JP3786811B2 - プラズマトーチ、及びプラズマトーチの初期高さ設定方法 - Google Patents

プラズマトーチ、及びプラズマトーチの初期高さ設定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、プラズマアーク切断又はプラズマアーク溶接のためのプラズマトーチに関わり、特に、ワークピースからのプラズマトーチの高さを設定するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマアーク加工、例えばプラズアーク切断では、ワークピース(被接断部材)表面からのプラズマトーチ先端(ノズル)の高さ(「スタンドオフ」と呼ばれる)を適正値で一定に保つことが、良好な切断品質を得る上で重要である。一定スタンドオフを維持するための制御方法としては、スタンドオフの高低に従ってアーク長が増減することで変化するアーク電圧を利用する制御方法(AVC(Arc Voltage Control又はAutomatic Voltage Control)と呼ばれている)が一般的である。
【0003】
AVCにおけるプラズマアーク切断の工程では、アークが発生すればアーク電圧によりスタンドオフを検出することができるが、アーク発生前には当然アーク電圧を利用できないので、何らかの方法で切断開始時のスタンドオフ(以下、初期高さ)を設定する必要がある。切断工程におけるスタンドオフは、ワークピースの板厚により変化し、また、板厚が同じであってもワークピースの傾きや反り等によって変化するので、初期高さは、1つの切断工程を終えて新たに切断を開始する毎に設定される必要がある。初期高さの設定は、切断工程におけるスタンドオフを設定する上で重要である。
【0004】
初期高さの設定では、ワークピースの位置を検出するためのセンサ(「イニシャルハイトセンサ」と呼ぶ)が用いられる。イニシャルハイトセンサは、一般に、トーチの近傍に設けられており、トーチとの相対位置が予め決められている。そのセンサを用いた初期高さの設定では、センサがワークピースと接触する等により検出されるワークピースの位置に基づいて初期高さを設定する。具体的には、特開昭59-16668号、実開平4-120315号、又は特開平11-226741号に開示されている方法がある。
【0005】
(a)特開昭59-16668号では、上下に昇降できる接触型のセンサをイニシャルハイトセンサとしてトーチの側方に取付け、そのセンサを下降させてワークピースに接触させることにより検出されるスタンドオフを利用して初期高さを設定する、という方法が開示されている。
【0006】
(b)実開平4-120315号では、接触型のセンサを、上下動だけでなくその上下の移動ラインを軸に回転運動できるアームに取付けることで、トーチからその真下のワークピースまでの高さを検出できるようにし、その検出した高さを利用して初期高さを設定する、という方法が開示されている。
【0007】
(c)特開平11-226741号では、トーチとそのトーチを保持するホルダとを、バネによって相対移動可能な状態で結合し、トーチをワークピースに接触させた時に、トーチとホルダとが相対的に移動することを検出して初期高さを設定する、という方法が開示されている。
【0008】
(d)また、特開平11-226741号では、その従来技術としてトーチのノズルとワークピースとの間に、数ボルトの電圧を印加し、ノズルとワークピースが接触したときに、ノズルとワークピースとの間に電流が流れたこと(又は電圧が低下したこと)を検出することを利用して初期高さを設定する、という方法も開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の初期高さ設定方法(a)〜(d)には、それぞれ次のような問題がある。
【0010】
すなわち、上記(a)、(b)の初期高さ設定方法では、トーチ近傍にイニシャルハイトセンサを設ける必要があり、切断中にそのセンサをトーチよりも上方に回避させたとしても、切断中に飛散するヒュームやスパッタがセンサに届くことがあり、そのせいでセンサが劣化してしまう。また、ワークピース表面の状態は清浄では無い為、センサがワークピースに接触すると、センサが汚れてしまって次の初期高さ設定では誤動作が起こり易くなってしまう。また、初期高さを設定する度に、センサの上下動を行なわなければならず、その動作時間が切断工程の所要時間として実質的な所要時間に加算されてしまうので、実際の切断工程に要する時間が長くなり、そのため、生産性が低下してしまう。
【0011】
上記(c)の初期高さ設定方法では、センサが、トーチ近傍にはないが、トーチを保持するホルダ内にあるため、ホルダのケーシングの隙間からホルダ内にヒューム(粒径が数〜数十μmの酸化鉄の微粉末であり、僅かな隙間でも侵入する)が侵入してセンサの耐久性や信頼性が低下させる虞がある。
【0012】
このように、上記(a)〜(c)のいずれの初期高さ設定方法にしても、プラズマトーチ近傍又はホルダ内部にセンサを設ける事は、トーチ近傍又はホルダ内部には切断中にヒュームが飛散して来る事を考慮すると、イニシャルハイトセンサの信頼性或いは耐久性の観点から望ましくないと言える。
【0013】
上記(d)の初期高さ設定方法では、上記特開平11-226741号に問題点として記載されている通り、ワークピース表面が塗装によって電気的に絶縁された状態では初期高さの設定は不可能である。また、上記(d)の初期高さ設定方法では、プラズマトーチのノズルをイニシャルハイトセンサとしているが、ノズルを保護するシールドキャップがトーチに設けられている場合は、ノズルよりも先にシールドキャップがワークピース表面に接触する。シールドキャップは、ノズル保護のためにノズルとは電気的に絶縁されているので、シールドキャップが邪魔になって、ノズルとワークピースとの間に電流が流れたこと(又は電圧が低下したこと)を検出することができない。故に、プラズマトーチにシールドキャップが設けられている場合は、上記(d)の初期高さ設定方法を利用することができない。
【0014】
また、上記(a)〜(d)のいずれの初期高さ設定方法においても、センサ又はトーチ(ノズル)を下降させてワークピースに接触させるが、その下降速度が速すぎると、ワークピースと接触したことを検出してからセンサ又はトーチの下降を停止するまでの間に、センサ又はトーチがワークピースを押し下げてしまうために、正確なワークピース位置を検出することができない。故に、正確にワークピース位置を検出できるようにするためには、センサ又はトーチの下降速度を遅くする必要がある。このため、初期高さの設定にかかる時間が長くなり、全体として実際の切断工程に要する時間が長くなってしまうので、生産性が低下する。
【0015】
従って、本発明の目的は、プラズマアーク切断によって飛散するヒュームやスパッタの影響を受けることなく、初期高さ設定を行なえるようにすることにある。
【0016】
本発明の別の目的は、ワークピース表面に電気絶縁の塗装が施されていても、初期高さ設定を行なえるようにすることにある。
【0017】
本発明のまた別の目的は、シールドキャップを有するトーチであっても、初期高さ設定を行なえるようにすることにある。
【0018】
本発明の更にまた別の目的は、比較的短い時間で初期高さ設定を行なえるようにすることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面に従うプラズマトーチは、プラズマアークをノズルから噴出して、ワークピースを切断或いは溶接するプラズマトーチであって、ノズルが着脱可能に取付けられ、プラズマ加工機に組み込まれた時にワークピースに対して移動自在に配置されることになるトーチ本体と、トーチ本体にノズルの外側にて取付けられ、プラズマトーチがワークピースに最も近づいた時にワークピースに接触することになるキャップと、そのキャップに接続される、キャップがワークピースに接触したか否かを検出するための電気信号を伝達するための信号線とを備えている。
【0020】
本発明によれば、ワークピースとプラズマトーチのキャップとが接触した時に生じるワークピースとキャップとの電気的導通を検出することができるので、プラズマトーチがキャップ(例えばシールドキャップ)を有していても、プラズマトーチの初期高さ設定を行なうことができる。
【0021】
好適な実施形態では、信号線がトーチ本体に内蔵されている。
【0022】
本発明の第2の側面に従うキャップは、プラズマ加工機に組み込まれた時にワークピースに対して移動自在に配置されることになるトーチ本体に取付けられるノズルと、そのノズルの外側にてトーチ本体に取付けられるキャップと、そのキャップに接続される、そのキャップがワークピースに接触したか否かを検出するための電気信号を伝達するための信号線とを備えたプラズマトーチで使用される上記キャップであって、プラズマトーチがワークピースに最も近づいた時にワークピースと接触するための突起を有している。
【0023】
好適な実施形態では、突起が、ワークピースと接触する先端へ向かって尖った形状を有している。
【0024】
本発明の第3の側面に従う、プラズマトーチの初期高さ設定方法は、プラズマトーチをワークピースに向けて比較的高速に下降させるステップと、プラズマトーチ先端とワークピースとが接触してプラズマトーチとワークピースとが電気的に導通したことを検出するステップと、その電気的導通を検出したときにプラズマトーチの下降を停止するステップと、その停止したプラズマトーチを上昇させてワークピースから離すステップと、離した位置からそのプラズマトーチをワークピースに向けて比較的低速に下降させるステップと、その下降ステップにより、プラズマトーチ先端とワークピースとが接触してプラズマトーチとワークピースとが電気的に導通したことを検出したら直ちにプラズマトーチの下降を停止するステップと、その停止した位置に基づいてプラズマトーチを所定距離だけ上昇させるステップとを有する。
【0025】
本発明の第4の側面に従う、プラズマトーチの初期高さ設定方法は、プラズマトーチをワークピースに向けて比較的高速に下降させるステップと、プラズマトーチ先端とワークピースとが接触してプラズマトーチとワークピースとが電気的に導通したことを検出するステップと、その電気的導通を検出したときにプラズマトーチの下降を停止するステップと、その停止したプラズマトーチを比較的低速に上昇させるステップと、その上昇によって電気的導通がなくなったことを検出したら直ちにそのプラズマトーチの位置を計測するステップと、その計測したプラズマトーチの位置に基づいてプラズマトーチを所定距離だけ更に上昇させるステップとを有する。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係るプラズマ加工機の斜視図を示す。
【0027】
作業ステージ103にワークピース101たる鋼板が水平に載置される。作業ステージ103に対して、Yキャリッジ105がY方向へ水平移動できるように設置されている。このYキャリッジ105からX方向へガイドレール107が張り出し、このガイドレール107上を水平にX方向へXキャリッジ109が移動できるようになっている。Xキャリッジ109には、Z(鉛直)方向へ移動するZキャリッジ111が取付けられ、このZキャリッジ111に、後に詳述するプラズマトーチ1が真下を向いて固定されている。プラズマトーチ1は、ワークピース101を加工している間、上記のキャリッジ105、109、111からなるXYZ移動系統によって、ワークピース101に対し一定のスタンドオフ(ワークピース101上面からトーチ1先端までの距離)を保った状態で、製品形状に合った加工ラインに沿ってX及びY方向へ水平移動させられる。
【0028】
図2は、プラズマトーチ1の全体的な構成を示し、図3は、プラズマトーチ1の先端部の拡大図である。
【0029】
プラズマトーチ1は、全体として概略的に円筒形であり、その基端側部分を構成し、図1に示したZキャリッジ111に固定されるトーチ本体2と、このトーチ本体2の先端部分に着脱自在に取付けられている複数の部品とから構成されている。トーチ本体2は、トーチ軸心から外側に向かって順に、導水管16、インナースリーブ17、環状絶縁体97、アウタースリーブ15、ノズル台座95、固定リング99、トーチ外筒100等から構成されている。このトーチ本体2に着脱自在に取付けられる部品には、トーチ軸心から外側に向かって順に、電極3、絶縁ガイド13、ノズル5、絶縁リング19、シールドキャップ7、リテーナキャップ13及び回転リング11がある。以下、詳細に説明する。
【0030】
トーチ本体2の中心軸位置に、電極3内部へ冷却水を導入するための断面円形の導水管16が配置されている。導水管16の外周に、これと同軸の位置関係で、円筒形の金属製のインナースリーブ17が嵌められており、このインナースリーブ17の先端部の内側に、円筒形の電極3が嵌め込まれている。この電極3のアーク発生点となる部分には、ハウニウム製などの耐熱インサート4が取付けられている。
【0031】
電極3とノズル台座95とを電気的に絶縁するための環状絶縁体97が嵌められている。インナースリーブ17の基端部分の外周には、絶縁体である円筒形のアウタースリーブ15が嵌められており、アウタースリーブ15の基端部分の外周には金属製の円筒形の固定リング99が嵌められている。固定リング99は、トーチ本体2の外殻を構成するトーチ外筒100の先端に固定されている。インナースリーブ17と固定リング99は、絶縁体のアウタースリーブ15によって電気的に絶縁されている。
【0032】
アウタースリーブ15の先端部には、金属製の短円筒状のノズル台座95が固定され、このノズル台座95の先端部に、先端に向かってテーパーした概略円筒形のノズル5が取付けられている。ノズル5は、電極3と同軸の位置関係で、電極3の外側に被さっており、耐熱インサート4の正面となるノズル先端部の中心軸位置に、プラズマアークを細く絞って前方へ噴出するためのノズルオリフィス5Aを有している。ノズル7と電極3との間には、両者を電気的に絶縁するための円筒形の絶縁ガイド13が嵌め込まれている。
【0033】
ノズル5の先端部に、ワークピース101やワークピース101から吹き上がる溶融金属などからノズル5を保護するための金属製の短円筒形のシールドキャップ11が被せられている。ノズル5とシールドキャップ7との間には、両者を電気的に絶縁するための絶縁リング19が嵌め込まれている。この構造の外側に、先端へ向かってテーパーした円筒形の金属製のリテーナキャップ9が被せられている。
【0034】
ノズル5の外周のリテーナキャップ9に囲まれた空間18は、ノズル5を冷却する冷却水ジャケットを構成するための冷却水通路である。この冷却水通路18は、前述した導水管16から電極3内に供給された冷却水が、図示しない流路を通って流入する。この冷却水通路18を流れた冷却水をトーチ外へ排出するために、排水管20がアウタースリーブ15を貫通して延びている。この排水管20は、ノズル台座95に結合し、ノズル台座95内の図示しない孔を通じて、上述した冷却水通路18に連通している。
【0035】
リテーナキャップ9の基端部の外側に、金属製の円筒形の回転リング11が嵌められている。回転リング11の先端部に内側へ曲がって形成された環状爪11Bが、リテーナキャップ9の基端部に形成されたフランジ9Bに係合しており、それにより、回転リング11がリテーナキャップ9を引き上げている。また、前述したように、アウタースリーブ15の基端部の外周に円筒形の固定リング99が嵌められている。そして、固定リング99の外周に形成された雄螺子(図示しない)に対して、回転リング11の内周に形成された雌螺子(図示しない)が結合されている。回転リング11をトーチ中心軸を中心にして回転させることにより、回転リング11と固定リング99との螺合を締めたり緩めたりすることができる。回転リング11を固定リング99に最も締め込んだ状態で、回転リング11によってリテーナキャップ9がこのトーチ1に引き付けられて固定される。
【0036】
リテーナキャップ9の先端部にある環状爪9Aが、シールドキャップ7の基端部にあるフランジ8に係合しており、それにより、リテーナキャップ9が、シールドキャップ7、絶縁リング19、ノズル5、絶縁ガイド13及び電極3などの着脱自在部品のセットをトーチ本体2に引き付けて固定している。
【0037】
また、このプラズマトーチ1には、プラズマアークを発生させる為のプラズマ電源23が接続される。プラズマ電源23のマイナス極は、電極3と通電可能なインナースリーブの基端部の箇所93に接続され、プラス極は、ワークピース101に接続され、パイロットアーク用の端子Pは、ノズル5と通電可能な排水管20の箇所91に接続される。この構成により、プラズマ電源23の高周波電圧によって、電極3とノズル5との間にパイロットアークが発生し、更に、電極3とワークピース101との間にメインアークが発生する。
【0038】
更に、このプラズマトーチ1には、ワークピース101との接触を検出する為の検出回路29が接続されている。この検出回路29と接続するための信号線25が、トーチ外筒100の内側に収容されており、リテーナキャップ9を固定する回転リング11が取付けられた固定リング99の基端部の箇所に結合されている。
【0039】
本実施形態におけるプラズマトーチ1の初期高さ設定では、後に詳述するが、プラズマトーチ1を下降させ、プラズマトーチ1の先端とワークピース101とを接触させることでワークピース101を検出し、その検出に基づいて初期高さを設定するようにする。この方法で初期高さ設定を行なうにあたり、プラズマトーチ1には以下の工夫が施されている。
【0040】
このプラズマトーチ1には、前述したように信号線25がトーチ外筒100の内側に収容されている。信号線25は、固定リング99、回転リング11、リテーナキャップ9を介して、シールドキャップ7に通電可能な状態にある。信号線25は、スイッチSを介して、シールドキャップ7とワークピース101とが接触したことを検出する検出回路29に接続されている。検出回路29は、抵抗33と直流電源(例えばDC24Vの電源)31とが直列に接続されており、それらと電圧変化検出装置27とが並列に接続された回路構成になっている。直流電源31のプラス極が、電圧変化検出装置27のプラス端子及び信号線25に接続されており、直流電源31のマイナス極が、電圧変化検出装置27のマイナス端子及びワークピース101に接続されている。この構成により、シールドキャップ7とワークピース101との間にDC24Vを印加でき、シールドキャップ7とワークピース101とが接触すると、ワークピース101、シールドキャップ7、リテーナキャップ9、回転リング11、固定リング99、及び信号線25を介して電流が流れることで、シールドキャップ7とワークピース101との間の電圧差がゼロに変化(或いはDC24Vから大幅に低下)し、それを電圧変化検出装置27によって検出できるようになっている。これにより、ワークピース101を検出する為の特別のセンサをプラズマトーチ1の近傍に設ける必要がなくなるので、従来のように、プラズマアーク切断により飛散するヒュームやスパッタ等によって劣化する、センサの信頼性や耐久性を懸念する必要をなくすことができる。
【0041】
また、図3に示すように、このプラズマトーチ1の先端に位置してノズル5の先端をカバーしているシールドキャップ7には、ワークピース101と向き合う先端面に、シールドキャップ7の先端開口部35を囲むようにして環状の突起33が設けられている。この環状突起33はその先端へ向かって尖った(つまり、先端へ向かってテーパした)形状に成形されている。これにより、たとえワークピース101の表面に電気絶縁性の塗料や保護シール等の皮膜があっても、トーチ1をワークピース101に対して僅かの力で押付ければ、トーチ1先端面の環状突起33によってその皮膜を破ることができ、その結果、シールドキャップ7とワークピース101とが電気的に導通して、ワークピース101を検出できるようになる。本発明の発明者が行なったテストによれば、高さが0.5mm程度の環状突起33をトーチ1先端面に設けて、トーチ1をワークピース101に対して1Kg程度(この程度の力であればトーチ1に機械的な悪影響は与えない)の力で押し付ければ、ワークピース101表面に電気絶縁性の塗装皮膜があっても、その皮膜を破って、トーチ1とワークピース101との接触を検出できることが確認されている。
【0042】
また、この環状突起33には、次のような効果もある。すなわち、この環状突起33がシールドキャップ7の前面に存在することで、シールドキャップ7がワークピース101に押し付けられたとき、シールドキャップ開口部35を有する面とワークピース101とが直接的に接触することがない。そのため、ワークピース101表面に付着している異物によって、シールドキャップ開口部35が傷つけられたり、或いはシールドキャップ開口部35にその異物が付着する等の問題を回避することができる。
【0043】
また既に説明したが、このトーチ1には、シールドキャップ7と電気的に接続されている信号線25が内蔵されている。すなわち、信号線25が、リテーナキャップ9を固定する回転リング11が取付けられたトーチ外筒1Aの内側に収容されている。そのため、このトーチ1の消耗品(主に電極3とノズル5)交換時に、回転リング11をゆるめてリテーナキャップ9を外したり、リテーナキャップ9を再び取付けて回転リング11を締めたりする交換作業において、信号線25が邪魔になることがない。
【0044】
以上の構成を持つプラズマトーチ1を使用した本実施形態における、トーチ1の初期高さ設定の手順を、図4、図5を参照して説明する。
【0045】
まず、図4(a)に示すように、トーチ1を、図1に示したXY移動系のキャリッジ107、109によって、トーチ1の中心軸(アーク発生点)がワークピース101のピアスポイント(切断開始の為に初めに穴を開ける位置)40の真上に位置するように移動させる。
【0046】
次に、図4(b)に示すように、トーチ1を、図1に示したZキャリッジ111によって、予め記憶してある高さ、例えば前回の切断工程におけるピアス高さ位置(つまり切断工程におけるスタンドオフ)まで、(例えば10m/分の速さで)下降させる。
【0047】
次に、図4(c)に示すように、トーチ1先端(シールドキャップ7)とワークピース101との間にDC24Vを印加した上で、トーチ1を、比較的高速(例えば1m/分)に断続的に下降(スキップ送り)させていく。そして、トーチ1先端とワークピース101とが接触して電圧値が変化したこと(0Vになったこと)が検出されたら、直ちに、トーチ1の下降を停止する。
【0048】
しかし、直ちにトーチ1の下降を停止しても、接触検出からトーチ1停止までのタイムラグにより、図4(d)に示すように、トーチ1がワークピース101の位置よりも下方に行き過ぎてしまう。そこで、この図4(d)に示すように、トーチ1を、その停止した位置から所定距離(例えば0.2m/分の速さで3mm)だけ上昇させる。
【0049】
次に、図5(e)に示すように、トーチ1先端とワークピース101との間にDC24Vを印加したまま、トーチ1を、比較的低速(例えば0.2m/分)に断続的に下降(スキップ送り)させていく。そして、トーチ1先端とワークピース101とが接触して電圧値が変化したことが検出されたら、直ちに、トーチ1の下降を停止し、電圧印加を止める。
【0050】
次に、図5(f)に示すように、トーチ1を停止した位置から、トーチ1を、所定の距離Hだけ上昇させる。それによる、トーチ1先端とワークピース101との距離Hが、この切断工程における初期高さ(ピアス高さ)Hとなる。
【0051】
次に、図5(g)に示すように、プラズマ電源を起動させてトーチ1とワークピース101間にプラズマアーク41を発生させ、ピアスポイント40に穴を開ける。
【0052】
図5(g)のピアッシング工程が終わったら、図5(h)に示すように、トーチ1を切断時のスタンドオフ(切断高さ)まで下降させ(つまり、初期高さHと切断高さとの差分だけ下降させ)、NC(数値制御)によって、ワークピース101に対してトーチ1を予めプログラムされたXY系の軌跡に沿って移動させて、ワークピース101を切断していく。
【0053】
毎回のプラズマアーク切断の工程では、1つのサイクルとして、上記図4(a)〜図5(h)の工程が行われる。
【0054】
本実施形態では、上述のように、比較的高速(例えば1m/分)でトーチ1を下降させてワークピース101の概略位置を検出し、その後、トーチ1を所定距離(例えば3mm)だけ上昇させてトーチ1をワークピース101から離し、今度は、比較的低速(例えば0.2m/分)でトーチ1を下降させて正確なワークピース101の位置を検出する。これにより、ワークピースの正確な位置検出を図るためにイニシャルセンサを初めから低速で下降させ、ワークピース位置を検出した後にそのセンサをトーチ1先端の上方に移動させてその後にトーチ1を下降させるという従来の方法に比べて、短時間で正確にワークピース位置を検出することができる。
【0055】
なお、本実施形態の変形例として、図4(a)〜(c)の工程でトーチ1を比較的高速に下降させてワークピース101の概略位置を検出して停止した後、図4(d)の工程では、トーチ1を、その停止した位置から比較的低速(例えば0.2m/分)で上昇させて、変化した電圧値(0V)が元に戻ったとき(24Vになったとき)に直ちにトーチ1の位置を計測し(つまり、ワークピース101からトーチ1が離れて電気的導通がなくなった瞬間のトーチ1の位置を計測し)、その位置を基準にして、トーチ1を所定の初期高さHだけ上昇させることにより、初期高さを設定するようにしても良い。この方法によれば、トーチ1を低速で移動させるのは図4(d)の引き上げ時だけで済むので、やはり、短時間にトーチ1の初期高さを設定することができる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。シールドキャップ11の環状突起33に代えて、例えば、多数の点状の尖った突起を開口部35の周囲に配列しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマ加工機の斜視図を示す図。
【図2】プラズマトーチ1の全体的な構成を示す図。
【図3】プラズマトーチ1の先端部の拡大図。
【図4】本発明の一実施形態に係るトーチ1の初期高さ設定の手順を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に係るトーチ1の初期高さ設定の手順を示す図。
【符号の説明】
1 プラズマトーチ
3 電極
5 ノズル
7 シールドキャップ
9 キャップ
13 絶縁ガイド
15 絶縁筒
19 絶縁リング
29 検出回路
33 環状突起
35 シールドキャップ開口部

Claims (3)

  1. ワークピースを切断或いは溶接するプラズマ加工機において、
    ワークピースに最も近づいた時に前記ワークピースに接触することになるキャップを備えたプラズマトーチと、
    前記ワークピースと前記キャップとが接触したことを検出する検出回路と
    を備え、
    前記プラズマトーチは、
    プラズマアークを噴出するノズルが取付けられトーチ本体と、
    前記キャップに接続される、前記キャップが前記ワークピースに接触したか否かを検出するための電気信号を伝達するための信号線と
    を備え、
    前記キャップは、前記ノズルの先端部に被せられるノズル保護のためのシールドキャップであり、前記ノズルとは電気的に絶縁されており、
    前記検出回路は、前記ワークピースに接続され、且つ、スイッチを介して前記信号線に接続されている、
    プラズマトーチ。
  2. 前記キャップは、前記ワークピースと向き合う先端面にある開口部と、前記ワークピースと接触するための突起とを有し、前記突起が前記ワークピースに接触しても、前記開口部を有する面それ自体が、前記ワークピースに接触しないようになっている、
    請求項1記載のプラズマ加工機
  3. ノズルが取り付けられたトーチ本体と、前記ノズルの外側にて前記トーチ本体に取付けられるキャップと、前記キャップに接続される、前記キャップが前記ワークピースに接触したか否かを検出するための電気信号を伝達するための信号線とを備えたプラズマトーチで使用される前記キャップにおいて、
    前記ワークピースと向き合う先端面にある開口部と、
    前記プラズマトーチが前記ワークピースに最も近づいた時に、前記ワークピースと接触するための突起
    を有し
    前記突起が前記ワークピースに接触しても、前記開口部を有する面それ自体が、前記ワークピースに接触しないようになっている、
    キャップ。
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