JP3784497B2 - 熱可塑性樹脂製グレージング材およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂製グレージング材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、透明な窓ガラスまたはこれに機能性や意匠性を施したガラス構造体に代わる、透明な高剛性樹脂板状体およびその製造方法に関するものである。詳しくは本発明は、特に高剛性で、透明性、軽量性、安全性、耐久性、経済性、に優れており、自動車部品、医療、保安、建材、家庭用品など多くの用途に好適な、グレージング材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品や建材などにおける窓ガラスなどのグレージング材は、従来、透明なガラス部分と、通常はこれをはめ込む金属、樹脂、木材などの枠とによって構成されている。これらのものは、重量が重い、割れる、部品点数や組立工程が多い、生産性が低い、意匠性付与が別工程となりかつその耐久性も劣るなどの問題点があった。
【0003】
そこで、軽量化を図るべく、合成樹脂製の押出板またはキャスティング板の熱曲げや射出成形などにより成形されたプラスチック成形品が、ガラスの代わりに、本体部分に適用され、高剛性を必要とする用途においては、ガラスフィラーなどの適当なフィラーを添加することによって、その改善が図られてきた。ガラスフィラーなどを添加した場合には、ガラスフィラーの屈折率(慣用のガラスフィラーでは通常1.555)とポリカーボネートの屈折率(慣用のポリカーボネート樹脂では通常1.585)との差が大きく、透明性が損なわれるという欠点がある。このために、両者の屈折率を合わせ、さらにハードコートなどの機能性膜や模様などの印刷を施したポリカーボネート樹脂製のシートを積層成形する方法が取られてきた。(特開平08−229980号公報)また、グレージング材の設置や、機能性を確保するためにさらに高剛性を必要とする部分は、板金などの補強部材により剛性を補う方法、外周部にリブを設置し、形状剛性を向上させる方法が取られてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、外周部分に板金などの補強部材を適用した場合、部品点数や組立工程削減にはならず、また、重量が重いという欠点がある。また、外周部にリブを設置した場合、剛性をより高くするためにリブの肉厚を厚くすると、重量が重くなる上、外周部分表面にひけによる外観不良が生ずるという欠点がある。
【0005】
すなわち、従来の技術においては、プラスチック成形品において高剛性を必要とした場合、外周部は、従来と同様の部品点数、組立工数を要する、またはヒケによる外観不良が発生するという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる問題を解決し、熱可塑性樹脂製グレージング材を、工業的に有利に製造する方法を得るべく、鋭意検討した結果、透明な熱可塑性樹脂に配合するガラスフィラーとして、該樹脂成分との屈折率の差が0.015以下のものを選択し、外周部に加圧ガス体を注入し中空構造を形成し、射出成形による積層一体化技術を応用することにより、著しく透明性が優れ、高剛性で、外観にも優れ、しかも所望の機能性、意匠性、を付与したグレージング材を、比較的少ない工程で経済的に製造することができることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、透明性本体部分、高剛性外周部分および該本体部分の表面に積層一体化された表面材を有する熱可塑性樹脂製グレージング材において、該表面材が透明な熱可塑性樹脂フィルムまたはシートよりなり、芳香族ポリカーボネート樹脂成分に、これとの屈折率の差が0.015以下であり、かつ、成形品の全重量の1〜60重量%となるような量のガラスフィラー成分、および、成形品の全重量の1〜60重量%となるような量のポリカプロラクトン成分を配合した強化樹脂組成物で、該本体部分と該外周部分とを一体に成形してなり、該外周部分は中空構造およびリブを有し、かつ該中空構造は、一体成形時、溶融樹脂が流動性を失う前に加圧ガス体を注入することにより形成されてなる熱可塑性樹脂製グレージング材ある。
【0008】
本発明の熱可塑性樹脂製グレージング材の製造方法は、典型的には、次の各工程を包含する。
(1)片面にハードコート、防曇、帯電防止、反射防止および熱線遮断からなる群から選択された少なくとも一つの機能を有する機能層を設けた、透明な熱可塑性樹脂フィルムまたはシートから、所定の形状の表面材を作成する工程、
(2)該表面材を、機能性層が成形品の外表面となるように、射出成形用金型内に装着する工程、
(3)該金型を閉じ、芳香族ポリカーボネート樹脂成分に、これとの屈折率の差が0.015以下であり、かつ、成形品の全重量の1〜60重量%となるような量のガラスフィラー成分、および、成形品の全重量の1〜60重量%となるような量のポリカプロラクトン成分を配合して、溶融した強化樹脂組成物を射出充填することにより、透明性本体部分およびリブを有する高剛性外周部分を一体に成形し、該本体部分の表面に該表面材積層一体化する工程、
(4)該金型内部に圧力20〜500kg/cm の加圧ガス体を注入して、該外周部分に中空構造を形成する工程、および
(5)該金型を開き、成形品を取り出す工程
【0009】
【発明の実施形態】
本発明を、添付の図面に従って説明する。図1および図2は、それぞれ、本発明の熱可塑性樹脂製グレージング材の一例を示す断面図および底面図であり、図1は、図2のA−A’線に沿った断面を拡大して示すものである。
両図中、1は透明性本体部分、2は高剛性外周部分、3,3’は機能性層、4は中空構造、5はリブ、10はグレージング材、30、30’は表面材を示す。
【0010】
本発明で、透明性本体部分および高剛性外周部分の一体成形に使用する、強化樹脂組成物の熱可塑性樹脂成分は、透明性を有するもので有れば、特に限定されない。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂の組成物、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリルニトリルとスチレンの共重合体、ポリスチレン樹脂、メタクリレートとスチレンの共重合体などの樹脂またはその組成物が例示される。特にポリカーボネート樹脂は、優れた耐衝撃性を有しているため、各種グレージング材の用途に好適である。
【0011】
ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネートを使用するのが望ましい。具体的には、2,2ビス(4−ヒドキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンで例示される二価のフェノール系化合物の一種以上と、ホスゲンで例示されるカーボネート前駆体とから、公知の方法によって得られる重合体が例示できる。特に、本発明においては、高剛性、透明性のほか、耐熱性及び耐衝撃性の要求から、25℃におけるメチレンクロライド溶融粘度より換算した粘度平均分子量15000〜30000の芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0012】
本発明で使用する強化樹脂組成物を構成するガラスフィラー成分としては、その屈折率が、上記熱可塑性樹脂成分の屈折率との差が、0.015以下であるものであることが必要であり、特に0.010以下であるものが好ましい。両成分の屈折率の差が0.015より大きくなると、透明性本体部分の透明性が低下するので好ましくない。
【0013】
ガラスフィラーの形状は、特に制限されず、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラス粉など、通常射出成形用の熱可塑性樹脂に配合されるものであれば、何を選んでもよい。これらのガラスフィラーは、配合ないし溶融射出充填に際し、熱可塑性樹脂成分とよくなじんで均一に分散するよう、シランカップリング剤で表面処理されたものが好ましい。最も広く利用されるのは、ガラス繊維であり、いわゆるチョップドストランドと呼ばれている短繊維である。この短繊維の寸法は、一般に、長さ0.005〜30mm、径5〜50μmである。また、フィラーに使用されるガラスは、熱可塑性樹脂成分の分解を促進するので、無アルカリガラスまたはこれに近いものが好ましい。
【0014】
ガラスフィラーの配合量は、溶融して射出注入する強化樹脂組成物およびこれと一体化される透明な熱可塑性樹脂フィルムまたはシートも含めた、グレージング材成形品の全重量の1〜60重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲から選ばれる。この重量が少なすぎると、成形品に剛性を持たせることができなくなり、多すぎると、光学的特性の低下が大きくなるだけでなく、場合によっては透明な熱可塑性樹脂の分子量を低下させ、その特性が活かされなくなる。
【0015】
本発明においては、強化樹脂組成物の透明性を上げるため何らかの第三成分を添加することが可能である。特にポリカプロラクトンは、熱可塑性樹脂成分が芳香族ポリカーボネートの場合、透明性を著しく向上させる。
【0016】
本発明で使用するポリカプロラクトンは、カプロラクトン特にε−カプロラクトンの重合物、すなわち繰返し単位が(−CH2 −CH2 −CH2 −CH2 −CH2 −CO−O−)で示されるものである。ポリカプロラクトンのメチレン鎖の水素原子の一部がハロゲン原子、炭化水素基で置換されていてもよい。また、ポリカプロラクトンの末端は、エステル化、エーテル化などにより末端処理をしてあってもよい。ポリカプロラクトンの数平均分子量としては、5000〜40000であることが好ましい。このようなポリカプロラクトンは、カプロラクトンを酸、塩基、有機金属化合物などの触媒の存在下において、開環重合して製造することができる。
【0017】
ポリカプロラクトンの配合量は、芳香族ポリカーボネートとガラスフィラーとポリカプロラクトンよりなる強化樹脂組成物およびこれと一体化される透明な熱可塑性樹脂フィルムまたはシートも含めた、グレージング材成形品の全重量の1〜60重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲から選ばれる。この重量が少なすぎると、成形品の透明性が十分ではなく、多すぎると、成形品の強度および熱的特性などが低下するようになる。
【0018】
本発明で使用する強化樹脂組成物には、任意の色調を与えるため、染料を配合することもできる。例えば、アゾ系染料、シアニン系染料、キノリン系染料、ペリレン系染料など通常熱可塑性樹脂の着色に使用されているものから選ぶことができる。配合量は、透明性を損なわない範囲で適宜選択すればよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択すればよい。例えば安定剤、離型剤、紫外線吸収剤の有効発現量を配合してもよい。
【0019】
本発明で表面材として積層一体化される、透明な熱可塑性樹脂フィルムまたはシートは、その厚みが、通常100〜2000μm、好ましくは200〜1000μmのものであり、透明性を有する熱可塑性樹脂フィルムまたはシートであれば何ら限定されない。しかし、この熱可塑性樹脂フィルムまたはシートが、溶融射出充填される強化樹脂組成物と積層一体化されることを考慮に入れると、通常、該強化樹脂組成物の熱可塑性樹脂成分と同種のものまたはその組成物を選ぶのが、熱融着性や光学的均一性の面から好ましい。また、できれば該熱可塑性樹脂成分よりも高分子量のものを用いる方が、フィルムもしくはシートまたはその上に形成されることのある機能性層もしくは意匠性付与層の型くずれを防止するのによい。
【0020】
また、このフィルムまたはシートには、所望により、片面にハードコート、防曇、帯電防止、反射防止及び熱線遮断からなる群から選ばれた少なくとも一種の機能性層設けることができる。
【0021】
熱可塑性フィルムまたはシートに、機能性層を形成するには、従来公知の種々の方法が用いられる。ハードコート層の形成には、所望によりプライマー層を設けた上に、エポキシ系、アクリル系、アミノ樹脂系、ポリシロキサン系、コロイダルシリカ系などのハードコート剤を塗布し、熱または紫外線などの手段により硬化する方法を用いることができる。防曇層の形成には、通常水溶性または親水性樹脂と界面活性剤を必須成分として含有する防曇塗料を塗布し、硬化する方法を用いることができる。そのほか、帯電防止層、反射防止層、熱線遮断層なども、これらの機能を与える塗料を塗布し、硬化するか、またはこれらの機能を有する薄膜層を真空蒸着法などの方法により、形成することにができる。また、これらの機能性層を複合層として、二種以上の機能を同時に備えたものとしてもよい。さらに、これらの機能性層の他にまたは該機能性層に、予め美装用塗装処理を施したり、エンボス加工して意匠性を持たせるなどの方法により、意匠性付与層を形成することも可能である。これらの意匠性付与層の形成は、熱可塑性樹脂フィルムまたはシートの表面側、裏面側に限定されることなく、任意の場所に、任意の大きさで、任意の順序で形成することが可能である。
【0022】
本発明においては、溶融射出充填時の強化樹脂組成物との熱融着を促進し、積層一体化をより確実にする目的で、熱可塑性樹脂フィルムまたはシートに、プライマーコートを施したものを表面材とすることもできる。プライマーコートに使用する樹脂としては、該強化樹脂組成物の熱可塑性樹脂成分より溶融粘度が高く、該フィルムまたはシートとよく接着するものが選ばれる。例えば、該熱可塑性樹脂成分と同種でより高分子量の樹脂またはこれを主体とするもの、熱や紫外線により硬化する樹脂がある。
【0023】
本発明における透明性本体部分の厚みとしては、好ましくは1〜20mmである。1mm未満であると、透明性本体部分の剛性が不十分になりやすく、20mmを超えると、軽量化が損なわれやすい。透明性の本体部分の厚みは、より好ましくは、2〜15mmである。本発明のグレージング材が自動車用等の窓ガラスに用いられる場合における透明性本体部分の厚みとしては、剛性、重量、透明性等の点より、好ましくは2〜10mmであり、より好ましくは2.5〜8mmである。
【0024】
本発明において、高剛性外周部分に中空構造を形成するために使用される加圧ガス体は、常温および常圧で気体の物質であり、射出充填された溶融熱可塑性樹脂に対して不活性であれば、如何なる物質であってもよいが、安全性および経済性を考慮すると、窒素ガスが好ましい。キャビティ内の熱可塑性樹脂への加圧流体の注入開始時期は、溶融樹脂が流動性を失う前であり、溶融した強化樹脂組成物のキャビティ内への射出開始から1秒以上40秒以内とすることが好ましい。加圧ガス体の注入開始時期が1秒未満では、射出充填された溶融熱可塑性樹脂と、積層一体化すべき表面材との密着性が損なわれる。一方、加圧流体の注入開始時期が40秒を越えると、溶融熱可塑性樹脂の固化により所望の中空部が形成できず、表面にヒケが生じる場合がある。加圧ガスの注入開始時期は、より好ましくは、2〜30秒である。加圧ガス体の圧力は20〜500kg/cm2 とすることが必要である。加圧流体の圧力が20kg/cm2 未満では所望の中空部が形成できず、表面にヒケが生じる場合がある。一方、加圧流体の圧力が500kg/cm2 を越えると、金型からの成形品の離型が問題となったり、加圧ガス体が高剛性外周部分から透明性本体部分に漏れ出すことが問題となる。加圧ガス体の40〜400kg/cm2 である。キャビティ内の熱可塑性樹脂への加圧流体の注入は、キャビティ内の熱可塑性樹脂がある程度冷却、固化するまで継続することが好ましい。
【0025】
本発明において、高剛性外周部分には、上記の中空構造の他にリブが設けられるが、このリブまたはリブを含む高剛性外周部分は、本来、グレージング材を所定の位置に取り付けるために、必要な形状が設計される。リブの厚み(透明性本体部分の表面と平行な方向の厚み)は、好ましくは、透明性本体部分の厚みの1〜5倍である。リブの厚みが1倍未満であると、外周部分の剛性が不十分になりやすく、5倍を超えると、軽量化が損なわれやすい。リブの厚みは、より好ましくは、透明性本体部分の厚みの1.2〜4倍である。もちろん、中空構造を形成して軽量化をはかった結果、所要の剛性が失われないように考慮した、形状の設計も必要である。そのほか、必要とあれば、高剛性外周部分にも、透明性本体部分と同様に、機能性層または意匠性付与層を形成することができる。その場合、透明性本体部分と全く同じ機能性層または意匠性付与層を適用するのであれば、金型表面に装着する表面材の大きさを、透明性本体部分および高剛性外周部分を併せた外表面の大きさとするだけでよい。
【0026】
【実施例】
以下に、実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これによって何等限定されるものではない。
【0027】
比較例
図1、2に従って説明すると、まず、シリコン系熱硬化型ハードコート層を施した、全体厚み0.5mmのポリカーボネート樹脂シート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、商品名ユーピロンシートCFI−1。シ−ト中のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は28000。)から、2枚の表面材(30)、(30’)を切り出した。このとき、一方(30’〉は、図2に示す成形品底面の透明性本体部分(1)の表面形状に合わせた形状とし、他方(30)は、成形品上面の表面形状に合わせた形状とした。
【0028】
2枚の表面材を、いずれもハードコート層(3)、(3’)が、成形品の外表面となるように、射出成形用金型内に装着した。具体的には、一方(3’)を成形品の底面側を画定する金型(通常、移動側金型)の内表面のうち、リブ(5)を形成するための溝状部で区画された、透明性本体部分(1)を形成するための台状部の平坦な表面に接触させて、他方(3)を、成形品上面側を画定する金型(通常、固定側金型)の内表面のうち平坦な底面に接触させて、それぞれ、装着した。
【0029】
一方、強化樹脂組成物は、屈折率1.585のポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名ユーピロンS−3000、粘度平均分子量21000、射出用樹脂)および屈折率1.579のガラス繊維(旭ファイバーグラス(株)製、ECRガラス、平均繊維径16μm)を、ガラス繊維が一体成形品の全重量に対して30重量%の含有量となるような割合で配合して、押出機(田辺プラスチック株式会社製、商品名VS−40)によりペレット化したものを準備した。
【0030】
表面材の装着後、金型を閉じて、形成されたキャビティに、上記強化樹脂組成物ペレットを溶融したものを、サイドゲート(図1の(6)で示す位置)から射出充填し、両表面材と積層一体成形を実施した。また、溶融樹脂の射出開始から5秒後に図1の(7)で示す位置から、100kg/cm2 の窒素ガスを注入し、中空構造(4)を形成した。
次いで、金型を開き、図1、2に示すクオーターウインドウ成形品(10)を取り出した。成形品の透明性本体部分(1)の厚みは4mm、リブ(5)の厚みが8mm、高さが10mmであった。
【0031】
[実施例2]
強化樹脂組成物として、屈折率1.585のポリカーボネート樹脂および屈折率1.579のガラス繊維に加えて、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業株式会社製 プラクセルH1P、数平均分子量10000)を一体成形品全重量に対して7重量%の含有量になるような割合で配合して、ペレット化したものを使用した以外は、比較例と全く同様にして、成形品を得た。
【0032】
[比較例1]
強化樹脂組成物に代えて、ガラスフィラーを配合しないポリカーボネート樹脂(ユーピロンS−3000)を用いた以外は、比較例と全く同様にして、成形品を得た。
【0033】
[比較例2]
加圧窒素ガスを注入しない以外は、実施例2と全く同様にして、成形品を得た。
【0034】
[比較例3]
加圧窒素ガスの注入開始時間を、溶融樹脂の射出開始から60秒後とした以外は、実施例2と全く同様にして、成形品を得た。
【0035】
[比較例4]
加圧窒素ガスの注入圧力を、15kg/cm2 とした以外は、実施例2と全く同様にして、成形品を得た。
【0036】
[比較例5]
強化樹脂組成物に配合したガラス繊維の屈折率を1.555に代えた以外は、実施例2と全く同様にして、成形品を得た。
【0037】
[比較例6]
強化樹脂組成物のガラス繊維配合量を、ガラス繊維が一体成形品の全重量に対して70重量%の含有量となるような割合とした以外は、実施例2と全く同様にして、樹脂組成物のペレット化を実施しようとしたが、ペレット化が不可能であった。
【0038】
上記各実施例および比較例で得られた、それぞれ5個の成形品について、次のようにして評価した。
曲げ弾性率:
実施例または比較例で得られた、クオーターウインド本体部分から切り出された、所定の形状の試験片を用い、JIS K7203に従って、該切削試験片の厚み方向の曲げ弾性率を測定した。
【0039】
ヘイズ:
実施例または比較例で得られた、クオーターウインド本体部分を試料とし、ヘーズメーター(スガ試験機株式会社、商品名HGM−2DP)を使用して、本体部分の厚み方向のヘイズを測定した。
【0040】
全光線透過率:
実施例または比較例で得られた、クオーターウインド本体部分を試料とし、JIS K7105に従って測定し、該本体部分の厚み方向の全光線透過率を算出した。
【0041】
平行光線透過率:
実施例または比較例で得られた、クオーターウインド本体部分を試料とし、JIS K7105に従って測定し、該本体部分の厚み方向の平行光線透過率を算出した。
【0042】
シート密着性および外周部分のヒケ:
表面材と射出樹脂間のシート密着性および外周部分のヒケは、いずれも目視で観察した。
上記の諸評価の結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003784497
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、中空構造を持つ透明な高剛性熱可塑性樹脂製グレージング材を、安定した品質で、効率的にかつ経済的に製造することができる。かかる熱可塑性樹脂製グレージング材の表面には、ハードコート層、防曇層、帯電防止層、反射防止層、熱線遮断層のような機能性層や、種々の意匠性付与層を、余分な工程を増やすことなく、容易に形成することができる。
このようにして得られる熱可塑性樹脂製グレージング材は、高剛性で、透明性、軽量性、安全性、耐久性、経済性、に優れており、且つ、外周部分のヒケなどの不良が改善され、表面の外観にも優れており、自動車の窓ガラスなどや、医療、保安、建材、家庭用品などの多くの用途に適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性樹脂製グレージング材の一例を示す断面図。
【図2】図1の熱可塑性樹脂製グレージング材の底面図。
【符号の説明】
1 透明性本体部分
2 高剛性外周部分
3、3’ 機能性層
4 中空構造
5 リブ
6 溶融樹脂の注入口
7 ガスの注入口
10 グレージング材
30、30’ 表面材

Claims (5)

  1. 透明性本体部分、高剛性外周部分および該本体部分の表面に積層一体化された表面材を有する熱可塑性樹脂製グレージング材において、該表面材が透明な熱可塑性樹脂フィルムまたはシートよりなり、芳香族ポリカーボネート樹脂成分に、これとの屈折率の差が0.015以下であり、かつ、成形品の全重量の1〜60重量%となるような量のガラスフィラー成分、および、成形品の全重量の1〜60重量%となるような量のポリカプロラクトン成分を配合した強化樹脂組成物で、該本体部分と該外周部分とを一体に成形してなり、該外周部分は中空構造およびリブを有し、かつ該中空構造は、一体成形時、溶融樹脂が流動性を失う前に加圧ガス体を注入することにより形成されてなる熱可塑性樹脂製グレージング材。
  2. 上記表面材の外表面に機能性層が設けられ、該機能性層が、ハードコート、防曇、帯電防止、反射防止及び熱線遮断からなる群から選択された少なくとも一つの機能を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂製グレージング材。
  3. 上記表面材を構成する熱可塑性樹脂が、上記強化樹脂組成物の熱可塑性樹脂成分と同種、高分子量のものまたはその組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂製グレージング材。
  4. 上記リブの厚みが、透明性本体部分の厚みの1〜5倍であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂製グレージング材。
  5. (1)片面にハードコート、防曇、帯電防止、反射防止および熱線遮断からなる群から選択された少なくとも一つの機能を有する機能層を設けた、透明な熱可塑性樹脂フィルムまたはシートから、所定の形状の表面材を作成する工程、
    (2)該表面材を、機能性層が成形品の外表面となるように、射出成形用金型内に装着する工程、
    (3)該金型を閉じ、芳香族ポリカーボネート樹脂成分に、これとの屈折率の差が0.015以下であり、かつ、成形品の全重量の1〜60重量%となるような量のガラスフィラー成分、および、成形品の全重量の1〜60重量%となるような量のポリカプロラクトン成分を配合して、溶融した強化樹脂組成物を射出充填することにより、透明性本体部分およびリブを有する高剛性外周部分を一体に成形し、該本体部分の表面に該表面材積層一体化する工程、
    (4)該金型内部に圧力20〜500kg/cm の加圧ガス体を注入して、該外周部分に中空構造を形成する工程、および
    (5)該金型を開き、成形品を取り出す工程
    包含することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂製グレージング材の製造方法。
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