JP3788492B2 - 同期モータの回転子の回転位置検出方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は同期モータの回転子の回転位置検出方法およびその装置に関し、さらに詳細にいえば、同期モータの固定子巻線の第1中性点電圧と、同期モータの固定子巻線と互いに並列接続された抵抗の第2中性点電圧とに基づいて同期モータの回転子の回転位置を検出するための方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスDCモータなどの同期モータを制御するに当っては、回転子の回転位置を検出し、回転子の回転位置に対応させて固定子巻線に駆動電圧を印加することが必要である。したがって、回転子の回転位置を検出することが必須である。
【0003】
図7は従来のブラシレスDCモータ制御装置を示す概略図である。
この制御装置は、直流電源31を三相インバータ32に印加し、三相インバータ32からの出力電圧をブラシレスDCモータ33のY結線された固定子巻線33a,33b,33cに印加している。なお、33dは回転子である。
そして、固定子巻線33a,33b,33cと並列に接続された抵抗34a,34b,34cにも三相インバータ32からの出力電圧を印加している。したがって、固定子巻線33a,33b,33cの接続点において第1の中性点電圧VNが得られ、抵抗34a,34b,34cの接続点において第2の中性点電圧VMが得られる。
【0004】
この第1の中性点電圧VNと第2の中性点電圧VMが積分回路35に供給され、両中性点電圧の差電圧VMNの積分信号∫VMNdtが得られ、この積分信号∫VMNdtがゼロクロスコンパレータ36に供給され、ゼロクロス点でレベルが反転する回転位置検出信号が得られる。
また、積分信号∫VMNdtはコンパレータ37に供給され、所定の基準電圧と比較され、比較結果信号がフリップフロップ回路38に供給され、積分信号レベル検出信号を出力する。
【0005】
そして、回転位置検出信号および積分信号レベル検出信号をマイコン39に供給し、マイコン39において所定の処理を行ってインバータ波形指示信号を出力し、ドライブ回路40を介して三相インバータ32の各制御端子に供給する。
なお、直流電源31と三相インバータ32との間に電流検出器41を設け、検出電流を過電流検出回路42に供給し、過電流検出信号をマイコン39に供給し、過電流検出時の処理(例えば、インバータ32を停止させる処理)を行うようにしている。また、コンパレータ37に与えられる基準電圧は、マイコン39からの比較レベル設定信号に基づいて設定されるようにしている。さらに、フリップフロップ回路38はマイコン39からのリセット信号によりリセットされるようにしている。
【0006】
図8は上記の構成のブラシレスDCモータ制御装置の回転位置検出に関連する部分の信号波形を示す図である。
ブラシレスDCモータ33の固定子巻線33a,33b,33cの誘起電圧は図8中(A)(B)(C)に示すように、位相が互いに120度ずれている。そして、差電圧VMNが図8中(D)に示すようになる。したがって、この差信号VMNを積分することにより、図8中(E)に示すように積分信号∫VMNdtが得られる。そして、この積分信号∫VMNdtのゼロクロスでレベルが反転する回転位置信号SINTが得られる{図8中(F)参照}。
【0007】
そして、このようにして得られた回転位置信号SINTに基づいてインバータ32を制御することにより、ブラシレスDCモータ33を駆動することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構成のブラシレスDCモータ制御装置を採用した場合には、実際の差電圧VMNには、モータ巻線電流による電圧降下などに起因する電圧が重畳し、正確な誘起電圧に対して、遅れ方向にシフトする{図9中(A)参照}。したがって、差電圧VMNを積分した積分信号∫VMNdtも遅れ位相方向にシフトする{図9中(B)参照}ことになり、回転位置信号の角度誤差が発生することになる{図9中(C)参照}(U相の誘起電圧のゼロクロス点をZ信号のタイミングとすると、位置信号がZ信号方向にシフトする。)
ここで、モータ発生トルクが一定であると仮定すれば、前記重畳電圧の大きさはほぼ一定となり、積分信号の大きさが小さくなるほど重畳電圧の影響を大きく受け、回転位置信号の角度誤差が大きくなる(積分信号と、Z信号に対する位置信号の進み位相との関係を示す図10を参照)。また、通常、モータが最大効率となるときの積分信号の大きさは5V程度であることが分かっている。このとき、負荷変動などにより、インバータ制御で追従できないほど急激な負荷が加わると、次の不都合が発生する。
【0009】
(1) インバータ電圧位相が遅れ方向にシフトし、これにより積分信号が小さくなってしまう。
(2) 積分信号が小さくなると、上述の回転位置信号誤差が遅れ方向に大きくなり、その結果、加速度的にインバータ電圧位相が遅れて、モータが脱調を起してしまう。
【0010】
【発明の目的】
この発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、回転位置信号の角度誤差を低減することができる同期モータの回転子の回転位置検出方法およびその装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の同期モータの回転子の回転位置検出方法は、同期モータの固定子巻線の第1中性点電圧と、同期モータの固定子巻線と互いに並列接続された抵抗の第2中性点電圧とに基づいて同期モータの回転子の回転位置を検出するに当って、
第1中性点電圧と第2中性点電圧との差電圧を積分し、振幅が一定で位置信号に同期し、かつ積分信号に対して所定位相だけ進められた周期信号を積分信号に加算し、加算された信号のゼロクロスを検出して同期モータの回転子の回転位置を検出する方法である。
【0012】
請求項2の同期モータの回転子の回転位置検出方法は、周期信号として正弦波信号を採用する方法である。
請求項3の同期モータの回転子の回転位置検出方法は、周期信号の進み位相として、積分信号レベルの減少に対応させて増加させられ、積分信号レベルの増加に対応させて減少させられるものを採用する方法である。
【0013】
請求項4の同期モータの回転子の回転位置検出方法は、周期信号の振幅として、負荷トルクの増加に対応させて増加させられ、負荷トルクの減少に対応させて減少させられるものを採用する方法である。
請求項5の同期モータの回転子の回転位置検出方法は、同期モータとして、ブラシレスDCモータを採用する方法である。
【0014】
請求項6の同期モータの回転子の回転位置検出装置は、同期モータの固定子巻線の第1中性点電圧と、同期モータの固定子巻線と互いに並列接続された抵抗の第2中性点電圧とに基づいて同期モータの回転子の回転位置を検出する装置であって、
第1中性点電圧と第2中性点電圧との差電圧を積分する積分手段と、振幅が一定で位置信号に同期し、かつ積分信号に対して所定位相だけ進められた周期信号を積分信号に加算する加算手段と、加算された信号のゼロクロスを検出して同期モータの回転子の回転位置を検出する回転位置検出手段とを含むものである。
【0015】
請求項7の同期モータの回転子の回転位置検出装置は、周期信号として正弦波信号を採用するものである。
請求項8の同期モータの回転子の回転位置検出装置は、周期信号の進み位相として、積分信号レベルの減少に対応させて増加させられ、積分信号レベルの増加に対応させて減少させられるものを採用するものである。
【0016】
請求項9の同期モータの回転子の回転位置検出装置は、周期信号の振幅として、負荷トルクの増加に対応させて増加させられ、負荷トルクの減少に対応させて減少させられるものを採用するものである。
請求項10の同期モータの回転子の回転位置検出装置は、同期モータとして、ブラシレスDCモータを採用するものである。
【0017】
【作用】
請求項1の同期モータの回転子の回転位置検出方法であれば、同期モータの固定子巻線の第1中性点電圧と、同期モータの固定子巻線と互いに並列接続された抵抗の第2中性点電圧とに基づいて同期モータの回転子の回転位置を検出するに当って、
第1中性点電圧と第2中性点電圧との差電圧を積分し、振幅が一定で位置信号に同期し、かつ積分信号に対して所定位相だけ進められた周期信号を積分信号に加算し、加算された信号のゼロクロスを検出して同期モータの回転子の回転位置を検出するのであるから、遅れ位相方向にシフトする積分信号を周期信号により補償して、回転位置信号の角度誤差を低減することができる。
【0018】
請求項2の同期モータの回転子の回転位置検出方法であれば、周期信号として正弦波信号を採用するのであるから、より確実に角度誤差を低減できるほか、請求項1と同様の作用を達成することができる。
請求項3の同期モータの回転子の回転位置検出方法であれば、周期信号の進み位相として、積分信号レベルの減少に対応させて増加させられ、積分信号レベルの増加に対応させて減少させられるものを採用するのであるから、請求項1または請求項2の作用に加え、周期信号による過補償を防止することができる。
【0019】
請求項4の同期モータの回転子の回転位置検出方法であれば、周期信号の振幅として、負荷トルクの増加に対応させて増加させられ、負荷トルクの減少に対応させて減少させられるものを採用するのであるから、請求項1から請求項3の何れかと同様の作用に加え、周期信号による過補償を防止することができる。
請求項5の同期モータの回転子の回転位置検出方法であれば、同期モータとして、ブラシレスDCモータを採用するのであるから、請求項1から請求項4の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0020】
請求項6の同期モータの回転子の回転位置検出装置であれば、同期モータの固定子巻線の第1中性点電圧と、同期モータの固定子巻線と互いに並列接続された抵抗の第2中性点電圧とに基づいて同期モータの回転子の回転位置を検出するに当って、
積分手段によって、第1中性点電圧と第2中性点電圧との差電圧を積分し、加算手段によって、振幅が一定で位置信号に同期し、かつ積分信号に対して所定位相だけ進められた周期信号を積分信号に加算し、回転位置検出手段によって、加算された信号のゼロクロスを検出して同期モータの回転子の回転位置を検出することができる。
【0021】
したがって、遅れ位相方向にシフトする積分信号を周期信号により補償して、回転位置信号の角度誤差を低減することができる。
請求項7の同期モータの回転子の回転位置検出装置であれば、周期信号として正弦波信号を採用するのであるから、より確実に角度誤差を低減できるほか、請求項6と同様の作用を達成することができる。
【0022】
請求項8の同期モータの回転子の回転位置検出装置であれば、周期信号の進み位相として、積分信号レベルの減少に対応させて増加させられ、積分信号レベルの増加に対応させて減少させられるものを採用するのであるから、請求項6または請求項7の作用に加え、周期信号による過補償を防止することができる。
請求項9の同期モータの回転子の回転位置検出装置であれば、周期信号の振幅として、負荷トルクの増加に対応させて増加させられ、負荷トルクの減少に対応させて減少させられるものを採用するのであるから、請求項6から請求項8の何れかと同様の作用に加え、周期信号による過補償を防止することができる。
【0023】
請求項10の同期モータの回転子の回転位置検出装置であれば、同期モータとして、ブラシレスDCモータを採用するのであるから、請求項6から請求項9の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、この発明の同期モータの回転子の回転位置検出方法およびその装置の実施の態様を詳細に説明する。
図1はこの発明の同期モータの回転子の回転位置検出装置の一実施態様を示す電気回路図である。
【0025】
この回転位置検出装置は、積分装置1と、加算装置2と、ゼロクロスコンパレータ3と、マイコン4と、ブラシレスDCモータ5と、Y結線した抵抗回路6と、マイコン4により制御される三相インバータ7とを有している。
さらに詳細に説明する。
ブラシレスDCモータ5の固定子巻線5a,5b,5cがY結線されているとともに、Y結線した抵抗回路6を構成する抵抗6a,6b,6cが固定子巻線5a,5b,5cと並列接続されている。そして、三相インバータ7の出力電圧が固定子巻線5a,5b,5cおよび抵抗6a,6b,6cに印加されている。なお、5dは回転子である。
【0026】
積分装置1は、オペアンプ1aと、オペアンプ1aの反転入力端子と出力端子との間に互いに並列接続された抵抗1bおよびコンデンサ1cとを有している。そして、固定子巻線5a,5b,5cの接続点において得られる第1の中性点電圧VNがオペアンプ1aの非反転入力端子に印加され、抵抗6a,6b,6cの接続点において得られる第2の中性点電圧VMがオペアンプ1aの反転入力端子に印加されている。したがって、両中性点電圧の差電圧VMN(=VN−VM)がこの積分装置1により積分され、積分信号∫VMNdtを得ることができる。
【0027】
加算装置2は、オペアンプ2aと、オペアンプ2aの反転入力端子と出力端子との間に接続された抵抗2bと、オペアンプ2aの反転入力端子とオペアンプ1aの出力端子との間に接続された抵抗2cと、オペアンプ2aの反転入力端子とマイコン4のD/A出力端子との間に接続された抵抗2dとを有している。なお、オペアンプ2aの反転入力端子をアース(固定子巻線5a,5b,5cの接続点)に接続している。したがって、積分信号∫VMNdtと、マイコン4のD/A出力端子から出力される周期信号(振幅が一定で回転位置信号に同期し、かつ積分信号よりも進み位相となる周期信号)とが加算装置2により加算され、積分信号∫VMNdtの位相遅れが補償される。
【0028】
ゼロクロスコンパレータ3は、オペアンプ3aと、オペアンプ3aの非反転入力端子と出力端子との間に互いに直列接続された抵抗3bおよび発光ダイオード3cと、オペアンプ3aの非反転入力端子とアース端子との間に接続された抵抗3dと、抵抗3bと発光ダイオード3cとの接続点に接続されたプルアップ抵抗3eと、発光ダイオード3cからの光を受光するフォトトランジスタ3fと、フォトトランジスタ3fのコレクタ端子と動作用電源端子との間に接続された抵抗3gとを有している。そして、フォトトランジスタ3fのエミッタ端子をアースと直接接続し、フォトトランジスタ3fのコレクタ端子から回転位置信号SINTを出力するようにしている。ただし、発光ダイオード3cとフォトトランジスタ3fとからなるフォトカプラを省略して、オペアンプ3aの出力端子から直接に回転位置信号SINTを出力するようにしてもよい。したがって、加算装置2により加算された信号のゼロクロスが発生するごとにレベルが反転する回転位置信号SINTを出力することができる。
【0029】
次いで、上記の構成の回転位置検出装置の作用を説明する。
固定子巻線5a,5b,5cの接続点において得られる第1の中性点電圧VNがオペアンプ1aの非反転入力端子に印加されるとともに、抵抗6a,6b,6cの接続点において得られる第2の中性点電圧VMがオペアンプ1aの反転入力端子に印加されることにより、差電圧VMNが積分され、積分信号∫VMNdtを得ることができる。ただし、前記差電圧VMNにはモータ巻線電流に起因する電圧降下などによる電圧が重畳し、正確な誘起電圧に対して遅れ位相方向にシフトするのであるから、積分信号∫VMNdtも遅れ位相方向にシフトする。
【0030】
しかし、この積分信号∫VMNdtに対して、進み位相の周期信号を加算することにより、積分信号∫VMNdtの遅れ位相方向へのシフトを補償することができる。
そして、積分信号∫VMNdtと進み位相の周期信号とを加算した信号をゼロクロスコンパレータ3に供給することにより、角度誤差が低減された回転位置信号を得ることができる。
【0031】
この結果、回転位置信号の角度誤差に起因する前記の不都合の発生を大幅に抑制し、もしくは解消させることができ、ひいては、モータ最大効率点近傍での負荷変動などに対する安定なモータ駆動が可能になる。
さらに詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、周期信号として正弦波信号を採用する。
【0032】
積分信号をA・sinθ、正弦波信号をB・sin(θ+π/2)とすれば、両者を加算した信号は、
A・sinθ+B・sin(θ+π/2)
となる。そして、この式は次のように変形される。
(A2+B2)1/2・sin(θ+α)
ただし、α=tan-1(B/A)
そして、正弦波信号は振幅が一定であるから、積分信号∫VMNdtの大きさにより加算された信号の位相進み量が異なることになる(図2および図3参照)。また、上記変形された式中のα(補正量)は図4に示すとおりであり、積分信号レベルが小さくなるほど補正量(進み位相量)が大きくなっていることが分かる。
【0033】
したがって、例えば、図7に示す従来のブラシレスDCモータ制御装置に示されているような積分信号レベル検出回路(コンパレータ37)を採用して積分信号レベルを検出し(積分信号が所定の基準信号よりも大きいか否かを判定し)、検出結果を入力として積分信号レベル−補正量特性から補正量を得、得られた補正量に対応する進み位相量の正弦波信号をマイコン4から出力することにより、積分信号∫VMNdtの遅れ位相方向へのシフトの補償精度を高めることが好ましい。
【0034】
さらに、図4から、モータトルクが大きくなるほど補正量(進み位相量)が大きくなっていることも分かる。
したがって、例えば、モータ電流などからモータトルク(負荷トルク)を検出し、検出したモータトルクを入力として積分信号レベル−補正量特性から補正量を得、得られた補正量に対応する振幅の正弦波信号をマイコン4から出力することにより、積分信号∫VMNdtの遅れ位相方向へのシフトの補償精度を高めることが好ましい。
【0035】
図5は、この発明の同期モータの回転子の回転位置検出装置の他の実施態様を示す電気回路図である。
この回転位置検出装置が前記の回転位置検出装置と異なる点は、周期信号をマイコンにより発生させる代わりに、周期信号発生回路を採用した点のみである。
この周期信号発生回路8は、非反転入力端子がアースと接続され、反転入力端子が抵抗8bを介してオペアンプ1aの出力端子と接続されたオペアンプ8aと、オペアンプ8aの反転入力端子と出力端子との間に互いに並列接続された抵抗8cおよびコンデンサ8dと、オペアンプ8aの出力端子とアースとの間に互いに直列接続された抵抗8e、逆接続のツェナーダイオード8f、順接続のダイオード8gと、逆接続のツェナーダイオード8f、順接続のダイオード8gの直列接続回路と並列に、かつ互いに直列接続された順接続のツェナーダイオード8h、逆接続のダイオード8iと、順接続のツェナーダイオード8h、逆接続のダイオード8iの直列接続回路と並列に、かつ互いに直列接続された抵抗8j、コンデンサ8kとを有しており、抵抗8jとコンデンサ8kとの接続点の電圧を抵抗2dを介してオペアンプ2aの反転入力端子に印加している。
【0036】
前記オペアンプ8aと抵抗8cとコンデンサ8dとで構成される回路は、ゲインを十分に大きく設定することにより、出力を飽和させるようにしている。また、逆接続のツェナーダイオード8f、順接続のダイオード8gの直列接続回路と順接続のツェナーダイオード8h、順接続のダイオード8iの直列接続回路とで振幅制限回路を構成している。さらに、抵抗8jとコンデンサ8kとで充放電回路を構成している。
【0037】
したがって、図6中(A)に示すように積分信号∫VMNdtが与えられた場合に、オペアンプ8aと抵抗8cとコンデンサ8dとで構成される回路により出力を飽和させ、逆接続のツェナーダイオード8f、順接続のダイオード8gの直列接続回路と順接続のツェナーダイオード8h、順接続のダイオード8iの直列接続回路とで構成される振幅制限回路により振幅を制限することによって、図6中(B)に示すように、積分信号∫VMNdtよりも位相が所定角度(ほぼ90度)進んだ振幅一定の矩形波信号を得る。そして、この矩形波信号を抵抗8jとコンデンサ8kとで構成される充放電回路に供給することにより、充放電が行われ、図6中(C)に示すように、擬似正弦波信号を発生することができる。
【0038】
この結果、この擬似正弦波信号を用いることにより、図1の回転位置検出装置と同様に、角度誤差が低減された回転位置信号を得ることができる。
そして、回転位置信号の角度誤差に起因する前記の不都合の発生を大幅に抑制し、もしくは解消させることができ、ひいては、モータ最大効率点近傍での負荷変動などに対する安定なモータ駆動が可能になる。
【0039】
【発明の効果】
請求項1の発明は、遅れ位相方向にシフトする積分信号を周期信号により補償して、回転位置信号の角度誤差を低減することができるという特有の効果を奏する。
請求項2の発明は、請求項1と同様の効果に加え、より確実に角度誤差を低減できるという特有の効果を奏する。
【0040】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の効果に加え、周期信号による過補償を防止することができるという特有の効果を奏する。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3の何れかと同様の効果に加え、周期信号による過補償を防止することができるという特有の効果を奏する。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4の何れかと同様の効果を奏する。
【0041】
請求項6の発明は、遅れ位相方向にシフトする積分信号を周期信号により補償して、回転位置信号の角度誤差を低減することができるという特有の効果を奏する。
請求項7の発明は、請求項6と同様の効果に加え、より確実に角度誤差を低減できるという特有の効果を奏する。
【0042】
請求項8の発明は、請求項6または請求項7の効果に加え、周期信号による過補償を防止することができるという特有の効果を奏する。
請求項9の発明は、請求項6から請求項8の何れかと同様の効果に加え、周期信号による過補償を防止することができるという特有の効果を奏する。
請求項10の発明は、請求項6から請求項9の何れかと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の同期モータの回転子の回転位置検出装置の一実施態様を示す電気回路図である。
【図2】図1の装置の各部の信号波形の一例を示す図である。
【図3】図1の装置の各部の信号波形の他の例を示す図である。
【図4】積分信号レベル−補正量特性を示す図である。
【図5】この発明の同期モータの回転子の回転位置検出装置の他の実施態様を示す電気回路図である。
【図6】周期信号発生回路の各部の信号波形を示す図である。
【図7】従来の同期モータの回転子の回転位置検出装置を示す電気回路図である。
【図8】図7の装置の各部の信号波形を示す図である。
【図9】図7の装置の問題点を説明するための各部の信号波形を示す図である。
【図10】積分信号レベルと、Z信号に対する回転位置信号の位相差との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 積分装置 2 加算装置
3 ゼロクロスコンパレータ 5 ブラシレスDCモータ
5a,5b,5c 固定子巻線 5d 回転子
6a,6b,6c 抵抗
Claims (10)
- 同期モータ(5)の固定子巻線(5a)(5b)(5c)の第1中性点電圧と、同期モータ(5)の固定子巻線(5a)(5b)(5c)と互いに並列接続された抵抗(6a)(6b)(6c)の第2中性点電圧とに基づいて同期モータ(5)の回転子(5d)の回転位置を検出する方法であって、
第1中性点電圧と第2中性点電圧との差電圧を積分し、振幅が一定で位置信号に同期し、かつ積分信号に対して所定位相だけ進められた周期信号を積分信号に加算し、加算された信号のゼロクロスを検出して同期モータ(5)の回転子(5d)の回転位置を検出することを特徴とする同期モータの回転子の回転位置検出方法。 - 周期信号は正弦波信号である請求項1に記載の同期モータの回転子の回転位置検出方法。
- 周期信号の進み位相は、積分信号レベルの減少に対応させて増加させられ、積分信号レベルの増加に対応させて減少させられるものである請求項1または請求項2に記載の同期モータの回転子の回転位置検出方法。
- 周期信号の振幅は、負荷トルクの増加に対応させて増加させられ、負荷トルクの減少に対応させて減少させられるものである請求項1から請求項3の何れかに記載の同期モータの回転子の回転位置検出方法。
- 同期モータ(5)は、ブラシレスDCモータ(5)である請求項1から請求項4の何れかに記載の同期モータの回転子の回転位置検出方法。
- 同期モータ(5)の固定子巻線(5a)(5b)(5c)の第1中性点電圧と、同期モータ(5)の固定子巻線(5a)(5b)(5c)と互いに並列接続された抵抗(6a)(6b)(6c)の第2中性点電圧とに基づいて同期モータ(5)の回転子(5d)の回転位置を検出する装置であって、
第1中性点電圧と第2中性点電圧との差電圧を積分する積分手段(1)と、振幅が一定で位置信号に同期し、かつ積分信号に対して所定位相だけ進められた周期信号を積分信号に加算する加算手段(2)と、加算された信号のゼロクロスを検出して同期モータ(5)の回転子(5d)の回転位置を検出する回転位置検出手段(3)とを含むことを特徴とする同期モータの回転子の回転位置検出装置。 - 周期信号は正弦波信号である請求項6に記載の同期モータの回転子の回転位置検出装置。
- 周期信号の進み位相は、積分信号レベルの減少に対応させて増加させられ、積分信号レベルの増加に対応させて減少させられるものである請求項6または請求項7に記載の同期モータの回転子の回転位置検出装置。
- 周期信号の振幅は、負荷トルクの増加に対応させて増加させられ、負荷トルクの減少に対応させて減少させられるものである請求項6から請求項8の何れかに記載の同期モータの回転子の回転位置検出装置。
- 同期モータ(5)は、ブラシレスDCモータ(5)である請求項6から請求項9の何れかに記載の同期モータの回転子の回転位置検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28416197A JP3788492B2 (ja) | 1997-10-17 | 1997-10-17 | 同期モータの回転子の回転位置検出方法およびその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP28416197A JP3788492B2 (ja) | 1997-10-17 | 1997-10-17 | 同期モータの回転子の回転位置検出方法およびその装置 |
Publications (2)
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