JP3787182B2 - 多層プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多層プリント配線板およびその製造方法に係り、特に高精細なパターンを有し、かつ、各配線パターン層間の絶縁性能に優れている多層プリント配線板と、このような多層プリント配線板を簡便かつ低コストで製造することができる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体技術の飛躍的な発展により、半導体パッケージの小型化、多ピン化、ファインピッチ化、電子部品の極小化などが急速に進み、いわゆる高密度実装の時代に突入した。それに伴って、プリント配線板も片面配線から両面配線へ、さらに多層化、薄型化が進められている。
【0003】
現在、プリント配線板の銅パターンの形成には、主としてサブトラクティブ法と、アディティブ法が用いられている。
【0004】
サブトラクティブ法は、銅張り積層板に穴を開けた後に、穴の内部と表面に銅メッキを行い、フォトエッチングによりパターンを形成する方法である。このサブトラクティブ法は技術的に完成度が高く、またコストも安いが、銅箔の厚さ等による制約から微細パターンの形成は困難である。
【0005】
一方、アディティブ法は無電解メッキ用の触媒を含有した積層板上の回路パターン形成部以外の部分にレジストを形成し、積層板の露出している部分に無電解銅メッキ等により回路パターンを形成する方法である。このアディティブ法は、微細パターンの形成が可能であるが、コスト、信頼性の面で難がある。
【0006】
多層基板の場合には、上記の方法等で作製した片面あるいは両面のプリント配線板を、ガラス布にエポキシ樹脂等を含浸させた半硬化状態のプリプレグと一緒に加圧積層する方法が用いれている。この場合、プリプレグは各層の接着剤の役割をなし、層間の接続はスルーホールを作成し、内部に無電解メッキ等を施して行っている。
【0007】
また、高密度実装の進展により、多層基板においては薄型、軽量化と、その一方で単位面積当りの高い配線能力が要求され、一層当たりの基板の薄型化、層間の接続や部品の搭載方法等に工夫がなされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のサブトラクティブ法により作製された両面プリント配線板を用いた多層基板の作製は、両面プリント配線板の穴形成のためのドリル加工の精度と、微細化限界の面から高密度化に限界があり、製造コストの低減も困難であった。
【0009】
一方、近年では上述のような要求を満たすものとして、基材上に導体パターン層と絶縁層とを順次積層して作製される多層配線板が開発されている。この多層配線板は、銅メッキ層のフォトエッチングと感光性樹脂のパターニングを交互に行って作製されるため、高精細な配線と任意の位置での層間接続が可能となっている。
【0010】
しかしながら、この方式では銅メッキとフォトエッチングを交互に複数回行うため、工程が煩雑となり、また、基板上に1層づつ積み上げる直列プロセスのため、中間工程でトラブルが発生すると、製品の再生が困難となり、製造コストの低減に支障を来していた。
【0011】
また、従来の多層配線板においては、層間の接続がバイアホールを作成することにより行われていたため、煩雑なフォトリソグラフィー工程が必要であり、製造コスト低減の妨げとなっていた。
【0012】
さらに、高湿度、高温等の環境においても機能が安定している多層配線板の開発が望まれている。
【0013】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、高精細なパターンを有し、種々の環境下においても各配線パターン層間の絶縁性が安定しており、かつ各配線パターン層間の接続の容易性を有する多層プリント配線板と、このような多層プリント配線板をフォトリソグラフィー工程を含まず基板上への転写積層方式により簡便に製造することが可能な製造方法とを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の多層プリント配線板は、基板、該基板上に順次転写された複数の配線パターン層を備え、該配線パターン層は導電性層と該導電性層の下部に積層された絶縁層と接着層を有し、前記絶縁層は、下記の一般式(1)で表される少なくとも1種または2種以上の金属化合物、またはその加水分解物および/またはその部分加水分解物との縮合体を主成分とするゾル状態の材料を用いて薄膜を形成し、この薄膜にゲル化処理と硬化処理を施して形成された無機成分を主体とする層であるような構成とした。
a MX m-a ・・・(1)
(但し、Rはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、アクリロイル基、ビニル基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の有機基、Mは金属元素、Xはハロゲン基、アルコキシ基、アシルオキシ基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の官能基、mは金属元素の価数、aは0、1または2を示す。)
【0015】
さらに、前記配線パターン層が相互に交差する部位および/または近接する部位を有し、該交差部では上下の配線パターン層間の絶縁は上層の配線パターン層を構成する絶縁層により保たれているような構成、前記交差部および/または前記近接部の必要箇所において配線パターン層を構成する導電性層相互間に跨がるように接合部を有するような構成とした。
【0016】
また、本発明の多層プリント配線板は、基板、該基板上に順次転写された複数の配線パターン層を備え、該配線パターン層は導電性層と該導電性層の下部に積層された絶縁層を有し、該絶縁層は、下記の一般式(2)で表される少なくとも1種または2種以上の金属化合物、またはその加水分解物および/またはその部分加水分解物との縮合体を主成分とするゾル状態の材料を用いて薄膜を形成し、この薄膜にゲル化処理と硬化処理を施して形成された無機成分を主体とする層であるような構成とした。
YR a MX m-a-1 ・・・(2)
(但し、Rはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、Yは反応性のある有機官能基、例えば、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、ビニル基、およびそれらの誘導体、Mは金属元素、Xはハロゲン基、アルコキシ基、アシルオキシ基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の官能基、mは金属元素の価数、aは0、1または2を示す。)
【0017】
さらに、前記導電性層と前記絶縁層との間に接着層を備えるような構成、前記配線パターン層が相互に交差する部位および/または近接する部位を有し、該交差部では上下の配線パターン層間の絶縁は上層の配線パターン層を構成する絶縁層により保たれているような構成、前記交差部および/または前記近接部の必要箇所において配線パターン層を構成する導電性層相互間に跨がるように接合部を有するような構成とした。
【0018】
本発明の多層プリント配線板の製造方法は、少なくとも表面が導電性の転写基板上に絶縁材料からなるパターンを形成し、前記パターンの形成されていない前記転写基板上の配線パターン部分にメッキ法により導電性層を剥離可能に形成し、該導電性層上に下記の一般式(1)で表される少なくとも1種または2種以上の金属化合物、またはその加水分解物および/またはその部分加水分解物との縮合体を主成分とするゾル状態の材料を用いて薄膜を形成し、この薄膜にゲル化処理(60〜150℃の範囲での加熱処理)と硬化処理(150〜1200℃の範囲での加熱処理)を施して形成された無機成分を主体とする絶縁層を形成し、該絶縁層上に接着層を形成することにより配線パターン層転写版を複数作製し、次に、多層プリント配線板用の基板の一方の面に前記配線パターン層転写版を圧着し、前記転写基板を剥離することにより前記配線パターン層を前記基板上に転写する操作を順次繰り返し、前記基板上に複数の前記配線パターン層を形成するような構成とした。
a MX m-a ・・・(1)
(但し、Rはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、アクリロイル基、ビニル基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の有機基、Mは金属元素、Xはハロゲン基、アルコキシ基、アシルオキシ基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の官能基、mは金属元素の価数、aは0、1または2を示す。)
【0019】
さらに、前記ゾル状態の材料で形成した前記絶縁層のゲル化処理および硬化処理を、配線パターン層の転写後に行うような構成、あるいは、前記ゾル状態の材料で形成した前記絶縁層のゲル化処理を行った後に前記接着層の形成を行い、配線パターン層の転写後に前記絶縁層の硬化処理を行うような構成とし、また、前記配線パターン層が相互に交差する部位および/または近接する部位の必要箇所において、各配線パターン層を構成する導電性層相互間に跨がるように接合部を形成することにより配線パターン層相互間を接続するような構成とした。
【0020】
また、本発明の多層プリント配線板の製造方法は、少なくとも表面が導電性の転写基板上に絶縁材料からなるパターンを形成し、前記パターンの形成されていない前記転写基板上の配線パターン部分にメッキ法により導電性層を剥離可能に形成し、該導電性層上に下記の一般式(2)で表される少なくとも1種または2種以上の金属化合物、またはその加水分解物および/またはその部分加水分解物との縮合体を主成分とするゾル状態の接着性の材料を用いて薄膜を形成し、この薄膜にゲル化処理(60〜150℃の範囲での加熱処理)と硬化処理(150〜1200℃の範囲での加熱処理)を施して形成された無機成分を主体とする絶縁層を形成することにより配線パターン層転写版を複数作製し、次に、多層プリント配線板用の基板の一方の面に前記配線パターン層転写版を圧着し、前記転写基板を剥離することにより前記配線パターン層を前記基板上に転写する操作を順次繰り返し、前記基板上に複数の前記配線パターン層を形成するような構成とした。
YR a MX m-a-1 ・・・(2)
(但し、Rはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、Yは反応性のある有機官能基、例えば、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、ビニル基、およびそれらの誘導体、Mは金属元素、Xはハロゲン基、アルコキシ基、アシルオキシ基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の官能基、mは金属元素の価数、aは0、1または2を示す。)
【0021】
さらに、前記導電性層上に接着層を形成した後、前記ゾル状態の材料で前記絶縁層を形成するような構成、前記ゾル状態の材料で形成した前記絶縁層のゲル化処理および硬化処理を、配線パターン層の転写後に行うような構成、あるいは、前記ゾル状態の材料で形成した前記絶縁層のゲル化処理を行った後に配線パターン層の転写を行い、その後、前記絶縁層の硬化処理を行うような構成とし、また、前記配線パターン層が相互に交差する部位および/または近接する部位の必要箇所において、各配線パターン層を構成する導電性層相互間に跨がるように接合部を形成することにより配線パターン層相互間を接続するような構成とした。
【0022】
このような本発明では、配線パターン層を構成する絶縁層が無機成分を主体としたものであり、この絶縁層は耐熱性および耐湿性に優れ、例えば、水分による導電性層の構成成分の絶縁層中への移行による絶縁層の絶縁性低下が防止されて安定した絶縁性が維持され、また、導電性層上にゾル状態またはゲル状態の絶縁層と接着層を有する配線パターン層、あるいは、導電性層上に接着層とゾル状態またはゲル状態の粘着性の絶縁層を有する配線パターン層を備えた配線パターン層転写版を用いて、基板上に配線パターン層が転写により複数形成されるので、この多層プリント配線板は、いわゆる重ね刷り型の構造であり、各配線パターン層の導電性層は部分的に常に裸出されているとともに、各配線パターン層が交差あるいは重なる部位では、上層の無機成分を主体とした絶縁層によって配線パターン層間が確実に絶縁され、また、基板上におけるメッキおよびフォトエッチング工程は不要であり、多層配線板の製造方法の簡略化が可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は本発明の多層プリント配線板の一例を示す概略断面図である。図1において、多層プリント配線板1は、基板2と、基板2上に設けられた第1層目の配線パターン層3と、この配線パターン層3上に形成された第2層目の配線パターン層4と、さらに、配線パターン層4上に形成された第3層目の配線パターン層5とを備えた3層構成の多層プリント配線板である。
【0025】
この多層プリント配線板1を構成する各配線パターン層3,4,5は、それぞれ導電性層3a,4a,5aと、この導電性層の下部に形成された絶縁層3b,4b,5bおよび接着層3c,4c,5cとを有している。
【0026】
上述の多層プリント配線板1は、各配線パターン層3,4,5を基板2の上、あるいは下層の配線パターン層の上に順次転写した重ね刷り型の構造であり、各配線パターン層が相互に交差あるいは重なる部位(以下、交差部という)において、上層の配線パターン層を構成する絶縁層4b,5bにより配線パターン層間が確実に絶縁されている。そして、本発明の多層プリント配線板1では、絶縁層3b,4b,5bが無機成分を主体とした絶縁層であり、このため、耐熱性や耐湿性に優れ、例えば、水分による導電性層3a,4a,5aの構成成分の絶縁層3b,4b,5b中への移行による絶縁層の絶縁性低下が防止される。
【0027】
また、本発明の多層プリント配線板1は、従来の多層プリント配線板に見られたような絶縁層による配線パターンの被覆がなく、各配線パターン層3,4,5の導電性層3a,4a,5aは部分的に常に裸出されており、後述するように、配線パターン層の交差部あるいは各配線パターン層が相互に近接する部位(近接部)における各配線パターン層相互の接続を容易に行うことができる。
【0028】
本発明の多層プリント配線板1を構成する基板2は、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、アルミナセラミック基板、ガラスエポキシとポリイミドの複合基板等、多層プリント配線板用の基板として公知の基板を使用することができる。また、基板2として、ガラス布にエポキシ樹脂を含浸させた半硬化状態のプリプレグ基板を使用してもよい。このような基板2の厚さは5〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0029】
各配線パターン層3,4,5の厚みは、後述する転写における下層の配線パターン層の乗り越えを欠陥なく行うために、100μm以下、好ましくは10〜60μmの範囲とする。また、各配線パターン層3,4,5を構成する導電性層3a,4a,5aの厚みは、配線パターン層の電気抵抗を低く抑えるため1μm以上、好ましくは5〜40μmの範囲とする。さらに、絶縁層3b,4b,5bの厚みは、使用するゾル状態の材料にもよるが、交差部において上下の配線パターン層間の絶縁を保つために少なくとも1μm以上、好ましくは5〜30μmの範囲とする。また、接着層3c,4c,5cの厚みは1〜10μm程度が好ましい。このような配線パターン層3,4,5の線幅は、最小幅10μm程度まで任意に設定することができる。
【0030】
導電性層3a,4a,5aの材料は、後述するようにメッキ法により薄膜形成が可能なものであれば特に制限はなく、例えば、銅、銀、金、ニッケル、クロム、亜鉛、すず、白金等を用いることができる。
【0031】
また、絶縁層3b,4b,5bは、ゾル状態の材料を用いて薄膜を形成し、この薄膜にゲル化処理と硬化処理を施す、いわゆるゾル・ゲル法により形成されるものである。ゾル状態の材料としては、下記の一般式(1)
a MXm-a ・・・(1)
(但し、Rはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、アクリロイル基、ビニル基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の有機基、Mは金属元素、Xはハロゲン基、アルコキシ基、アシルオキシ基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の官能基、mは金属元素の価数、aは0、1または2を示す。)
で表される少なくとも1種または2種以上の金属化合物、またはその加水分解物および/またはその部分加水分解物との縮合体を主成分とするコーティング溶液等を使用することができる。このようなゾル状態の材料を用いた薄膜の形成は、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等の公知の手段により行うことができる。また、絶縁層3b,4b,5bのゲル化処理としては、通常、60〜150℃程度の加熱処理が行われ、硬化処理としては、通常、150〜1200℃程度の加熱処理が行われる。このようなゲル化処理および硬化処理が行われて形成された絶縁層3b,4b,5bは無機成分を主体としたものであり、絶縁層3b,4b,5b中に無機成分が5〜100重量%含有されるものである。
【0032】
接着層3c,4c,5cは、常温もしくは加熱により粘着性あるいは接着性を示し、電着法、スキージを用いた塗布充填法、ディスペンス塗布法、スクリーン印刷法等の公知の手段により膜形成が可能な接着材料であれば特に制限はない。例えば、常温もしくは加熱により粘着性あるいは接着性を示す電着性の接着材料を使用する場合、使用する高分子としては、粘着性を有するアニオン性、またはカチオン性の合成高分子樹脂を挙げることができる。
【0033】
具体的には、アニオン性合成高分子樹脂として、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン化油樹脂、ポリブタジエン樹脂、エポキシ樹脂等を単独で、あるいは、これらの樹脂の任意の組み合わせによる混合物として使用できる。さらに、上記のアニオン性合成高分子樹脂とメラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の架橋性樹脂とを併用してもよい。
【0034】
また、カチオン性合成高分子樹脂として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を単独で、あるいは、これらの任意の組み合わせによる混合物として使用できる。さらに、上記のカチオン性合成高分子樹脂とポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の架橋性樹脂とを併用してもよい。
【0035】
また、上記の高分子樹脂に粘着性を付与するためにロジン系、テルペン系、石油樹脂系等の粘着付与樹脂を必要に応じて添加することも可能である。
【0036】
上記の高分子樹脂は、後述する本発明の製造方法においてアルカリ性または酸性物質により中和して水に可溶化された状態、または水分散状態で電着法に供される。すなわち、アニオン性合成高分子樹脂は、トリメチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類、アンモニア、苛性カリ等の無機アルカリで中和する。また、カチオン性合成高分子樹脂は、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、乳酸等の酸で中和する。そして、中和され水に可溶化された高分子樹脂は、水分散型または溶解型として水に希釈された状態で使用される。
【0037】
また、上記の電着性の接着材料に絶縁性、耐熱性等を付与する目的で、上記の高分子樹脂にブロックイソシアネート等の熱重合性不飽和結合を有する公知の熱硬化性樹脂を添加し、多層プリント配線板の全層を転写形成後、熱処理によってすべての接着層を硬化させてもよい。勿論、熱硬化性樹脂以外にも、重合性不飽和結合(例えば、アクリル基、ビニル基、アリル基等)を有する樹脂を電着性絶縁物質に添加しておけば、多層プリント配線板の全層を転写形成後、電子線照射によってすべての接着層を硬化させることができる。
【0038】
次に、上記の多層プリント配線板1を例にして図2乃至図5を参照しながら本発明の多層プリント配線板の製造方法を説明する。
【0039】
まず、転写基板としての導電性基板11上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト層を形成し、所定のフォトマスクを用いてフォトレジスト層を密着露光し現像してレジストパターン14を形成する(図2(A))。次に、このレジストパターンを電着用マスクとし、疎水性の絶縁性電着液を使用して疎水性絶縁パターン15を形成し(図2(B))、その後、レジストパターン14を除去して導電性基板11のうち配線パターン部分11aを露出させる(図2(C))。次に、導電性基板11の配線パターン部分11a上にメッキ法により導電性層16を形成する(図2(D))。その後、例えば、この導電性基板11をゾル状態の材料中に浸漬した後、所定の速度で引き上げることにより、導電性層16上にゾル状態の絶縁層17を形成する(図2(E))。尚、この絶縁層17は、ゲル化処理を施してゲル状態の絶縁層としてもよい。次いで、この絶縁層17上に、電着法等により接着層18を形成する(図2(F))。これにより、導電性層16、絶縁層17および接着層18を有する第1層用の配線パターン層13を設けた配線パターン層転写版10が得られる。
【0040】
同様にして、図3および図4に示されるように、導電性基板21,31上に導電性層26,36、絶縁層27,37、および接着層28,38を有する配線パターン層23,33を設けた第2層用の配線パターン層転写版20、第3層用の配線パターン層転写版30を作製する。
【0041】
次に、基板2上に、上記の配線パターン層転写版10を接着層18が基板2に当接するように圧着する。この圧着は、ローラ圧着、プレート圧着、真空圧着等、いずれの方法にしたがってもよい。また、接着層18が加熱により粘着性あるいは接着性を発現する場合には、熱圧着を行うこともできる。その後、導電性基板11を剥離して配線パターン層13を基板2上に転写することにより、導電性層3a、絶縁層3bおよび接着層3cを有する第1層目の配線パターン層3を基板2上に形成する(図5(A))。尚、転写された第1層目の配線パターン層3を構成する絶縁層3bが未だゾル状態にある場合には、この段階でゲル化処理を施してもよい。
【0042】
次に、第1層目の配線パターン層3が転写形成された基板2上に、第2層用の配線パターン層転写版20を用いて第1層目の配線パターン層に対する位置合わせを行ったうえで配線パターン層23の転写を行い、導電性層4a、絶縁層4bおよび接着層4cからなる第2層目の配線パターン層4を形成する(図5(B))。尚、転写された第2層目の配線パターン層4を構成する絶縁層4bが未だゾル状態にある場合には、この段階でゲル化処理を施してもよい。
【0043】
さらに、第1層目の配線パターン層3および第2層目の配線パターン層4が形成された基板2上に、第3層用の配線パターン層転写版30を用いて同様に位置合わせを行って配線パターン層33の転写を行う。これにより、導電性層5a、絶縁層5bおよび接着層5cからなる第3層目の配線パターン層5が形成される(図5(C))。尚、転写された第3層目の配線パターン層5を構成する絶縁層5bが未だゾル状態にある場合には、この段階でゲル化処理を施してもよい。また、本発明の製造方法では、各配線パターン層を構成する絶縁層3b,4b,5bのゲル化処理、硬化処理を、各配線パターン層の形成が終了した段階で一括して行ってもよい。
【0044】
上述のように、各配線パターン層3,4,5の転写は、配線パターン層転写版10,20,30の配線パターン層13,23,33を基板上に順次転写することにより行われるため、多層プリント配線板1は各配線パターン層3,4,5からなる、いわゆる重ね刷り型の構造である。そして、多層プリント配線板1を構成する配線パターン層3と配線パターン層4との交差部を示す斜視図である図6に示されるように、各配線パターン層の導電性層は部分的に常に裸出されたものとなり、各配線パターン層3,4との交差部では、上層の無機成分を主体とした絶縁層4bによって配線パターン層の導電性層3a,4a間が確実に絶縁される。
【0045】
また、本発明の多層プリント配線板1は、図6に示されるような交差部や重なり部、あるいは、図7に示されるように各配線パターン層が相互に近接する部位(近接部、図示例では配線パターン層3と配線パターン層4とが近接している)において、各配線パターン層相互の接続を容易に行うことができる。
【0046】
図8は本発明の多層プリント配線板の他の例を示す概略断面図である。図8において、多層プリント配線板41は、絶縁性の基板42と、基板42上に設けられた第1層目の配線パターン層43と、この配線パターン層43上に形成された第2層目の配線パターン層44と、更に配線パターン層44上に形成された第3層目の配線パターン層45とを備えた3層構成の多層プリント配線板である。
【0047】
多層プリント配線板41を構成する各配線パターン層43,44,45は、それぞれ導電性層43a,44a,45aと、この導電性層の下部に形成された接着層43b,44b,45bおよび絶縁層43c,44c,45cを有している。この多層プリント配線板41は、配線パターン層43を基板42の上に、また各配線パターン層44,45を下層の配線パターン層の上に順次転写した重ね刷り型の構造であり、各配線パターン層が相互に交差する部位(交差部)では、上下の配線パターン層間の絶縁は上層の配線パターン層を構成する絶縁層により保たれている。そして、本発明の多層プリント配線板41では、絶縁層43c,44c,45cが無機成分を主体とした絶縁層であり、このため、耐熱性や耐湿性に優れ、例えば、水分による導電性層43a,44a,45aの構成成分の絶縁層43c,44c,45c中への移行による絶縁層の絶縁性低下が防止される。
【0048】
また、本発明の多層プリント配線板41は、従来の多層プリント配線板に見られたような絶縁層による配線パターンの被覆がなく、各配線パターン層43,44,45の導電性層43a,44a,45aは部分的に常に裸出されており、後述するように、配線パターン層の交差部あるいは各配線パターン層が相互に近接する部位(近接部)における各配線パターン層相互の接続を容易に行うことができる。
【0049】
尚、上記の多層プリント配線板41は、各配線パターン層を構成する絶縁層43c,44c,45cが接着性を有する場合には、接着層43b,44b,45bを備えず、導電性層43a,44a,45aの下部に直接絶縁層43c,44c,45cが形成されたような構成であってもよい。
【0050】
本発明の多層プリント配線板41を構成する基板42は、上述の多層プリント配線板1を構成する基板2と同様とすることができる。
【0051】
各配線パターン層43,44,45の厚みは、積層転写における下層の配線パターン層の乗り越えを欠陥なく行うために、100μm以下、好ましくは10〜60μmの範囲とする。また、各配線パターン層43,44,45を構成する導電性層43a,44a,45aの厚みは、配線パターン層の電気抵抗を低く抑えるため1μm以上、好ましくは5〜40μmの範囲とする。また、接着層43b,44b,45bの厚みは、1μm以上、好ましくは5〜20μmの範囲とする。さらに、絶縁層43c,44c,45cの厚みは、交差部において上下の配線パターン層間の絶縁を保つために少なくとも0.1μm以上、好ましくは0.2〜3μmの範囲とする。このような配線パターン層43,44,45の線幅は、最小幅10μm程度まで任意に設定することができる。
【0052】
導電性層43a,44a,45aの材料は、上述の多層プリント配線板1の導電性層3a,4a,5aと同様の導電材料を使用することができる。
【0053】
接着層43b,44b,45bの材料は、上述の多層プリント配線板1の接着層3c,4c,5cと同様の材料を使用することができる。
【0054】
絶縁層43c,44c,45cは、基本的には上述の多層プリント配線板1の絶縁層3b,4b,5bと同様にゾル状態の材料により形成されるが、後述する配線パターン層の転写において、基板42に固着可能であることが必要である。このため、下記の一般式(2)
YRa MXm-a-1 ・・・(2)
(但し、Rはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、Yは反応性のある有機官能基、例えば、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、ビニル基、およびそれらの誘導体、Mは金属元素、Xはハロゲン基、アルコキシ基、アシルオキシ基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の官能基、mは金属元素の価数、aは0、1または2を示す。)
で表される少なくとも1種または2種以上の金属化合物、またはその加水分解物および/またはその部分加水分解物との縮合体を主成分とするコーティング溶液等のゾル状態の接着性の材料を使用して形成することが好ましい。
【0055】
次に、上記の多層プリント配線板41を例にして図9乃至図10を参照しながら本発明の多層プリント配線板の製造方法を説明する。
【0056】
まず、転写基板としての導電性基板51上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト層を形成し、所定のフォトマスクを用いてフォトレジスト層を密着露光し現像してレジストパターン54を形成する(図9(A))。次に、このレジストパターン54を電着用マスクとし、疎水性の絶縁性電着液を使用して疎水性絶縁パターン55を形成し(図9(B))、その後、レジストパターン54を除去して導電性基板51のうち配線パターン部分51aを露出させる(図9(C))。次に、導電性基板51の配線パターン部分51a上にメッキ法により導電性層56を形成する(図9(D))。次いで、この導電性層56上に電着法等により接着層57を形成する(図9(E))。その後、例えば、この導電性基板51をゾル状態の材料中に浸漬した後、所定の速度で引き上げることにより、接着層57上にゾル状態で粘着性の絶縁層58を形成する(図9(F))。これにより、導電性層56、接着層57および絶縁層58を有する第1層用の配線パターン層53を設けた配線パターン層転写版50が得られる。尚、この段階で絶縁層58にゲル化処理を施してゲル状態としてもよい。
【0057】
同様にして、第2層用の配線パターン層転写版および第3層用の配線パターン層転写版を作製する。
【0058】
次に、基板42上に、上記の配線パターン層転写版50を粘着性の絶縁層58が基板42に当接するように圧着する。この圧着は、ローラ圧着、プレート圧着、真空圧着等、いずれの方法にしたがってもよい。その後、導電性基板51を剥離して配線パターン層53を基板42上に転写することにより、導電性層43a、接着層43bおよび絶縁層43cを有する第1層目の配線パターン層43を基板2上に形成する(図10(A))。尚、転写された第1層目の配線パターン層43を構成する絶縁層43cが未だゾル状態にある場合には、この段階でゲル化処理を施してもよい。
【0059】
次に、第1層目の配線パターン層43が転写形成された基板42上に、第2層用の配線パターン層転写版を用いて第1層目の配線パターン層に対する位置合わせを行ったうえで配線パターン層の転写を行い、導電性層44a、接着層44bおよび絶縁層44cからなる第2層目の配線パターン層44を形成する(図10(B))。尚、転写された第2層目の配線パターン層44を構成する絶縁層44cが未だゾル状態にある場合には、この段階でゲル化処理を施してもよい。
【0060】
さらに、第1層目の配線パターン層43および第2層目の配線パターン層44が形成された基板42上に、第3層用の配線パターン層転写版を用いて同様に位置合わせを行って配線パターン層の転写を行う。これにより、導電性層45a、接着層45bおよび絶縁層45cからなる第3層目の配線パターン層45が形成される(図10(C))。尚、転写された第3層目の配線パターン層45を構成する絶縁層45cが未だゾル状態にある場合には、この段階でゲル化処理を施してもよい。また、本発明の製造方法では、各配線パターン層を構成する絶縁層43c,44c,45cのゲル化処理および硬化処理を、各配線パターン層の形成が終了した段階で一括して行ってもよい。
【0061】
上述のように、各配線パターン層43,44,45の転写は、配線パターン層転写版の配線パターン層を基板上に順次転写することにより行われるため、多層プリント配線板41は各配線パターン層43,44,45からなる、いわゆる重ね刷り型の構造である。そして、各配線パターン層の導電性層は部分的に常に裸出されたものとなり、各配線パターン層の交差部では、上層の無機成分を主体とした絶縁層によって配線パターン層の導電性層間が確実に絶縁される。
【0062】
次に、本発明の多層プリント配線板1を例に各配線パターン層の交差部あるいは近接部における接続について説明する。
【0063】
図11乃至図15は、多層プリント配線板1の配線パターン層の交差部の接続状態を示す斜視図である。図11は、上層の配線パターン層4に形成したスルーホールに接合部61を形成して接続したものである。また、図12は交差部の一部に接合部62を形成して配線パターン層3の導電性層3aと配線パターン層4の導電性層4aとを接続したものである。さらに、図13は配線パターン層3と配線パターン層4との交差部を覆うような接合部63を形成したものである。また、図14は近接部の一部に跨がるように接合部64を形成して配線パターン層3と配線パターン層4とを接続したものであり、図15は配線パターン層3と配線パターン層4との近接部を覆うような接合部65を形成して接続したものである。
【0064】
このような各配線パターン層の交差部あるいは近接部における接合部の形成による接続としては、(1) 印刷法、(2) ディスペンス法、(3) 超微粒子吹付け法、(4) レーザー描画法、(5) 選択無電解メッキ法、(6) 選択蒸着法、(7) 溶接接合法等が挙げられる。
【0065】
上記(1) の印刷法による多層プリント配線板1の配線パターン層の交差部あるいは近接部の接続は、印刷により各配線パターン層を構成する導電性層相互間に跨がるように導電ペーストまたはハンダを固着して接合部を形成することにより行うものである。用いる印刷方式は特に限定されるものではないが、一般に厚膜の印刷に適し、電子工業分野で多用されているスクリーン印刷が好ましい。スクリーン印刷を行う場合には、予め配線間の接続部に相当する部分に開孔部をもつスクリーン印刷版を作成し、多層配線板上に位置を合わせて配置し、銀ペースト等の導電性ペーストインキを印刷すればよい。
【0066】
また、上記(2) のディスペンス法による多層プリント配線板1の配線パターン層の交差部あるいは近接部の接続は、上記の印刷法に類似しているが、導電性のインキを微細なノズルから噴出させ、配線間に接合部を直接描画形成することにより行うものである。具体的には、一般に接着剤等を必要箇所に少量付着させるために用いられている針状の噴出口を有するディスペンサーが使用できる。また、使用する導電性インキの粘度によっては、コンピュータ等の出力装置に使用されているインクジェット方式も使用可能である。
【0067】
上記(3) の超微粒子吹付け法は、超微粒子を高速の気流に乗せて搬送し、多層プリント配線板に近接して設けられた微細なノズルから多層プリント配線板に吹き付けることによって、超微粒子と多層プリント配線板との衝突エネルギーにより相互に燒結して膜を形成する方法であり、ガスデポジション法と呼ばれている方法が利用できる。この方法に用いる装置は、基本的には高真空と低真空の2つの真空槽と、各真空槽を接続する接続パイプからなる。そして、超微粒子は、アルゴンガス等を導入した低真空槽内において真空蒸発法により形成され、また、基板は高真空槽内に設置されている。上記の接続パイプは、低真空槽内の超微粒子の発生する近傍と、高真空槽内の多層プリント配線板の近傍部であって、この配線板に直交する方向とに開口部を有している。各真空槽は、それぞれ真空排気系によって一定の圧力に保たれているため、各真空槽間の圧力差により接続パイプ内には低真空槽から高真空槽へ向かう高速の気流(ガス流)が発生し、低真空槽内で発生した超微粒子はこの気流に乗せられて高真空槽側へ搬送され、多層プリント配線板の配線パターン層に衝突して互いに燒結し膜状になる。金、銀、銅、ニッケル等の金属を母材にこの方法を用いることにより、配線間の接続を必要とする箇所に選択的に導電体(接合部)を形成することができる。
【0068】
上記(4) のレーザー描画法は、導電性の微粒子を分散した溶液を多層プリント配線板に塗布し、この塗膜の所望の箇所をレーザーによって加熱することにより、樹脂バインダーを分解あるいは蒸発させて除去し、この加熱箇所に導電性微粒子を析出、凝集させて選択的に導電体を形成するものである。溶液としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等に金、銀等の導電性微粒子を分散したものを用い、アルゴンレーザー等を絞って照射することにより、数十μm程度の細線を描画することができる。
【0069】
上記(5) の選択無電解メッキ法は、一般にフォトフォーミング法として知られている選択的な無電解メッキ技術を用いることができる。この技術は、還元可能で、かつ無電解メッキに対して触媒となる酸化状態の金属を含む感光剤層を多層プリント配線板上に形成し、この感光剤層を選択的に露光させることにより、無電解メッキに対して触媒となる金属粒子を析出させ、その後、無電解メッキ液に浸漬することにより露光部にのみ選択的なメッキを施すものである。
【0070】
また、上記(6) の選択蒸着法は、薄膜形成技術の一つである選択的膜堆積技術を用いるものである。すなわち、真空槽内に金属、炭素等の導電性元素を含む有機金属ガス、あるいは、導電性元素を含む有機物の蒸気を導入し、真空槽内に設置した多層プリント配線板表面に上記のガスあるいは蒸気を吸着させ、次に、レーザーあるいはイオンビームを、集光あるいは収束して基板に照射し、その部分に吸着しているガスあるいは蒸気を熱または衝突エネルギーによって分解して、金属、炭素等の導電性物質を多層プリント配線板上に堆積させるものである。このような選択蒸着法は、LSIの配線修正技術として実用化されている。具体的には、集光したアルゴンレーザーによってクロム、コバルト、白金、タングステン等を含む有機金属ガスを分解して、これらの金属を所望の修正箇所に堆積する技術、あるいは、ガリウムのイオンビームによってピレン等の有機材料の蒸気を分解して炭素膜を堆積する技術を用いることができる。
【0071】
さらに、上記(7) の溶接接合法は、配線パターン層の交差部をレーザーで選択的に加熱し、上下の配線パターン層の導電性層間に存在する絶縁層(上層を構成する絶縁層)を溶融・蒸発させ、さらに、導電性層自体も高温に加熱することによって、各配線パターン層を構成する導電性層を相互に融着して接合部を形成し接続するものである。
【0072】
さらに、本発明の多層プリント配線板を構成する配線パターン層相互の接続は、(8) ワイヤーボンディング法、(9) ワイヤーボンディング装置を用いた1ショット法、 (10) レーザーメッキ法、(11)導電体と半田メッキとの積層体の一括転写法、 (12) 金属塊挿入法、 (13) 無電解メッキ法等により行うことができる。上記(8) のワイヤーボンディング法は、例えば、図16に示されるように配線パターン層3,4の導通されていない近接部(交差部においても同様に対処可能である)を、ワイヤーボンディング装置を用いて、ワイヤーボンディングを行い、導電性層3aと4aとをワイヤーブリッジ66により接続する方法である。
【0073】
上記(9) のワイヤーボンディング装置を用いた1ショット法は、例えば、図17に示されるように配線パターン層3,4の導通されていない近接部(交差部においても同様に対処可能である)を、ワイヤーボンディング装置を用いて、1ショット(1回)のボンディングを行い、ブリッジなしの状態で導電性層3aと4aとをボンディング塊(パッド)67により接続する方法である。
【0074】
上記 (10) のレーザーメッキ法は、例えば、パラジウムメッキ液中に、接続操作前の多層プリント配線板を浸漬させた状態で、所定のスポット径、照射面でのパワー等を調整したレーザー(例えば、アルゴンレーザー)を、導通すべき近接部ないしは交差部に所定時間照射し、照射部分に例えばPd膜を所定厚さに析出させて接続する方法である。なお、好ましくは、パラジウムメッキ液を循環させながらレーザーを照射させるのがよい。また、メッキ液は水洗により除去され、図18に示されるごとく析出したメッキ膜68により導電性層3aと4aとの接続がなされる。
【0075】
上記(11)の導電体と半田メッキとの積層体の一括転写法は、図19(A),(B)に示されるごとく行われる。まず最初に、図19(B)に示されるように導電体層71と半田メッキ層72の積層体70を以下の要領で作製する。すなわち、導電性の基板75上に、レジスト法を用いて現像し所望のパターン(導電性パターン)を形成した転写基板の上に、例えば、電解メッキを施し導電体層71を形成し、この導電体層上に所定の半田メッキ浴組成物を用いて半田メッキを行い、半田メッキ層72を形成する。なお、半田メッキ層72は、半田メッキの他、半田ペーストのスクリーン印刷、ディッピングでも同様に形成可能である。このようにして積層した積層体70を、図19(A)に示されるように配線パターン層3,4の導通されていない近接部(交差部においても同様に対処可能である)に一括熱転写し、導電性層3aと4aとの接続を行う。この際、熱転写温度は半田メッキ層72が溶融変形可能な温度である200〜300℃程度の温度範囲で行われる。
【0076】
上記 (12) の金属塊挿入法は、図20(A)に示されるように配線パターン層3,4の導通されていない近接部の配線間隙に、例えば、直径30〜100μm程度の金属ボール81を配置し、しかる後、図20(B)に示されるようにその上から感圧接着剤を塗布したシート82を圧着し、導電性層3aと4aとを接続する方法である。なお、金属ボールの使用は好ましい使用態様であるが、球形でない、いわゆる金属片(塊)のようなものでも使用可能である。また、このような金属ボール(塊)は、前記印刷法、ディスペンス法においても接続部の信頼性をより向上させるために使用することもできる。すなわち、金属ボールを設置した後に、前記の印刷ないしはディスペンスを行うのである。
【0077】
上記 (13) の無電解メッキ法を図21(A)〜(F)に基づいて説明する。まず、最初に図21(A)に示されるような配線パターン層3,4を備える多層プリント配線板上に無電解メッキ触媒を全面に塗布して触媒層91を形成する(図21(B))。次いで、この上にフォトレジストを塗布してレジスト層93を形成したのち、所定のフォトマスクを用いてレジスト層93を密着露光、現像し、配線パターンの接続すべき位置に相当する部分Hを露出させる(図21(C))。その後、この露出部分Hを活性化させた後、無電解メッキ行い接続部95を形成させ導電性層3aと4aとを接続する(図21(D))。しかる後、残余の不要なレジストおよび触媒層を順次、除去して、接続部95(触媒層91a)のみを残す(図21(E)、(F))。
【0078】
本発明の多層プリント配線板は、上述した(2) 〜(13)のような接続方式を用いることにより、スルーホールの形成箇所に拘束されずに任意の箇所で各配線パターン層間の接続ができるため、多層プリント配線板を作製した後の回路設計の変更の自由度が、従来の多層プリント配線板に比べて大きいものである。
【0079】
尚、上記の例では多層プリント配線板1は3層構成であるが、本発明の多層プリント配線板の製造方法は、同様の積層転写を繰り返し行うことにより所望の数の配線パターン層を備えた多層プリント配線板を製造することができる。
【0080】
また、2層構造の本発明の多層プリント配線板は、従来の両面プリント配線板の問題点、すなわち、両面プリント配線板の穴形成のためのドリル加工の精度から生じる高密度化における問題を解決することができる。これは、上述したように、導電性層が露出されており、スルーホールを形成することなく配線パターン層の交差部、あるいは、近接部における各配線パターン層相互の接続を容易に行うことができるからである。
【0081】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
(1) 配線パターン層転写版における導電性層の形成(図2(D)対応)
導電性の転写基板として、表面を研磨した厚さ0.15mmのステンレス板を準備し、このステンレス板上に市販のフォトレジスト(東京応化工業(株)製PMER P-AR900)を厚さ10μmに塗布乾燥し、所定のフォトマスクを用いて密着露光を行った後、現像・水洗・乾燥し、所定の配線パターンを有するレジストパターンを備えた転写基板(3種)を作製した。
【0082】
次に、上記のレジストパターンを電着用マスクとして、転写基板の露出部にフッ素含有アクリル系電着液((株)シミズ製 エレコートAMF400)を用いて50V定電圧で約60秒間電着を行い、疎水性の絶縁パターン(厚さ5μm)を形成した。次いで、100℃で30分間乾燥した後、転写基板に対して全面密着露光を行い、現像、水洗してレジストパターンの溶解除去を行った。その後、絶縁パターンに対して200℃、30分間の焼付けを行った。
【0083】
次に、上記の3種の転写基板の各々と無酸素銅電極とを対向させて下記の組成のピロ燐酸銅メッキ浴(pH=8.6,液温=55℃)中に浸漬し、直流電源の陽極に無酸素銅電極を接続し、陰極に上記の転写基板を接続して、電流密度3A/dm2 で5分間の通電を行い、絶縁パターンで被覆されていない転写基板の露出部(配線パターン部分)に厚さ10μmの銅メッキ膜を形成し導電性層とした。この導電性層形成を3種の転写基板について行った。
【0084】
(ピロ燐酸銅メッキ浴の組成)
・ピロ燐酸銅 … 94g/l
・ピロ燐酸銅カリウム … 340g/l
・アンモニア水 … 3g/l
(2) 配線パターン層転写版における絶縁層の形成(図2(E)対応)
上記(1)で導電性層を形成した各転写基板を下記の組成のゾル状態の絶縁材料液中に5分間浸漬させた後、3mm/秒の速度で転写基板を引き上げ、その後、室温で乾燥して、導電性層上にゾル状態の絶縁層を形成した。次いで、この転写基板を100℃で15分間加熱してゲル化処理を施し、ゾル状態の絶縁層をゲル状態の絶縁層(厚み約0.2μm)とした。
【0085】
(ゾル状態の絶縁材料液の組成)
・テトラエトキシシラン …12.5重量部
・エタノール … 20重量部
・蒸留水 … 12重量部
・12%硝酸 …0.15重量部
(3) 接着層用の電着液の調製
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(エポキシ当量910)1000重量部を攪拌しながら70℃に保ち、これにエチレングリコールモノエチルエーテル46重量部を加えて溶解させ、さらにジエチルアミン80.3重量部を加えて100℃で2時間反応させてアミンエポキシ付加物を調製し成分Aとした。
【0086】
一方、コロネートL(日本ポリウレタン(株)製ポリイソシアネート;NCO含有13%、不揮発分75重量%)875重量部にジブチル錫ラウレート0.05重量部を加え、50℃に加熱して2−エチルヘキサノール390重量部を添加し、その後、120℃で90分間反応させた。得られた反応生成物をエチレングリコールモノエチルエーテル130重量部で希釈して成分Bとした。
【0087】
次に、上記の成分A1000重量部と成分B400重量部からなる混合物を氷酢酸30重量部で中和した後、脱イオン水570重量部を用いて希釈し、不揮発分50重量%の樹脂を調製した。
【0088】
次いで、上記の樹脂200.2重量部(樹脂成分86.3重量%)、脱イオン水583.3重量部およびジブチル錫ラウレート2.4重量部を配合して接着層用の電着液とした。
(4) 配線パターン層転写版における接着層の形成(図2(F)対応)
上記(2)で導電性層上にゲル状態の絶縁層を形成した各転写基板と白金電極とを対向させて上記(3)で調製した接着層用の電着液に浸漬し、直流電源の陰極に転写基板を接続し、陽極に白金電極を接続し、50Vの電圧で1分間の電着を行い、これを80℃、10分間で乾燥して、ゲル状態の絶縁層上に厚さ20μmの接着層を形成した。これにより、導電性層、絶縁層および接着層とからなる配線パターン層を備えた配線パターン層転写版A1、A2、A3を得た。
(5) 多層プリント配線板の作製(図5対応)
厚さ25μmのポリイミドフィルム基板上に、上記の(4)において作製した配線パターン層転写版A1を下記の条件で圧着して第1層目の配線パターン層を転写した。
【0089】
(圧着条件)
圧 力 : 10kgf/cm2
温 度 : 80℃
次に、第1層目の配線パターン層が形成されたフィルム基板上に、上記の(4)において作製した配線パターン層転写版A2を、転写された第1層目の配線パターン層に接着層が接触するように上記と同様の条件で圧着して、第2層目の配線パターン層を転写した。
【0090】
同様に、第2層目の配線パターン層が形成されたフィルム基板上に、上記の(4)において作製した配線パターン層転写版A3を、第1層目の配線パターン層および第2層目の配線パターン層に接着層が接触するように上記と同様の条件で圧着して、第3層目の配線パターン層を転写した。
【0091】
その後、200℃、30分間の熱処理により接着層およびゲル状態の絶縁層を硬化させた。
【0092】
これにより、図1に示されるような3層の配線パターン層を備えた本発明の多層プリント配線板を作製した。
【0093】
この多層プリント配線板を構成する絶縁層の無機成分含有率は15重量%であった。また、この多層プリント配線板を85℃、85%RHの環境下に約7日間放置した後、電圧(30V)を印加してその時の電流値を測定し、絶縁層の抵抗値を計算した結果、1010Ωであり、良好な絶縁性が維持されていることが確認された。
(実施例2)
ゾル状態の絶縁材料液として下記の絶縁材料液を使用した他は、実施例1と同様にして図1に示されるような3層の配線パターン層を備えた本発明の多層プリント配線板を作製した。
【0094】
(ゾル状態の絶縁材料液の組成)
・メチルトリエトキシシラン … 18重量部
・イソプロピルアルコール … 54重量部
・0.005規定塩酸 … 5.4重量部
この多層プリント配線板を構成する絶縁層の無機成分含有率は10重量%であった。また、この多層プリント配線板を85℃、85%RHの環境下に約7日間放置した後、実施例1と同様の条件で絶縁層の抵抗値を計算した結果、1010Ωであり、良好な絶縁性が維持されていることが確認された。
(実施例3)
ゾル状態の絶縁材料液として下記の絶縁材料液を使用した他は、実施例1と同様にして図1に示されるような3層の配線パターン層を備えた本発明の多層プリント配線板を作製した。
【0095】
(ゾル状態の絶縁材料液の組成)
・メチルトリエトキシシラン … 18重量部
・イソプロピルアルコール … 54重量部
・0.005規定塩酸 … 5.4重量部
・コロイダルシリカ(平均粒径約0.01μm) … 3重量部
この多層プリント配線板を構成する絶縁層の無機成分含有率は20重量%であった。また、この多層プリント配線板を85℃、85%RHの環境下に約7日間放置した後、実施例1と同様の条件で絶縁層の抵抗値を計算した結果、1010Ωであり、良好な絶縁性が維持されていることが確認された。
(実施例4)
(1) 配線パターン層転写版における導電性層の形成(図9(D)対応)
実施例1の(1)と同様にして、導電性層を形成した3種の転写基板を作製した。
(2) 配線パターン層転写版における接着層の形成(図9(E)対応)
上記(1)で導電性層を形成した各転写基板と白金電極とを対向させて実施例1の(3)で調製した接着層用の電着液に浸漬し、直流電源の陰極に転写基板を接続し、陽極に白金電極を接続し、50Vの電圧で1分間の電着を行い、これを80℃、10分間で乾燥して、導電性層上に厚さ20μmの接着層を形成した。
(3) 配線パターン層転写版における絶縁層の形成(図9(F)対応)
上記(2)で導電性層上に接着層を形成した各転写基板を下記の組成のゾル状態の絶縁材料液中に5分間浸漬させた後、1mm/秒の速度で転写基板を引き上げ、その後、室温で乾燥して、導電性層上にゾル状態の絶縁層を形成した。次いで、この転写基板を100℃で15分間加熱してゲル化処理を施し、ゾル状態の絶縁層をゲル状態で粘着性を有する絶縁層(厚み約0.2μm)とした。
【0096】
(ゾル状態の絶縁材料液の組成)
・東レシリコーン(株)製 SH6020 … 22重量部
・イソプロピルアルコール … 54重量部
・0.005規定塩酸 … 5.4重量部
(この絶縁材料液は、恒温槽中、25℃で24時間反応させて調製した)
これにより、導電性層、接着層および粘着性の絶縁層とからなる配線パターン層を備えた配線パターン層転写版B1、B2、B3を得た。
(4) 多層プリント配線板の作製(図10対応)
厚さ25μmのポリイミドフィルム基板上に、上記の(3)において作製した配線パターン層転写版B1を下記の条件で圧着して第1層目の配線パターン層を転写した。
【0097】
(圧着条件)
圧 力 : 10kgf/cm2
温 度 : 80℃
次に、第1層目の配線パターン層が形成されたフィルム基板上に、上記の(3)において作製した配線パターン層転写版B2を、転写された第1層目の配線パターン層に接着層が接触するように上記と同様の条件で圧着して、第2層目の配線パターン層を転写した。
【0098】
同様に、第2層目の配線パターン層が形成されたフィルム基板上に、上記の(3)において作製した配線パターン層転写版B3を、第1層目の配線パターン層および第2層目の配線パターン層に接着層が接触するように上記と同様の条件で圧着して、第3層目の配線パターン層を転写した。
【0099】
その後、200℃、30分間の熱処理により接着層およびゲル状態の絶縁層を硬化させた。
【0100】
これにより、図8に示されるような3層の配線パターン層を備えた本発明の多層プリント配線板を作製した。
【0101】
この多層プリント配線板を構成する絶縁層の無機成分含有率は10重量%であった。また、この多層プリント配線板を85℃、85%RHの環境下に約7日間放置した後、実施例1と同様の条件で絶縁層の抵抗値を計算した結果、1010Ωであり、良好な絶縁性が維持されていることが確認された。
【0102】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば導電性層上にゾル状態またはゲル状態の絶縁層と接着層を有する配線パターン層、あるいは、導電性層上に接着層とゾル状態またはゲル状態の粘着性の絶縁層を有する配線パターン層を備えた配線パターン層転写版を用いて配線パターン層を基板上に転写し、前記絶縁層を硬化させることにより無機成分を主体とした絶縁層を備えた配線パターン層を多層に形成することができ、この多層形成は、配線パターン層転写版を並行して複数作製し、これらの配線パターン層転写版を用いて順次転写する並直列プロセスであるため、転写前の検査により不良品を排除することができ、製造歩留が向上するとともに、スループットが高く、さらに、従来基板上で行っていた配線層の形成やパターニングのためのメッキ、およびフォトエッチング工程は不要となり、製造工程の簡略化が可能となる。
【0103】
また、絶縁層が無機成分を主体としたものであるため、耐熱性、耐湿性に優れ、例えば、高湿度下での導電性層構成成分の絶縁層内への移行による絶縁性の低下が防止され、種々の環境下においても安定した絶縁性が維持されるので、多層プリント配線板の機能安定性が極めて高いものとなる。さらに、本発明の多層プリント配線板には、従来の多層プリント配線板に見られたような絶縁層による配線パターンの被覆がなく、各配線パターン層を構成する導電性層は部分的に常に裸出されており、各配線パターン層の交差部あるいは重なり部、または近接部における各配線パターン層相互の接続を容易に行うことができ、汎用性の極めて高い多層プリント配線板であるとともに、各配線パターン層の交差部あるいは重なり部では上層の絶縁層により配線パターン層間が確実に絶縁される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層プリント配線板の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の多層プリント配線板の製造方法に使用する配線パターン層転写版の作製を説明するための図面である。
【図3】本発明の多層プリント配線板の製造方法に使用する配線パターン層転写版の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の多層プリント配線板の製造方法に使用する配線パターン層転写版の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の多層プリント配線板の製造方法を説明するための図面である。
【図6】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の交差部を示す斜視図である。
【図7】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の近接部を示す斜視図である。
【図8】本発明の多層プリント配線板の他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の多層プリント配線板の製造方法に使用する配線パターン層転写版の作製を説明するための図面である。
【図10】本発明の多層プリント配線板の製造方法を説明するための図面である。
【図11】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の交差部における接続状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の交差部における接続状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の交差部における接続状態を示す斜視図である。
【図14】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の近接部における接続状態を示す斜視図である。
【図15】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の近接部における接続状態を示す斜視図である。
【図16】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の近接部における接続状態を示す斜視図である。
【図17】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の近接部における接続状態を示す斜視図である。
【図18】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の近接部における接続状態を示す斜視図である。
【図19】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の近接部における接合部を順次形成する状態を示す斜視図である。
【図20】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の近接部における接合部を順次形成する状態を示す斜視図である。
【図21】本発明の多層プリント配線板の配線パターン層の近接部における接合部の形成を説明するための図である。
【符号の説明】
1,41…多層プリント配線板
2,42…基板
3,4,5,43,44,45…配線パターン層
3a,4a,5a,43a,44a,45a…導電性層
3b,4b,5b,43c,44c,45c…絶縁層
3c,4c,5c,43b,44b,45b…接着層
10,20,30,50…配線パターン層転写版
11,21,31,51…転写基板
16,26,36,56…導電性層
17,27,37,58…絶縁層
18,28,38,57…接着層
61,62,63,64,65,66,67,68,70,81,91…接合部

Claims (16)

  1. 基板、該基板上に順次転写された複数の配線パターン層を備え、該配線パターン層は導電性層と該導電性層の下部に積層された絶縁層と接着層を有し、前記絶縁層は、下記の一般式(1)で表される少なくとも1種または2種以上の金属化合物、またはその加水分解物および/またはその部分加水分解物との縮合体を主成分とするゾル状態の材料を用いて薄膜を形成し、この薄膜にゲル化処理と硬化処理を施して形成された無機成分を主体とする層であることを特徴とする多層プリント配線板。
    a MX m-a ・・・(1)
    (但し、Rはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、アクリロイル基、ビニル基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の有機基、Mは金属元素、Xはハロゲン基、アルコキシ基、アシルオキシ基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の官能基、mは金属元素の価数、aは0、1または2を示す。)
  2. 前記配線パターン層が相互に交差する部位および/または近接する部位を有し、該交差部では上下の配線パターン層間の絶縁は上層の配線パターン層を構成する絶縁層により保たれていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板。
  3. 前記交差部および/または前記近接部の必要箇所において配線パターン層を構成する導電性層相互間に跨がるように接合部を有することを特徴とする請求項2に記載の多層プリント配線板。
  4. 基板、該基板上に順次転写された複数の配線パターン層を備え、該配線パターン層は導電性層と該導電性層の下部に積層された絶縁層を有し、該絶縁層は、下記の一般式(2)で表される少なくとも1種または2種以上の金属化合物、またはその加水分解物および/またはその部分加水分解物との縮合体を主成分とするゾル状態の材料を用いて薄膜を形成し、この薄膜にゲル化処理と硬化処理を施して形成された無機成分を主体とする層であることを特徴とする多層プリント配線板。
    YR a MX m-a-1 ・・・(2)
    (但し、Rはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、Yは反応性のある有機官能基、例えば、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、ビニル基、およびそれらの誘導体、Mは金属元素、Xはハロゲン基、アルコキシ基、アシルオキシ基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の官能基、mは金属元素の価数、aは0、1または2を示す。)
  5. 前記導電性層と前記絶縁層との間に接着層を備えることを特徴とする請求項4に記載の多層プリント配線板。
  6. 前記配線パターン層が相互に交差する部位および/または近接する部位を有し、該交差部では上下の配線パターン層間の絶縁は上層の配線パターン層を構成する絶縁層により保たれていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の多層プリント配線板。
  7. 前記交差部および/または前記近接部の必要箇所において配線パターン層を構成する導電性層相互間に跨がるように接合部を有することを特徴とする請求項6に記載の多層プリント配線板。
  8. 少なくとも表面が導電性の転写基板上に絶縁材料からなるパターンを形成し、前記パターンの形成されていない前記転写基板上の配線パターン部分にメッキ法により導電性層を剥離可能に形成し、該導電性層上に下記の一般式(1)で表される少なくとも1種または2種以上の金属化合物、またはその加水分解物および/またはその部分加水分解物との縮合体を主成分とするゾル状態の材料を用いて薄膜を形成し、この薄膜にゲル化処理(60〜150℃の範囲での加熱処理)と硬化処理(150〜1200℃の範囲での加熱処理)を施して形成された無機成分を主体とする絶縁層を形成し、該絶縁層上に接着層を形成することにより配線パターン層転写版を複数作製し、次に、多層プリント配線板用の基板の一方の面に前記配線パターン層転写版を圧着し、前記転写基板を剥離することにより前記配線パターン層を前記基板上に転写する操作を順次繰り返し、前記基板上に複数の前記配線パターン層を形成することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
    a MX m-a ・・・(1)
    (但し、Rはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、アクリロイル基、ビニル基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の有機基、Mは金属元素、Xはハロゲン基、アルコキシ基、アシルオキシ基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の官能基、mは金属元素の価数、aは0、1または2を示す。)
  9. 前記ゾル状態の材料で形成した前記絶縁層のゲル化処理および硬化処理を、配線パターン層の転写後に行うことを特徴とする請求項8に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  10. 前記ゾル状態の材料で形成した前記絶縁層のゲル化処理を行った後に前記接着層の形成を行い、配線パターン層の転写後に前記絶縁層の硬化処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  11. 前記配線パターン層が相互に交差する部位および/または近接する部位の必要箇所において、各配線パターン層を構成する導電性層相互間に跨がるように接合部を形成することにより配線パターン層相互間を接続することを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
  12. 少なくとも表面が導電性の転写基板上に絶縁材料からなるパターンを形成し、前記パターンの形成されていない前記転写基板上の配線パターン部分にメッキ法により導電性層を剥離可能に形成し、該導電性層上に下記の一般式(2)で表される少なくとも1種または2種以上の金属化合物、またはその加水分解物および/またはその部分加水分解物との縮合体を主成分とするゾル状態の接着性の材料を用いて薄膜を形成し、この薄膜にゲル化処理(60〜150℃の範囲での加熱処理)と硬化処理(150〜1200℃の範囲での加熱処理)を施して形成された無機成分を主体とする絶縁層を形成することにより配線パターン層転写版を複数作製し、次に、多層プリント配線板用の基板の一方の面に前記配線パターン層転写版を圧着し、前記転写基板を剥離することにより前記配線パターン層を前記基板上に転写する操作を順次繰り返し、前記基板上に複数の前記配線パターン層を形成することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
    YR a MX m-a-1 ・・・(2)
    (但し、Rはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、Yは反応性のある有機官能基、例えば、エポキシ基、アミノ基、アミド基、メルカプト基、ビニル基、およびそれらの誘導体、Mは金属元素、Xはハロゲン基、アルコキシ基、アシルオキシ基、およびそれらの誘導体から選ばれた1種または2種以上の官能基、mは金属元素の価数、aは0、1または2を示す。)
  13. 前記導電性層上に接着層を形成した後、前記ゾル状態の材料で前記絶縁層を形成することを特徴とする請求項12に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  14. 前記ゾル状態の材料で形成した前記絶縁層のゲル化処理および硬化処理を、配線パターン層の転写後に行うことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  15. 前記ゾル状態の材料で形成した前記絶縁層のゲル化処理を行った後に配線パターン層の転写を行い、その後、前記絶縁層の硬化処理を行うことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  16. 前記配線パターン層が相互に交差する部位および/または近接する部位の必要箇所において、各配線パターン層を構成する導電性層相互間に跨がるように接合部を形成することにより配線パターン層相互間を接続することを特徴とする請求項12乃至請求項15のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
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