JP3775053B2 - インバータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、インバータ装置の入力側の欠相検知手段に関する。
【０００２】
【従来の技術】
図３は、この種のインバータ装置の従来例を示す回路構成図であり、１は商用電源などの３相交流電源、２は回路遮断器、３はインバータ装置、４はインバータ装置３の負荷としての電動機である。
図３に示したインバータ装置３には、例えばダイオードを３相ブリッジ接続してなる整流回路３１と、平滑コンデンサとしての電解コンデンサ３２と、例えばトランジスタとダイオードとを逆並列接続したスイッチング回路６組を３相ブリッジ接続してなるインバータ３３と、インバータ３３の出力が所望の電圧，周波数の３相交流電圧になるように制御する制御回路３４と、欠相継電器３５とを備えている。
【０００３】
この欠相継電器３５は３相交流電源１が何らかの要因でいずれかの相が欠如したときに、これを検知して欠相信号を制御回路３４に送出し、この欠相信号により制御回路３４の動作を停止させて、例えば、前記状態に起因した電解コンデンサ３２の過熱焼損，劣化を防止し、この停止をインバータ装置３の外部へ表示するようにしていた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従来のインバータ装置３を構成する周知の技術で製作された市販の欠相継電器３５は比較的高価であり、設置スペースも多くとり、インバータ装置の小型化，コストダウンを阻害する要因となっていた。
この発明の目的は、上記問題点を解決する小型，安価なインバータ装置を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
この第１の発明は、多相交流電源から整流回路と平滑コンデンサとを介して得られた直流電圧を、インバータにより所望の電圧，周波数の交流電圧に変換して負荷に給電するインバータ装置において、
前記直流電圧に含まれる前記交流電源の基本周波数の２倍周波数のリプル成分を抽出する帯域通過フィルタと、帯域通過フィルタの出力の実効値を演算して出力する実効値演算回路と、実効値演算回路の出力値が所定の値以上になったときに外部へ欠相信号を出力する比較回路とを備える。
【０００６】
また、第２の発明は前記インバータ装置において、
前記直流電圧に含まれる前記交流電源の基本周波数の２倍周波数のリプル成分を抽出する帯域通過フィルタと、帯域通過フィルタの出力の実効値を演算して出力する実効値演算回路と、実効値演算回路の出力値の２乗値を演算して出力する２乗値演算回路と、２乗値演算回路の出力に一次遅れフィルタを介した値を出力する一次遅れフィルタと、一次遅れフィルタの出力値が所定の値以上になったときに外部へ欠相信号を出力する比較回路とを備える。
【０００７】
この発明によれば、従来のインバータ装置に備えていた欠相継電器に代えて、上述の回路などで形成される新たな欠相検知手段を備えることにより、特に近年のマイコンによるインバータ装置のデジタル制御で対応する際に、後述の如く、該欠相検知手段はこのデジタル制御で容易に具現でき、該装置の小型化，コストダウンに寄与できる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１は、この発明の第１の実施例を示すインバータ装置の回路構成図であり、図３に示した従来例回路と同一機能を有するものには同一符号を付している。
すなわち図１に示したインバータ装置５には整流回路３１，電解コンデンサ３２，インバータ３３，制御回路３４の他に、電解コンデンサ３２の両端電圧を検出する電圧検出器５１と、帯域通過フィルタ５２と、実効値演算回路５３と、比較回路５４とを備えている。
【０００９】
図１に示した電圧検出器５１は、例えば電動機４からの回生電力で電解コンデンサ３２の両端電圧が規定値以上に上昇したことを検知し、この上昇を抑制する図示しない抵抗放電回路を動作させる際の電圧検出器と共用することができる。
また、インバータ装置５が通常の動作状態では、電解コンデンサ３２の両端電圧には３相交流電源１の基本周波数の６倍周波数のリプル成分が主として存在しているが、３相交流電源１から整流回路３１の出力への経路に何らかの不具合が発生し、いずれかの相が欠如した状態になったときには、電解コンデンサ３２の両端電圧には３相交流電源１の基本周波数の２倍周波数のリプル成分が増大することが知られている。
【００１０】
従って、帯域通過フィルタ５２は３相交流電源１の基本周波数（５０Ｈｚ，又は６０Ｈｚ）の２倍周波数のリプル成分のみを通過させるために、例えば帯域が１００Ｈｚ〜１２０Ｈｚの帯域通過フィルタとすればよい。
なお、帯域通過フィルタ５２の機能をマイコンを用いて行う場合には、電解コンデンサ３２の両端電圧の検出値を電圧検出器５１に付加したＡ／Ｄ変換器によりサンプリング周期（ＴS ）毎に変換されたデジタル値を求め、このデジタル値に周知の帯域通過デジタルフィルタを介することにより、３相交流電源１の基本周波数の２倍周波数成分を抽出することができる。
【００１１】
次に実効値演算回路５３では、帯域通過フィルタ５２により抽出された３相交流電源１の基本周波数の２倍周波数のリプル成分の実効値を求めている。その際、マイコンを用いて行う場合には、帯域通過フィルタ５２により抽出された前記リプル成分のデジタル値から下記の演算式の演算を行う。
【００１２】
【数１】
ｖRMS ＝｛（１／Ｔ）（ｖP(1) 2 ＋ｖP(2) 2 ＋・・＋ｖP(N) 2 ）｝1/2 …（１）
ここで、ｖRMS は前記リプル成分の実効値、ｖP(K)：Ｋ（Ｋ＝１・２・・・Ｎ）回目の帯域通過フィルタ５２の出力値を示し、Ｔ＝ＴS ・Ｎの関係にある。
さらに比較回路５４では、実効値演算回路５３の時間Ｔ毎の出力値（ｖRMS ）が所定の値を越えたときに、３相交流電源１から整流回路３１の出力までの経路に何らかの不具合が発生し、いずれかの相が欠如した状態になったたとして、欠相信号を出力し、この欠相信号により制御回路３４の動作を停止させて、例えば、前記状態に起因した電解コンデンサ３２の過熱焼損，劣化を防止し、この停止をインバータ装置５の外部へ表示する。
【００１３】
なお、帯域通過フィルタ５２の機能と実効値演算回路５３の機能とをマイコンを用いて行わせる際に、電解コンデンサ３２の両端電圧の検出値のサンプリング周期（ＴS ）毎に変換されたデジタル値から、周知の離散的フーリエ変換の手法により、３相交流電源１の基本周波数の２倍周波数のリプル成分の実効値を直接求めることができる。
【００１４】
図２は、この発明の第２の実施例を示すインバータ装置の回路構成図であり、図１に示した実施例回路と同一機能を有するものには同一符号を付している。
すなわち図２に示したインバータ装置６には整流回路３１，電解コンデンサ３２，インバータ３３，制御回路３４，電圧検出器５１，帯域通過フィルタ５２，実効値演算回路５３，比較回路５４の他に、実効値演算回路５３から比較回路５４の経路に２乗値演算回路６１と一次遅れフィルタ６２とが挿設されている。
【００１５】
図２において、上述の実効値演算回路５３の演算機能と、実効値演算回路５３の出力の２乗値を求める２乗値演算回路６１の演算機能とを同時に処理することができ、その際には下記の演算式の演算を行う。
【００１６】
【数２】
ｖRMS 2 ＝（１／Ｔ）（ｖP(1) 2 ＋ｖP(2) 2 ＋・・＋ｖP(N) 2 ） …（２）
また一次遅れフィルタ６２では、このフィルタの時定数を電解コンデンサ３２の熱時定数にほぼ等しく設定する。
すなわち、一次遅れフィルタ６２の出力値が所定の値を越えたときに比較回路５４を動作させ、比較回路５４が欠相信号を出力し、この欠相信号により制御回路３４の動作を停止させて、前記状態に起因した電解コンデンサ３２の過熱焼損，劣化を防止し、この停止をインバータ装置６の外部へ表示する。
【００１７】
【発明の効果】
この発明によれば、上述の演算回路，フィルタなどで形成される欠相検知手段は、特にマイコンによるデジタル制御により容易に具現でき、さらに先述の抵抗放電回路の動作に必要な電圧検出器とこの発明の電圧検出器とを共用すれば、このインバータ装置には新たなハード回路の追加が不要となり、その結果、該装置の小型化，コストダウンを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の第１の実施例を示すインバータ装置の回路構成図
【図２】この発明の第２の実施例を示すインバータ装置の回路構成図
【図３】従来例を示すインバータ装置の回路構成図
【符号の説明】
１…３相交流電源、２…回路遮断器、３…インバータ装置、４…電動機、５，６…インバータ装置、３１…整流回路、３２…電解コンデンサ、３３…インバータ、３４…制御回路、３５…欠相継電器３５、５１…電圧検出器、５２…帯域通過フィルタ、５３…実効値演算回路、５４…比較回路、６１…２乗値演算回路、６２…一次遅れフィルタ。
Claims (2)
- 多相交流電源から整流回路と平滑コンデンサとを介して得られた直流電圧を、インバータにより所望の電圧，周波数の交流電圧に変換して負荷に給電するインバータ装置において、
前記直流電圧に含まれる前記交流電源の基本周波数の２倍周波数のリプル成分を抽出する帯域通過フィルタと、
帯域通過フィルタの出力の実効値を演算して出力する実効値演算回路と、
実効値演算回路の出力値が所定の値以上になったときに外部へ欠相信号を出力する比較回路とを備えたことを特徴とするインバータ装置。 - 多相交流電源から整流回路と平滑コンデンサとを介して得られた直流電圧を、インバータにより所望の電圧，周波数の交流電圧に変換して負荷に給電するインバータ装置において、
前記直流電圧に含まれる前記交流電源の基本周波数の２倍周波数のリプル成分を抽出する帯域通過フィルタと、
帯域通過フィルタの出力の実効値を演算して出力する実効値演算回路と、
実効値演算回路の出力値の２乗値を演算して出力する２乗値演算回路と、
２乗値演算回路の出力に一次遅れフィルタを介した値を出力する一次遅れフィルタと、
一次遅れフィルタの出力値が所定の値以上になったときに外部へ欠相信号を出力する比較回路とを備えたことを特徴とするインバータ装置。
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