JP3775181B2 - 電動工具の墨出し用レーザー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は先端刃具を被削材に描かれた墨線に合わせるための墨出し用レーザー装置を内蔵した電動工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
先端刃具を被削材に描かれた墨線に合わせるための墨出し用レーザー装置を内蔵した電動工具は、卓上切断機、帯のこ盤などの木材加工機械で実施されている。レーザー装置は、電動工具で切削加工を行う被削材上の先端刃具が当たる位置に焦点を合わせてレーザー光を出射する。作業者はあらかじめ切削加工を行いたい位置に描いた墨線に前記レーザー光を合わせることにより、正確な切削加工を行うことができるため、非常に便利な装置である。墨出し用のレーザー光の線幅は一般的に1mm以下に焦点を合わせて被削材に向けて照射されている。レーザー光が照射されている部分は作業環境の室内照度に関わらず良く見えるが、指向性が強い光源であることと、照射幅が1mm以下と狭いこともあり、レーザー光が照射されている点または線の周囲を照らし出すことができなかった。このように、曇りの日の屋内建築現場など、作業環境の照度が低下すると、被削材に描かれた墨線が見えにくくなる。これにより、比較的暗い作業環境では、被削材に描かれた墨線をレーザー光に合わせるのが困難であった。従来、このような作業環境では、電動工具や被削材に向けて室内作業灯を設置するのが一般的であったが、近年作業灯設置の煩わしさを省力化する目的で、小形の作業灯を内蔵する電動工具が一般化しつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
作業灯を設置した電動工具は、上記のような比較的暗い作業環境でも別置きの作業灯を特別に用意しなくても容易に墨線合わせ作業が行えるという長所を有するが、レーザー墨出し装置と作業灯の両方を内蔵するため、電動工具自体が高価になり、電動工具も大きくなるという問題を有していた。
【0004】
本発明の目的は、上記した問題点を解消し、被削材に描かれた墨線をレーザー光に合わせる作業を容易にすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、レーザー装置内部にレーザー光をほぼ同一方向の2軸に分ける偏光装置を設け、1軸のレーザー光軸上にのみ被削材に対して焦点を合わせる凸形レンズを設け、他軸のレーザー光はそのまま被削材に対して照射させることにより達成される。または前記1軸のレーザー光軸上に被削材に対してレーザー光を線状にするシリンドルカルレンズを設け、他軸のレーザー光はそのまま被削材に対して照射させることにより達成される。あるいは前記他軸のレーザー光軸上にはレーザー光を拡散させる凹形レンズを設けることにより達成される。更には前記他軸のレーザー光軸上には被削材に対して焦点をぼかして照射する凸形レンズを設けることにより達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を電動工具を卓上丸のこに適用した図1〜図4及び図9、図10を参照して説明する。図において、ベース1の中央にターンテーブル2を水平方向へ回動可能に埋設し、ターンテーブル2の上面は、ベース1の上面と同一面となっている。ベース1及びターンテーブル2の上面には木材等の被削材35が載置される。本発明においてベース部は被削材35を載置する部材で、本実施形態においてはベース1とターンテーブル2がベース部に相当する。ベース1上面に被削材35の側面を支持するフェンス3を固定している。ターンテーブル2後端にはホルダシャフト4を介してホルダ5を立設し、ホルダシャフト4の軸心をターンテーブル2上面とほぼ一致するように位置させることで、ホルダ5はホルダシャフト4を支点に、かつターンテーブル2の上面を中心に左右傾斜可能に支持されている。
【0007】
図9に示すように、ホルダ5の後部にはホルダシャフト4を中心とする長穴5aが形成され、長穴5aにクランプレバー6を貫通させ、クランプレバー6の先端に形成したねじ部がターンテーブル2背面に形成したねじ穴部にねじ嵌合している。クランプレバー6を緩めると、ホルダ5はホルダシャフト4を支点に長穴5aの範囲内で傾斜し、クランプレバー6を締め付けると、ホルダ5はターンテーブル2とクランプレバー6間に締め付けられ、任意位置で固定される。なお、長穴5aはホルダ5が左右45度傾斜できる範囲内で形成されている。
【0008】
ホルダ5上方にはシャフト7を介してベース1上面に対し上下揺動可能に切断刃物部8が支持されている。ホルダ5と切断刃物部8の間には、切断刃物部8を上方に付勢するスプリング9が設けられている。
【0009】
切断刃物部8は切断刃物軸16、切断刃物(先端刃具)10、切断刃物10の上半部を覆うのこカバー11と一体となっているギヤケース12、切断刃物10を回転駆動するモータ13、モータ13のモータ軸14、伝達ベルト23、モータ13及びモータ軸14を覆い支持するモータハウジング15、ハンドル29等で構成されている。
【0010】
図10において、ギヤケース12の下方には水平方向に切断刃物軸16を設け、切断刃物軸16は軸受17、18で回転可能に支持され、この切断刃物軸16の一端にボルト19で切断刃物10を固定し、切断刃物軸16に動力を伝達するプーリ20を設けている。ギヤケース12上方にはモータハウジング15が設けられ、その内部に切断刃物10を回転駆動するモータ13が備えられている。軸受21で回転可能に支持されたモータ13のモータ軸14の先端には、プーリ22がプーリ20の上方に位置するように設けられている。このプーリ20、22間に伝達ベルト23を張り渡している。この伝達ベルト23によりモータ13の動力は、モータ軸14からプーリ22、伝達ベルト23、プーリ20、切断刃物軸16を介して切断刃物10に伝達されている。
【0011】
図2において、ホルダ5の前面にはV字状の突起部5bが形成され、ターンテーブル2上面後方には突起部5bの移動軌跡上に位置するように、ストッパボルト24、25が直角方向にねじ嵌合している。ホルダ5を傾斜させると、所定の傾斜角度で突起部5bがストッパボルト24又はストッパボルト25の頭部に係合し、切断刃物部8の傾斜位置を設定する。通常、ストッパボルト24、25は、ホルダ5が左右方向に45度の位置に傾斜したときに、突起部5bに係合するように設けられている。
【0012】
ターンテーブル2の上面には、中央に切断刃物10が侵入する溝部を有する図示しない刃口板が固定され、被削材35の切断時、切断刃物10の下端がターンテーブル2上面よりも下降したとき、前記刃口板の溝部に侵入し、被削材35の仕上面へのけば立ちを防止する役目を果たしている。
【0013】
また、ホルダ5の前面に墨出し用レーザー装置26のホルダ27が固定され、ホルダ27に墨出し用レーザー装置26が挿入されている。なお、墨出し用レーザー装置26には図示していないが、この装置にはレーザー光をON−OFFするためのスイッチを設けている。切断刃物部8が上限位置にあるとき、墨出し用レーザー装置26から照射されたレーザー光L1は、切断刃物10の切断位置を示すように被削材35に対して焦点を合わせて設定され、照射される。同様に、レーザー光L2は被削材35上面一帯を照らし出すように設定され、照射される。被削材35に描かれた墨線36をレーザー光L1に合わせる作業をする際は、切断刃物部8が上限位置にあるときであり、このときレーザー光L1とL2は切断刃物10の刃先10aよりも下方を通過するので、切断刃物10にレーザー光の照射が邪魔されることはない。図3のように被削材35の上面に切断位置を示す墨線36を記し、被削材35を左右(図中矢印B方向)に移動させて、墨線36をレーザー光L1に一致させる。これにより、切断刃物10の刃先10aと墨線36が一致したことになる。
【0014】
図4においてレーザー装置26には、レーザー光源26a、レーザー光源26aの前方には、ハーフミラー26bを設け、そのまま直進するレーザー光L1と、ほぼ90度上方に光軸を屈折するレーザー光L2の2軸に分岐する。ハーフミラー26bの前方には、凸形レンズ26cを設けて、レーザー光L1を被削材35に対して焦点を合わせる。ハーフミラー26bの上方には反射ミラー26dを設けて、前記レーザー光L2の被削材35への照射位置をレーザー光L1の照射位置に合わせるように設ける。反射ミラー26dの前方には焦点を合わせる目的の集光レンズを設けず、そのまま被削材35に向けてレーザー光を照射する。上記の構成により、本実施形態のレーザー装置26からは、被削材35の上面に対して切断刃物10による加工位置を示すレーザー光L1と、加工位置周辺を照らし出すレーザー光L2の2軸のレーザー光が照射される。
【0015】
図5は本発明の他の実施形態を示し、ハーフミラー26bの前方にシリンドルカルレンズ26eを設け、線状のレーザー光L1を被削材35に対して照射するようにしたものである。被削材35へのレーザー光L1・L2の被削材への照射状態を図6に示す。
【0016】
図7は本発明の更に他の実施形態を示し、反射ミラー26dの前方に凹レンズ26fを設けることによりレーザー光L2を拡散し、被削材35上でより広い範囲を照らし出すようにしたものである。
【0017】
図8は本発明の更に他の実施形態をします、図7の凹レンズ26fの代わりに、ある程度の範囲(たとえば照射幅100mm)にレーザー光L2を屈折させる凸レンズ26gを設けたものである。
【0018】
なお上記実施形態においては切断刃物10を揺動させる卓上丸のこを電動工具として説明したが、他の電動工具にも応用可能である。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、先端刃具による加工位置を示すレーザー光と、加工位置周辺を照らし出して、被削材に描かれた墨線周辺を照射するレーザー光が1個のレーザー装置(レーザー光源)により実現できるため、作業灯が必要ない分、安価な電動工具を提供することができる。作業者は作業環境が比較的暗い場所においても、被削材に描かれた墨線をレーザー光に合わせる作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明墨出し用レーザー装置を適用した卓上丸のこの一実施形態を示す側面図。
【図2】図1の切断刃物部を省略した右側面図。
【図3】被削材へのレーザー光照射状態を示す斜視図。
【図4】図3の光学系を示す模式図。
【図5】本発明装置を構成する光学系の他の実施形態を示す模式図。
【図6】図5の光学系による被削材へのレーザー光照射状態を示す斜視図。
【図7】本発明装置を構成する光学系の他の実施形態を示す模式図。
【図8】本発明装置を構成する光学系の更に他の実施形態を示す模式図。
【図9】図1のホルダ部周辺を示す図1の左側面図。
【図10】図1のA−A線断面図。
【符号の説明】
10は切断刃物(先端刃具)、26は墨出し用レーザー装置、26cは凸形レンズ、26eはシリンドルカルレンズ、26fは凹形レンズ、26gは凸形レンズ、35は被削材、36は墨線、L1・L2はレーザー光である。
Claims (4)
- 被削材を切削加工する先端刃具と、先端刃具を被削材に描かれた墨線に合わせるための墨出し用レーザー装置を内蔵した電動工具において、
レーザー装置内部にレーザー光をほぼ同一方向の2軸に分ける偏光装置を設け、1軸のレーザー光軸上にのみ被削材に対して焦点を合わせる凸形レンズを設け、他軸のレーザー光はそのまま被削材に対して照射させることを特徴とする電動工具の墨出し用レーザー装置 - 前記1軸のレーザー光軸上に被削材に対してレーザー光を線状にするシリンドルカルレンズを設けたことを特徴とする請求項1記載の電動工具の墨出し用レーザー装置
- 前記他軸のレーザー光軸上にはレーザー光を拡散させる凹形レンズを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電動工具の墨出し用レーザー装置
- 前記他軸のレーザー光軸上には被削材に対して焦点をぼかして照射する凸形レンズを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電動工具の墨出し用レーザー装置
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