JP3770562B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、核磁気共鳴現象を利用した磁気共鳴イメージング(MRI)装置に係り、とくに、高速でスキャン可能なマルチエコースキャン法のうちの、複数 のエコーにより1枚の画像を生成する高速SE法を用いた磁気共鳴イメージング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージングにおける画像データの収集シーケンスには、現在、各種のものが使用されている。その一つに、90°パルス(励起パルス)及び180°パルス(反転パルス)を使ったスピンエコー法(SE法)がある。
【0003】
このスピンエコー法の一つとして、シングルエコースキャン法が知られている。このシングルエコースキャン法は、90°パルスを印加した後、TE/2(TE:所定のエコー時間)時間が経過した時点で1個の180°パルスを印加し、この180°パルス印加に伴う1個のスピンエコー信号を収集するとともに、この収集を必要マトリクス数だけ繰り返すものである。なお、エコー時間TEは、撮影部位及び静磁場強度などによって異なる値で、例えば、0.5Tの静磁場の場合、TE=80〜120msecに設定される。
【0004】
スピンエコー法にはさらに、撮影時間の短縮を図る高速SE法も知られている。この高速SE法では、CPMGパルス系列又はCPパルス系列のパルスシーケンスが用いられ、図8に示すように、1つの90°RFパルス及び複数個の180°RFパルスが印加される。これにより、1回の90°RFパルスに拠る高周波励起から複数のエコー信号R1〜R4(4エコー法の場合)が発生するので、そのエコー信号R1〜R4の夫々に、異なる大きさの位相エンコード用傾斜磁場GEによる位相エンコーディングが施される。この一連のシーケンスが必要回数繰り返され、通常のSE法より少ない励起回数で1画像の再構成に必要なエコーデータが収集される。このため、撮影時間を大幅に短縮できるという有利さがある。
【0005】
この高速SE法は、図9に示す如く、1回の90°RFパルスによる高周波励起から得られる一連のエコーデータがk空間(フーリエ空間)上でke方向(位相エンコードの空間周波数の方向)に等間隔に並ぶという特徴がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した高速SE法では、1回の90°RFパルスによる高周波励起から得られる一連のエコーデータが、k空間上でke方向に等間隔に配列されることから、撮影中の撮影対象の動き(即ち、体動)やCSF(脳脊髄液)の拍動などに起因したゴースト発生の問題がある。
【0007】
これを詳述すると、上述した高速SE法によるパルスシーケンスの全体は通常、2〜3秒のオーダーで終了し、1回の90°RFパルスによる高周波励起は例えば100msec程度のオーダーである。これに対して、撮影中に撮影対象が動く時間は通常、数秒のオーダーである。このため、撮影対象が動いたとすると、パルスシーケンス全体が体動による影響下に入ることになり、90°RFパルスによる高周波励起毎に殆ど等しくその影響を受ける。このように、撮影対象が動き、画像の各画素に対応する撮影対象の信号強度が、90°RFパルスによる高周波励起毎に変動すると、エコーデータはk空間上でke方向に、エコー数に関係した(即ち、エコー数に比例した)周期で振幅変調を受けた形で並ぶ。この結果、再構成像上には図10に示す如く(同図中、符号IMは対象とする像を示す)、エンコード方向に沿ってエコー数に比例した周期PTでゴースト状アーチファクトAF...AFが発生するという問題がある。このアーチファクトは、コントラストの低い場所に発生することが多いので、誤診を招く恐れがある。
【0008】
この発明は、上述した従来技術の問題に鑑みてなされたもので、従来の高速SE法に特有のゴースト状アーチファクトの発生を排除し、高画質の画像を得ることを、目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成させるため、この発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、静磁場中に置かれた被検体に1個の励起パルスを印加して所望のスライス面を励起した後、複数個の反転パルスを前記スライス面に順次印加し、この複数個の反転パルスに付勢されて生じる複数個のスピンエコー信号を位相エンコード用傾斜磁場による位相エンコードを施して収集するとともに、前記複数個のスピンエコー信号に応じたエコーデータを、フーリエ空間の前記位相エンコード用傾斜磁場の量に対応した位相エンコード位置であって前記複数個の反転パルス数に応じた複数の分割領域それぞれにおける位相エンコード位置に配置し、前記フーリエ空間上のエコーデータを再構成して1枚の画像を生成するようにした高速SE(スピンエコー)法を用いた装置であり、前記複数個の反転パルスそれぞれの印加後に印加する前記位相エンコード用傾斜磁場の量を、前記各分割領域内の全位相エンコード位置をカバーし、且つ、前記励起パルスに拠るいずれの高周波励起においても、同一の高周波励起ではk空間上で隣接する分割領域間の位相エンコードの量の差が一定とならないように、前記励起パルスに拠る高周波励起毎に他の分割領域とは無関係なデータ収集順序となるように変化させる収集順序制御手段と、この収集順序変化手段により変化させたデータ収集順序に対応して前記フーリエ空間上に前記エコーデータを配置させるデータ配置手段とを設けたことを特徴とする。
【0010】
好適には、前記収集順序制御手段は、前記各分割領域における前記位相エンコード位置が前記高周波励起毎にランダムな順序で変わるように前記位相エンコード用傾斜磁場の量を変化させる手段である。
【0011】
【作用】
この発明に係る磁気共鳴イメージング装置によれば、高速FE法に基づいて、1個の励起パルス(90°RFパルス)が被検体に印加された後、複数個(例えば4個)の反転パルス(180°RFパルス)が印加される。これにより、反転パルスの各々に対応してスピンエコー信号が生成される。この複数個のスピンエコー信号それぞれの生成時に印加される位相エンコード用傾斜磁場の量、すなわち位相エンコード位置(データ収集順序)は、収集順序制御手段によって、フーリエ空間の反転パルス数に応じた分割領域それぞれの位相エンコード方向の全位置をカバーし、且つ、高周波励起毎に他の分割領域とは無関係になるように変化させられる。この変化の方法として例えば、乱数表データに沿ってランダムに変わる方式が採用される。
【0012】
そこで、受信したスピンエコー信号を処理する際、データ配置手段により、その変化させたデータ収集順序に応じて、エコーデータがフーリエ空間の各分割領域における指定された位相エンコード位置に配置される。これにより、配置されたフーリエ空間上のエコーデータをそのまま2次元フーリエ変換することで、1枚の画像が再構成される。
【0013】
このように高周波励起毎に、位相エンコード用傾斜磁場の大きさを変化させる順序が変わるので、撮影中に被検体が動くようなことがあっても、フーリエ空間(k空間)上でke方向に、エコー数に比例した周期で現れるエコーデータの振幅変動の周期性が緩和される。この結果、その周期性に依存したゴースト状アーチファクトが低減する。
【0014】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を、図1〜図7を参照して説明する。
【0015】
この実施例に係る磁気共鳴イメージング装置の概略構成を図1に示す。この磁気共鳴イメージング装置は、静磁場発生用の磁石部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場部と、選択励起用及びMR信号受信用の送受信部と、システムコントロール及び画像再構成を担う制御・演算部とを備えている。
【0016】
磁石部は、例えば超電導方式の磁石1と、この磁石1に電流を供給する静磁場電源2とを備え、撮影対象としての被検体Pが挿入される円筒状の診断空間のZ軸方向に静磁場H0を発生させる。
【0017】
傾斜磁場部は、磁石1に組み込まれたX,Y,及びZ軸方向の3組の傾斜磁場コイル3x〜3zと、この傾斜磁場コイル3x〜3zに電流を供給する傾斜磁場電源4と、この電源4を制御する傾斜磁場シーケンサ5とを備える。この傾斜磁場シーケンサ5はコンピュータを備え、装置全体のコントローラ6(コンピュータを搭載)から高速SE法に係る収集シーケンスを指令する信号を受ける。これにより、傾斜磁場シーケンサ5は、指令されたシーケンスにしたがってX,Y,及びZ軸方向の各傾斜磁場の印加及びその強度を制御し、それらの傾斜磁場が静磁場H0に重畳可能になっている。この実施例では、互いに直交する3軸の内のZ軸方向の傾斜磁場をスライス用傾斜磁場GSとし、X軸方向のそれを読出し用傾斜磁場GRとし、さらにY軸方向のそれを位相エンコード用傾斜磁場GEとする。
【0018】
送受信部は、磁石1内の撮影空間にて被検体Pの近傍に配設される高周波コイル7と、この高周波コイル7に接続された送信機8T及び受信機8Rと、この送信機8T及び受信機8Rの動作タイミングを制御するRFシーケンサ9(コンピュータを搭載)とを備える。この送信機8T及び受信機8Rは、RFシーケンサ9の制御のもと、核磁気共鳴(NMR)を励起させるためのラーモア周波数のRF電流パルスを高周波コイル7に供給する一方で、高周波コイル7が受信したMR信号(高周波信号)に各種の信号処理を施してエコー信号を形成するようになっている。
【0019】
さらに、制御・演算部は、上述したコントローラ6のほか、受信機8Rで形成されたエコー信号をデジタル量に変換するA/D変換器10と、このA/D変換信号を入力してデータをk空間上に配置するデータ前処理ユニット11とを備える。さらに、データ前処理ユニット11の出力側には、2次元フーリエ変換法により画像再構成を行う再構成ユニット12と、再構成した画像データを保管する記憶ユニット13と、画像を表示する表示器14と、入力器15とを備えている。コントローラ6は前述したようにコンピュータを内蔵し、傾斜磁場シーケンサ5及びRFシーケンサ9の同期をとりながら、高速SE法のパルスシーケンス(図3参照)にしたがって両者の動作内容及び動作タイミングを制御する。この制御には、後述する図2記載のデータ収集順序の制御も含まれる。
【0020】
次に、この実施例の動作を説明する。
【0021】
この磁気共鳴イメージング装置が起動すると、コントローラ6は高速SE法に係る所定メインプログラムに加えて、図2に示すプログラムを処理する。すなわち、90°RFパルスによる高周波励起毎にk空間上でランダムなデータ収集順序を決定し(図2ステップS1)、この順序にしたがった位相エンコード方向の勾配磁場パターンを決定する(同図ステップS2)。
【0022】
このパターン決定は図3及び図4に示す如く、90°RFパルスによる高周波励起毎に、各エコー信号に施す位相エンコード用傾斜磁場パルスGEの大きさが異なる順序で変わるように決められる。この決定には、例えば予め記憶している乱数表データが参照される。図4には、90°RFパルスによる高周波励起の回数(=1〜8回)毎にランダムに変化する、4エコー(図3参照)に対する位相エンコード用傾斜磁場パルスGE=A〜Dそれぞれの大きさ(面積比:相対値で表している)を、従来法と本発明の方法について示している。これから分かるように、従来法では傾斜磁場パルスGE=A〜Dそれぞれの大きさが高周波励起毎に同じ順序で変化しているが、本発明の方法では、シーケンス終了時にk空間全体に配置できるエコーデータを収集する必要性に拠り面積比の数値範囲が限定されているものの、その範囲で傾斜磁場パルスGE=A〜Dそれぞれの大きさを変える順序が高周波励起毎にランダムに、すなわち互いに無関係に変化している。
【0023】
次いで、大きさを変える順序がランダムに変化するように決められた位相エンコード用傾斜磁場パルスGE=A〜Dそれぞれの情報(磁場パターン情報)が傾斜磁場シーケンサ5に出力される(図2ステップS3)。これにより、傾斜磁場シーケンサ5が傾斜磁場電源4に指令する傾斜磁場制御用のパルス信号も、図3に示す如く、傾斜磁場パルスGE=A〜Dそれぞれの大きさを変化させる順序が高周波励起毎にランダムに変わる高速SE法にしたがったものとなる。
【0024】
次いで、ステップS1で既に決定しているデータ収集順序の情報を参照して、エコーデータのメモリ上での配列順序を決定する(同図ステップS4)。つまり、この実施例ではデータ収集順序はk空間上のke方向について高周波励起毎にランダムに変化しているので、得られるエコー信号の順番にメモリに書き込むと原画像に対応しないk空間上のデータ配置となることから、変化させたデータ収集順序の情報に基づいて原画像に対応したk空間上のメモリアドレスを求める。この求め方としては、例えば、あるエコーデータの収集直前のエンコード方向傾斜磁場パルスの時間積分値から求められるke方向に対応するアドレスを、そのエコーデータの格納先アドレスとする手法がある。
【0025】
そして、このように決めた配列順序の情報がコントローラ6からデータ前処理ユニット11に送られる(同図ステップS5)。
【0026】
この実施例では、以上の構成及び処理の内、図2ステップS1〜S3及び傾斜磁場シーケンサが本発明の収集順序制御手段に相当し、同図ステップS4,S5及びデータ前処理ユニット11が本発明のデータ配置手段に相当している。
【0027】
上述のようにしてコントローラ6から位相エンコード用傾斜磁場GEのパターン情報を受けた傾斜磁場シーケンサ5は、図3及び図4に示すシーケンスに基づいてスライス用傾斜磁場GS、読出し用傾斜磁場GR、及び位相エンコード用傾斜磁場GEを制御する。これと並行して、コントローラ6から高速SE法の指令を受けたRFシーケンサ9は、図3に示すシーケンスで、被検体Pに90°RFパルス及び180°RFパルスを印加させる。
【0028】
つまり、最初に、スライス用傾斜磁場GSが傾斜磁場電源4から傾斜磁場コイル3z,3zを介して印加され、この傾斜磁場GSが一定値まで立上がった時点で送信機8T及び高周波コイル7を介して90°RFパルスが1回だけ印加される。これにより、被検体の所定スライス幅の領域が選択励起されるとともに、その面内の原子核スピンがy´軸(回転座標)までフリップする。
【0029】
次いで、スライス用傾斜磁場GSの反転と共に、読出し用傾斜磁場GRが傾斜磁場コイル3x,3xを介して印加される。これはスライス面内のGR方向に並んだ原子核スピンの位相が各エコーの中心時刻において揃うようにするための印加である。
【0030】
次いで、スライス用傾斜磁場GSとともに最初の180°RFパルスが印加される。これにより、原子核スピンが180度、y´軸の回りに回転する。さらに、最初の位相エンコード用傾斜磁場GE=Aが傾斜磁場電源4から傾斜磁場コイル3y,3yを介して被検体Pに印加された後、傾斜磁場コイル3x,3xを介して印加される読出し用傾斜磁場GRとともに、最初のスピンエコー信号R1が高周波コイル7を介して収集される。
【0031】
この後、反転させた位相エンコード用傾斜磁場GE=−Aを印加させる。これは疑似エコー(stimulated echo)による画質劣化を避けるため、180°RFパルスの印加時にke=0の状態に引き戻すために印加される。
【0032】
次いで、スライス用傾斜磁場GSとともに2番目の180°RFパルスを印加した後、2番目の位相エンコード用傾斜磁場GE=Bを印加する。そして、2番目のスピンエコー信号R2が、読出し用傾斜磁場GRの印加とともに、高周波コイル7を介して収集される。
【0033】
同様に、3番目及び4番目のスピンエコー信号R3,R4が収集される。
【0034】
この4エコーR1〜R4の収集は、所定数の90°RFパルスによる高周波励起毎に繰り返される。
【0035】
このように収集されたエコー信号は順次、受信機8Rに送られ、そこで増幅、中間周波変換、位相検波、低周波増幅などの処理を受けた後、A/D変換器10でデジタル量のエコーデータに変換される。このエコーデータはデータ前処理ユニット11に送られる。データ前処理ユニット11は前述したように、エコーデータのメモリ上での配列順序情報をコントローラ6から受けており、その配列順序にしたがったアドレス位置にエコーデータを書き込んでいく。これにより、書込みと同時に、k空間に対応したメモリ領域にフーリエ変換可能なデータが配置される。
【0036】
なお、このエコーデータのメモリ領域(k空間)への書込みについては、送られてくるエコーデータをその順にメモリに全て記憶させた後で、上記配列順序にしたがって並び変えるようにしてもよい。
【0037】
このように充填されたメモリ領域の画像データは再構成ユニットに12に送られ、2次元フーリエ変換により画像に再構成される。この画像は記憶ユニット13に記憶されるとともに、表示器14に表示される。
【0038】
以上のように、高周波励起毎に位相エンコード用傾斜磁場パルスの大きさを変える順序をランダムに制御する高速SE法としたことから、例えば被検体Pの体動に拠り各高周波励起毎にエコー信号が変動する場合でも、k空間のke方向のエコーデータの誤差成分が相当に不規則に変化する。これにより、誤差成分がke方向に沿って分散又は相殺し合って減少することとなり、エコー数に比例した周期でke方向に現れるエコーデータの振幅変調の周期性が大幅に緩和される。
【0039】
この周期性の緩和の様子を、図5〜図7を参照し、従来手法と対称させながら説明する。図5は通常のSE法(参考として示した)、図6は従来の高速SE法(8エコー)、及び図7は本発明に係る高速SE法(8エコー)を各々示しており、これらの図の内、(a)はk空間でのke方向におけるエコーデータの振幅の誤差成分E(ke)の変化を示し(横軸はke方向の空間周波数の位置)、(b)は同図(a)の右側半分のE(ke)曲線をフーリエ変換して得られるPSF(点広がり関数:point spread function)のシミュレション結果を示している。なお、E(ke)は相対値で、E(ke)=1は「誤差無し」を表す。また、E(ke)曲線についてのPSFは左右対称になる。
【0040】
これらの図から判別できるように、通常のSE法では、k空間上でのデータの振幅が比較的不規則に変化するので(図5(a)参照)、ゴースト状アーチファクトが分散し、比較的目立たない(同図(b)参照)。しかし、高速SE法と違って撮影時間が長い。
【0041】
一方、従来の高速SE法の場合、図6(a)に示す如く、k空間上の各エコーが担当する、夫々の分割領域では振幅変動が不規則であるが、その変動パターンが各分割領域で同じである。このため、同図(b)のように、かなりはっきりした周期性がPSFに現れ(同図のピークP1〜P3参照)、この周期性が前述したゴースト状アーチファクト(図10参照)になっていた。
【0042】
これに対して、本発明の高速SE法では、k空間上の各分割領域の振幅の変動パターンが異なっている。このため、図7(a)から分かるように、従来の高速SE法で見られた振幅変動の周期性が弱くなり、これに対応するPSFの曲線のピークが著しく弱められており(同図(b)参照)、従来見られた、高速SE法に特有のエコー数に比例した周期のゴースト状アーチファクトが大幅に低減される。
【0043】
この結果、再構成画像の解像度が上がる。同時に、画質も向上することから、細部組織の描出能が向上し、ゴースト状アーチファクトに因る誤診の恐れも著しく減少する。
【0044】
なお、この発明に係る高速SE法は、エコー数が上述した4個又は8個の場合に限定されるものではなく、任意のエコー数に適用できる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る磁気共鳴イメージング装置では、高速S E法によって収集される複数のスピンエコー信号に施す位相エンコーディングの大きさを変化させる順序が、高周波励起毎に他の分割領域とは無関係なデータ収集順序となり、この変化させた収集順序に対応してフーリエ空間上にエコーデータが配置されるため、撮影中に被検体が動くようなことがあっても、フーリエ空間(k空間)上のke方向に、エコー数に比例した周期で現れるエコーデータの振幅変動の周期性が緩和される。これにより、その周期性に依存したゴースト状アーチファクトが再構成画像から殆ど排除され、その結果、従来の高速SE法よりも格段に高画質及び高解像度の画像を高速に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の磁気共鳴イメージング装置の一実施例を示す全体ブロック図。
【図2】実施例に設けたコントローラで実施されるエコーデータ収集順序の処理例を示す概略フローチャート。
【図3】高速SE法の一例を示すパルスシーケンス図。
【図4】高周波励起毎に変化させる位相エンコード用傾斜磁場の大きさ(面積比)の順序の一例を、従来法と実施例とで対比して示す表図。
【図5】(a)は通常のSE法に係るk空間での誤差成分E(ke)の変化例を示すグラフ、(b)は同図(a)の右側半分に対応したPSFのグラフ。
【図6】(a)は従来の高速SE法に係るk空間での誤差成分E(ke)の変化例を示すグラフ、(b)は同図(a)の右側半分に対応したPSFのグラフ。
【図7】(a)は本発明の高速SE法に係るk空間での誤差成分E(ke)の変化例を示すグラフ、(b)は同図(a)の右側半分に対応したPSFのグラフ。
【図8】従来の高速SE法の一例を示すパルスシーケンス図。
【図9】従来の高速SE法に係る、k空間上でのデータ収集順序を説明する図。
【図10】高速SE法に特有のゴースト状アーチファクトを説明する画像図。
【符号の説明】
1 磁石
2 静磁場電源
3x〜3y 傾斜磁場コイル
4 傾斜磁場電源
5 傾斜磁場シーケンサ
6 コントローラ
7 高周波コイル
8T 送信機
8R 受信機
9 RFシーケンサ
10 A/D変換器
11 データ前処理ユニット
12 再構成ユニット
13 記憶ユニット
14 表示器
15 入力器
Claims (2)
- 静磁場中に置かれた被検体に1個の励起パルスを印加して所望のスライス面を励起した後、複数個の反転パルスを前記スライス面に順次印加し、この複数個の反転パルスに付勢されて生じる複数個のスピンエコー信号を位相エンコード用傾斜磁場による位相エンコードを施して収集するとともに、前記複数個のスピンエコー信号に応じたエコーデータを、フーリエ空間の前記位相エンコード用傾斜磁場の量に対応した位相エンコード位置であって前記複数個の反転パルス数に応じた複数の分割領域それぞれにおける位相エンコード位置に配置し、前記フーリエ空間上のエコーデータを再構成して1枚の画像を生成するようにした高速SE(スピンエコー)法を用いた磁気共鳴イメージング装置において、
前記複数個の反転パルスそれぞれの印加後に印加する前記位相エンコード用傾斜磁場の量を、前記各分割領域内の全位相エンコード位置をカバーし、且つ、前記励起パルスに拠るいずれの高周波励起においても、同一の高周波励起ではk空間上で隣接する分割領域間の位相エンコードの量の差が一定とならないように、前記励起パルスに拠る高周波励起毎に他の分割領域とは無関係なデータ収集順序となるように変化させる収集順序制御手段と、
この収集順序変化手段により変化させたデータ収集順序に対応して前記フーリエ空間上に前記エコーデータを配置させるデータ配置手段とを設けたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 前記収集順序制御手段は、前記各分割領域における前記位相エンコード位置が前記高周波励起毎にランダムな順序で変わるように前記位相エンコード用傾斜磁場の量を変化させる手段である請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
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