JP3776193B2 - ポリオキシメチレン樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオキシメチレン樹脂はバランスのとれた機械的性質と優れた成形性をもつエンジニアリング樹脂として、自動車部品、電気・電子製品等の分野で広く用いられている。ポリオキシメチレン樹脂に熱安定剤を配合することはその品質保持のため必要なことであり、従来種々の工夫や提案がなされている。例えば、メラミン又はその誘導体、アルカリ金属脂肪酸塩、アミド類、ポリアミド類、ポリ−β−アラニン、ポリアクリルアミド、その他種々の化合物を単独又はヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、紫外線吸収剤などと組み合わせて用いる事が提案され実用に供されているが、射出成形機に長期に滞留させた場合に発生するシルバー(銀条)を抑える効果は不十分であった。
【0003】
一方、リン酸カルシウムを熱可塑性重合体に用いる技術としては、特開昭47−9033号公報に熱可塑性フィルムを製造する際に0.05〜5μmの平均粒子径を有するリン酸カルシウムを少なくとも100ppm分散させることを特徴とする熱可塑性フィルムの製造方法が開示されているが、熱可塑性樹脂としてポリエステルが示されてだけであり、本発明のごとく熱安定性の改良効果は示されていない。リン酸カルシウムをポリオキシメチレン樹脂に用いる技術としては、特開平5−186633号公報に一種以上の有機ポリマーと一種以上の炭素含有顔料からなるプラスチック成形組成物が開示されており、炭素含有顔料は獣炭、骨炭およびアイボリーホワイトとして知られるもので、70〜90重量%のリン酸カルシウムと30〜10重量%の炭素からなっている。この組成物は特定の波長範囲で光に対して部分的に透明である事を特徴としており、リン酸カルシウムの単独使用や本発明で示す様な熱安定性に関する効果は記載されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情のもとで、熱安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂を開発する目的でなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリオキシメチレン樹脂の熱安定性、特に射出成形機に樹脂を滞留させた場合に発生するシルバー(銀条)を改良すべく検討した結果、新規な熱安定剤としてリン酸カルシウムが著しく効果を発揮する事を見いだし本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、
1.(A)両末端をエーテル結合、エステル結合などで封鎖されたポリオキシメチレンホモポリマーあるいはオキシアルキレン単位を含有するポリオキシメチレンコポリマーおよび片末端が異種成分で封鎖されたポリオキシメチレンブロックコポリマーの少なくとも一種から選ばれるポリオキシメチレン樹脂に、(Bヒドロキシアパタイトを坦体としてこれに金属を坦持させた物を焼成した焼成金属坦持ヒドロキシアパタイトポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して0.01〜30重量部添加する事を特徴とするポリオキシメチレン樹脂組成物、
2.(B)ヒドロキシアパタイトを坦体としてこれに金属を坦持させた物を焼成した焼成金属坦持ヒドロキシアパタイトの金属成分が、銀、亜鉛および銅である上記1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物、
3.(B)ヒドロキシアパタイトを坦体としてこれに金属を坦持させた物を焼成した焼成金属坦持ヒドロキシアパタイトの平均粒子径が0.01〜50μmの範囲である上記1又は2記載のポリオキシメチレン樹脂組成物、
.上記1、2又は3記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる成形体、
を提供するものである。
【0007】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の(A)成分に用いられるポリオキシメチレン樹脂は、ホルムアルデヒド又はその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンなどの環状オリゴマーを重合し重合体の末端をエーテル基、エステル基により封鎖したホモポリマーをはじめ、ホルムアルデヒド又はその3量体であるトリオキサンや4量体であるテトラオキサンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールなどのコモノマーとを共重合させたコポリマーやさらに分岐状分子鎖を有するものや、オキシメチレンブロツク共重合体などの少なくとも一種である。本発明で用いるポリオキシメチレンの溶融指数MI(ASTM−D1238−57Tの条件で測定)は0.1g/10分から150g/10分、好ましくは1g/10分から100g/10分である。またコポリマータイプのポリオキシメチレンにおいては、コモノマーの挿入量は、オキシメチレン100molに対し0.1から20mol、好ましくは0.3から10molである。さらに本発明で用いられるポリオキシメチレン樹脂は、後述する、ポリオキシメチレン樹脂に一般的に用いられる熱安定剤、耐候(光)安定剤、潤滑剤、オレフィン系樹脂、充填剤、顔料等を単独、または組み合わせて用いることが出来る。
【0008】
本発明に用いられる(B)成分に用いられるヒドロキシアパタイトとは、下記一般式で示されm/nのモル比が1.67の化合物である。
一般式:(Ca)(PO・OH
ヒドロキシアパタイトは、その結晶構造により非晶質、結晶質、六角柱状、板状等種々の構造をとるが何れの構造でも使用可能である。
【0009】
本発明において用いられる(B)成分のヒドロキシアパタイトを坦体としてこれに金属を坦持させた物を焼成した焼成金属坦持ヒドロキシアパタイトは、特開平2−180270号公報に示される製造方法に従って製造することが出来る。担持金属としては銀、亜鉛、銅が用いられ、その量はヒドロキシアパタイト100重量部に対して30〜0.0001重量部の割合で用いられる。
【0010】
本発明において(B)成分のヒドロキシアパタイトを坦体としてこれに金属を坦持させた物を焼成した焼成金属坦持ヒドロキシアパタイトの平均粒子径は0.01〜50μmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜20μmである。また、その添加量はポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して0.01〜30重量部、さらに好ましくは0.05〜20重量部である。
【0011】
本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物には、従来のポリオキシメチレン樹脂に使用されている安定剤、例えば熱安定剤、耐候(光)安定剤を単独、又はこれらを組み合わせて用いることが出来る。熱安定剤としては酸化防止剤、ホルムアルデヒドやぎ酸の捕捉剤又はこれらの併用が効果がある。酸化防止剤としては、ヒンダードフエノール系酸化防止剤が好ましく、例えば、n−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3′−メチル−5′−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N′−ビス−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N′−テトラメチレンビス−3−(3′−メチル−5′−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N′−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N′−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N′−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミド等が挙げられる。
【0012】
これらヒンダードフェノール系酸化防止剤のなかでもトリエチレングリコールービス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタンが好ましい。
ホルムアルデヒドやギ酸の捕捉剤としては、(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物および重合体、(ロ)アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩およびアルコキシド等が挙げられる。
【0013】
(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物としては、(1)ジシアンジアミド、(2)アミノ置換トリアジン、(3)アミノ置換トリアジンとホルムアルデヒドとの共縮合物等が挙げられる。(2)アミノ置換トリアジンとしては、例えば、グアナミン(2,4−ジアミノ−sym−トリアジン)、メラミン(2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン)、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N′,N″−トリフェニルメラミン、N−メチロールメラミン、N,N′−ジメチロールメラミン、N,N′,N″−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、2,4−ジオキシ−6−アミノ−sym−トリアジン(アメライト)、2−オキシ−4,6−ジアミノ−sym−トリアジン(アメリン)、N,N′,N′−テトラシアノエチルベンゾグアナミン等がある。(3)アミノ置換トリアジンとホルムアルデヒドとの共縮合物としては、例えば、メラミン−ホルムアルデヒド重縮合物等がある。これらの中で、ジシアンジアミド、メラミン及びメラミン−ホルムアルデヒド重縮合物が好ましい。
【0014】
さらに(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素基を有する重合体としては、(1)ポリアミド樹脂、(2)アクリルアミド及びその誘導体又はアクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られる重合体、(3)アクリルアミド及びその誘導体又はアクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとをラジカル重合の存在下で重合して得られる重合体、(4)アミン、アミド、尿素及びウレタン等窒素基を含有する重合体でも良い。
【0015】
(1)のポリアミド樹脂としてはナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12等及びこれらの共重合物、例えば、ナイロン6/6−6、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等が挙げられる。(2)アクリルアミド及びその誘導体又はアクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られる重合体としては、ポリ−β−アラニン共重合体が挙げられる。これらのポリマーは特公平6−12259号、特公平5−87096号、特公平5−47568号及び特開平3−234729号の各公報記載の方法で製造することができる。(3)アクリルアミド及びその誘導体又はアクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマーとをラジカル重合の存在下で重合して得られる重合体は、特開平3−28260号公報記載の方法で製造することが出来る。
【0016】
(ロ)アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩およびアルコキシドとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくはバリウムなどの水酸化物、該金属の炭酸塩、りん酸塩、けい酸塩、ほう酸塩、カルボン酸塩が挙げられる。該カルボン酸塩のカルボン酸は、10〜36個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸等であり、これらのカルボン酸はヒドロキシル基で置換されていてもよい。飽和脂肪族カルボン酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、セロプラスチン酸が挙げられる。不飽和脂肪族カルボン酸は、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸などが挙げられる。また、アルコキシドとして、上記金属のメトキシド、エトキシドなどが挙げられる。
【0017】
耐候(光)安定剤としては、(イ)ベンゾトリアゾール系物質、(ロ)シュウ酸アニリド系物質および(ハ)ヒンダードアミン系物質が好ましい。(イ)ベンゾトリアゾール系物質としては、例えば2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられ、好ましくは2−[2′−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾールである。
【0018】
(ロ)シュウ酸アニリド系物質としては、例えば、2−エトキシ−2′−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2′−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3′−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。これらの物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0019】
(ハ)ヒンダードアミン系物質としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート等が挙げられ、好ましくはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケートである。上記ヒンダードアミン系物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また上記ベンゾトリアゾール系物質、シュウ酸アニリド系物質とヒンダードアミン系物質の組合せが最も好ましい。
【0020】
本発明のポリオキシメチレン樹脂に用いられる潤滑剤として、アルコール、脂肪酸、およびアルコールと脂肪酸のエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、脂肪酸アミド、金属石鹸、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーンオイルが挙げられる。
アルコールとしては1価アルコール、多価アルコールがあり、例えば1価アルコールの例としては、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ベンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘブタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、ペヘニルアルコール、セリルアルコール。メリシルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−イソヘプチルイシウンデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール、2−ラチルステアリンアルコール、ユニリンアルコールがあげられる。
【0021】
多価アルコールとしては、2〜6個の炭素原子を含有する多価アルコールであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルバイト、ソルビタン、ソルビトール、マンニトールがあげられる。
【0022】
脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、アラギン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、セロプラスチン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸及びかかる成分を含有してなる天然に存在する脂肪酸またはこれらの混合物等が挙げられる。これらの脂肪酸はヒドロキシ基で置換されていてもよい。
【0023】
アルコールと脂肪酸のエステルとしては脂肪酸化合物の内、好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸から選ばれた脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトールから選ばれた多価アルコールとから誘導された脂肪酸エステルがある。これらの脂肪酸エステル化合物の水酸基は有っても良いし、無くても良い。何等制限するものではない。例えば、モノエステルであってもジエステル、トリエステルで有っても良い。またほう酸等で水酸基が封鎖されていても良い。好ましい脂肪酸エステルを例示すると、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリントリパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリントリベヘネート、グリセリンモノモンタネート、グリセリンジモンタネート、グリセリントリモンタネート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールジパルミテート、ペンタエリスリトールトリパルミテート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジベヘネート、ペンタエリスリトールトリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールモノモンタネート、ペンタエリスリトールジモンタネート、ペンタエリスリトールトリモンタネート、ペンタエリスリトールテトラモンタネート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンジベヘネート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタンモノモンタネート、ソルビタンジモンタネート、ソルビタントリモンタネート、ソルビトールモノパルミテート、ソルビトールジパルミテート、ソルビトールトリパルミテート、ソルビトールモノステアレート、ソルビトールジステアレート、ソルビトールトリステアレート、ソルビトールモノベヘネート、ソルビトールジベヘネート、ソルビトールトリベヘネートソルビトールモノモンタネート、ソルビトールジモンタネート、ソルビトールトリモンタネートである。また、ほう酸等で水酸基を封鎖した脂肪族エステル化合物としてグリセリンモノ脂肪酸エステルのほう酸エステルもあげられる。
【0024】
アルコールとジカルボン酸のエステルは、アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の飽和・不飽和アルコールと、ジカルボン酸としてシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカニン酸、ブラシリン酸、マレイン酸、フマール酸、グルタコン酸等とのモノエステル、ジエステルである。
【0025】
脂肪酸アミドとしては、C16以上の脂肪族カルボン酸と脂肪族アミンもしくは脂肪族ジアミンよりなる脂肪族アミド化合物が用いられる。かかる脂肪族アミドを構成するカルボン酸としては、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、セトレイン酸、エルカ酸等が挙げられる。また、アミンおよびジアミンとしてはアンモニア、エチレンジアミン等が挙げられる。かかるアミド化合物の例としてはステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、エチレンビスオレイルアミド等が挙げられる。
【0026】
金属石鹸としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
ポリオキシアルキレングリコールとして、例えば第一のグループとして、アルキレングリコールをモノマーとする重縮合物が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックポリマー等が挙げられる。これらの重合モル数の好ましい範囲は5〜1000、より好ましい範囲は10〜500である。第二のグループは、第一のグループと脂肪族アルコールとのエーテル化合物である。例えば、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜50)、ポリエチレングリコールセチルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜20)、ポリエチレングリコールステアリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数5〜30)、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数2〜100)、ポリエチレングリコールオキチルフェニルエーテル(エチレンオキサイド重合モル数4〜50)等が挙げられる。第三のグループは、第一のグループと高級脂肪酸とのエステル化合物である。例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜30)、ポリエチレングリコールモノステアレート(エチレンオキサイド重合モル数2〜50)、ポリエチレングリコールモノオレエート(エチレンオキサイド重合モル数2〜10)等が挙げられる。
【0027】
平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物とは下記一般式(1)で示される化合物である。
【0028】
【化1】
Figure 0003776193
【0029】
〔式中、R1、R2は水素、アルキル基、アリール基、エーテル基より選ばれ、各々同一でも異なっていても良い。nは平均重合度で10〜500である。〕
アルキル基としては、例えばエチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基等であり、アリール基としては、例えばフェニル基、p−ブチルフェニル基、p−オクチルフェニル基、p−ノニルフェニル基、ベンジル基、p−ブチルベンジル基、トリル基、キシリル基等がある。またエーテル基としては例えばエチルエーテル基、プロピルエーテル基、ブチルエーテル基等がある。具体的にオレフィン化合物を構成するモノマーとしてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等で表されるオレフィン系モノマー、又は、アレン、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロペンタジエン等で表されるジオレフィン系モノマーがある。これらオレフィン系モノマー、ジオレフィン系モノマーの2種以上を共重合して得られる化合物であってもかまわない。オレフィン化合物がジオレフィン系モノマーを重合して得られる化合物である場合は熱安定性向上の観点から慣用の水素添加法を用いて炭素−炭素不飽和結合を極力少なくしたオレフィン化合物を用いる方が好ましい。
【0030】
オレフィン化合物を構成するオレフィン単位の平均重合度nは10〜500の間にある必要があり、好ましくは15〜300の範囲である。平均重合度nが10より小さい場合は長期の潤滑特性が低下すると共に金型汚染性へも悪影響を与えるため好ましくない。nが500より大きい場合は、初期の潤滑特性が大きく低下するため好ましくない。
【0031】
シリコーンオイルとしては下記一般式(2)で示されるポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンが代表として好ましく用いられる。
【0032】
【化2】
Figure 0003776193
【0033】
〔式中、R3はメチル基であるが、その一部がアルキル基、フェニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化フェニル基、ポリアルキレングリコール等であっても良い。〕
また、ジメチルシロキサンのメチル基の一部が、クロロフェニル基に代表されるハロゲン化フェニル基、C8以上のアルキル基、ポリエチレングリコール含有基、C8以上の脂肪族カルボン酸の誘導体である高級脂肪族エステル基、トリフルオロメチル基に代表されるハロゲン化アルキル基などの各種置換基に代替された変性ポリオルガノシロキサンについても使用可能である。本発明において用いられるシリコンオイルは動粘度(25℃)が100〜10万cstの範囲のものが好ましい。潤滑剤の配合割合は(A)ポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5重量部である。添加量が0.01重量部以下では潤滑性が不十分であり、10重量部を超えると耐熱性や剛性の低下が著しいため好ましくない。
【0034】
本発明のポリオキシメチレン樹脂に用いられるポリオレフィン系樹脂は、下記一般式(3)で示すオレフィン系化合物のホモおよび共重合体もしくはその変性体である。
【0035】
【化3】
Figure 0003776193
【0036】
〔式中、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、2〜5個の炭素原子を含むアルキルカルボキシ基、2〜5個の炭素原子を有するアシルオキシ基又はビニル基を意味する。〕
具体的には、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリプロピレン−ブテン共重合体、ポリブテン、ポリブタジエンの水添物、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。変性体としては、他のビニル化合物の一種以上をグラフトさせたグラフト共重合体が挙げられる。これらの中でポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体が好ましい。ポリオレフィン系重合体の配合割合はポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜15重量部である。添加量が0.1重量部以下では摺動性の改良効果が不十分であり、20重量部を超えて添加すると剥離が著しく不良となるため好ましくない。
【0037】
本発明のポリオキシメチレン樹脂に用いられる充填剤は繊維状、粒子状、板状及び中空状の充填剤が用いられる。繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリコン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維等の無機質繊維があげられる。また、繊維長の短いチタン酸カリウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等のウイスカー類も含まれる。なお、芳香族ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機繊維状物質も使用する事が出来る。粉子状充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ウォラストナイトの如き珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、アルミナの如き金属酸化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属硫酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、その他炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末等があげられる。板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク、各種金属箔があげられる。中空状充填剤としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、金属バルーン等があげられる。これらの充填剤は1種又は2種以上を併用して使用することが可能である。これらの充填剤は表面処理されたもの、未表面処理のもの、何れも使用可能であるが、成形表面の平滑性、機械的特性の面から表面処理の施されたものの使用のほうが好ましい場合がある。表面処理剤としては従来公知のものが使用可能である。例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤が使用できる。具体的にはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネート等が挙げられる。充填剤の添加割合はポリオキシメチレン樹脂と充填剤との合計を100重量部として、ポリオキシメチレン樹脂99〜50重量部に対して充填剤1〜50重量部の範囲が好ましい。1重量部未満では充填剤の補強効果が不十分であり、50重量部を超えると表面外観の悪化とともに成形加工性の悪化や耐衝撃性が低下するため好ましくない。
【0038】
本発明のポリオキシメチレン樹脂に用いられる顔料としては、無機顔料及び有機顔料がある。無機顔料とは樹脂の着色用として一般的に使用されているものをいい、例えば、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩やカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラツク等をいい、有機顔料とは縮合アゾ系、イソインドリン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等の顔料である。顔料の添加割合は色調により大幅に変わるため明確にする事は難しいが一般的には、ポリオキシメチレン樹脂と100重量部に対して、0.05〜5重量部の範囲で用いられる。
【0039】
本発明の組成物の製造方法は一般的に使用されている溶融混練機を用いる事が出来る。溶融混練機としてはニーダー、ロールミル、単軸押出機、2軸押出機、多軸押出機等上げることが出来る。このときの加工温度は180〜240℃であることが好ましく、品質や作業環境の保持のためには不活性ガスによる置換や一段及び多段ベントでの脱気することも好ましい。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、実施例および比較例で使用する成分の内容と評価方法を以下に示す。
[使用成分の内容]
<A.ポリオキシメチレン樹脂>
A−1;メルトインデックス9g/10分(ASTM D−1238−57T(E条件))のポリオキシメチレンコポリマー
A−2;メルトインデックス9g/10分(ASTM D−1238−57T(E条件))のポリオキシメチレンホモポリマー
A−3;テナックC 4513(旭化成工業(株)製)
A−4;テナックC 4520(旭化成工業(株)製)
<B.リン酸カルシウム類>
B−1;第三リン酸カルシウム(和光純薬(株)製化学用をボールミルで粉砕したもの、平均粒子径2.0μm)
B−2;アパタイトHAP,単斜晶(和光純薬(株)製生体材料研究用をボールミルで粉砕したもの、平均粒子径1.5μm)
B−3;アパタイトα−TCP,単斜晶(和光純薬(株)製生体材料研究用をボールミルで粉砕したもの、平均粒子径1.8μm)
B−4;アパタイトβ−TCP,三方晶(和光純薬(株)製生体材料研究用をボールミルで粉砕したもの、平均粒子径1.5μm)
B−5;アパタイトTTCP,単斜晶(和光純薬(株)製生体材料研究用をボールミルで粉砕したもの、平均粒子径1.7μm)
B−6;硝酸銀2gを蒸留水1リットルに溶解し、アンモニア水で中性からアルカリにPHを調整し、攪拌する。この溶液中に0.1M塩化カルシウム1000ミリリットルと0.1Mリン酸水素二ナトリウム600ミリリットルをそれぞれ攪拌しつつ徐々に滴下し、溶液のPHをアンモニア水で中性からアルカリに調整しながらハイドロキシアパタイトを合成した。生成物を蒸留水で良く洗い、乾燥、粉砕を行い、平均粒子径2.0μmの銀坦持ヒドロキシアパタイトを得た。
B−7;B−6で得られた銀坦持ヒドロキシアパタイトを電気炉を用いて、1000℃で焼成した後再粉砕を行い、平均粒子径1.5μmの銀坦持ヒドロキシアパタイトを得た。
<C.安定剤>
C−1;トリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
C−2;メラミン
C−3;66ナイロン
C−4;ポリ−β−アラニン
[評価方法]
成形機滞留によるシルバーストリーク発生時間の測定。
【0041】
アーブルグ社製射出成形機(All Rounder 221−55−250)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度40℃、スクリュー回転数320rpmで成形機内に樹脂を充填し、滞留させた後射出成形を行い、成形品表面に発生するシルバーストリークスを測定した。判定は滞留時間を変化させて、シルバーストリークスの見本品レベルに達した時間を求めた。
【0042】
比較例1
A−1成分のポリオキシメチレン樹脂100重量部、B−1成分の第三リン酸カルシウム0.1重量部、安定剤として、C−1成分のトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量部およびC−2成分のメラミン0.05重量部をヘンシェルミキサーで均一にブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の二軸押出機を用いて押出混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとし得られたペレットを用いて評価を行った。その結果を表1に示す。
【0043】
【実施例1、比較例2〜9
B成分を表1に記載のものと量に変更する以外は比較例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
【0044】
【比較例10
B−1成分のリン酸カルシウムを添加しない以外は比較例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
【0045】
比較例11
比較例8の安定剤成分を表1に記載のものと量に変更する以外は比較例8と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
【0046】
【比較例12
B−5成分を添加しない以外は比較例1と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
【0047】
【比較例13
A−2成分のポリオキシメチレン樹脂100重量部、B−1成分の第三リン酸カルシウム0.1重量部、安定剤として、C−1成分のトリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.3重量部およびC−4成分のポリ−β−アラニン0.3重量部をヘンシェルミキサーで均一にブレンドした後、200℃に設定されたL/D=30の二軸押出機を用いて押出混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとし得られたペレットを用いて評価を行った。その結果を表1に示す。
【0048】
【比較例14
B−1成分のリン酸カルシウムを添加しない以外は比較例13と全く同様に実施した。結果を表1に示す。
【0049】
【比較例15
A−3成分のポリオキシメチレン樹脂(テナックC、4513)100重量部と顔料成分の中の流動パラフィン0.05部を入れ、ヘンシェルミキサーにて均一に混合した。その後、B−1成分の第三リン酸カルシウム0.5重量部およびベージュ顔料の残りの成分を添加してさらに混合した。この均一ブレンド物を200℃に設定されたL/D=30の二軸押出機を用いて押出混練を行った。押出された樹脂はストランドカッターでペレットとし得られたペレットを用いて評価を行った。その結果を表2に示す。
【0050】
【実施例比較例16,17
B成分を表2に記載のものと量に変更する以外は比較例15と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
【0051】
【比較例18
B成分のリン酸カルシウムを添加しない以外は比較例15と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
【0052】
【実施例および比較例19〜22
実施例比較例16,17および比較例18で用いた顔料をブラウンに変更する以外は実施例比較例16,17および比較例18と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
【0053】
【実施例および比較例23〜26
実施例および比較例19〜22で用いたA−3成分をA−4成分に変更し、リン酸カルシウムの添加量を表2に示す量に変更する以外は実施例および比較例19〜22と全く同様に実施した。結果を表2に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0003776193
【0055】
【表2】
Figure 0003776193
【0056】
【発明の効果】
本発明によると従来の組成物に比較して、ポリオキシメチレン樹脂の熱安定性、特に射出成形機に長期に滞留させた場合に発生するシルバー(銀条)を大幅に改良する事が可能となった。

Claims (4)

  1. (A)両末端をエーテル結合、エステル結合などで封鎖されたポリオキシメチレンホモポリマーあるいはオキシアルキレン単位を含有するポリオキシメチレンコポリマーおよび片末端が異種成分で封鎖されたポリオキシメチレンブロックコポリマーの少なくとも一種から選ばれるポリオキシメチレン樹脂に、(Bヒドロキシアパタイトを坦体としてこれに金属を坦持させた物を焼成した焼成金属坦持ヒドロキシアパタイトポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して0.01〜30重量部添加する事を特徴とするポリオキシメチレン樹脂組成物。
  2. (B)ヒドロキシアパタイトを坦体としてこれに金属を坦持させた物を焼成した焼成金属坦持ヒドロキシアパタイトの金属成分が、銀、亜鉛および銅である請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
  3. (B)ヒドロキシアパタイトを坦体としてこれに金属を坦持させた物を焼成した焼成金属坦持ヒドロキシアパタイトの平均粒子径が0.01〜50μmの範囲である請求項1又は2記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
  4. 請求項1、2又は3記載のポリオキシメチレン樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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