JP3784936B2 - セルロースエステルフイルムとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースエステルフィルム、セルロースエステル溶液、その調製方法およびそれを用いるセルロースエステルフイルムの製造方法に関する。更には本発明のセルロースフィルムからなるフィルムベースは感材用ベースとしての利用と光学的な保護膜に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロースエステルフイルムの可塑剤として好ましく用いられているリン酸エステルの例としては、トリフェニルフォスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルフォスフェート、トリキシリルフォスフェート等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は光学的特性に優れ、寸度安定性、難揮発性、難燃性、に優れると共に、力学強度の優れたセルロースエステルフィルム及びその製造方法を提供することである。又、製膜条件に依存しないで複屈折をコントロールし得る可塑剤を提供することである。そして、セルロースアセテートフィルムを光学材料に使用する場合、厚み方向のレターデーション値の低いフィルム物性とすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のこれらの目的は、一般式〔1〕で表される化合物を2〜20重量%含有することを特徴とするセルロースエステルフィルムによって達成された。
一般式〔1〕
【0005】
【化4】
【0006】
式中、R1 、R2 、R3 は水素、炭素数1〜6のアルキル又はアルキルオキシ基を表し、(R1 )a、(R2 )b及び(R3 )cの総炭素数は10〜54である。又、a、b、cは1〜5 の整数を表す。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては一般式〔1〕のリン酸エステル系の可塑剤が使用され、本発明の主な構成要素である。
本発明のR1 、R2 、R3 は好ましくは、炭素数1〜4のアルキル又はアルキルオキシ基を表し、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、ブチルである。特にイソプロピル、イソブチル、t−ブチル基のような分岐したアルキル基が好ましい。a、b、cは2〜4の整数である。又、R1 、R2 およびR3 の総炭素数は好ましくは12〜54であり、15〜54が特に好ましい。
本発明の一般式〔1〕で表されるリン酸エステル系可塑剤の沸点は300°C以上であり、より好ましくは320°C以上である。又、水への溶解性(25°C)も1重量%以下である。
【0008】
以下に、本発明の一般式〔1〕で表される化合物の具体例を示す。
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】
【0011】
【化7】
【0012】
本発明の一般式〔1〕で表される可塑剤のフィルム中での含有量は、フィルムの特性を変化させないかぎり特に限定されないが、好ましくはフィルム固形分中の0.5〜30重量%であり、より好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは2〜20重量%である。またフィルムを作製するに際して有機溶剤を主体とする溶液の状態においては、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%である。
【0013】
本発明で使用されるセルロースエステルのエステル基としては炭素数2〜4の脂肪酸基(例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基など)が好ましく、これらのエステル混合セルロースも使用される。その中でも、セルロースアセテートフィルムは特に好ましく、その光学的等方性から近年市場の拡大している液晶表示装置にも用いられている。液晶表示装置における具体的な用途としては、偏光板の保護フイルムおよびカラーフィルターが代表的であり、セルロースアセテートの平均酢化度としては55.0〜62.5%であることが望ましく、57.0〜62.5%であることがより好ましく、58.0〜62.5%であることが特に好ましい。
ここで、酢化度とは、セルロース単位重量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
さらに、本発明で好ましく使用されるセルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、150〜500であることが好ましく、200〜400であることがより好ましく、250〜360であることが特に好ましい。
【0014】
また、本発明に使用するセルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
次に本発明で用いられるセルロースエステルの溶解用有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル類、炭素原子数が3〜12のケトン類、炭素原子数が3〜12のエステル類および炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒であることが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0015】
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素としては、メチレンクロリド、クロロホルムが代表的である。
なお、技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5重量%未満(好ましくは2重量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアセテートフイルムから、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。
【0016】
特に好ましい有機溶媒は、下記の少なくとも互いに異なる三種類以上の溶媒の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子数が3〜12のケトンおよび炭素原子数が3〜12のエステルから選ばれ、第2の溶媒が炭素原子数が1〜5の直鎖状一価アルコールから選ばれ、そして第3の溶媒が沸点が30〜170℃のアルコールおよび沸点が30〜170℃の炭化水素から選ばれる。
第1の溶媒のケトンおよびエステルについては、前述した通りである。
第2の溶媒は、炭素原子数が1〜5の直鎖状一価アルコールから選ばれ、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノールおよび3−ペンタノールが好ましく、エタノールが特に好ましく用いられる。
第3の溶媒は、沸点が30〜170℃のアルコールおよび沸点が30〜170℃の炭化水素から選ばれ、アルコールの例には、メタノール(沸点:65℃)、エタノール(78℃)、1−プロパノール(97℃)、2−プロパノール(82℃)、1−ブタノール(118℃)、2−ブタノール(100℃)、t−ブタノール(82℃)、1−ペンタノール(138℃)、2−メチル−2−ブタノール(102℃)およびシクロヘキサノール(161℃)である。
【0017】
セルロースエステルの溶解は常温或いは加熱溶解してもよいし、冷却溶解法により上述のような有機溶媒中にセルロースエステルを溶解して、溶液を形成することが好ましく用いられる。
以下に、冷却溶解法について記載する。冷却溶解法における溶液の調製においては、最初に、室温で有機溶媒中にセルロースエステルを攪拌しながら徐々に添加する。この段階では、セルロースエステルは、一般に有機溶媒中で膨潤するが溶解しない。なお、室温でセルロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
セルロースエステルの溶液全体に対する含有量は、10〜30重量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0018】
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、−100℃以下の低温冷凍設備や液体窒素、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。冷却速度は冷却する容量と冷却装置によって依存するが、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることがより好ましい。さらに、これを0〜120℃(好ましくは0〜50℃)に加温すると、混合溶媒中にセルロースエステルが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温指数は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。ここで加温指数とは、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
【0019】
次に調製したセルロースエステル溶液から、セルロースエステルフイルムを製造する過程について記述する。溶液はソルベントキャスト法におけるドープとして利用される。ドープはドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成される。流延前のドープは、固形分量が10〜35%となるように濃度を調整することが好ましく、より好ましくは12〜30%、さらに好ましくは15〜25%となるように濃度を調整することである。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
【0020】
さらに本発明の可塑剤を含むドープは、特公平5−17844号公報の記載により製膜することができる。
得られるフイルムの厚さは、5〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがさらに好ましく、50〜150μmであることが最も好ましい。
【0021】
セルロースエステルフイルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−197073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1重量%であることが好ましく、0.1〜0.2重量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01重量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1重量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。以下に本発明のフィルムベースを用いて感材を作製する際に、使用される技術について簡単に記載する。
【0022】
本発明ではフィルムベース支持体と感材構成層を接着させるために、表面処理が好ましい。薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいのは、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理である。
【0023】
本発明のセルロースエステルフィルムはハロゲン化銀感光材料、光学フィルム等に使用することができる。例えば、カラーフィルム、保護膜特に液晶表示装置に用いられる偏光子保護膜、位相差フィルム支持体等である。偏光フィルムは、ポリビニルアルコールにヨウ素、二色性染料を吸着配向させたものを偏光素子とし、保護フィルムで被服したものであるが、保護フィルムの光学的異方性即ち複屈折が小さい事が必要である。又、TFTやFSTN型のように高コントラストの液晶表示装置では、視覚特性上でその光学的異方性は無視出来なく問題となる。本発明に従うセルロースエステルフイルムには、冷却溶解法により製造しても厚み方向のレターデーション値が低いことが特徴である。
特に、TFT液晶用の保護膜への適応はこの上なく重要であり、本発明のセルロースエステル膜が必須となっている。
この時、必要な光学的な特性はフィルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)として観察される。その測定法はエリプソメーター(偏光解析計AEP−100:島津製作所(株)製)を用いて、波長632.8nmにおける厚さ方向の複屈折にフィルム膜厚さを乗じたものであり、下記の式で求められる。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
nx:横方向の屈折率、ny:縦方向の屈折率、nz:厚さ方向の屈折率
小さいほど、厚さ方向の光学異方性がなく好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムのRthは、100nm〜0nmが必要であり、より好ましくはRthが80nm〜0nm、特に好ましくは60nm〜0nmである。
【0024】
【実施例】
実施例1
1−1)ドープ液の調整
室温において、平均酢化度59.5%セルロースエステル(重合度=300)17重量部、可塑剤(表1に記載)及び酢酸メチル/エタノール/n−ブタノール混合溶媒(混合比=80/15/5重量%)全量で100重量部になる量を混合した。得られた膨潤混合物を−50℃まで冷却した(冷却速度:8℃/分)。次にこの冷却ドープ液を攪拌しつつ、徐々に加温した(加温速度:8℃/分)。さらに、同様の冷却および加温の操作を、もう一回繰り返した。
【0025】
【化8】
【0026】
1−2)フィルムベースの作製
得られた溶液を、有効長6mのバンド流延機を用いて、乾燥膜厚が115μmになるように流延した。バンド温度は0℃とした。乾燥のため、2秒風に当てた後、フィルムをバンドから剥ぎ取り、さらに100℃で3分、130℃で5分、そして160℃で5分、フィルムの端部を固定しながら段階的に乾燥して、残りの溶剤を蒸発させた。このようにして、セルロースエステルフィルムを製造した。得られたフィルムは、さらに120℃で3時間乾燥した。
【0027】
1−3)ハロゲン化銀感光材料
1−3−1)バック層の作製
1−2)で得られたフィルムベースの一方に、特開平4−73736号の実施例1の(バック層組成)第一層及び第2層を付与し、カチオン系ポリマーを導電性層とするバック層を作製した。
【0028】
1−3−2)感材層の作製
1−3−1)で得られたバック層付与したフィルムベースの反対の面に、特開平7−287345号の実施例1に記載されたカラーネガ感材層を重層塗布して、ハロゲン化銀乳剤層付きの感材を作製した。
【0029】
1−4)評価
(1)液安定性
得られたドープを23℃で静置保存し、以下のA、BおよびCの三段階で評価した。
A:20日間経時しても、透明性と均一性を保持し、良好な溶解性と溶液安定性を示す。
B:攪拌終了時には、透明性と均一性を呈して良好な溶解性を示すが、一日経時すると相分離を生じ、不均一な状態となる。
C:攪拌終了直後から不均一なスラリーを形成し、透明性と均一性のある溶液状態を示さない。
【0030】
(2)ブリードアウト
得られた製膜済みのセルロースアセテートベースを25cc秤量びんに5ccのエーテルを入れ、フィルムで覆い、ガラス板を上にかぶせて密閉し、2、4、8分間放置した後とりはずし、25℃、60%RHに30分放置した後、可塑剤のブリードアウトの状態を目視で測定した。
◎:ブリードアウトは全くない
○:ブリードアウトはほとんどなし
△:ブリードアウトが目立つ
×:ブリードアウトが全面に見られる
【0031】
(3)耐折強度の測定
感材フィルムをMIT耐揉疲労試験機((株)東洋精機製作所製)を用いてISO8776−1988の規格に従って折り曲げによって切断するまでの往復回数を測定した。
【0032】
(4)感材の引裂強度の測定
感材フィルムを軽荷重引裂強度試験機((株)東洋精機製作所製)を用いて、ISO1974−1985の規格に従って引裂けるのに必要なエネルギーを測定した。
【0033】
(5)感材の衝撃強度の測定
感材フィルムを83cmのフィルムの一端を固定し、他方の端に5kgの重りをつけ、ぶら下げる。その時の重りの位置(h=0)から種々の高さhに重りを垂直に持ち上げ、自由落下させる。ASTM D1709−85を参考にして、重さWを高さhに読み替え、50%破断高さh50を求める。h50の持つ位置エネルギー5gh50(J) を衝撃強度とした。なお、破断時に固定点や重りの取りつけ点で破断した時は再試験した。
【0034】
1−5)結果
サンプル1−1〜1−15の結果を表1に示す。
本発明の実験サンプルは、液安定性、ベース面状、ブリードアウト、レターデーション、耐折強度、引裂強度及び衝撃強度などの液特性、ベース特性そして感材取り扱い性共に優れるものであった。これに対して、可塑剤を含まないコントロール試料(サンプル1−1)や比較可塑剤を有するサンプル1−2〜1−9は、これらの全ての特性を満足するものではなかった。これは、本発明のサンプルが著しく優れたものであることを示すものであり、本発明が特異的に優れていることは明白である。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例2
実施例1の本発明のサンプル1−12において、平均酢化度59.5%のセルロースエステルを平均酢化度62.0%(重合度=300)のセルロースエステルに変更する以外は全く同様にしたサンプル2−1を作製した。
得られたフィルムベースの特性を表1に示すが、引き裂き強度の点で更に優れたものであった。
【0037】
実施例3
実施例1の本発明のサンプル1−12において、冷却温度を−90℃に変更する以外は全く同様にしたサンプル3−1を作製した。
得られたフィルムベースの特性を表1に示すが、各種特性を優れたものであり、かつドープの溶解時間が、サンプル1−12に比較して約1/2であり、ドープ作製の点で優れていることを確認した。
【0038】
実施例4
実施例1の本発明のサンプル1−12において、平均酢化度40%(セルロースのヒドロキシル基の置換度2.2)でかつプロピオニル置換度0.6のセルロースエステル(重合度=310)を平均酢化度59.5%のセルロースエステルに変更する以外は全く同様にしたサンプル4−1を作製した。
得られたフィルムベースの特性を表1に示すが、レターデーションの点で著しく優れ他の性能も満足するものであった。
【0039】
実施例5
特開平7−333433号の実施例1の富士写真フイルム(株)製トリアセチルセルロースを、本発明の実施例1の試料1−12のセルロースエステルフィルムに変更する以外は、特開平7−333433号の実施例1と全く同様にした光学補償フィルターフィルム試料5−1を作製した。得られたフィルターフィルムは左右上下に優れた視野角を有するものであった。一方、本発明の可塑剤を使用しなかった比較試料1−2を、特開平7−333433号の実施例1の富士写真フイルム(株)製トリアセチルセルロースに変更する以外は、特開平7−333433号の実施例1と全く同様にして比較用光学補償フィルターフィルム試料5−2を作製した。得られた比較用フィルターフィルム試料5−2の視野角を評価したところ、本発明のセルロースエステル試料5−1を用いた場合に比べ、左右上下共にその視野角は著しく劣るものであった。
したがって、本発明のセルロースエステルフィルムが、光学的用途として優れたものであることが判る。
【0040】
【発明の効果】
本発明に従い本発明の可塑剤をを使用すると、安定性の高いセルロースエステル溶液を調製することができ、製膜条件に依存しないでフィルムの複屈折をコントロールすることが可能になった。そして、本発明に従うことにより厚み方向のレターデーション値が低いセルロースエステルフィルムも製造することができる。
Claims (5)
- 一般式〔1〕において、R1 、R2 、R3が炭素数2〜4のアルキル基であり、a、b、cは2〜4の整数であることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
- 請求項3のセルロースアセテート溶液の調製方法によって調製されたセルロースエステル溶液を用いて作製されるセルロースエステルフィルムの厚さ方向のRthが100nm〜0nmであり、液晶用保護膜に使用される事を特徴とするセルロースエステルフィルム。
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JPH1180381A (ja) | 1999-03-26 |
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