JP3780867B2 - 光ファイバ用毛細管 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光ファイバ用毛細管及びその製造方法に関し、特に二本の光ファイバがそれぞれが挿着される二つの挿入孔を備えた光ファイバ用毛細管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年における光通信の分野では、情報伝送容量の膨大化に伴って、複数の波長の光を一本の光ファイバに多重させて伝送するWDM(Wevelength Division Mutiplexing:波長分割多重)と称される光波長多重伝送方式が採用されるに至っている。尚、WDMは、DWDM(Dense Wevelength Division Mutiplexing:高密度波長分割多重)を含む(以下同様)。この種の伝送方式においては、光ファイバ伝送路の途中に波長弁別器や光増幅器等のWDM部品が設置されるのが通例であり、また近年、伝送容量向上のために、これらのWDM部品を偏波保持型のもので構成することが開発され、利用されつつある。
【0003】
このようなWDM用の波長弁別器としては、例えば図1に示すように、二本の光ファイバ6、8が挿入固定された第一の毛細管(ガラスキャピラリ)1の一側方に、コリメート用の円柱状GRIN(graded index:屈折率分布型)レンズ2と、波長弁別用のフィルタ素子(WDMフィルタ)3と、集光用の円柱状GRINレンズ4と、一本の光ファイバ7が挿入固定された第二の毛細管5とを、順々に配列した構造のものが存在する。尚、偏波保持型の波長弁別器も構造上は同様である。
【0004】
この構成によれば、第一の毛細管1のポートAから一方の光ファイバ6及び円柱状GRINレンズ2を通過してフィルタ素子3に入射した光は、必要な波長の光信号が円柱状GRINレンズ4及び第二の毛細管5の光ファイバ7を通過してポートCに至るのに対して、不要な波長の光信号はフィルタ素子3で反射した後に円柱状GRINレンズ2及び第一の毛細管1の他方の光ファイバ8を通過してポートBから出射され、異なる波長に対応するフィルタ素子を備えた同様のWDM部品に導かれる。尚、同図に示す各構成要素の形状、大きさ、相互間離隔寸法等は、便宜上、模式的なものであると共に、光の光路についても、屈折等を考慮しない模式的なものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記第一の毛細管1には、二本の光ファイバ6、8を挿入固定するための二つの挿入孔が形成されるが、この二つの挿入孔の配設位置が適切でなければ、第一の毛細管1の機械的強度に偏りが生じるなどして耐久性の低下を招くばかりでなく、円柱状GRINレンズ2と組み合わせる際の光軸の心出し作業が困難になる等の不具合を招く。
【0006】
しかも、上記二つの挿入孔は、その軸直角断面形状が真円形または略真円形とされているのが通例であって、その内径は光ファイバの外径よりも僅かに大きくされているに過ぎないため、この挿入孔に光ファイバを挿入する際には、光ファイバの略全周が挿入孔と接触することになり、両者の接触面積及び摺動抵抗が大きくなって挿入作業の困難化を余儀なくされる。
【0007】
更に、上記挿入孔と光ファイバとの間には、この両者の固着に供される接着剤を充填するための充分な間隙を確保することが困難である。また、このような毛細管を偏波保持型のWDM部品に利用すると、温度変化による膨張収縮によって熱応力が生じた場合に光ファイバが圧縮されて偏波方向が変化する等の不具合を招く。
【0008】
これに対処すべく、接着剤を充填するための充分な間隙を設けた場合には、挿入孔に対する光ファイバの軸心の相対位置が一義的に決まらず、常に正確な位置に光ファイバを保持できなくなり、所要の光学的特性が得られなくなるという難点がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、毛細管に形成される光ファイバ挿入固定用の二つの挿入孔の構成に改良を加えることにより、他の光学素子とのアライメントの簡略化、挿入孔への光ファイバの挿入作業の容易化、または偏波特性の適正化を図りつつ、挿入孔に対して光ファイバの軸心を精度良く保持させることを技術的課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を達成するため、本発明は、内部に光ファイバがそれぞれ挿着される二つの挿入孔を有するガラス材料からなる円柱体の光ファイバ用毛細管において、上記二つの挿入孔は、それぞれの断面形状が略同形であって上記円柱体の中心(O)の両側に対称的に配置されると共に、上記挿入孔と光ファイバとの間に接着剤が充填される間隙を有して光ファイバが部分的に内接するようになっており、上記二つの挿入孔にそれぞれ挿着された光ファイバの相互の中心(O1)、(O2)間の距離(S)が0.25mm未満になるように構成され、且つ、上記円柱体の外径(D)が0.9mm〜2.5mmの円柱状GRINレンズの直径と略等しくなるように設定され、上記円柱体が、厚さ1mmについて波長が365nm〜500nmの光を60%以上透過させることに特徴づけられる。
【0011】
このような構成によれば、二つの挿入孔が円柱体の中心Oの両側に対称的に配置されていることから、機械的強度に偏りが生じなくなって耐久性が高められると共に、他の光学素子と組み合わせる際の光軸の心出し作業が容易になる。また、各挿入孔は、光ファイバが部分的に内接するように構成されていることから、挿入孔に対する光ファイバの相対位置が略一義的に決まり、光ファイバの軸心を精度良く位置決めできると共に、挿入孔に光ファイバを挿入する際には、挿入孔と光ファイバとの接触面積が小さくなることに伴って、両者間の摺動抵抗が小さくなるため、挿入作業が容易化されて作業時間の短縮及び作業能率の改善が図られる。更に、挿入孔と光ファイバとの間には接着剤が充填される間隙が存在していることから、数μmのマーキングを部分的に塗った光ファイバであっても、そのマーキングを間隙に位置させれば、光ファイバを挿入孔に容易に挿入することが可能となる。しかも、この毛細管を偏波保持型のWDM部品に適用する場合には、接着剤が充填される間隙の広くなっている部位に偏波保持型光ファイバの応力付加の方向を位置させれば、その硬化時の熱応力による光ファイバの圧縮及びこれに起因する偏波方向の変化等の不都合が緩和される。尚、二本の光ファイバの中心O1、O2間の距離Sは、この毛細管と組み合わされる光学素子、例えば既述のWDM部品の円柱状GRINレンズに対して適切に光信号を送受信できる所定値に設定される。更に、二つの挿入孔に挿着される光ファイバの中心間距離Sを0.25mm未満に設定したから、例えば既述の円柱状GRINレンズの小型化や小径化に対応させることが可能になると共に、二本の光ファイバが円柱体の軸心部に近づくため、導波路の光学的特性が向上し、例えば既述のフィルタ素子での光の反射角度を小さくしてその出力光の損失を低減させることが可能となる。尚、各挿入孔の内径は、例えば0.127mm程度に設定するのが通例であるため、二つの挿入孔の中心間距離Sの下限値は、例えば0.13mm以上または0.14mm以上に設定される。また、円柱体の外径Dを、円柱状GRINレンズの直径と略等しくなるように設定すれば、この両者を組み合わせて例えばWDM部品を製作する際のアライメント及びアッセンブリが容易化され、組み立て作業の能率が向上する。尚、円柱体の外径Dを0.9mm〜2.5mmに設定すれば、既存の大半の円柱状GRINレンズに対応可能となる。しかも、上記円柱体は、厚さ1mmについて波長が365nm〜500nmの光を60%以上透過させるものであることから、円柱体の挿入孔に光ファイバを固定するに際して、光硬化性接着剤(紫外線硬化性接着剤)が使用可能となり、組立作業の能率向上及び製造コストの低廉化が図られる。
【0012】
この場合、上記二つの挿入孔の断面形状は、上記二つの挿入孔にそれぞれ挿着された光ファイバの両中心(O1)、(O2)を通る第一中心線(Y)に直交し且つ該第一中心線(Y)における上記両中心(O1)、(O2)の相互間中央を通る第二中心線(X)を基準として、略対称な長円形とすることができる。加えて、上記二つの挿入孔の断面形状が、上記二つの挿入孔にそれぞれ挿着された光ファイバの両中心(O1)、(O2)を通る第一中心線(Y)と平行で且つ上記両中心(O1)、(O2)を通る直線(Y1)、(Y2)をそれぞれ基準として、非対称な長円形とすることもできる。
【0013】
また、上記円柱体のガラス材料は、アルカリイオンを含有し、イオン交換により表面に圧縮応力を生じさせて機械強度を強化したものであることが好ましい。このようにすれば、搬送時や取り扱い時の破損或いは損傷等が抑制され、光ファイバ挿入固定後の製品の信頼性が向上する。
【0014】
そして、以上の構成を備えた光ファイバ用毛細管の製造方法としては、内部に光ファイバがそれぞれ挿着される二つの挿入孔を形成するに際して、軟化流動するガラス材料の挿入孔となるべき孔にエアブロー処理またはバキューム処理を施しながら、上記ガラス材料を成形し、光ファイバ用毛細管を作製することが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1はこの実施形態に係る光ファイバ用毛細管が使用されるWDM部品を模式的に示す概略構成図、図2はその光ファイバ用毛細管の一端面及び縦断面を示す概略図である。尚、図1に示すWDM部品は、例えば波長弁別器であって、これに装備される毛細管1は、フィルタ素子3に対する入射光と反射光とをそれぞれ別々に通過させる二本の光ファイバ6,8が挿入固定されるものである。また、偏波保持型のWDM部品の構造も同様である。これらの構成及び作用については既に述べた通りであるので、ここではその説明を省略する。
【0016】
図2(a)、(b)に示すように、光ファイバ用毛細管(既述の図1に基づく説明では第一の毛細管)1は、円柱体10に二本の光ファイバ(例えば二本の偏波保持型光ファイバ)6,8を相互に平行に挿入固定するための二つの挿入孔11を備える。円柱体10の外径寸法Dは、0.9mm〜2.5mmであって、軸方向寸法Lが2.0mm〜300mmに設定される。二つの挿入孔11は、同図(a)に示すように、円柱体10の軸直角断面における中心O(第一中心線Y)に対して両側に対称もしくは略対称に配列され、この二つの挿入孔11に部分的に内接する光ファイバ6,8の中心間距離Sは、0.25mm未満または0.24mm未満に設定される。そして、この実施形態では、各挿入孔11の直径つまり各挿入孔11の内接円の直径dが、0.125mm〜0.13mm好ましくは0.127mmであることを勘案して、上記中心間距離Sの下限値は、0.13mmまたは0.14mmに設定される。
【0017】
上記二つの挿入孔11の各軸直角断面形状は、第一中心線Yと直交する第二中心線Xに対して両側に対称もしくは略対称な長円形を呈している。更に、これらの挿入孔11の各軸直角断面形状は、それぞれに部分的に内接する光ファイバ6,8の中心O1、O2を通り且つ第一中心線Yと平行な直線Y1、Y2に対して両側に非対称な長円形となるが、これとは別に、直線Y1、Y2に対して両側に対称もしくは略対称であって、且つ直線Y1、Y2に沿う方向に長尺な長円形または第二中心線Xに沿う方向に長尺な長円形であってもよい。この場合、光ファイバ6,8は、挿入孔11に対して略一義的に軸心の位置が決まるように、換言すれば挿入孔11に対する光ファイバ6,8の相対位置にズレが殆ど生じないように、光ファイバ6,8が挿入孔11に部分的に内接している。この実施形態では、光ファイバ6,8の外周面と挿入孔11の内周面とが、二箇所(或いは三箇所)で接触または略接触している。
【0018】
ところで、挿入孔11を形成するに際して、流動するガラスの挿入孔11となるべき孔にエアブロー処理を施しながら成形する製造方法を採用した場合には、図3に示すように、各挿入孔11の第一中心線Y側の部分における第二中心線Xを含む領域に、相対的に曲率の小さい円弧11a(内接円より曲率が小さい)が形成され、且つ、各挿入孔11の第一中心線Y側と反対側の部分における第二中心線Xを含む領域に、相対的に曲率の大きい円弧11b(内接円より曲率が小さい)が形成される。そして、全体的には、上記直線Y1、Y2に沿う方向に長尺な長円形をなしている。
【0019】
これに対して、流動するガラスの挿入孔11となるべき孔にバキューム処理を施しながら成形する製造方法を採用した場合には、図4に示すように、各挿入孔11の第一中心線Y側の部分における第二中心線Xを含む領域に、相対的に曲率の大きい円弧11c(内接円より曲率が大きい)が形成され、且つ、各挿入孔11の第一中心線Y側と反対側の部分における第二中心線Xを含む領域に、相対的に曲率の小さい円弧11d(内接円と曲率が略同じ)が形成される。そして、全体的には、上記第二中心線Xに沿う方向に長尺な長円形をなしている。
【0020】
上記微小柱状体10は、アルカリイオンを含有するガラス材料で形成され、イオン交換により表面に圧縮応力層が生じて機械強度が強化されると共に、1mmの厚さに対して波長が365nm〜400nmの光を60%以上透過させる特性を備えている。
【0021】
以上のような構成を備えた光ファイバ用毛細管1によれば、計二つの挿入孔11が、円柱体10の第一中心線Yの両側に均等に振り分けられるため、毛細管として幾何学的に好ましい形態が得られると共に、剛性等の機械的特性に偏りが生じなくなって耐久性が高められ、且つ、二つの挿入孔11が第一中心線Yに対して対称でない場合と比較して、GRINレンズ2、4やフィルタ素子3等の他の光学素子と組み合わせた際の光軸の心出し作業等が容易化される。
【0022】
また、円柱体10の外径寸法Dは、0.9mm〜2.5mmに設定されているので、既存の大半の円柱状GRINレンズ2,4、即ち0.9mm〜2.5mmの外径寸法を有する円柱状GRINレンズ2,4とのアライメントやアッセンブリが簡易化され、作業能率が向上する。しかも、二つの挿入孔の中心間距離Sは、0.25mm未満に設定されているので、円柱状GRINレンズ2,4やフィルタ素子3の小型化或いは小径化に対応させることが可能になると共に、二本の光ファイバ6,8が円柱体10の軸心部に近づくため、導波路の光学的特性が最適な状態となり、例えばフィルタ素子3での光の反射角度を小さくしてその出力光の損失を低減させることが可能となる。
【0023】
更に、二つの挿入孔11の軸直角断面が長円形とされているので、これに光ファイバ6,8を挿入する際には、真円形である場合に比して、挿入孔11の内周面と光ファイバ6,8の外周面との接触面積が小さくなって、両者間の摺動抵抗が小さくなると共に、挿入孔11に多量の接着剤を充填させた場合であっても光ファイバ6,8の挿入に支障が生じなくなり、挿入作業が容易化されて作業時間の短縮及び作業能率の改善が図られる。しかも、二つの挿入孔11に光ファイバ6,8が部分的に内接して、その軸心が常に正確な位置に維持されるため、適正な光学的特性を確保することができる。
【0024】
また、この挿入作業時には、挿入孔11の内周面と光ファイバ6,8の外周面との間に形成される隙間に、広い部分と狭い部分とが存在することになるため、数μmのマーキングを部分的に塗った光ファイバ6(8)であっても、そのマーキングを広い部分の隙間に位置させれば、光ファイバ6(8)を挿入孔11に容易に挿入することが可能となる。これにより、二本の光ファイバ6,8の種類が異なる場合に、何れの光ファイバ6,8が何れの挿入孔11に挿入されているかを容易に知得できることになる。
【0025】
更に、光ファイバ6,8の挿入後の保持固定時においては、挿入孔11の内周面と光ファイバ6,8の外周面との間に形成される接着剤層に厚い部分と薄い部分とが存在することになるため、接着剤層の厚い部分側に偏波保持型光ファイバの応力付加の方向を位置させれば、その硬化時の熱応力による光ファイバ6,8の圧縮及びこれに起因する偏波方向の変化等の不都合が緩和される。
【0026】
しかも、挿入孔11の各軸直角断面形状は、その内接円の中心O1、O2を通り且つ第一中心線Yと平行な直線Y1、Y2に対して非対称であるため、孔加工の複雑化を招くことなく挿入孔11の形状を長円形にすることができる。
【0027】
一方、円柱体10は、厚さ1mmにつき波長が365nm〜400nmの光を60%以上透過させる特性を備えているので、円柱体10の挿入孔11に光ファイバ6,8を固定するに際して、光硬化性接着剤(紫外線硬化性接着剤)が使用可能となり、組立作業の能率向上及び製造コストの低廉化が図られる。また、円柱体10は、アルカリイオンを含有するガラス材料で形成され、イオン交換により表面に圧縮応力層が生じて機械強度が強化されているので、搬送時や取り扱い時の破損或いは損傷等が抑制されると共に、光ファイバ6,8の挿入固定後の製品の信頼性を向上させることが可能となる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る光ファイバ用毛細管によれば、二つの挿入孔を円柱体の中心の両側に対称的に配置したから、偏りのない機械的強度及び高い耐久性を確保できると共に、他の光学素子と組み合わせる際の光軸の心出し作業が容易になる。また、各挿入孔を、光ファイバが部分的に内接する形状としたから、その内接部の存在により挿入孔に対して光ファイバの軸心を精度良く位置決めできると共に、光ファイバを挿入する際における挿入孔と光ファイバとの接触面積ひいては両者の摺動抵抗が小さくなり、挿入作業の容易化、作業時間の短縮及び作業能率の改善が図られる。更に、挿入孔と光ファイバとの間には接着剤が充填される間隙が存在していることから、数μmのマーキングを部分的に塗った光ファイバであっても、そのマーキングを間隙に位置させることにより、光ファイバの挿入作業に支障が生じるという不具合が回避される。しかも、接着剤が充填される間隙には広い部分と狭い部分とが必然的に存在するため、この毛細管を偏波保持型のWDM部品等に適用する場合には、間隙の広い部分に偏波保持型光ファイバの応力付加の方向を位置させることにより、接着剤の硬化時の熱応力による光ファイバの圧縮及びこれに起因する偏波方向の変化等の不都合が緩和される。
【0029】
加えて、二つの挿入孔にそれぞれ挿着される光ファイバの中心間距離を0.25mm未満に設定したから、これと組み合わされる円柱状GRINレンズ等の小型化や小径化に対応させることが可能になり、更には二本の光ファイバが円柱体の軸心部に近づくため、導波路の光学的特性が向上し、例えばフィルタ素子での光の反射角度を小さくしてその出力光の損失を低減させることが可能となる。また、円柱体の外径を、円柱状GRINレンズの直径と略等しくなるように設定することにより、この両者を組み合わせて例えばWDM部品を製作する際のアライメント及びアッセンブリが容易化され、組み立て作業の能率が向上する。
【0030】
更に、上記円柱体は、厚さ1mmについて波長が365nm〜500nmの光を60%以上透過させるものであることから、円柱体の挿入孔に光ファイバを固定するに際して、光硬化性接着剤(紫外線硬化性接着剤)が使用可能となり、組立作業の能率向上及び製造コストの低廉化が図られる。
【0031】
また、上記円柱体のガラス材料が、アルカリイオンを含有し、イオン交換により表面に圧縮応力を生じさせて機械強度を強化したものであることにより、搬送時や取り扱い時の破損或いは損傷等が抑制され、光ファイバ挿入固定後の製品の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ファイバ用毛細管が使用されたWDM部品を示す概略構成図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施形態に係る光ファイバ用毛細管の正面図、図2(b)は、その縦断側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光ファイバ用毛細管の拡大正面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る光ファイバ用毛細管の拡大正面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ用毛細管(第一の毛細管)
2 GRINレンズ
3 フィルタ素子
6 光ファイバ
8 光ファイバ
10 円柱体
11 挿入孔
D 円柱体の外径
O 円柱体の中心
O1 光ファイバの中心
O2 光ファイバの中心
S 中心間距離
Claims (5)
- 内部に光ファイバがそれぞれ挿着される二つの挿入孔を有するガラス材料からなる円柱体の光ファイバ用毛細管において、
上記二つの挿入孔は、それぞれの断面形状が略同形であって上記円柱体の中心(O)の両側に対称的に配置されると共に、上記挿入孔と光ファイバとの間に接着剤が充填される間隙を有して光ファイバが部分的に内接するようになっており、上記二つの挿入孔にそれぞれ挿着された光ファイバの相互の中心(O1)、(O2)間の距離(S)が0.25mm未満になるように構成され、且つ、上記円柱体の外径(D)が0.9mm〜2.5mmの円柱状GRINレンズの直径と略等しくなるように設定され、上記円柱体が、厚さ1mmについて波長が365nm〜500nmの光を60%以上透過させることを特徴とする光ファイバ用毛細管。 - 上記二つの挿入孔の断面形状が、上記二つの挿入孔にそれぞれ挿着された光ファイバの両中心(O1)、(O2)を通る第一中心線(Y)に直交し且つ該第一中心線(Y)における上記両中心(O1)、(O2)の相互間中央を通る第二中心線(X)を基準として、略対称な長円形であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ用毛細管。
- 上記二つの挿入孔の断面形状が、上記二つの挿入孔にそれぞれ挿着された光ファイバの両中心(O1)、(O2)を通る第一中心線(Y)と平行で且つ上記両中心(O1)、(O2)を通る直線(Y1)、(Y2)をそれぞれ基準として、非対称な長円形であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ用毛細管。
- 上記円柱体のガラス材料がアルカリイオンを含有しており、イオン交換により表面に圧縮応力を生じさせて機械強度を強化したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光ファイバ用毛細管。
- 請求項1〜4の何れかに記載の光ファイバ用毛細管の製造方法であって、内部に光ファイバがそれぞれ挿着される二つの挿入孔を形成するに際して、軟化流動するガラス材料の挿入孔となるべき孔にエアブロー処理またはバキューム処理を施しながら、上記ガラス材料を成形し、光ファイバ用毛細管を作製することを特徴とする光ファイバ用毛細管の製造方法。
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