JP3767490B2 - 分光光度計及び計測信号補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分光光度計、及び分光光度計等で計測された信号から分析対象外の不要成分を除去補正する信号補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
FTIR等の分光光度計を使った試料の分析は、試料計測データと試料の無い状態で計測を行ったバックグラウンド計測データを比較することにより実施される。すなわち、試料計測データをバックグラウンド計測データで除することにより試料以外の成分の情報を相殺し、これによって試料特性を表す透過率や吸光度が得られる。しかし、上記のように試料計測データをバックグラウンド計測データで除算する処理では、試料以外の不要成分情報を完全に相殺されない場合がある。
【0003】
このような試料以外の不要成分として、例えば大気中の水蒸気や二酸化炭素等であり、この水蒸気や二酸化炭素等の影響を除去するための技術が開発されている。例えば、光学系や試料室を真空ポンプで減圧し計測する方法や、予め不要成分のみの計測を行い、これを使って試料計測データから不要成分の影響を取り除く方法が知られている。
【0004】
この不要成分の影響を除去する方法では、不要成分の特性を表す透過率を参照用不要成分波形として求め、この参照用不要成分波形を伸縮させることによって試料計測データ中に含まれる不要成分波形を推定し、試料計測データから不要成分の除去補正を行う。この参照用不要成分波形を求める方法として、例えば大気中の水蒸気や二酸化炭素等の試料以外の不要成分に対して試料と同様の計測を行い、試料無しの状態で計測して得た水蒸気や二酸化炭素等の不要成分情報と、窒素を充填する等によって不要成分を排除した状態で計測して得たデータとを求め、前者を後者で除する方法が知られている。
また、参照用不要成分波形を求める他の方法として、高解像度の分光計測情報を有するデータライブラリを利用することによって理論的に算出する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
光学系や試料室を真空ポンプで減圧する方法では、装置の大型化や計測の長時間化等の問題があり、また、予め参照用不要成分波形を計測によって求めておく方法においても、大気中の不要成分波形を計測で求めるために窒素で装置内を充填する等の大掛かりな装置や煩雑な操作が必要であるため、この操作を頻繁に行って参照用不要成分波形を更新することは実際の分析では非現実的である。
【0006】
また、通常、温度や湿度等の計測条件が異なると不要成分波形も異なる。そのため、予め参照用不要成分波形を計測によって求めておく方法では、試料計測時に含まれる不要成分波形と予め用意しておいた参照用不要成分波形との間にずれが生じ、補正精度が劣化してしまう場合が多いという問題点がある。
【0007】
また、参照用不要成分波形を用いて補正を行う場合には、この参照用不要成分波形に所定の伸縮率を掛けて試料計測データとレベルを合わせた後に補正処理を行う必要がある。しかし、試料計測データには、試料波形のピーク位置と不要成分のピーク位置が重畳している可能性があるため、単純に両者の波形振幅を比較するといった方法では正しい伸縮率を算定することはできない。そのため、参照用不要成分波形を使用して試料計測データ中の不要成分波形を推定して除去するには、伸縮率を指定入力して補正結果を目視で確認するという作業を繰り返す必要があり、伸縮率を自動で算定することは困難であるという問題がある。
【0008】
また、高解像度ライブラリデータを使用して不要成分吸収波形を算出する方法では、実測においては成分濃度・温度・波数ずれ・光学系の構成等、吸収波形を変化させる複数の要因が存在するため、これらを考慮する必要性があることから、参照用不要成分波形を複数準備する構成が必要となっている。そのため、この高解像度ライブラリデータを用いた補正方法において前述した補正精度の問題点を解決するには、十分な補正効果を得るために必要な波形変化要因や条件範囲を予め全て網羅的に組み入れておく必要があるが、このように様々な条件を予め全て用意しておくことは不可能であり、使用条件や効果を限定せざるを得ないことになる。
【0009】
また、この高解像度ライブラリデータを用いた補正方法において前述した自動補正の問題点を解決するには、パターンマッチングを繰り返し行って試料吸収波形の影響を徐々に取り除き、参照用不要成分波形と伸縮率を決定する必要がある。このパターンマッチングでは、試料波形であるか否かを判別するためのしきい値パラメータの存在など、計測条件や試料特性への依存度が大きいと考えられる処理が多く、自動化が十分な効果を上げ得る場面は限定的であると考えられる。そこで、本発明は、分光計測信号の不要成分情報を精度良く除去し、また、安定して自動的に除去することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、不要成分の特性を表す参照用不要成分波形をバックグラウンド計測データから抽出することによって分光計測信号の不要成分情報を精度良く求め、また、求めた参照用不要成分波形と試料計測データを用いて参照用不要成分波形の伸縮率を算定することによって伸縮率を自動算定し、不要成分の除去補正を自動化するものである。
【0011】
本発明の分光光度計は、バックグラウンド計測データから参照用不要成分波形を算出する参照用不要成分波形算出手段と、算出した参照用不要成分波形を用いて参照用不要成分波形の伸縮率を算定する伸縮率算定手段と、算出した参照用不要成分波形と算定した伸縮率を用いて試料計測データから不要成分を除去補正する不要成分除去補正手段とを備える。
【0012】
また、本発明の計測信号補正方法は、バックグラウンド計測データから参照用不要成分波形を算出する工程と、算出した参照用不要成分波形を用いて参照用不要成分波形の伸縮率を算定する工程と、前記工程で求めた参照用不要成分波形及び伸縮率を用いて、試料計測データから不要成分を除去補正する工程とを含む。
【0013】
図1、図2は、本発明の分光光度計及び計測信号補正方法を説明するための概略図、及び概略波形図である。計測データ(図1,及び図2(a))において、試料計測データは試料が存在する状態で計測したデータであり、バックグラウンド計測データは試料を除いた状態で計測したデータである。試料計測データとバックグラウンド計測データの何れにも、水蒸気や二酸化炭素等による不要成分が含まれている。
【0014】
参照用不要成分波形(図1,及び図2(d))は、試料計測データに含まれる不要成分を除去し補正するために参照用として用いる不要成分波形であり、バックグラウンド計測データ中の不要成分の吸収特性を表す。本発明では、参照用不要成分波形算出手段1において、バックグラウンド計測データの外輪郭(図2(b))を求め、この外輪郭の値でバックグラウンド計測データを除することによって参照用不要成分波形を算出する。
【0015】
算出する参照用不要成分波形は不要成分の透過率を表し、その値は比率であるため、参照用不要成分波形で試料計測データの不要成分を除去補正するには計測データ値の大きさに合わせる必要がある。伸縮率は、参照用不要成分波形を計測データ値の大きさに合わせるための比率である。
【0016】
伸縮率算定手段2は、計測データ値の不要成分の吸収が無い波形を目標補正値(図2(c))とし、参照用不要成分波形の各ピークについて、計測データ値を目標補正値で除することで計測データの吸収ピークの深さAを求め、この値を参照用不要成分波形の吸収ピークの深さBにより(LogA/LogB)を求めることで個別伸縮率を算定する(図2(e))。この算定で得られる個別伸縮率は、参照用不要成分波形の各ピークにおける個別の値であり、試料計測データ上における不要成分と試料成分との重畳状態によって異なる伸縮率となる。試料波形が重畳された部分からは不要成分の伸縮率は正確に算定できないため、伸縮率算定手段2は、試料波形の重畳のない不要成分波形情報を優先的に利用して、参照用不要成分波形の計測データに対する伸縮率を算定し、この伸縮率を用いて参照用不要成分波形を伸縮する。
【0017】
個別伸縮率から伸縮率を求める一態様は、個別伸縮率の中央値であるメディアンの算出するものであり、また、他の態様は、個別伸縮率に重み付けした値のメディアンを算出する。この重み付けに用いる荷重は、不要成分の吸収が大きいほど1に近い値となるように、参照用不要成分波形の値を0から1に規格化した値を用いることができる。この荷重で重み付けは、不要成分の吸収ピークの寄与を大きくし、試料の吸収ピークの寄与を小さくし、これによって、試料波形の重畳があっても正確に不要成分の伸縮率が算定される。
【0018】
不要成分波形除去補正手段3は、伸縮率算定手段2で算定した伸縮率を用いて参照用不要成分波形の大きさを計測データの大きさに合わせることで不要成分を求め、求めた不要成分を試料計測データから除去補正する(図1、及び図2(f))。
【0019】
なお、伸縮率は、試料計測データに対する伸縮率と、バックグラウンド計測データに対する伸縮率があり、それぞれの伸縮率を用いて試料計測データとバックグラウンド計測データを補正する。ここで、バックグラウンド計測データに対する伸縮率は、バックグラウンド計測データの補正目標値が参照用不要成分波形そのものとなるため常に1となり、この伸縮率を用いて補正して得られるバックグラウンド計測データ補正結果は参照用不要成分波形そのものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照しながら詳細に説明する。
図3は本発明の計測信号補正を説明するための概略図である。図3において、FTIR等の分光光度計などの計測手段4は、試料が存在する状態で計測することによって試料計測データを得、また、試料を除いた状態で計測することによってバックグラウンド計測データを得る。なお、この試料計測データとバックグラウンド計測データの何れにも、水蒸気や二酸化炭素等による不要成分が含まれている。
【0021】
参照用不要成分波形算出手段1はバックグラウンド計測データを用いて参照用不要成分波形を算出し、伸縮率算定手段2は算出した参照用不要成分波形を用いて参照用不要成分波形の伸縮率を算定する。算出する参照用不要成分波形は不要成分の透過率を表し、その値は比率であるため、参照用不要成分波形によって試料計測データの不要成分を除去補正するには計測データ値の大きさに合わせる必要がある。伸縮率は、参照用不要成分波形を計測データ値の大きさに合わせるための比率である。
【0022】
伸縮率算定手段2は、試料計測データに対する伸縮率、及びバックグラウンド計測データに対する伸縮率を算定することができる。試料計測データに対する伸縮率の算定は、試料計測データ、試料計測における目標補正値、及び参照用不要成分波形を用いて行い、バックグラウンド計測データに対する伸縮率の算定は、バックグラウンド計測、バックグラウンド計測における目標補正値、及び参照用不要成分波形を用いて行う。
【0023】
不要成分除去補正手段3は、参照用不要成分波形と、伸縮率算定手段2で求めた伸縮率を用いて、試料計測データから不要成分を除去補正する。
ここで、参照用不要成分波形をバックグラウンド計測データの外輪郭から求める場合には、バックグラウンド計測における目標補正値はバックグラウンド計測データの外輪郭と同じである、バックグラウンド計測データに対する伸縮率は常に1となり、不要成分除去補正手段3で得られるバックグラウンド計測データ補正結果は参照用不要成分波形と同一となる。そのため、バックグラウンド計測データに対する伸縮率、及びバックグラウンド計測データ補正結果を求める処理を省くことができる。図3では、省略できる部分については破線及び下線書きで示している。
透過率、吸光度算出手段5は、不要成分除去補正手段3で得た試料計測データ補正結果、及びバックグラウンド計測データ補正結果(参照用不要成分波形)を用いて透過率や吸光度を算出する。
【0024】
図4に示すフローチャートは、本発明による処理手順を示している。なお、図3中に示すSで始まる符号は、フローチャートの各工程に対応している。
はじめに、バックグラウンド計測データから参照用不要成分波形算出手段1によって、参照用不要成分波形を算出する(ステップS1)。次に、この参照用不要成分波形を用いて伸縮率算定手段2によって試料計測データに対する伸縮率を算定し(ステップS2)、さらに不要成分除去補正手段3によって試料計測データに対する不要成分波形の除去補正を行う(ステップS3)。
【0025】
同様に、バックグラウンド計測データに対しても、伸縮率算定手段2によって伸縮率を算定し(ステップS4)、さらに不要成分除去補正手段3によって伸縮率を算定した(ステップS5)後に、不要成分波形の除去補正を行う(ステップS6)。
【0026】
なお、バックグラウンド計測データ補正結果として外輪郭を用いる場合には、前記ステップS4及びステップS5(破線で囲む工程)は省略することができる。
以下、参照用不要成分波形算出手段、伸縮率算定手段、及び不要成分除去補正手段の各処理内容について説明する。
【0027】
図5は分光光度計が計測する、バックグラウンド計測データ(Background Power)、試料計測データ(Sample Power)のデータの波形例である。図5に示す波形から見られるように、大気成分である水蒸気や二酸化炭素の吸収波形は、バックグラウンド計測データ、試料計測データの双方に存在する。例えば、波数1300〜2000,及び波数3500〜4000(1/cm)の波形(○印分)に水蒸気による吸収が見られる。
参照用不要成分波形算出手段1は、バックグラウンド計測データから参照用不要成分波形を算出する。図6に参照用不要成分波形を算出するフローチャートを示す。
【0028】
参照用不要成分波形算出手段1は、まずバックグラウンド計測データの外輪郭を抽出する。外輪郭の抽出は、具体的には以下の工程1〜3によって行うことができる。
工程1において、バックグラウンド計測データの勾配が負から正に変化する点を検索し、これによってバックグラウンド計測データの全ピークトップ点を検出する。
工程2において、隣接するピークトップ点の間にある点の値を両側のピークトップ点の値を使った補間値で置換する。
【0029】
工程3において、前記工程1,2を、全ピークトップ間隔が特定値以上になるまで繰り返して行う。この工程3で用いるピークトップ間隔の特定値は、除去補正対象の不要成分波形に応じて、その吸収ピークが補間によって埋められるような値をあらかじめ指定しておく。図7は、外輪郭の抽出結果を示している。これは不要成分による光の吸収がない場合において、分光光度計計測データの波形形状を近似的に表すものであり、包絡線となる(ステップS11)。
【0030】
次に、抽出した外輪郭の値によってバックグラウンド計測データ値を除することにより参照用不要成分波形を算出する。この参照用不要成分波形は、バックグラウンド計測データ中の不要成分の吸収特性を示している。
バックグラウンド計測データをBack Power[k]、外輪郭の算出結果をOutline[k](k=0,1,2,...)とすると、参照用不要成分波形RefTrs[k]の算出式は次式となる。なお、kはピークトップ点の位置を表す。
【0031】
RefTrs[k]=BackPower[k]/Outline[k] …(1)
図8は、参照用不要成分波形の算出結果例を示している。この算出結果は不要成分の透過率を示すものとなり、不要成分が無い部分の透過率は1となる(ステップS12)。
次に、伸縮率算定手段2は、試料計測データまたはバックグラウンド計測データに対する参照用不要成分波形の伸縮率を算定する。図9に伸縮率を算定するフローチャートを示す。
【0032】
伸縮率算定手段2は、まず補正目標値を算出する。目標とする波形は不要成分の吸収がない波形であることから、対象データの外輪郭を抽出することにより求める。外輪郭の抽出は前述したバックグラウンドの外輪郭の抽出と同様とすることができる。図10は試料計測データに対する目標補正値の算出例を示している(ステップS21)。
【0033】
次に、参照用不要成分波形がピークになる波数位置を抽出する。波数位置の抽出は、例えば、参照用不要成分波形の傾きが負から正に変化する位置を検知することによりピークボトムを抽出することによって行うことができる(ステップS22)。
【0034】
さらに、抽出した各ピーク波数位置において個別伸縮率、及び荷重を算出する。個別伸縮率、及び荷重の算出は、例えば、各ピークの波数位置において、データ値をPower[p]、参照用不要成分波形値をRefTrs[p](p=0,1,2,...)、補正目標値をTarget[p]とすると、個別伸縮率Factor[p]及び荷重Weight[p]は次式により行うことができる。
【0035】
Factor[p]=Log(Power[p]/Target[p])/Log(RefTrs[p])…(2)
Weight[p]=|1.0−RefTrs[p]| …(3)
図11は、個別伸縮率と荷重の算出結果例を示している。上記(2)式は、試料計測データの吸収ピークの深さと参照用不要成分波形の吸収ピークの深さによって決まるものであり、試料計測データ上において不要成分と試料成分が重畳しなければ、波数位置によらずほぼ一定値が算出される。例えば、図10中で矢印で示す区間は個別伸縮率がほぼ一定値となる区間であり、この区間はほぼ試料成分であるとすることができる。
【0036】
一方、不要成分と試料成分とは重畳していると、例えば図11に示す個別伸縮率と荷重の算出例中の○印で示す部分のように、異なった個別伸縮率が算出される。荷重は試料成分に対する不要成分の重畳の程度を示しており、上記(3)式で示すWeight[p]は0から1に規格化された値であり、不要成分の吸収が大きいほど(1に近い)大きな値となる(ステップS23)。
最後に、個別伸縮率と荷重の算出結果を用い、試料の重畳があると考えられる個別伸縮率の値を排除し、重畳がないと考えられる個別伸縮率の平均的な値を求めて伸縮率を決定する。
【0037】
伸縮率の決定は、例えば、上記式(2)で算出した各々の個別伸縮率のメディアンの算出によって行う。個別伸縮率の分布は、例えば図11中の○印部で示すように、試料成分の重畳があると考えられる箇所は少数であると考えられる。そこで、個別伸縮率のメディアンを算出することによって、各個別伸縮率の中央値を求め、少数の異質な値の影響を排除し、不要成分の集団の多数要素が示す平均的な値を算出する。
【0038】
この個別伸縮率のメディアンを算出することによる伸縮率の算定において、さらに、各々の個別伸縮率に上記(3)式で算出した荷重で重み付けを行って荷重付メディアンを算出する。通常のメディアンを算出に加えて、(3)式の荷重で重み付けをすることにより、不要成分吸収の大きなピークの寄与を高めて、試料ピークの重畳要素が伸縮率算出に寄与する危険性を小さくすることができる。図12は、荷重の重み付けを説明する図である。図12(a),(b)は、荷重の重み付けを行わない場合とに重み付けを行った場合のピーク個数の分布を示すヒストグラム、及び重み積算値の分布を示すヒストグラムを模式的に示している。図12(b)に示すように、荷重の重み付けを行うことによって、試料ピークによる個別伸縮率の寄与と不要成分による個別伸縮率の寄与との間の相対的な大きさを変えて、不要成分による寄与分を大きくして取り出すことができる(ステップS24)。
【0039】
不要成分除去補正手段3は、参照用不要成分波形と算定した伸縮率を使用して、試料計測データまたはバックグラウンド計測データに対する不要成分除去補正処理を行う。なお、バックグラウンド計測データ補正結果として参照用不要成分波形を用いる場合には、バックグラウンド計測データに対する不要成分除去補正処理は省略することができる。
【0040】
補正結果データPower′は、参照用不要成分波形RefTrs、伸縮率s、指定された計測データPowerとすると、式(2)中において、個別伸縮率Factor[p]を伸縮率sに対応させ、補正目標値Target[p]を補正結果データPower′に対応させることによって下式(4)によって算出される。
Power′[k]=Power[k]/(RefTrs[k])s …(4)
なお、k=0,1,2,…である。
【0041】
図13は、前記図5で示した試料計測データ、バックグラウンド計測データに対して水蒸気成分を除去し補正した結果例を示している。図中のCorrected Sample Powerで示す波形は試料計測データの補正結果例を示し、Corrected Back Powerで示す波形はバックグラウンド計測データの補正結果例を示している。
【0042】
また、図14は、この除去補正結果から算出した透過率(図中のCorrectedで示す)、及び計測データから直接算出した透過率(図中のOrgで示す)の比較例を示している。
なお、上記説明では、簡単のために水蒸気成分の除去補正例について示しているが、本発明は水蒸気のみに限って有効な手法ではなく、対象波数領域および外輪郭抽出時のピークトップ間隔の特定値を変更することによって、二酸化炭素やその他の不要成分の除去補正にも適用可能である。
【0043】
本発明の態様によれば、計測条件が試料計測と類似していると考えられるバックグラウンド計測データから参照用不要成分波形を抽出して補正に使用することによって、計測データ中の不要成分波形に適合した補正が可能となり、不要成分波形が精度良く除去できる。
【0044】
また、本発明の態様は、伸縮率の算定において、試料が重畳する不要成分ピークに対して、試料が重畳しない不要成分ピークが数的に優位であるという条件がほぼ定常的に成立することを利用することによって、試料重畳ピークの影響の排除して行う。この処理は、特定の計測条件や試料に依存するしきい値等を使用することなく行うことができるため、安定して正確な自動処理が可能となり、操作が簡便になる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、分光計測信号の不要成分情報を精度良く除去し、また、安定して自動的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分光光度計及び計測信号補正方法を説明するための概略図である。
【図2】本発明の分光光度計及び計測信号補正方法を説明するための概略波形図である。
【図3】本発明の計測信号補正を説明するための概略図である。
【図4】本発明による処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】バックグラウンド計測データ(Background Power)、試料計測データ(Sample Power)のデータの波形例である。
【図6】本発明による参照用不要成分波形の算出を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明による外輪郭の抽出結果を示す図である。
【図8】本発明による参照用不要成分波形の算出結果例を示す図である。
【図9】本発明による伸縮率の算定を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明による試料計測データに対する目標補正値の算出例を示す図である。
【図11】本発明による個別伸縮率と荷重の算出例を示す図である。
【図12】本発明による荷重の重み付けを説明する図である。
【図13】本発明による試料計測データ、バックグラウンド計測データに対して水蒸気成分の除去補正結果例を示す図である。
【図14】除去補正結果から算出した透過率と計測データから直接算出した透過率の比較例を示す図である。
【符号の説明】
1…参照用不要成分波形算出手段、2…伸縮率算定手段、3…不要成分除去補正手段、4…計測手段、5…透過率,吸収度算出手段。
Claims (2)
- 不要成分である水蒸気もしくは二酸化炭素を含むバックグラウンド計測データと、当該バックグラウンド計測データから算出した前記不要成分を含まないバックグラウンドとを用いて参照用不要成分波形を算出する参照用不要成分波形算出手段と、
前記参照用不要成分波形を試料計測データの大きさに合わせるための伸縮率を算定する伸縮率算定手段と、
前記参照用不要成分波形を前記伸縮率で伸縮して得た参照用不要成分波形を用いて試料計測データから不要成分を除去補正する不要成分除去補正手段とを備えることを特徴とする、分光光度計。 - 分光計測信号から不要成分情報を除去する信号補正方法であって、
不要成分である水蒸気もしくは二酸化炭素を含むバックグラウンド計測データと、当該バックグラウンド計測データから算出した前記不要成分を含まないバックグラウンドとを用いて参照用不要成分波形を算出する工程と、
前記参照用不要成分波形を試料計測データの大きさに合わせるための伸縮率を算定する工程と、
前記工程で得た参照用不要成分波形を前記工程で得た伸縮率によって伸縮し、収縮した参照用不要成分波形を用いて試料計測データから不要成分を除去補正する工程とを含むことを特徴とする、計測信号補正方法。
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