表面に当接されるように配置され、温度センサー36の検出信号をもとに励磁手段としての励磁コイル33への電力供給を増減させることで、定着ローラ31の表面温度が所定の一定温度になるように自動制御される。
【0190】
搬送ガイド37は、未定着のトナー画像38を担持しながら搬送される転写材49を、定着ローラ31と加圧ローラ32とのニップ部へ案内する位置に配置される。
【0191】
分離爪40は、定着ローラ31の表面に当接または近接して配置されて転写材46が定着ローラ31へ巻き付いてしまうのを防止する。
【0192】
励磁コイル33は、断面T型形状の磁性体コア34(以下コアと称す)の中央突起部に導線を巻き、定着ローラ内周面に沿わせるような構造になるように、PPS、PEEK、フェノール樹脂等の耐熱性樹脂からなるホルダー35の外部に配設されている。この励磁コイル33には、10〜100kHzの交流電流が印加される交流電流によって誘導された磁界は、高透磁率を有した磁界遮断手段としてのコア34に導かれて、発熱手段としての定着ローラ31の内面に磁束と渦電流を発生させ、さらに定着ローラ31の固有抵抗によりジュール熱が発生する。この発熱を増加させるためには、励磁コイル33の巻き数を増やしたり、コア34をフェライト、パーマロイといった高透磁率で残留磁束密度の低いものを用いたり、交流電流の周波数を高くすると良い。なお、コア34は、定着ローラ31の回転軸方向に延びる断面T形状に構成されており、励磁コイル33により励磁して発生した磁界を遮断して、加熱部に向けて磁界を集中させるようになっている。
【0193】
以上のような構成で定着ローラ31の表面温度を定着に最適な所定の190℃で温調させると、励磁コイルには約200W程度の電力の供給が必要である。そのときの励磁コイルの温度は約210℃、磁性体コアの温度は約200℃になる。
【0194】
また1分間に30枚程度の速度で連続で多量に定着した時には、励磁コイルには450W程度の電力の供給が必要で、その時励磁コイルの温度は約230℃、磁性体コアの温度は約220℃になる。したがって、磁性体コアのキュリー温度は連続で多量に定着した場合を考えて220℃以上でなければならない。もし、磁性体コアの温度がそのキュリー温度(強磁性から常磁性に遷移する温度)を超えてしまうと、極端にその超えた部分で電力−発熱変換効率が下がってしまうことになる。
【0195】
なお、以上の説明では加熱部材として定着ローラを用いた場合を示したが、定着ローラの代わりに薄膜金属フィルムからなる構成を採用することももちろん可能である。
【実施例】
以下、具体的実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0196】
<高分子成分の製造例A−1>
Figure 0003789091
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後4時間かけて滴下した。更にキシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた樹脂をA−1とする。
【0197】
<高分子成分の製造例A−2>
製造例A−1において、スチレン79.7質量部、アクリル酸n−ブチル19.9質量部、アクリル酸0.4質量部、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロへキシル)プロパン0.8質量部に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−2を得た。
【0198】
<高分子成分の製造例A−3>
製造例A−1において、スチレン76.8質量部、アクリル酸n−ブチル19.2質量部、メタクリル酸2.8質量部、メタクリル酸グリシジル1.0質量部、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロへキシル)プロパン0.8質量部に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−3を得た。
【0199】
<高分子成分の製造例A−4>
製造例A−1において、スチレン75.2質量部、アクリル酸n−ブチル18.8質量部、メタクリル酸6.0質量部、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロへキシル)プロパン0.8質量部に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−4を得た。
【0200】
<高分子成分の製造例A−5>
製造例A−1において、スチレン74.4質量部、アクリル酸n−ブチル18.6質量部、アクリル酸7質量部、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロへキシル)プロパン0.8質量部に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−5を得た。
【0201】
<高分子成分の製造例A−6>
製造例A−1において、スチレン80質量部、アクリル酸n−ブチル20質量部2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロへキシル)プロパン1質量部に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−6を得た。
【0202】
<高分子成分の製造例A−7>
製造例A−1において、スチレン72.8質量部、アクリル酸n−ブチル18.2質量部、アクリル酸9質量部、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロへキシル)プロパン0.8質量部に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−7を得た。
【0203】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−1>
・高分子成分樹脂A−1 30質量部
・スチレン 55.4質量部
・アクリル酸n−ブチル 13.9質量部
・メタクリル酸 0.7質量部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド 1.4質量部
上記原材料をキシレン200質量部中に4時間かけて滴下した。更に、キシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、このようにして得られた樹脂をB−1とする。
【0204】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−2>
製造例B−1において、高分子成分樹脂A−2を30質量部、スチレン56質量部、アクリル酸n−ブチル14質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.4質量部に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−2を得た。
【0205】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−3>
製造例B−1において、高分子成分樹脂A−3を30質量部、スチレン56質量部、アクリル酸n−ブチル14質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.4質量部に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−3を得た。
【0206】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−4>
製造例B−1において、高分子成分樹脂A−4を30質量部、スチレン53.6質量部、アクリル酸n−ブチル13.4質量部、メタクリル酸3.0質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.4質量部に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−4を得た。
【0207】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−5>
製造例B−1において、高分子成分樹脂A−5を30質量部、スチレン52.8質量部、アクリル酸n−ブチル13.2質量部、アクリル酸4質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.4質量部に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−5を得た。
【0208】
<カルボキシル基を有しないビニル樹脂の製造例B−6>
製造例B−1において、高分子成分樹脂A−6を50質量部、スチレン40質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.0質量部に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−6を得た。
【0209】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−7>
製造例B−1において、高分子成分樹脂A−7を30質量部、スチレン52.8質量部、アクリル酸n−ブチル13.2質量部、アクリル酸4.0質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.4質量部に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−7を得た。
【0210】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−8>
製造例B−1において、高分子成分樹脂A−2を50質量部、スチレン40質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1.0質量部に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−8を得た。
【0211】
<エポキシ基を有するビニル樹脂の製造例C−1>
・スチレン 79.2質量部
・アクリル酸n−ブチル 19.8質量部
・メタクリル酸グリシジル 1質量部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド 5質量部
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し、120℃に昇温させた後4時間かけて滴下した。更にキシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、このように得られた樹脂をC−1とする。
【0212】
<エポキシ基を有するビニル樹脂の製造例C−2>
製造例C−1において、スチレン72質量部、アクリル酸n−ブチル18質量部、メタクリル酸グリシジル10質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド5質量部に変えた以外は製造製C−1と同様に樹脂C−2を得た。
【0213】
<磁性体の合成例D−1>
3.0mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液20リットルを入れた反応容器に、Fe2+が1.5mol/リットルである硫酸第一鉄水溶液20リットルを加え、温度を95℃として、水酸化第一鉄コロイドを含有する第一鉄塩懸濁液を生成した。ここに、毎分100リットルの空気を通気させながら珪素分を28g有するケイ酸ナトリウム水溶液0.2リットルを60分かけて滴下した。その後、30分撹拌してマグネタイトを含む第一鉄懸濁液を得た。ここに、6.0mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを10.0とした。更に、毎分100リットルの空気を通気させながら珪素分を28g有するケイ酸ナトリウム0.1リットルを30分かけて滴下して、その後30分撹拌してマグネタイト粒子を生成させた。ここに、0.5mol/リットルの硫酸アルミニウム水溶液150mlを添加し、十分撹拌した後、マグネタイトを濾別した。このマグネタイトを水洗;乾燥後、解砕して磁性体1を得た。この合成例1で合成した磁性体1は、Fe基準でSiを1.0質量%、Alを0.2質量%含有する。
【0214】
<磁性体の合成例D−2>
製造例D−1において、金属塩の種類、添加量を変更し、Fe基準でTiを2.5質量%、Mnを1.0質量%含有する磁性体2を得た。
【0215】
<磁性体の合成例D−3>
製造例D−1において、金属塩の種類、添加量を変更し、Fe基準でSiを0.3質量%、Tiを2.5質量%含有する磁性体3を得た。
【0216】
<磁性体の合成例D−4>
製造例D−1において、金属塩の種類、添加量を変更し、Fe基準でSiを0.5質量%、Tiを0.8質量%含有する磁性体4を得た。
【0217】
<磁性体の合成例D−5>
製造例D−1において、金属塩の種類、添加量を変更し、Fe基準でSiを1.0質量%含有する磁性体5を得た。
【0218】
<磁性体の合成例D−6>
製造例D−1において、金属塩の種類、添加量を変更して、Fe基準でTiを0.05質量%含有する磁性体6を得た。
【0219】
<磁性体の合成例D−7>
硫酸第一鉄溶液中にFe2+に対して、0.95当量の水酸化ナトリウム水溶液とを混合した後、Fe(OH)2を含む第一鉄塩水溶液の生成を行った。
【0220】
その後、ケイ酸ソーダを鉄元素に対してケイ酸元素換算で、1.0質量%となるように添加した。次いで、Fe(OH)2を含む第一鉄塩水溶液に温度90℃において空気を通気してpH6〜7.5の条件下で酸化反応をさせた。
【0221】
さらに、この懸濁液に、(鉄元素に対してケイ素元素換算)0.1質量%のケイ酸ソーダを溶解した水酸化ナトリウム水溶液を残存Fe2+に対して、1.05当量添加して、さらに温度90℃で加熱しながら、pH8〜11.5の条件下で酸化反応して、ケイ素元素を含有するマグネタイトを生成した。
【0222】
生成したマグネタイトを常法により洗浄、濾過、乾燥した。得られたマグネタイトの一次粒子は、凝集して凝集体を形成しているので、ミックスマーラーを使用してマグネタイトの凝集体に圧縮力及び剪断力を付与して、該マグネタイトを解砕して、磁性体7を得た。この合成例7で合成した磁性体7は、Fe基準でSiを1.1質量%含有する。
【0223】
〔実施例1〕
製造例B−1で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部及び製造例C−1で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンシェルミキサーにて混合後、二軸混練押し出し器にて180℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂1を得た。
【0224】
・上記結着樹脂1 100質量部
・磁性体1 90質量部
・ポリエチレンワックス 4質量部
・トリフェニルメタンレーキ顔料 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に前混合した後、130℃に設定した二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られていた微粉砕物を更に風力分級機で分級し、重量平均径7.5μmの分級微粉体(トナー粒子)を得た。
【0225】
得られた分級微粉体100質量部に、乾式法で製造されたシリカ微粉体(BET比表面積200m2/g)100質量部あたりアミノ変性シリコーンオイル(アミン当量830、25℃における粘度70mm2/s)17質量部で処理した疎水性シリカ0.8質量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。トナー物性を表1にまとめた。このトナーの誘電正接測定チャートを図4に示す。
【0226】
得られたトナー1について、次に示す各評価試験を行った。「評価A」は定着器がハロゲンランプ方式の装置を用いた場合の評価であり、「評価B」は定着器が誘導加熱方式の装置を用いた場合である。
【0227】
評価A:
<画像評価試験>
市販の複写機GP−605(キヤノン(株)社製;交流バイアス印加(Vpp=1,000V、f=2,700Hz)、ハロゲンランプ方式定着、プロセススピード300mm/sec)を用い、常温/常湿環境下(23℃/60%RH)において、印字比率6%のテストチャートを用いて、100,000枚複写し、常温低湿環境下(23℃/5%RH)及び高温高湿環境下(30℃/80%RH)の各環境下において、印字比率6%のテストチャートを用いて、それぞれ、50,000枚複写を行い、画像濃度、カブリ、ドット再現性、クリーニング不良や融着に伴う画像よごれなどの画像評価を行った。
【0228】
画像濃度は、「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて測定した。カブリは、「反射濃度計」(東京電色技術センター社製)を用いて、転写紙の反射濃度とベタ白をコピーした後の転写紙の反射濃度を測定し、その差分をカブリ値とした。
【0229】
ドット再現性の評価方法は、次に示す方法により評価した。1ドット、2ドット、3ドット、4ドットで構成される市松模様の潜像を感光体上にレーザーで形成される画像を測定サンプルとした。このサンプルを拡大鏡にて観察し、市松模様の明確に確認できる画像のドット数をもってドット再現性とする。この数字が小さいほどドット再現性に優れていることを示す。
【0230】
画像汚れは、得られた画像を目視して観察することにより評価した。
◎(優) 全く発生しない
○(良) 微小な汚れが発生するが実用上問題ない
△(可) 斑点状、線上の汚れが発生し、発生、消失を繰り返す。
×(悪い) 汚れが発生し、消失しない
【0231】
これらの画像評価結果を表2にまとめた。
【0232】
評価B:
<画像評価試験>
市販の複写機GP−605(キヤノン(株)社製)の現像部分の交流バイアス値をVpp=2,000V、f=3,000Hzに変更し、定着器部分を図3に示す電磁誘導加熱定着器に変更し、プロセススピードを520mm/secとなるように改造した改造機を用い、常温/常湿環境下(23℃/60%RH)において、印字比率6%のテストチャートを用いて、100,000枚複写し、常温低湿環境下(23℃/5%RH)及び高温高湿環境下(30℃/80%RH)の各環境下において、印字比率6%のテストチャートを用いて、それぞれ、50,000枚複写を行い、画像濃度、カブリ、クリーニング不良や融着に伴う画像汚れなどの画像評価を行った。また、この時、回転加熱部材の発熱層の厚さは6mm,ニップ幅8.0mm,線圧100000N/mとした。
【0233】
画像濃度は、「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて測定した。カブリは「反射濃度計」(東京電色技術センター社製)を用いて、転写紙の反射濃度とベタ白をコピーした後の転写紙の反射濃度を測定し、その差分をカブリ値とした。
【0234】
ドット再現性は、次に示す方法により評価した。1ドット、2ドット、3ドット、4ドットで構成される市松模様の潜像を感光体上にレーザーで形成し、現像した後、転写材にトナー画像を転写したものを、プロセススピードを520mm/secとなるように改造した図3に示す様な外部定着器に通紙した画像を測定サンプルとした。このとき上部定着ローラの表面温度を190℃とした。このサンプルを拡大鏡にて観察し、市松模様の明確に確認できる画像のドット数をもってドット再現性とする。この数字が小さいほどドット再現性が優れていることを示す。
【0235】
画像汚れは、得られた画像を目視にて観察することにより評価した。
◎(優) 全く発生しない
○(良) 微小な汚れが発生するが実用上問題ない
△(可) 斑点状、線上の汚れが発生し、発生、消失を繰り返す
×(悪い) 汚れが発生し、消失しない
【0236】
<定着性試験>
図3に示す様な定着器を複写機外でも動作し、定着温度を任意に設定を可能にし、回転部材の厚さを6mm,ニップ幅8.0mm,線圧100000N/m,プロセススピードを520mm/secとなるように改造した外部定着器を用い、80g/m2紙を用いた未定着画像を通紙することにより定着性を評価した。140〜190℃の温度範囲で5℃おきに温調して、各々の温度で未定着画像の定着を行い、得られた画像を4.9kPaの加重をかけたシルボン紙で往復5回摺擦し、摺擦前後の濃度低下率が10%以下になる点を定着開始温度とした。この温度が低いほど定着性に優れている。
【0237】
<耐オフセット性評価試験>
図3に示す様な定着器を複写機外でも動作し、定着温度を任意に設定を可能にし、回転部材の厚さを6mm,ニップ幅8.0mm,線圧100000N/m,プロセススピードを300mm/secとなるように改造した外部定着器を用い、50g/m2紙を用いた未定着画像を通紙することにより定着性を評価した。190〜240℃の温度範囲で5℃おきに温調して、オフセットの様子を観察し、オフセット発生温度を測定した(評価環境:常温常湿(23℃/60%RH))。また、転写紙は、フェルト面(紙の滑らかな面)に画像形成し試験を行った。
【0238】
これらの画像評価結果を表3にまとめた。
【0239】
〔実施例2〕
製造例B−2で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部と、製造例C−2で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、180℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂2を得た。
【0240】
実施例1において、結着樹脂2に変更する以外は同様にし、トナー2を得た。このトナー2について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0241】
〔実施例3〕
製造例B−3で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部と、製造例C−1で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、180℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂3を得た。
【0242】
実施例1において、結着樹脂3に変更する以外は同様にし、トナー3を得た。このトナー3について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0243】
〔実施例4〕
製造例B−4で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂95質量部と、製造例C−1で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂5質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、180℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂4を得た。
【0244】
実施例1において、結着樹脂4に変更する以外は同様にし、トナー4を得た。このトナー4について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0245】
〔実施例5〕
製造例B−5で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂95質量部と、製造例C−1で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂5質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、170℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂5を得た。
【0246】
実施例1において、結着樹脂5に変更する以外は同様にし、トナー5を得た。このトナー5について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0247】
〔比較例1〕
製造例B−6で得られたカルボキシル基を含まないビニル樹脂90質量部と、製造例C−1で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、180℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂6を得た。
【0248】
実施例1において、結着樹脂6に変更する以外は同様にし、トナー6を得た。このトナー6について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0249】
参考例1
製造例B−7で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部と、製造例C−2で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、200℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂7を得た。
【0250】
実施例1において、結着樹脂7に変更する以外は同様にし、トナー7を得た。このトナー7について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0251】
〔実施例7〕
実施例1において、磁性体2に変更する以外は同様にし、トナー8を得た。このトナー8について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0252】
〔実施例8〕
実施例1において、磁性体3に変更する以外は同様にし、トナー9を得た。このトナー9について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0253】
〔実施例9〕
実施例1において、磁性体4に変更する以外は同様にし、トナー10を得た。このトナー10について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0254】
〔実施例10〕
実施例1において、磁性体5に変更する以外は同様にし、トナー11を得た。このトナー11について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0255】
〔比較例2〕
製造例B−5で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部と、製造例C−2で得られたエポキシ基有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、200℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂8を得た。
【0256】
実施例1において、結着樹脂8に変更する以外は同様にし、トナー12を得た。このトナー12について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0257】
〔比較例3〕
製造例B−8で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部と、製造例C−2で得られたエポキシ基有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、200℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂9を得た。
【0258】
実施例1において、樹脂9に変更する以外は同様にし、トナー13を得た。このトナー13について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0259】
参考例2
実施例1において、磁性体6に変更する以外は同様にし、トナー14を得た。このトナー14について、同様の評価を行った。トナー物性については表1に、評価結果を表2及び3にまとめた。
【0260】
〔実施例12〕
・結着樹脂1 100質量部
・磁性体7 100質量部
・ポリエチレンワックス 4質量部
・モノアゾ系鉄錯体 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に前混合した後、140℃に設定した二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られていた微粉砕物を更に風力分級機で分級し、重量平均径6.7μmの分級微粉体(トナー粒子)を得た。
【0261】
得られた分級微粉体100質量部に、乾式法で製造されたシリカ微粉体(BET比表面積200m2/g)100質量部あたりジメチルジクロロシラン処理した後、ヘキサメチレンジシラザン処理し、ジメチルシリーコンオイル処理をおこなた疎水性シリカ1.2質量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー15を得た。トナー物性を表1にまとめた。
【0262】
得られたトナー15について、次に示す各評価試験を行った。「評価A」は定着器がハロゲンランプ方式の装置を用いた場合の評価であり、「評価B」は定着器が誘導加熱方式の装置を用いた場合である。
【0263】
評価A:
<画像評価試験>
市販のレーザービームプリンタLBP−950(キヤノン(株)社製;交流バイアス印加(Vpp=1,600V、f=2,000Hz)、ハロゲンランプ方式定着、プロセススピード144mm/sec)を用い、プロセスカートリッジに上記磁性トナー15を1000g充填した。この磁性トナー13を充填したプロセスカートリッジをプリンタ本体に装着した。
【0264】
そこで、常温/常湿環境下(23℃/60%RH)において、印字比率6%のテストチャートを用いて、100,000枚複写し、常温低湿環境下(23℃/5%RH)及び高温高湿環境下(30℃/80%RH)の各環境下において、印字比率4%のテストパターンを、20,000枚プリントアウトし、画像濃度、カブリ、ドット再現性、クリーニング不良や融着に伴う画像よごれなどの画像評価を行った。
【0265】
画像濃度は、「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて測定した。カブリは、「反射濃度計」(東京電色技術センター社製)を用いて、転写紙の反射濃度とベタ白をコピーした後の転写紙の反射濃度を測定し、その差分をカブリ値とした。
【0266】
ドット再現性の評価方法は、次に示す方法により評価した。1ドット、2ドット、3ドット、4ドットで構成される市松模様の潜像を感光体上にレーザーで形成される画像を測定サンプルとした。このサンプルを拡大鏡にて観察し、市松模様の明確に確認できる画像のドット数をもってドット再現性とする。この数字が小さいほどドット再現性に優れていることを示す。
【0267】
画像汚れは、得られた画像を目視して観察することにより評価した。
◎(優) 全く発生しない
○(良) 微小な汚れが発生するが実用上問題ない
△(可) 斑点状、線上の汚れが発生し、発生、消失を繰り返す。
×(悪い) 汚れが発生し、消失しない
【0268】
これらの画像評価結果を表2にまとめた。
【0269】
評価B:
<画像評価試験>
市販のレーザービームプリンタLBP−950(キヤノン(株)社製)の現像部分の交流バイアス値をVpp=2,100V、f=2,300Hzに変更し、定着器部分を図3に示す電磁誘導加熱定着器に変更し、プロセススピードを200mm/secとなるように改造した。次にプロセスカートリッジに上記磁性トナー15を1000g充填した。この磁性トナー15を充填したプロセスカートリッジをプリンタ本体に装着した。
【0270】
そこで、常温/常湿環境下(23℃/60%RH)において、印字比率6%のテストチャートを用いて、100,000枚複写し、常温低湿環境下(23℃/5%RH)及び高温高湿環境下(30℃/80%RH)の各環境下において、印字比率4%のテストパターンを、20,000枚プリントアウトし、画像濃度、カブリ、ドット再現性、クリーニング不良や融着に伴う画像よごれなどの画像評価を行った。
【0271】
また、この時、回転加熱部材の発熱層の厚さは3mm,ニップ幅6.0mm,線圧50000N/mとした。
【0272】
画像濃度は、「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて測定した。カブリは「反射濃度計」(東京電色技術センター社製)を用いて、転写紙の反射濃度とベタ白をコピーした後の転写紙の反射濃度を測定し、その差分をカブリ値とした。
【0273】
ドット再現性は、次に示す方法により評価した。1ドット、2ドット、3ドット、4ドットで構成される市松模様の潜像を感光体上にレーザーで形成し、現像した後、転写材にトナー画像を転写したものを、プロセススピードを150mm/secとなるように改造した図3に示す様な外部定着器に通紙した画像を測定サンプルとした。このとき上部定着ローラの表面温度を190℃とした。このサンプルを拡大鏡にて観察し、市松模様の明確に確認できる画像のドット数をもってドット再現性とする。この数字が小さいほどドット再現性が優れていることを示す。
【0274】
画像汚れは、得られた画像を目視にて観察することにより評価した。
◎(優) 全く発生しない
○(良) 微小な汚れが発生するが実用上問題ない
△(可) 斑点状、線上の汚れが発生し、発生、消失を繰り返す
×(悪い) 汚れが発生し、消失しない
【0275】
<定着性試験>
図3に示す様な定着器を外部でも動作し、定着温度を任意に設定を可能にし、回転部材の厚さを3mm,ニップ幅6.0mm,線圧50000N/m,プロセススピードを150mm/secとなるように改造した外部定着器を用い、80g/m2紙を用いた未定着画像を通紙することにより定着性を評価した。140〜190℃の温度範囲で5℃おきに温調して、各々の温度で未定着画像の定着を行い、得られた画像を4.9kPaの加重をかけたシルボン紙で往復5回摺擦し、摺擦前後の濃度低下率が10%以下になる点を定着開始温度とした。この温度が低いほど定着性に優れている。
【0276】
<耐オフセット性評価試験>
図3に示す様な定着器を外部でも動作し、定着温度を任意に設定を可能にし、回転部材の厚さを3mm,ニップ幅6.0mm,線圧50000N/m,プロセススピードを50mm/secとなるように改造した外部定着器を用い、50g/m2紙を用いた未定着画像を通紙することにより定着性を評価した。190〜240℃の温度範囲で5℃おきに温調して、オフセットの様子を観察し、オフセット発生温度を測定した(評価環境:常温常湿(23℃/60%RH))。また、転写紙は、フェルト面(紙の滑らかな面)に画像形成し試験を行った。
【0277】
これらの画像評価結果を表3にまとめた。
【0278】
【表1】
Figure 0003789091
【0279】
【表2】
Figure 0003789091
【0280】
【表3】
Figure 0003789091
【0281】
【発明の効果】
本発明によれば、トナーが、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂、カルボキシル基とエポキシ基を有するビニル樹脂、及びカルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂からなるグループより選択される1種以上のビニル樹脂を少なくとも含有し、特定の温度領域において、トナーの誘電正接が特定の値であるとき、良好な現像性及び耐久性を達成できる。
【0282】
更に、該トナー中のTHF可溶分のGPCにより測定される分子量分布が特定の分子量分布を有する、または、該トナーの結着樹脂成分中に特定のTHF不溶分を有する、更に、トナーのTHF可溶分が特定の酸価を有するとき、上記の効果を向上させることができる。
【0283】
また、該トナーを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジにおいて、良好な現像性、特にドット再現性に優れている。
【0284】
また、電磁誘導加熱方式を採用した画像形成方法にも好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる画像形成装置の概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わるプロセスカートリッジの概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる定着装置の概略構成断面図である。
【図4】本発明の実施例1におけるトナー1の誘電正接特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 潜像担持体(感光体)
2 転写ローラ
3 転写バイアス電源
31 回転加熱部材(定着ローラ)
32 回転加圧部材(加圧ローラ)
33 励磁コイル(磁界発生手段)
34 コア
35 ホルダー
36 温度センサー
37 搬送ガイド
38 トナー画像
40 分離爪
41 発熱層
42 離型層
43 定着画像
44 中空芯金
45 弾性層
46 転写材(記録材)
704 現像スリーブ
705 画像露光
706 除電露光装置
707 定着ローラ
708 クリーナ
708a クリーニングブレード
710 磁性トナー
712 現像バイアス電源
742 一次帯電器(帯電ローラ)
743 帯電バイアス電源
750 プロセスカートリッジ
760 トナー容器

Claims (15)

  1. 少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子を有するトナーにおいて、
    該結着樹脂として、カルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂を少なくとも含有し、
    該トナーの誘電正接(tanδ)において、20乃至150℃の温度範囲で少なくとも極大値と極小値を有し、それぞれ極大値をMax、極小値をMinとしたとき、log10(Max/Min)≦2であって、
    該着色剤が磁性体であり、該磁性体は、長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素aを少なくとも一種類以上含有している磁性酸化鉄であり、該磁性体中に含有される元素aの含有率は、磁性体中のFe基準で、0.1乃至4.0質量%であり、該トナー中に遊離した磁性体が該トナー粒子10,000個当たり70乃至500個存在することを特徴とするトナー。
  2. 該トナー中のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、数平均分子量(Mn)が1,000乃至40,000であり、重量平均分子量(Mw)が10,000乃至10,000,000であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 該トナー中のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、分子量4,000乃至30,000の領域に少なくとも一つのメインピークを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 該分子量分布において、分子量30,000以下のピーク面積が全体のピーク面積に対して、60乃至100%の割合であることを特徴とする請求項3に記載のトナー。
  5. 該トナーの結着樹脂成分は、THF不溶分を0.1乃至60質量%含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
  6. 該トナーのTHF可溶分の酸価が0.1乃至50mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
  7. 該磁性体が、結着樹脂100質量部に対して10乃至200質量部含有されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  8. 該元素aは、Al、Si、P、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Sn、Pbからなるグループより選択される元素であることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載のトナー。
  9. 該元素aは、Al、Si、Ti、Mn、Znからなるグループより選択される元素であることを特徴とする請求項に記載のトナー。
  10. 少なくとも感光体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて可視化してトナー像を形成させる現像手段、該トナー像を転写材に転写させることにより画像を形成する転写手段より構成される画像形成装置において、
    該現像手段が、現像剤担持体において、少なくとも交流バイアスを印加させることによりトナーを静電荷像に付着させ可視画像化するものであり、
    該トナーが少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子を有しており、
    該結着樹脂として、カルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂を少なくとも含有し、
    該トナーの誘電正接(tanδ)において、20乃至150℃の温度範囲で少なくとも極大値と極小値を有し、それぞれ極大値をMax、極小値をMinとしたとき、log10(Max/Min)≦2であって、
    該着色剤が磁性体であり、該磁性体は、長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素aを少なくとも一種類以上含有している磁性酸化鉄であり、該磁性体中に含有される元素aの含有率は、磁性体中のFe基準で、0.1乃至4.0質量%であり、該トナー中に遊離した磁性体が該トナー粒子10,000個当たり70乃至 500個存在することを特徴とする画像形成装置。
  11. 該トナーが、請求項2乃至9のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 感光体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて可視化してトナー像を形成させ、該トナー像を転写材に転写させることにより画像を形成する画像形成装置に用いられ、同装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジにおいて、
    感光体と前記感光体を帯電させる帯電手段と、前記感光体上に静電潜像を形成させる潜像形成手段と、前記トナー像を記録材に転写させる転写手段と、前記転写材にトナー像が転写された後に前記感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段とから選ばれる少なくとも1つの手段が、前記感光体上に形成された前記静電潜像にトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と一体に支持され、該プロセスカートリッジは、静電潜像を保持するための静電潜像保持体及び該静電潜像を現像するためのトナーを少なくとも有しており、該現像手段の現像剤担持体において、少なくとも交流バイアスを印加させることによりトナーを静電荷像に付着させ可視画像化し、
    該トナーが、少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子を有しており、
    該結着樹脂として、カルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂を少なくとも含有し、
    該トナーの誘電正接(tanδ)において、20乃至150℃の温度範囲で少なくとも極大値と極小値を有し、それぞれ極大値をMax、極小値をMinとしたとき、log10(Max/Min)≦2であって、
    該着色剤が磁性体であり、該磁性体は、長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素aを少なくとも一種類以上含有している磁性酸化鉄であり、該磁性体中に含有される元素aの含有率は、磁性体中のFe基準で、0.1乃至4.0質量%であり、該トナー中に遊離した磁性体が該トナー粒子10,000個当たり70乃至500個存在することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  13. 該トナーが、請求項2乃至9のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする請求項12に記載のプロセスカートリッジ。
  14. 加熱加圧手段により記録材上のトナー画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成する画像形成方法において、
    <1>トナー画像を形成しているトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子を有するトナーであり、
    該結着樹脂として、カルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル脂を少なくとも含有し、
    該トナーの誘電正接(tanδ)において、20乃至150℃の温度範囲で少なくとも極大値と極小値を有し、それぞれ極大値をMax、極小値をMinとしたとき、log10(Max/Min)≦2であって、
    該着色剤が磁性体であり、該磁性体は、長周期型の元素周期表の第三周期以降の電気陰性度1.0乃至2.5の元素aを少なくとも一種類以上含有している磁性酸化鉄であり、該磁性体中に含有される元素aの含有率は、磁性体中のFe基準で、0.1乃至4.0質量%であり、該トナー中に遊離した磁性体が該トナー粒子10,000個当たり70乃至500個存在し、
    <2>該加熱加圧手段として、(1)磁界発生手段と、(2)電磁誘導により発熱する発熱層及び離型層を少なくとも有する回転加熱部材と、(3)該加熱部材とニップを形成している回転加圧部材を少なくとも有する加熱加圧手段を使用し、
    該回転加熱部材を記録材を介して該回転加圧部材を押圧しながら該記録材上のトナー画像を加熱加圧定着して記録材に定着画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  15. 該トナーが、請求項2乃至9のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする請求項14に記載の画像形成方法。
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