JP3769551B2 - ハーネス型安全帯 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本願は高所作業時の作業者が身体に装着し、墜落の防止を図る安全帯に関するものであり、特には腰部に巻回して装着する胴ベルト型安全帯を、より墜落時の衝撃荷重を緩衝して身体の損傷を防止するフルハーネス型安全帯に容易に変更可能な構造を有するハーネス型安全帯に係るものである。
【０００２】
【従来の技術】
現在国内で使用せれている安全帯はその大部分が胴ベルト型安全帯、つまり腰部に１本のベルトを巻回し、そのベルトに連結したロープの先端に結着したフックを構築物等に連結して万が一の墜落を防止する型のものである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
胴ベルト型安全帯は装着が容易で、軽量であり、また身体の束縛感も少なく、価格も安いため日本国内では普及しているが、欧米ではフルハーネス型が主流である。
フルハーネス型の安全帯は墜落阻止時の身体が受ける衝撃荷重を全身に分散することができるため、身体損傷の危険性が少ない。
よって、安全帯は全てこの型にすることが好ましいが、作業の性格とか経済的な問題などで現状では困難な状況にある。
またフルハーネス型の安全帯には胴ベルトがなく、身体上部を緊縛する上部ベルトと身体下部、つまり脚部を緊縛する下部ベルトが連続した、いわゆる落下傘ベルトの型が多く、大部分の作業で必要とされる種々の工具類の携帯が困難な問題があった。
工具類は胴ベルトに吊り下げて携帯するものである為、胴ベルトを排除した一般的なフルハーネス型の安全帯では課題がのこるものであった。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本願ではこれらの問題を解決すべく、現在使用している胴ベルト型安全帯を必要に応じてフルハーネス型安全帯に変更できる上部ベルトと下部ベルトを連結環で連結したハーネス型安全帯を開示するものである。
具体的には、一対の所定長ベルトを背部にて交差させ、肩部を越して胸前へ位置させる一端と、腰部に位置させる連結環で折り返した他端とを胸前で連結する略Ｘ字形状の上部ベルトと、同じく一端を腰部両側の連結環に縫合した一対の所定長ベルトを股部で交差させ、他端部は上腿部を緊縛して、腰部の連結環に別に縫工した結合環付ベルトに連結する構造を採用する。
連結環は上記した上部ベルトを折り返す上部挿通孔および下部ベルトの一端と結合環付ベルトを縫合する下部挿通孔を有し、両孔の間には胴ベルト型安全帯の胴ベルトを挿通して固定する胴ベルト挿通孔を２連で配したものである。
【０００５】
以上の構成とすることにより、工具等を携帯する胴ベルトのみの安全帯に加えて身体の上下部を緊縛するフルハーネス安全帯への転換が可能となるものである。
胴ベルト型安全帯に多数の工具を携帯して比較的安全な足場上での作業が終了し、次の段階として高所の足場上を移動することが多い作業に入る段階で、本願ハーネス型安全帯を使用してフルハーネス型に変更する、また主として地上での工具携帯目的に使用している胴ベルト型安全帯使用者が高所作業に向けてフルハーネス型安全帯に変更するなどの用途が考えられるものである。
【０００６】
【実施例】
本願の実施例を詳記すると、
本願は一対の連結環３によって身体上部を緊縛する上部ベルト１と身体下部を緊縛する下部ベルト２を連結したものである。
上部ベルト１は、一対の所定長ベルト１１を背部にて交差させ、肩部を越して胸前へ位置させる一端と、腰部に位置させる連結環３で折り返した他端とを胸前で連結する構成である。
下部ベルト２は、一端を腰部両側の前記胴ベルト挿通孔を配した連結環３に縫合した一対の所定長ベルト２１を股部で交差させ、他端部は上腿部を緊縛して、腰部の連結環３に別に縫工した結合環付ベルト２４に連結するものである。
連結環３は、上記した上部ベルト１を折り返す上部挿通孔５および下部ベルト２の一端と、結合環付ベルト２１を縫合する下部挿通孔６を有し、両孔の間には胴ベルト型安全帯の胴ベルトＡを挿通して固定する胴ベルト挿通孔４を２連で配したものである。
【０００７】
図に示すように、連結環３によって上部ベルト１と、下部ベルト２をそれぞれ分離構成し、上部ベルト１の一端に折返しバックル１３を設け、他端は連結環３の上部挿通孔５に挿通後反転し、その反転重合部にベルト固定環７を挿通配置し、折返しバックル１３へと挿通したものである。また、上部ベルト１は、背部で交差させ、交差部にはランヤード連結リング１２を挿入し、該連結リング１２にベルトおよびショックアブソーバーから成る連結ベルト１４の一方を連結し、他方に副リング１５と面ファスナー１６を設け、該副リング１５を上部ベルト１の胸側に配置し、面ファスナー１６で上部ベルト１に仮固定したものである。
【０００８】
下部ベルト２は、連結環３の下部挿通孔６に、一端に結合環２３を設けた結合環付ベルト２４の他端を挿通して縫着連結し、一方の一端にバックル雄金具２２を設けた所定長ベルト２１の他端を挿通して縫着連結したものである。
結合環２３とバックル雄金具２２の結合は、下部ベルト２のベルト２１側を折り曲げて結合環２３の穴にバックル雄金具２２を裏側より入れることにより組合わせできるパススルーバックルというものである。このバックルは、逆向きに嵌合すると、バックル雄金具２２の折返し部が、結合環２３の突出部に乗っかり、ピッタリと合わない。よって誤挿入であることを作業者に知らせる機能を持たせたものである。
【０００９】
前記の上部ベルト１および下部ベルト２には補片ベルト１７，２５によって縫着連結し、バラバラにならないようにしたものである。
又、番号８は、胸ベルトであり、一端に環を設け、中央部と先端部に面ファスナーを設けたものであり、上部ベルト１を橋絡し、ずり落ちを防止するものである。
【００１０】
図４は、連結環３部のベルト挿入状態図で、胴ベルト挿通孔４を２連設け、該胴ベルト挿通孔４の上側に上部挿通孔５を一個設け、下側に下部挿通孔６を一個設けたものである。その連結環３の胴ベルト挿通孔４に胴ベルト型安全帯（柱上安全帯）を挿通したものである。
なお、図２には、胴ベルト型安全帯（１本つり専用）を挿通したものである。
【００１１】
本願を装着するには、つなぎ服を着るのと同じように、先ず下部ベルト２の輪部に足を入れる。そして同じく上部ベルト１を肩に掛け、両ベルト端を引張り調節する。そして胸ベルトによって上部ベルト１を留めて肩よりの外れを防止するものである。また、胴ベルトＡを連結環３に挿通した場合は、下部ベルト２の輪部に足を入れた後、胴ベルトＡのバックルを嵌合し、腰部に取り付けてもよいし、上部ベルト１を装着した後でもよい。
外す時は、それぞれベルトのバックル金具を持って引き上げることによってベルトにゆとりができ容易に外すことができる。
【００１２】
【発明の効果】
本願のハーネス型安全帯と、現在使用している胴ベルト型安全帯を必要に応じてフルハーネス型安全帯に容易に変更することができる。
また、胴ベルト型安全帯と組合わせることにより工具袋・ペンチケース等を適切な位置に配置することができる。
また、上部ベルトにベルト固定環７を設けたことにより、ベルトの移動を防止すると共に、作業者の体型に合せた細かいサイズ調節が可能である。
さらに、従来品はベルト組立時間がかかっていたが、本願は上下分離しているため、縫製作業が容易となり、組立時間の短縮となった。
【図面の簡単な説明】
【図１】本願の身体接触側からの展開正面図。
【図２】本願の取付け状態側面図。
【図３】本願の連結環の斜視図。
【図４】本願の連結環の挿入状態拡大図。
【図５】従来のフルハーネス型安全帯の取付け状態側面図。
【符号の説明】
１ 上部ベルト
２ 下部ベルト
３ 連結環
４ 胴ベルト挿通孔
５ 上部挿通孔
６ 下部挿通孔
７ ベルト固定環
８ 胸ベルト
11 ベルト
12 連結リング
13 折返しバックル
14 連結ベルト
15 副リング
16 面ファスナー
17 補片ベルト
21 ベルト
22 バックル雄金具
23 結合環
24 結合環付ベルト
25 補片ベルト
Ａ 胴ベルト

Claims (1)

1. 一対の所定長ベルト１１を背部にて交差させ、交差部にはランヤード連結リング１２を設けるとともに、肩部を越して胸前へ位置させるそれぞれのベルトの一端と、腰部両側に位置させる連結環３で折り返したそれぞれのベルトの他端とを胸前で連結する構成でなる上部ベルト１と、
   同じく一端を腰部両側の前記胴ベルト挿通孔を配した連結環３に縫合した一対の所定長ベルト２１を股部で交差させ、他端部は上腿部を緊縛して、腰部の連結環３に別に縫工した結合環付ベルト２４に連結する構造の下部ベルト２とから構成することを特徴とするハーネス型安全帯。

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