JP3781322B2 - 発泡樹脂複合成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、擬石や景観材料等として使用される軽量且つ意匠性に優れた発泡樹脂製複合成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
都会の機能的な人造建造物に取り囲まれたオフィス空間での緊張した日常活動から一時の憩いが求められるようになり、自然をそのまま切りとって移築したような小空間や日本庭園を設けたり、建築物の外観を美装するために一般に内壁、外壁に擬石や景観材料並びに種々の美装を施している。
また、従来、建築現場での内壁、外壁や床面の施工に当たっては、現場でコンクリートやモルタル等を塗った後、その表面に天然石、タイル等を貼りつけることにより美装作業を行っている。
【0003】
通常、天然石は、山間の渓谷或いは海浜等から産出されるが、近年その枯渇が叫ばれている。そのため、今まで以上に高額で取引されるようになり、はては現地の環境や景観破壊にも通じる盗石騒ぎまで起きていることから、社会的モラルや自然環境の保護という両面から憂慮すべき問題として提起されている。
このような状況下であることから、コンクリートやモルタル等を流し込んで成形加工した人造石、いわゆる擬石と呼ばれるものの普及が近年目ざましく発展しているが、擬石の価値はなんといってもその形状や地肌そして色彩がどの程度天然石のそれを再現しているかで決まる。
従って、かかる擬石用の素材としては、上記コンクリートやモルタルの他に、ポリエステル等の合成樹脂や、軽量化を目的としては発泡ポリスチレン等が用いられ、更に必要に応じて種々の混合材が使用されている。
【0004】
擬石の製造方法としては、成形型に流し込まれた素材を固化させることにより製造するのが一般的である。
また、擬石の着色方法は着色剤を予め素材に混練してそのまま型成形する混練着色方法、型成形により擬石を予め成形しておき、その後に、擬石表面に塗料を吹き付ける吹き付け着色方法や、型の内側に外装用塗装を施すか、樹脂シート等に塗装を施したシートを型に装着し、次いで成形型に素材を流し込み固化させた後、型の内側に塗装した外装用塗材を転写する方法が知られている。
しかし、この場合、流し込み固化させる素材としてコンクリートやモルタルが使用され、重量が非常に重くなって運搬、荷役取扱いが悪くなり、コストを高くするといった問題点や外装塗材の色彩や表面の状態が自然石の趣と異なるといった問題点があった。
【0005】
擬石や景観材料に求められる天然石調のその形状や地肌及び色調の再現は難しく、十分に納得のいく色調や地肌の再現が得られなかった。
即ち、従来の混練着色方法では、着色剤をコンクリート等に均一に混練して使用するため、成形後の擬石表面はどうしても同一調子のいわゆる平坦な色調となり、一見して人工的な造形物であると看破されることが多かった。
また、吹き付け着色工法でも予め成形した擬石の表面に塗料を吹き付け塗装するため、成形された凹凸面が吹き付け塗材によって消されてしまい丸み調になったり、吹き付け塗材の中に含まれる骨材粒子が表面に現れて自然石のなめらかさがなくなってしまうため、地肌や色調を野面石の趣で再現するのが難しかった。
【0006】
一方、無機骨材とバインダーよりなる表面層と該表面層の裏面に積層された裏打ち層と該裏打ち層の裏面に塗布された接着剤層を有する化粧層又は、予め樹脂シートの内側に無機骨材とバインダー等よりなる化粧層を有したシートを、発泡樹脂成形用金型に装着し、発泡粒子を発泡と同時に一体成形した発泡樹脂層とから構成された軽量化粧板(特開平7−317200号公報参照)の製造方法においては軽量化という問題点は解決されるが、化粧層が複数積層されていることにより作業工程が煩雑になる問題点と、金型に自然石の趣のある凹凸模様を型取っても、そのままの凹凸模様が転写され難いという問題点があった。
更に、樹脂シートを用いる場合は、加熱発泡成形する際に蒸気の通りがよくないため、発泡粒子同士の融着が悪く、間隙が発生し内部に水分がたまり、剥離の原因になる可能性もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、表面外観をより自然石の趣に近づけた擬石等の発泡樹脂複合成形体及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、外装仕上げ塗材を真空成形体に積層した複合積層体と発泡樹脂成形体を効率的に溶着した天然石調の擬石や景観材料の製造方法について種々検討し、鋭意研究を重ねた結果、本発明の発泡樹脂製複合成形体に至ったものである。すなわち、本発明の発泡樹脂複合成形体(以下、単に発泡成形体、複合成形体ともいう。)は、表面に凹凸模様が形成され、樹脂固形分が10〜50重量%含有されている外装塗材を乾燥させて得られた外装用塗材層と熱可塑性樹脂発泡シート層から形成された表皮層と、熱可塑性樹脂発泡体粒子から形成された内層とから構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
[I]原材料
(1)熱可塑性樹脂発泡シート
本発明において、熱可塑性樹脂発泡シート層として用いられる熱可塑性樹脂発泡シート(以下、単に樹脂発泡シートともいう。)としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET系樹脂等の樹脂発泡シートを使用することができる。中でもポリスチレン系樹脂の樹脂発泡シートを用いることが好ましい。該熱可塑性樹脂発泡シートの発泡倍率は、一般に3〜20倍、好ましくは7〜20倍のものが使用される。該熱可塑性樹脂発泡シートが未発泡、あるいは著しく低発泡のものを使用する場合には、加熱発泡時、蒸気の通りが悪くなり、熱可塑性発泡粒子内部の融着が悪くなる傾向がある。該熱可塑性樹脂発泡シートの厚みは1〜5mm、特に2〜4mmが好ましい。厚みが1mm未満の場合は、真空成形又は圧空成形後、該成形体に外装塗材を塗工した際に該成形体が型くずれ、変形し易い傾向がある。また、厚みか5mmを越える場合は、コスト高となると共に該成形体の表面が柔らかくなりすぎる傾向があり、擬石のイメージが損なわれ易い。
【0010】
(a)塗装
樹脂発泡シートは、真空又は圧空成形され、塗装が施されて外装用塗材層が形成され表皮層となる。その後、該表皮層は、樹脂発泡成形用金型の金型面に装着されるので、真空成形又は圧空成形用金型は、塗工厚み分発泡樹脂成形金型より小さくする必要がある。
【0011】
塗装用材料
外装用塗材層は樹脂発泡シート上に外装塗材のみを施したものでも良いし、樹脂発泡シート上に樹脂モルタル下地材層を積層した後に外装塗材を施していても良く、この場合樹脂モルタル下地材層に繊維質材を混入することもできる。また、外装塗材は、樹脂モルタル層を主成分とする層のみから形成されていても良い。
外装塗材は、自然石の趣を出すために使用するもので、樹脂の他に、天然石粉砕品、無機系骨材、顔料などを配合したものが用いられる。
樹脂としては、熱可塑性発泡樹脂シートとの接着性が良くて、加熱発泡成形時に熱変形追従可能なものが良く、アクリル系、酢酸ビニル系、エチレン・酢酸ビニル系樹脂の水性分散液が用いられる。外装塗材には、前記樹脂が固形分で10〜50重量%含有されている。樹脂固形分が10重量%未満の場合は、発泡成形の際、成形体表面の凹凸部に外装塗材が追従変形しきれずにひび割れを起こす虞がある。また50重量%を越えると、外装塗材が金型に融着し、離型時に外装塗材か剥離する虞がある。
【0012】
外装用塗材層が樹脂モルタルを主成分とする層のみから形成される場合は、砂岩調や自然石の地肌のなめらかさをより鮮明に再現するため、細骨材、フィラー、着色剤を配合するのが好ましい。
上記細骨材としては、硅石7号、8、硅石粉等を挙げることができる。また、フィラーとしては炭酸カルシウム、フライアッシュ等を挙げることができる。
上記セメント・細骨材・樹脂・着色顔料からなる樹脂モルタルのみのものは、金型の凹凸模様やエンボス調の模様を鮮明に転写する上で効果的である。特に砂岩調の模様を転写するのに効果的である。
外装用塗材層が樹脂発泡シート上に樹脂モルタル下地材層を積層した後に外装塗材を施すことにより形成される場合は、樹脂発泡シート上に外装塗材のみを施した場合に比べて、加熱発泡成形時にピンホール等の発生を防止する効果がある。
上記樹脂モルタル用の樹脂としては、アクリル系、酢酸ビニル系、EVA系、SBR系等の水性樹脂分散液が用いられる。
樹脂モルタルの塗布肉厚としては、1〜3mm程度が好ましい。樹脂モルタル下地材層は弾力性があるため無機骨材の食い込みを防止する緩衝効果がある。また、金型の凹凸模様に追従変形しやすく、ピンホールやひび割れ防止に効果的である。また、樹脂モルタル下地材層に繊維質材を混入するのは、熱変形性、耐衝撃性を向上させるためであり、繊維質材としては、合成樹脂繊維、ガラス繊維等を使用することができる。合成樹脂繊維が好ましく、特に安価なビニル樹脂系繊維が好ましい。混入量としては、0.5〜5重量%が好ましい。0.5重量%未満では、熱変形性、耐衝撃性の向上効果が乏しく、5重量%を越えるとコストが高くなると共に、樹脂モルタルを混合した時に塊が発生しやすくなる。
【0013】
塗装作業
熱可塑性樹脂発泡シートに外装塗材を塗装する作業は、板状や真空成形された表面に吹き付けまたはロールコート等によって行うことができる。
その時の塗工量は、一般に300〜4,000g/m2 が好ましい。300g/m2 未満の場合は、ピンホールができやすく、発泡成形の際に、ひび割れが生じやすい。また、4,000g/m2 を越えると、金型面の凹凸模様が鮮明に転写され難くなる。
前記、外装塗材を塗装された熱可塑性樹脂発泡シートは、熱風乾燥等により短時間で強制乾燥を行い積み重ねて保管することができる。塗装後の重量は1〜4kg/m2 で持ち運びが容易である。上記熱風乾燥は60〜80℃で30〜180分間で乾燥することができ、乾燥養生に係る養生スペースが狭くてすみ、効率的に塗工作業を行うことができる。
吹き付け又はロールコート等により塗工された外装塗材は、通常塗装材に含まれる無機系骨材等が表面に現れており、表面状態の地肌は骨材による微細な凹凸模様を呈しているが、後記成形方法を実施することにより、塗材中の樹脂および熱可塑性樹脂発泡シートが軟化し変形追従し易くなり、金型内の内部圧力により塗装面が金型面に押しつけられるため、塗装材の表面に現れていた骨材が押さえつけられるので塗装材の皮膜を破らずフラットでなめらかな風合いの塗装地肌を持つ発泡樹脂製複合成形体を成形することができる。従って、金型の凹凸模様を鮮明に転写することができる。
熱可塑性樹脂発泡シートと熱可塑性発泡粒子が熱融着するため、熱可塑性樹脂発泡シートの裏面側には必ずしも接着剤を塗布する必要はない。
【0014】
(2)熱可塑性樹脂発泡体粒子
本発明において用いられる熱可塑性樹脂発泡体粒子(以下、単に発泡粒子、樹脂発泡粒子、熱可塑性発泡粒子、熱可塑性樹脂発泡粒子ともいう。)としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET系樹脂の発泡粒子等を用いることができる。また、樹脂発泡粒子は、前記熱可塑性樹脂発泡シートと同種の熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。発泡倍率は、2〜60倍が好ましく、特に2〜30倍が好ましい。発泡倍率が2倍未満の場合は、重量が重くなり、コストが高くなる傾向がある。又、発泡倍率が60倍を越える場合は、発泡成形体が柔らかくなりすぎる傾向があり、かつ接着強度が低下する傾向がある。
【0015】
[II]発泡樹脂成形
(1)発泡樹脂成形機
樹脂発泡成形機は、横型、縦型に駆動するものを使用することができる。中でも縦型駆動式を用いることが好ましい。具体的にはダイセン工業(株)製T−1300S、T−1300Wを挙げることができる。
【0016】
(2)樹脂発泡成形用金型
樹脂発泡成形用の金型は、一般的に鋳造にて製造されており、自然石の形状をそのまま転写することができる。自然石の形状を転写された金型を用いて塗装された熱可塑性樹脂発泡シートを装着し、樹脂発泡粒子充填後、加熱発泡成形することにより、発泡粒子の内部圧力により金型表面に塗材を押しつける力が加わると同時に加熱時の温度によって塗材及び熱可塑性樹脂が軟化するため金型に転写された自然石の形状を塗材面にそのまま転写することができる。加熱発泡時の熱源としては、蒸気を使用し、蒸気圧力は使用する樹脂発泡粒子の種類によって適宜調整する。
【0017】
(3)塗装された熱可塑性樹脂発泡シートの装着
図1(e)に示すような発泡樹脂複合成形体1を成形するには、図1(b)に示すような塗装されて外装塗材層6が形成された熱可塑性樹脂発泡シート5を凹金型2に装着し、型締めした後、樹脂発泡粒子4を充填するため、先ず装着する樹脂発泡シートを凹金型2に装着することによって凹金型2と樹脂発泡シート5との間に隙間7が開き難くして、その隙間7への充填時の発泡粒子4の廻り込みを阻止する。この様な方法により成形すれば装着が簡単で作業効率がよい。
【0018】
(4)熱可塑性樹脂発泡粒子の充填
塗装された熱可塑性樹脂発泡シート5と同種類の熱可塑性樹脂発泡粒子4が金型内に供給され充填されれば、加熱発泡成形時に樹脂発泡シート5と発泡粒子4の加熱融着が容易に行うことができ、成形後の樹脂発泡シート5の剥離がない。同種のものを使用しない場合は、樹脂発泡シート5側に接着剤を塗布する必要があり、作業が煩雑でコストも上がるので好ましくない。
【0019】
(5)発泡成形
図3に示すような上記方法によって熱可塑性樹脂発泡シート5と熱可塑性樹脂発泡粒子4を充填し、図3に示すような状態の凸金型1と凹金型2を加熱することによって発泡成形が行われ、図4に示すような状態となる。
本発明の発泡樹脂複合成形体1において、自然石の趣により近い表面外観が得られるのは、熱可塑性発泡粒子4が加熱融着される時に、発泡粒子4に内部圧力が加わり、その圧力が塗装された熱可塑性発泡樹脂シート5及び塗装面を内部から凹金型2面に押しつけると同時に、加熱により塗装材及び熱可塑性発泡樹脂シート5が軟化して変形追従し易くなり、凹金型2面に付けられた自然石の形状をそのまま転写するからである。
【0020】
[III]発泡樹脂複合成形体
(1)構造
上記樹脂発泡成形によって得られる発泡樹脂複合成形体1は、樹脂固形分が10〜50重量%含有されている外装塗材を乾燥させて得られた外装用塗材層6が外側部分に形成されており、内側部分に熱可塑性樹脂発泡シート層5が形成されてなる表皮層7と、熱可塑性樹脂発泡体粒子層4より内層とから構成されており、該表皮層7の外側部分の外装用塗材層6から形成された表面に、凹凸模様が形成されている図5又は図6に示すような各種形状に賦形したものである。上記表皮層の外側部分の外装用塗材層6と内側部分の熱可塑性樹脂発泡シート層5との間には、図2(b)に示す様なモルタル下地材層10を形成することが好ましい。
【0021】
(2)層構成
上記発泡樹脂複合成形体1は、表皮層7が、通常2〜10mm、好ましくは4〜8mmであり、該表皮層7の外側部分を構成する外装用塗材層6は通常1〜5mm、好ましくは2〜4mmであり、また、内側部分を構成する熱可塑性樹脂発泡樹脂シート層5が通常1〜5mm、好ましくは2〜4mmである。
また、上記外装用塗材層6と熱可塑性樹脂発泡シート層5との間に形成される樹脂モルタル下地材層10は通常1〜3mm、好ましくは2〜3mmで形成することが望ましい。
【0022】
(3)比重
本発明の発泡樹脂複合成形体1は、上記の如き構成とされることから、発泡樹脂製複合成形体1の比重は0.1〜0.25となり、例えば、従来の軽量モルタル製擬石の比重(約1.4)と比較するとおおよそ1/5〜1/10に軽減される。具体的には、0.95リットルの体積の擬石重量は、軽量モルタル製で約1.34kg程度の重さとなるが本発明による発泡樹脂製複合成形体1にあっては、0.23kgで従来品の約1/5.8に軽量化することが可能となり、取り扱いの作業性は非常に改善される。
【0023】
(4)表面性状
本発明の発泡樹脂複合成形体1の表面には凹金型2の形状に賦形された凹凸模様8が形成されている。
この凹凸模様8により擬石、タイルブロック等の各種形状に形成したり、更に、それらに文字などを付すこともできる。
【0024】
【実施例】
実施例1
積層シートの形成
図1(a)に示すポリスチレン発泡樹脂シート(三菱化学BASF(株)「YBシート」)を図4に示す体積1リットルの擬石形状の成形体よりも小さい同一の形状の真空成形品を成形し、その表面側に外装塗料として菊水化学工業(株)製チャイナトーン(樹脂固形分約9%)に水性アクリル酸樹脂分散液(三菱化学BASF(株)製アクロナール「YJ−3403」)を樹脂固形分で15%となるように添加したものを3.5kg/m2の塗工量で吹き付け塗工し、熱風式乾燥機で60℃、60分間乾燥し図3に示すポリスチレン発泡樹脂真空成形シート/外装塗材よりなる積層シートを得た。
【0025】
擬石の形成
次いで、図4に示す擬石形状の成形体の形状と同じ金型(本物の石を転写して得られた金型)に上記積層シート(塗装されたポリスチレン発泡樹脂シート真空成形体)を図3に示すように凹金型に塗装面を金型側に装着し、発泡ポリスチレン粒子(三菱化学BASF(株)製スチロポール「JFL−250」、10倍発泡、嵩密度100g/リットル)を図3に示すように充填した後、110℃の条件下で加熱発泡成形を行って図5に示す擬石形状の成形体を得た。
該成形体はひび割れもなく、凹金型の模様が転写された複合成形体を得ることができた。
【0026】
実施例2
実施例1の外装塗料に含まれる樹脂量を、実施例1と同様に樹脂固形分で45%と成るように添加した塗材を用いた以外は、実施例1に記載と同様の塗工、充填、加熱成形を行った結果、ひび割れもなく凹金型の模様を転写された複合成形体を得ることができた。
この得られた擬石の重量は0.24kgであり、軽量コンクリート製の擬石重量1.34kgと比べると1/5.6に軽減することができた。
また、塗装された発泡ポリスチレンシートとポリスチレン発泡粒子との付着力も良好に融着していた。
この擬石の表面模様は、吹き付け塗装されたときには細かい凹凸模様であったものが、金型面の平滑ななめらかな表面状態に押しつけられ、フラットな状態になった。また、金型に付けられた凹凸模様を鮮明に転写されたものを得ることができた。
【0029】
比較例1
塗装面に図1(b)に示すような菊水化学工業(株)製チャイナトーン樹脂(固形分約9%)を3.5kg/m2 吹き付け塗工を行った以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。その結果、緩やかな凹凸面は金型の模様が転写することが出来た。但し、垂直な凹凸面は図5に示す縁部及び腹部の部分にひび割れが生じ、凹金型に追従変形しきれないことがわかった。
【0030】
比較例2
実施例1の外装塗料に含まれる樹脂量を、実施例1と同様に樹脂固形分で55%と成るように添加した塗材を用いた以外は、実施例1に記載と同様の塗工を行い、自然乾燥の後、充填、加熱成形を行った。
その結果、成形時に金型面に塗装面が融着し金型からの離型が悪かった。また、塗材の剥離現象が生じた。
【0031】
【発明の効果】
本発明の発泡樹脂複合成形体によれば、金型面に設けられた自然石の趣のある形状を加熱発泡成形することにより、発泡複合成形体に鮮明でなめらかなフラットな仕上がりとして転写することができる。また、発泡樹脂層より構成したことにより全体の重量が軽量化され、生産効率が上がり、荷役、施工作業が迅速かつ容易にできるようになった。従って、擬石、タイルブロック等として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(e)は、本発明の発泡樹脂複合成形体の製造方法の各成形工程によって得られた発泡樹脂複合成形体の成形過程を表わす成形体の断面図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、本発明の発泡樹脂複合成形体の製造方法において好適に用いられる表皮層の断面図である。
【図3】図3は、金型に発泡粒子を供給して充填した発泡成形前の金型の断面図である。
【図4】図4は、図3の金型に発泡粒子を供給し充填して発泡成形した後の金型の断面図である。
【図5】図5は、擬石状に成形した本発明の発泡樹脂複合成形体の斜視図である。
【図6】図6は、タイルブロック状に成形した本発明の複合成形体の斜視図である。
【符号の説明】
1 発泡樹脂複合成形体
2 凹金型
3 凸金型
4 発泡粒子(内層)
5 樹脂発泡シート(層)
6 外装塗材(層)
7 表皮層
8 凹凸模様
9 樹脂モルタル
10 樹脂モルタル下地
11 樹脂繊維
12 山部
13 谷部
14 腹部
15 縁
16 小口面
Claims (3)
- 表面に凹凸模様が形成され、樹脂固形分が10〜50重量%含有されている外装塗材を乾燥させて得られた外装用塗材層と熱可塑性樹脂発泡シート層とから形成された表皮層と、熱可塑性樹脂発泡体粒子から形成された内層とから構成されていることを特徴とする発泡樹脂複合成形体。
- 表皮層が、樹脂固形分が10〜50重量%含有されている外装塗材を乾燥させて得られた外装用塗材層と、樹脂モルタル下地材層と、熱可塑性樹脂発泡シート層から形成されたものである、請求項1に記載の発泡樹脂複合成形体。
- 樹脂モルタル下地材が、繊維質材混入樹脂モルタル下地材である、請求項2に記載の発泡樹脂複合成形体。
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