JP3783261B2 - 未溶融灰流出防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみ,産業廃棄物等の焼却灰をアーク放電,プラズマアーク放電等による発熱により溶融しその溶融スラグをオーバーフロー方式により流出せる灰溶融炉において、その溶融スラグに同伴して未溶融灰が流出するのを防止する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ごみ焼却場で排出される都市ごみ等の焼却灰には周知のように重金属等の有害物質が含まれているためにこれをアーク炉等の灰溶融炉に投入し電極間のアーク放電により加熱溶融し、その灰溶融炉より流出した溶融スラグをさらに水砕水槽に流落させ急冷により粒状に破砕させて固形化することにより重金属等をその固形化スラグ中に封入させ流出を防ぐことにより無害化する処理がなされている。
【0003】
ところで、溶融スラグをオーバーフローにより流出させる灰溶融炉においては、溶融スラグの表面に未溶融灰が浮かぶために溶融スラグが出滓口から流出するのに伴って未溶融灰が炉外に排出される可能性があり、そのために水砕水槽を汚染するおそれがあった。ところが、未溶融灰中に含まれる鉛は固形化スラグ中に封入された鉛に比べて水に溶出しやすいため、未溶融灰が溶融スラグに伴って排出されると、水砕水を通してこれらの有害物質を拡散させ易くなり、初期の汚染防止の目的が達せられないという問題があった。
また、溶融スラグ面上にはNaCl,KCl等の塩分の溶融層が薄く形成されその流出も問題となっていた。
【0004】
一方、特公平3−9393号公報に示された灰溶融炉では、出滓口に炉本体の上方より垂れ壁状に未溶融物障壁板を形成し、炉内の未溶融灰が溶融スラグに同伴して該出滓口から流出するのを防ぐようにしている。しかし、従来の係る灰溶融炉のように未溶融物障壁体を炉体の一部として一体に形成したものでは、出滓口周りの構造が複雑になるほか、障害板自体の消耗に対するメンテナンスが容易ではなくなるという問題がある。また消耗を防ぐために該障害板を冷却することも考えられたが、炉構造がさらに複雑化し現実的でない欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明はこの灰溶融炉における未溶融灰等の流出を簡易に防止できる装置を提供し、上記のような従来の欠点を解消しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明は、炉本体内に装入された焼却灰を電極の放電による加熱により溶融させその溶融スラグを出滓口よりオーバーフローさせて炉外に流出させる灰溶融炉において、出滓口の上方に炉本体内の溶融スラグに向けて冷却ガスを吹付けるノズルを設け、該冷却ガスにより溶融スラグの表層を冷却させ出滓口の内壁面と連なるスラグ固形壁を形成するようにしたことを特徴とする。
また本発明は上記未溶融灰流出防止装置において、冷却ガスが水ミストを含んだガスであることを特徴とする。
さらに本発明は上記未溶融灰流出防止装置において、冷却ガスの吹付量を調節することによりスラグ固形壁の形成状態をコントロールするようにしたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に図面に従い本発明の実施の形態を説明する。図1に本発明に係る灰溶融炉を縦断面図にて示し、図2にはその水平断面図を示す。炉本体1は傾動支持装置2上に支持され、支軸部3を支点として前傾し得るように構成されている。4は炉蓋、5は該炉蓋に開設された灰投入口、6は該炉蓋を貫通して炉内に垂下させた電極、7は該炉本体1の前側に形成された出滓口である。8は灰投入口5より投入された鉛、その他の金属等の有害物質を含んだ焼却灰、9は炉底に溜った金属溶融物、10はその上に溜った溶融スラグで、焼却灰8は電極6のアーク放電による発熱で溶融しこのように炉底に溜る。
【0008】
しかして本発明では、出滓口7の上方に支持装置11を設け、該支持装置11から炉蓋4を貫通させてノズル12を炉本体1内の溶融スラグ10に向けて垂下している。そしてホース14を通してノズル12に冷却ガスを供給し該冷却ガスを吹付けることにより溶融スラグ10の表層を冷却させ該出滓口7の内壁面と連なるスラグ固形壁13を形成する。こうして出滓口7にスラグ固形壁13を形成することにより、炉本体1内の溶融スラグ10は該スラグ固形壁13の下を通過してのみ炉外に流出し得るので、該溶融スラグ10上の焼却灰8の流出を防止できる。なお、冷却ガスとしては空気あるいは窒素ガス等の不活性ガスを使用でき、そのガス中に水を噴霧して水ミストを含ませれば気化熱を奪い得るので冷却能力を向上することができる。また、スラグ固形壁13を出滓口7の内壁面と連ねさせるために図示したように複数本のノズル12を出滓口7の幅方向に並設したり、或いはノズル12を出滓口7の幅方向に移動できるように支持装置11に支持するのもよい。
またこのようにスラグ固形壁13を形成することにより溶融スラグ10面上に浮ぶNaCl,KCl等の塩分溶融層の流出を防止することもできる。
【0009】
なお、炉本体1内の溶融スラグ10の高さ水準は溶融灰量の変動等により上下するので、本発明ではその高さ水準を常に監視し冷却ガスの吹付量を調節することによりスラグ固形壁13の形成状態をコントロールし、過大なスラグ固形壁13が形成されて溶融スラグ10の流出が邪魔されたり、或いはスラグ固形壁13が小さすぎて焼却灰8が流出してしまうことのないようにする。そして、出滓量が少ない場合等に出滓口7の内壁面に溶融スラグの固形物が堆積することにより、溶融スラグ10が流出する該出滓口7の実質上の内幅が狭くなることもあるので本発明ではその状況に応じて必要充分なスラグ固形壁13を形成させる。なお、この実施形態は出滓口7に補助電極を有しないものについて説明したが、補助電極を設けたものについても適用できることは勿論である。また、この実施形態では炉本体1を傾動可能に支持したものについて説明したが、炉本体1が定置されている灰溶融炉にも適用できる。
【0010】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、簡便に未溶融灰の流出を防止でき鉛等の流出による二次公害発生のおそれをなくす有益な効果があると共に、ノズルは炉本体と別体であるので容易に脱着でき出滓口のメンテナンスに対応し易いなど種々の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る灰溶融炉の縦断面図。
【図2】図1の灰溶融炉の出滓口の水平断面図。
【図3】図1のA−A線断面拡大図。
【符号の説明】
1 炉本体
6 電極
7 出滓口
8 焼却灰
10 溶融スラグ
11 支持装置
12 ノズル
13 スラグ固形壁

Claims (3)

  1. 炉本体内に装入された焼却灰を電極の放電による加熱により溶融させその溶融スラグを出滓口よりオーバーフローさせて炉外に流出させる灰溶融炉において、出滓口の上方に炉本体内の溶融スラグに向けて冷却ガスを吹付けるノズルを設け、該冷却ガスにより溶融スラグの表層を冷却させ出滓口の内壁面と連なるスラグ固形壁を形成するようにしたことを特徴とする未溶融灰流出防止装置。
  2. 冷却ガスが水ミストを含んだガスである請求項1記載の未溶融灰流出防止装置。
  3. 冷却ガスの吹付量を調節することによりスラグ固形壁の形成状態をコントロールするようにした請求項1または2に記載の未溶融灰流出防止装置。
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