JP3771228B2 - 磁気光学光部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムに用いられる可変光アッテネータや光変調器、あるいは光スイッチなどの磁気光学光部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
可変光アッテネータとして、印加した磁界の強度によりファラデー回転角を変化させて光の減衰量を制御するいわゆる磁気光学型可変光アッテネータが知られている。磁気光学型可変光アッテネータは、機械的な可動部がないため信頼性が高く、また小型化し易いという利点を有している。磁気光学型可変光アッテネータは、磁気光学結晶と、磁気光学結晶に磁界を印加する電磁石とを有している。電磁石に流す電流量を変化させて磁気光学結晶に印加する磁界の強度を制御することにより、磁気光学結晶の磁化の強さを変化させてファラデー回転角を制御できるようになっている。
【0003】
磁気光学結晶に印加する磁界を制御する方法は、例えば特許文献1に開示されている。図13を用いて当該磁界制御方法について説明する。図13(A)は可変光アッテネータを示しており、当該可変光アッテネータはファラデー回転子(磁気光学結晶)113と偏光子112とを備えている。また、当該可変光アッテネータは、ファラデー回転子113に対して互いに直交する方向に磁界を印加する永久磁石114及び電磁石115と、電磁石115に駆動電流を与える可変電流源116とを有している。
【0004】
永久磁石114によりファラデー回転子113に印加される磁界の方向はファラデー回転子113における光ビーム117の透過方向と平行であり、電磁石115によりファラデー回転子113に印加される磁界の方向はファラデー回転子113における永久磁石114による磁界印加方向及び光ビーム117の透過方向に垂直である。
【0005】
図13(B)において、矢印102、105はファラデー回転子113内の磁化方向とその大きさを表すベクトルであり、矢印101、104、103は外部から印加される印加磁界の方向と大きさを表すベクトルである。図中Z方向はファラデー回転子113中の光の伝播方向であり、X方向はZ方向に直交している。ファラデー回転子113は、外部永久磁石114による垂直磁界101により飽和磁化102の状態となる。次に電磁石115による水平磁界103を印加すると外部磁界は合成磁界104となり、ファラデー回転子113は磁化105の状態になる。この磁化105の大きさは飽和磁化102の大きさと同じであり従ってファラデー回転子113は飽和磁化の状態にある。
【0006】
このように、永久磁石114によりファラデー回転子113に垂直磁界を予め印加してファラデー回転子113を飽和磁化の状態にしておいて、さらにファラデー回転子113の面内方向に配置した電磁石115で水平磁界を印加する。そして、2つの磁界の合成磁界104によりファラデー回転子113の磁化の方向を磁化102から磁化105まで角度θだけ回転させてZ方向の磁化成分106の大きさを制御している。この磁化成分106の大きさに依存してファラデー回転角は変化する。この方法の場合は、ファラデー回転子113は常に飽和磁化領域で使用されるためヒステリシスが生じることがなく、再現性よくファラデー回転角を変化させることができるという特徴を有する。
【0007】
【特許文献1】
特許第2815509号明細書
【特許文献2】
特開平7−104225号公報
【特許文献3】
米国特許第5477376号明細書
【特許文献4】
米国特許第6198567号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された磁界印加方法では、永久磁石114による垂直方向の磁界を印加した状態で磁化を一様に回転させるために、電磁石115により印加する面内方向磁界を強くする必要があり、電磁石115が大型、もしくは大電流を流す必要があり、小型化、低消費電力化が困難という問題を有している。
【0009】
本発明の目的は、小型、低消費電力で、かつ高速な可変光アッテネータ、光変調器、光スイッチなどの磁気光学光部品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、少なくとも1個の磁気光学結晶と、前記磁気光学結晶に対し、光入出射面に垂直な方向の磁界成分を印加する磁界印加機構と、前記磁気光学結晶に印加される前記磁界成分が0となる位置を可変とする少なくとも1個の電磁石とを有することを特徴とする磁気光学光部品によって達成される。
【0011】
上記本発明の磁気光学光部品であって、前記磁界印加機構は、少なくとも1個の永久磁石を有することを特徴とする。また、前記磁界成分は、前記光入出射面内の所定方向で単調に変化することを特徴とする。
【0012】
上記本発明の磁気光学光部品であって、前記磁気光学結晶は、前記光入出射面に垂直な方向の磁化により構成される磁区Aと、磁区Aの磁化方向とは逆向きの方向の磁化により構成される磁区Bとを含むことを特徴とする。
【0013】
上記本発明の磁気光学光部品であって、前記電磁石で発生させる磁界を変化させて、前記磁気光学結晶の光透過領域に、前記磁区Aのみが存在する状態と、前記磁区Aと前記磁区Bの双方が含まれる状態とを形成して、光透過光量を連続的に変化させることを特徴とする。
【0014】
上記本発明の磁気光学光部品であって、さらに前記磁区Bのみが存在する状態を形成することを特徴とする。また、前記磁区Aと前記磁区Bとの境界は、ほぼ直線状であることを特徴とする。
【0015】
上記本発明の磁気光学光部品であって、前記磁気光学結晶の飽和のファラデー回転角は約45°であり、前記磁気光学結晶の片側に配置された偏光子と、前記磁気光学結晶の前記偏光子と反対側に配置された検光子とを有することを特徴とする。
【0016】
また、上記本発明の磁気光学光部品であって、前記磁気光学結晶の飽和のファラデー回転角は約90°であり、前記磁気光学結晶の片側に配置された偏光子と、前記磁気光学結晶の前記偏光子と反対側に配置された検光子とを有することを特徴とする。
【0017】
上記本発明の磁気光学光部品であって、前記磁気光学結晶の飽和のファラデー回転角は約45°であり、前記磁気光学結晶の片側に配置された偏光子と、前記磁気光学結晶の前記偏光子と反対側に配置された反射膜とを有することを特徴とする。
【0018】
上記本発明の磁気光学光部品であって、前記電磁石に印加する電流を変化させて減衰量を可変に制御する可変光アッテネータであることを特徴とする。
【0019】
上記本発明の磁気光学光部品であって、前記電磁石に印加する電流を変調させることにより、透過光量を変調させる光変調器であることを特徴とする。また、上記本発明の磁気光学光部品であって、光スイッチであることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、磁化を一様に回転させるのではなく、光の透過領域における磁区構造を変化させているので、小型の電磁石を用いることができ、又は、電磁石に流す電流を低電流にできる可変光アッテネータ等の磁気光学光部品を実現できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態による磁気光学光部品について図1乃至図12を用いて説明する。まず、本実施の形態による磁気光学光部品の動作原理について図1乃至図3を用いて説明する。図1乃至図3は、ファラデー回転子(磁気光学結晶)20にそれぞれ条件を変えて磁界を印加している状態を示している。図1(A)、図2(A)、及び図3(A)はファラデー回転子20を光入出射面に垂直な方向に見た状態を示している。ファラデー回転子20のほぼ中央の丸で囲んだ領域は光透過領域Cである。例えば紙面手前から紙面後方に向かって進む直線偏光の光は、ファラデー回転子20の光透過領域Cに入射して、偏光方位を所定角度回転させられて紙面後方に射出する。ファラデー回転子20の両側には磁界印加機構として永久磁石M1、M2が配置されている。2つの永久磁石M1、M2は、例えばほぼ同一の磁力を有しており、互いの磁極は逆向き(着磁の方向が正反対)に配置されている。例えば永久磁石M1内部の磁束は紙面後方から手前に向いており、永久磁石M2内部の磁束は紙面手前から後方に向いている。また、永久磁石M1より永久磁石M2の方が、ファラデー回転子20の光透過領域Cの中央部から遠い位置に配置されている。
【0022】
図1(B)、図2(B)、及び図3(B)は、図1(A)、図2(A)、及び図3(A)のそれぞれに示したX−X線で切断したファラデー回転子20の断面での磁区構造を模式的に示している。X−X線は光透過領域Cの中央を横切っている。図1(B)、図2(B)、及び図3(B)において、永久磁石M1内部の磁束は図中下向きに示し、永久磁石M2内部の磁束は図中上向きに示している。
【0023】
図1(C)、図2(C)、及び図3(C)は、光軸に平行な方向(ファラデー回転子20の光入出射面に垂直な方向)に印加される磁界の向きと強さを矢印の向きと長さで模式的に表している。図示において、横方向はファラデー回転子20の断面の横方向の位置に対応し、縦方向は光軸に平行な方向を表している。
【0024】
さて、図1(A)、図1(B)、及び図1(C)は、永久磁石M1、M2だけでファラデー回転子20に磁界が印加されている状態を示している。図1(C)に示すように、ファラデー回転子20の永久磁石M1に近い左側部分では磁界は図中上向きに(つまり、図1(A)において紙面後方に向かって)印加され、一方、永久磁石M2に近い右側では磁界は図中下向きに(つまり、図1(A)において紙面手前に向かって)印加される。ファラデー回転子20に印加される磁界成分は、光入出射面内の所定方向で単調に変化している。図1(B)のファラデー回転子20内の矢印で示すように、ファラデー回転子20内の磁化の向きは、永久磁石M1と永久磁石M2によりファラデー回転子20に印加される磁界の向きと同じになる。永久磁石M1、M2はほぼ等しい磁界強度を有しているが、互いに磁極が逆向きであってファラデー回転子20からの距離は永久磁石M1の方が近いため、ファラデー回転子20内部では図1(C)に示すように上向きの磁界、つまり光の進行方向と同方向の磁界が支配的になる。従って、図1(B)に示すように、ファラデー回転子20には、上向き(光の進行方向と同方向)の磁化を有する磁区Aの領域の方が下向き(光の進行方向と逆方向)の磁化を有する磁区Bの領域より支配的になる。これにより図1(C)に示すように光入出射面に垂直方向の磁界が0となる位置Oにおいて、図1(A)及び図1(B)に示すように磁区Aと磁区Bとの境界(以下、磁壁Iという)が形成されて、光透過領域Cは、磁区Aの領域内に完全に包含される。ここで、光透過領域Cが磁区A領域内にあるときのファラデー回転角を+θfs(飽和のファラデー回転角)とする。
【0025】
ここでは、永久磁石M1を永久磁石M2よりファラデー回転子20に近づけることにより光透過領域Cを磁区Aの領域内に入るようにしているが、例えば、永久磁石M1の磁力を永久磁石M2のそれより強くして、ファラデー回転子20に対して両者がほぼ等距離になるように配置して光透過領域Cを磁区Aの領域内に入れるようにしてもよい。あるいは、永久磁石M2を用いずに永久磁石M1だけを用いて光透過領域Cを磁区Aの領域内に入れるようにしてもよい。
【0026】
次に、図2(A)、図2(B)、及び図2(C)では、不図示の電磁石に通電して、永久磁石M1、M2の磁界に加えて光の進行方向と逆方向の磁界をさらに印加して、光入出射面に垂直方向の磁界が0となる位置Oを図の左方向に移動させてファラデー回転子20のほぼ中央に位置させる。これにより図2(C)に示すように、ファラデー回転子20内部は左半分に図中上向き(光の進行方向と同方向)の磁界が印加され、右半分に下向き(光の進行方向と逆方向)の磁界が印加される状態となる。従って、図2(B)に示すように、磁壁Iも図の左方向に移動し、ファラデー回転子20には、上向き(光の進行方向と同方向)の磁化を有する磁区Aの領域と下向き(光の進行方向と逆方向)の磁化を有する磁区Bの領域とが中央を境界として左右半々に形成される。これにより図2(A)に示すように、光透過領域Cには、磁区Aの領域と磁区Bの領域とがほぼ半々に存在するようになり、両方の磁区が均等に含まれるためファラデー回転角θfは0°となる。
【0027】
次に、図3(A)、図3(B)、及び図3(C)では、不図示の電磁石にさらに大電流を流すことにより光の進行方向と逆方向の磁界をさらに印加して、図3(C)に示すように、光入出射面に垂直方向の磁界が0となる位置Oをさらに図の左方向に移動させる。これにより図3(C)に示すように、ファラデー回転子20内部では図中下向き(光の進行方向と逆方向)の磁界が支配的になる。従って、図3(B)に示すように、ファラデー回転子20には、下向き(光の進行方向と逆方向)の磁化を有する磁区Bの領域の方が上向き(光の進行方向と同方向)の磁化を有する磁区Aの領域より支配的になる。これにより図3(A)に示すように、光透過領域Cは、磁区Bの領域内に完全に包含される。光透過領域Cが磁区B領域内にあるときのファラデー回転角は、−θfsとなる。
【0028】
図4は、上記動作原理を用いる際にファラデー回転子20に生じさせる磁区A、B間の磁壁Iの状態を示している。図4は磁壁Iの近傍一部(円内)を示しており、図示のとおり磁壁Iは直線状に形成されている。図4に示す写真では、磁壁Iの左右の磁区A、B内で厚さ方向に一部磁化が反転した領域が現れている。このような領域があっても再現性の劣化要因とならなければその存在は許容される。このように、上記動作原理を用いる際には、磁壁Iが直線状になるようにファラデー回転子20に印加する磁界強度が制御される。このような直線状の磁壁の構造を得るためには、十分な大きさの勾配を有する磁界を印加する必要がある。図5は、この磁界勾配が小さい場合の磁壁Iの近傍一部(円内)を示しており、図示のとおり磁壁Iは非直線状に形成されている。
【0029】
磁壁Iが直線状でない場合は、図5左から右に示すように、例えばファラデー回転子20に印加する磁界(H1<H2<H3)をH1、H2、H3、H2、H1のように徐々に変化させると、別の磁界から元の磁界に戻しても元の磁区構造に戻らず再現性が得られない。例えば、図5の左端と右端の図示は、同じ磁界H1の印加状態を示しているが両者の磁区構造は異なっており、従って磁壁Iの形状は非直線で且つ両者の形状が異なっている。同様に、図中央の磁界H3の印加前後の図左右に示す同一磁界H2の印加状態においても磁区構造の再現性がなく磁壁Iの形状は非直線で且つ両者の形状が異なっている。このため、上記図1乃至図3に示した動作原理において、図5に示すような形状の磁壁Iを用いると光学特性の再現性が低下してしまい実用上問題となる。
【0030】
一方、図4に示すように、磁区A、Bの境界の磁壁Iをほぼ直線状に維持させている場合は、印加磁界を変化させて磁壁Iを移動させても、同一磁界における磁壁Iの形状は殆ど変化せず良好な再現性が得られる。
【0031】
磁壁Iをほぼ直線状に維持するには、図1(C)、図2(C)、及び図3(C)に示した光入出射面に対する垂直方向磁界が0となる位置O近傍での磁界強度の勾配が十分大きければよい。また、位置Oが光入射面内で直線状になるように一様な垂直方向磁界を印加することにより、磁壁Iを再現性良く安定して移動させることができる。これにより、従来から問題とされている磁区構造のヒステリシスが生じない、繰り返し再現性に優れた磁気光学光部品を実現できる。例えば、特許文献2では磁気ヒステリシスを解消する方法として永久磁石を配置する技術が開示されている。しかしながら、光透過領域Cにおける磁区構造の制御に関する開示はない。特許文献2の構成では大きなヒステリシスは解消できても、電磁石に流す電流を変化させた場合の再現性を十分確保することは困難である。
【0032】
磁壁Iをほぼ直線状に維持するために必要な磁界の大きさについては、垂直磁気異方性、飽和磁化の大きさ、交換エネルギー等の磁気光学結晶の特性に依存する。少なくとも、磁気光学結晶の両端において、飽和磁界以上の大きさで向きの異なる磁界を印加する必要がある。実験的には、例えば、磁界の勾配を徐々に大きくして、磁壁Iがほぼ直線状になる条件を見出すことができる。
【0033】
図6(A)、図6(B)、及び図6(C)は、図1(A)乃至図3(A)に示した磁気光学光部品において、磁界印加機構として、図の右側の永久磁石M2を省いて左側の永久磁石M1だけを用いた構成を示している。図6(A)に示すように、不図示の電磁石による磁界の印加がない場合には、ファラデー回転子20の図右端付近は永久磁石M1から遠ざかっているため印加磁界は小さく磁界の勾配も小さい。このような状態では磁壁Iは直線状にならない。また、光入出射面に垂直な成分の磁界が0となる位置Oは存在しなくなる。
【0034】
電磁石により、ほぼ一様な逆向きの磁界を印加すると、入出射面に垂直な成分の磁界が0となる位置Oが存在するようになる。また、位置Oでの磁界の勾配も大きくなり、条件を選ぶことにより図6(B)及び図6(C)に示すように磁壁Iを直線状にすることができる。磁壁Iを印加磁界H1で光透過領域Cの右側に生じさせることにより、図6(B)に示すように光透過領域C内を磁区Aだけにすることができる。また、印加磁界H1より大きな所定磁界H2を印加して磁壁Iを光透過領域Cの左側に生じさせることにより、図6(C)に示すように光透過領域C内を磁区Bだけにすることができる。このような直線状の磁壁Iは再現性よく移動させることができるので、印加磁界をH1からH2まで変化させることにより、光透過領域C内に含まれる磁区Aと磁区Bの領域を任意に変化させることができるようになる。
【0035】
図6(B)及び図6(C)に示すように、直線状の磁壁Iが存在するように光透過領域Cの位置を設定することにより、図6(A)に示すように仮に電磁石の磁界が0のときに磁壁Iが直線状でなくても実用上問題ないことが分かる。直線状ではない磁壁Iは図5に示すように再現性が悪いが、再現性が悪くなる領域が光透過領域Cに含まれないようにすれば十分な特性を得ることができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態の動作原理によれば、磁区Aと磁区Bとの境界領域である磁壁Iの移動により、ファラデー回転角を+θfsから−θfsの範囲で変化させることができる。例えばファラデー回転子20の前後に偏光子を配置することにより、光アッテネータなどの磁気光学光部品を実現できる。
【0037】
次に、上記動作原理を用いた本実施の形態による磁気光学光部品の概略の構成について図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態による磁気光学光部品としての可変光アッテネータの概略構成を示している。可変光アッテネータ1は、第1の偏光子10、ファラデー回転子(磁気光学結晶)20、及び第2の偏光子12がこの順に並んで配置された光学素子を有している。第1及び第2の偏光子10、12としては、例えば、偏光ガラス、くさび複屈折偏光子、複屈折板等を用いることができる。
【0038】
また、ファラデー回転子20に対し光軸に平行な方向に飽和磁界を印加する永久磁石(磁界印加機構)30が配置されている。さらに、ファラデー回転子20に対し光軸に平行な方向に、永久磁石30の磁界の向きと逆向きの可変磁界を印加する電磁石32が配置されている。
【0039】
電磁石32はコの字状のヨーク32aとヨーク32aに巻き回されたコイル32bとを有している。ヨーク32a両端部には光を透過させるための光導入窓32cが設けられている。第1及び第2の偏光子10、12間にファラデー回転子20を挟んだ光学素子はヨーク32a両端部の間に位置している。ヨーク32a一端部の光導入窓32cから入射した光は、光学素子の光軸を通ってヨーク32a他端部の光導入窓32cから射出するようになっている。コイル32bに通電することによりヨーク32a及びヨーク32a両端部間の光学素子に閉磁路が形成されて、予め光軸に平行に飽和磁界が印加されているファラデー回転子20に同時に所望の逆向きの磁界を印加できるようになっている。
【0040】
本実施の形態による可変光アッテネータ1のファラデー回転子20は、例えばLPE(液相エピタキシャル)法により育成されたガーネット単結晶膜を研磨して形成されている。当該ガーネット単結晶膜は膜面に垂直な垂直磁区構造を有しており、ファラデー回転子20は、飽和磁界より小さい磁界を印加した場合は磁区構造を有するため回折損失が生じる。
【0041】
図7に示す可変光アッテネータ1において、例えば、永久磁石30により、ファラデー回転子20の光入出射面に垂直に光ビームの進行方向と同方向の磁界が印加され、電磁石32には電流が流れていない状態では、ファラデー回転子20の光入出射面に垂直に印加される磁界成分は、永久磁石30から遠ざかるに従って単調に減少している。このときファラデー回転子20の光透過領域は例えば磁区A領域に完全に包含されている。飽和のファラデー回転角は+θfsであり、これに対応させて第1の偏光子10と第2の偏光子(検光子)12との偏光軸の角度を調整しておくことにより、減衰なしで光ビームを射出することができる。
【0042】
次に、電磁石32に通電して、永久磁石30の磁界の向きと逆向きの磁界を印加して光入出射面に垂直方向の磁界が0となる境界領域を光透過領域のほぼ中央に形成する。これにより、光透過領域には磁壁Iを挟んで磁区Aの領域と磁区Bの領域とがほぼ半々に存在するようになり、両方の磁区が均等に含まれるためファラデー回転角θfは0°となる。ファラデー回転角が+θfsから0°に変化するのに伴い、第2の偏光子12で吸収される光量が増加するため、所定のアッテネーションが実現される。
【0043】
次に、電磁石32にさらに大電流を流すことにより永久磁石30の磁界の向きと逆向きの磁界をさらに印加して、光入出射面に垂直方向の磁界が0となる境界領域をさらに永久磁石30側に移動させる。これにより、ファラデー回転子20内部では磁壁Iが移動して磁区Bの領域の方が磁区Aの領域より支配的になり、光透過領域は、磁区Bの領域内に完全に包含される。光透過領域が磁区B領域内にあるときのファラデー回転角は、−θfsとなる。ファラデー回転角が0°からさらに−θfsに変化するのに伴い、第2の偏光子12で吸収される光量がさらに増加するため、優れたアッテネーションが実現される。
【0044】
以上のように、本実施の形態による可変光アッテネータ1によれば、磁区Aと磁区Bとの境界領域である磁壁Iの移動により、ファラデー回転角を+θfsから−θfsの範囲で変化させて、光ビームの強度を制御することができる。θfsの大きさを約45°に設定すると、ファラデー回転角は、+45°から−45°におおよそ変化することになる。この場合、+45°の場合に減衰しないように両側の偏光子を配置すると、−45°の場合は、回転角の変化量が90°になるので消光状態になり、最大の減衰量が得られ、減衰量が大きく、印加電流に対して単調に減衰量が増加する理想的な可変光アッテネータを実現できる。
【0045】
このように本実施の形態によれば、上述の特許文献1に開示されたような、磁気光学結晶の磁化を一様に回転させる磁界印加方式ではなく、光透過領域内の磁区構造を変化させる方式としたため、小型の電磁石でファラデー回転角を変化させることができ、小型の磁気光学光部品が実現できる。また、応答速度は、通常、電磁石のL(インダクタンス)により制限されており、電磁石が小型化できればLを低減でき、応答速度の高速化が実現できる。
【0046】
さらに、特許文献1に開示された磁界印加方式では、ファラデー回転角の変化は、+θfsから0°未満までの変化しか得られないが、本実施の形態によれば、ファラデー回転角は+θfsから−θfsの範囲で変化させることができ、2倍の変化量が得られる。したがって、使用される磁気光学結晶の厚さを半分にできるので製品の低価格化も実現できる。
【0047】
次に、本実施の形態による磁気光学光部品の変形例について図8乃至図11を用いて説明する。図8に示す可変光アッテネータ2は、ファラデー回転子20に対し光軸に平行な方向に飽和磁界を印加する永久磁石(磁界印加機構)30、31がファラデー回転子20の両側に配置された構造を有している。2つの永久磁石30、31は、例えばほぼ同一の磁力を有しており、互いの磁極は逆向きに配置されている。また、永久磁石30より永久磁石31の方が、ファラデー回転子20の光透過領域の中央部から遠い位置に配置されている。
【0048】
本実施の形態による可変光アッテネータ2のファラデー回転子20も、例えばLPE法により育成され、膜面に垂直な垂直磁区構造を有するガーネット単結晶膜を研磨して形成されている。
【0049】
図8に示す可変光アッテネータ2において、永久磁石30、31だけでファラデー回転子20に磁界が印加されている状態では、ファラデー回転子20には、永久磁石30の磁界が支配的な領域に生じる磁区Aの方が永久磁石31の磁界が支配的な領域に生じる磁区Bより領域が広く、光透過領域は、磁区Aの領域内に完全に包含される。飽和のファラデー回転角は+θfsであり、ここで+θfsを約+90°に設定する。これに対応させて第1の偏光子10と第2の偏光子(検光子)12との偏光軸の角度を90°に調整しておくことにより、減衰なしで光ビームを射出することができる。
【0050】
次に、電磁石32に通電して、永久磁石30の磁界の向きと逆向きで、永久磁石31の磁界の向きと同方向の磁界を印加して光入出射面に垂直方向の磁界が0となる境界領域を光透過領域のほぼ中央に形成する。これにより、光透過領域には磁壁Iを介して磁区Aの領域と磁区Bの領域とがほぼ半々に存在するようになる。磁区Bの磁化の方向は磁区Aの磁化の向きと反対であり、磁区Bでの飽和のファラデー回転角は−θfs(約−90°)である。これにより磁区Aを通過した光の位相と磁区Bを通過した光の位相は半波長ずれる。このため、コリメータ光学系の間に可変光アッテネータ2を配置すれば、出力用のシングルモード光ファイバ(不図示)端部に集光した2つの光は打ち消し合い直進しなくなる。光透過領域に磁区Aの領域と磁区Bの領域とが半々に存在する場合には、出力用のシングルモード光ファイバ端部に集光した2つの光は全く結合しなくなり、最大の減衰量が得られる。
【0051】
図8に示す可変光アッテネータ2において、ファラデー回転子20の光透過領域のほぼ中央に磁壁Iを形成すると最大減衰量が得られることを図9及び図10を用いて説明する。図9は、図8に示すx−y−z直交座標系において、+y方向から−y方向にファラデー回転子20及び第1及び第2の偏光子10、12を見た状態を示している。図10は、図8に示すx−y−z直交座標系において、+z方向から−z方向に光路を見た状態を示している。図10(A)はファラデー回転角θfsが90°の場合、図10(B)は、90°からずれた場合の光の偏光状態を示している。ファラデー回転角は一般に波長、温度により変化するので、図10(B)は、波長もしくは温度が、中心波長もしくは中心温度からずれた場合に対応している。
【0052】
図9に示すように、第1の偏光子10の偏光軸(光透過軸)はy軸に平行に設定され、第2の偏光子12の偏光軸は第1の偏光子10の偏光軸に直交するx軸に平行に設定されている。光ビームは+z方向に進行する。ヨーク32a一端部の光導入窓32cから入射した光は、図9及び図10(A)に示すように、第1の偏光子10に入射して偏光方位がy軸に平行な直線偏光の光P1としてファラデー回転子20の光透過領域に入射する。ファラデー回転子20の光透過領域のほぼ中央には直線状の磁壁Iが形成され、その両側には磁区A、Bが形成されている。光P1は、磁区A、Bに半々が入射して、磁区Aを透過する光は偏光方位がファラデー回転角+θfs(=+90°)だけ回転してx軸に平行な直線偏光の光P2となり、磁区Bを透過する光は偏光方位がファラデー回転角−θfs(=−90°)だけ回転してx軸に平行な直線偏光の光P3となる。このため光P2と光P3とは、図9及び図10(A)に示すように、振幅と偏光方位は一致してその位相が180°ずれてファラデー回転子20を射出する。従って、光P2、P3は共に第2の偏光子12を透過し、出力用のシングルモード光ファイバ(不図示)端部に集光して打ち消し合う。
【0053】
図10(B)は、ファラデー回転角θfsが90°でない場合を示している。この場合には、ファラデー回転子20の光透過領域に入射した光P1は、磁区A、Bに半々が入射して、磁区Aを透過する光は偏光方位が例えばファラデー回転角+θfs(≠+90°)だけ回転した直線偏光の光P2となり、磁区Bを透過する光は偏光方位がファラデー回転角−θfs(≠−90°)だけ回転した直線偏光の光P3となる。そして、光P2及び光P3のうちy方向成分が第2の偏光子12で遮断され、x方向成分だけが第2の偏光子12を透過する。第2の偏光子12を透過した光P2及び光P3は振幅は同じだが位相が180°ずれているため出力用のシングルモード光ファイバ(不図示)端部に集光して打ち消し合う。
【0054】
このように図8に示した構成の可変光アッテネータ2は、ファラデー回転角の変化を利用した従来の可変光アッテネータとは異なり、ファラデー回転角の変化を利用せず光の回折効果を利用している点に特徴を有している。回折を利用した従来の可変光アッテネータとしては、特許文献3又は特許文献4に開示された偏光子を用いない構成が知られている。図8に示す可変光アッテネータ2のように偏光子を用いる構成にすることにより、従来の可変光アッテネータに比して波長依存性及び温度依存性の非常に小さい優れた特性を得ることができるようになる。
【0055】
図11は、図8に示した可変光アッテネータ2と、偏光子を配置しない従来の可変光アッテネータの波長依存性を示す測定結果である。横軸は入射光の波長(nm)を表し、縦軸は減衰量(dB)を表している。図中の曲線αは図8に示した可変光アッテネータ2の特性を示し、曲線βは従来の可変光アッテネータの特性を示している。一般にファラデー回転子で得られるファラデー回転角は、光の波長及び回転子の温度に依存して変化する。そして、ファラデー回転角の変化によりファラデー回転子の光学特性も変化する。従って、ファラデー回転角の変化を利用する従来の可変光アッテネータは実用上、波長依存性及び温度依存性が無視できない。
【0056】
これに対し、図8に示す可変光アッテネータ2は、第1及び第2の偏光子10、12の偏光軸の相対角度を90°に配置して2つの磁区A、Bを透過した光の波長の位相差を利用し、ファラデー回転角の角度変化を利用しない動作原理を有しているため、波長依存性及び温度依存性を極めて小さくできる。
【0057】
図11に示すように、曲線αで示す可変光アッテネータ2では、1500〜1600nmという広い波長範囲において減衰量がほぼ同じなのに対し、曲線βで示す偏光子を配置しない従来の可変光アッテネータの場合は、非常に大きな波長依存性を示している。
【0058】
次に、本実施の形態による磁気光学光部品の他の変形例について図12を用いて説明する。図12に示す可変光アッテネータ3は、図7及び図8に示す可変光アッテネータ1、2に対して、1枚の偏光子14と反射ミラー40とでファラデー回転子20を挟んだ構成になっている点に特徴を有している。すなわち、偏光子14、ファラデー回転子(磁気光学結晶)20、及び反射ミラー40がこの順に並んで配置された光学素子を有している。反射ミラー40は、例えばガラス基板面にアルミニウム等の金属薄膜を反射膜として蒸着して形成されている。また、反射ミラー40に代えて、ファラデー回転子20の偏光子14側と反対側の面に金属薄膜等を反射膜として蒸着してももちろんよい。偏光子14としては複屈折くさび板を用いることができる。さらに当該光学素子と、入力用のシングルモード光ファイバ50端部及び出力用のシングルモード光ファイバ52端部との間にレンズ42が配置されている。
【0059】
また、ファラデー回転子20の両側には、ファラデー回転子20に対し光軸に平行な方向に飽和磁界を印加する永久磁石(磁界印加機構)30、31が配置されている。2つの永久磁石30、31は、例えばほぼ同一の磁力を有しており、互いの磁極は逆向きに配置されている。また、永久磁石30より永久磁石31の方が、ファラデー回転子20の光透過領域の中央部から遠い位置に配置されている。さらに、ファラデー回転子20に対し光軸に平行な方向に、永久磁石30による磁界の向きと逆向きで永久磁石31による磁界の向きと同方向の可変磁界を印加する電磁石32が反射ミラー40に対してファラデー回転子20の反対側に配置されている。本例の電磁石32は、図7及び図8に示す電磁石32と異なり、コア32aを有さない空芯コイル構造の電磁石である。
【0060】
本実施の形態による可変光アッテネータ3のファラデー回転子20も、例えばLPE法により育成されたガーネット単結晶膜を研磨して形成されている。当該ガーネット単結晶膜は膜面に垂直な垂直磁区構造を有しており、ファラデー回転子20は、飽和磁界より小さい磁界を印加した場合は磁区構造を有するため回折損失が生じる。
【0061】
図12に示す可変光アッテネータ3において、永久磁石30、31だけでファラデー回転子20に磁界が印加されている状態では、ファラデー回転子20には、永久磁石30の磁界が支配的な領域に生じる磁区Aの方が永久磁石31の磁界が支配的な領域に生じる磁区Bより領域が広く、光透過領域は、磁区Aの領域内に完全に包含される。飽和のファラデー回転角は+θfsであり、ここでθfsを約45°に設定する。入力用光ファイバ50から出射した光は、レンズ42により平行ビームに変換され、複屈折くさび板14、ファラデー回転子20を通過した後、反射ミラー40で反射し、再度、ファラデー回転子20、複屈折くさび板14を通過し、レンズ42により出力用光ファイバ52に集光する。ファラデー回転子を2回通過するため、ファラデー回転角は、45°の2倍の90°となる。複屈折くさび板を常光で通過した光の反射光は異常光として再度複屈折くさび板を通過し、逆に、複屈折くさび板を異常光で通過した光の反射光は常光として再度複屈折くさび板を通過し、このような光が全て出力用光ファイバ52に入射するように光軸を調整することにより、減衰なしで光ビームを入力側光ファイバ50から出力側光ファイバ52へ射出することができる。
【0062】
次に、電磁石32に通電して、永久磁石30の磁界の向きと逆向きで、永久磁石31の磁界の向きと同方向の磁界を印加して光入出射面に垂直方向の磁界が0となる境界領域を光透過領域のほぼ中央に形成する。これにより、光透過領域には磁壁Iを介して磁区Aの領域と磁区Bの領域とがほぼ半々に存在する。磁区Bの磁化の方向は、磁区Aの磁化の向きと反対である。従って、磁区Aを2回通過した光に対するファラデー回転角は+90°になり、磁区Bを2回通過した光に対するファラデー回転角は−90°になる。これにより磁区Aを2回通過した光の位相と磁区Bを2回通過した光の位相とは半波長ずれるため、出力用光ファイバ52端部に集光した2つの光は打ち消し合う。光透過領域に磁区Aの領域と磁区Bの領域とが半々に存在する場合には、出力用光ファイバ52端部に集光した2つの光は全く結合しなくなり、最大の減衰量が得られる。
【0063】
このように図12に示した構成の可変光アッテネータ3も、図8に示した可変光アッテネータ2と同様に、ファラデー回転角の変化を利用せず光の回折効果を利用している点に特徴を有している。図12に示す可変光アッテネータ3は偏光子を用いているため、従来の可変光アッテネータに比して波長依存性及び温度依存性の非常に小さい優れた特性を得ることができる。
【0064】
以上説明したように本実施の形態によれば、ヒステリシスのない繰り返し再現性に優れた磁区構造を実現して直線状の磁壁を安定して移動させるので、従来に比して低消費電力で駆動できる磁気光学光部品を実現できる。偏光軸相対角度を90°とした場合には、さらに波長依存性や温度依存性を抑えた磁気光学光部品を実現できる。
【0065】
なお、上記実施の形態に利用できる磁気光学結晶としては、光の入出射面に対して垂直な方向に磁化容易軸を有することが必要である。上記実施の形態では、外部磁界については光入出射面に垂直方向の成分のみについて議論したが、このような垂直磁化性を有する磁気光学結晶においては、垂直方向の成分の磁界が、磁区構造をほぼ決定するためである。面内方向の磁界成分も存在しているが、磁区構造には大きく影響しない。
【0066】
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、磁気光学結晶に対し、光入出射面に垂直な方向の磁界成分を印加する磁界印加機構として、1又は2個の永久磁石を用いているが、本発明はこれに限られない。例えば、永久磁石に代えて電磁石を磁界印加機構に用いてももちろんよい。
【0067】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、光の透過領域における磁区構造を変化させることにより、小型、高速で、低価格な磁気光学光部品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による磁気光学光部品としての可変光アッテネータの動作原理を説明する図(その1)である。
【図2】本発明の一実施の形態による磁気光学光部品としての可変光アッテネータの動作原理を説明する図(その2)である。
【図3】本発明の一実施の形態による磁気光学光部品としての可変光アッテネータの動作原理を説明する図(その3)である。
【図4】本発明の一実施の形態によるファラデー回転子20に生じる磁区A、B間の磁壁Iの状態を示す図である。
【図5】磁界勾配が小さい場合に生じる磁区A、B間の磁壁Iの状態を示す図である。
【図6】図1(A)乃至図3(A)に示した磁気光学光部品において、右側の永久磁石M2を省いて左側の永久磁石M1だけを用いた構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態による磁気光学光部品としての可変光アッテネータの概略構造を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態による他の磁気光学光部品としての可変光アッテネータの概略構造を示す図である。
【図9】図8に示すx−y−z直交座標系において、+y方向から−y方向にファラデー回転子20及び第1及び第2の偏光子10、12を見た状態を示す図である。
【図10】図8に示すx−y−z直交座標系において、+z方向から−z方向に光路を見た状態を示す図である。
【図11】図8に示した可変光アッテネータ3及び偏光子を配置しない従来の可変光アッテネータの波長依存性の測定結果を示す図である。
【図12】本発明の一実施の形態によるさらに他の磁気光学光部品としての可変光アッテネータの概略構造を示す図である。
【図13】従来の磁気光学光部品としての可変光アッテネータの概略構造及び動作原理を説明する図である。
【符号の説明】
1、2、3 可変光アッテネータ
10、12、14 偏光子
20 ファラデー回転子
30、31 永久磁石
32 電磁石
40 反射ミラー
42 レンズ
50 入力用のシングルモード光ファイバ
52 出力用のシングルモード光ファイバ
Claims (13)
- 少なくとも1個の磁気光学結晶と、
前記磁気光学結晶に対し、光入出射面に垂直な方向の磁界成分を印加する磁界印加機構と、
前記磁気光学結晶に印加される前記磁界成分が0となる位置を可変とする少なくとも1個の電磁石と
を有することを特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項1記載の磁気光学光部品であって、
前記磁界印加機構は、少なくとも1個の永久磁石を有すること
を特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項1又は2に記載の磁気光学光部品であって、
前記磁界成分は、前記光入出射面内の所定方向で単調に変化すること
を特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項3記載の磁気光学光部品であって、
前記磁気光学結晶は、前記光入出射面に垂直な方向の磁化により構成される磁区Aと、磁区Aの磁化方向とは逆向きの方向の磁化により構成される磁区Bとを含むこと
を特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項4記載の磁気光学光部品であって、
前記電磁石で発生させる磁界を変化させて、前記磁気光学結晶の光透過領域に、前記磁区Aのみが存在する状態と、前記磁区Aと前記磁区Bの双方が含まれる状態とを形成して、光透過光量を連続的に変化させること
を特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項5記載の磁気光学光部品であって、
さらに前記磁区Bのみが存在する状態を形成すること
を特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項5又は6に記載の磁気光学光部品であって、
前記光透過領域に前記磁区Aと前記磁区Bの双方が含まれる状態で、前記磁区Aと前記磁区Bとの境界は、ほぼ直線状であること
を特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の磁気光学光部品であって、
前記磁気光学結晶の飽和のファラデー回転角は約45°であり、
前記磁気光学結晶の片側に配置された偏光子と、
前記磁気光学結晶の前記偏光子と反対側に配置された検光子と
を有することを特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の磁気光学光部品であって、
前記磁気光学結晶の飽和のファラデー回転角は約90°であり、
前記磁気光学結晶の片側に配置された偏光子と、
前記磁気光学結晶の前記偏光子と反対側に配置された検光子と
を有することを特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の磁気光学光部品であって、
前記磁気光学結晶の飽和のファラデー回転角は約45°であり、
前記磁気光学結晶の片側に配置された偏光子と、
前記磁気光学結晶の前記偏光子と反対側に配置された反射膜と
を有することを特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気光学光部品であって、
前記電磁石に印加する電流を変化させて減衰量を可変に制御する可変光アッテネータであることを特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気光学光部品であって、
前記電磁石に印加する電流を変調させることにより、透過光量を変調させる光変調器であることを特徴とする磁気光学光部品。 - 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気光学光部品であって、
光スイッチであることを特徴とする磁気光学光部品。
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