JP3784578B2 - 金型で加圧鋳造成形された非晶質合金成形品の製造方法及び装置 - Google Patents
金型で加圧鋳造成形された非晶質合金成形品の製造方法及び装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型で加圧鋳造成形することによる非晶質合金成形品の製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
非晶質合金の製造方法としては、一般に104〜106K/s程度の大きな冷却速度が必要となるため片ロール法、双ロール法、ガスアトマイズ法などが採用されているが、このような方法によって得られる製品は箔帯、細線、粉末状のものに限られており、非晶質合金の応用分野を著しく制限する要因となっている。
【0003】
このような粉末成形法とは異なり、単一プロセスにより非晶質合金の成形品を製造する方法として、特開平8−199318号には、上面が開放された溶解用炉床の底部に、製品成形用キャビティに溶湯移動具を装填した強制冷却鋳型を配置し、上記溶解用炉床で非晶質化元素を含むジルコニウム合金を溶解した後、上記溶湯移動具を下方に引き抜いて強制冷却鋳型内にジルコニウム合金溶湯を吸引・移動させ、上記強制冷却鋳型内でジルコニウム合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させる棒状又は筒状Zr系非晶質合金の製造方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記方法によれば、鋳造物の形状が溶湯移動具の形状(すなわち、該溶湯移動具が装填されている孔部の断面形状)及び引き抜き方法により規制されるため、棒状又は筒状に限定されてしまう。また、単に溶湯移動具の引き抜きによって合金溶湯の移動を伴うものであるため、合金溶湯を実質的に加圧することができない。従って、微細な形状あるいは複雑な形状の成形品を製造することが困難であり、また、得られる製品の緻密性や機械的性質の点でも改善すべき余地が残されている。
【0005】
上記のような問題を解決できる方法として、本出願人は既に、従来の金型鋳造法をベースにした技術とガラス遷移領域を示す非晶質合金の組み合わせによって、複雑な又は微細な形状の成形品であっても、所定の形状、寸法精度、表面品質を満足する非晶質合金成形品を単一プロセスで量産性良く製造できる方法及び装置を開発し、既に特許出願している(特開平10−296424号)。ここに開示されている非晶質合金成形品の製造装置の概略を示す図8を参照しながら、そのプロセスについて以下に説明する(なお、装置の詳細については特開平10−296424号公報参照)。
【0006】
強制冷却鋳型1は上型2と下型5とからなり、上型2には鋳造品の外形寸法を規制する製品成形用キャビティ3が形成されている。強制冷却鋳型1は、加熱領域の影響を受けないように溶解用容器11の上方に配置されている。なお、符号4は、上型2内に上下動自在に配設されたエジェクタであり、図示しない油圧シリンダ(又は空圧シリンダ)により作動される。また、下型5の中央部には注湯口(貫通孔)6が形成され、その周縁下部には段差状の凹部7が形成されている。
一方、上記下型5の注湯口6の真下に昇降自在に配設されている溶解用容器11は、円筒状のスリーブ12とその中に摺動自在に配設されたピストン(溶湯移動具)13とから構成され、これらスリーブ12とピストン13の上面で原料収容部14が形成されている。ピストン13は図示しない油圧シリンダ(又は空圧シリンダ)により上下動される。また、溶解用容器11の原料収容部14の周囲には、加熱源として誘導コイル15が配設されている。
【0007】
非晶質合金成形品の製造に際しては、まず、図8(A)に示すように溶解用容器11が強制冷却鋳型1の下方に離間した状態において、原料収容部14内に非晶質合金を生じ得る組成の合金原料Aを装填する。次いで、誘導コイル15を励磁して合金原料Aを急速に加熱する。合金原料Aが溶解したかどうかを溶湯温度を検出して確認した後、誘導コイル15を消磁し、図8(B)に示すように、溶解用容器11をそのスリーブ12上端が下型5の凹部7に密着するまで上昇させる。
次いで、図8(C)に示すように、ピストン13を急速に上昇させ、合金溶湯A´を強制冷却鋳型1の注湯口6から射出する。射出された合金溶湯A´はキャビティ3内に注入、加圧され、急速に凝固される。この際、射出温度、射出速度等を適宜設定することにより、103K/s以上の冷却速度が得られる。次いで、図8(D)に示すように、上型2と下型5を分離し、鋳造品Bを内包している上型2を上昇させると共に、溶解用容器11を元の位置まで復帰させる。
その後、図8(E)に示すように、上型2の下方に回収トレイ16が前進し、エジェクタ4を下方に突き出すことにより鋳造品Bが上型2から分離され、回収トレイ16で回収され、1回目の製造工程が終了する。その間、溶解用容器11内には次の合金原料Aが装填される。その後、上型2が図8(A)に示される元の位置に復帰した後、前記と同様な操作で次の製造工程を行なう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような方法により、非晶質合金からなる成形品を量産性良く製造することが可能となる。
しかしながら、前記の方法は、溶解用容器11の炉底を構成するピストン13を急速に上昇させて合金溶湯A´を強制冷却鋳型1のキャビティ3内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させるものである。そのため、図9(A)に示すように、ピストン13を上昇させて強制冷却鋳型1のキャビティ3内に合金溶湯A´を充填させる際に、スリーブ12とピストン13の隙間に溶湯が差し込んだり、あるいは、図9(B)に示すように、ピストン13によるキャビティ3内の合金溶湯A´の加圧中に、スリーブ12とピストン13の隙間に溶湯が差し込むという問題がある。
【0009】
スリーブ12とピストン13の隙間に合金溶湯A´が差し込まないようにするためには、それらのクリアランスを小さくしなければならないが、そのためにはスリーブ内周面とピストン外周面に極めて高い寸法精度が要求され、製造コストが高くなるという問題が発生する。さらに、寸法精度を高くしても、ピストン13の摺動を可能とする以上、スリーブ12とピストン13の摺動面には必ず隙間があるため、合金溶湯A´の差し込みを回避することは困難であり、溶湯温度が高くて粘性が小さい程差し込み易くなる。一旦スリーブ12とピストン13の間に溶湯の差し込みが生じると、スリーブ12内でのピストン13の移動が不可能になることがあり、また、ピストンとスリーブの摺動面が損傷してしまう。
【0010】
従って、本発明の目的は、前記したような問題がなく、複雑な又は微細な形状の成形品であっても、所定の形状、寸法精度、表面品質を満足する非晶質合金成形品を単一プロセスで量産性良く製造でき、従って精密加工品であっても研磨等の機械加工工程を省略又は大幅に削減できる方法を提供し、もって耐久性、強度、耐衝撃性等に優れた安価な非晶質合金成形品を提供しようとするものである。
さらに本発明の目的は、上記のような非晶質合金成形品の製造に適した比較的簡単な構成の装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の第1の側面によれば、非晶質合金成形品の製造方法が提供され、その基本的な態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に溶湯強制移動手段を備えた強制冷却鋳型とを用い、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結し、上記溶湯強制移動手段により合金溶湯を押圧して製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴としている。
【0012】
上記溶湯強制移動手段としては、強制冷却鋳型内に上下方向に移動自在に配設された押出棒や、溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるように強制冷却鋳型下部に形成した突出部を有利に用いることができ、このような押出棒又は突出部を凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込むことにより、合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧する。
【0013】
本発明による非晶質合金成形品の製造方法のより具体的な第二の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上下方向に移動自在に配設された押出棒を備えた強制冷却鋳型とを用い、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結し、上記押出棒を溶解用容器の凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込むことにより合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴としている。
【0014】
本発明による非晶質合金成形品の製造方法のより具体的な第三の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上下方向に移動自在に配設された押出棒を備えた強制冷却鋳型とを用い、上記押出棒を溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような位置に予め設定しておき、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結することにより、上記押出棒が溶解用容器の凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込まれて合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴としている。
この方法の一つの態様においては、上記押出棒は、上向きの力が加わったときにそれに抗して下方に付勢されるようにすることができる。
【0015】
さらに本発明による非晶質合金成形品の製造方法のより具体的な第三の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上記溶解用容器と連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような形状寸法の突出部が下方に突設された強制冷却鋳型とを用い、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結することにより、上記突出部が溶解用容器の凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込まれて合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴としている。
【0016】
前記いずれの態様においても、前記強制冷却鋳型を溶解用容器に向かって移動させて溶解用容器と強制冷却鋳型の連結を行なうか、あるいは、前記溶解用容器を強制冷却鋳型に向かって移動させて溶解用容器と強制冷却鋳型の連結を行なう。
好適な態様においては、真空中又は不活性ガス雰囲気下において、溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解し、合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させることが行なわれる。また、前記溶解用容器と強制冷却鋳型は電磁誘導シールド機能を有する材料を介して連結したり、前記溶解用容器と強制冷却鋳型の連結の際にこれらの連結部を冷却することも好ましい。
【0017】
さらに本発明の第2の側面によれば、前記したような非晶質合金成形品の製造に好適に用いることができる装置も提供される。
本発明に係る非晶質合金成形品の製造装置の第1の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上下方向に移動自在に配設された押出棒を備えた強制冷却鋳型とを備えていることを特徴としている。
上記押出棒は、当初は後退した位置にあってもよく、あるいは、溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような位置に予め設定しておいてもよい。また、上記押出棒は、上向きの力が加わったときにそれに抗して下方に付勢されるようにばね手段を備えていてもよい。
【0018】
また、本発明の装置の第2の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上記溶解用容器と連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような形状寸法の突出部が下方に突設された強制冷却鋳型とを備えていることを特徴としている。
【0019】
前記いずれの態様においても、前記強制冷却鋳型を溶解用容器に向かって移動自在に配置することもできるし、前記溶解用容器を強制冷却鋳型に向かって移動自在に配置することもできる。
好適には、上記強制冷却鋳型及び溶解用容器は真空中又は不活性ガス雰囲気中に配置される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明による非晶質合金成形品の製造は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に溶湯強制移動手段、例えば強制冷却鋳型内に上下方向に移動自在に配設された押出棒や、あるいは溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるように強制冷却鋳型下部に形成した突出部、を備えた強制冷却鋳型とを用い、強制冷却鋳型側から上記押出棒又は突出部により溶解用容器内の合金溶湯を押圧して製品成形用キャビティ内に強制移動させるものである。
【0021】
すなわち、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型をそれらの凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結し、上記押出棒を急速に下降させて凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込むか、あるいは、溶解用容器と強制冷却鋳型の連結の際に押出棒又は強制冷却鋳型下部に形成した突出部を合金溶湯中に押し込むことにより、合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させるものである。このように、凹状原料収容部が一体的に形成された溶解用容器を用いており、従来の装置のように溶解用容器内のピストンによって合金溶湯を押し出すものではないため、ピストンとスリーブの摺動面に溶湯が差し込み、ピストンの強制移動が不可能になったり、ピストンとスリーブの摺動面が損傷するといった問題を生じることはない。
【0022】
前記のような方法により、強制冷却鋳型の製品成形用キャビティ内に充填された合金溶湯は上記押出棒又は突出部により加圧されるため、複雑な形状あるいは微細な形状の成形品であっても、高い寸法精度でキャビティ形状を忠実に再現した緻密で表面平滑な成形品を単一のプロセスで量産性良く、従って低コストで製造することができる。
なお、溶解用容器を強制冷却鋳型に向かって移動させる場合には、移動の際に合金溶湯の温度低下を生じ、温度コントロールが難しくなる。このような合金溶湯の温度低下を抑制するためには、強制冷却鋳型を溶解用容器に向かって移動させるように構成することが好ましい。
また、前記各工程を真空中又は不活性ガス雰囲気下において行うことにより、合金溶湯の酸化皮膜の形成を防止し、良好な品質の非晶質合金成形品を製造することができる。なお、溶湯の酸化皮膜形成を防止するためには、装置全体を真空中又はArガス等の不活性ガス雰囲気中に配置するか、あるいは少なくとも合金溶湯が露出している溶解用容器の上部に不活性ガスを流すことが好ましい。
【0023】
本発明の方法で用いる材料としては、実質的に非晶質の合金からなる製品を得ることができる材料であれば全て使用可能であり、特定の材料に限定されるものではないが、下記一般式(1)〜(6)のいずれか1つで示される組成を有する非晶質合金を好適に使用できる。
一般式(1):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
但し、M1はZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、M2はNi、Cu、Fe、Co、Mn、Nb、Ti、V、Cr、Zn、Al及びGaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMm(希土類元素の集合体であるミッシュメタル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M4はTa、W及びMoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M5はAu、Pt、Pd及びAgよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ原子%で、25≦a≦85、15≦b≦75、0≦c≦30、0≦d≦30、0≦e≦15、0≦f≦15である。
【0024】
上記非晶質合金は、下記一般式(1−a)〜(1−p)の非晶質合金を含む。
一般式(1−a):M1 aM2 b
この非晶質合金は、M2元素がZr又はHfと共存するために、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
一般式(1−b):M1 aM2 bLnc
この非晶質合金のように、上記一般式(1−a)の合金に希土類元素を添加することによりアモルファスの熱的安定性が向上する。
【0025】
一般式(1−c):M1 aM2 bM3 d
一般式(1−d):M1 aM2 bLncM3 d
これらの非晶質合金のように、原子半径の小さな元素(Be,B,C,N,O)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
【0026】
一般式(1−e):M1 aM2 bM4 e
一般式(1−f):M1 aM2 bLncM4 e
一般式(1−g):M1 aM2 bM3 dM4 e
一般式(1−h):M1 aM2 bLncM3 dM4 e
これらの非晶質合金のように、高融点金属(Ta,W,Mo)を添加した場合、アモルファス形成能に影響を与えずに耐熱性、耐食性が向上する。
【0027】
一般式(1−i):M1 aM2 bM5 f
一般式(1−j):M1 aM2 bLncM5 f
一般式(1−k):M1 aM2 bM3 dM5 f
一般式(1−l):M1 aM2 bLncM3 dM5 f
一般式(1−m):M1 aM2 bM4 eM5 f
一般式(1−n):M1 aM2 bLncM4 eM5 f
一般式(1−o):M1 aM2 bM3 dM4 eM5 f
一般式(1−p):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
これらの貴金属M5(Au,Pt,Pd,Ag)を含んだ非晶質合金の場合、結晶化が起きても脆くならない。
【0028】
一般式(2):Al100-g-h-iLngM6 hM3 i
但し、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMmよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M6はTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、g、h及びiはそれぞれ原子%で、30≦g≦90、0<h≦55、0≦i≦10である。
【0029】
上記非晶質合金は、下記一般式(2−a)及び(2−b)の非晶質合金を含む。
一般式(2−a):Al100-g-hLngM6 h
この非晶質合金は、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
一般式(2−b):Al100-g-h-iLngM6 hM3 i
この非晶質合金においては、原子半径の小さな元素(Be,B,C,N,O)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
【0030】
一般式(3):Mg100-pM7 p
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、pは原子%で5≦p≦60である。
この非晶質合金は、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
【0031】
一般式(4):Mg100-q-rM7 qM8 r
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M8はAl、Si及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、q及びrはそれぞれ原子%で、1≦q≦35、1≦r≦25である。
この非晶質合金のように、前記一般式(3)の合金において原子半径の小さな元素(Al,Si,Ca)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
【0032】
一般式(5):Mg100-q-sM7 qM9 s
一般式(6):Mg100-q-r-sM7 qM8 rM9 s
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M8はAl、Si及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M9はY、La、Ce、Nd、Sm及びMmよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、q、r及びsはそれぞれ原子%で、1≦q≦35、1≦r≦25、3≦s≦25である。
これらの非晶質合金のように、前記一般式(3)及び(4)の合金に希土類元素を添加することによりアモルファスの熱的安定性が向上する。
【0033】
前記した非晶質合金の中でも、ガラス遷移温度(Tg)と結晶化温度(Tx)の温度差が極めて広いZr−TM−Al系及びHf−TM−Al系(TM:遷移金属)非晶質合金は、高強度、高耐食性であると共に、過冷却液体領域(ガラス遷移領域)ΔTx=Tx−Tgが30K以上、特にZr−TM−Al系非晶質合金は60K以上と極めて広く、この温度領域では粘性流動により数10MPa以下の低応力でも非常に良好な加工性を示す。また、冷却速度が数10K/s程度の鋳造法によっても非晶質バルク材が得られるなど、非常に安定で製造し易い特徴を持っている。これらの合金は、溶湯からの金型鋳造によっても、またガラス遷移領域を利用した粘性流動による成形加工によっても、非晶質材料ができると同時に、金型形状及び寸法を極めて忠実に再現する。
【0034】
本発明に利用されるこれらのZr−TM−Al系及びHf−TM−Al系非晶質合金は、合金組成、測定法によっても異なるが、非常に大きなΔTxの範囲を持っている。例えばZr60Al15Co2.5Ni7.5Cu15合金(Tg:652K、Tx:768K)のΔTxは116Kと極めて広い。耐酸化性も極めて良く、空気中でTgまでの高温に熱してもほとんど酸化されない。硬度は室温からTg付近までビッカース硬度(Hv)で460(DPN)、引張強度は1,600MPa、曲げ強度は3,000MPaに達する。熱膨張率αは室温からTg付近まで1×10-5/Kと小さく、ヤング率は91GPa、圧縮時の弾性限界は4〜5%を超える。さらに靭性も高く、シャルピー衝撃値で6〜7J/cm2を示す。このように非常に高強度の特性を示しながら、ガラス遷移領域まで加熱されると、流動応力は10MPa程度まで低下する。このため極めて加工が容易で、低応力で複雑な形状の微小部品や高精度部品に成形できるのが本合金の特徴である。しかも、いわゆるガラス(非晶質)としての特性から加工(変形)表面は極めて平滑性が高く、結晶合金を変形させたときのように滑り帯が表面に現われるステップなどは実質的に発生しない特徴を持っている。
【0035】
一般に、非晶質合金はガラス遷移領域まで加熱すると長時間の保持によって結晶化が始まるが、本合金のようにΔTxが広い合金は非晶質相が安定であり、ΔTx内の温度を適当に選べば2時間程度までは結晶が発生せず、通常の成形加工においては結晶化を懸念する必要はない。
また、本合金は溶湯からの凝固においてもこの特性を如何なく発揮する。一般に非晶質合金の製造には急速な冷却が必要とされるが、本合金は冷却速度10K/s程度の冷却で溶湯から容易に非晶質単相からなるバルク材を得ることができる。その凝固表面はやはり極めて平滑であり、金型表面のミクロンオーダーの研磨傷でさえも忠実に再現する転写性を持っている。
従って、合金材料として本合金を適用すれば、金型表面が成形品の要求特性を満たす表面品質を持っておれば、鋳造材においても金型の表面特性をそのまま再現し、従来の金型鋳造法、金型成形法においても寸法調整、表面粗さ調整の工程を省略又は短縮することができる。
【0036】
以上のように、比較的低い硬度、高い引張強度及び高い曲げ強度、比較的低いヤング率、高弾性限界、高耐衝撃性、高耐磨耗性、表面の平滑性、高精度の鋳造又は加工性を併せ持った特徴は、光ファイバコネクタのフェルールやスリーブ、歯車、マイクロマシン等の精密部品など、種々の分野の成形品の材料として適しているばかりでなく、従来の成形加工方法を適用できる。また、非晶質合金は、高精度の鋳造性及び加工性を有し、かつ金型のキャビティ形状を忠実に再現できる優れた転写性を有するため、金型を適切に作製することにより、金型鋳造法や金型成形法によって所定の形状、寸法精度、及び表面品質を満足する成形品を単一のプロセスで量産性良く製造できる。
【0037】
【実施例】
以下、添付図面に示す実施例を説明しながら本発明についてさらに具体的に説明する。
図1は、本発明の方法により非晶質合金製円筒体を製造する装置の一実施例の概略構成を示している。
強制冷却鋳型1は、昇降自在に配設された上型2と、下型5とからなり、上型2には鋳造品の外形寸法を規制する製品成形用キャビティ3が形成されている点は図8に示す従来の装置と同様であるが、上型2内には、下型5の中央部に形成された注湯口(貫通孔)6から下方に突出できるように押出棒8が上下動自在に配設されており、この押出棒8はエジェクタとしても機能する。押出棒8は図示しない油圧シリンダ(又は空圧シリンダ)により作動される。強制冷却鋳型1は、加熱領域の影響を受けないように溶解用容器11の上方に配置されている。
【0038】
なお、強制冷却鋳型1は、銅、銅合金、又は超硬合金その他の金属材料から作製することができるが、キャビティ3内に注入された溶湯の冷却速度を速くするために、熱容量が大きくかつ熱伝導率の高い材料、例えば銅製、銅合金製等とすることが好ましい。また上型2には冷却水、冷媒ガス等の冷却媒体を流通させる流路が配設されているが、図示の都合上省略されている。
【0039】
一方、上記下型5の注湯口6の真下に昇降自在に配設されている溶解用容器11の上部には、図8に示す従来の装置とは異なり、凹状の原料収容部14が一体的に形成されている。溶解用容器11の材質、特に凹状原料収容部の材質としてはセラミックスが好ましい。凹状原料収容部14の周囲に加熱源としての誘導コイル15が配設されていることは、図8に示す従来の装置と同様である。加熱源としては、高周波誘導加熱の他、抵抗加熱等の任意の手段を採用できる。
【0040】
非晶質合金成形品の製造に際しては、まず、図1(A)に示すように溶解用容器11が強制冷却鋳型1の下方に離間した状態において、凹状原料収容部14内に非晶質合金を生じ得る組成の合金原料Aを装填する。合金原料Aとしては棒状、ペレット状、粉末状等の任意の形態のものを使用できる。次いで、誘導コイル15を励磁して合金原料Aを急速に加熱する。合金原料Aが溶解したかどうかを溶湯温度を検出して確認した後、図1(B)に示すように、溶解用容器11をその上端が下型5の凹部7に密着するまで上昇させる。その後、誘導コイル15を消磁する。
【0041】
次いで、図1(C)に示すように、押出棒8を急速に、好ましくは約0.1秒程度で下降させてその先端部を合金溶湯A´中に押し込むことによって、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1の注湯口6からキャビティ3内に押し出され、加圧され、急速に凝固される。この際、射出温度、射出速度等を適宜設定することにより、103K/s以上の冷却速度が得られる。次いで、図1(D)に示すように、上型2を下型5から分離し、鋳造品Bを内包している上型2を上昇させると共に、溶解用容器11を元の位置まで復帰させる。その後、図1(E)に示すように、上型2の下方に回収トレイ16が前進し、押出棒8がさらに下方に突き出されることにより鋳造品Bが上型2から分離され、回収トレイ16で回収され、1回目の製造工程が終了する。その間、溶解用容器11の凹状原料収容部14内には次の合金原料Aが装填される。その後、上型2が図1(A)に示される元の位置に復帰した後、前記と同様な操作で次の製造工程を行なう。
【0042】
図2は、本発明の方法により非晶質合金成形品を製造する装置の他の実施例の概略構成を示しており、強制冷却鋳型1の下型5に、その中央部に形成された注湯口(貫通孔)6の周縁部から下方に垂下するように円筒状の水冷ジャケット(もしくは円筒状水冷ガイド壁)9が固定されており、また、押出棒8が予め所定長さだけ下方に突出され、すなわち溶解用容器11と強制冷却鋳型1を連結したとき押出棒8の下端部が凹状原料収容部14内に挿入されるような位置に予め設定されている以外は、図1に示す装置と同様である。
【0043】
このような円筒状水冷ジャケット9を設けることにより、図2(A)に示すように溶解用容器11の凹状原料収容部14内に装填された合金原料Aを急速に加熱し、図2(B)に示すように、溶解用容器11を上昇させてその上端が下型5に当接したときに、凹状原料収容部14の外周面は円筒状水冷ジャケット9と接触しているため、強制冷却鋳型1と溶解用容器11の連結部(接触部)近傍の合金溶湯A´は急速に冷却され、その部分の粘度が上昇するので、図2(B)に示すように強制冷却鋳型1の円筒状水冷ジャケット9内に溶解用容器11の凹状原料収容部14を挿入する構造のものであっても、合金溶湯A´がこれらの隙間に差し込むことが効果的に防止される。
【0044】
また、押出棒8が予め所定長さだけ下方に突出されているため、図2(B)に示すように溶解用容器11と強制冷却鋳型1を連結したときに、押出棒8の下端部が凹状原料収容部14内の合金溶湯A´中に自動的に押し込まれ、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1のキャビティ3内に押し出され、加圧され、急速に凝固される。その後、誘導コイル15を消磁する。その後の上型2と下型5の分離、鋳造品Bを内包している上型2の上昇、及び溶解用容器11の元の位置への復帰(図1(C))、並びに鋳造品Bの上型2からの分離と回収トレイ16による回収、及び凹状原料収容部14内への次の合金原料Aの装填(図2(D))は、前記図1に示す装置の場合と同様である。
【0045】
図3は、図2に示す装置の変形例を示しており、押出棒8に代えて、強制冷却鋳型1の下部中央部に注湯口(貫通孔)6から円筒状水冷ジャケット9にかけて突出する所定長さの突出部8aが形成されており、また、該突出部8aの両側には、一対のエジェクタ4が上下動自在に配設されている。このように、図2に示すエジェクタ機能を兼ねる押出棒8を突出部8aと一対のエジェクタ4に分離しても、図2に示す装置と同様の機能を発揮する。すなわち、溶解用容器11と強制冷却鋳型1を連結したときに、突出部8aの下端部が凹状原料収容部14内の合金溶湯A´中に自動的に押し込まれ、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1のキャビティ3内に押し出され、加圧され、急速に凝固される。その後の鋳造品Bの上型2からの分離は、エジェクタ4により行なわれる。
【0046】
図4は、図2に示す装置の他の変形例を示しており、押出棒8の軸部周囲にコイルばね10が配設され、押出棒8に上向きの力が加わったときに常にそれに抗して下方に付勢されるように構成されている。このようにすることにより、溶解用容器11と強制冷却鋳型1を連結したときに、押出棒8の下端部が凹状原料収容部14内の合金溶湯A´中に自動的に押し込まれ、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1のキャビティ3内に押し出されるが、押出棒8に作用するコイルばね10のばね力により、常に加圧された状態にある。
【0047】
前記図1及び図2に示すように、溶解用容器11を強制冷却鋳型1に向かって上昇させるように構成されている場合、その際に凹状原料収容部14が加熱領域を外れるため、合金溶湯A´の温度低下は避けられない。
図5は、合金溶湯A´の温度低下を防止するように構成された装置の他の実施例の概略構成を示しており、強制冷却鋳型1の下型5が予め溶解用容器11の上端部に設置され、強制冷却鋳型1が溶解用容器11の凹状原料収容部14に向かって下降されるように構成されている以外は、図1に示す装置と同様である。このような構成の場合、強制冷却鋳型1が溶解用容器11と連結されたときに誘導コイル15に近接した位置となって加熱されるため、それを防止するためには、下型5の材料として、電磁誘導シールド機能を有する銅、アルミニウム等の金属を用いることが好ましい。なお、下型5は溶解用容器11の上端部に接合されていてもよい。
【0048】
非晶質合金成形品の製造に際しては、まず、図5(A)に示すように強制冷却鋳型1の上型2が溶解用容器11の上方に離間した状態において、凹状原料収容部14内に非晶質合金を生じ得る組成の合金原料Aを装填する。次いで、誘導コイル15を励磁して合金原料Aを急速に加熱する。合金原料Aが溶解したかどうかを溶湯温度を検出して確認した後、図5(B)に示すように、強制冷却鋳型1の上型2を溶解用容器11の上端に設置された下型5に密着するまで下降させる。その後、誘導コイル15を消磁する。
【0049】
次いで、図5(C)に示すように、押出棒8を急速に下降させてその先端部を合金溶湯A´中に押し込むことによって、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1の注湯口6からキャビティ3内に押し出され、加圧され、急速に凝固される。次いで、図5(D)に示すように、強制冷却鋳型1の上型2を下型5から分離し、鋳造品Bを内包している上型2を上昇させる。その後、図5(E)に示すように、上型2の下方に回収トレイ16が前進し、押出棒8がさらに下方に突き出されることにより鋳造品Bが上型2から分離され、回収トレイ16で回収され、1回目の製造工程が終了する。その間、溶解用容器11の凹状原料収容部14内には次の合金原料Aが装填され、次の製造工程の準備を終了している。
【0050】
図6は、本発明の方法により非晶質合金成形品を製造する装置のさらに他の実施例の概略構成を示しており、強制冷却鋳型1が溶解用容器11の凹状原料収容部14に向かって下降されるように構成されている以外は、図2に示す装置と同様である。
【0051】
非晶質合金成形品の製造に際しては、まず、図6(A)に示すように、凹状原料収容部14内に非晶質合金を生じ得る組成の合金原料Aを装填する。次いで、誘導コイル15を励磁して合金原料Aを急速に加熱する。合金原料Aが溶解したかどうかを溶湯温度を検出して確認した後、図6(B)に示すように、強制冷却鋳型1を下降させ、円筒状水冷ジャケット9内に溶解用容器11の凹状原料収容部14が密着するようにする。この時、押出棒8は予め所定長さだけ下方に突出されているため、押出棒8の下端部が凹状原料収容部14内の合金溶湯A´中に自動的に押し込まれ、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1のキャビティ3内に押し出され、加圧され、急速に凝固される。また、強制冷却鋳型1と溶解用容器11の連結部(接触部)近傍の合金溶湯A´は急速に冷却され、その部分の粘度が上昇するので、合金溶湯A´が円筒状水冷ジャケット9と凹状原料収容部14の隙間に差し込むことが効果的に防止される。その後、誘導コイル15を消磁する。
【0052】
次いで、図6(C)に示すように、強制冷却鋳型1を所定位置まで上昇させ、さらにその上型2を下型5から分離し、鋳造品Bを内包している上型2を上昇させる。その後、図6(D)に示すように、上型2の下方に回収トレイ16が前進し、押出棒8がさらに下方に突き出されることにより鋳造品Bが上型2から分離され、回収トレイ16で回収され、1回目の製造工程が終了する。その間、溶解用容器11の凹状原料収容部14内には次の合金原料Aが装填され、次の製造工程の準備を終了している。
【0053】
次に、強制冷却鋳型内への充填開始時の合金溶湯温度を図7を参照して説明する。
前記のように、本発明による成形品の製造方法は、前記したような非晶質合金を生じ得る材料、好ましくは温度幅30K以上のガラス遷移領域を有し、少なくとも体積率50%以上の非晶質相を含む非晶質合金を用いて鋳造する。
例えば、融点が900℃の合金の場合、スーパーヒートして約1200℃の合金溶湯温度で強制冷却鋳型1のキャビティ3内に射出することが望ましい。高周波加熱装置の誘導コイルに電流を流すことにより、合金溶湯温度は約1200℃に達する(図7の(a))。しかしながら、図8に示す従来例や、図1及び図2に示す実施例のように、溶解用容器11を強制冷却鋳型1に向かって移動させる場合には、凹状原料収容部14内の合金溶湯A´が加熱領域を外れ、キャビティ3内への充填開始時には、合金溶湯の温度は約100℃低下する(図7の(b))。そのため、鋳型内での溶湯温度が低くなり(粘性が大きくなり)、充填不良になり易いので、これを防止するための温度コントロールも必要となる。これに対して、図5及び図6に示す実施例のように、強制冷却鋳型1を溶解用容器11に向かって移動させる場合には、凹状原料収容部14内の合金溶湯A´は常に加熱領域内にあるため、充填開始時の溶湯温度は約1200℃(図7の(a))に保持される。なお、キャビティ3内への合金溶湯充填時、誘導コイル15には電流が流れており、その後切れる。その間、強制冷却鋳型1の下部は加熱領域に位置するが、充填時間は約1秒程度の短時間であるため、強制冷却鋳型1の耐久性に影響を及ぼすほど鋳型温度は上昇しない。なお、強制冷却鋳型1の下部の誘導加熱を防止するためには、前記したように下型5を電磁誘導シールド機能を有する材料から構成するなど、強制冷却鋳型1と溶解用容器11との間に電磁誘導シールド機能を有する材料を介在させることが好ましい。
【0054】
前記のような高圧ダイカスト法によれば、鋳造圧力が約100MPaまで、射出速度が数m/s程度まで可能であり、以下のような利点が得られる。
(1)溶湯の強制冷却鋳型への充填が数ms以内で完了し、急冷作用が大きい。
(2)溶湯の強制冷却鋳型との高密着性による冷却速度の増大とともに、精密成形が可能である。
(3)鋳造品の凝固収縮時における引け巣などの欠陥を低減できる。
(4)複雑な又は微細な形状の成形品の作製が可能になる。
(5)高粘度の溶湯の鋳込みが可能になる。
また、前記したような非晶質合金材料を用いることにより、寸法精度L±0.0005〜0.001mm、表面精度0.2〜0.4μmで成形品を製造できる。
【0055】
以上、添付図面に示す実施例を参照しながら本発明について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、種々の設計変更が可能である。例えば、前記した各構成部材は前記各実施例に示した組合せに限定されず、任意に組み合わせることができ、また、図5に示す実施例では下型5の材料として電磁誘導シールド機能を有する銅、アルミニウム等の金属を用いたが、下型5の表面を電磁誘導シールド機能を有する銅、アルミニウム等の金属でコーティングすることもできる。
【0056】
さらに、特開平10−296424号公報に記載の種々の構成手段を採用でき、例えば、下型5の注湯口6にセラミックス、熱伝導率の小さな金属などの断熱材から作製された口金を装着することができる。また、溶湯の酸化皮膜形成を防止するために、強制冷却鋳型及び溶解用容器をチャンバ内に配置し、該チャンバ内に接続された真空ポンプを作動させて装置全体を真空中に置くか、あるいはチャンバ内にArガス等の不活性ガスを導入して不活性ガス雰囲気中に配置するように構成することができる。また、複数個のキャビティを形成した強制冷却鋳型を用い、これらのキャビティが注湯口に連通するように構成することにより、複数個の成形品を単一工程で同時に製造することも勿論可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上のように、本発明の方法及び装置によれば、従来の装置のようにスリーブとピストンからなる溶解用容器を用いた場合の溶湯の差し込みによるスリーブ内でのピストンの移動不可能といった事態や、ピストンとスリーブの摺動面が損傷するといった問題もなく、複雑な又は微細な形状の成形品であっても、所定の形状、寸法精度及び表面品質を満足する非晶質合金成形品を生産性よく低コストで製造することができる。しかも、本発明に利用される非晶質合金は強度、靭性、耐食性等に優れ、各種精密成形品として摩耗、変形、欠け等が発生し難く長期間の使用に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非晶質合金成形品製造装置及びその工程の一実施例を示す概略部分断面図である。
【図2】本発明の非晶質合金成形品製造装置及びその工程の他の実施例を示す概略部分断面図である。
【図3】図2に示す装置の変形例を示す概略部分断面図である。
【図4】図2に示す装置の他の変形例を示す概略部分断面図である。
【図5】本発明の非晶質合金成形品製造装置及びその工程のさらに他の実施例を示す概略部分断面図である。
【図6】本発明の非晶質合金成形品製造装置及びその工程のさらに別の実施例を示す概略部分断面図である。
【図7】鋳型内充填開始時の誘導コイル出力と合金溶湯温度を示すグラフである。
【図8】従来の非晶質合金成形品製造装置及びその工程を示す概略部分断面図である。
【図9】従来の非晶質合金成形品製造装置における問題を示す概略部分断面図である。
【符号の説明】
1 強制冷却鋳型
2 上型
3 製品成形用キャビティ
4 エジェクタ
5 下型
6 注湯口
8 押出棒
8a 突出部
9 円筒状水冷ジャケット
10 コイルばね
11 溶解用容器
12 円筒状スリーブ
13 ピストン
14 凹状原料収容部
15 誘導コイル
16 回収トレイ
A 合金原料
A´ 合金溶湯
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型で加圧鋳造成形することによる非晶質合金成形品の製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
非晶質合金の製造方法としては、一般に104〜106K/s程度の大きな冷却速度が必要となるため片ロール法、双ロール法、ガスアトマイズ法などが採用されているが、このような方法によって得られる製品は箔帯、細線、粉末状のものに限られており、非晶質合金の応用分野を著しく制限する要因となっている。
【0003】
このような粉末成形法とは異なり、単一プロセスにより非晶質合金の成形品を製造する方法として、特開平8−199318号には、上面が開放された溶解用炉床の底部に、製品成形用キャビティに溶湯移動具を装填した強制冷却鋳型を配置し、上記溶解用炉床で非晶質化元素を含むジルコニウム合金を溶解した後、上記溶湯移動具を下方に引き抜いて強制冷却鋳型内にジルコニウム合金溶湯を吸引・移動させ、上記強制冷却鋳型内でジルコニウム合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させる棒状又は筒状Zr系非晶質合金の製造方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記方法によれば、鋳造物の形状が溶湯移動具の形状(すなわち、該溶湯移動具が装填されている孔部の断面形状)及び引き抜き方法により規制されるため、棒状又は筒状に限定されてしまう。また、単に溶湯移動具の引き抜きによって合金溶湯の移動を伴うものであるため、合金溶湯を実質的に加圧することができない。従って、微細な形状あるいは複雑な形状の成形品を製造することが困難であり、また、得られる製品の緻密性や機械的性質の点でも改善すべき余地が残されている。
【0005】
上記のような問題を解決できる方法として、本出願人は既に、従来の金型鋳造法をベースにした技術とガラス遷移領域を示す非晶質合金の組み合わせによって、複雑な又は微細な形状の成形品であっても、所定の形状、寸法精度、表面品質を満足する非晶質合金成形品を単一プロセスで量産性良く製造できる方法及び装置を開発し、既に特許出願している(特開平10−296424号)。ここに開示されている非晶質合金成形品の製造装置の概略を示す図8を参照しながら、そのプロセスについて以下に説明する(なお、装置の詳細については特開平10−296424号公報参照)。
【0006】
強制冷却鋳型1は上型2と下型5とからなり、上型2には鋳造品の外形寸法を規制する製品成形用キャビティ3が形成されている。強制冷却鋳型1は、加熱領域の影響を受けないように溶解用容器11の上方に配置されている。なお、符号4は、上型2内に上下動自在に配設されたエジェクタであり、図示しない油圧シリンダ(又は空圧シリンダ)により作動される。また、下型5の中央部には注湯口(貫通孔)6が形成され、その周縁下部には段差状の凹部7が形成されている。
一方、上記下型5の注湯口6の真下に昇降自在に配設されている溶解用容器11は、円筒状のスリーブ12とその中に摺動自在に配設されたピストン(溶湯移動具)13とから構成され、これらスリーブ12とピストン13の上面で原料収容部14が形成されている。ピストン13は図示しない油圧シリンダ(又は空圧シリンダ)により上下動される。また、溶解用容器11の原料収容部14の周囲には、加熱源として誘導コイル15が配設されている。
【0007】
非晶質合金成形品の製造に際しては、まず、図8(A)に示すように溶解用容器11が強制冷却鋳型1の下方に離間した状態において、原料収容部14内に非晶質合金を生じ得る組成の合金原料Aを装填する。次いで、誘導コイル15を励磁して合金原料Aを急速に加熱する。合金原料Aが溶解したかどうかを溶湯温度を検出して確認した後、誘導コイル15を消磁し、図8(B)に示すように、溶解用容器11をそのスリーブ12上端が下型5の凹部7に密着するまで上昇させる。
次いで、図8(C)に示すように、ピストン13を急速に上昇させ、合金溶湯A´を強制冷却鋳型1の注湯口6から射出する。射出された合金溶湯A´はキャビティ3内に注入、加圧され、急速に凝固される。この際、射出温度、射出速度等を適宜設定することにより、103K/s以上の冷却速度が得られる。次いで、図8(D)に示すように、上型2と下型5を分離し、鋳造品Bを内包している上型2を上昇させると共に、溶解用容器11を元の位置まで復帰させる。
その後、図8(E)に示すように、上型2の下方に回収トレイ16が前進し、エジェクタ4を下方に突き出すことにより鋳造品Bが上型2から分離され、回収トレイ16で回収され、1回目の製造工程が終了する。その間、溶解用容器11内には次の合金原料Aが装填される。その後、上型2が図8(A)に示される元の位置に復帰した後、前記と同様な操作で次の製造工程を行なう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような方法により、非晶質合金からなる成形品を量産性良く製造することが可能となる。
しかしながら、前記の方法は、溶解用容器11の炉底を構成するピストン13を急速に上昇させて合金溶湯A´を強制冷却鋳型1のキャビティ3内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させるものである。そのため、図9(A)に示すように、ピストン13を上昇させて強制冷却鋳型1のキャビティ3内に合金溶湯A´を充填させる際に、スリーブ12とピストン13の隙間に溶湯が差し込んだり、あるいは、図9(B)に示すように、ピストン13によるキャビティ3内の合金溶湯A´の加圧中に、スリーブ12とピストン13の隙間に溶湯が差し込むという問題がある。
【0009】
スリーブ12とピストン13の隙間に合金溶湯A´が差し込まないようにするためには、それらのクリアランスを小さくしなければならないが、そのためにはスリーブ内周面とピストン外周面に極めて高い寸法精度が要求され、製造コストが高くなるという問題が発生する。さらに、寸法精度を高くしても、ピストン13の摺動を可能とする以上、スリーブ12とピストン13の摺動面には必ず隙間があるため、合金溶湯A´の差し込みを回避することは困難であり、溶湯温度が高くて粘性が小さい程差し込み易くなる。一旦スリーブ12とピストン13の間に溶湯の差し込みが生じると、スリーブ12内でのピストン13の移動が不可能になることがあり、また、ピストンとスリーブの摺動面が損傷してしまう。
【0010】
従って、本発明の目的は、前記したような問題がなく、複雑な又は微細な形状の成形品であっても、所定の形状、寸法精度、表面品質を満足する非晶質合金成形品を単一プロセスで量産性良く製造でき、従って精密加工品であっても研磨等の機械加工工程を省略又は大幅に削減できる方法を提供し、もって耐久性、強度、耐衝撃性等に優れた安価な非晶質合金成形品を提供しようとするものである。
さらに本発明の目的は、上記のような非晶質合金成形品の製造に適した比較的簡単な構成の装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の第1の側面によれば、非晶質合金成形品の製造方法が提供され、その基本的な態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に溶湯強制移動手段を備えた強制冷却鋳型とを用い、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結し、上記溶湯強制移動手段により合金溶湯を押圧して製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴としている。
【0012】
上記溶湯強制移動手段としては、強制冷却鋳型内に上下方向に移動自在に配設された押出棒や、溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるように強制冷却鋳型下部に形成した突出部を有利に用いることができ、このような押出棒又は突出部を凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込むことにより、合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧する。
【0013】
本発明による非晶質合金成形品の製造方法のより具体的な第二の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上下方向に移動自在に配設された押出棒を備えた強制冷却鋳型とを用い、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結し、上記押出棒を溶解用容器の凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込むことにより合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴としている。
【0014】
本発明による非晶質合金成形品の製造方法のより具体的な第三の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上下方向に移動自在に配設された押出棒を備えた強制冷却鋳型とを用い、上記押出棒を溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような位置に予め設定しておき、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結することにより、上記押出棒が溶解用容器の凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込まれて合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴としている。
この方法の一つの態様においては、上記押出棒は、上向きの力が加わったときにそれに抗して下方に付勢されるようにすることができる。
【0015】
さらに本発明による非晶質合金成形品の製造方法のより具体的な第三の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上記溶解用容器と連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような形状寸法の突出部が下方に突設された強制冷却鋳型とを用い、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結することにより、上記突出部が溶解用容器の凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込まれて合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴としている。
【0016】
前記いずれの態様においても、前記強制冷却鋳型を溶解用容器に向かって移動させて溶解用容器と強制冷却鋳型の連結を行なうか、あるいは、前記溶解用容器を強制冷却鋳型に向かって移動させて溶解用容器と強制冷却鋳型の連結を行なう。
好適な態様においては、真空中又は不活性ガス雰囲気下において、溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解し、合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させることが行なわれる。また、前記溶解用容器と強制冷却鋳型は電磁誘導シールド機能を有する材料を介して連結したり、前記溶解用容器と強制冷却鋳型の連結の際にこれらの連結部を冷却することも好ましい。
【0017】
さらに本発明の第2の側面によれば、前記したような非晶質合金成形品の製造に好適に用いることができる装置も提供される。
本発明に係る非晶質合金成形品の製造装置の第1の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上下方向に移動自在に配設された押出棒を備えた強制冷却鋳型とを備えていることを特徴としている。
上記押出棒は、当初は後退した位置にあってもよく、あるいは、溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような位置に予め設定しておいてもよい。また、上記押出棒は、上向きの力が加わったときにそれに抗して下方に付勢されるようにばね手段を備えていてもよい。
【0018】
また、本発明の装置の第2の態様は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上記溶解用容器と連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような形状寸法の突出部が下方に突設された強制冷却鋳型とを備えていることを特徴としている。
【0019】
前記いずれの態様においても、前記強制冷却鋳型を溶解用容器に向かって移動自在に配置することもできるし、前記溶解用容器を強制冷却鋳型に向かって移動自在に配置することもできる。
好適には、上記強制冷却鋳型及び溶解用容器は真空中又は不活性ガス雰囲気中に配置される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明による非晶質合金成形品の製造は、非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に溶湯強制移動手段、例えば強制冷却鋳型内に上下方向に移動自在に配設された押出棒や、あるいは溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるように強制冷却鋳型下部に形成した突出部、を備えた強制冷却鋳型とを用い、強制冷却鋳型側から上記押出棒又は突出部により溶解用容器内の合金溶湯を押圧して製品成形用キャビティ内に強制移動させるものである。
【0021】
すなわち、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型をそれらの凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結し、上記押出棒を急速に下降させて凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込むか、あるいは、溶解用容器と強制冷却鋳型の連結の際に押出棒又は強制冷却鋳型下部に形成した突出部を合金溶湯中に押し込むことにより、合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させるものである。このように、凹状原料収容部が一体的に形成された溶解用容器を用いており、従来の装置のように溶解用容器内のピストンによって合金溶湯を押し出すものではないため、ピストンとスリーブの摺動面に溶湯が差し込み、ピストンの強制移動が不可能になったり、ピストンとスリーブの摺動面が損傷するといった問題を生じることはない。
【0022】
前記のような方法により、強制冷却鋳型の製品成形用キャビティ内に充填された合金溶湯は上記押出棒又は突出部により加圧されるため、複雑な形状あるいは微細な形状の成形品であっても、高い寸法精度でキャビティ形状を忠実に再現した緻密で表面平滑な成形品を単一のプロセスで量産性良く、従って低コストで製造することができる。
なお、溶解用容器を強制冷却鋳型に向かって移動させる場合には、移動の際に合金溶湯の温度低下を生じ、温度コントロールが難しくなる。このような合金溶湯の温度低下を抑制するためには、強制冷却鋳型を溶解用容器に向かって移動させるように構成することが好ましい。
また、前記各工程を真空中又は不活性ガス雰囲気下において行うことにより、合金溶湯の酸化皮膜の形成を防止し、良好な品質の非晶質合金成形品を製造することができる。なお、溶湯の酸化皮膜形成を防止するためには、装置全体を真空中又はArガス等の不活性ガス雰囲気中に配置するか、あるいは少なくとも合金溶湯が露出している溶解用容器の上部に不活性ガスを流すことが好ましい。
【0023】
本発明の方法で用いる材料としては、実質的に非晶質の合金からなる製品を得ることができる材料であれば全て使用可能であり、特定の材料に限定されるものではないが、下記一般式(1)〜(6)のいずれか1つで示される組成を有する非晶質合金を好適に使用できる。
一般式(1):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
但し、M1はZr及びHfから選ばれる1種又は2種の元素、M2はNi、Cu、Fe、Co、Mn、Nb、Ti、V、Cr、Zn、Al及びGaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMm(希土類元素の集合体であるミッシュメタル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M4はTa、W及びMoよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M5はAu、Pt、Pd及びAgよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ原子%で、25≦a≦85、15≦b≦75、0≦c≦30、0≦d≦30、0≦e≦15、0≦f≦15である。
【0024】
上記非晶質合金は、下記一般式(1−a)〜(1−p)の非晶質合金を含む。
一般式(1−a):M1 aM2 b
この非晶質合金は、M2元素がZr又はHfと共存するために、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
一般式(1−b):M1 aM2 bLnc
この非晶質合金のように、上記一般式(1−a)の合金に希土類元素を添加することによりアモルファスの熱的安定性が向上する。
【0025】
一般式(1−c):M1 aM2 bM3 d
一般式(1−d):M1 aM2 bLncM3 d
これらの非晶質合金のように、原子半径の小さな元素(Be,B,C,N,O)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
【0026】
一般式(1−e):M1 aM2 bM4 e
一般式(1−f):M1 aM2 bLncM4 e
一般式(1−g):M1 aM2 bM3 dM4 e
一般式(1−h):M1 aM2 bLncM3 dM4 e
これらの非晶質合金のように、高融点金属(Ta,W,Mo)を添加した場合、アモルファス形成能に影響を与えずに耐熱性、耐食性が向上する。
【0027】
一般式(1−i):M1 aM2 bM5 f
一般式(1−j):M1 aM2 bLncM5 f
一般式(1−k):M1 aM2 bM3 dM5 f
一般式(1−l):M1 aM2 bLncM3 dM5 f
一般式(1−m):M1 aM2 bM4 eM5 f
一般式(1−n):M1 aM2 bLncM4 eM5 f
一般式(1−o):M1 aM2 bM3 dM4 eM5 f
一般式(1−p):M1 aM2 bLncM3 dM4 eM5 f
これらの貴金属M5(Au,Pt,Pd,Ag)を含んだ非晶質合金の場合、結晶化が起きても脆くならない。
【0028】
一般式(2):Al100-g-h-iLngM6 hM3 i
但し、LnはY、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Yb及びMmよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M6はTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M3はBe、B、C、N及びOよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、g、h及びiはそれぞれ原子%で、30≦g≦90、0<h≦55、0≦i≦10である。
【0029】
上記非晶質合金は、下記一般式(2−a)及び(2−b)の非晶質合金を含む。
一般式(2−a):Al100-g-hLngM6 h
この非晶質合金は、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
一般式(2−b):Al100-g-h-iLngM6 hM3 i
この非晶質合金においては、原子半径の小さな元素(Be,B,C,N,O)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
【0030】
一般式(3):Mg100-pM7 p
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、pは原子%で5≦p≦60である。
この非晶質合金は、混合エンタルピーが負で大きく、アモルファス形成能が良い。
【0031】
一般式(4):Mg100-q-rM7 qM8 r
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M8はAl、Si及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、q及びrはそれぞれ原子%で、1≦q≦35、1≦r≦25である。
この非晶質合金のように、前記一般式(3)の合金において原子半径の小さな元素(Al,Si,Ca)でアモルファス構造中の隙間を埋めることによって、その構造が安定化し、アモルファス形成能が向上する。
【0032】
一般式(5):Mg100-q-sM7 qM9 s
一般式(6):Mg100-q-r-sM7 qM8 rM9 s
但し、M7はCu、Ni、Sn及びZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M8はAl、Si及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、M9はY、La、Ce、Nd、Sm及びMmよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、q、r及びsはそれぞれ原子%で、1≦q≦35、1≦r≦25、3≦s≦25である。
これらの非晶質合金のように、前記一般式(3)及び(4)の合金に希土類元素を添加することによりアモルファスの熱的安定性が向上する。
【0033】
前記した非晶質合金の中でも、ガラス遷移温度(Tg)と結晶化温度(Tx)の温度差が極めて広いZr−TM−Al系及びHf−TM−Al系(TM:遷移金属)非晶質合金は、高強度、高耐食性であると共に、過冷却液体領域(ガラス遷移領域)ΔTx=Tx−Tgが30K以上、特にZr−TM−Al系非晶質合金は60K以上と極めて広く、この温度領域では粘性流動により数10MPa以下の低応力でも非常に良好な加工性を示す。また、冷却速度が数10K/s程度の鋳造法によっても非晶質バルク材が得られるなど、非常に安定で製造し易い特徴を持っている。これらの合金は、溶湯からの金型鋳造によっても、またガラス遷移領域を利用した粘性流動による成形加工によっても、非晶質材料ができると同時に、金型形状及び寸法を極めて忠実に再現する。
【0034】
本発明に利用されるこれらのZr−TM−Al系及びHf−TM−Al系非晶質合金は、合金組成、測定法によっても異なるが、非常に大きなΔTxの範囲を持っている。例えばZr60Al15Co2.5Ni7.5Cu15合金(Tg:652K、Tx:768K)のΔTxは116Kと極めて広い。耐酸化性も極めて良く、空気中でTgまでの高温に熱してもほとんど酸化されない。硬度は室温からTg付近までビッカース硬度(Hv)で460(DPN)、引張強度は1,600MPa、曲げ強度は3,000MPaに達する。熱膨張率αは室温からTg付近まで1×10-5/Kと小さく、ヤング率は91GPa、圧縮時の弾性限界は4〜5%を超える。さらに靭性も高く、シャルピー衝撃値で6〜7J/cm2を示す。このように非常に高強度の特性を示しながら、ガラス遷移領域まで加熱されると、流動応力は10MPa程度まで低下する。このため極めて加工が容易で、低応力で複雑な形状の微小部品や高精度部品に成形できるのが本合金の特徴である。しかも、いわゆるガラス(非晶質)としての特性から加工(変形)表面は極めて平滑性が高く、結晶合金を変形させたときのように滑り帯が表面に現われるステップなどは実質的に発生しない特徴を持っている。
【0035】
一般に、非晶質合金はガラス遷移領域まで加熱すると長時間の保持によって結晶化が始まるが、本合金のようにΔTxが広い合金は非晶質相が安定であり、ΔTx内の温度を適当に選べば2時間程度までは結晶が発生せず、通常の成形加工においては結晶化を懸念する必要はない。
また、本合金は溶湯からの凝固においてもこの特性を如何なく発揮する。一般に非晶質合金の製造には急速な冷却が必要とされるが、本合金は冷却速度10K/s程度の冷却で溶湯から容易に非晶質単相からなるバルク材を得ることができる。その凝固表面はやはり極めて平滑であり、金型表面のミクロンオーダーの研磨傷でさえも忠実に再現する転写性を持っている。
従って、合金材料として本合金を適用すれば、金型表面が成形品の要求特性を満たす表面品質を持っておれば、鋳造材においても金型の表面特性をそのまま再現し、従来の金型鋳造法、金型成形法においても寸法調整、表面粗さ調整の工程を省略又は短縮することができる。
【0036】
以上のように、比較的低い硬度、高い引張強度及び高い曲げ強度、比較的低いヤング率、高弾性限界、高耐衝撃性、高耐磨耗性、表面の平滑性、高精度の鋳造又は加工性を併せ持った特徴は、光ファイバコネクタのフェルールやスリーブ、歯車、マイクロマシン等の精密部品など、種々の分野の成形品の材料として適しているばかりでなく、従来の成形加工方法を適用できる。また、非晶質合金は、高精度の鋳造性及び加工性を有し、かつ金型のキャビティ形状を忠実に再現できる優れた転写性を有するため、金型を適切に作製することにより、金型鋳造法や金型成形法によって所定の形状、寸法精度、及び表面品質を満足する成形品を単一のプロセスで量産性良く製造できる。
【0037】
【実施例】
以下、添付図面に示す実施例を説明しながら本発明についてさらに具体的に説明する。
図1は、本発明の方法により非晶質合金製円筒体を製造する装置の一実施例の概略構成を示している。
強制冷却鋳型1は、昇降自在に配設された上型2と、下型5とからなり、上型2には鋳造品の外形寸法を規制する製品成形用キャビティ3が形成されている点は図8に示す従来の装置と同様であるが、上型2内には、下型5の中央部に形成された注湯口(貫通孔)6から下方に突出できるように押出棒8が上下動自在に配設されており、この押出棒8はエジェクタとしても機能する。押出棒8は図示しない油圧シリンダ(又は空圧シリンダ)により作動される。強制冷却鋳型1は、加熱領域の影響を受けないように溶解用容器11の上方に配置されている。
【0038】
なお、強制冷却鋳型1は、銅、銅合金、又は超硬合金その他の金属材料から作製することができるが、キャビティ3内に注入された溶湯の冷却速度を速くするために、熱容量が大きくかつ熱伝導率の高い材料、例えば銅製、銅合金製等とすることが好ましい。また上型2には冷却水、冷媒ガス等の冷却媒体を流通させる流路が配設されているが、図示の都合上省略されている。
【0039】
一方、上記下型5の注湯口6の真下に昇降自在に配設されている溶解用容器11の上部には、図8に示す従来の装置とは異なり、凹状の原料収容部14が一体的に形成されている。溶解用容器11の材質、特に凹状原料収容部の材質としてはセラミックスが好ましい。凹状原料収容部14の周囲に加熱源としての誘導コイル15が配設されていることは、図8に示す従来の装置と同様である。加熱源としては、高周波誘導加熱の他、抵抗加熱等の任意の手段を採用できる。
【0040】
非晶質合金成形品の製造に際しては、まず、図1(A)に示すように溶解用容器11が強制冷却鋳型1の下方に離間した状態において、凹状原料収容部14内に非晶質合金を生じ得る組成の合金原料Aを装填する。合金原料Aとしては棒状、ペレット状、粉末状等の任意の形態のものを使用できる。次いで、誘導コイル15を励磁して合金原料Aを急速に加熱する。合金原料Aが溶解したかどうかを溶湯温度を検出して確認した後、図1(B)に示すように、溶解用容器11をその上端が下型5の凹部7に密着するまで上昇させる。その後、誘導コイル15を消磁する。
【0041】
次いで、図1(C)に示すように、押出棒8を急速に、好ましくは約0.1秒程度で下降させてその先端部を合金溶湯A´中に押し込むことによって、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1の注湯口6からキャビティ3内に押し出され、加圧され、急速に凝固される。この際、射出温度、射出速度等を適宜設定することにより、103K/s以上の冷却速度が得られる。次いで、図1(D)に示すように、上型2を下型5から分離し、鋳造品Bを内包している上型2を上昇させると共に、溶解用容器11を元の位置まで復帰させる。その後、図1(E)に示すように、上型2の下方に回収トレイ16が前進し、押出棒8がさらに下方に突き出されることにより鋳造品Bが上型2から分離され、回収トレイ16で回収され、1回目の製造工程が終了する。その間、溶解用容器11の凹状原料収容部14内には次の合金原料Aが装填される。その後、上型2が図1(A)に示される元の位置に復帰した後、前記と同様な操作で次の製造工程を行なう。
【0042】
図2は、本発明の方法により非晶質合金成形品を製造する装置の他の実施例の概略構成を示しており、強制冷却鋳型1の下型5に、その中央部に形成された注湯口(貫通孔)6の周縁部から下方に垂下するように円筒状の水冷ジャケット(もしくは円筒状水冷ガイド壁)9が固定されており、また、押出棒8が予め所定長さだけ下方に突出され、すなわち溶解用容器11と強制冷却鋳型1を連結したとき押出棒8の下端部が凹状原料収容部14内に挿入されるような位置に予め設定されている以外は、図1に示す装置と同様である。
【0043】
このような円筒状水冷ジャケット9を設けることにより、図2(A)に示すように溶解用容器11の凹状原料収容部14内に装填された合金原料Aを急速に加熱し、図2(B)に示すように、溶解用容器11を上昇させてその上端が下型5に当接したときに、凹状原料収容部14の外周面は円筒状水冷ジャケット9と接触しているため、強制冷却鋳型1と溶解用容器11の連結部(接触部)近傍の合金溶湯A´は急速に冷却され、その部分の粘度が上昇するので、図2(B)に示すように強制冷却鋳型1の円筒状水冷ジャケット9内に溶解用容器11の凹状原料収容部14を挿入する構造のものであっても、合金溶湯A´がこれらの隙間に差し込むことが効果的に防止される。
【0044】
また、押出棒8が予め所定長さだけ下方に突出されているため、図2(B)に示すように溶解用容器11と強制冷却鋳型1を連結したときに、押出棒8の下端部が凹状原料収容部14内の合金溶湯A´中に自動的に押し込まれ、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1のキャビティ3内に押し出され、加圧され、急速に凝固される。その後、誘導コイル15を消磁する。その後の上型2と下型5の分離、鋳造品Bを内包している上型2の上昇、及び溶解用容器11の元の位置への復帰(図1(C))、並びに鋳造品Bの上型2からの分離と回収トレイ16による回収、及び凹状原料収容部14内への次の合金原料Aの装填(図2(D))は、前記図1に示す装置の場合と同様である。
【0045】
図3は、図2に示す装置の変形例を示しており、押出棒8に代えて、強制冷却鋳型1の下部中央部に注湯口(貫通孔)6から円筒状水冷ジャケット9にかけて突出する所定長さの突出部8aが形成されており、また、該突出部8aの両側には、一対のエジェクタ4が上下動自在に配設されている。このように、図2に示すエジェクタ機能を兼ねる押出棒8を突出部8aと一対のエジェクタ4に分離しても、図2に示す装置と同様の機能を発揮する。すなわち、溶解用容器11と強制冷却鋳型1を連結したときに、突出部8aの下端部が凹状原料収容部14内の合金溶湯A´中に自動的に押し込まれ、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1のキャビティ3内に押し出され、加圧され、急速に凝固される。その後の鋳造品Bの上型2からの分離は、エジェクタ4により行なわれる。
【0046】
図4は、図2に示す装置の他の変形例を示しており、押出棒8の軸部周囲にコイルばね10が配設され、押出棒8に上向きの力が加わったときに常にそれに抗して下方に付勢されるように構成されている。このようにすることにより、溶解用容器11と強制冷却鋳型1を連結したときに、押出棒8の下端部が凹状原料収容部14内の合金溶湯A´中に自動的に押し込まれ、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1のキャビティ3内に押し出されるが、押出棒8に作用するコイルばね10のばね力により、常に加圧された状態にある。
【0047】
前記図1及び図2に示すように、溶解用容器11を強制冷却鋳型1に向かって上昇させるように構成されている場合、その際に凹状原料収容部14が加熱領域を外れるため、合金溶湯A´の温度低下は避けられない。
図5は、合金溶湯A´の温度低下を防止するように構成された装置の他の実施例の概略構成を示しており、強制冷却鋳型1の下型5が予め溶解用容器11の上端部に設置され、強制冷却鋳型1が溶解用容器11の凹状原料収容部14に向かって下降されるように構成されている以外は、図1に示す装置と同様である。このような構成の場合、強制冷却鋳型1が溶解用容器11と連結されたときに誘導コイル15に近接した位置となって加熱されるため、それを防止するためには、下型5の材料として、電磁誘導シールド機能を有する銅、アルミニウム等の金属を用いることが好ましい。なお、下型5は溶解用容器11の上端部に接合されていてもよい。
【0048】
非晶質合金成形品の製造に際しては、まず、図5(A)に示すように強制冷却鋳型1の上型2が溶解用容器11の上方に離間した状態において、凹状原料収容部14内に非晶質合金を生じ得る組成の合金原料Aを装填する。次いで、誘導コイル15を励磁して合金原料Aを急速に加熱する。合金原料Aが溶解したかどうかを溶湯温度を検出して確認した後、図5(B)に示すように、強制冷却鋳型1の上型2を溶解用容器11の上端に設置された下型5に密着するまで下降させる。その後、誘導コイル15を消磁する。
【0049】
次いで、図5(C)に示すように、押出棒8を急速に下降させてその先端部を合金溶湯A´中に押し込むことによって、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1の注湯口6からキャビティ3内に押し出され、加圧され、急速に凝固される。次いで、図5(D)に示すように、強制冷却鋳型1の上型2を下型5から分離し、鋳造品Bを内包している上型2を上昇させる。その後、図5(E)に示すように、上型2の下方に回収トレイ16が前進し、押出棒8がさらに下方に突き出されることにより鋳造品Bが上型2から分離され、回収トレイ16で回収され、1回目の製造工程が終了する。その間、溶解用容器11の凹状原料収容部14内には次の合金原料Aが装填され、次の製造工程の準備を終了している。
【0050】
図6は、本発明の方法により非晶質合金成形品を製造する装置のさらに他の実施例の概略構成を示しており、強制冷却鋳型1が溶解用容器11の凹状原料収容部14に向かって下降されるように構成されている以外は、図2に示す装置と同様である。
【0051】
非晶質合金成形品の製造に際しては、まず、図6(A)に示すように、凹状原料収容部14内に非晶質合金を生じ得る組成の合金原料Aを装填する。次いで、誘導コイル15を励磁して合金原料Aを急速に加熱する。合金原料Aが溶解したかどうかを溶湯温度を検出して確認した後、図6(B)に示すように、強制冷却鋳型1を下降させ、円筒状水冷ジャケット9内に溶解用容器11の凹状原料収容部14が密着するようにする。この時、押出棒8は予め所定長さだけ下方に突出されているため、押出棒8の下端部が凹状原料収容部14内の合金溶湯A´中に自動的に押し込まれ、合金溶湯A´は強制冷却鋳型1のキャビティ3内に押し出され、加圧され、急速に凝固される。また、強制冷却鋳型1と溶解用容器11の連結部(接触部)近傍の合金溶湯A´は急速に冷却され、その部分の粘度が上昇するので、合金溶湯A´が円筒状水冷ジャケット9と凹状原料収容部14の隙間に差し込むことが効果的に防止される。その後、誘導コイル15を消磁する。
【0052】
次いで、図6(C)に示すように、強制冷却鋳型1を所定位置まで上昇させ、さらにその上型2を下型5から分離し、鋳造品Bを内包している上型2を上昇させる。その後、図6(D)に示すように、上型2の下方に回収トレイ16が前進し、押出棒8がさらに下方に突き出されることにより鋳造品Bが上型2から分離され、回収トレイ16で回収され、1回目の製造工程が終了する。その間、溶解用容器11の凹状原料収容部14内には次の合金原料Aが装填され、次の製造工程の準備を終了している。
【0053】
次に、強制冷却鋳型内への充填開始時の合金溶湯温度を図7を参照して説明する。
前記のように、本発明による成形品の製造方法は、前記したような非晶質合金を生じ得る材料、好ましくは温度幅30K以上のガラス遷移領域を有し、少なくとも体積率50%以上の非晶質相を含む非晶質合金を用いて鋳造する。
例えば、融点が900℃の合金の場合、スーパーヒートして約1200℃の合金溶湯温度で強制冷却鋳型1のキャビティ3内に射出することが望ましい。高周波加熱装置の誘導コイルに電流を流すことにより、合金溶湯温度は約1200℃に達する(図7の(a))。しかしながら、図8に示す従来例や、図1及び図2に示す実施例のように、溶解用容器11を強制冷却鋳型1に向かって移動させる場合には、凹状原料収容部14内の合金溶湯A´が加熱領域を外れ、キャビティ3内への充填開始時には、合金溶湯の温度は約100℃低下する(図7の(b))。そのため、鋳型内での溶湯温度が低くなり(粘性が大きくなり)、充填不良になり易いので、これを防止するための温度コントロールも必要となる。これに対して、図5及び図6に示す実施例のように、強制冷却鋳型1を溶解用容器11に向かって移動させる場合には、凹状原料収容部14内の合金溶湯A´は常に加熱領域内にあるため、充填開始時の溶湯温度は約1200℃(図7の(a))に保持される。なお、キャビティ3内への合金溶湯充填時、誘導コイル15には電流が流れており、その後切れる。その間、強制冷却鋳型1の下部は加熱領域に位置するが、充填時間は約1秒程度の短時間であるため、強制冷却鋳型1の耐久性に影響を及ぼすほど鋳型温度は上昇しない。なお、強制冷却鋳型1の下部の誘導加熱を防止するためには、前記したように下型5を電磁誘導シールド機能を有する材料から構成するなど、強制冷却鋳型1と溶解用容器11との間に電磁誘導シールド機能を有する材料を介在させることが好ましい。
【0054】
前記のような高圧ダイカスト法によれば、鋳造圧力が約100MPaまで、射出速度が数m/s程度まで可能であり、以下のような利点が得られる。
(1)溶湯の強制冷却鋳型への充填が数ms以内で完了し、急冷作用が大きい。
(2)溶湯の強制冷却鋳型との高密着性による冷却速度の増大とともに、精密成形が可能である。
(3)鋳造品の凝固収縮時における引け巣などの欠陥を低減できる。
(4)複雑な又は微細な形状の成形品の作製が可能になる。
(5)高粘度の溶湯の鋳込みが可能になる。
また、前記したような非晶質合金材料を用いることにより、寸法精度L±0.0005〜0.001mm、表面精度0.2〜0.4μmで成形品を製造できる。
【0055】
以上、添付図面に示す実施例を参照しながら本発明について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、種々の設計変更が可能である。例えば、前記した各構成部材は前記各実施例に示した組合せに限定されず、任意に組み合わせることができ、また、図5に示す実施例では下型5の材料として電磁誘導シールド機能を有する銅、アルミニウム等の金属を用いたが、下型5の表面を電磁誘導シールド機能を有する銅、アルミニウム等の金属でコーティングすることもできる。
【0056】
さらに、特開平10−296424号公報に記載の種々の構成手段を採用でき、例えば、下型5の注湯口6にセラミックス、熱伝導率の小さな金属などの断熱材から作製された口金を装着することができる。また、溶湯の酸化皮膜形成を防止するために、強制冷却鋳型及び溶解用容器をチャンバ内に配置し、該チャンバ内に接続された真空ポンプを作動させて装置全体を真空中に置くか、あるいはチャンバ内にArガス等の不活性ガスを導入して不活性ガス雰囲気中に配置するように構成することができる。また、複数個のキャビティを形成した強制冷却鋳型を用い、これらのキャビティが注湯口に連通するように構成することにより、複数個の成形品を単一工程で同時に製造することも勿論可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上のように、本発明の方法及び装置によれば、従来の装置のようにスリーブとピストンからなる溶解用容器を用いた場合の溶湯の差し込みによるスリーブ内でのピストンの移動不可能といった事態や、ピストンとスリーブの摺動面が損傷するといった問題もなく、複雑な又は微細な形状の成形品であっても、所定の形状、寸法精度及び表面品質を満足する非晶質合金成形品を生産性よく低コストで製造することができる。しかも、本発明に利用される非晶質合金は強度、靭性、耐食性等に優れ、各種精密成形品として摩耗、変形、欠け等が発生し難く長期間の使用に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非晶質合金成形品製造装置及びその工程の一実施例を示す概略部分断面図である。
【図2】本発明の非晶質合金成形品製造装置及びその工程の他の実施例を示す概略部分断面図である。
【図3】図2に示す装置の変形例を示す概略部分断面図である。
【図4】図2に示す装置の他の変形例を示す概略部分断面図である。
【図5】本発明の非晶質合金成形品製造装置及びその工程のさらに他の実施例を示す概略部分断面図である。
【図6】本発明の非晶質合金成形品製造装置及びその工程のさらに別の実施例を示す概略部分断面図である。
【図7】鋳型内充填開始時の誘導コイル出力と合金溶湯温度を示すグラフである。
【図8】従来の非晶質合金成形品製造装置及びその工程を示す概略部分断面図である。
【図9】従来の非晶質合金成形品製造装置における問題を示す概略部分断面図である。
【符号の説明】
1 強制冷却鋳型
2 上型
3 製品成形用キャビティ
4 エジェクタ
5 下型
6 注湯口
8 押出棒
8a 突出部
9 円筒状水冷ジャケット
10 コイルばね
11 溶解用容器
12 円筒状スリーブ
13 ピストン
14 凹状原料収容部
15 誘導コイル
16 回収トレイ
A 合金原料
A´ 合金溶湯
Claims (15)
- 非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に溶湯強制移動手段を備えた強制冷却鋳型とを用い、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結し、上記溶湯強制移動手段により合金溶湯を押圧して製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴とする非晶質合金成形品の製造方法。
- 前記溶湯強制移動手段が、強制冷却鋳型内に上下方向に移動自在に配設された押出棒、又は、溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるように強制冷却鋳型下部に形成した突出部からなり、該押出棒又は突出部を凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込むことにより、合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上下方向に移動自在に配設された押出棒を備えた強制冷却鋳型とを用い、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結し、上記押出棒を溶解用容器の凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込むことにより合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴とする非晶質合金成形品の製造方法。
- 非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上下方向に移動自在に配設された押出棒を備えた強制冷却鋳型とを用い、上記押出棒を溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような位置に予め設定しておき、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結することにより、上記押出棒が溶解用容器の凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込まれて合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴とする非晶質合金成形品の製造方法。
- 前記押出棒が、上向きの力が加わったときにそれに抗して下方に付勢されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上記溶解用容器と連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような形状寸法の突出部が下方に突設された強制冷却鋳型とを用い、上記溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解した後、溶解用容器と強制冷却鋳型を上記凹状原料収容部と製品成形用キャビティが連通するように連結することにより、上記突出部が溶解用容器の凹状原料収容部内の合金溶湯中に押し込まれて合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させると共に加圧し、上記強制冷却鋳型内で合金溶湯を急冷凝固して非晶質化させ、非晶質相を含む合金からなる成形品を得ることを特徴とする非晶質合金成形品の製造方法。
- 前記強制冷却鋳型を溶解用容器に向かって移動させて溶解用容器と強制冷却鋳型の連結を行なうことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに一項に記載の方法。
- 前記溶解用容器を強制冷却鋳型に向かって移動させて溶解用容器と強制冷却鋳型の連結を行なうことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに一項に記載の方法。
- 真空中又は不活性ガス雰囲気下において、溶解用容器で非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解し、合金溶湯を製品成形用キャビティ内に強制移動させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記溶解用容器と強制冷却鋳型の連結の際にこれらの連結部を冷却することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに一項に記載の方法。
- 前記溶解用容器と強制冷却鋳型を電磁誘導シールド機能を有する材料を介して連結することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに一項に記載の方法。
- 非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上下方向に移動自在に配設された押出棒を備えた強制冷却鋳型とを備えていることを特徴とする非晶質合金成形品の製造装置。
- 前記押出棒が、溶解用容器と強制冷却鋳型を連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような位置に予め設定されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
- 前記押出棒が、上向きの力が加わったときにそれに抗して下方に付勢されるようにばね手段を備えていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
- 非晶質合金を生じ得る合金材料を溶解するための上面が開放された凹状の原料収容部が一体的に形成された溶解用容器と、該溶解用容器の上方に配置され、製品成形用キャビティを持つと共に、上記溶解用容器と連結したときに溶解用容器の凹状原料収容部内に挿入されるような形状寸法の突出部が下方に突設された強制冷却鋳型とを備えていることを特徴とする非晶質合金成形品の製造装置。
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