JP3788493B2 - ノルボルネン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低線膨張係数であり、低吸湿性にも優れた樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた各種成形品、電子部品封止用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、60重量%以上の充填剤とエポキシ樹脂とからなる樹脂組成物は、優れた耐熱性から、電子部品封止材料として広く利用されている。
しかし、上記エポキシ樹脂は吸水率が十分に小さくないために、樹脂中の水分の影響でパッケージクラックが発生したり、樹脂を通して浸透した水分が半導体チップやリードフレーム、金線の腐食の原因となっていた。
本来、封止材料は上記半導体チップや金属リードフレーム界面の剪断応力を低減する目的で、充填剤の配合量を極力増やして線膨張係数を低減させるのが好ましいが、充填剤の配合量を増加して封止樹脂の配合量を低下させると、充填剤と充填剤の間の層間の封止樹脂の厚みが薄くなって強度が低下し、水分によるパッケージクラックがさらに発生がしやすくなって、金属の腐食が促進される。
以上のことから、充填剤の添加量を十分に増やして線膨張係数を低下させて、尚且つ耐パッケージクラック性を満足するような封止材料は見出されてはいなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低線膨張係数と耐パッケージクラック性のいずれにも優れた樹脂組成物及び該樹脂組成物を使用した電子部品用封止材料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、封止材料として低吸水性、強度特性に優れたノルボルネン系開環重合体を用いることで、充填剤の配合量を増加してもパッケージクラックの発生が大幅に低減でき、その結果金属の腐食も低減されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
かくして本発明によれば、(1)ノルボルネン系開環重合体を1〜40重量%と、充填剤を99〜60重量%とを含有してなるノルボルネン系樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、(2)充填剤の平均粒径が0.5〜30ミクロンである請求項1記載のノルボルネン系樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、(3)(1)乃至(2)いずれか記載のノルボルネン系樹脂組成物を用いた成形物が提供される。
本発明によれば、(4)(3)記載の成形物を使用した電子部品封止材料が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施の形態について、項目に分けて説明する。
【0007】
(ノルボルネン系樹脂組成物)
本発明のノルボルネン系樹脂組成物は、ノルボルネン系開環重合体1〜40重量部と充填剤60〜99重量部からなるものである。
【0008】
〔ノルボルネン系重合体〕
本発明で用いるノルボルネン系重合体は、重合体の全繰返し単位中に、ノルボルネンやエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンなどのノルボルネン系単量体の繰返し単位を含有するものであり、その結合様式は、該ノルボルネン系単量体のノルボルネン環由来の炭素−炭素不飽和結合を開環重合したものである。
【0009】
(1)ノルボルネン系単量体
本発明で用いるノルボルネン系単量体は、特開平5−320268や特開平2−36224などに記載されているノルボルネン環を有する脂環族系単量体であり、代表例として(a)ノルボルネン、テトラシクロドデセン、これらのアルキル置換体などの如き、重合反応に関与する炭素−炭素不飽和結合以外の不飽和結合を持たない単量体、(b)エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、エチリデテトラシクロドデセン、ジシクロペンタジエンなどの如き、重合反応に関与する炭素−炭素不飽和結合以外の不飽和結合を持つ単量体、(c)ジメタノテトラヒドロフルオレン、フェニルノルボルネンなどの如き、芳香環を持つ単量体、(d)メトキシカルボニルノルボルネン、メトキシカルボニルテトラシクロドデセンなどの如き、極性基を有する単量体などが挙げられる。これらのノルボルネン環を有する脂環族系単量体は、それぞれ独立で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
本発明のノルボルネン系開環重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)で表すと、1,000〜500,000、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは5,000〜250,000、最も好ましくは10,000〜200,000の範囲である。
数平均分子量が過度に小さいと、機械強度が低下し、逆に数平均分子量が過度に大きいと該重合体の粘度が大きすぎて充填剤が均一分散せずに十分な効果が得られない。よって数平均分子量が上記範囲にあると、機械強度と、粘度及び充填剤の均一分散性が適度にバランスされて特に好ましい。
【0011】
重合体のガラス転移温度はDSC測定にて80〜250℃、好ましくは90〜200℃、より好ましくは100〜190℃である。重合体のガラス転移温度が上記範囲にあると、特に電子部品などの実装温度や信頼性試験温度などの高温領域での機械強度の低下や線膨張係数の増加が小さく、粘度特性にも優れるために充填剤配合の効果が向上する。
【0012】
また、重合体が長鎖のアルキル基を有していると、該重合体の有機溶媒に溶解させた時等の粘度が低下して、充填剤の分散性が向上し、さらには重合体の可トウ性が向上して充填剤との界面の密着性が向上する。
【0013】
(2)変性重合体
本発明で用いるノルボルネン系重合体は、充填剤との界面密着性向上を目的として、極性基を導入したものであっても良い。
【0014】
極性基の導入は、該重合体を変性する方法と極性基を有する単量体を共重合する方法の何れであっても良く、具体的には、例えば(1)極性基含有不飽和化合物をグラフト変性によって付加する方法、(2)該重合体中に炭素−炭素不飽和結合が存在する場合には、該不飽和結合に直接極性基を付加する方法、(3)該重合体の重合の際に、予め極性基を持った単量体を共重合する場合などが挙げられる。
極性基は、有機、無機充填剤との界面密着性が向上するような極性基であれば特に制限はされず、その具体例としてエポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、シラノール基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アシル基、スルホン基などが挙げられる。中でも特に充填剤との界面密着性に優れるの理由から、エポキシ基、ヒドロキシル基、シラノール基、アミノ基、カルボキシル基などが好ましい。
【0015】
〔充填剤〕
本発明において用いられる充填剤は、特に線膨張係数の低減と機械強度(強靭性)の向上を目的とするものであり、本目的の範囲内においては無機または有機充填剤のいずれでも構わないが、耐熱性、低吸水性などの観点から無機充填剤が好ましい。
(1)無機充填剤
無機充填剤としては、特に限定はないが、例えば、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質ないし微粉化カルシウム、特殊カルシウム系充填剤)、クレー(ケイ酸アルミニウム;霞石閃長石微粉末、焼成クレー、シラン改質クレー)タルク、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ケイ藻土、ケイ砂、軽石粉、軽石バルーン、スレート粉、雲母粉、アスベスト(石綿)、アルミナコロイド(アルミナゾル)、アルミナ・ホワイト、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト(黒鉛)、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、発泡ガラスビーズ、フライアッシュ球、火山ガラス中空体、合成無機中空体、単結晶チタン酸カリ、カーボン繊維、炭素中空球、無煙炭粉末、人造氷晶石(クリオライト)、酸化チタン、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドワマイト、チタン酸カリウム、、亜硫酸カルシウム、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維などが挙げられる。
【0016】
これらの無機充填剤の中でも、耐熱性、低吸水率、誘電特性、低不純物性、均一性、放熱性等に優れる理由から、特にシリカ、アルミナなどが好ましく、中でも粒径分布が狭く、形状の安定性、純度、低線膨張係数などの理由により溶融シリカ、合成真球シリカ、合成真球アルミナなどがより好ましい。
【0017】
(2)有機充填剤
有機充填剤としては、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、フッ素繊維、エボナイト粉末、熱硬化性樹脂中空球、熱硬化性樹脂フィラー、エポキシ樹脂フィラー、シリコン系フィラー、サラン中空球、セラック、木粉、コルク粉末、ポリビニルアルコール繊維、セルロースパウダ、木材パルプ、などが挙げられる。
これらの中でも、特に、耐熱性(熱分解温度が高い)、機械特性、などに優れる理由からエポキシ樹脂フィラー、シリコン系フィラー、熱硬化性樹脂中空球、フッ素繊維などが好ましく、線膨張係数が小さい熱硬化性樹脂フィラーがより好ましい。
【0018】
これらの充填剤は、樹脂と充填剤間の濡れ性向上及び接着性の向上を目的として、エポキシシラン、アミノシラン、チタネート、アルミキレート、ジルコアルミネート等のシランカップリング剤、またはシリコンオイル等で表面処理を行っても構わない。
【0019】
これらの充填剤は、1種類のみを使用しても2種以上を組み合わせて使用しても構わないが、最密充填が可能で配合量が増加できるように、粒径の異なるものを2種類以上組み合せて使用するのが好ましい。
【0020】
充填剤の平均粒径は、通常0.5〜30ミクロン、好ましくは1.0〜25ミクロン、より好ましくは2.0〜20ミクロンである。平均粒径が小さすぎると、充填剤が凝集しやい、などの問題が生じる。平均粒径が大きすぎると、同一添加量(同一体積分率)に対する充填剤の表面積が小さくなり、線膨張係数の低減効果が十分発揮できない等の問題が生じる。よって充填剤配合量が上記範囲にあるときに、充填剤の分散性、線膨張係数の低減効果などの特性が高度にバランスされて好適である。
【0021】
また、さらには分散性をより向上させ、最密充填が可能になることで配合量が増加でき、その結果線膨張係数の低減効果が向上するように、粒径の異なる2種類以上の充填剤を使用するのが好ましい。
【0022】
具体的には、例えば2種類の粒径の充填剤を併用する場合には、夫々の粒径が上記範囲内において、その粒径比率が通常0.015〜0.5、好ましくは0.025〜0.4、より好ましくは0.03〜0.3である。
【0023】
これらの充填剤の配合量は、組成物全体を100重量%として、通常60〜99重量%、好ましくは70〜95重量%、最も好ましくは75〜90%である。配合量が少ない場合は十分な線膨張低減効果が発現せず、多すぎる場合は分散性が悪くなったり、流動性が低下して逆効果が生じる場合があるために、充填剤の配合量が上記範囲にあると、線膨張係数低減および機械強度の向上効果と、分散性が高度にバランスされて好適である。
配合方法は通常の攪拌羽根による攪拌以外にホモジナイザー、ボールミル、3本ロールミル、1軸または2軸押出し機等により、専断応力をかけながら配合すると、分散性がより向上して好ましい。
【0024】
〔硬化剤〕
本発明のノルボルネン系樹脂組成物は、さらに耐熱性を向上させ、線膨張係数を低減させる目的で、硬化剤を用いて硬化させてもよい。
本発明において使用する硬化剤は特に限定はされないが、(1)有機過酸化物、(2)熱により効果を発揮する硬化剤、(3)光により効果を発揮する硬化剤、などが用いられる。
(1)有機過酸化物
有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキシドなどのハイドロパーオキシド類;ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキシド類:オクタノイルパーオキシド、イソブチリルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類;パーオキシジカーボネートなどのパーオキシエステル類;が挙げられる。
これらの中でも、硬化後の樹脂の性能から、ジアルキルパーオキシドが好ましく、アルキル基の種類は、成形温度によって変えるのことができる。
【0025】
(2)熱により効果を発揮する硬化剤
熱により効果を発揮する硬化剤は、加熱によって架橋反応させうる硬化剤であれば特に限定されないが、ジアミン、トリアミンまたはそれ以上の脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミンビスアジド、酸無水物、ジカルボン酸、多価フェノール、ポリアミドなどが挙げられる。具体的な例としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、などの脂肪族ポリアミン;ジアミノシクロヘキサン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン;1,3−(ジアミノメチル)シクロヘキサン、メンセンジアミン、イソホロンジアミンN−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ポリアミン;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、メタフェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン類;4,4−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、2,2’−ジアジドスチルベンなどのビスアジド;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性環状オレフィン樹脂等の酸無水物類;フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸等のジカルボン酸類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等の多価フェノール類;トリシクロデカンジオール、ジフェニルシランジオール、エチレングリコール及びその誘導体、ジエチレングリコール及びその誘導体、トリエチレングリコール及びその誘導体などの多価アルコール類;ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−612、ナイロン−12、ナイロン−46、メトキシメチル化ポリアミド、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド等のポリアミド類;等が挙げられる。
これらは、1種でも2種以上の混合物として使用しても良い。これらの中でも、硬化物の耐熱性、機械強度、密着性、誘電特性(低誘電率、低誘電正接)に優れるなどの理由により、芳香族ポリアミン類、酸無水物類、多価フェノール類、多価アルコール類が好ましく、中でも4,4−ジアミノジフェニルメタン(芳香族ポリアミン類)、無水マレイン酸変性環状オレフィン樹脂(酸無水物)、多価フェノール類などが特に好ましい。
また、必要に応じて硬化促進剤を配合して、架橋反応の効率を高めることも可能である。
前記硬化剤の配合量は、特に制限はないものの、架橋反応を効率良く行わしめ、且つ、得られる硬化物の物性改善を図ること及び経済性の面などから、該重合体100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の範囲で使用される。硬化剤の量が少なすぎると架橋が起こりにくく、十分な耐熱性、耐溶剤性を得ることができず、また多すぎると架橋した樹脂の吸水性、誘電特性などの特性が低下するため好ましくない。よって配合量が上記範囲にある時に、これらの特性が高度にバランスされて好適である。
【0026】
また、硬化促進剤としては、ピリジン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、イミダゾール類等のアミン類などが挙げられ、硬化速度の調整を行ったり、架橋反応の効率をさらに良くする目的で添加される。硬化促進剤の配合量は、特に制限はないものの、前述の重合体100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の範囲で使用され、配合量がこの範囲にあるときに、架橋密度と、誘電特性、吸水率などが高度にバランスされて好適である。また、なかでもイミダゾール類が誘電特性に優れて好適である。
【0027】
(3)光により効果を発揮する硬化剤
光により効果を発揮する硬化剤は、g線、h線、i線等の紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の活性光線の照射により、該重合体と反応し、架橋化合物を生成する光反応性物質であれば特に限定されるものではないが、例えば芳香族ビスアジド化合物、光アミン発生剤、光酸発生剤等が挙げられる。
【0028】
芳香族ビスアジド化合物の具体例としては、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフォン、4,4’−ジアジドベンゾフェノン、4,4’−ジアジドジフェニル、2,7−ジアジドフルオレン、4,4’−ジアジドフェニルメタン等が代表例として挙げられる。これらは、1種類でも2種類以上組み合わせても使用できる。
【0029】
光アミン発生剤の具体例としては、芳香族アミンあるいは脂肪族アミンのo−ニトロベンジロキシカルボニルカーバメート、2,6−ジニトロベンジロキシカルボニルカーバメートあるいはα,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジロキシカルボニルカーバメート体等が挙げられ、具体的には、アニリン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラアミン、1,3−(ジアミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンなどのo−ニトロベンジロキシカルボニルカーバメート体が挙げられる。これらは、1種類でも2種類以上組み合わせても使用できる。
【0030】
光酸発生剤とは、活性光線の照射によって、ブレンステッド酸あるいはルイス酸を生成する物質であって、例えばオニウム塩、ハロゲン化有機化合物、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α−スルホニル−ジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物等が挙げられる。
これらの活性光線の照射により解裂して酸を生成可能な化合物は、単独でも2種類以上混合して用いても良い。
【0031】
これらの光反応性化合物の添加量は、特に制限はないものの、該重合体との反応を効率良く行わしめ、且つ得られる架橋樹脂の物性を損なわないこと及び経済性などの面から、該重合体100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の範囲で使用される。光反応性物質の添加量が少なすぎると架橋が起こりにくく、十分な耐熱性、耐溶剤性を得ることができず、また多すぎると架橋した樹脂の吸水性、誘電特性などの特性が低下するため好ましくない。よって配合量が上記範囲にある時に、これらの特性が高度にバランスされて好適である。
【0032】
〔添加剤〕
本発明の樹脂組成物は、以下に記載するような添加剤が配合されていても良い。
(1)難燃剤
難燃剤は必須成分ではないが、特に電子部品用に使用するには添加するのが好ましい。難燃剤としては、特に制約はないが、硬化剤によって分解、変性、変質しないものが好ましく、通常ハロゲン系難燃剤が用いられる。
ハロゲン系難燃剤としては、塩素系及び臭素系の種々の難燃剤が使用可能であるが、難燃化効果、成形時の耐熱性、樹脂への分散性、樹脂の物性への影響等の面から、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモジフェニル、ヘキサブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、デカブロモジフェニルオキサイド、ペンタブロモシクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールA、及びその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)等]、テトラブロモビスフェノールS、及びその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールS−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等]、テトラブロモ無水フタル酸、及びその誘導体[例えば、テトラブロモフタルイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド等]、エチレンビス(5,6−ジブロモノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)、トリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イソシアヌレート、ヘキサクロロシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応の付加物、トリブロモフェニルグリシジルエーテル、トリブロモフェニルアクリレート、エチレンビストリブロモフェニルエーテル、エチレンビスペンタブロモフェニルエーテル、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキサイド、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリカーボネート、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、オクタブロモナフタレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン等を使用するのが好ましい。
【0033】
リン系難燃剤としては、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェートなどの脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルフホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリ(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリ(t―ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどの芳香族リン酸エステルなどのノンハロゲン系リン酸エステル難燃剤が挙げられる。
【0034】
難燃剤の添加量は、ノルボルネン系重合体100重量部に対して、通常3〜150重量部、好ましくは10〜140重量部、特に好ましくは15〜120重量部である。
難燃剤の難燃化効果をより有効に発揮させるための難燃助剤として、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、三塩化アンチモン等のアンチモン系難燃助剤を用いることができる。これらの難燃助剤は、難燃剤100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部の割合で使用する。
【0035】
(2)その他のポリマー成分
また、本発明においては、樹脂組成物に柔軟性等を付与する目的で、必要に応じてゴム質重合体やその他の熱可塑性樹脂を配合することができる。
ゴム質重合体は、常温(25℃)以下のガラス転移温度を持つ重合体であって、通常のゴム状重合体および熱可塑性エラストマーが含まれる。ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、使用目的に応じて適宜選択され、通常5〜200である。
ゴム状重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体;エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、エテレン−ブチルアクリレートなどのエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリソブレン、スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンのランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのジエン系ゴム;ブチレン−イソプレン共重合体などが挙げられる。
【0036】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、エチレン系アイオノマー樹脂などを挙げることができる。これらの熱可塑性エラストマーのうち、好ましくは、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体などであり、具体的には、特開平2−133406号公報、特開平2−305814号公報、特開平3−72512号公報、特開平3−74409号公報などに記載されているものを挙げることができる。
その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテートなどが挙げられる。
これらのその他のポリマー成分は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、絶縁材料の特性を損なわせないためには30重量部以下であるのが好ましい。
【0037】
(3)その他の配合剤
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、耐熱安定剤、耐候安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどのその他の配合剤を適量添加することができる。
具体的には、例えば、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′−オキザミドビス[エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系酸化防止剤;トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブリルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系安定剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル;合成ハイドロタルサイト;アミン系の帯電防止剤;フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤など塗料用レベリング剤;シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等のカップリング剤;可塑剤;顔料や染料などの着色剤;などを挙げることができる。
【0038】
(成形物)
本発明のノルボルネン系樹脂組成物は、成形物として各種成形部品に利用することができる。成形物の形態としては、(1)熱可塑性樹脂の状態で射出成形、プレス形成、圧縮成形法などによって成形物に加工しても良いし、(2)有機溶媒に溶解させた溶液を、溶媒を除去しながらポッティング法、注型成形法などによって成形物にし、硬化させても良い。さらには、(3)トランスファー成形などにより熱硬化型の成形物としてもよい。
(1)熱可塑性樹脂としての成形物
熱可塑性樹脂として成形した成形物の場合には、コネクター、リレー、コンデンサなどの電子部品;トランジスターやIC,LSIなど半導体素子の射出成形封止部品などの電子部品に、光学レンズ鏡筒、ポリゴンミラー、Fθミラーなどの部品として有効である。(2)溶液として使用する場合
有機溶媒に溶解させた状態で使用する場合は、半導体素子などのポッティング、注型用封止材料などの用途に有効である。
(3)トランスファー成形して使用する場合
トランスファー成形材料として使用する場合には、半導体素子のパッケージ(封止)材料などとして有効である。
【0039】
(フィルム)
本発明のノルボルネン系樹脂組成物は、フィルムや膜の形態として使用することができる。フィルムとして使用する場合は、該ノルボルネン系樹脂を有機溶媒に溶解させた状態のものを、予めキャスト法などによりフィルムに形成して使用する場合、溶液をコートした後に溶媒を除去してオーバーコート膜として使用する場合などがある。具体的には、例えば積層板の絶縁シート、層間絶縁膜、半導体素子の液状封止材料、オーバーコート材料などとして有効である。
【0040】
【実施例】
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(1)ガラス転移温度は、DSC法により測定した。
(2)分子量は特に記載しない限り、トルエンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。
(3)主鎖の水素添加率、ポリマーの変性率は1H−NMRにより測定した。
(4)1MHzにおける誘電率、誘電正接はJIS C6481に準じて測定した。
(5)常温での曲げ強度、引張強度、引張伸び率、および85℃×85%RH×300時間の条件下での吸水率はJIS K6911に準拠して測定した。
(6)ガラス転移温度はTMAによって測定した。
(7)また純度の指標としてプレッシャークッカー試験PCT(160℃×20時間、4気圧)にかけ、その抽出水をイオンクロマトグラフィー測定器によって塩素イオン、及び金属イオン量を測定し、その合計量で算出した。
(8)温度サイクル試験(TCT)は−55℃(30min)〜室温(5min)〜150℃(30min)〜室温(5min)の温度サイクルを500回繰り返すことで温度衝撃を加え、クラック発生の有無を調べた。
(9)プレッシャークッカー試験(PCT)は湿度100%、105℃の環境下に300時間放置し、不良発生の有無を調べた。
(10)尚、実施例中、[部]及び[%]にて記載されているものは特に断りのない限り[重量部]及び[重量%]のことである。
【0041】
(合成例1)
六塩化タングステン、トリイソブチルアルミニウム、イソブチルアルコールを重合触媒として用い、公知の方法により8-エチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−3−ドデセン(以下ETDと略す)を重合し、さらにニッケルアセチルアセトナートとトリイソブチルアルミニウムを用いて公知の方法により水素化したETDの開環重合体水素化物(水素化率≧99%、Tg=138℃、Mn=18,500、Mw=31,600)100部に対して、無水マレイン酸30部、ジクミルパーオキシド10部、tert−ブチルベンゼン300部を混合し、オートクレーブ中にて150℃、4時間反応を行った後、反応液を上記と同様にして凝固、乾燥し、無水マレイン酸変性ポリマー(A)を得た。それぞれの物性は、Tg=166℃、Mn=16,400、Mw=35,200、変性率28モル%であった。
【0042】
(合成例2)
無水マレイン酸30部をアリルグリシジルエーテル30部に代える以外は、合成例1と同様にしてエポキシ変性ポリマー(B)を得た。それぞれの物性は、Tg=160℃、Mn=17,100、Mw=36,900、変性率24モル%であった。
【0043】
(合成例3)
合成例1で得られた開環重合体水素化物100部に対して、ジクミルパーオキサイド1.0部、ビニルトリメトキシシラン3.0部を添加し、2軸押出機を用いて樹脂温度240℃にて加熱混錬してシラン変性ポリマー(C)を得た。それぞれの物性は、Tg=141℃、Mn=13,100、Mw=41,100、変性率10モル%であった。
【0044】
(実施例1〜2)
[液状封止剤の調整]
上記変性ポリマー(A)〜(B)夫々20部に対して、硬化剤としてジシアンジアミドを10部、硬化促進剤として2-エチル−4−メチルイミダゾールを1部配合し、さらに粒径の異なる2種類の充填剤として、(1)溶融シリカ(平均粒径20μm)を75部、(2)合成真球シリカ(平均粒径2μm)を5部配合した後、得られた樹脂組成物を、溶媒としてキシレンに固形分濃度60%になるように溶解させて、液状封止材料を調製した。
【0045】
[半導体チップの封止]
ガラスエポキシ多層基板上に、ワイヤーボンディング法によってベアチップ実装されたDRAM用半導体チップ上に、得られた液状封止材料を塗布し、85℃、30分溶媒を除去乾燥した後、170℃、4時間で封止材料を完全硬化させて半導体パッケージを製造した。
【0046】
得られた半導体パッケージを用い、前述(8)、(9)の信頼性試験を実施したところ、不良率はいずれも3%以下と良好であった。
【0047】
[実施例3]
変性ポリマー(C)を用い、硬化剤としてジクミルパーオキサイド(DCP)を10部、硬化促進剤としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を30部配合する以外は実施例1同様の方法で半導体パッケージを製造して評価した結果、不良率は同様にいずれも3%以下と良好であった。
【0048】
参考例1]変性ポリマー(A)25部を用い、粒径の異なる2種類の充填剤として、(1)溶融シリカ(平均粒径25μm)を70部、(2)合成真球アルミナ(平均粒径5μm)を5部配合した後、得られた樹脂組成物を、溶媒としてキシレンに固形分濃度60%になるように溶解させて、液状封止材料を調製する以外は、実施例1同様の方法で半導体パッケージを製造して評価した結果、不良率は同様にいずれも3%以下と良好であった。
【0049】
参考例2]変性ポリマー(A)32部に対して、粒径の異なる2種類の充填剤として、(1)溶融シリカ(平均粒径20μm)を65部、(2)合成真球シリカ(平均粒径2μm)を3部配合した後、得られた樹脂組成物を、溶媒としてキシレンに固形分濃度60重量%になるように溶解させて、液状封止材料を調製する以外は、実施例1同様の方法で半導体パッケージを製造して評価した結果、不良率はTCT5%、PCT3%以下と良好であった。
【0050】
[比較例1]
従来公知の液状封止剤用エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型混合タイプ)20部に対し、硬化剤としてジシアンジアミドを10部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールを5部配合し、さらに粒径の異なる2種類の充填剤として、実施例1同様に(1)溶融シリカ、及び(2)合成真球シリカを配合した後、得られた樹脂組成物を、溶媒としてキシレンに固形分濃度60重量%になるように溶解させて、液状封止材料を調整した。
【0051】
[半導体チップの封止]
ガラスエポキシ多層基板上に、ワイヤーボンディング法によってベアチップ実装されたDRAM用半導体チップ上に、得られた液状封止材料を塗布し、85℃、30分溶媒を除去乾燥した後、170℃、4時間で封止材料を完全硬化させて半導体パッケージを製造した。
【0052】
得られた半導体パッケージを用い、前述(8)、(9)の信頼性試験を実施したところ、不良率はそれぞれTCT10%及びPCT15%であった。
【0053】
[比較例2]
粒子の異なる2種類の充填剤の配合量を、ポリマー(A)48部に対して、それぞれ50部及び2部添加する以外は実施例1同様の方法で半導体パッケージを製造して評価した結果、PCT試験結果は不良率3%以下で良好であったものの、TCT試験においては不良率10%であった。
【0054】
[実施例]得られたポリマー(A)20部に、硬化剤としてジシアンジアミドを10部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールを5部配合し、さらに難燃剤として臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EPI152:大日本インキ化学工業株式会社製)30部、難燃助剤としてSbを10部、粒径の異なる2種類の充填剤として、(1)溶融シリカ(平均粒径20μm)を75部、(2)合成真球シリカ(平均粒径2μm)を5部配合した後、その他配合剤としてカルバナワックス2部、カーボンブラック1.5部を加え半導体封止材料を作成した。
【0055】
上記の如く調製された封止材料は熱ロールにて100℃×8分間混練し、その後粉砕したものを1200〜1400kg/cm2の圧力にてタブレットを作成し、それを用いてトランスファ成形機にてプランジャー圧力80kg/cm2、金型温度175℃、成形時間100秒の条件下にて評価用試験片(半導体素子を封止したパッケージ)を作成した。その後175℃で8時間の後硬化を施した。それを用いて実施例3同様の温度サイクル試験(TCT)、およびプレッシャークッカー試験(PCT)を行った。この時のクラック発生率を調べた結果いずれも3%と良好であった。
【0056】
[比較例3]変性ポリマー48部に対して粒径の異なる2種類の充填剤として、(1)溶融シリカ(平均粒径20μm)を50部、(2)合成真球シリカ(平均粒径2μm)を2部配合する以外は実施例同様の方法によってタブレットを作成し、半導体素子を封止した試験片で信頼性試験を実施した結果、TCT、PCTでの不良率は夫々10%、15%であった。
【0057】
以上、実施例、比較例の結果より、低吸水性、強度特性に優れる、充填剤の添加量が多い本発明の樹脂組成物は、ヒートサイクル試験や、プレッシャー・クッカー試験において、耐パッケージクラック性に優れる反面、吸水率が大きく、機械強度も不十分なエポキシ樹脂に充填剤を多量に配合した封止材料は、耐パッケージクラック性が不十分であることが確認された。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、低吸水性、強度特性に優れる樹脂組成物、該樹脂組成物からなる電子部品封止材料が提供される。さらに本発明によれば該封止材料を用いた耐パッケージクラック性に優れる半導体パッケージが提供される。本発明の電子部品封止材料は、電気・電子機器分野において特に高信頼性の要求される半導体パッケージ用封止材料などとして、広範な分野において有用である。

Claims (6)

  1. ノルボルネン系開環重合体を1〜40重量部、充填剤を99〜60重量部、および硬化剤を含有してなるノルボルネン系樹脂組成物。
  2. 前記ノルボルネン系樹脂組成物中の、充填剤の量が70〜95重量%である請求項1記載のノルボルネン系樹脂組成物。
  3. 前記ノルボルネン系樹脂組成物中の、充填剤の量が75〜90重量%である請求項1記載のノルボルネン系樹脂組成物。
  4. 前記充填剤が粒径の異なる2種類以上の充填剤からなるものである、請求項1乃至3いずれか記載のノルボルネン系樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4いずれか記載のノルボルネン系樹脂組成物を用いた成形物。
  6. 請求項5記載の成形物を使用した電子部品封止材料。
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