JP3779792B2 - 触媒燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は主として、家庭用、または業務用の給湯、暖房に適用する触媒燃焼装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
白金やパラジウム等の貴金属触媒をコージライト等の坦体に担持した触媒体を触媒燃焼させ、熱交換部を設けて燃焼熱を暖房等に利用する触媒燃焼装置が提案されている(例えば、特願平4−302347)。この従来の触媒燃焼装置では、ハニカム状の触媒体の、混合気上流側に触媒体からの輻射を受けるように熱交換部を設置しており、触媒燃焼開始時は予熱バーナで火炎燃焼させて触媒体を活性化温度以上に加熱した後、混合気の供給を停止して予熱バーナの火炎を消炎させ、再び、混合気を供給して触媒燃焼させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の触媒燃焼装置には以下のような課題がある。
【0004】
まず、触媒燃焼は燃焼温度が低いため、熱交換量を増加させようとすると、触媒体が大きくなり、機器全体として小型化を実現し難かった。触媒体が大きくなると、特に低燃焼量領域で燃焼安定性が不十分となりやすく、燃焼量可変範囲を拡大し難くなる。一方、触媒体を小さくして小型化を図ろうとすると、触媒体の温度が上昇し、耐熱限界を超えてしまうという課題があった。また、触媒燃焼開始時に予熱バーナで火炎燃焼させた後、混合気の供給を停止して予熱バーナの火炎を消炎させ、再び、混合気を供給して触媒燃焼させる方法は制御が複雑になりやすいとともに、火炎燃焼時に窒素酸化物(NOx)が発生するという課題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の触媒燃焼装置の課題を考慮し、小型化を図ることができるとともに、燃焼量可変範囲(TDR)を拡大することも可能となる触媒燃焼装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、第一の手段として、燃料と空気の混合ガス供給部と、混合ガス供給部の流れ方向下流に対向して設けた通気性を有する2枚の平面状の触媒体と、2枚の触媒体の間に形成した混合気経路を設け、混合気経路に、被加熱流体を入れた熱交換部を有する輻射受熱体を触媒体が、触媒体に対面して設けられている触媒燃焼装置とする。
【0007】
第二の手段として、燃料と空気の混合ガス供給部と、混合ガス供給部の流れ方向下流に対向して設けた通気性を有する2枚の平面状の触媒体と、2枚の触媒体の間に形成した混合気経路を設け、混合気経路に、被加熱流体が内部を流れる熱交換部を外部から間接加熱するための熱媒体を封入した輻射間接受熱体が、触媒体に対面して設けられている触媒燃焼装置とする。
【0008】
第三の手段として、前記輻射受熱体の上流側に電気ヒータが設けられ、燃焼開始時に前記電気ヒータに通電し、燃焼用空気を流入して2枚の平面状の触媒体を加熱した後、前記電気ヒータへの通電を停止し、燃料を供給して触媒燃焼を開始する第一の手段の触媒燃焼装置とする。
【0009】
第四の手段として、前記輻射間接受熱体の上流側に電気ヒータが設けられ、燃焼開始時に前記電気ヒータに通電し、燃焼用空気を流入して2枚の平面状の触媒体を加熱した後、前記電気ヒータへの通電を停止し、燃料を供給して触媒燃焼を開始する第二の手段の触媒燃焼装置とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて本発明の実施の形態1について説明する。図1は実施の形態1の断面図である。実施の形態1の触媒燃焼装置の主要部は、触媒体1、触媒体支持2、固定板3、燃焼室壁4、輻射受熱体5、輻射受熱体5の熱交換部5a、輻射受熱体5の受熱板部5b、整流部6、混合気経路7、排気熱交換体8、排気熱交換体8の熱交換部8a、排気熱交換体8の突出部(フィン)8b、排気経路9、排気孔10で構成している。
【0012】
触媒体1は通気性を有するコージライトハニカムを担体とし、パラジウム、白金等の貴金属系触媒を担持したものである。触媒体1は2枚、混合気上流側が内側になるように所定距離を設けて対向させている。輻射受熱体5は2枚の触媒体1の間に輻射を受けやすいように触媒体1に対向して設けており、輻射受熱体5の両側に受熱板部5bを設け、受熱板部5bの間に熱交換部5aをはさみこむようにして接合している。熱交換部5aには被加熱流体を入れている。整流部6は輻射受熱体5の混合気上流側に設けている。触媒体1の外側に排気経路9を介して排気熱交換体8を設置しており、排気熱交換体8の外側に熱交換部8aを設けている。混合気経路7の上流側には、混合気噴出孔11、混合ガス供給部12を設けており、混合気噴出孔11の下流側に点火ヒータ13を設置している。
【0013】
次に、本実施の形態の動作について説明を行なう。
【0014】
まず、燃焼開始時には点火ヒータ13に通電して混合気を混合ガス供給部12から供給し、混合気噴出孔11に火炎を形成し、触媒体1を活性化温度以上に加熱した後、燃料の供給を停止して混合気噴出孔11の火炎を消炎させ、再び、燃料を供給して触媒燃焼させる。触媒燃焼時に触媒体1の上流面が赤熱され、上流側に放射エネルギーが射出される。この放射エネルギーは輻射受熱体5で吸収されて再び熱エネルギーに変換されることにより、触媒体1から輻射受熱体5へ放射伝熱される。その後、熱エネルギーは熱伝導により、輻射受熱体の受熱板部5bから熱交換部5aを通り、さらに対流熱伝達により、熱交換部5a内の被加熱流体へ伝熱される。放射伝熱は混合気の流れを乱さないため、触媒体1上流面における燃焼反応が阻害されることがなく、被加熱流体への熱交換量を増加させても燃焼安定性を確保することができる。
【0015】
触媒体1を通過した燃焼ガスは外側の排気経路9を通り、排気孔10から排出される。排気経路9では、燃焼ガスの熱が対流熱伝達により、排気熱交換体8へ伝熱される。触媒体1の下流側表面温度が高い時には、触媒体1から排気熱交換体8への放射伝熱も有効となる。その後、熱は熱伝導により、排気熱交換体の突出部(フィン)8bから熱交換部8aを通り、さらに対流熱伝達により、熱交換部8a内の被加熱流体へ伝熱される。
【0016】
この構成により、高燃焼量領域において、触媒体1の上流側表面温度を低減して耐熱限界温度以下に抑制し、高負荷タイプの熱交換一体型触媒燃焼器を実現できるため、機器の小型化が可能となる。
【0017】
このように、混合ガス供給部12と、混合ガス供給部12の流れ方向下流に対向して設けた通気性を有する2枚の平面状の触媒体1と、2枚の触媒体1の間に形成した混合気経路7を設けることにより、触媒燃焼装置として、小型化を図ることができるとともに、触媒体1上流側を保温領域とし、低燃焼量領域における燃焼安定性を向上させて燃焼量可変範囲(TDR)を拡大することも可能となる。
【0018】
また、輻射受熱体5の混合気上流側に整流部6を設けることにより、よどみ点を形成して混合気の流れを均一化するとともに、混合気の濃度分布を改善し、触媒反応の均一化を促進することができる。また、混合気噴出孔11に火炎を形成する時には、整流部6が保炎作用を成し、火炎安定性を高めることもできる。
【0019】
また、2枚の平面状の触媒体1の外側に排気経路9を介して排気熱交換体8を設けることにより、輻射伝熱も活かし、機器として、小型高効率化を図ることが可能となる。
【0020】
また、排気熱交換体8の内面に突出部(フィン)8bを設け、排気熱交換体8の内面側を高輻射材で被覆することにより、伝熱面積を増加させて対流熱伝達性能を高めるとともに、触媒体1からの放射伝熱効率も向上させることができる。
【0021】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図2は実施の形態2の断面図である。実施の形態2の触媒燃焼装置には被加熱流体を入れた熱交換部5aを有する輻射受熱体5がなく、輻射受熱板14を設けている。輻射受熱板14としては、アルミ合金を用いているが、熱伝導率が高く、耐熱性が優れているものであれば良い。
【0022】
実施の形態2では、触媒体1からの放射エネルギーを輻射受熱板14で吸収し、熱エネルギーに変換することにより、触媒体1から輻射受熱板14へ放射伝熱される。その後、熱エネルギーは熱伝導により、輻射受熱板14から排気熱交換体の熱交換部8aを通り、さらに対流熱伝達により、熱交換部8a内の被加熱流体へ伝熱される。輻射受熱板14から排気熱交換体8の熱交換部8aまでが熱抵抗となるため、実施の形態1に比較すると、触媒体1から被加熱流体への伝熱効率は低下しやすいが、機器構成を簡素化できるため、低コスト化が可能となる。また、熱交換部8a近傍に熱抵抗があるため、液体燃料を使用した場合にタール等を生成することがなく、信頼性を確保することができる。
【0023】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図3は実施の形態3の断面図である。実施の形態3の触媒燃焼装置には、混合気経路7に、輻射間接受熱体16を触媒体1に対面して設けている。この輻射間接受熱体16には、熱媒体15が封入され、その中に、被加熱流体を入れた熱交換部5aが配接されている。熱媒体15としては、エチレングリコール水溶液を用いているが、冷凍サイクル等で用いられるブライン類で良い。
【0024】
実施の形態3では、触媒体1からの放射エネルギーを輻射間接受熱体16で吸収し、熱エネルギーに変換することにより、触媒体1から輻射間接受熱体16へ放射伝熱される。その後、熱エネルギーは対流熱伝達により、熱媒体15を介して熱交換部5a内の被加熱流体へ伝熱される。熱媒体15による間接加熱のため、実施の形態1に比較すると、触媒体1から被加熱流体への伝熱効率は低下しやすいが、均一加熱を実現できるため、被加熱流体を局部的に過熱することがなく、機器として、信頼性を高めることが可能となる。
【0025】
輻射受熱体5、輻射受熱板14、または輻射間接受熱体16の受熱面側を高輻射材で被覆することにより、触媒体1からの放射伝熱効率を向上させることができる。
【0026】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。図4は実施の形態4の断面図である。実施の形態4の触媒燃焼装置には点火ヒータ13がなく、触媒体予熱用電気ヒータ17を設けている。実施の形態4では、触媒体予熱用電気ヒータ17を輻射受熱体5の上流側に設けているが、図2の輻射受熱板14や図3の輻射間接受熱体16の上流側に設けても良い。
【0027】
燃焼開始時には触媒体予熱用電気ヒータ17に通電し、燃焼用空気を流入して2枚の平面状の触媒体1を活性化温度以上に加熱した後、触媒体予熱用電気ヒータ17への通電を停止し、燃料を供給して触媒燃焼を開始する。触媒体1を対流熱伝達により、均一に予熱できるとともに、触媒体1を火炎予熱する場合と異なり、NOxの発生がなく、立ち上げ時の制御も容易である。
【0028】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の触媒燃焼装置によれば、次のような効果を得ることができる。
【0029】
すなわち、2枚の平面状の触媒体を対向させ、触媒体の間に混合気経路を形成することにより、触媒燃焼装置として、小型化を図ることができるとともに、触媒体上流側を保温領域とし、低燃焼量領域における燃焼安定性を向上させて、TDRを拡大することも可能となる。
【0030】
2枚の触媒体の間の混合気経路に、被加熱流体を入れた熱交換部を有する輻射受熱体を触媒体に対面して設けることにより、高燃焼量領域において、触媒体の上流側表面温度を低減して耐熱限界温度以下に抑制し、高負荷タイプの熱交換一体型触媒燃焼器を実現することができる。
【0031】
混合気経路に、輻射受熱板を触媒体に対面して設けることにより、機器構成を簡素化し、低コスト化を図れるとともに、液体燃料を使用した場合にタール等の生成を防止することができる。
【0032】
混合気経路に、被加熱流体を入れた熱交換部を外部から間接加熱する熱媒体を封入した輻射間接受熱体を触媒体に対面して設けることにより、均一加熱を実現できるため、被加熱流体を局部的に過熱することがなく、機器として、信頼性を高めることが可能となる。
【0033】
輻射受熱体等の上流側に電気ヒータを設け、燃焼開始時に電気ヒータに通電し、燃焼用空気を流入して触媒体を加熱した後、電気ヒータへの通電を停止し、燃料を供給して触媒燃焼を開始することにより、触媒体を対流熱伝達により、均一に予熱できるとともに、NOxの発生がなく、立ち上げ時の制御も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の触媒燃焼装置の断面図
【図2】本発明の実施の形態2の触媒燃焼装置の断面図
【図3】本発明の実施の形態3の触媒燃焼装置の断面図
【図4】本発明の実施の形態4の触媒燃焼装置の断面図
【符号の説明】
1 触媒体
5 輻射受熱体
6 整流部
7 混合気経路
8 排気熱交換体
14 輻射受熱板
15 熱媒体
16 輻射間接受熱体
17 触媒体予熱用電気ヒータ
Claims (9)
- 燃料と空気の混合ガス供給部と、前記混合ガス供給部の流れ方向下流側に、対向して設けられた、通気性を有する2枚の平面状の触媒体と、前記2枚の触媒体の間に形成された混合気経路とを備え、前記混合気経路に、被加熱流体を入れた熱交換部を有する輻射受熱体が、前記触媒体に対面した状態で設けられていることを特徴とする触媒燃焼装置。
- 前記輻射受熱体の混合気上流側に整流部が設けられた請求項1記載の触媒燃焼装置。
- 燃料と空気の混合ガス供給部と、前記混合ガス供給部の流れ方向下流側に、対向して設けられた、通気性を有する2枚の平面状の触媒体と、前記2枚の触媒体の間に形成された混合気経路とを備え、前記混合気経路に、被加熱流体が内部を流れる熱交換部を外部から間接加熱するための熱媒体を封入した輻射間接受熱体が、前記触媒体に対面した状態で設けられていることを特徴とする触媒燃焼装置。
- 前記輻射受熱体の受熱面側が高輻射材で被覆されている請求項1記載の触媒燃焼装置。
- 前記輻射間接受熱体の受熱面側が高輻射材で被覆されている請求項3記載の触媒燃焼装置。
- 前記輻射受熱体の上流側に電気ヒータが設けられ、燃焼開始時に前記電気ヒータに通電し、燃焼用空気を流入して2枚の平面状の触媒体を加熱した後、前記電気ヒータへの通電を停止し、燃料を供給して触媒燃焼を開始する請求項1記載の触媒燃焼装置。
- 前記輻射間接受熱体の上流側に電気ヒータが設けられ、燃焼開始時に前記電気ヒータに通電し、燃焼用空気を流入して2枚の平面状の触媒体を加熱した後、前記電気ヒータへの通電を停止し、燃料を供給して触媒燃焼を開始する請求項3記載の触媒燃焼装置。
- 2枚の平面状の触媒体の外側に排気経路を介して排気熱交換体が設けられた請求項1又は3記載の触媒燃焼装置。
- 前記排気熱交換体の内面に突出部が設けられ、前記排気熱交換体の内面側が高輻射材で被覆されている請求項8記載の触媒燃焼装置。
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1997
- 1997-05-01 JP JP11409597A patent/JP3779792B2/ja not_active Expired - Lifetime
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