JP3786507B2 - 光磁気記録媒体及びその再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光の照射による温度上昇を利用して情報の記録及び消去を行い、且つ磁気光学効果を利用して記録信号の読み出しを行う光磁気記録媒体、及びその再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光磁気記録では、レーザ光の照射により、光磁気記録媒体の磁性膜の一部を局部的にキュリー点或いは補償温度以上に加熱し、その部分を外部磁界の向きに磁化させて、記録磁区を形成する。
【0003】
このような光磁気記録媒体への光磁気記録方式の一つとして、一定強度のレーザ光を照射して記録磁性膜の温度を全体的に上昇させた上で、記録信号に応じて向きが変調された外部磁界を用いて所定の部分に熱磁気記録を行う磁界変調記録方式がある。また、他の記録方式として、一定強度の外部磁界を印加しながら、記録信号に応じて強度変調されたレーザ光を照射して所定の部分の記録磁性膜の温度を上昇させることによって、熱磁気記録を行う光変調記録方式がある。
【0004】
従来の光磁気記録媒体では、記録磁区のサイズが再生光スポットの直径以下に小さくなると、再生対象の記録磁区の前後に位置する記録磁区までが再生光スポット(すなわち、検出範囲)に含まれるため、それらの干渉のために再生信号が小さくなりS/N比が低下するという問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、図1(a)及び(b)に示すような光磁気記録方式が提案されている(日経エレクトロニクス、No.539(1991年10月28日号)参照)。以下に、この光磁気記録方式について簡単に説明する。
【0006】
図1(b)の断面図に示されるように、光磁気記録媒体60は、基板(不図示)の上に順に積層された再生磁性膜63、転写磁性膜64A、中間膜64、及び記録磁性膜65を含んで構成される。図1(b)に示す矢印Xは、光磁気記録媒体60のトラックに沿った移動方向である。また、上向きの矢印61は、記録及び再生用の磁界を示し、下向きの矢印62は、初期化磁界を示す。
【0007】
一方、図1(a)は、光磁気記録媒体60のトラックの一部を示す平面図である。図示されているように、情報の再生時には、そのトラックに沿って、レーザ光による再生光スポット67が形成される。レーザ光が回転中の光磁気記録媒体60に照射されるとき、再生磁性膜63及び転写磁性膜64Aを含む磁性膜構造の温度分布は、再生光スポット67の円中心に対して回転対称とはならない。具体的には、再生光スポット67の照射済みの部分である温度領域70が高温領域70となり、その温度は、転写磁性膜64Aのキュリー温度Tc以上になる。高温領域70の外部であって再生光スポット67の左側に位置する三日月状の部分を、中間温度領域72と呼ぶ。また、中間温度領域72の右側であって、再生光スポット67の内部の部分を、低温領域71と呼ぶ。
【0008】
ここで、信号(情報)は、予め記録磁性膜65に記録磁区69として熱磁気記録されているものとする。転写磁性膜64Aは、再生磁性膜63と強く交換結合している。中間膜64は、再生磁性膜63の磁化の向きと記録磁性膜65の磁化の向きとが揃うときに磁壁が安定になるように設けられた膜である。
【0009】
このように構成された光磁気記録媒体60の再生動作について説明する。
【0010】
最初は、再生磁性膜63が初期化磁界62の方向に揃えられる。再生時には、回転中の光磁気記録媒体60に対して、再生用のレーザ光を図1(b)に示すX1〜X2の範囲に照射して、再生光スポット67を形成する。これによって温度上昇が起こり、光磁気記録媒体60の上には図1(a)に示すような温度分布が生じる(すなわち、各温度領域70、71、及び72が形成される)。ここで、再生磁性膜63は温度上昇によって保磁力が低下するため、中間温度領域72では記録磁性膜65との交換結合が支配的となり、再生磁性膜63の磁化の向きは記録磁性膜65の磁化の向きに揃えられる。
【0011】
さらに、温度Tc以上の高温領域70においては、転写磁性膜64Aの磁化が消失するため、その部分に相当する再生磁性膜63と記録磁性膜65との間の交換結合が遮断されて、再生磁性膜63の磁化は再生磁界61の向きに揃えられる。従って、再生光スポット67の内部の低温領域71と高温領域70との両方が記録磁区69をマスクすることになって、中間温度領域72に存在する記録磁区69Xのみから、情報を再生信号として読み出すことができる。
【0012】
このように、上記の方法によれば、記録磁区69が再生光スポット67より小さくても、前後の記録磁区69からの干渉を生じることなく、情報を高密度で再生することができる。
【0013】
しかし、上記の光磁気記録媒体60では、記録磁性膜65の方向に再生磁性膜63の磁化方向を揃えるという初期化処理を行うための初期化磁界62を必要とするという欠点がある。
【0014】
これを解決するために、図2(a)及び(b)に示すような光磁気記録媒体80が提案されている(特開平5−81717号公報参照)。
【0015】
光磁気記録媒体80は、図2(b)の断面図に示すように、基板(不図示)の上に形成された再生磁性膜83及び記録磁性膜85を含む。図2(b)の矢印Xは、光磁気記録媒体80のトラックに沿った移動方向である。光磁気記録媒体80では、図1(a)及び(b)に示した光磁気記録媒体60とは異なり、再生磁性膜83として面内磁化膜が用いられる。
【0016】
図2(a)は、光磁気記録媒体80のトラックの一部を示す平面図である。図1(a)及び(b)を参照して説明した光磁気記録媒体60の場合と同様に、情報の再生時には、図2(b)のX1〜X2の範囲でトラックに沿ってレーザ光を照射して、再生光スポット87を形成する。レーザ光が回転中の光磁気記録媒体80に照射されるとき、再生磁性膜83及び記録磁性膜85の温度分布は、再生光スポット87の円の中心に対して回転対称とはならない。具体的には、再生光スポット87の照射済みの部分と再生光スポット87の左端部分とが、高温領域90となる。また、高温領域90の外部であって再生光スポット87に含まれる部分が、低温領域91となる。この場合も、記録磁区89は、再生光スポット87よりも遥かに小さい。
【0017】
このように構成された光磁気記録媒体80の再生動作について説明する。
【0018】
記録信号は、熱磁気記録によって、記録磁性膜85の各記録磁区89に予め記録されているものとする。再生磁性膜83は、室温で面内磁化される膜であり、再生光スポット87の内部の高温領域90の部分のみで垂直磁化膜となる。再生用のレーザ光が図2(b)のX1〜X2の範囲で照射されると、温度上昇が発生して、高温領域90及び低温領域91が形成される。高温領域90では、再生磁性膜83が垂直磁化膜に変化し、交換結合によって記録磁性膜85の磁化の向きに揃う。また、光磁気記録媒体80がX方向に移動して温度が下がると、再生磁性膜83は再び面内磁化膜に変化する。
【0019】
このようにして、光磁気記録媒体80では、初期化磁界を使用せずに、再生光スポット87よりも小さな記録磁区89の情報を再生することができる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
このような再生磁性膜83に面内磁化膜を用いた光磁気記録媒体80においては、初期化磁界を不要にできるという効果はあるものの、以下のような欠点がある。
【0021】
第1に、再生磁性膜83の磁化は、再生磁性膜83と記録磁性膜85との間の交換結合により、記録磁性膜85の方向に引きつけられる。このために、理想的な面内磁化方向を維持できず、磁化の垂直成分を有することになる。この結果、記録磁区89の転写を必要としない領域においても転写が発生して、再生時に、解像度が不足することがある。
【0022】
第2に、再生磁性膜83が面内磁化膜から垂直磁化膜に変化する臨界温度は一定であるために、再生用のレーザ光線の再生パワーが変動すると、記録磁区89が転写される領域が変化して、波形干渉により再生特性が劣化する。
【0023】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、(1)再生光スポットの内部の特定温度領域においてのみ記録信号を読み取ることによって、初期化磁界を必要とせずに、高解像度で且つ高性能な再生特性を有する光磁気記録媒体を提供すること、(2)上記のような光磁気記録媒体を使用して、高密度記録に適した光磁気記録媒体の再生方法を提供すること、である。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の光磁気記録媒体は、基板上に少なくとも再生磁性膜と記録磁性膜とを有し、記録光の照射による加熱と記録磁界の印加とにより該記録磁性膜を磁化し記録磁区を形成することによって情報が該記録磁性膜に記録され、再生光の照射により該記録磁性膜の該記録磁区の磁化を該再生磁性膜に転写することによって該記録された情報が再生される光磁気記録媒体であり、該記録磁性膜は、その中に形成された該記録磁区が保持される垂直磁化膜であり、該再生磁性膜は、その中に形成された記録磁区を収縮する磁気特性を持つ垂直磁化膜であり、再生動作時以外のタイミングでは、該再生磁性膜には該記録磁区が形成されておらず、該再生磁性膜の磁化の方向は一様であり、そのことによって、上記の目的が達成される。
【0025】
前記記録磁性膜及び前記再生磁性膜のそれぞれは、希土類−遷移金属非晶質から構成され得る。
【0026】
ある実施形態では、前記記録磁性膜と前記再生磁性膜との間に設けられて、該再生磁性膜と該記録磁性膜との間の交換結合力を制御する中間磁性膜をさらに備えている。前記中間磁性膜は、希土類−遷移金属非晶質から構成され得る。
【0027】
ある実施形態では、室温Troomから温度Tsw1までの温度領域では、前記中間磁性膜を介して作用する前記交換結合力よりも、前記再生磁性膜の前記記録磁区を消滅させる力の方が強く、該温度Tsw1以上の温度領域では、該中間磁性膜を介して作用する該交換結合力が、該再生磁性膜の該記録磁区を消滅させる力よりも強くなり、前記記録磁性膜に保持された前記記録磁区が該中間磁性膜を介して該再生磁性膜に転写される。
【0028】
上記の場合、好ましくは、前記再生磁性膜のキュリー温度Tc1、前記記録磁性膜のキュリー温度Tc3、前記温度Tsw1、及び前記室温Troomとの間に、Troom<Tsw1<Tc1及びTroom<Tsw1<Tc3なる関係が成り立つ。
【0029】
また、前記中間磁性膜は、前記温度Tsw1未満の温度領域では面内磁化膜であり、該Tsw1以上の温度領域では垂直磁化膜であり得る。
【0030】
他の実施形態では、室温Troomから温度Tsw1までの温度領域では、前記中間磁性膜を介して作用する前記交換結合力よりも、前記再生磁性膜の前記記録磁区を消滅させる力の方が強く、該温度Tsw1以上の温度領域では、該中間磁性膜を介して作用する該交換結合力が、該再生磁性膜の該記録磁区を消滅させる力よりも強くなり、該中間磁性膜のキュリー温度Tc2以上の温度領域では、該中間磁性膜の磁化が消滅して前記記録磁性膜と該再生磁性膜との間の交換結合が切断され、該温度Tsw1以上で該キュリー温度Tc2未満の温度領域で、該記録磁性膜に保持された前記記録磁区が該中間磁性膜を介して該再生磁性膜に転写される。
【0031】
上記の場合、好ましくは、前記再生磁性膜のキュリー温度Tc1、前記記録磁性膜のキュリー温度Tc3、前記温度Tc2、前記温度Tsw1、及び前記室温Troomとの間に、Troom<Tsw1<Tc2、Tc2<Tc1、及びTc2<Tc3なる関係が成り立つ。
【0032】
或いは、上記の場合において、前記中間磁性膜は、前記温度Tsw1未満の温度領域では面内磁化膜であり、該Tsw1以上で温度Tsw2未満の温度領域では垂直磁化膜であり、該温度Tsw2以上の温度領域では面内磁化膜であり、前記再生磁性膜のキュリー温度Tc1、前記記録磁性膜のキュリー温度Tc3、該温度Tsw1、該温度Tsw2、及び前記室温Troomとの間に、Troom<Tsw1<Tsw2、Tsw2<Tc1、及びTsw2<Tc3なる関係が成り立つ。
【0033】
さらに他の実施形態では、前記中間磁性膜は、非磁性材料から構成されており、室温Troomから温度Tsw1までの温度領域では、静磁結合力よりも、前記再生磁性膜の前記記録磁区を消滅させる力の方が強く、該温度Tsw1以上の温度領域では、該静磁結合力が、該再生磁性膜の該記録磁区を消滅させる力よりも強くなり、前記記録磁性膜に保持された前記記録磁区が該中間磁性膜を介して該再生磁性膜に転写される。
【0034】
上記の場合、好ましくは、前記再生磁性膜のキュリー温度Tc1、前記記録磁性膜のキュリー温度Tc3、前記温度Tsw1、及び前記室温Troomとの間に、Troom<Tsw1<Tc1及びTroom<Tsw1<Tc3なる関係が成り立つ。
【0035】
本発明の他の局面によれば、上記のような特徴を有する光磁気記録媒体を備えており、且つ、前記再生磁性膜の前記記録磁区が消滅する方向の初期化磁界を該光磁気記録媒体に印加する磁石をさらに備えているディスクカートリッジが提供される。
【0036】
上記ディスクカートリッジのある実施形態では、再生光の照射により前記再生磁性膜を前記温度Tsw1以上に加熱して、前記記録磁性膜に保持された前記記録磁区を前記交換結合力によって該再生磁性膜に転写し、該再生磁性膜からの反射光によって記録された情報を再生する。
【0037】
本発明のさらに他の局面によれば、基板上に少なくとも再生磁性膜と中間磁性膜と記録磁性膜とを有し、記録光の照射による加熱と記録磁界の印加とにより該記録磁性膜を磁化し記録磁区を形成することによって情報が該記録磁性膜に記録され、再生光の照射により該記録磁性膜の該記録磁区の磁化を該再生磁性膜に転写することによって該記録された情報が再生される、光磁気記録媒体の再生方法が提供される。該記録磁性膜は、その中に形成された該記録磁区が保持される垂直磁化膜であり、該中間磁性膜は、該記録磁性膜と該再生磁性膜との間の交換結合力を制御し、該再生磁性膜は、垂直磁化膜であって、室温Troomから温度Tsw1までの温度領域では、該中間磁性膜を介して作用する該交換結合力よりも、該再生磁性膜の該記録磁区を消滅させる力の方が強く、該温度Tsw1以上の温度領域では、該中間磁性膜を介して作用する該交換結合力が、該再生磁性膜の該記録磁区を消滅させる力よりも強く、該再生磁性膜のキュリー温度Tc1、該記録磁性膜のキュリー温度Tc3、該温度Tsw1、及び該室温Troomとの間に、Troom<Tsw1<Tc1及びTroom<Tsw1<Tc3なる関係が成り立つ。該再生方法は、該再生光の照射により該再生磁性膜を該温度Tsw1以上まで加熱することによって、該記録磁性膜に保持された該記録磁区を該交換結合力によって該再生磁性膜に転写して、該再生磁性膜からの反射光によって記録された情報を再生する工程を包含しており、そのことによって、上記の目的が達成される。
【0038】
ある実施形態では、前記再生磁性膜の前記記録磁区が消滅する方向の初期化磁界を印加する工程をさらに含む。
【0039】
本発明の他の光磁気記録媒体の再生方法は、基板上に少なくとも再生磁性膜と中間磁性膜と記録磁性膜とを有し、記録光の照射による加熱と記録磁界の印加とにより該記録磁性膜を磁化し記録磁区を形成することによって情報が該記録磁性膜に記録され、再生光の照射により該記録磁性膜の該記録磁区の磁化を該再生磁性膜に転写することによって該記録された情報が再生される光磁気記録媒体の再生方法である。該記録磁性膜は、その中に形成された該記録磁区が保持される垂直磁化膜であり、該再生磁性膜は垂直磁性膜であって、室温Troomから温度Tsw1までの温度領域では、該中間磁性膜を介して作用する該交換結合力よりも、該再生磁性膜の該記録磁区を消滅させる力の方が強く、該温度Tsw1以上の温度領域では、該中間磁性膜を介して作用する該交換結合力が、該再生磁性膜の該記録磁区を消滅させる力よりも強く、該中間磁性膜は、該記録磁性膜と該再生磁性膜との間の交換結合力を制御し、そのキュリー温度Tc2以上の温度領域では、該中間磁性膜の磁化が消滅して該記録磁性膜と該再生磁性膜との間の交換結合を切断し、該温度Tsw1以上で該キュリー温度Tc2未満の温度領域で、該記録磁性膜に保持された前記記録磁区が該中間磁性膜を介して該再生磁性膜に転写され、該再生磁性膜のキュリー温度Tc1、該記録磁性膜のキュリー温度Tc3、該温度Tc2、該温度Tsw1、及び該室温Troomとの間に、Troom<Tsw1<Tc2、Tc2<Tc1、及びTc2<Tc3なる関係が成り立つ。該再生方法は、該再生光の照射により該中間磁性膜を該キュリー温度Tc2以上まで加熱することによって、該記録磁性膜に保持された該記録磁区を該温度Tsw1以上で該温度Tc2未満の温度範囲で該交換結合力によって該再生磁性膜に転写して、該再生磁性膜からの反射光によって記録された情報を再生する工程を包含しており、そのことによって、上記の目的が達成される。
【0040】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の各実施形態における光磁気記録媒体8の構成を示す断面図である。
【0041】
光磁気記録媒体8は、基板1と、その上に積層されている第1の保護膜2、再生磁性膜3、中間磁性膜4、記録磁性膜5、第2の保護膜6、及び保護層7を含んで構成される。
【0042】
基板1は、光磁気記録媒体8の基板となるもので、典型的にはガラスやプラスチック等で構成される。第1及び第2の保護膜2及び6は、例えばZnSからなる。再生磁性膜3は、例えばGdFeCo膜で構成され、中間磁性膜4は、例えばGdFe膜、AlN膜、或いはGdFeCo膜で構成される。記録磁性膜5は、例えばTbFeCo膜から構成された、情報を記録する磁性膜であり、記録磁性膜5に記録磁区が形成されているか否かによって、情報が保持される。保護層7は、例えばエポキシアクリレート系樹脂からなる。
【0043】
光磁気記録媒体8は、基板1の上に、前述した各膜2〜6をスパッタ法或いは真空蒸着法で形成し、成膜完了後に保護層7をスピンコート法により形成して製造する。各膜2〜6の厚さは、例えば、保護膜2及び6を約60nm〜約120nm、再生磁性膜3を約10nm〜約80nm、中間磁性膜4を約5nm〜約50nm、及び記録磁性膜5を約30nm〜約100nmとする。
【0044】
図4(a)及び(b)は、本発明の光磁気記録媒体において、熱磁気記録によって記録磁区9が形成された1トラックの室温での状態を模式的に示す図である。図4(a)は、記録磁性膜5から見た状態を表しており、図2(b)は、再生磁性膜3から見た状態を示している。これらの図では、形成された記録磁区9における磁化の極性(磁化の方向)をプラスと表現し、一方、記録磁区9が形成されていない部分の極性をマイナス(記録磁区9における磁化の方向とは逆向きである)と表現している。
【0045】
図4(a)に示すように、記録磁性膜5には、記録磁区9がプラスの極性を持って形成される。一方、本発明の再生磁性膜3は、その自己収縮力が強いこと、及び中間磁性膜4によって記録磁性膜5から受ける結合力を弱められていることのために、記録磁区9の磁化の方向が、記録磁区9の周囲の部分の極性(すなわち、マイナス方向)に向けられる。その結果、本来は記録磁性膜5から転写されるべき再生磁性膜3の記録磁区9が収縮して、再生磁性膜3の上には記録磁区9が形成されない(この状態を、図4(b)では点線で示している)。本発明は、この再生磁性膜3の収縮動作を利用して、初期化動作を行う。
【0046】
再生磁性膜に垂直磁化膜を用いた従来の光磁気記録媒体などでは、磁界によって再生磁性膜の向きを一方向に揃えることにより初期化動作を行う。そのため、初期化磁界が印加されるまでは、再生磁性膜には記録磁区が形成されている。しかし、本発明の光磁気記録媒体では、再生時には再生磁性膜3に記録磁区9が形成されるものの、その後に再生磁性膜3の収縮力によって再生磁性膜3の記録磁区9が実質的に自動的に消滅する(すなわち、再生磁性膜3の記録磁区9が保持されない)ので、初期化磁界などの方法を利用しなくても、再生時以外のタイミングでは、再生磁性膜3の磁化方向は全体的に同一方向になる。
【0047】
次に、本発明の光磁気記録媒体で使用している再生磁性膜の磁気特性を、図5(a)〜(c)を参照して説明する。
【0048】
図5(a)〜(c)は、単層の再生磁性膜のカーヒステリシスループ及び磁化の状態を示しており、それぞれ、横軸は磁界Hを表し、縦軸はカー回転角θkを表す。再生磁性膜は、基板の上に形成された厚さ約500ÅのGdFeCo膜であって、全面をプラス方向に着磁してある。なお、図5(a)は、再生磁性膜(GdFeCo膜)のGd組成比が28%である場合、(b)は、Gd組成比が27%である場合、及び(c)は、Gd組成比が26%である場合の測定結果を示している。
【0049】
図5(a)において、再生磁性膜に磁界Hをプラス側からマイナス側に印加していくと、約−180Oeの磁界で、図中のAの磁化状態からBの磁化状態に反転する。さらに、Bの磁化状態から再生磁性膜に磁界Hをプラス側に向けて印加していくと、0よりもマイナス側の磁界である約−70Oe付近で、再生磁性膜は再びAの磁化状態に反転する。以上のようなAからBへの磁化反転は、単層の再生磁性膜に信号を記録して記録磁区を形成する場合に相当する。また、反対向きのBからAへの磁化反転は、再生磁性膜の記録磁区を消去する場合に相当する。
【0050】
通常は、記録磁性膜に用いられるような磁性膜では、BからAへの磁化反転が生じる磁界と、AからBへの磁化反転が生じる磁界とは、逆の符号を有する。このため、磁界の無い状態においては記録磁界の方向に磁化が向いており、記録磁区を保持することができる。
【0051】
一方、本発明の再生磁性膜では、図5(a)を参照して上記で説明したように、BからAへ磁化が反転する磁界がマイナス側である。これは、磁界が存在しない状態でも、Aの磁化状態に戻ることができることを意味している。具体的には、これは、再生磁性膜の記録磁区に、プラス側に着磁されている周りの磁化が影響を及ぼして、記録磁区の収縮・消滅が起こるためである。
【0052】
また、再生磁性膜の異なるGd組成に対する測定結果である図5(a)〜(c)のグラフを比較すると、上述の再生磁性膜の記録磁区の収縮力は、再生磁性膜のGd組成の減少に伴って小さくなる。すなわち、図5(a)〜(c)の間では、図5(c)の場合に最も収縮力が小さくなる。従って、再生磁性膜のGd組成を制御することにより、適切な大きさの収縮力をもつ再生磁性膜を形成することができる。
【0053】
なお、本発明の光磁気記録媒体では、各磁性膜をスパッタリング法によって、製膜時のガス圧を例えば約10mTorrに設定して作成する。この製造プロセスにおける製膜時のガス圧やバイアス磁界、或いはスパッタガスの種類などの製膜条件、さらには使用する装置に関わる要因により、形成される磁性膜のGd組成は変化する。例えば、製膜時のガス圧が約12mTorrから約4mTorrにまで変化すれば、GdFeCoのGd組成比は、約24%から約28%の範囲で変化する。従って、製膜条件を考慮すれば、本発明の光磁気記録媒体に含まれる再生磁性膜では、構成材料であるGdFeCoのGd組成を15%〜約30%の範囲に設定することで、上記のような収縮動作を実現することが可能である。
【0054】
また、以上の説明では、再生磁性膜の一例としてGdFeCo膜を使用しているが、その他に、他の希土類遷移金属を含む磁性膜やMn系磁性膜、或いは更に他の材料系からなる磁性膜などによって、再生磁性膜を作製することが可能である。具体的には、再生磁性膜の組成としては、GdFeCo、GdFe、GdCo、DyFeCo、MnBiなどが挙げられる。
【0055】
以下には、本発明の光磁気記録媒体及び光磁気再生方法の幾つかの実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施形態においては、本発明の光磁気記録媒体の以上に説明した磁性膜の構成は同じであるが、各磁性膜の磁気特性がお互いに異なっている。
【0056】
(第1の実施の形態)
図6(a)及び(b)は、第1の実施の形態における光磁気記録媒体100の再生動作を表す説明図である。具体的には、図6(a)は、光磁気記録媒体100のトラックの一部を示す平面図であり、図6(b)は、光磁気記録媒体100に含まれる磁性膜の磁化の方向を示す断面図である。
【0057】
光磁気記録媒体100は、図6(b)の断面図に示すように、基板(不図示)の上に形成された再生磁性膜103、中間磁性膜104、及び記録磁性膜105を含む。図6(b)の矢印116は、光磁気記録媒体100のトラックに沿った移動方向である。
【0058】
情報の再生時には、図6(b)のX1〜X2の範囲でトラックに沿ってレーザ光を照射して、図6(a)の平面図に示すように再生光スポット117を形成する。レーザ光が回転中の光磁気記録媒体100に照射されるとき、再生磁性膜103を含む磁性膜構造の温度分布は、再生光スポット117の円の中心に対して回転対称とはならない。具体的には、再生光スポット117の照射済みの部分である領域110が、高温領域110となる。この高温領域110では、再生磁性膜103の温度が、交換結合力によって記録磁区109を形成する温度Tsw1以上になる。一方、高温領域110の外部には、温度がTsw1未満である低温領域111が形成される。
【0059】
信号(情報)は、予め記録磁性膜105に、記録磁区109として熱磁気記録されている。情報の再生時に回転中の光磁気記録媒体100に対して再生用のレーザ光が照射されると、低温領域111では、Tsw1未満の温度であるために再生磁性膜103の磁化は周囲の磁界の影響を受けて、記録磁区109が形成されない。一方、Tsw1以上の温度である高温領域110では、中間磁性膜104の磁化が弱くなり、再生磁性膜103における磁区の収縮力よりも、記録磁性膜105から再生磁性膜103に作用する交換結合力の方が強くなる。そこで、記録磁区109が、中間磁性膜104を介して再生磁性膜103に転写される。しかし、再生光スポット117の内部の低温領域111に対応する箇所では、記録磁区109がマスクされることになり、結果として、高温領域110に対応する位置に存在する記録磁区109の情報のみが、再生信号として読み出される。
【0060】
このようにして、本実施形態の光磁気記録媒体100では、再生光スポット117よりも小さな記録磁区109であっても、前後の記録磁区109からの干渉を生じることなく、情報を高密度で再生することができる。
【0061】
本実施形態の光磁気記録媒体100を高密度で再生するには、再生用レーザによって、温度がTsw1以上である領域が得られるように加熱する必要がある。
【0062】
ここで、光磁気記録媒体100の記録磁性膜105のキュリー点Tc3は、熱磁気記録された記録磁区109を安定に保つ目的で、約250℃に設定されている。
【0063】
各磁性膜は、作製の容易さ、磁気特性の制御のし易さから、希土類−遷移金属非晶質合金によって、容易に作製することができる。また、再生磁性膜103と記録磁性膜105の交換結合力を制御するために用いられる中間磁性膜104は、その目的を考慮すれば、面内磁化膜である磁性膜で構成されることが望ましい。具体的には、その組成として、GdFeCo、GdFe、GdCo、DyFeなどが挙げられ、本実施例ではGdFeを用いている。
【0064】
本実施例の光磁気記録媒体100で使用されている各磁性膜の組成は、Tsw1以上の温度領域での動作を実現するために、以下の条件を満たすように設定される必要がある。
【0065】
ディスクドライブを動作させる場合、環境温度の変動を考えると、装置内部の温度は約50℃程度にまで上昇する。このような状態下でも再生に必要なパワーを確実に確保するためには、Tsw1は、少なくとも80℃以上に設定されることが望ましい。一方、Tsw1が記録磁性膜105のキュリー温度Tc3よりも高いと、再生時に記録磁性膜105の記録磁区109が破壊される。従って、Tsw1は、Tc3よりも低い温度に設定される必要がある。なお、通常、記録磁性膜105のキュリー温度Tc3は、半導体レーザによって記録できる記録感度に設定されており、望ましくは、約180℃〜約300℃の範囲に設定される。さらに、再生磁性膜103のキュリー温度Tc1は、Tsw1以上の温度領域で磁化を保つようにするため、Tsw1以上に設定される必要がある。
【0066】
以上のことから、Tsw1は約100℃〜約250℃に設定されることが望ましい。本願発明者らによる実験の結果、上記の範囲のTsw1をもたらす再生磁性膜103のGd組成比は、約15%〜約30%の範囲である。さらに、再生信号の品質の向上、及び記録磁性膜105の記録破壊の防止のためには、Tsw1は、上述の許容温度範囲内で、できるだけ高く設定することが望ましい。以上の点から、Gd組成比を約18%〜約25%に設定して、Tsw1を約130℃〜約180℃に設定することが好適である。
【0067】
例えば、光磁気記録媒体100では、Tsw1を約120℃に設定し、再生磁性膜103の組成をGd22Fe64Co14、中間磁性膜104の組成をGd50Fe50、及び記録磁性膜105の組成をTb20Fe65Co15とする。
【0068】
(第2の実施の形態)
図7(a)及び(b)は、第2の実施の形態における光磁気記録媒体200の再生動作を表す説明図である。具体的には、図7(a)は、光磁気記録媒体200のトラックの一部を示す平面図であり、図7(b)は、光磁気記録媒体200に含まれる磁性膜の磁化の方向を示す断面図である。
【0069】
光磁気記録媒体200は、図7(b)の断面図に示すように、基板(不図示)の上に形成された再生磁性膜203、中間磁性膜204、及び記録磁性膜205を含む。図7(b)の矢印216は、光磁気記録媒体200のトラックに沿った移動方向である。
【0070】
情報の再生時には、図7(b)のX1〜X2の範囲でトラックに沿ってレーザ光を照射して、図7(a)の平面図に示すように再生光スポット217を形成する。レーザ光が回転中の光磁気記録媒体200ディスクに照射されるとき、再生磁性膜203を含む磁性膜構造の温度分布は、再生光スポット217の円の中心に対して回転対称とはならない。具体的には、再生光スポット217の照射済みの部分である領域210が、高温領域210となる。本実施形態では、この高温領域210の温度が中間磁性膜204のキュリー温度Tc2以上になるように、再生レーザ光の強度が調整される。一方、高温領域210の外部には、温度がTsw1未満である低温領域211、及び温度がTsw1以上でTc2未満である中間温度領域212が形成される。
【0071】
信号(情報)は、予め記録磁性膜205に、記録磁区209として熱磁気記録されている。情報の再生時に回転中の光磁気記録媒体200に対して再生用のレーザ光が照射されると、低温領域211では、Tsw1未満の温度であるために再生磁性膜203の磁化は周囲の磁界の影響を受けて、記録磁区209が形成されない。このため、再生磁性膜203の磁化は、一方向に揃えられる。一方、高温領域210では、中間磁性膜204の温度がTc2以上になって、記録磁性膜205と再生磁性膜203との間の交換結合力を切断するので、記録磁性膜205の情報が再生磁性膜203に転写されない。
【0072】
これに対して、温度がTsw1以上Tc2未満である中間温度領域212では、中間磁性膜204の磁化が弱くなるために再生磁性膜203に交換結合力が強く働く。交換結合力が記録磁区209の収縮力よりも強くなると、記録磁区209が、中間磁性膜204を介して再生磁性膜203に転写される。
【0073】
このように、本実施形態の光磁気記録媒体200では、再生光スポット217の内部の低温領域211及び高温領域210に対応する箇所では、記録磁区209がマスクされて、記録されている情報が読み出されない。その結果、中間温度領域212に対応する位置に存在する記録磁区209からの情報のみが、再生信号として読み出される。
【0074】
この結果、本実施形態の光磁気記録媒体200では、第1の実施形態の光磁気記録媒体100に比べてさらに小さな記録磁区209が使用されても、前後の記録磁区209からの干渉を生じることなく、情報を高密度で再生することができる。
【0075】
本実施形態の光磁気記録媒体200を高密度で再生するには、再生用レーザによって、温度が中間磁性膜204のキュリー温度Tc2以上である領域が得られるように加熱する必要がある。
【0076】
光磁気記録媒体200の中間磁性膜204は、再生磁性膜203と記録磁性膜205との間の交換結合力を制御し、さらにある条件下では交換結合力を切断する目的で用いられている。従って、光磁気記録媒体200の各磁性膜の組成は、第1の実施形態で述べた条件に加えて、中間磁性膜204のキュリー温度Tc2がTsw1<Tc2を満たす必要がある。さらに、Tsw1以上Tc2未満の中間温度領域212での転写を実現し、且つ記録破壊を防止するためには、Tc2と再生磁性膜203のキュリー温度Tc1及び記録磁性膜205のキュリー温度Tc3との間に、Tc2<Tc1及びTc2<Tc3なる関係が成り立つことが必要である。
【0077】
記録磁区209の転写を中間温度領域212で確実に行うためには、Tsw1とTc2との間の温度差は、少なくとも10℃以上である必要がある。このため、Tsw1が80℃以上である場合には、Tc2は、少なくとも90℃以上であることが望ましい。さらに、Tc3が約180℃〜約300℃の範囲に設定されることを考慮すると、記録破壊の防止の観点から、Tsw1を約100℃〜約250℃に設定し、且つTc2を約110℃〜約260℃に設定することが望ましい。また、再生信号の品質を向上させるためには、Tsw1は、上述の許容温度範囲内で、できるだけ高く設定することが望ましい。以上の点から、Tsw1を約130℃〜約180℃、及びTc2を約140℃〜約190℃に設定することが好適である。
【0078】
例えば、光磁気記録媒体200では、Tsw1を約120℃及びTc2を約180℃に設定し、再生磁性膜203の組成をGd22Fe64Co14、中間磁性膜204の組成をGd50Fe50、及び記録磁性膜205の組成をTb20Fe65Co15とする。
【0079】
(第3の実施の形態)
図8(a)及び(b)は、第3の実施の形態における光磁気記録媒体300の再生動作を表す説明図である。具体的には、図8(a)は、光磁気記録媒体300のトラックの一部を示す平面図であり、図8(b)は、光磁気記録媒体300に含まれる磁性膜の磁化の方向を示す断面図である。
【0080】
光磁気記録媒体300は、図8(b)の断面図に示すように、基板(不図示)の上に形成された再生磁性膜303、中間磁性膜304、及び記録磁性膜305を含む。図8(b)の矢印316は、光磁気記録媒体300のトラックに沿った移動方向である。
【0081】
本実施形態の光磁気記録媒体300の再生動作は、第1の実施形態の光磁気記録媒体100においてと同様である。具体的には、温度がTsw1未満である低温領域311では、再生磁性膜303の磁区収縮によって記録磁区309が形成されず、温度がTsw1以上である高温領域310においてのみ、記録磁区309が再生磁性膜303に転写される。なお、その詳細な説明は、第1の実施形態の説明との重複を考慮して、ここでは省略する。
【0082】
ディスクドライブを動作させる場合の装置内部の温度の上限を80℃と想定すれば、Tsw1は、約130℃〜約180℃の範囲に設定されることが好適である。しかし、Tsw1が上記の範囲に設定されている場合には、装置内部の温度が上記の想定される上限値よりも高くなると、再生磁性膜303に転写された記録磁区309が、温度が再びTsw1以下の温度になって記録磁区309の収縮が発生すべき状態になっても、実際にはそのような収縮が生じ難いことがある。
【0083】
そこで、本実施形態の光磁気記録媒体300では、記録磁区309が確実に収縮するようにして信頼性を高めるために、記録磁区309の収縮方向と同じ方向の弱い磁界318を、初期化磁界318として印加する。初期化磁界309の強さは、約50〜約300Oe程度であれば十分であり、例えば、希土類磁石を用いて約100Oeの強さの磁界を発生させて使用する。
【0084】
なお、本実施形態においては、従来技術の場合とは異なって初期化磁界318を再生光スポット317の近傍に位置させる必要がない。さらに、非常に小さな磁界を初期化磁界318として使用することができる。これより、初期化磁界318を発生させるための希土類磁石等は、光磁気記録媒体が収納されているディスクカートリッジに、さらに内蔵することが可能である。
【0085】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態における光磁気記録媒体を説明する。本実施形態の光磁気記録媒体の基本的な構成やその再生動作は、図6(a)及び(b)を参照して説明した第1の実施形態の光磁気記録媒体100においてと同様である。従って、その詳細な説明は、ここでは省略する。
【0086】
本実施形態の光磁気記録媒体の特徴の一つは、記録磁区の転写を静磁結合力によって行うことである。具体的には、中間磁性膜を非磁性材料から構成すると(ここでは、非磁性材料から構成されている場合でも、「中間磁性膜」と称する)、再生磁性膜と記録磁性膜との間に、お互いの磁化に引き寄せられる静磁結合力が働く。本実施形態の光磁気記録媒体に含まれる再生磁性膜では、温度が室温からTsw1までの範囲にある領域では、再生磁性膜に形成される記録磁区を消滅させるように作用する力の方が、静磁結合力よりも強い。一方、温度がTsw1以上である領域では、記録磁区を消滅させるように作用する力よりも、静磁結合力の方が大きくなる。このために、記録磁性膜に保持された記録磁区が、静磁結合力によって再生磁性膜に転写される。
【0087】
本実施形態では、中間磁性膜の構成材料として非磁性材料を使用することで、上記動作を実現している。具体的には、非磁性材料であればどのような材料も、中間磁性膜を構成するために使用可能である。例えば、SiN、AlNなどの窒化物、或いはZnSなどのカルコゲン化物の膜を中間磁性膜として使用して、上記の再生動作を実現することが可能である。
【0088】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施形態における光磁気記録媒体を、図9を参照して説明する。
【0089】
図9の(a)は、本実施形態の光磁気記録媒体における中間磁性膜の保磁力の温度特性を示すグラフである。また、図9の(b)は、本実施形態の光磁気記録媒体のトラックに対する再生光スポット517付近の上面図である。なお、図9の(a)において、横軸は、室温から温度Tsw1以上に至る温度範囲を示し、縦軸は、保磁力を示している。本実施形態の光磁気記録媒体における中間磁性膜は、その温度がTsw1未満(但し、Tsw1<補償温度Tcomp)の近傍にある領域511で、面内磁化膜を形成し、温度がTsw1以上である領域510では、垂直磁化膜を形成する。
【0090】
情報の再生時に回転中の光磁気記録媒体に対して再生用のレーザ光が照射されると、再生光スポット517が形成される。このとき、再生磁性膜を含む磁性膜構造の温度分布は、再生光スポット517の円の中心に対して円対称にはならず、媒体の移動方向にずれる。
【0091】
ここで、再生光スポット517の中心に記録磁区509が位置している場合を想定する。光磁気記録媒体が矢印516の方向に移動(回転)すると、温度がTsw1以上である領域510は、図中で、再生光スポット517の中心よりも右側にずれる。従って、温度がTsw1未満である領域511は、再生光スポット517の範囲内では、その中心よりも図中で左側になる。
【0092】
先にも説明したように、中間磁性膜は、図9に示す温度がTsw1以上の領域510で垂直磁化膜となる。従って、この領域510では再生磁性膜と記録磁性膜との間の交換結合が発生して、記録磁区509が転写される。一方で、温度がTsw1未満である領域511では中間磁性膜は面内磁化膜であるので、記録磁性膜から再生磁性膜への交換結合力が作用しなくなり、再生磁性膜の記録磁区509の収縮力の方が交換結合力よりも強くなる。従って、再生光スポット517の内部であって温度がTsw1未満である領域511に相当する位置では、記録磁区として記録されている情報は、マスクされている。この結果として、高温領域510に対応する位置に存在する記録磁区509の情報のみが、再生信号として読み出される。
【0093】
このようにして、本実施形態の光磁気記録媒体では、再生光スポット517よりも小さな記録磁区509であっても、前後の記録磁区509からの干渉を生じることなく、情報を高密度で再生することができる。
【0094】
本実施形態の光磁気記録媒体を高密度で再生するには、再生用レーザによって、温度がTsw1以上である領域が得られるように加熱する必要がある。
【0095】
ここで、本実施形態における光磁気記録媒体の記録磁性膜のキュリー点Tc3は、熱磁気記録された記録磁区509を安定に保つ目的で、約250℃に設定されている。
【0096】
各磁性膜は、作製の容易さ、磁気特性の制御のし易さから、先に説明した実施形態の場合と同様に、希土類−遷移金属非晶質合金によって容易に作製することができる。
【0097】
また、本実施形態の光磁気記録媒体で使用されている中間磁性膜の組成は、Tsw1以上の温度領域での動作を実現するために、以下の条件を満たすように設定される必要がある。
【0098】
ディスクドライブを動作させる場合、環境温度の変動を考えると、装置内部の温度は約50℃程度にまで上昇する。このような状態下でも再生に必要なパワーを確実に確保するためには、Tsw1は、少なくとも80℃以上に設定されることが望ましい。一方、Tsw1が記録磁性膜のキュリー温度Tc3よりも高いと、再生時に記録磁性膜の記録磁区509が破壊される。従って、Tsw1は、Tc3よりも低い温度に設定される必要がある。なお、通常、記録磁性膜のキュリー温度Tc3は、半導体レーザによって記録できる記録感度に設定されており、望ましくは、約180℃〜約300℃の範囲に設定される。さらに、再生磁性膜のキュリー温度Tc1は、Tsw1以上の温度領域で磁化を保つようにするため、Tsw1以上に設定される必要がある。
【0099】
以上のことから、中間磁性膜が面内磁性膜から垂直磁性膜に変化する温度であるTsw1は、約100℃〜約250℃に設定されることが望ましい。
【0100】
本願発明者らによる検討の結果、上記の条件を満たす中間磁性膜の構成材料としては、GdFeCo、GdFe、GdCo、或いはDyFeなどが挙げられる。具体的には、中間磁性膜をGdFeCoで作成する場合には、そのGd組成比を約20%〜約28%の範囲に設定すればよい。
【0101】
例えば、本実施形態の光磁気記録媒体では、Tsw1を約100℃、Tcompを約240℃に設定し、中間磁性膜として、Gd組成比が約26.7%であり、Fe/Co比が約56%であるGdFeCo膜を使用している。
【0102】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施形態における光磁気記録媒体を、図10を参照して説明する。
【0103】
図10の(a)は、本実施形態の光磁気記録媒体における中間磁性膜の保磁力の温度特性を示すグラフである。また、図10の(b)は、本実施形態の光磁気記録媒体のトラックに対する再生光スポット617付近の上面図である。なお、図10の(a)において、横軸は、室温から温度Tsw2以上に至る温度範囲を示し、縦軸は、保磁力を示している。本実施形態の光磁気記録媒体における中間磁性膜は、その温度がTsw1未満である領域611及びTsw2以上である領域610では面内磁化膜を形成し、温度がTsw1以上Tsw2未満であり補償温度Tcompの近傍にある領域612では、垂直磁化膜を形成する。
【0104】
情報の再生時に回転中の光磁気記録媒体に対して再生用のレーザ光が照射されると、再生光スポット617が形成される。このとき、再生磁性膜を含む磁性膜構造の温度分布は、再生光スポット617の円の中心に対して円対称にはならず、光磁気記録媒体の移動方向にずれる。具体的には、光磁気記録媒体が矢印616の方向に移動(回転)するとき、再生光スポット617の内部には、温度がTsw1未満である領域611、Tsw1以上Tsw2未満である領域612、及びTsw2以上である領域610が存在する。
【0105】
図10を参照して先に説明したように、本実施形態の光磁気記録媒体に含まれる中間磁性膜は、温度がTsw1未満である領域611及びTsw2以上である領域610では面内磁化膜であるので、この領域では再生磁性膜と記録磁性膜との間の交換結合力が作用しない。従って、これらの領域611及び610では、再生磁性膜の記録磁区609の収縮力が交換結合力よりも大きくなって、記録磁区609の情報がマスクされる。一方、温度がTsw1以上Tsw2未満である領域612では、中間磁性膜が垂直磁化膜に変化しているために交換結合力が十分に作用して、再生磁性膜では交換結合力が支配的となる。このために、この領域612では、記録磁区609の転写が生じる。
【0106】
本実施形態の光磁気記録媒体を高密度で再生するには、再生用レーザによって、中間磁性膜が面内磁化膜になる温度Tsw2以上の温度領域が得られるまで、加熱する必要がある。
【0107】
また、本実施形態における光磁気記録媒体の中間磁性膜は、第5の実施形態で述べた条件に加えて、Tsw1以上Tsw2未満の温度領域での転写を実現し且つ記録破壊を防止するために、Tsw2と再生磁性膜のキュリー温度Tc1及び記録磁性膜のキュリー温度Tc3との間に、Tsw2<Tc1及びTsw2<Tc3なる関係が成り立つことが必要である。
【0108】
記録磁区609の転写を領域612で確実に行うためには、Tsw1とTsw2との間の温度差は、少なくとも10℃以上である必要がある。このため、Tsw1が80℃以上である場合には、Tsw2は、少なくとも90℃以上であることが望ましい。さらに、Tc3が約180℃〜約300℃の範囲に設定されることを考慮すると、記録破壊の防止の観点から、Tsw1を約100℃〜約250℃に設定し、且つTsw2を約110℃〜約260℃に設定することが望ましい。また、再生信号の品質を向上させるためには、Tsw1は、上述の許容温度範囲内で、できるだけ高く設定することが望ましい。以上の点から、Tsw1を約130℃〜約180℃、及びTsw2を約140℃〜約190℃に設定することが好適である。
【0109】
本願発明者らによる検討の結果、上記の条件を満たす中間磁性膜の構成材料としては、GdFeCo、GdFe、GdCo、或いはDyFeなどが挙げられる。具体的には、本実施形態では、中間磁性膜をGdFeCoで作成している。補償温度TcompはGd組成比でほぼ決定され、Gd組成比が約20%〜約28%の範囲で補償温度Tcompは約50℃〜約280℃に設定される。また、磁性膜が面内磁化膜から垂直磁化膜に変化する温度は、Fe/Co組成比によって決定され、Fe組成が小さくなって上記のFe/Co組成比が小さくなるほど、より高い温度で垂直磁化膜に変化する。
【0110】
例えば、本実施形態の光磁気記録媒体では、Tsw1を約130℃、Tsw2を約160℃に設定し、中間磁性膜としてGd23Fe62Co15としている。
【0111】
なお、上述の各実施形態における光磁気記録媒体では、保護膜2及び6としてZnS膜を用いている。或いは、ZnS膜の代わりに、他のカルコゲン化物の膜、TaO2等の酸化物の膜、SiN等の窒化物の膜、或いは、それらの化合物の膜を用いても良い。また、再生磁性膜としてGdFeCo膜、中間磁性膜としてGdFe膜、記録磁性膜としてTbFeCo膜をそれぞれ使用しているが、各磁性膜として、希土類−遷移金属系フェリ磁性膜、MnBiAl等のMn系磁性膜、或いは他の磁性材料の膜を用いても良い。さらに、保護層をエポキシアクリレート系樹脂から形成する代わりに、ウレタン系樹脂或いはホットメルト接着剤などを用いた両面張り合わせ構造を採用することも可能である。
【0112】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光磁気記録媒体によれば、初期化に要する外部磁界(初期化磁界)が不要である。さらに、再生パワーが変動しても記録磁性膜の記録磁区が転写される領域の大きさが変化しないために、波形干渉による再生特性の劣化という不都合が発生しない。
【0113】
また、本発明の光磁気記録媒体の再生方法によれば、再生時に各磁性膜をレーザビームの照射により加熱する際に、低温領域に位置する再生磁性膜の記録磁化が周囲の磁化の影響を受けて収縮し、結果的に再生磁性膜の磁化の向きが一方向に揃う。これによって、記録磁性膜に形成されている記録磁区の再生磁性膜への転写が抑制され、再生光スポットの内部における記録磁性膜の低温部分に相当する位置に形成されている記録磁区のみから、情報を読み取ることができる。さらに、中間磁性膜のキュリー温度を交換結合力の切断機能を発揮するように設定することによって、記録磁区から情報が読み取られる領域を、さらに狭く制限することが可能になる。
【0114】
このように、本発明によれば、光磁気記録媒体に記録されている情報の再生時の分解能を高めることが可能となって、高密度の光磁気記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、ある従来技術における光磁気記録媒体のトラックの一部を示す平面図であり、(b)は、その光磁気記録媒体の構成(特に磁化の方向)を示す断面図である。
【図2】(a)は、他の従来技術における光磁気記録媒体のトラックの一部を示す平面図であり、(b)は、その光磁気記録媒体の構成(特に磁化の方向)を示す断面図である。
【図3】本発明の各実施形態における光磁気記録媒体の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の光磁気記録媒体において、熱磁気記録によって記録磁区が形成された1トラックの室温での状態を模式的に示す図であり、(a)は、記録磁性膜から見た状態を示し、(b)は、再生磁性膜から見た状態を示している。
【図5】本発明の光磁気記録媒体で使用している再生磁性膜(GdFeCo膜)の磁気特性(単層状態でのカーヒステリシスループ及び磁化方向)を示す図であり、(a)は、再生磁性膜(GdFeCo膜)のGd組成比が28%である場合の測定結果を示し、(b)は、Gd組成比が27%である場合の測定結果を示し、(c)は、Gd組成比が26%である場合の測定結果を示している。
【図6】本発明の第1の実施形態における光磁気記録媒体の再生動作を説明する図であり、(a)は、トラックの一部を示す平面図であり、(b)は、磁性膜の構成(特に磁化の方向)を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における光磁気記録媒体の再生動作を説明する図であり、(a)は、トラックの一部を示す平面図であり、(b)は、磁性膜の構成(特に磁化の方向)を示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における光磁気記録媒体の再生動作を説明する図であり、(a)は、トラックの一部を示す平面図であり、(b)は、磁性膜の構成(特に磁化の方向)を示す断面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態における光磁気記録媒体の再生動作を説明する図であり、(a)は、保磁力の温度依存性を示す図であり、(b)は、トラックの一部を示す平面図である。
【図10】本発明の第6の実施形態における光磁気記録媒体の再生動作を説明する図であり、(a)は、保磁力の温度依存性を示す図であり、(b)は、トラックの一部を示す平面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 保護膜
3、63、83、103、203、303 再生磁性膜
4、104、204、304 中間磁性膜
5、65、85、105、205、305 記録磁性膜
6 保護膜
7 保護層
8 光磁気記録媒体
9、69、89、109、209、309、509、609 記録磁区
60、80、100、200、300 光磁気記録媒体
61 記録及び再生磁界
62 初期化磁界
64 中間膜
64A 転写磁性膜
70、90、110、210、310、510、610 高温領域
71、91、111、211、311、511、611 低温領域
116、216、316、516、616 媒体の移動(回転)方向(を示す矢印)
67、87、117、217、317、517、617 再生光スポット
72、212、612 中間温度領域
318 初期化磁界
Claims (6)
- 基板上に少なくとも再生磁性膜と記録磁性膜とを有し、記録光の照射による加熱と記録磁界の印加とにより該記録磁性膜を磁化し記録磁区を形成することによって情報が該記録磁性膜に記録され、再生光の照射により該記録磁性膜の該記録磁区の磁化を該再生磁性膜に転写することによって該記録された情報が再生される光磁気記録媒体において、
前記記録磁性膜と前記再生磁性膜との間に、該再生磁性膜と該記録磁性膜との間の交換結合力を制御する中間磁性膜が設けられており、
前記記録磁性膜は、その中に形成された前記記録磁区が保持される垂直磁化膜であり、
前記再生磁性膜は、前記中間磁性膜によって前記記録磁性膜から受ける結合力が弱められることにより、その中に形成された記録磁区を収縮する磁気特性を持つ垂直磁化膜であり、
再生動作時以外のタイミングでは、前記再生磁性膜には前記記録磁性膜に形成された前記記録磁区が転写されておらず、該再生磁性膜の磁化の方向は一様であり、
室温T room から温度T sw1 までの温度領域では、前記中間磁性膜を介して作用する前記交換結合力よりも、前記再生磁性膜の前記記録磁区を消滅させる力の方が強く、
該温度T sw1 以上の温度領域では、該中間磁性膜を介して作用する該交換結合力が、該再生磁性膜の該記録磁区を消滅させる力よりも強くなり、
該中間磁性膜のキュリー温度T c2 以上の温度領域では、該中間磁性膜の磁化が消滅して前記記録磁性膜と該再生磁性膜との間の交換結合が切断され、
該温度T sw1 以上で該キュリー温度T c2 未満の温度領域で、該記録磁性膜に保持された前記記録磁区が該中間磁性膜を介して該再生磁性膜に転写されることを特徴とする光磁気記録媒体。 - 前記記録磁性膜及び前記再生磁性膜のそれぞれは、希土類−遷移金属非晶質から構成されている、請求項1に記載の光磁気記録媒体。
- 前記中間磁性膜は、希土類−遷移金属非晶質から構成されている、請求項1に記載の光磁気記録媒体。
- 前記再生磁性膜のキュリー温度Tc1、前記記録磁性膜のキュリー温度Tc3、前記温度Tc2、前記温度Tsw1、及び前記室温Troomとの間に、Troom<Tsw1<Tc2、Tc2<Tc1、及びTc2<Tc3なる関係が成り立つ、請求項1に記載の光磁気記録媒体。
- 前記中間磁性膜は、前記温度Tsw1未満の温度領域では面内磁化膜であり、該Tsw1以上で温度Tsw2未満の温度領域では垂直磁化膜であり、該温度Tsw2以上の温度領域では面内磁化膜であり、
前記再生磁性膜のキュリー温度Tc1、前記記録磁性膜のキュリー温度Tc3、該温度Tsw1、該温度Tsw2、及び前記室温Troomとの間に、Troom<Tsw1<Tsw2、Tsw2<Tc1、及びTsw2<Tc3なる関係が成り立つ、請求項1に記載の光磁気記録媒体。 - 基板上に少なくとも再生磁性膜と中間磁性膜と記録磁性膜とを有し、記録光の照射による加熱と記録磁界の印加とにより該記録磁性膜を磁化し記録磁区を形成することによって情報が該記録磁性膜に記録され、再生光の照射により該記録磁性膜の該記録磁区の磁化を該再生磁性膜に転写することによって該記録された情報が再生される光磁気記録媒体の再生方法であって、
該記録磁性膜は、その中に形成された該記録磁区が保持される垂直磁化膜であり、
該再生磁性膜は垂直磁性膜であって、室温Troomから温度Tsw1までの温度領域では、該中間磁性膜を介して作用する該交換結合力よりも、該再生磁性膜の該記録磁区を消滅させる力の方が強く、該温度Tsw1以上の温度領域では、該中間磁性膜を介して作用する該交換結合力が、該再生磁性膜の該記録磁区を消滅させる力よりも強く、
該中間磁性膜は、該記録磁性膜と該再生磁性膜との間の交換結合力を制御し、そのキュリー温度Tc2以上の温度領域では、該中間磁性膜の磁化が消滅して該記録磁性膜と該再生磁性膜との間の交換結合を切断し、該温度Tsw1以上で該キュリー温度Tc2未満の温度領域で、該記録磁性膜に保持された前記記録磁区が該中間磁性膜を介して該再生磁性膜に転写され、
該再生磁性膜のキュリー温度Tc1、該記録磁性膜のキュリー温度Tc3、該温度Tc2、該温度Tsw1、及び該室温Troomとの間に、Troom<Tsw1<Tc2、Tc2<Tc1、及びTc2<Tc3なる関係が成り立ち、
該再生方法は、
該再生光の照射により該中間磁性膜を該キュリー温度Tc2以上まで加熱することによって、該記録磁性膜に保持された該記録磁区を該温度Tsw1以上で該温度Tc2未満の温度範囲で該交換結合力によって該再生磁性膜に転写して、該再生磁性膜からの反射光によって記録された情報を再生する工程を包含する、光磁気記録媒体の再生方法。
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Applications Claiming Priority (3)
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JP8-224876 | 1996-08-27 | ||
JP22487696 | 1996-08-27 | ||
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JPH10124944A JPH10124944A (ja) | 1998-05-15 |
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1997
- 1997-08-25 JP JP22860897A patent/JP3786507B2/ja not_active Expired - Fee Related
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