JP3775912B2 - 自動車用油圧ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に搭載された油圧作動装置への供給油圧を発生すべく、エンジンにより駆動される自動車用油圧ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車は、動力舵取装置、自動変速装置等、油圧により作動する種々の装置を備えており、これらの装置へ供給する油圧を発生する油圧ポンプを搭載している。
【0003】
このような自動車用油圧ポンプの多くは、車載エンジンの発生動力の一部を利用し、例えば、前記エンジンのクランクシャフトの端部に設けた動力取り出し用のプーリを介してのベルト伝動により駆動されているが、このような単純な伝動構成とした場合、エンジンの回転速度が高い高速走行時に、油圧ポンプの駆動のための動力損失が大きく、燃費の低下を招くという不都合があり、この動力損失を軽減すべく油圧ポンプの仕様を決定した場合、エンジンの回転速度が低い低速走行時又は停車時に、油圧ポンプの能力が不足し、十分な作動油圧が得られないという問題がある。
【0004】
このように、自動車に搭載された油圧作動装置への供給油圧を発生すべく用いられる自動車用油圧ポンプにおいては、必要時に十分な作動油圧を確保しつつ、駆動源となるエンジンの無為な動力損失を軽減することが要求されており、この要求に応えるべく、従来から以下の如き2通りの構成が開示されている。
【0005】
第1の構成は、例えば、操舵に必要な力を油圧により補助する油圧式の動力舵取装置においては、操舵時にのみ油圧の供給が必要である等、自動車に装備される油圧作動装置の多くが、作動油圧の供給を常時必要としないことに着目したものであり、特開昭57-15064号公報等に動力舵取装置用として開示されている如く、作動油圧の供給のための油圧ポンプを一対備え、一方の油圧ポンプへの伝動系の中途にクラッチを介装して、該クラッチを、エンジンの回転速度、操舵状況等、走行状態の検出結果に応じて係断制御し、通常時には1つ、必要時にのみ2つの油圧ポンプを駆動する構成としたものである。
【0006】
この構成において一方の油圧ポンプを常時駆動するのは、作動油の流れを常時生ぜしめることにより、外気温が低い時期に作動油が高粘度化することを防止するために必要なものであり、常時駆動する油圧ポンプを小容量のものとすることにより、動力損失の可及的な軽減を図ることができる。
【0007】
第2の構成は、特開平7-133854号公報等に開示されている如く、エンジンに連動連結された入力軸と油圧ポンプのロータ軸との間にリングコーン式の無段変速機を配し、この無段変速機の変速リングを、入力軸の回転に応じた遠心力の作用により半径方向に移動する押圧体により押圧移動せしめて変速比を変更して、エンジンの低速回転時には、この回転をそのまま油圧ポンプに伝え、エンジンの高速回転時には、所定の減速を経た後に油圧ポンプに伝えることにより、高速走行時における動力損失の軽減と、低速走行時における作動油不足の解消とを同時に実現するようにしたものである。
【0008】
入力軸とロータ軸との間に配する無段変速機としては、前述したリングコーン式の無段変速機に代えて、可変ピッチプーリ式等、他の形式の無段変速機を用いることができ、また、変速比の変更は、エンジンの回転速度、操舵の状況等、自動車の走行状態の検出結果に応じて動作する適宜のアクチュエータを用いて実現でき、このような構成とした自動車用油圧ポンプもまた提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、第1の構成においては、2つの油圧ポンプ、これら夫々とエンジンとの伝動系、及び一方の伝動系に介装されるクラッチを必要とし、更には、走行状態を検出するためのセンサ、該センサの検出結果に基づいて前記クラッチを係断制御する制御装置を必要として、全体構成が複雑化すると共に、外部ノイズの影響による誤作動の虞れがある。
【0010】
一方第2の構成においては、入力軸とロータ軸との間の変速比が、遠心力の作用による機械的な手段により変更されることから、外部ノイズの影響による誤作動の虞れがない利点を有する反面、前記変速手段を含めた無段変速機の小型化が難しいという問題があり、小型化を図るべく、リングコーン式の無段変速機に代えて、他の形式の無段変速機を用いた場合、変速比の変更のために多大の力を要し、遠心力の作用による機械的な変速手段の実現が難しいという問題がある。
【0011】
また、この構成においては、エンジンの回転速度の高低に応じた変速比の変更が行われるに過ぎず、作動油圧の供給先となる油圧作動装置の動作状態が反映されないことから、油圧供給が不要な走行状態においてエンジンに無為な動力損失を強いるという問題があった。
【0012】
この問題は、前述した如く、自動車の走行状態の検出結果に応じて動作する適宜のアクチュエータを変速の実現のために用いることにより解消され、この種のアクチュエータを用いた変速は、リングコーン式以外の形式の無段変速装置を用いて実現可能であるが、このようにした場合、第1の構成におけると同様に、走行状態を検出するセンサ、及び該センサの検出結果に基づいて前記アクチュエータを制御する制御装置が必要となり、全体構成の複雑化と、外部ノイズの影響による誤作動の虞れとを招来する。
【0013】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、油圧作動装置の動作状態に応じた変速と、駆動源となるエンジンの回転速度に応じた変速とを、走行状態を検出するセンサ及びこの検出結果に応じた制御手段を必要とせず、機械的な手段により併せて実現することができ、必要時にのみ十分な供給油圧を確保しつつ、駆動源となるエンジンの無為な動力損失を可及的に軽減することを可能とした自動車用油圧ポンプを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動車用油圧ポンプは、エンジンの出力端に連動連結された入力軸からの伝動により回転するロータを備え、自動車に搭載された油圧作動装置への供給油圧を発生する自動車用油圧ポンプにおいて、前記入力軸と前記ロータとの間に配してあり、両者間の変速比を、前記入力軸の回転を前記ロータに等速伝動する等速位置と前記入力軸の回転を前記ロータに減速伝動する減速位置とに切換える変速手段と、前記油圧作動装置の動作に応じて上昇する前記供給油圧の作用により、前記変速手段に前記等速位置への切換え動作を行わせる油圧クラッチとを具備することを特徴とする。
【0015】
この発明においては、自動車用油圧ポンプの発生油圧が、供給先となる油圧作動装置の動作状態に応じて変化し、動作中には上昇し、非動作中には低下することを利用する。油圧供給が必要な油圧作動装置の動作中には、これに伴って上昇する供給油圧の作用により油圧クラッチが動作し、エンジンからの入力軸とロータの回転軸との間に配した変速手段が等速位置に切換わり、ロータの回転速度が入力軸と等しい高速度となって十分な供給油圧を確保する。また、油圧供給が不要な油圧作動装置の非動作中には、これに伴って低下する供給油圧の作用により前記変速手段が減速位置に切換わり、ロータの回転速度が入力軸の回転速度よりも低下して、駆動源となるエンジンの動力損失を軽減する。
【0016】
また前記入力軸の回転に伴う遠心力の作用により移動し、前記油圧クラッチへの作用圧を解放して、前記等速位置への切換え動作を禁じる遠心スプールを備えることを特徴とする。
【0017】
この発明においては、エンジンの出力端に連動連結された入力軸の回転が過大となった場合、この回転に伴う遠心力の作用により遠心スプールが移動し、変速手段の等速位置への切換え動作が禁じられて、ロータの回転速度の過度の増大を防ぎ、駆動源となるエンジンの動力損失を軽減する。このときロータには、入力軸の回転速度が変速手段により減速されて伝達されるが、入力軸の回転速度自体が高いことから、ロータの回転速度は、ある程度高く維持され、油圧作動装置への供給油圧は十分に確保される。
【0018】
また前記作用圧の解放油路は、前記遠心スプールの一部に形成された制御エッジにより絞り面積を変える可変絞りと、該可変絞りを通過した圧油に所定の絞り抵抗を付加する固定絞りとを備えることを特徴とする。
【0019】
この発明においては、入力軸の回転速度の増加に応じて遠心スプールが移動した場合、油圧クラッチへの作用圧は、遠心スプールに形成された制御エッジにより絞り面積を変える可変絞りを通過し、更に固定絞りを通過して解放される。これにより、前記作用圧の急峻な変化が緩和されて油圧クラッチの切換動作が急激に行われず、油圧ポンプの吐出側での圧力特性の不連続性が解消されて滑らかな圧力特性が得られる。この変化態様は、前記制御エッジ、及び固定絞りの追加加工により容易に調整することができ、所望の圧力特性を得ることができる。
【0020】
更に前記変速手段は、前記ロータの回転軸と一体回転するキャリッジに保持された遊星体と、前記回転軸と前記入力軸との間に同軸的に配してあり、前記遊星体の夫々に内側から転接する太陽円板と、該太陽円板と前記入力軸との間に介装され、前記太陽円板の先行回転を許容する一方向クラッチとを備え、前記油圧クラッチは、前記キャリッジと一体回転するクラッチ板と、前記入力軸に回転を拘束され、前記供給油圧の作用により軸長方向に移動して前記クラッチ板に押し付けられるピストンとを備えることを特徴とする。
【0021】
この発明においては、入力軸とロータとの間の変速手段を、前記遊星体と前記太陽円板とを備え、通常時には、入力軸の回転を、太陽円板、遊星体及びこれらのキャリッジを介して減速してロータの回転軸に伝える遊星ローラ変速機、又は遊星歯車変速機として、入力軸とロータとの間にコンパクトに構成する。この変速手段の高速側への切換えは、前記キャリッジと一体回転するクラッチ板と、入力軸に回転を拘束され、供給油圧の作用により軸長方向に移動して前記クラッチ板に押し付けられるピストンを備え、変速手段の一側にコンパクトに構成された油圧クラッチの動作により、前記クラッチ板と一体回転するキャリッジを介してロータの回転軸を拘束し、入力軸と等速回転させることにより実現する。なお、前記キャリッジの拘束に伴って遊星体に転接する太陽円板に入力軸に対して生じる先行回転は、該太陽円板と入力軸との間に介装された一方向クラッチによって許容する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る自動車用油圧ポンプの第1の実施の形態を示す縦断面図である。
【0023】
図示の自動車用油圧ポンプは、複数枚のベーンを半径方向への進退自在に備える短寸円筒形のロータ10と、偏肉環状をなすカムリング11とを備えるベーンポンプとして構成されたポンプ本体1を備えている。カムリング11は、これの一側に同軸的に位置決めされたプレッシャプレート12と共にポンプハウジング14の内部に収納され、該ポンプハウジング14の他側を閉塞するエンドプレート13と前記プレッシャプレート12との間に挾持固定されている。
【0024】
ロータ10は、プレッシャプレート12及びカムリング11の軸心部を貫通し、その先端をエンドプレート13に支持させたロータ軸2の中途部にスプライン結合されており、該ロータ軸2を回転軸として、プレッシャプレート12とエンドプレート13とに挾まれたカムリング11の内側にて回転するようになしてある。
【0025】
カムリング11の内側には、周方向に複数の凹所が設けられており、これらの凹所とロータ10の外周面との間にポンプ室が構成されている。ロータ10に保持された複数枚のベーンは、圧力室17に発生する油圧の作用により半径方向外向きに付勢され、各ポンプ室の内側を含めて、カムリング11の内周面に押し付けられており、ロータ軸2の回転に伴うロータ10の回転は、各ベーンの押し付け状態を保って行われるようになしてある。
【0026】
前記ポンプ室の夫々は、ポンプハウジング14の周壁及びエンドプレート13に形成された吸込油路16を介して、ポンプハウジング14の外側に取り付けた吸込管15に連通させてあり、またプレッシャプレート12の背面側に形成された圧力室17、及びポンプハウジング14に穿設された吐出室18を介して図示しない吐出管に連通させてあり、この吐出管は、動力舵取装置等、油圧の供給先となる適宜の油圧作動装置に、また前記吸込管15は、油圧作動装置の作動油を収納する油タンクに夫々接続されている。
【0027】
而して、ロータ軸2の回転に伴ってロータ10が回転した場合、該ロータ10の外側に並ぶ各ポンプ室の内部には、吸込管15及び吸込油路16を経て作動油が導入されることとなり、この導入油は、相隣するベーン間に封止されてロータ10と共に回転せしめられつつ昇圧し、圧力室17及び吐出室18を経て吐出管に吐出され、適宜の油圧作動装置に供給される。
【0028】
ロータ10の回転軸であるロータ軸2は、圧力室17の側にてポンプハウジング14を貫通し、外部に適長突出させてある。同側のポンプハウジング14の端部には、伝動ハウジング19が同軸的に組み付けられており、該伝動ハウジング19には、前ロータ軸2と同軸上での回転自在に入力軸3が支承されている。入力軸3の一端は、伝動ハウジング19の外側に適長突出させてあり、この突出端に嵌着固定されたVプーリ30、及びこのVプーリ30に巻装されたVベルトを介して図示しないエンジンの出力端に連結されている。
【0029】
伝動ハウジング19内に延設された入力軸3の他端部は、ポンプハウジング14から突出する前記ロータ軸2の端部に突き合わせてあり、これらの周囲には、円形断面を有する伝動室4が同軸をなして形成されており、この伝動室4の内部に、本発明の特徴となる変速手段5及び油圧クラッチ6が構成されている。
【0030】
図示の変速手段5は、太陽ローラ50、遊星ローラ51及び固定リング52を備える遊星ローラ減速機を備えている。太陽ローラ50は、適宜の厚さを有する円板であり、ロータ軸2と入力軸3との突き合わせ端部間に介装され、厚さ方向の両側に突出する支軸を両軸2,3の軸心部に保持させて、これらと同軸上に支承されている。
【0031】
ロータ軸2側での太陽ローラ50の支持は、ロータ軸2の軸心部に嵌着固定されたブッシュにより、相対回転可能になされている。一方、入力軸3側の太陽ローラ50の支持部には、該太陽ローラ50の先行回転を許容する一方向クラッチ20が介装されている。これにより太陽ローラ50は、入力軸3の回転が先行する通常時には、一方向クラッチ20の係合により入力軸3の回転に応じて回転する一方、後述の如く、自身の回転が入力軸3の回転に先行する状態となった場合には、一方向クラッチ20の係合解除により、ロータ軸2と入力軸3との間にてこれら両者に拘束されることなく自在に遊転することができる。
【0032】
前記固定リング52は、太陽ローラ50の配設位置と軸長方向に略整合する位置にて伝動室4の内側に嵌着固定されており、この固定リング52と太陽ローラ50との間に複数の遊星ローラ51,51…が、周方向に略等配をなして配設されている。これらの遊星ローラ51,51…は、ロータ軸2の端部に同軸的にスプライン結合された円板状のキャリッジ53の一面に突設された各別の支軸に回転自在に取付け、太陽ローラ50の外周面と固定リング52の内周面とに転接させてあり、これらに対する転動により各別の支軸の回りに自転しつつ、前記キャリッジ53と共に、ロータ軸2の軸回りに公転するようになしてある。
【0033】
而して、図示しないエンジンからの伝動により入力軸3が回転駆動された場合、この回転は、一方向クラッチ20を介して太陽ローラ50に伝達され、該太陽ローラ50が軸回りに回転し、これの外周に転接する遊星ローラ51,51…が回転して、これらのキャリッジ53が公転し、この公転速度にてロータ軸2及びロータ10が回転駆動される。このときロータ軸2には、入力軸3の回転が減速されて伝達されることとなり、ロータ軸2及びロータ10は、入力軸3の回転速度よりも低速度にて駆動される。
【0034】
一方、キャリッジ53に突設された各遊星ローラ51,51…の支軸の先端部には、円板状をなすクラッチ板60が一体的に取付けてあり、該クラッチ板60と、対向配置されたクラッチピストン61とにより、前記油圧クラッチ6が構成されている。
【0035】
クラッチピストン61は、その内径側を入力軸3の中途部外周に形成されたスプラインに噛合させ、該入力軸3に回転を拘束されると共に、軸長方向への移動可能に取付けてあり、クラッチ板60との対向側において入力軸3の先端部に係着されたばね受け62との間にコイルばね63を介装し、該コイルばね63のばね力により、クラッチ板60から離反する向きに付勢されている。
【0036】
このように取付けられたクラッチピストン61は、クラッチ板60との非対向側に同軸的に突設された小径部 61aを備え、クラッチピストン61の外径側は、伝動室4を構成する伝動ハウジング19の内側空洞部に、また前記小径部 61aは、伝動室4の同側に連設された嵌合孔に、各別のシールリング64,65を介して嵌合されており、クラッチ板60との非対向側に、前記シールリング64,65により両側を液密に封止されたシリンダ室66(図2参照)を形成している。
【0037】
前記シリンダ室66は、伝動ハウジング19及びポンプハウジング14に穿設された導油路67により、ポンプ本体1の吐出室18に連通され、また、クラッチ板60の他側は、ポンプハウジング14に穿設された還流油路68により、ポンプ本体1の吸込油路16に連通されている。これによりシリンダ室66には、ポンプ本体1の内部でのロータ10の回転により吐出室18内に発生し、図示しない油圧作動装置に供給される油圧が導油路67を介して導入される。一方このとき、クラッチピストン61の他側は、吸込油路16との連通により低圧状態に保たれていることから、クラッチピストン61は、油圧作動装置への供給油圧の作用によりクラッチ板60に向けて押圧され、この押圧力が前記コイルばね63のばね力を上回ると共にクラッチ板60に向けて移動し、該クラッチ板60に押し付けられる。
【0038】
図2は、油圧クラッチ6の動作説明図であり、シリンダ室66に導入される前述した供給油圧の作用により、クラッチピストン61がクラッチ板60に押し付けられた状態を示している。このような状態となったとき、クラッチ板60は、入力軸3に回転を拘束されたクラッチピストン61と等速度にて回転することになり、前記クラッチ板60が遊星ローラ51,51…の支軸の先端部に一体的に取付けてあることから、前記遊星ローラ51,51…のキャリッジ53、及びこれを保持するロータ軸2は、入力軸3と等速度にて回転するようになる。一方このとき、前記太陽ローラ50は、これの外周面上での遊星ローラ51,51…の転動に応じて高速回転するが、この回転は、入力軸3との間に介装された一方向クラッチ20により許容され、入力軸3及びロータ軸2の回転を阻害することはない。
【0039】
以上の如く油圧クラッチ6は、シリンダ室66への導入油圧の作用により、遊星ローラ減速機及び一方向クラッチ 20 を備える変速手段5を、ロータ軸2が入力軸3と等速度にて回転する等速位置に切り換える動作をなす。この切換え動作は、ポンプ本体1の動作により吐出側に発生し、シリンダ室66に導入される油圧が高くなることにより行われる。
【0040】
ポンプ本体1の吐出側に発生する油圧は、これの供給先となる油圧作動装置の動作状態に応じて変化し、例えば、自動車の操舵に必要な力を油圧により補助する油圧式の動力舵取装置においては、該装置への供給油圧は、操舵に伴って上昇する。本発明に係る自動車用油圧ポンプを用いた場合、以上の如く上昇する供給油圧の作用によりクラッチピストン61が移動してクラッチ板60に押し付けられ、変速手段5の等速位置への切換えが行われる結果、ロータ軸2及びロータ10の回転速度が増大し、ポンプ本体1の吐出側の発生油圧が更に上昇することとなり、この油圧の供給による油圧作動装置の動作を確実に行わせることができる。
【0041】
一方、操舵の停止に伴って動力舵取装置への供給油圧が低下した場合、クラッチピストン61は、コイルばね63のばね力により逆向きに押圧され、図1に示す如くクラッチ板60から離反する。このとき入力軸3の回転は、前述の如く、変速手段5による減速を経てロータ軸2及びロータ10に伝達され、ロータ10が低速回転する結果、駆動源となるエンジンの動力損失を大幅に軽減することができる。
【0042】
更に、図2に示す如く、クラッチピストン61には、前記シリンダ室66の内部に一端を開口させ、軸長方向に貫通する貫通孔70が形成され、この貫通孔70の中途部に連通するスプール室71が、外周面から半径方向に穿設された円孔として形成されており、該スプール室71には遠心スプール7が収納されている。
【0043】
図3は、遠心スプール7の動作説明のためのスプール室71の近傍の拡大断面図である。図示の如くスプール室71の内部には、これの深さ方向への摺動自在に、即ち、クラッチピストン61の半径方向への移動自在に遠心スプール7が収納されている。クラッチピストン61の外径側へのスプール室71の開口端は、これに螺合された蓋部材72により液密に封止されており、遠心スプール7は、前記蓋部材72との間に介装されたコイルばね73のばね力により、スプール室71の内奥側、即ち、クラッチピストン61の半径方向内向きに付勢されている。
【0044】
遠心スプール7を収納するスプール室71は、その底部から半径方向内向きに形成された連通孔74により、クラッチピストン61の内周側に連通され、変速手段5の配設室と略等圧に保たれている。また遠心スプール7には、その軸心部を貫通する連通孔75が形成され、スプール室71の内部において遠心スプール7の両側の空間を連通しており、スプール室71内での遠心スプール7の摺動が、これの両側の圧力差の影響を受けることなく生じるようになしてある。
【0045】
以上の如くクラッチピストン61に保持された遠心スプール7には、入力軸3の回転に伴うクラッチピストン61の回転に応じて、図中に白抜矢符にて示す如く遠心力が作用し、この作用方向は、クラッチピストン61の半径方向外向き、即ち、前記コイルばね73のばね力の作用方向と逆向きであることから、遠心スプール7は、前記遠心力と前記ばね力の力バランスに応じて摺動する。
【0046】
入力軸3の回転速度が低く遠心スプール7に作用する遠心力がコイルばね73のばね力を下回っている場合、遠心スプール7は、スプール室71の底部に当接する位置に拘束され、図3(a)に示す如く、スプール室71の中途に交叉する前記貫通孔70を遮断した状態となる。
【0047】
一方、入力軸3の回転速度が高く遠心スプール7に作用する遠心力がコイルばね73のばね力を上回っている場合、遠心スプール7は、半径方向外向きに摺動し、この摺動量が所定量を超えたとき、図3(b)に示す如く、スプール室71の中途に交叉する前記貫通孔70が開放され、クラッチピストン61の一側に形成されたシリンダ室66が、他側、即ち、伝動室4内部の変速手段5の配設空間に連通することとなる。
【0048】
前記図2は、入力軸3の回転速度が低く、遠心スプール7が図3(a)の位置にある場合における油圧クラッチ6の動作状態を示している。図4は、入力軸3の回転速度が高く、この回転に伴う遠心力の作用により遠心スプール7が、図3(b)に示す位置に移動した状態での油圧クラッチ6の動作説明図である。
【0049】
遠心スプール7が図3(b)に示す位置にある場合、前記貫通孔70が開放されるが、この開放により前記シリンダ室66に連通する変速手段5の配設空間は、前述の如く、ポンプ本体1の吸込油路16に還流油路68を介して連通し、低圧状態に保たれており、遠心スプール7の摺動位置が図示の状態にある場合、シリンダ室66に前述の如く導入される油圧は、貫通孔70を経て変速手段5の配設空間に解放され、更に、還流油路68を経てポンプ本体1の吸込油路16に還流する。従って、シリンダ室66の内圧は、ポンプ本体1の吐出側に発生する供給油圧の如何に拘わらず変化せず、この内圧の作用によるクラッチピストン61の移動が生じず、変速手段5の速側への切換えが行われなくなる結果、ロータ軸2及びロータ10は、入力軸3の回転速度よりも低い速度にて駆動される。
【0050】
以上の如く遠心スプール7は、エンジンによって駆動される入力軸3の回転速度が過大となった場合、この回転に伴う遠心力の作用により移動し、油圧クラッチ6への作用圧を解放して、変速手段5の速側への切換えを禁じる動作をなすものであり、これにより、入力軸3の回転速度の増大に伴ってロータ軸2及びロータ10の回転速度が過度に増大することがなくなり、高速回転中のエンジンの無為な動力損失を軽減することができる。なおこの状態にあるとき、入力軸3の回転速度が高いことから、変速手段5による減速を経て駆動されるロータ10の回転速度は十分に確保され、ポンプ本体1からの供給油による油圧作動装置の動作が損なわれる虞れはない。
【0051】
なお以上の実施の形態においては、ポンプ本体1がベーンポンプである場合について述べたが、ギヤポンプ、トロコイドポンプ等の他の形式のポンプ本体1を備えていてもよいことは言うまでもない。
【0052】
また、変速手段5としては、高低2段の切換えが可能な種々の形式の変速機を用い得るが、本実施例中に示す遊星ローラ変速機、又は遊星歯車変速機を用いることにより、切換えの動作をなす油圧クラッチ6を含めてポンプ本体1の一側にコンパクトに構成することができる。
【0053】
図5及び図6は、本発明に係る自動車用油圧ポンプの第2の実施の形態を示す要部拡大断面図である。これらの図は、同軸的に組み付けられたポンプハウジング14及び伝動ハウジング19の内側において、ロータ軸2と入力軸3との突き合わせ部に構成された変速手段5及び油圧クラッチ6を示しており、第1の実施の形態と共通の部品には同一の参照符号を付してある。
【0054】
本図の変速手段5は、太陽歯車 50a、遊星歯車 51a,51a…及び固定歯車 52aを備える遊星歯車減速機を備えている。太陽歯車 50aは、外周面の全周に遊星歯車 51aとの噛合が可能な歯が形成された円板状の外歯車であり、軸心部の両側に突設された短寸の支軸を介して、ロータ軸2と入力軸3との突き合わせ端部間にこれらと同軸上での回転自在に支承されている。入力軸3側の太陽歯車 50aの支持部には、第1の実施の形態におけると同様一方向クラッチ20が介装され、入力軸3に対する太陽歯車 50aの先行回転を許容する構成となっている。
【0055】
前記固定歯車 52aは、内周面の全周に遊星歯車 51aとの噛合が可能な歯を備える環状の内歯歯車であり、太陽歯車 50aの配設位置と軸長方向に略整合するようにポンプハウジング14の内側に嵌着固定されている。遊星歯車 51a,51a…は、ロータ軸2と共に回転する円板形のキャリッジ53の一面に、各別の支軸により回転自在に取付けてあり、太陽歯車 50aの外周及び固定歯車 52aの内周の歯に夫々噛合させてある。
【0056】
以上の構成により入力軸3が回転すると、この回転は、一方向クラッチ20を介して太陽歯車 50aに伝達され、該太陽歯車 50aの回転に応じて、これの外周に転接する遊星歯車 51a,51a…が自転し、固定歯車 52aの内周に沿って転動することとなり、これに伴って遊星歯車 51a,51a…のキャリッジ53が公転し、この公転速度にてロータ軸2及びロータ10が回転駆動される。このときのロータ軸2及びロータ10の回転速度は、入力軸3の回転速度よりも十分に低い。
【0057】
また油圧クラッチ6は、遊星歯車 51a,51a…の支軸の先端部に一括して支持され、キャリッジ53及びロータ軸2と一体回転するクラッチ板60と、これに対向するように、入力軸3に回転を拘束されると共に、軸長方向への移動可能に取付けられたクラッチピストン61とを備えて構成されている。クラッチピストン61は、入力軸3に係着されたばね受け62との間に介装された板ばね 63aにより、クラッチ板60から離反する向きに付勢されている。
【0058】
このように取付けられたクラッチピストン61は、クラッチ板60との非対向側に同軸的に突設され、伝動ハウジング19の同側に連設された嵌合孔にシールリング64を介して嵌合された小径部 61aを備えており、この小径部 61aと入力軸3との嵌合部にはシールリング65が介装されている。これにより、伝動ハウジング19からの入力軸3の突出部を封止するオイルシール8と前記小径部 61aの端面との間に、液密に封止されたシリンダ室66が形成されたこととなる。
【0059】
シリンダ室66は、第1の実施の形態におけると同様、伝動ハウジング19及びポンプハウジング14に穿設された導油路67により、図示しないポンプ本体の吐出側に連通されており、ロータ軸2の回転に応じて前記ポンプ本体の内部に発生し、図示しない油圧作動装置に供給される油圧が導入される。なおポンプ本体としては、図1に示すベーンポンプであってよく、また、ギヤポンプ、トロコイドポンプ等の他の形式のポンプであってもよい。
【0060】
またクラッチピストン61の他側には、中抜き円板形をなすクラッチ板 61bが、前記クラッチ板60の外周側と対向するように取り付けてあり、前記板ばね 63aの付勢に抗してクラッチピストン61が移動したとき、クラッチ板60に摺接するようになしてある。このように前記クラッチ板 61bが、クラッチピストン61と別体に構成されていることから、該クラッチ板 61bの材質を自在に選定でき、クラッチ板60との摺接に伴う摩擦程度を適宜に設定することが可能となる。
【0061】
クラッチピストン61の他側が対向する変速手段5の配設室は、ポンプハウジング14の端壁を貫通する小径の孔として形成された固定絞り 68aにより、図示しないポンプ本体の吸込側に連通され、低圧状態に保たれている。これによりクラッチピストン61は、シリンダ室66への導入油圧の作用によりクラッチ板60に向けて押圧され、この押圧力が前記板ばね 63aのばね力を上回ると共にクラッチ板60に向けて移動し、図5に示す如く、前記クラッチ板 61bを介してクラッチ板60に押し付けられる。
【0062】
このとき前記クラッチ板60が取り付けられた遊星歯車 51a,51a…のキャリッジ53は、入力軸3に回転を拘束されたクラッチピストン61と等速度にて回転することになり、前記キャリッジ53を支持するロータ軸2は、入力軸3と等速度にて回転する。このとき太陽歯車 50aは、これの外歯に噛合する遊星歯車 51a,51a…の回転に応じて高速回転するが、この回転は、入力軸3との間に介装された一方向クラッチ20により許容され、入力軸3及びロータ軸2の一体回転を阻害することはない。
【0063】
以上の如く油圧クラッチ6は、シリンダ室66の内圧の作用により、遊星歯車減速機及び一方向クラッチ 20 を備える変速手段5を、ロータ軸2が入力軸3と等速度にて回転する等速位置に切り換える動作をなす。シリンダ室66の内圧は、第1の実施の形態におけると同様、ポンプ本体の吐出圧の送給先となる油圧作動装置の動作状態に応じて変化し、動作中には高く、非動作中には低くなる。従って、変速手段5の等速位置への切換えは、前記油圧作動装置の動作中にのみ行なわれることとなり、この動作中にはロータ軸2が高速回転する結果、十分な量の高圧の作動油の送給により、油圧作動装置の動作を確実に行わせることができる一方、油圧作動装置の非動作中には、ロータ軸2が低速回転する結果、駆動源となるエンジンの動力負担を大幅に軽減することができる。
【0064】
以上の動作をなすクラッチピストン61には、外周面から半径方向に貫通する円孔としてスプール室71が形成されており、該スプール室71には遠心スプール7aが収納されている。またクラッチピストン61には、スプール室71をシリンダ室66に連通する第1の絞り孔 70aと、これよりも半径方向の外側において変速手段5の配設室に連通する第2の絞り孔 70bとが軸長方向に形成されている。
【0065】
図7は、遠心スプール7aの動作説明のためのスプール室71の近傍の拡大断面図である。図示の如くスプール室71は、クラッチピストン61の外径側への開口端をこれに螺合された蓋部材72により液密に封止し、他側の開口端を入力軸3の外周により塞いで構成されている。遠心スプール7aは、スプール室71に摺動自在に内嵌された2か所のランド部を軸長方向両側に備え、これらを小径部により連結した構成となっており、前記蓋部材72との間に介装されたコイルばね73のばね力によりスプール室71の内側に向けて付勢され、この付勢に抗してクラッチピストン61の半径方向に移動し得るようになしてある。
【0066】
遠心スプール7aの両側のランド部は、夫々の対向面間の距離が、スプール室71における第1,第2の絞り孔 70a,70bの開口位置間の距離と略相当するように設定してあり、各ランド部の対向縁には、全周の面取りにより制御エッジ 71a,71bが形成されている。またスプール室71内部の遠心スプール7aの両側は、蓋部材72の軸心部を貫通する連通孔 74aと入力軸3との嵌合隙間とにより変速手段5の配設側に夫々連通されて略等圧に保たれており、スプール室71内での遠心スプール7aの移動が、両側の圧力差の影響を受けることなく生じるようになしてある。
【0067】
以上の如くスプール室71内に収納された遠心スプール7aには、入力軸3の回転に伴うクラッチピストン61の回転に応じて、図中に白抜矢符にて示す如く、半径方向外向き、即ち、前記コイルばね73のばね力の作用方向と逆向きに遠心力が作用し、該遠心スプール7aは、前記遠心力と前記ばね力の力バランスに応じて摺動する。
【0068】
入力軸3の回転速度が低く、遠心スプール7aに作用する遠心力がコイルばね73のばね力を下回っている場合、該遠心スプール7aは、図7(a)に示す如く、スプール室71の底面となる入力軸3の外周面に当接した位置にある。このとき第1の絞り孔 70aは遠心スプール7aの両側のランド部間に、第2の絞り孔 70bは外側のランド部よりも外側に夫々開口し、前記シリンダ室66の内圧は、スプール室71の内側に止まる。このとき、前述の如き油圧クラッチ6の動作により変速手段5の切換えが行なわれ、ロータ軸2の回転速度が高低に変化する。
【0069】
一方入力軸3の回転速度が高く、遠心スプール7aに作用する遠心力がコイルばね73のばね力を上回ると、該遠心スプール7aは半径方向外向きに摺動し、この摺動量が所定量に達すると、図7(b)に示す如く、第2の絞り孔 70bが外側のランド部の内側に開口し、シリンダ室66が変速手段5の配設空間に連通する。これにより、シリンダ室66の内圧は、第1,第2の絞り孔 70a,70bを経て変速手段5の配設室に解放され、更に、図6に示す如く、前記固定絞り 68aを経てポンプ本体の吸込側に解放される。
【0070】
従って、シリンダ室66の内圧は、ポンプ本体の吐出側に発生する油圧よりも低圧に保たれ、この内圧の作用によるクラッチピストン61の移動が生じず、変速手段5の等速位置への切換えが行われなくなる結果、ロータ軸2は、入力軸3の回転速度よりも低い速度にて駆動される。
【0071】
このように遠心スプール7aは、第1の実施の形態における遠心スプール7と同様、入力軸3の回転速度が所定量を超えたとき、油圧クラッチ6への作用圧を解放して変速手段5の速側への切換えを禁じ、高速走行時におけるエンジンの無為な動力損失を軽減する作用をなす。
【0072】
更に、第2の実施においては、遠心スプール7aの移動に応じた前記作用圧の解放が、第1,第2の絞り孔 70a,70bと固定絞り 68aとを備える解放油路を経て行なわれる構成となっている。これにより前記作用圧の解放は、可変絞りとしての第1,第2の絞り孔 70a,70b、及び固定絞り 68aを圧油が通流する際の通流抵抗を伴って緩やかに生じ、油圧クラッチ6の切換動作が急激に行われなくなり、油圧ポンプの吐出側での圧力特性の不連続性が解消されて滑らかな圧力特性が得られる。また第1,第2の絞り孔 70a,70bにおける絞り面積の変化態様は、遠心スプール7aのランド部に前述の如く形成された制御エッジ 71a,71bの形状変更により自在に変更することができ、前記切換動作の発生タイミング及び動作速度の調整が可能となり、所望の圧力特性を容易に実現することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る自動車用油圧ポンプにおいては、エンジンの出力端に連動連結された入力軸とロータとの間に変速手段を配し、この変速手段の等速位置への切換え動作を、前記ロータの回転により発生する供給油圧の作用により行わせる油圧クラッチを備えたから、供給先となる油圧作動装置の動作状態に応じた変速が、動作状態検出用のセンサ、及びこの検出結果に応じた制御手段を必要とせずに行え、油圧供給が不要な油圧作動装置の非動作中には、ロータの回転速度が低下して駆動源となるエンジンの動力損失を軽減し、また油圧作動装置の動作中には、ロータの回転速度が増して十分な供給油圧を確保することができる。
【0074】
また、入力軸の回転に伴う遠心力の作用により移動し、油圧クラッチへの作用圧を解放する遠心スプールを備えたから、駆動源となるエンジンの回転速度に応じた変速が、回転速度検出用のセンサ、及びこの検出結果に応じた制御手段を必要とせずに実現され、エンジンの高速回転時に変速手段の速側への切換えがなされず、ロータの回転速度の過度の増大によるエンジンの無為な動力損失を一層軽減することができる。
【0075】
また、油圧クラッチへの作用圧の解放油路に可変絞りと固定絞りとを備えたから、遠心スプールの移動に伴う油圧クラッチへの作用圧の変化が緩やかとなり、油圧クラッチの切換動作が急激に行われず、油圧ポンプの吐出側での圧力特性の不連続性が解消される上、この圧力特性の調整が遠心スプールに設けた制御エッジ及び固定絞りの加工により容易に行え、所望の圧力特性を得ることが可能となる。
【0076】
更に、遊星式の変速機により変速手段を構成したから、変速比の切換えのための油圧クラッチと共にポンプ本体の一側にコンパクトに構成することができ、前述した効果が全体構成の大型化を招くことなく実現し得る等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用油圧ポンプの第1の実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】油圧クラッチの動作説明図である。
【図3】遠心スプールの動作説明のためのスプール室の近傍の拡大断面図である。
【図4】遠心スプールの移動時における油圧クラッチの動作説明図である。
【図5】本発明に係る自動車用油圧ポンプの第2の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図6】本発明に係る自動車用油圧ポンプの第2の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図7】第2の実施の形態における遠心スプールの動作説明のためのスプール室の近傍の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ポンプ本体
2 ロータ軸
3 入力軸
5 変速手段
6 油圧クラッチ
7 遠心スプール
7a 遠心スプール
10 ロータ
14 ポンプハウジング
19 伝動ハウジング
20 一方向クラッチ
50 太陽ローラ
50a 太陽歯車
51 遊星ローラ
51a 遊星歯車
53 キャリッジ
60 クラッチ板
61 クラッチピストン
63 コイルばね
63a 板ばね
66 シリンダ室
67 導油路
68 還流油路
68a 固定絞り
70 貫通孔
70a 第1の絞り孔
70b 第2の絞り孔
71 スプール室
71a 制御エッジ
71b 制御エッジ
73 コイルばね

Claims (4)

  1. エンジンの出力端に連動連結された入力軸からの伝動により回転するロータを備え、自動車に搭載された油圧作動装置への供給油圧を発生する自動車用油圧ポンプにおいて、前記入力軸と前記ロータとの間に配してあり、両者間の変速比を、前記入力軸の回転を前記ロータに等速伝動する等速位置と前記入力軸の回転を前記ロータに減速伝動する減速位置とに切換える変速手段と、前記油圧作動装置の動作に応じて上昇する前記供給油圧の作用により、前記変速手段に前記等速位置への切換え動作を行わせる油圧クラッチとを具備することを特徴とする自動車用油圧ポンプ。
  2. 前記入力軸の回転に伴う遠心力の作用により移動し、前記油圧クラッチへの作用圧を解放して、前記等速位置への切換え動作を禁じる遠心スプールを備える請求項1記載の自動車用油圧ポンプ。
  3. 前記作用圧の解放油路は、前記遠心スプールの一部に形成された制御エッジにより絞り面積を変える可変絞りと、該可変絞りを通過した圧油に所定の絞り抵抗を付加する固定絞りとを備える請求項2記載の自動車用油圧ポンプ。
  4. 前記変速手段は、前記ロータの回転軸と一体回転するキャリッジに保持された遊星体と、前記回転軸と前記入力軸との間に同軸的に配してあり、前記遊星体の夫々に内側から転接する太陽円板と、該太陽円板と前記入力軸との間に介装され、前記太陽円板の先行回転を許容する一方向クラッチとを備え、前記油圧クラッチは、前記キャリッジと一体回転するクラッチ板と、前記入力軸に回転を拘束され、前記供給油圧の作用により軸長方向に移動して前記クラッチ板に押し付けられるピストンとを備える請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動車用油圧ポンプ。
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