JP3787050B2 - 孔版原紙係止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輪転式の孔版印刷装置にて、版胴に製版された孔版原紙を巻装するために、孔版原紙の一部を版胴に係止する孔版原紙係止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、輪転式の孔版印刷装置は、自身の軸線周りに回転可能とされた円筒状の版胴を有している。この版胴の外周面には、製版部にて製版された孔版原紙が巻装着版される。版胴の内部には、その外周面にインクを通過させる如く供給するインク供給手段がある。そして、版胴の外周面に接触するローラと版胴との間に印刷用紙を供給して押圧式に孔版印刷を行う。このような孔版印刷装置には、版胴に製版した孔版原紙を巻装するために、搬送された製版済の孔版原紙の端部を版胴に係止する孔版原紙係止装置がある。
【0003】
従来、孔版原紙係止装置は、搬送された製版済の孔版原紙の先端を挟持する構成である。具体的には、磁石板と、磁性体の板金からなるクランプ板との間に孔版原紙の先端を挟むものである。即ち、開閉自在なクランプ板を、磁石板に吸着させる吸着位置と、磁石板から離間させる離間位置とに開閉移動させる開閉機構を有している。
【0004】
クランプ板の開閉機構には、主に以下の第一乃至第四の開閉機構がある。
第一の開閉機構は、クランプ板の回転支点の一端に従動ギヤを有している。この従動ギヤには、移動手段(モータやソレノイド等)で移動される駆動ギヤが噛合する。そして、従動ギヤに噛合された駆動ギヤを駆動手段(モータ等)で回転駆動し、従動ギヤを介した回転支点の回転によりクランプ板を開閉する。
【0005】
第二の開閉機構は、クランプ板の回転支点の一端に凸型突起を有している。この凸型突起には、移動手段(モータやソレノイド等)で移動される凹型突起が嵌合する。そして、凸型突起に嵌合された凹型突起を駆動手段(モータ等)で回転駆動し、凸型突起を介した回転支点の回転によりクランプ板を開閉する。
【0006】
第三の開閉機構は、クランプ板をテコの如く構成している。このテコの作用点には、移動手段(モータやソレノイド等)で移動される作動子が当接する。そして、テコの作用点を作動子が押すことによりクランプ板を開閉する。
【0007】
第四の開閉機構は、クランプ板をテコの如く構成している。このテコの作用点には、接触子が設けられている。接触子には、移動手段(モータやソレノイド等)で移動されるカムが接触する。そして、カムの移動と、ドラムの回転により、接触子がカムに沿ってテコの作用点を押すことによりクランプ板を開閉する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の孔版原紙係止装置では、その開閉機構において以下の問題がある。
第一及び第二の開閉機構は、クランプ板を開閉するにあたり、移動手段と駆動手段の二つの動作部を必要としている。さらに、各動作部の動作を確認するために、センサ等の検知手段が必要であり、構成が複雑でありコストが嵩んでしまうという問題があった。
【0009】
また、第一乃至第三の開閉機構は、版胴の回転を所定位置で停止させ、そこからクランプ板の開閉動作を行うため、版胴への着版に時間を要し、製版から印刷を行って最初の印刷物を得るまでのファーストプリント時間の短縮の妨げになるという問題があった。
【0010】
また、第一乃至第四の開閉機構において、クランプ板開閉部材(回転支点、テコ等)は、版胴の外周面にて最も突出して高い位置にある。また、版胴は上述の如く回転体であり、版胴の周辺の機構部は、版胴の回転に際して上記クランプ板開閉部材に干渉しないように十分に間隔をおく必要がある。
【0011】
ここで、クランプ板開閉部材による版胴の外周面からの高さ、即ち版胴の回転による軌跡が大きくなった分だけ、単に版胴の周辺に設ける機構部を遠ざければよいわけではない。例えば、図11(a),(b)に示すように、クランプ板開閉部材101の高さによってクランプ最高点の軌跡が版胴102の外周面から5mm高くなった場合、上記構成部である製版部の搬送路103は、8.4mm版胴102の左方向に後退させる必要がある。また、同様に、印刷後の孔版原紙を版胴102から引き剥がす排版部(不図示)も版胴102の右方に後退させる必要があるため、合計約17mm(5mmの三倍強)孔版印刷装置の左右幅が大きくなってしまう。
【0012】
また、版胴の周辺の構成部として、版胴102に接触する上記ローラ(不図示)においても、同様にクランプ板開閉部材101を避けるために、版胴102の外周面から距離をおく必要があり、上記の如く孔版印刷装置全体が大きくなってしまう。特に、ローラが版胴102の外周面に移動して接離する構成の場合、印刷時の押圧のための移動量が多く必要であり、版胴102に接触したローラが大きくバウンドするため、このバウンドが減衰するまでに時間がかかる。これにより、画像に濃淡が生じるという問題が生じる。
【0013】
また、クランプ板は、印刷中に孔版原紙が抜けないように磁石板による磁力にて確実に吸着するため十分な面積を必要とする。また、図12に示すように、第一及び第二の開閉機構のように回転支点でクランプ板104を開閉させる構成では、クランプ板104が略180度開閉する軌跡をなす。このため、クランプ板104を吸着する磁石板を固定して孔版原紙を係止する版取付座105がクランプ板104の二倍以上の面積を必要とすることとなる。
【0014】
上記版取付座105の面積が大きくなると、版胴102における印刷範囲をなすインク通過性領域や余白をなすインク不通過性領域が十分に得られないこととなる。特に印刷時の始端側であるTOP側余白に関しては、前記ローラのバウンドが減衰するための距離が必要で、この距離が短いと上記と同様に画像の濃淡に影響が出てしまう。
【0015】
上述の問題に対し、従来では、クランプ板の面積を小さくしても、孔版原紙が抜けないようにクランプ板の磁石板への吸着面に粗面処理や吸着性を有する処理を施して滑り止めにしたが、孔版原紙をクランプ板まで搬送する際に、孔版原紙の先端が前記処理を施した吸着面に触れて搬送ミスを起こすという問題が新たに生じてしまう。
【0016】
また、クランプ板が開閉する際には衝突音と振動が発生する。これは、磁石板の強力な磁力で吸着しているクランプ板を引き剥がし、また密着させることによる。この衝突音は、瞬間的ではあるが不快な音であり印刷装置の品質を低下させている。また、振動は、孔版印刷装置全体に伝わり、原稿読取部にあるCCDの動きに影響して、その結果として画像の「揺らぎ」と呼ばれる画像不良を発生させる。
【0017】
そこで本発明は、上記課題を解消するために、開閉機構の構成を簡素化してコストを低減し、クランプ板の開閉動作にかかる時間を短縮し、クランプ板開閉部材の版胴の外周面からの高さを低くし、版取付座の占有面積を小さくし、クランプ板の開閉に伴う衝撃音と振動を抑えることができる孔版原紙係止装置を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による請求項1に記載の孔版原紙係止装置は、自身の軸線周りに回転する円筒状の版胴の外周面側に設けられ、該版胴の外周面に対して製版済みの孔版原紙を巻装着版させる如く前記孔版原紙の端部を挟持する孔版原紙係止装置において、
各磁極が前記版胴の軸線に沿って所定ピッチで交互に配されて、前記版胴の外周面側の所定位置に設けられた一方の磁石板と、
各磁極が前記一方の磁石板と同ピッチで交互に配されて、且つ、前記一方の磁石板と対面するようにして前記一方の磁石板に接離可能に支持された他方の磁石板と、
前記一方の磁石板あるいは前記他方の磁石板を前記ピッチ方向に移動させる駆動手段と、
を備え、前記駆動手段による一方あるいは他方の磁石板の移動による前記各磁極の移動によって前記各磁石板の間に吸着力あるいは反発力を作用させ、これら各磁石板の間にて、前記孔版原紙の端部を挟持あるいは開放することを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の孔版原紙係止装置は、自身の軸線周りに回転する円筒状の版胴の外周面側に設けられ、該版胴の外周面に対して製版済みの孔版原紙を巻装着版させる如く前記孔版原紙の端部を挟持する孔版原紙係止装置において、
前記版胴の外周面側にて前記版胴の軸線に沿って設けられた版取付座と、
前記版胴の軸線と平行に設けられ、前記版取付座に対面するクランプ板を、前記版取付座に対して接離する如く揺動可能に支持し、且つ、自身の軸線方向に移動可能とされた回転支軸と、
各磁極が前記回転支軸の軸線方向に沿って所定ピッチで交互に配されて、前記版取付座及び前記クランプ板にそれぞれ対向して取り付けられる一対の磁石板と、
前記回転支軸を自身の軸線方向に移動させる駆動手段と、
を備え、前記駆動手段による回転支軸の移動による前記クランプ板に取り付けられた前記磁石板の前記各磁極の移動によって前記各磁石板の間に吸着力あるいは反発力を作用させ、これら各磁石板の間にて、前記孔版原紙の端部を挟持あるいは開放することを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の孔版原紙係止装置は、請求項2に記載の孔版原紙係止装置において、
前記クランプ板の揺動端に設けられた切欠部と、
前記各磁石板が反発力にて前記孔版原紙の端部を開放した際、前記孔版原紙の端部を所望の位置に押し上げる弾性薄片と、
を有し、前記回転支軸の移動により、前記各磁石板の間に反発力を作用させた状態での前記版胴の回転に伴い、前記弾性薄片にて所望の位置とされた前記孔版原紙の端部を前記切欠部を通過し得る剥離手段にて案内させることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の孔版原紙係止装置は、請求項2あるいは請求項3に記載の孔版原紙係止装置において、
前記回転支軸を常に弾性付勢して前記各磁石板が吸着力を得る位置となるように移動させる付勢手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の孔版原紙係止装置は、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の孔版原紙係止装置において、
前記クランプ板の揺動角度を所定角度に規制するストッパを備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の孔版原紙係止装置は、請求項2に記載の孔版原紙係止装置において、
前記クランプ板とは別に前記回転支軸に対して揺動可能に支持され、前記クランプ板の揺動端を挟んで前記回転支軸とは反対側であって前記クランプ板の揺動端よりも前記回転支軸から離れた位置に揺動端を有したはね上げ部材と、
各磁極が前記回転支軸の軸線方向に沿って前記磁石板と異なる所定ピッチで交互に配されて、前記版取付座及び前記はね上げ部材にそれぞれ対向して取り付けられる一対の補助磁石板と、
を備え、前記駆動手段による前記回転支軸の移動により、前記各補助磁石板の間に前記各磁石板とは異なるタイミングにて吸着力あるいは反発力を作用させ、前記孔版原紙の挟持の際に前記はね上げ部材の上側に前記孔版原紙を乗せ、且つ、前記孔版原紙の開放の際に前記はね上げ部材を以て前記孔版原紙の端部を前記各磁石板の間から離脱させることを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の孔版原紙係止装置は、請求項6に記載の孔版原紙係止装置において、
前記回転支軸の移動を、常に前記各磁石板及び前記各補助磁石板が吸着力を得る位置となるように弾性付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の孔版原紙係止装置は、請求項6あるいは請求項7に記載の孔版原紙係止装置にいおいて、
前記クランプ板の揺動角度を所定角度に規制するストッパと、
前記はね上げ部材の揺動角度を前記クランプ板の揺動角度よりも大きい角度にて規制するストッパと、
を備えたことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明の孔版原紙係止装置の第一実施の形態を示す斜視図、図2は前記孔版原紙係止装置の要部を示す斜視図、図3(a),(b)は前記要部の作用を示す概略図、図4は前記孔版原紙係止装置の動作状態を示す斜視図、図5(a)〜(d)は前記孔版原紙係止装置の動作図、図6(a),(b)は前記孔版原紙係止装置の他の構成を示す図である。
【0027】
図1において、符号1は孔版印刷に用いられる円筒状の版胴を示している。この版胴1は、孔版印刷装置の不図示の機枠に対して自身の中心軸線周りに回転可能に支持されている。版胴1の内部には、不図示のインク供給手段が設けられている。このインク供給手段は、版胴1の回転には関与しない。また、版胴1の外周面は、インク供給手段からのインクを透過する印刷範囲2をなすインク通過性領域と、余白3をなすインク不通過性領域を有したスクリーンにて構成されている。
【0028】
孔版原紙係止装置は、版胴1及び版胴1周りに設けられている。この孔版原紙係止装置は、不図示の製版装置によって製版された孔版原紙Mを版胴1の外周面に巻付け着版させるため、版胴1近傍まで搬送された孔版原紙Mの端部を係止するものである。なお、孔版原紙Mは、一般にはロール状に巻かれたものであり、製版後、版胴1に着版する一版分に切断される。
【0029】
版胴1の外周面側の一部であって、上記余白3部分には、版胴1の幅方向(軸線方向)に沿い、且つ、前記幅方向に略渡って長手状とされた版取付座4が設けられている。版取付座4は、例えば板金からなり、その上面5は、版胴1の外周面に接する平面に対して平行な平坦面となっている。なお、版取付座4が設けられた余白3は、版胴1の周方向(即ち回転方向)で、印刷の始端側となるTOP余白3a(図1中版取付座4の奥側)と、印刷の後端となるEND余白3b(図1中版取付座4の手前側)となる。
【0030】
版取付座4の上面5には、クランプ板6が設けられている。クランプ板6は、短冊状とされ、その長手方向の長さが版取付座4の長さに略渡る如く形成されている。このクランプ板6には、長手方向の一方の縁に沿って回転支軸7が設けられている。回転支軸7は、その両端部分が前記版取付座4の長手方向両端部にて、板金の曲げ加工等によって形成された各軸受部8を介し、版胴1の軸線と平行となるように回転可能に支持されている。これにより、クランプ板6は、版胴1の回転方向に揺動可能となり、その内側面が版取付座4の上面5に対して接離するように揺動する。このクランプ板6の内側面は、版取付座4の上面5に向けて揺動した際、上面5と対面する。また、回転支軸7は、各軸受部8に対して挿通支持され、自身の軸線方向に移動可能である。これにより、クランプ板6は、回転支軸7の軸線方向に移動可能となっている。
【0031】
また、クランプ板6には切欠部10が設けられている。この切欠部10は、クランプ板6の揺動端側に向かって開口している。なお、切欠部10の数には、特に限定は無いが、図1で示す本実施の形態では二箇所設けられている。
【0032】
回転支軸7の一端は、版胴1の側部に突出されている。この突出した回転支軸7の一端は、後述する駆動部にかかる受け部9となる。また、回転支軸7の他端には、付勢手段としての圧縮コイルバネ11が巻装されている。圧縮コイルバネ11は、回転支軸7の他端側を支持する軸受部8とクランプ板6の一部との間に介在され、クランプ板6を回転支軸7の軸線方向である一端側に常に弾性付勢している。
【0033】
クランプ板6には、ストッパ12が設けられている。このストッパ12は、クランプ板6の揺動によって版取付座4の上面5と、該上面5に対向するクランプ板6の内側面とが離れる際、クランプ板6の揺動角度を所定角度に規制する。
【0034】
上記版取付座4の上面5には、一方の磁石板13aが設けられている。また、クランプ板6の内側面には、他方の磁石板13bが設けれられている。各磁石板13a,13bは、図2に示すように、各磁極(N極とS極)を所定ピッチで交互に有し、該ピッチ方向に沿って長手板状に形成されている。そして、磁石板13a,13bは、そのピッチ方向を版胴1の軸線(回転支軸7の軸線)に沿うようにして版取付座4の上面5と、クランプ板6の内側面にそれぞれ設けられている。
【0035】
一方の磁石板13a及び他方の磁石板13bは、図3(a)に示すように、それぞれ異なる磁極が向き合う時に互いに引き合う。これにより、クランプ板6が版取付座4側に揺動して、各磁石板13a,13bが吸着する。また、一方の磁石板13a及び他方の磁石板13bは、図3(b)に示すように、それぞれ同じ磁極が向き合う時互いに反発しあう。これにより、クランプ板6が版取付座4から離れるように揺動する。
【0036】
これら一方の磁石板13aと他方の磁石板13bは、上記の構成において、クランプ板6が圧縮コイルバネ11によって回転支軸7の軸線方向である一端側に付勢されている時、それぞれ異なる磁極が向き合うように取り付けられている。これにより、常にクランプ板6が版取付座4側に揺動して、各磁石板13a,13bが吸着する状態をなしている。
【0037】
このように、クランプ板6が揺動して各磁石板13a,13bが吸着した状態が、各磁石板13a,13bの間で孔版原紙Mの端部を挟む閉鎖(クランプ)状態となる。また、クランプ板6が揺動して各磁石板13a,13bが離れた状態が、孔版原紙Mの端部を放す開放(非クランプ)状態となる。
【0038】
図5(a)〜(d)に示すように、上記各磁石板13a,13bの間には、弾性薄片14が配されている。この弾性薄片14は、例えば厚さが0.5mm〜0.05mm程度のポリエステルシートのように、弾性を有する薄い板状部材により構成されている。弾性薄片14は、一端が接着等の適宜な手段によって版取付座4側に固定されている。弾性薄片14の他端は、各磁石板13a,13bの間に延在されている。この弾性薄片14は、図5(b)に示す如く、その他端が、各磁石板13a,13bが離れた状態において、自身の弾性力を以て各磁石板13a,13bの間の中立位置を保持する。
【0039】
また、図6(a),(b)に示す他の構成の弾性薄片15は、一端が接着等の適宜な手段によって版取付座4側に固定され、他端が各磁石板13a,13bの間から回転支軸7の下側を通って、押し返し状にクランプ板6の上面に対して接着等の適宜な手段によって固定されている。この弾性薄片15は、図6(b)に示すように、各磁石板13a,13bの間にある部位が、各磁石板13a,13bが離れた状態において、自身の弾性力を以て膨出変形し、各磁石板13a,13bの間の中立位置を保持する。
【0040】
これら、弾性薄片14,15は、磁石板13a,13bのピッチ方向である回転支軸7の軸線に沿って延在されているわけでなく、図示しないが回転支軸7の軸線に沿って所定の間隔をおいて配されている。
【0041】
ところで、クランプ板6の揺動は、駆動手段20によって駆動される。
駆動手段20は、版胴1周りであって、版胴1の回転に伴ってクランプ板6が移動し、この移動したクランプ板6が孔版原紙Mの端部を挟持あるいは放すための所定位置に設けられている。この所定位置では、回転可能な版胴1は停止する(図1及び図4に示す位置)。
【0042】
駆動手段20は、上記不図示の機枠に対して回転可能に支持された従動ギヤ21を有している。この従動ギヤ21は、クランプ板6の回転支軸7の軸線に平行する回転中心線21aを有している。また、従動ギヤ21は、その回転中心線21a上に沿う貫通穴22を有している。貫通穴22の内周面には、雌ねじ溝(不図示)が形成されている。
【0043】
従動ギヤ21の貫通穴22には、押出軸23が挿通されている。押出軸23は、その外周面に貫通穴22の雌ねじ溝に噛合する雄ねじ溝23aを有している。この押出軸23は、図示しない回転規制機構にて、自身の回転が規制されている。押出軸23は、従動ギヤ21の回転によって従動ギヤ21の回転中心線21aに沿って移動する。
【0044】
押出軸23の版胴1側に向く先端には、押出片24が形成されている。押出片24は、押出軸23が版胴1側に移動する時、クランプ板6の回転支軸7の一端にある受け部9に当接する。また、押出片24は、版胴1の回転軌跡に沿って円弧状に形成されている。これにより、押出片24は、押出軸23の移動により上記受け部9に当接するとともに、版胴1の回転に伴って受け部9との当接状態を円弧状の軌跡の長さ分だけ所定時間継続することとなる。
【0045】
また、従動ギヤ21は、駆動ギヤ25と噛合している。駆動ギヤ25は、不図示の機枠に固定された駆動モータ26にある出力軸27に固定されている。したがって、従動ギヤ21は、駆動モータ26の駆動によって回転する駆動ギヤ25を介して回転駆動される。
【0046】
以下、上述のように構成された孔版原紙係止装置の動作を説明する。
版胴1に対し孔版原紙Mを着版したり、版胴1に着版されている孔版原紙Mを排版する際、版胴1は図1あるいは図4に示す所定位置にてその回転を停止する。この所定位置は、不図示の検出手段により検出される。また、本実施の形態では、印刷後、使用済みの孔版原紙Mは版胴1に巻付け着版されたままの状態にある。即ち、各磁石板13a,13bが互いに吸着して、孔版原紙Mの端部を係止している図1、図5(a)及び図6(a)の状態にある。
【0047】
まず、版胴1に着版された孔版原紙Mを排版する。
版胴1が所定位置にて停止したことを検出すると、駆動モータ26に通電が行われ、駆動ギヤ25が図1中反時計廻り方向に回転する。これに伴い従動ギヤ21が時計廻り方向に回転駆動される。従動ギヤ21は、上述したように孔版印刷装置の機枠に対して回転可能に支持されているため回転動作のみを行う。また、押出軸23は、上述したように図示しない回転規制部材にて自身の回転が規制されている。したがって、従動ギヤ21の雌ねじ溝と、押出軸23の雄ねじ溝23aとの噛合にて、押出軸23が版胴1側に移動する。
【0048】
この押出軸23の移動により、図4に示すように、移動した押出軸23の先端にある押出片24がクランプ板6の回転支軸7の一端にある受け部9に接触して受け部9を押圧する。押圧された回転支軸7は、クランプ板6と共に、圧縮コイルバネ11の弾性付勢力に抗して他端側に移動する。
【0049】
これにより、クランプ板6に設けられた他方の磁石板13bが磁極のピッチ方向に移動し、一方の磁石板13aの各磁極に対して、それぞれ同じ磁極が向き合うこととなる。そして、各磁石板13a,13bが互いに反発しあい、クランプ板6が版取付座4から離れるように揺動して、孔版原紙Mの端部を放す開放状態となる。
【0050】
この開放状態において、クランプ板6は、図4に示すように、その揺動をストッパ12にて規制された所定角度で止まる。また、クランプ板6の開放状態にて、上述した弾性薄片14,15は、図5(b)及び図6(b)に示す如く、中立位置になって孔版原紙Mの端部を各磁石板13a,13bの間の所望の位置に押し上げている。
【0051】
さらに、クランプ板6の開放状態にて、版胴1を時計廻り方向に回転させる。なお、上述したように、押出片24は、版胴1の回転に伴って受け部9との当接状態を円弧状の軌跡の長さ分だけ継続する。これにより、クランプ板6は開放状態を維持したままで版胴1の回転に伴って移動する。
【0052】
ここで、版胴1の外周面の近傍であって、クランプ板6が開放状態を維持しながら移動する範囲には、移動するクランプ板6の各切欠部10を通過する剥離手段としての剥離爪30がそれぞれ設けられている。各剥離爪30は、枢軸31に固定支持されている。また、枢軸31は、不図示の排版装置に連動する駆動部にて回転駆動される。
【0053】
これにより、図5(c)に示すように、版胴1の回転にて移動するクランプ板6の切欠部10に対して剥離爪30が通過する。そして、剥離爪30は、上記所望の位置にある孔版原紙Mの端部を下から持ち上げるように案内する。そして、孔版原紙Mは、図5(d)に示すように、剥離爪30によって各磁石板13a,13bの間から離脱される。
【0054】
そして、版胴1がさらに回転し続けることにより、孔版原紙Mが版胴1の外周面から引き剥がされて、不図示の排版装置に導かれることによって、排版が行われる。
【0055】
また、版胴1の回転により、押出片24から受け部9が離れ、回転支軸7が、クランプ板6と共に圧縮コイルバネ11の弾性付勢力によって一端側に移動する。これにより、クランプ板6に設けられた他方の磁石板13bが磁極のピッチ方向に移動し、一方の磁石板13aの各磁極に対して、それぞれ異なる磁極が向き合うこととなる。そして、各磁石板13a,13bが互いに吸着し、クランプ板6が版取付座4に近づくように揺動して、孔版原紙Mの端部を挟む閉鎖状態となる。
【0056】
その後、駆動モータ26を逆転させて、押出軸23を版胴1から離れるように移動させることで、押出片24が図1の元の位置に戻る。
【0057】
次に、版胴1に対し製版された孔版原紙Mを着版する。
上記排版のための回転を完了した版胴1は、再び所定位置にて停止する。
版胴1が所定位置にて停止したことを検出すると、駆動モータ26に通電が行われ、駆動ギヤ25が図1中反時計廻り方向に回転する。これに伴い従動ギヤ21が時計廻り方向に回転駆動されて、押出軸23が版胴1側に移動する。
【0058】
押出軸23の移動により、図4に示すように、移動した押出軸23の先端にある押出片24がクランプ板6の回転支軸7の一端にある受け部9を押圧し、回転支軸7及びクランプ板6が、圧縮コイルバネ11の弾性付勢力に抗して他端側に移動する。
【0059】
これにより、クランプ板6に設けられた他方の磁石板13bが磁極のピッチ方向に移動し、一方の磁石板13aの各磁極に対して、それぞれ同じ磁極が向き合う。そして、各磁石板13a,1bが互いに反発しあい、クランプ板6が版取付座4から離れるように揺動して開放状態となる。この開放状態は、上述したように、ストッパ12によって規制された所定角度で止まる。
【0060】
この開放状態にて、不図示の製版装置から製版された孔版原紙Mが搬送される。図5(b)及び図6(b)に示すように、搬送された孔版原紙Mの端部が一方の磁石板13aの上面に導かれると、不図示の検出手段にて検出される。この検出により、駆動モータ26を逆転させ、押出軸23を版胴1から離れるように移動させることで、押出片24と受け部9が離れる。そして、回転支軸7及びクランプ板6が、圧縮コイルバネ11の弾性付勢力によって一端側に移動する。これにより、クランプ板6に設けられた他方の磁石板13bが磁極のピッチ方向に移動し、一方の磁石板13aの各磁極に対して、それぞれ異なる磁極が向き合う。そして、各磁石板13a,13bの吸着により、クランプ板6が版取付座4に近づくように揺動して、図5(a)及び図6(a)に示すように、孔版原紙Mの端部を挟む閉鎖状態となる。
【0061】
この一連の動作により、孔版原紙Mの端部が係止され、この後の版胴1の回転によって、製版された孔版原紙Mが版胴1に巻き付けられて着版が終了する。そして、印刷の際には、版胴1を回転させて版胴1内のインク供給手段から着版された孔版原紙Mにインクを供給するとともに、この孔版原紙Mにローラ等で印刷用紙を圧接させることにより印刷が行われる。
【0062】
したがって、このように構成された孔版原紙係止装置では、版取付座4とクランプ板6の向き合う面のそれぞれに、各磁極を所定ピッチで交互に有した各磁石板13a,13bを設け、クランプ板7のピッチ方向の移動により、向き合う磁極間に生じる吸着力及び反発力を用いてクランプ板6の閉鎖状態及び開放状態が得られる。この、クランプ板6の移動は、クランプ板6を支持する回転支軸7を軸線方向に移動させるだけの駆動手段によって行われるので、構成が簡素化され、コストを低減することが可能となる。
【0063】
また、駆動手段には、従来のように磁石板に吸着した状態のクランプ板を引き剥がすような強い力を必要としないため、その小型化を図ることができる。さらに、従来のように磁石板に吸着した状態のクランプ板を引き剥がすことがないので、その際に生じていたクランプ板の開閉に伴う衝撃音と振動を抑えることが可能である。
【0064】
また、クランプ板6の移動は、上記各磁石板13a,13bの1ピッチ分あればよいため、多くの動作量を要せずクランプ板6の開放させることができ、且つ、クランプ板6の閉鎖は、クランプ板6が圧縮コイルバネ11によって元の位置に戻るように付勢されているので、クランプ板6の開閉にかかる時間を短縮することができる。なお、各磁石板13a,13bのピッチが狭ければ、クランプ板6の開閉時間は短縮される。これにより、版胴1への孔版原紙Mの着版時間を短縮し、製版から印刷を行って最初の印刷物を得るまでのファーストプリント時間の短縮を図ることが可能となる。
【0065】
また、クランプ板6は、回転支軸7に揺動可能に支持されているだけの構成であるため、複雑な構成を要することがなく、その構成部品の高さを低くすることができ、版胴1周囲の構成を版胴1に近づけて、孔版印刷装置全体の大きさを小型化することが可能となる。
【0066】
また、クランプ板6の開放角度は、ストッパ12によって所定角度(孔版原紙Mの端部を開放し、且つ受け入れられる所定角度に規制されるため、従来の如く180度開く構成と比較して、クランプ板6の開閉にかかる版取付座4側の占有面積を狭くすることができ、版胴1の外周面の余白3の占有面積を広くすることが可能となる。これにより、版胴1に印刷用紙を圧接するローラが版胴1側に接触した際のバウンドが減衰するまでの距離を長く得ることができ、画像に濃淡への影響を抑えることが可能となる。
【0067】
また、排版時において、弾性薄片14,15の採用により、開放された孔版原紙Mの端部を所望の位置に支持しておくため、確実な排版動作を行うことが可能である。
【0068】
以下、本発明の第二実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図7は本発明の孔版原紙係止装置の第二実施の形態を示す斜視図、図8は前記孔版原紙係止装置の動作状態を示す斜視図、図9(a)〜(c)は要部の関連作用を示す概略図、図10(a)〜(e)は前記関連作用に基づいた動作図である。
【0069】
なお、以下に説明する第二実施の形態では、上述した第一実施の形態と同等あるいは同一の構成部分に同一の符号を用いて説明する。
【0070】
図7において、符号1は孔版印刷に用いられる円筒状の版胴を示している。この版胴1は、孔版印刷装置の不図示の機枠に対して自身の中心軸線周りに回転可能に支持されている。版胴1の内部には、不図示のインク供給手段が設けられている。このインク供給手段は、版胴1の回転には関与しない。また、版胴1の外周面は、インク供給手段からのインクを透過する印刷範囲2をなすインク通過性領域と、余白3をなすインク不通過性領域を有したスクリーンにて構成されている。
【0071】
孔版原紙係止装置は、版胴1及び版胴1周りに設けられている。この孔版原紙係止装置は、不図示の製版装置によって製版された孔版原紙Mを版胴1の外周面に巻付け着版させるため、版胴1近傍まで搬送された孔版原紙Mの端部を係止するものである。なお、孔版原紙Mは、一般にはロール状に巻かれたものであり、製版後、版胴1に着版する一版分に切断される。
【0072】
版胴1の外周面側の一部であって、上記余白3部分には、版胴1の幅方向(軸線方向)に沿い、且つ、前記幅方向に略渡って長手状とされた版取付座4が設けられている。版取付座4は、例えば板金からなり、その上面5は、版胴1の外周面に接する平面に対して平行な平坦面となっている。なお、版取付座4が設けられた余白3は、版胴1の周方向(即ち回転方向)で、印刷の始端側となるTOP余白3a(図7中版取付座4の奥側)と、印刷の後端となるEND余白3b(図7中版取付座4の手前側)となる。
【0073】
版取付座4の上面5には、クランプ板6が設けられている。クランプ板6は、短冊状とされ、その長手方向の長さが版取付座4の長さに略渡る如く形成されている。このクランプ板6には、長手方向の一方の縁に沿って回転支軸7が設けられている。回転支軸7は、その両端部分が前記版取付座4の長手方向両端部にて、板金の曲げ加工等によって形成された各軸受部8を介し、版胴1の軸線と平行となるように回転可能に支持されている。これにより、クランプ板6は、版胴1の回転方向に揺動可能となり、その内側面が版取付座4の上面5に対して接離するように揺動する。このクランプ板6の内側面は、版取付座4の上面5に向けて揺動した際、上面5と対面する。また、回転支軸7は、各軸受部8に対して挿通支持され、自身の軸線方向に移動可能である。これにより、クランプ板6は、回転支軸7の軸線方向に移動可能となっている。
【0074】
また、版取付座4の上面5には、はね上げ部材16が設けられている。はね上げ部材16は、クランプ板6の短冊状を囲む如く略コ字形状をなしている。このはね上げ部材16は、クランプ板6を囲んだ両端部が回転支軸7に対し、クランプ板6とは別に揺動可能に支持されている。即ち、はね上げ部材16は、クランプ板6の揺動端の前側にて該揺動端よりも回転支軸7から離れた位置に揺動端を有してクランプ板6と独立して揺動する。また、回転支軸7が、はね上げ部材16を揺動可能に支持した部分には、移動規制部材17が設けられている。この移動規制部材17は、はね上げ部材16が回転支軸7の軸線方向に独立して移動しないように規制している。
【0075】
これにより、はね上げ部材16は、版胴1の軸線と平行となるように揺動可能となり、その内側面(揺動端)が版取付座4の上面に対して接離するように揺動する。このはね上げ部材16の内側面(揺動端)は、版取付座4の上面5に向けて揺動した際、上面5と対面する。また、はね上げ部材16は、移動規制部材17によって回転支軸7の軸線方向への独立した移動が規制されているため、回転支軸7が自身の軸線方向に移動した場合、クランプ板6とともに回転支軸7の軸線方向に移動する。
【0076】
回転支軸7の一端は、版胴1の側部に突出されている。この突出した回転支軸7の一端は、後述する駆動部にかかる受け部9となる。また、回転支軸7の他端には、付勢手段としての圧縮コイルバネ11が巻装されている。圧縮コイルバネ11は、回転支軸7の他端側を支持する軸受部8とクランプ板6の一部との間に介在され、クランプ板6及びはね上げ部材16を回転支軸7の軸線方向である一端側に常に弾性付勢している。
【0077】
クランプ板6には、ストッパ12が設けられている。このストッパ12は、クランプ板6の揺動によって版取付座4の上面5と、該上面5に対向するクランプ板6の内側面とが離れる際、クランプ板6の揺動角度を所定角度に規制する。
【0078】
はね上げ部材16には、ストッパ18が設けられている。このストッパ18は、はね上げ部材16の揺動によって版取付座4の上面5と、該上面5に対向するはね上げ部材16の内側面(揺動端)とが離れる際、はね上げ部材16の揺動角度を所定角度に規制する。このはね上げ部材16の揺動角度は、図8に示すように、上記クランプ板6の揺動角度よりも大きくなるように設定されている。
【0079】
上記版取付座4の上面5には、一方の磁石板13aが設けられている。また、クランプ板6の内側面には、他方の磁石板13bが設けれられている。各磁石板13a,13bは、図2に示すように、各磁極(N極とS極)を所定ピッチで交互に有し、該ピッチ方向に沿って長手板状に形成されている。そして、磁石板13a,13bは、そのピッチ方向を版胴1の軸線(回転支軸7の軸線)に沿うようにして版取付座4の上面5と、クランプ板6の内側面にそれぞれ設けられている。
【0080】
一方の磁石板13a及び他方の磁石板13bは、図3(a)に示すように、それぞれ異なる磁極が向き合う時に互いに引き合う。これにより、クランプ板6が版取付座4側に揺動して、各磁石板13a,13bが吸着する。また、一方の磁石板13a及び他方の磁石板13bは、図3(b)に示すように、それぞれ同じ磁極が向き合う時互いに反発しあう。これにより、クランプ板6が版取付座4から離れるように揺動する。
【0081】
これら一方の磁石板13aと他方の磁石板13bは、上記の構成において、クランプ板6が圧縮コイルバネ11によって回転支軸7の軸線方向である一端側に付勢されている時、それぞれ異なる磁極が向き合うように取り付けられている。これにより、常にクランプ板6が版取付座4側に揺動して、各磁石板13a,13bが吸着する状態をなしている。
【0082】
このように、クランプ板6が揺動して各磁石板13a,13bが吸着した状態が、各磁石板13a,13bの間で孔版原紙Mの端部を挟む閉鎖(クランプ)状態となる。また、クランプ板6が揺動して各磁石板13a,13bが離れた状態が、孔版原紙Mの端部を放す開放(非クランプ)状態となる。
【0083】
また、上記版取付座4の上面5には、一方の補助磁石板19aが設けられている。また、はね上げ部材16の内側面(揺動端)には、他方の補助磁石板19bが設けれられている。各補助磁石板19a,19bは、上述の各磁石板13a,13bと同様に、各磁極(N極とS極)を所定ピッチで交互に有し、該ピッチ方向に沿って長手板状に形成されている。そして、各補助磁石板19a,19bは、そのピッチ方向を版胴1の軸線(回転支軸7の軸線)に沿うようにして版取付座4の上面5と、はね上げ板16の内側面(揺動端)にそれぞれ設けられている。
【0084】
一方の補助磁石板19a及び他方の補助磁石板19bは、上述の各磁石板13a,13bと同様に、それぞれ異なる磁極が向き合う時に互いに引き合う。これにより、はね上げ部材16が版取付座4側に揺動して、各補助磁石板19a,19bが吸着する。また、一方の補助磁石板19a及び他方の補助磁石板19bは、それぞれ同じ磁極が向き合う時互いに反発しあう。これにより、はね上げ部材16が版取付座4から離れるように揺動する。
【0085】
これら一方の補助磁石板19aと他方の補助磁石板19bは、上記の構成において、クランプ板6とともにはね上げ部材16が圧縮コイルバネ11によって回転支軸7の軸線方向である一端側に付勢されている時、それぞれ異なる磁極が向き合うように配されている。これにより、常にはね上げ部材16が版取付座4側に揺動して、各補助磁石板19a,19bが吸着する状態をなしている。
【0086】
このように、はね上げ部材16が揺動して各補助磁石板19a,19bが吸着した状態が、上記各磁石板13a,13bの間で孔版原紙Mの端部を挟む閉鎖(クランプ)状態となる。また、はね上げ部材16が揺動して各補助磁石板19a,19bが離れた状態が、クランプ板6が孔版原紙Mの端部を放す開放(非クランプ)状態となる。
【0087】
なお、上述した各磁石板13a,13bと、各補助磁石板19a,19bは異なるピッチとなるように設定されている。
その一例として、図9(a)に示すように、各磁石板13a,13bのピッチを1とし、各補助磁石板19a,19bのピッチを1.5としている。また、図9(a)で示す各磁石板13a,13b及び各補助磁石板19a,19bの状態は、クランプ板6とはね上げ部材16が圧縮コイルバネ11の弾性付勢力によって回転支軸7の軸線方向である一端側に付勢されている状態であり、各磁石板13a,13b及び各補助磁石板19a,19bがそれぞれ異なる磁極で吸着している。即ち、図10(a)に示すように、クランプ板6及びはね上げ部材16が閉鎖している状態である。
【0088】
この各磁石板13a,13bのピッチ(1)に対する各補助磁石板19a,19bのピッチ(1.5)の構成では、図9(b)に示すように、クランプ板6とはね上げ部材16を回転支軸7の軸線方向である他端側に所定量(略0.6ピッチ分)移動させた時、各磁石板13a,13bが同じ磁極により反発して離れ、各補助磁石板19a,19bが異なる磁極により吸着している。即ち、図10(e)に示すように、クランプ板6が開放し、はね上げ部材16が閉鎖している状態である。この図10(e)に示す状態にて、孔版原紙Mが各磁石板13a,13bの間に送られて挟持される。ゆえに、孔版原紙Mは、各磁石板13a,13bの間に挟持される時、閉鎖状態にあるはね上げ部材16の上側に乗ることとなる。
【0089】
また、図9(c)に示すように、クランプ板6とはね上げ部材16を回転支軸7の軸線方向である他端側に所定量(1ピッチ分)移動させた時では、各磁石板13a,13bが同じ磁極により反発して離れ、各補助磁石板19a,19bも同じ磁極により反発して離れている。即ち、図10(c)に示すように、クランプ板6とはね上げ部材16が開放している状態である。この図10(c)に示す状態にて、各磁石板13a,13bの間にて挟持された孔版原紙Mが開放される。また、孔版原紙Mは、閉鎖状態にあるはね上げ部材16の上側に乗っていたため、開放したはね上げ部材16によって上方にはね上げられることとなる。
【0090】
このように、各磁石板13a,13bと各補助磁石板19a,19bは、上記ピッチの異なりにより、クランプ板6及びはね上げ部材16の移動に際し、異なるタイミングにて吸着力あるいは反発力が作用し、クランプ板6とはね上げ部材16の閉鎖状態・開放状態を異なるタイミングにて行わせる。
【0091】
ところで、クランプ板6及びはね上げ部材16の揺動は、駆動手段20によって駆動される。
駆動手段20は、版胴1周りであって、版胴1の回転に伴ってクランプ板6が移動し、この移動したクランプ板6が孔版原紙Mの端部を挟持あるいは放すための所定位置に設けられている。この所定位置では、回転可能な版胴1は停止する(図7及び図8に示す位置)。
【0092】
駆動手段20は、上記不図示の機枠に対して回転可能に支持された従動ギヤ21を有している。この従動ギヤ21は、クランプ板6の回転支軸7の軸線に平行する回転中心線21aを有している。また、従動ギヤ21は、その回転中心線21a上に沿う貫通穴22を有している。貫通穴22の内周面には、雌ねじ溝(不図示)が形成されている。
【0093】
従動ギヤ21の貫通穴22には、押出軸23が挿通されている。押出軸23は、その外周面に貫通穴22の雌ねじ溝に噛合する雄ねじ溝23aを有している。この押出軸23は、図示しない回転規制部材にて、自身の回転が規制されている。押出軸23は、従動ギヤ21の回転によって従動ギヤ21の回転中心線21aに沿って移動する。また、押出軸23が版胴1側に移動する時、押出軸23の先端部がクランプ板6の回転支軸7の一端にある受け部9に当接する。
【0094】
また、従動ギヤ21は、駆動ギヤ25と噛合している。駆動ギヤ25は、不図示の機枠に固定された駆動モータ26にある出力軸27に固定されている。したがって、従動ギヤ21は、駆動モータ26の駆動によって回転する駆動ギヤ25を介して回転駆動される。
【0095】
以下、上述のように構成された孔版原紙係止装置の動作を説明する。
版胴1に対し孔版原紙Mを着版したり、版胴1に着版されている孔版原紙Mを排版する際、版胴1は図7あるいは図8に示す所定位置にてその回転を停止する。この所定位置は、不図示の検出手段により検出される。また、本実施の形態では、印刷後、使用済みの孔版原紙Mは版胴1に巻付け着版されたままの状態にある。即ち、各磁石板13a,13bが吸着して、孔版原紙Mの端部を係止している図7及び図10(a)の状態にある。上述したように、各磁石板13a,13bの間に挟持された孔版原紙Mは、閉鎖状態にあるはね上げ部材16の上側に乗っている。
【0096】
まず、版胴1に着版された孔版原紙Mを排版する。
版胴1が所定位置にて停止したことを検出すると、駆動モータ26に通電が行われ、駆動ギヤ25が図7中反時計廻り方向に回転する。これに伴い従動ギヤ21が時計廻り方向に回転駆動される。従動ギヤ21は、上述したように孔版印刷装置の機枠に対して回転可能に支持されているため回転動作のみを行う。また、押出軸23は、上述したように図示しない回転規制部材にて自身の回転が規制されている。したがって、従動ギヤ21の雌ねじ溝と、押出軸23の雄ねじ溝23aとの噛合にて、押出軸23が版胴1側に移動する。
【0097】
この押出軸23の移動により、図8に示すように、移動した押出軸23の先端がクランプ板6の回転支軸7の一端にある受け部9に接触して押圧する。押圧された回転支軸7は、クランプ板6及びはね上げ部材16と共に、圧縮コイルバネ11の弾性付勢力に抗して他端側に移動する。この排版動作において、回転支軸7の移動量は、上記1ピッチ分に設定されている。
【0098】
回転支軸7が1ピッチ分移動する過程において、その移動量が図9(b)で示す0.6ピッチの時、他方の磁石板13bが、一方の磁石板13aの各磁極に対して、それぞれ同じ磁極が略向き合うこととなる。そして、各磁石板13a,13bが互いに反発しあい、図10(b)に示すように、クランプ板6だけが版取付座4から離れるように揺動して、孔版原紙Mの端部を放す開放状態となる。この開放状態は、上述したように、ストッパ12によって規制された所定角度で止まる。
【0099】
さらに、回転支軸7が図9(c)で示す1ピッチ分まで移動すると、他方の補助磁石板19bが、一方の補助磁石板19aの各磁極に対して、それぞれ同じ磁極が略向き合うこととなる。そして、各補助磁石板19a,19bが互いに反発しあい、図10(c)に示すように、はね上げ部材16が版取付座4から離れるように揺動して開放状態となる。この開放状態は、上述したように、ストッパ18によって規制された所定角度で止まる。
【0100】
この際、クランプ板6は開放状態のままであり、孔版原紙Mの端部を開放している。ここで、はね上げ部材16が開放状態となることにより、はね上げ部材16の上側に乗っていた孔版原紙Mが上方にはね上げられ、その端部が各磁石板13a,13bの間から離脱される。
【0101】
その後、駆動モータ26を逆転させ、押出軸23を版胴1から離れるように移動させることで、押出軸23の先端部が受け部9から離れる。そして、回転支軸7とともにクランプ板6及びはね上げ部材16が、圧縮コイルバネ11の弾性付勢力によって図9(a)の如く一端側に移動する。これにより、クランプ板6に設けられた他方の磁石板13bが磁極のピッチ方向に移動し、一方の磁石板13aの各磁極に対して、それぞれ異なる磁極が向き合う。そして、各磁石板13a,13bの吸着により、クランプ板6が版取付座4に近づくように揺動して、図10(a)に示すように閉鎖状態に戻る。
【0102】
また、はね上げ部材16に関しても、はね上げ部材16の設けられた他方の補助磁石板19bが図9(a)の如く移動し、一方の補助磁石板19aの各磁極に対して、それぞれ異なる磁極が向き合う。そして、各補助磁石板19a,19bの吸着により、はね上げ部材16が版取付座4に近づくように揺動して、図10(a)に示すように閉鎖状態に戻る。
【0103】
この際、孔版原紙Mの端部は、上述の如くはね上げ部材16によって各磁石板13a,13bの間から離脱されているので、図10(d)に示すように、クランプ板6とはね上げ部材16の上側にある。
【0104】
その後、版胴1を時計廻り方向に回転させることにより、孔版原紙Mが不図示の排版装置によって版胴1の外周面から引き剥がされて排版が行われる。
【0105】
次に、版胴1に対し製版された孔版原紙Mを着版する。
上記排版のための回転を完了した版胴1は、再び所定位置にて停止する。
版胴1が所定位置にて停止したことを検出すると、駆動モータ26に通電が行われ、駆動ギヤ25が図7中反時計廻り方向に回転する。これに伴い従動ギヤ21が時計廻り方向に回転駆動されて、押出軸23が版胴1側に移動する。
【0106】
この押出軸23の移動により、図8に示すように、移動した押出軸23の先端がクランプ板6の回転支軸7の一端にある受け部9に接触して押圧する。押圧された回転支軸7は、クランプ板6及びはね上げ部材16と共に、圧縮コイルバネ11の弾性付勢力に抗して他端側に移動する。この着版動作において、回転支軸7の移動量は、上記0.6ピッチ分に設定されている。
【0107】
回転支軸7が0.6ピッチ分移動すると、図9(b)で示すように、他方の磁石板13bが、一方の磁石板13aの各磁極に対して、それぞれ同じ磁極が略向き合うこととなる。そして、各磁石板13a,13bが互いに反発しあい、図10(b)に示すように、はね上げ部材16が閉鎖状態のままで、クランプ板6だけが版取付座4から離れるように揺動して、孔版原紙Mの端部を放す開放状態となる。この開放状態は、上述したように、ストッパ12によって規制された所定角度で止まる。
【0108】
このクランプ板6のみの開放状態にて、不図示の製版装置から製版された孔版原紙Mが搬送される。図10(e)に示すように、搬送された孔版原紙Mの端部が一方の磁石板13aの上面に導かれると、不図示の検出手段にて検出される。なお、一方の磁石板13aの上面に導かれた孔版原紙Mは、はね上げ部材16が閉鎖状態であるため、はね上げ部材16の上側に乗る。
【0109】
その後、不図示の検出手段の検出により、駆動モータ26を逆転させ、押出軸23を版胴1から離れるように移動させることで、押出軸23の先端部が受け部9から離れる。そして、回転支軸7とともにクランプ板6及びはね上げ部材16が、圧縮コイルバネ11の弾性付勢力によって図9(a)の如く一端側に移動する。これにより、クランプ板6に設けられた他方の磁石板13bが磁極のピッチ方向に移動し、一方の磁石板13aの各磁極に対して、それぞれ異なる磁極が向き合う。そして、各磁石板13a,13bの吸着により、クランプ板6が版取付座4に近づくように揺動して、図10(a)に示すように、孔版原紙Mの端部を挟む閉鎖状態となる。なお、各磁石板13a,13bの間に挟持された孔版原紙Mは、上述のようにはね上げ部材16の上側に乗っている。
【0110】
この一連の動作により、孔版原紙Mの端部が係止され、この後の版胴1の回転によって、製版された孔版原紙Mが版胴1に巻き付けられて着版が終了する。そして、印刷の際には、版胴1を回転させて版胴1内のインク供給手段から着版された孔版原紙Mにインクを供給するとともに、この孔版原紙Mにローラ等で印刷用紙を圧接させることにより印刷が行われる。
【0111】
したがって、このように構成された孔版原紙係止装置では、版取付座4とクランプ板6の向き合う面のそれぞれに、各磁極を所定ピッチで交互に有した各磁石板13a,13bを設け、クランプ板7のピッチ方向の移動により、向き合う磁極間に生じる吸着力及び反発力を用いてクランプ板6の閉鎖状態及び開放状態が得られる。この、クランプ板6の移動は、クランプ板6を支持する回転支軸7を軸線方向に押し出すだけの駆動手段によって行われるので、構成が簡素化され、コストを低減することが可能となる。
【0112】
また、駆動手段には、従来のように磁石板に吸着した状態のクランプ板を引き剥がすような強い力を必要としないため、その小型化を図ることができる。さらに、従来のように磁石板に吸着した状態のクランプ板を引き剥がすことがないので、その際に生じていたクランプ板の開閉に伴う衝撃音と振動を抑えることが可能である。
【0113】
また、クランプ板6の移動は、上記各磁石板13a,13bの1ピッチ分あればよいため、多くの動作量を要せずクランプ板6の開放させることができ、且つ、クランプ板6の閉鎖は、クランプ板6が圧縮コイルバネ11によって元の位置に戻るように付勢されているので、クランプ板6の開閉にかかる時間を短縮することができる。なお、各磁石板13a,13bのピッチが狭ければ、クランプ板6の開閉時間は短縮される。これにより、版胴1への孔版原紙Mの着版時間を短縮し、製版から印刷を行って最初の印刷物を得るまでのファーストプリント時間の短縮を図ることが可能となる。
【0114】
また、クランプ板6は、回転支軸7に揺動可能に支持されているだけの構成であるため、複雑な構成を要することがなく、その構成部品の高さを低くすることができ、版胴1周囲の構成を版胴1に近づけて、孔版印刷装置全体の大きさを小型化することが可能となる。
【0115】
また、クランプ板6の開放角度は、ストッパ12によって所定角度(孔版原紙Mの端部を開放し、且つ受け入れられる所定角度に規制されるため、従来の如く180度開く構成と比較して、クランプ板6の開閉にかかる版取付座4側の占有面積を狭くすることができ、版胴1の外周面の余白3の占有面積を広くすることが可能となる。これにより、版胴1に印刷用紙を圧接するローラが版胴1側に接触した際のバウンドが減衰するまでの距離を長く得ることができ、画像に濃淡への影響を抑えることが可能となる。
【0116】
また、排版時において、はね上げ部材16を設けたことにより、確実な排版動作を行うことが可能である。
【0117】
また、はね上げ部材16は、所定ピッチで各磁極を有した各補助磁石板19a,19bを採用して、クランプ板6と共にはね上げ部材16を上記ピッチ方向に移動させることにより開閉を行うように構成されているため、開閉に伴う衝撃音と振動を生じることがなく、クランプ板6の開閉時間の短縮を損なわず、且つ、版取付座4側の占有面積を大きくすることがない。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による請求項1に記載の孔版原紙係止装置は、一方あるいは他方の磁石板の移動により、各磁極がピッチ方向に移動するため、各磁石板の間に吸着力あるいは反発力が作用して、これら各磁石板の間にて孔版原紙の端部が挟持あるいは開放される。このため、従来のように磁石板に吸着した状態のクランプ板を引き剥がすような強い力を必要とせず、磁石板を移動させる程度の小型の駆動手段を用いて装置の小型化を図ることができる。さらに、従来のように磁石板に吸着した状態のクランプ板を引き剥がすことがないので、その際に生じていたクランプ板の開閉に伴う衝撃音と振動を抑えることができる。
【0119】
請求項2に記載の孔版原紙係止装置は、各磁石板の間に吸着力あるいは反発力を作用させるための磁石板の移動を、クランプ板を揺動可能にする回転支軸の移動により行うようにしたため、駆動手段の構成を簡素化させることができ、これによりコストの低減を図ることができる。
【0120】
請求項3に記載の孔版原紙係止装置は、請求項2に記載の孔版原紙係止装置において、クランプ板の揺動端の切欠部と、開放した孔版原紙の端部を所望の位置に押し上げる弾性薄片とにより、開放された孔版原紙の端部を剥離手段にて案内することが可能となるため、確実な排版動作を行うことができる。
【0121】
請求項4に記載の孔版原紙係止装置は、請求項2あるいは請求項3に記載の孔版原紙係止装置において、回転支軸を、常に各磁石板が吸着力を得る位置となるように付勢しているため、回転支軸の移動を行う駆動手段を押し出すだけの動作とすることができ、さらなる駆動手段の簡素化を図ることができる。
【0122】
請求項5に記載の孔版原紙係止装置は、請求項2〜請求項4の何れかに記載の孔版原紙係止装置において、クランプ板の揺動角度を所定角度に規制するストッパにより、版取付座がクランプ板の開放状態を支持するための別の磁石板等を置く占有面積を不要にできるため、版胴の外周面の余白の占有面積を広くすることが可能となる。これにより、版胴に印刷用紙を圧接するローラが、版胴側に接触してからバウンドの減衰するまでの移動距離を長く得ることができ、画像に濃淡への影響を抑えることができる。
【0123】
請求項6に記載の孔版原紙係止装置は、請求項2に記載の孔版原紙係止装置において、各補助磁石板にてクランプ板と異なるタイミングで開閉するはね上げ部材を設けたことにより、クランプ板にて支持された孔版原紙をはね上げ部材の上側に乗せるようにし、排版の際にはね上げ部材を以て孔版原紙をクランプ板側から離脱させるため、排版動作を確実に行うことができる。
【0124】
請求項7に記載の孔版原紙係止装置は、請求項6に記載の孔版原紙係止装置において、回転支軸を、常に各磁石板及び各補助磁石板が吸着力を得る位置となるように付勢しているため、回転支軸の移動を行う駆動手段を押し出すだけの動作とすることができ、さらなる駆動手段の簡素化を図ることができる。
【0125】
請求項8に記載の孔版原紙係止装置は、請求項6あるいは請求項7に記載の孔版原紙係止装置にいおいて、クランプ板の揺動角度を所定角度に規制するストッパと、はね上げ部材の揺動角度をクランプ板の揺動角度よりも大きい角度にて規制するストッパとにより、はね上げ部材による孔版原紙のクランプ板からの離脱動作を適宜行うようにすることができる。また、版取付座がクランプ板やはね上げ部材の開放状態を支持するための別の磁石板等を置く占有面積を不要にできるため、版胴の外周面の余白の占有面積を広くすることが可能となる。これにより、版胴に印刷用紙を圧接するローラが、版胴側に接触してからバウンドの減衰するまでの移動距離を長く得ることができ、画像に濃淡への影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の孔版原紙係止装置の第一実施の形態を示す斜視図。
【図2】前記孔版原紙係止装置の要部を示す斜視図。
【図3】(a)(b)前記要部の作用を示す概略図。
【図4】前記孔版原紙係止装置の動作状態を示す斜視図。
【図5】(a)〜(d)前記孔版原紙係止装置の動作図。
【図6】(a)(b)前記孔版原紙係止装置の他の構成を示す図。
【図7】本発明の孔版原紙係止装置の第二実施の形態を示す斜視図。
【図8】前記孔版原紙係止装置の動作状態を示す斜視図。
【図9】(a)〜(c)要部の関連作用を示す概略図。
【図10】(a)〜(e)前記関連作用に基づいた動作図。
【図11】(a)(b)従来の孔版原紙係止装置と版胴の周辺に設ける機構部との関係を示す図。
【図12】従来の孔版原紙係止装置と版胴の外周面の各領域との関係を示す図。
【符号の説明】
1…版胴、4…版取付座、6…クランプ板、7…回転支軸、11…圧縮コイルバネ(付勢手段)、12…ストッパ、13a,13b…磁石板、14,15…弾性薄片、16…はね上げ部材、18…ストッパ、19a,19b…補助磁石板、20…駆動手段。
Claims (8)
- 自身の軸線周りに回転する円筒状の版胴の外周面側に設けられ、該版胴の外周面に対して製版済みの孔版原紙を巻装着版させる如く前記孔版原紙の端部を挟持する孔版原紙係止装置において、
各磁極が前記版胴の軸線に沿って所定ピッチで交互に配されて、前記版胴の外周面側の所定位置に設けられた一方の磁石板と、
各磁極が前記一方の磁石板と同ピッチで交互に配されて、且つ、前記一方の磁石板と対面するようにして前記一方の磁石板に接離可能に支持された他方の磁石板と、
前記一方の磁石板あるいは前記他方の磁石板を前記ピッチ方向に移動させる駆動手段と、
を備え、前記駆動手段による一方あるいは他方の磁石板の移動による前記各磁極の移動によって前記各磁石板の間に吸着力あるいは反発力を作用させ、これら各磁石板の間にて、前記孔版原紙の端部を挟持あるいは開放することを特徴とする孔版原紙係止装置。 - 自身の軸線周りに回転する円筒状の版胴の外周面側に設けられ、該版胴の外周面に対して製版済みの孔版原紙を巻装着版させる如く前記孔版原紙の端部を挟持する孔版原紙係止装置において、
前記版胴の外周面側にて前記版胴の軸線に沿って設けられた版取付座と、
前記版胴の軸線と平行に設けられ、前記版取付座に対面するクランプ板を、前記版取付座に対して接離する如く揺動可能に支持し、且つ、自身の軸線方向に移動可能とされた回転支軸と、
各磁極が前記回転支軸の軸線方向に沿って所定ピッチで交互に配されて、前記版取付座及び前記クランプ板にそれぞれ対向して取り付けられる一対の磁石板と、
前記回転支軸を自身の軸線方向に移動させる駆動手段と、
を備え、前記駆動手段による回転支軸の移動による前記クランプ板に取り付けられた前記磁石板の前記各磁極の移動によって前記各磁石板の間に吸着力あるいは反発力を作用させ、これら各磁石板の間にて、前記孔版原紙の端部を挟持あるいは開放することを特徴とする孔版原紙係止装置。 - 前記クランプ板の揺動端に設けられた切欠部と、
前記各磁石板が反発力にて前記孔版原紙の端部を開放した際、前記孔版原紙の端部を所望の位置に押し上げる弾性薄片と、
を有し、前記回転支軸の移動により、前記各磁石板の間に反発力を作用させた状態での前記版胴の回転に伴い、前記弾性薄片にて所望の位置とされた前記孔版原紙の端部を前記切欠部を通過し得る剥離手段にて案内させることを特徴とする請求項2に記載の孔版原紙係止装置。 - 前記回転支軸を常に弾性付勢して前記各磁石板が吸着力を得る位置となるように移動させる付勢手段を備えたことを特徴とする請求項2あるいは請求項3に記載の孔版原紙係止装置。
- 前記クランプ板の揺動角度を所定角度に規制するストッパを備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の孔版原紙係止装置。
- 前記クランプ板とは別に前記回転支軸に対して揺動可能に支持され、前記クランプ板の揺動端を挟んで前記回転支軸とは反対側であって前記クランプ板の揺動端よりも前記回転支軸から離れた位置に揺動端を有したはね上げ部材と、
各磁極が前記回転支軸の軸線方向に沿って前記磁石板と異なる所定ピッチで交互に配されて、前記版取付座及び前記はね上げ部材にそれぞれ対向して取り付けられる一対の補助磁石板と、
を備え、前記駆動手段による前記回転支軸の移動により、前記各補助磁石板の間に前記各磁石板とは異なるタイミングにて吸着力あるいは反発力を作用させ、前記孔版原紙の挟持の際に前記はね上げ部材の上側に前記孔版原紙を乗せ、且つ、前記孔版原紙の開放の際に前記はね上げ部材を以て前記孔版原紙の端部を前記各磁石板の間から離脱させることを特徴とする請求項2に記載の孔版原紙係止装置。 - 前記回転支軸の移動を、常に前記各磁石板及び前記各補助磁石板が吸着力を得る位置となるように弾性付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の孔版原紙係止装置。
- 前記クランプ板の揺動角度を所定角度に規制するストッパと、
前記はね上げ部材の揺動角度を前記クランプ板の揺動角度よりも大きい角度にて規制するストッパと、
を備えたことを特徴とする請求項6あるいは請求項7に記載の孔版原紙係止装置。
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