JP3767008B2 - 医療用膨張・収縮駆動装置 - Google Patents

医療用膨張・収縮駆動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば陽圧と陰圧を交互に出力して大動脈内バルーンポンプ(IABP)などの医療機器を膨張・収縮駆動する医療用膨張・収縮駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえばIABP用バルーンカテーテルでは、そのバルーンを患者の心臓の近くの動脈血管内に挿入し、心臓の拍動に合わせて膨張および収縮させ、心臓の補助治療を行う。バルーンを膨張・収縮させるための駆動装置として、たとえば特開昭60−106464号公報に示す駆動装置が知られている。
【0003】
この公報に示す駆動装置は、一次側配管系と、二次側配管系とを有し、これら系を圧力伝達隔壁装置(一般的には、容量制限装置(VLD)またはアイソレータと称する)により隔離し、一次側配管系に生じる圧力変動を二次側配管系に伝達し、二次側配管系に生じる圧力変化によりバルーンを膨張および収縮駆動している。このように一次配管系と二次配管系とに分離するのは、バルーンを駆動するための流体と、陽圧および陰圧の発生源となる流体とを別流体にし、バルーンの膨張・収縮の応答性向上を図るためである。また、二次配管系を、拡散による漏れを除いて気密に保つことにより、比較的高価な二次配管系内の流体を多量に消費せず、すなわち、低コストで圧力発生を行うためである。
【0004】
ところで、このようなIABP用バルーンカテーテルでは、二次配管系に封入されるガスとして、質量が小さく応答性に優れたヘリウムガスが好ましく用いられる。ところが、このヘリウムガスは、分子量が小さいことから、二次配管系にピンホールなどが形成されていなくとも、バルーン膜や配管系を構成するチューブの壁を透過して拡散する。たとえば密閉された二次配管系にヘリウムガスを封入しても、20〜30分でヘリウム圧は数mmHg低下する。
【0005】
このため、バルーンカテーテルの使用中にも、二次配管系の内部へは、適度にヘリウムガスを補充する必要がある。
ヘリウムガスを補充する装置として、二次配管系の内部圧力を圧力センサで監視し、その検出圧力が所定値以下となった時に、検出圧力が所定値以上になるように、電磁弁を短時間に所定回数だけ開き、ヘリウムガスタンクからヘリウムガスを補充するようにした装置が知られている。
【0006】
たとえば特開平5−10952号公報には、バルーンカテーテル側二次配管(チューブまたはホースを含む)内の圧力を監視し、図4(C)の*1に示す直前のタイミングで、バルーン側圧力P4 を検出し、この圧力を一定に保つように、バルーン側配管内のガス補充を行うようにしている。すなわち、この公報に示す技術では、バルーンが膨らみきった時の圧力(プラトー圧)を一定に保っている。
【0007】
ところが、この公報に記載の技術では、バルーンの繰り返し疲労や、不用意な加圧(間違った圧力の適用、患者の血管の屈曲)や、患者血管内の突起物への挿入時の引っかかりなどの不慮の事態で発生するバルーン容量の変動に気づかずに、バルーン側配管へ、駆動ガスとしてのヘリウムガスを不足分充填し、使用し続ける危険性が内在している。当然、このような変形したバルーンの期待寿命は、本来の場合よりも短くなるため、患者にとっては好ましくない。なお、密封された配管内でヘリウムガスの不足が生じるのは、分子量の小さいヘリウムガスが、バルーンや配管を構成するチューブの壁面から拡散透過により逃げて行くためである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者等は、図4(D)に示すように、バルーンの収縮状態から膨張状態に切り換える直前のタイミング*2で、バルーンに連通する二次配管系の圧力P3 を検出し、この圧力P3 が所定値を下回った場合に、二次配管系内にガスを充填補充する駆動装置を提案している。
【0009】
この駆動装置によれば、バルーンが萎んだ状態で、このバルーンに接続される閉鎖配管系に一定容量(一定モル数:化学当量比)のガスを入れる。その後、バルーンなどからの透過により減少したガス量の確認を、必ず、バルーンが萎んだ状態で監視する。
【0010】
このため、外力により変形し得るバルーン部分の影響を排除し、任意の駆動配管系(チューブやホースを含む)とバルーンの容量に応じて設定されるガスの化学当量が一定に保たれるように制御することが可能となる。また、このように制御すれば、プラトー圧(バルーンが膨らんだ状態での圧力)を観測することにより、バルーンが曲折されているなどの不測の事態によりバルーンの容積が変化したことを検出することができる。たとえば、プラトー圧力が、通常よりも高くなった場合には、バルーンが曲折されているなどの推測ができる。また、プラトー圧力が、通常よりも小さくなった場合には、ガスが透過以外の不測の事態で二次配管系内から漏れていると判断することができる。
【0011】
ところが、このような駆動装置では、患者の心拍数が早くなると、それに合わせてバルーンの膨張・収縮の間隔が短くなり、図4(A)に示す検出圧力P3 が見かけ上、下がってしまう。すなわち、バルーンの膨張・収縮の間隔が短い場合には、バルーンの膨張から収縮に切り替わる直前のタイミングで、二次配管系内の圧力が、正常時の検出圧力P3 まで戻りきる前に、膨張状態に移行してしまう。このため、心拍数が早くなると、検出圧力P3 が見かけ上低く検出され、この情報に基づき、ガスの補充を行うと、二次配管系内にガスを入れすぎるという問題点を有する。ガスを入れすぎると、バルーンに過度の圧力が印加され、耐久性などの点で好ましくない。
【0012】
このような問題点を解消するために、心拍数が早い場合には、ガスの充填補充を停止することも考えられるが、そのような状態が長時間続く場合には、ヘリウムガスが拡散透過により逃げてしまい、バルーンによる心臓補助効果が低下してしまう。
【0013】
また、その他の駆動装置として、定期的に二次配管系内のガス全体を新たなガスに置換するように構成したものもあるが、その場合には、ガスの消費量が多くなる。その結果、比較的高価なヘリウムガスなどを封入ガスとして用いる場合には、経済的でないという問題がある。さらに、系全体のガスの置換時に、数十秒の間、駆動を停止する必要があることから、その間に心臓の補助効果を得られないという問題がある。
【0014】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、被駆動機器の膨張・収縮の間隔が短い場合、あるいは不規則な場合でも、被駆動機器を含む配管系の内部に適切な量のガスを補充することが可能な医療用膨張・収縮駆動装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る医療用膨張・収縮駆動装置は、被駆動機器の膨張および収縮を繰り返すように、被駆動機器に連通する配管系に、陽圧と陰圧とを交互に印加する圧力発生手段と、前記被駆動機器が収縮又は膨張されている時間を算出する収縮又は膨張時間算出手段と、前記収縮又は膨張時間算出手段で算出された収縮又は膨張時間が、所定時間以下の場合に、被駆動機器の膨張又は収縮を1回以上連続して停止させ、収縮又は膨張期間が所定時間以上とする膨張又は収縮停止手段と、前記膨張又は収縮停止手段で1回以上の膨張又は収縮が停止された後に、次の膨張又は収縮に切り換える直前のタイミングで、前記配管系の圧力を検出することが可能な圧力検出手段と、前記圧力検出手段で検出された圧力が、所定値となるように、前記配管系にガスを補充するガス補充手段と、を有する。
【0016】
前記収縮又は膨張時間算出手段により、被駆動機器が収縮又は膨張されている時間を算出するには、たとえば圧力発生手段による陽圧と陰圧との切り替えのタイミング時間を監視することにより算出することができる。被駆動機器の膨張・収縮の切り替えは、患者の血圧変動あるいは心臓の鼓動などに同期して行うので、患者の血圧変動あるいは心臓の鼓動などを検出する手段からの出力信号に基づき、被駆動機器が収縮・膨張されている時間を算出しても良い。
【0017】
なお、本発明において、収縮又は膨張時間算出手段とは、被駆動機器が収縮および/または膨張する時間を算出するための手段である。また、本発明において、収縮又は膨張時間とは、被駆動機器の収縮および/または膨張の期間を意味する。
【0018】
本発明の第1の観点に係る医療用膨張・収縮駆動装置では、収縮又は膨張時間算出手段で算出された被駆動機器の収縮又は膨張期間が所定時間よりも短い場合には、膨張又は収縮停止手段により、1拍または数拍程度、被駆動機器の膨張又は収縮駆動を停止する。その場合の基準となる所定時間は、特に限定されないが、好ましくは100〜500ミリ秒、さらに好ましくは150〜300ミリ秒である。このような所定時間以下の期間で、被駆動機器が膨張又は収縮を繰り返す場合には、被駆動機器が収縮状態から膨張状態又は膨張状態から収縮状態に切り替わる直前のタイミングで配管系内の圧力を検出しても、安定した収縮状態又は膨張状態の圧力を検出することができない。被駆動機器の通常動作時の安定した収縮状態の圧力よりも低い圧力又は、安定した膨張状態の圧力よりも高い圧力を検出してしまう。
【0019】
そこで本発明では、このような場合には、被駆動機器の膨張又は収縮駆動を一時的に停止する。そのため、次の膨張又は収縮に切り換える直前のタイミングでは、被駆動機器に連通された配管系の内部圧力は、被駆動機器が収縮状態又は膨張状態で安定する圧力となる。本発明では、この圧力を、圧力検出手段により検出する。次に、この検出した圧力に基づき、ガス圧が正常か否かを判断する。その検出圧力が所定のしきい値(たとえば収縮状態では0mmHg:ゲージ圧、膨張状態では120mmHg:ゲージ圧)よりも低い場合には、配管系内のガスが真に不足していると考えられるので、その場合には、配管系内にガスを補充する。ガスを補充するための方法は、特に限定されず、短時間に数回補充しても良いし、あるいは一定量を一度に補充しても良い。
【0020】
このように、本発明の第1の観点に係る医療用膨張・収縮駆動装置では、被駆動機器の膨張・収縮の間隔が短い場合でも、被駆動機器を含む配管系の内部に適切な量のガスを補充することができる。その結果、本発明では、患者の心拍数が多い場合でも、配管系内へのガスの入れ過ぎによる種々の問題点を解消することができる。また、その際に、本発明では、一拍または数拍程度に、被駆動機器の膨張又は収縮を停止するが、特に、患者の心臓への負担を軽くさせるためには、収縮状態を保つ方法の方が膨張状態を保つ方法より望ましい。しかし、短時間であるので、被駆動機器による治療には影響は、ほとんどない。また、定期的に配管系全体のガスを置換する駆動装置に比較して、本発明では、ガスの消費量が少なく経済的である。
【0021】
本発明の第2の観点に係る医療用膨張・収縮駆動装置は、被駆動機器の膨張および収縮を繰り返すように、被駆動機器に連通する配管系に、陽圧と陰圧とを交互に印加する圧力発生手段と、前記配管系の内部圧力を検出する圧力検出手段と、前記被駆動機器が収縮状態又は膨張状態から膨張状態又は収縮状態に切り換わる直前のタイミングで、前記圧力検出手段により、前記配管系の内部圧力の圧力変化の傾きを算出する圧力変化算出手段と、前記圧力変化算出手段で算出した圧力変化の傾きの絶対値が、所定の値よりも大きい場合には、前記配管系へのガス補充動作を停止するガス補充停止手段と、前記圧力変化算出手段で算出した圧力変化の傾きの絶対値が、所定の値と同等以下の場合には、前記被駆動機器の収縮状態又は膨張状態から膨張状態又は収縮状態に切り換える直前のタイミングで、前記圧力検出手段により検出された配管系の内部圧力が所定値となるように、前記配管系にガスを補充するガス補充手段と、を有する。
【0022】
前記圧力変化算出手段で圧力変化の傾きを算出するには、圧力検出手段により検出した圧力の時間微分をメモリなどに記憶しておき、その記憶されたデータに基づき算出することができる。
本発明の第2の観点に係る医療用膨張・収縮駆動装置では、圧力変化算出手段で算出した圧力変化の傾きが、所定の値よりも大きい場合には、ガス補充停止手段により、配管系へのガス補充動作を、所定拍動数の期間、停止する。圧力変化算出手段で算出した圧力変化の傾きが、所定の値よりも大きい場合とは、たとえば被駆動機器の膨張・収縮のサイクルが短く、配管系内の圧力が安定する前に、収縮(又は膨張)から膨張(又は収縮)に切り換える場合と考えられる。そのような場合に、通常のガス補充動作を行っても、正確に収縮状態(又は膨張状態)の安定した圧力を検出できないことから、配管系内にガスを入れすぎるおそれがある。
【0023】
そこで、本発明では、このような場合には、ガス補充停止手段により、配管系へのガス補充動作を、停止する。その後、圧力変化の傾きが、所定の値と同等以下となった場合に、前記被駆動機器の収縮状態(又は膨張状態)から膨張状態(又は収縮状態)に切り換える直前のタイミングで、前記圧力検出手段により配管系の圧力を検出する。圧力変化の傾きが、所定の値と同等以下となった場合には、被駆動機器の膨張・収縮の間隔が正常時に近い状態と考えられ、被駆動機器の収縮状態の安定した圧力を検出することができる。
【0024】
したがって、本発明では、この検出した圧力に基づき、ガス圧が正常か否かを判断する。その検出圧力が所定のしきい値(たとえば0mmHg:ゲージ圧)よりも低い場合には、配管系内のガスが真に不足していると考えられるので、その場合には、配管系内にガスを補充する。ガスを補充するための方法は、特に限定されず、短時間に数回補充しても良いし、あるいは一定量を一度に補充しても良い。
【0025】
このように、本発明の第2の観点に係る医療用膨張・収縮駆動装置では、圧力変化算出手段で算出した圧力変化の傾きが、所定の値と同等以下の場合で、安定している場合に、配管系内の圧力を検出し、その圧力に基づき、ガス補充動作を行う。
【0026】
又、本法の優れた点は、カテーテル間のバラツキや、体内でのカテーテル部分のネジレや曲がりによる駆動ガスの出入りが通常よりも遅れる場合にも、本方法を用いることができる点である。従来技術では、このような状態では駆動ガスを入れ過ぎる可能性が大きい。
【0027】
したがって、本発明では、被駆動機器を含む配管系の内部に適切な量のガスを補充することができる。その結果、本発明では、患者の心拍が早くなった場合でも、配管系内へのガスの入れ過ぎはなくなり、これによる種々の問題点を解消することができる。また、その際に、本発明では、被駆動機器の膨張・収縮は基本的に停止しないので、被駆動機器による治療には影響がない。また、定期的に配管系全体のガスを置換する駆動装置に比較して、本発明では、ガスの消費量が少なく経済的である。
【0028】
なお、本発明において、切り換える直前のタイミングとは、切り換え時を0とすると、0を含み0に近い時点(0〜数十ミリ秒前のいずれかの時点)の意味で用い、圧力を切り換えるための電気信号に、機械系の応答遅れ時間(通常数ミリ秒〜数十ミリ秒)を考慮すると、電気信号の切り換え前50ミリ秒から切り換え後50ミリ秒以内のいずれかの時点である。
【0029】
また、本発明において、前記圧力発生手段としては、特に限定されないが、陽圧と陰圧を交互に発生する一次側圧力発生手段と、前記一次側圧力発生手段で発生された陽圧と陰圧とが一次配管系を通して交互に導入される第1室と、この第1室と気密隔離され、第1室の圧力の少なくとも一部が伝達される第2室とが形成された圧力伝達隔離手段から成る二次側圧力発生手段とを有することが好ましい。
【0030】
本発明の第3の観点に係る医療用膨張・収縮駆動装置では、第1、第2の観点に係る圧力検出手段による圧力検出を行い、それに基づき必要となれば行う膨張又は収縮の1拍以上の停止をいつ行うかという問題がある。即ち、膨張又は収縮の停止は、例え1拍にしろ行わないことが望ましく、又、収縮又は膨張の期間が短い状況の患者に対して頻回に行えば、それだけ、補助の停止を頻発することになる。よって、特にガスの拡散による喪失分を補充するという観点からは、これらの確認のための検出は特に限定されないが、1分〜数十分間隔程度、更に好ましくは、3〜10分に1回程度、行えば十分である。もちろんこれ以外にも、急激な圧力変化の監視は、毎拍行うことが望ましい。
【0031】
又、このような十分長い3〜10分間という期間のうちには、膨張又は収縮が十分に長くとれるような心拍のゆらぎが含まれる場合が多い。よって、所定の期間にこのような十分長い収縮又は膨張の期間又は、圧力の傾きの絶対値が低い状態が得られた際には、その時の検出圧力を用いて、ガス補充の必要性を判断することが更に望ましい。
【0032】
本発明では、上記第1〜第3の観点に係る医療用膨張・収縮駆動装置の機能を複数組み合わせて、医療用膨張・収縮駆動装置を構成しても良い。
また、上記第1〜第3の観点に係る医療用膨張・収縮駆動装置において、収縮または膨張期間や圧力変化の傾きの絶対値が所定の条件を満たさず、次の膨張または収縮を1回以上停止させる動作を始める前に、ある所定期間(拍動回数又は時間)、前記収縮または膨張期間や圧力変化の傾きの絶対値を観察し、所定の条件を満たす状態が一度でも出現すれば、その時の圧力検出手段で検出された圧力が所定値となるように、前期配管系にガスを補充するガス補充手段をさらに有することもできる。
【0033】
又、本発明に係る医療用膨張・収縮駆動装置の前述した機能は、駆動装置の動作中継続して動作しても良いが、所定期間毎に起動されるものでも良い。
また、本発明において、配管系とは、チューブ、ホースなどの可撓性管に限らず、非可撓性管も含む意味で用い、これら管に接続してあるタンクなどの機器も含む意味で用いる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る医療用膨張・収縮駆動装置を、図面に示す実施形態に基づき、詳細に説明する。
第1実施形態
図1は本発明の一実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置の概略構成図である。
【0035】
図1に示す実施形態に係る駆動装置は、IABP用バルーンカテーテル20のバルーン22を膨張および収縮させるために用いられる。
本実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置について説明するに先立ち、まずIABP用バルーンカテーテル20について説明する。
【0036】
図9に示すように、IABP用バルーンカテーテル20は、心臓の拍動に合わせて拡張および収縮するバルーン22を有する。バルーン22は、膜厚約100〜150μm程度の筒状のバルーン膜で構成される。本実施形態では、拡張状態のバルーン膜の形状は円筒形状であるが、これに限定されず、多角筒形状であっても良い。
【0037】
IABP用バルーン22は耐屈曲疲労特性に優れた材質で構成される。バルーン22の外径および長さは、心機能の補助効果に大きく影響するバルーン22の内容積と、動脈血管の内径などに応じて決定される。バルーン22は、通常、その内容積が30〜50ccであり、外径が拡張時14〜16mmであり、長さが210〜270mmである。
【0038】
このバルーン22の遠位端は、短チューブ25を介してまたは直接に内管30の遠位端外周に熱融着または接着などの手段で取り付けてある。
バルーン22の近位端には、金属チューブ27などの造影マーカーを介してまたは直接に、カテーテル管24の遠位端に接合してある。このカテーテル管24の内部に形成された第1のルーメンを通じて、バルーン22内に、圧力流体が導入または導出され、バルーン22が拡張または収縮するようになっている。バルーン22とカテーテル管24との接合は熱融着あるいは紫外線硬化樹脂などの接着剤による接着により行われる。
【0039】
内管30の遠位端はカテーテル管24の遠位端より遠方へ突き出ている。内管30はバルーン22およびカテーテル管24の内部を軸方向に挿通されている。内管30の近位端は分岐部26の第2ポート32に連通するようになっている。内管30の内部には、バルーン22の内部およびカテーテル管24内に形成された第1のルーメンとは連通しない第2のルーメンが形成してある。内管30は、遠位端の開口端23で取り入れた血圧を分岐部26の第2ポート32へ送り、そこから血圧変動の測定を行うようになっている。
【0040】
バルーンカテーテル20を動脈内に挿入する際に、バルーン22内に位置する内管30の第2ルーメンはバルーン22を都合良く動脈内に差し込むためのガイドワイヤー挿通管腔としても用いられる。バルーンカテーテルを血管などの体腔内に差し込む際には、バルーン22は内管30の外周に折り畳んで巻回される。図9に示す内管30は、たとえばカテーテル管24と同様な材質で構成される。内管30の内径は、ガイドワイヤを挿通できる径であれば特に限定されず、たとえば0.15〜1.5mm、好ましくは0.5〜1mmである。この内管30の肉厚は、0.1〜0.4mmが好ましい。内管30の全長は、血管内に挿入されるバルーンカテーテル20の軸方向長さなどに応じて決定され、特に限定されないが、たとえば500〜1200mm、好ましくは700〜1000mm程度である。
【0041】
カテーテル管24は、ある程度の可撓性を有する材質で構成されることが好ましい。カテーテル管24の内径は、好ましくは1.5〜4.0mmであり、カテーテル管24の肉厚は、好ましくは0.05〜0.4mmである。カテーテル管24の長さは、好ましくは300〜800mm程度である。
【0042】
カテーテル管24の近位端には患者の体外に設置される分岐部26が連結してある。分岐部26はカテーテル管24と別体に成形され、熱融着あるいは接着などの手段で固着される。分岐部26にはカテーテル管24内の第1のルーメンおよびバルーン22内に圧力流体を導入または導出するための第1ポート28と、内管30の第2ルーメン内に連通する第2ポート32とが形成してある。
【0043】
第1ポート28は、たとえば図10に示すポンプ装置9に接続され、このポンプ装置9により流体圧がバルーン22内に導入または導出されるようになっている。導入される流体は特に限定されないが、ポンプ装置9の駆動に応じて素早くバルーン22が拡張または収縮するように、質量の小さいヘリウムガスなどが用いられる。
【0044】
ポンプ装置9(医療用膨張・収縮駆動装置)の詳細については、図1を参照にして後述する。
第2ポート32は図10に示す血圧変動測定装置29に接続され、バルーン22の遠位端の開口端23から取り入れた動脈内の血圧の変動を測定可能になっている。この血圧測定装置29で測定した血圧の変動に基づき、図10に示す心臓1の拍動に応じてポンプ装置9を制御し、0.4〜1秒の短周期でバルーン22を拡張および収縮させるようになっている。
【0045】
IABP用バルーンカテーテル20では、前述したように、バルーン22内に導入および導出する流体として、応答性などを考慮して、質量の小さいヘリウムガスなどが用いられる。このヘリウムガスの陽圧および陰圧を直接ポンプやコンプレッサなどで作り出すことはコスト面で問題があると共に、容量の制御が困難なことから、図1に示すような構造を採用している。すなわち、バルーン22内に連通する二次配管系18と、一次側圧力発生手段としてのポンプ4a,4bに連通する一次配管系17とを、二次側圧力発生手段としての圧力伝達隔壁装置40により分離している。圧力伝達隔壁装置40は、たとえば図2に示すように、ダイヤフラム52およびプレート50により気密に仕切られた第1室46と第2室48とを有する。なお、必ずしもプレート50を設けることなく、ダイヤフラム52のみで第1室と第2室とを仕切っても良い。
【0046】
第1室46は、ポート42を通じて図1に示す一次配管系17に連通している。第2室48は、ポート44を通じて二次配管系18に連通している。第1室46と第2室48とは、流体の連通は遮断されているが、第1室46の圧力変化(容積変化)が、ダイヤフラム52の変位により、第2室48の圧力変化(容積変化)として伝達するようになっている。このような構造を採用することにより、一次配管系17と二次配管系18とを連通させることなく、一次配管系17の圧力変動を二次配管系18に伝達することができる。また、二次配管系18に封入されるガスの容量(化学当量)を一定に制御し易い。
【0047】
本実施形態では、一次配管系17の内部流体を空気とし、二次配管系18の内部流体をヘリウムガスとしている。二次配管系18の内部流体をヘリウムガスとしたのは、質量が小さいガスを用いることで、バルーン22の膨張・収縮の応答性を高めるためである。
【0048】
図1に示すように、一次配管系17には、一次側圧力発生手段として、二つのポンプ4a,4bが配置してある。一方の第1ポンプ4aは、陽圧発生用ポンプ(コンプレッサとも言う;以下同様)であり、他方の第2ポンプ4bは、陰圧発生用ポンプである。第1ポンプ4aの陽圧出力口には、減圧弁7を介して、陽圧タンクとしての第1圧力タンク2が接続してある。また、第2ポンプ4bの陰圧出力口には、絞り弁8を介して陰圧タンクとしての第2圧力タンク3が接続してある。
【0049】
第1圧力タンク2および第2圧力タンク3には、それぞれの内部圧力を検出する圧力検出手段としての圧力センサ5,6が装着してある。各圧力タンク2,3には、それぞれ第1電磁弁11および第2電磁弁12の入力端に接続してある。これら電磁弁11,12の開閉は、図示省略してある制御手段により制御され、たとえば患者の心臓の拍動に同期して制御される。これら電磁弁11,12の出力端は、二次側圧力発生手段としての圧力伝達隔壁装置40の入力ポート42(図2参照)に接続してある。
【0050】
図2に示す圧力伝達隔壁装置40の出力ポート44が図1に示す二次配管系18に接続してある。二次配管系18は、バルーン22の内部に連通しており、ヘリウムガスが封入された密閉系となっている。この二次配管系18は、ホースまたはチューブなどで構成される。この二次配管系18には、その内部圧力を検出する圧力検出手段としての圧力センサ15が装着してある。この圧力センサ15の出力は、制御手段へ入力するようになっている。
【0051】
また、この二次配管系18には、電磁弁16を介して、排気用ポンプ35が接続してある。電磁弁16および排気用ポンプ35は、バルーンカテーテルの使用前に、二次配管系18の内部を、ヘリウムガスに置換するために、配管系18内を真空引きするためのものであり、通常使用状態では、電磁弁16は閉じられ、ポンプ35は駆動しない。
【0052】
さらに、この二次配管系18には、電磁弁19が装着してあり、二次配管系18のガス圧が所定値以上に上昇した場合には、この電磁弁19が所定時間開き、内部のガスを逃がすように構成してある。この制御は、制御手段10が行う。
さらにまた、この二次配管系18には、二次配管系18内部に常時ガスの化学当量が一定に保たれるように、所定量のヘリウムガスを補充するための補充装置60が接続してある。補充装置60は、一次ヘリウムガスタンク61を有する。ヘリウムガスタンク61には、減圧弁62,63を介して、二次ヘリウムガスタンク64が接続してある。二次ヘリウムガスタンク64には、圧力センサ65が装着してあり、タンク64内の圧力を検出し、タンク64内の圧力が一定に保たれるように制御される。たとえばタンク64内の圧力は、100mmHg以下程度に制御される。
【0053】
二次ヘリウムタンク64には、絞り弁67を介して補充用電磁弁66が接続してあると共に、その補充用電磁弁66と並列に初期充填用電磁弁68が接続してある。これら電磁弁66,68は、制御手段10により制御される。初期充填用電磁弁68は、電磁弁16およびポンプ35に連動して開き、負圧にされた二次配管系18内に最初にヘリウムガスを充填する際に用いられる。通常使用状態では、この電磁弁68は作動しない。
【0054】
本実施形態では、二次配管系18内を負圧にし、ヘリウムガス充填(置換)時に、圧力センサ15により系内の圧力をモニタリングし、バルーン22の容量により決定される圧力となるまでヘリウムガスを封入する。たとえば40ccの容量のバルーンカテーテル20を用いる場合には、その二次配管系18の充填時のガス圧を+10±5mmHg(ゲージ圧)とし、30ccの容量のバルーンカテーテル20を用いる場合には、その二次配管系18の充填時のガス圧を−30±5mmHg(ゲージ圧)とする。
【0055】
次に、本実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置の動作例について説明する。
本実施形態では、ポンプ4aを駆動することにより、第1圧力タンク2内の圧力PT1が約300mmHg(ゲージ圧)に設定され、ポンプ4bを駆動することにより、第2圧力タンク3内の圧力PT2が約−150mmHg(ゲージ圧)に設定される。そして、図1に示す圧力伝達隔壁装置40の入力端に加わる圧力を、電磁弁11,12を交互に駆動することで、第1圧力タンク2および第2圧力タンク3の圧力に切り換える。この切り替えのタイミングは、患者の心臓の拍動に合わせて行われるように、制御手段10が制御する。
【0056】
圧力センサ5,6により検出される圧力変動を図3(A)に示す。また、電磁弁11,12による圧力切り替え駆動の結果、図1に示す二次配管系18内の圧力変動を、圧力センサ15で検出した結果を図3(B)に示す。二次配管系18内の圧力変動の最大値が、たとえば289mmHg(ケージ圧)であり、最小値が−114mmHg(ゲージ圧)である。二次配管系18内が、図3(B)に示す圧力変動を生じる結果、バルーン22では、図3(C)に示すような容積変化が生じ、心臓の鼓動に合わせたバルーン22の膨張および収縮が可能になり、心臓の補助治療を行うことができる。
【0057】
以下、バルーン収縮時に圧力検出を図4のP3 の点で行う例について図6に示す動作で説明する。
このルーチンは、特にガスを補充するかどうかの判断部分についてのみを抜き出した。このルーチンは、プログラマブルタイマー等によって一定時間間隔で呼び出される割込みルーチンである。呼出される時間間隔としては1〜20ミリ秒程度が望ましい。ステップS1にて収縮から膨張への切り換えが起きたかどうかを確かめる。起きていなければ、収縮期間をステップS2で積算し、割込みルーチンを終わる。ステップS1にて、収縮から膨張への切り換えが起きる時であれば、ステップS3に進みバルーン収縮時間a(図4(B)参照)を算出する。このバルーン収縮時間aは、たとえば図1に示す電磁弁11,12の切り替わり時間を計測することにより算出することができる。または、図1に示す圧力センサ15により圧力を検出し、その圧力変化に基づき算出することもできる。さらにまた、この収縮時間aは、患者の血圧変動あるいは心臓の拍動に基づき定められることから、血圧変動あるいは心臓の拍動を検出する装置からの出力信号に基づき算出することもできる。このステップS3を実現する図1に示す制御手段10が、本発明での収縮・膨張時間算出手段に相当する。
【0058】
次に、図6に示すステップS4では、この収縮時間aが所定時間αよりも短いか否かを判断する。所定時間αは、特に限定されないが、好ましくは100〜500ミリ秒、さらに好ましくは150〜300ミリ秒である。このような所定時間以下の間隔で、バルーン22が膨張および収縮を繰り返す場合には、バルーン22が収縮状態から膨張状態に切り替わる直前のタイミングで二次配管系18内の圧力を圧力センサ15で検出しても、安定した収縮状態の圧力を検出することができない。たとえば、このように短い周期で膨張および収縮を繰り返す場合には、二次配管系18内の圧力変動は、図5に示すようになり、バルーン22の通常動作時(脈拍が50〜100)の安定した収縮状態の圧力P3よりも低い圧力P3’を検出してしまう。
【0059】
もし、ステップS4にて、収縮時間aが所定時間αより短ければ、1〜数十分、望ましくは3〜10分間でタイムアップするソフトウエアー又はハードウエアーのタイマーの起動を確認し(S5),起動していなければ起動する(S6)。タイマーが起動しており、更にタイムアップ(S7)していれば、S8にて膨張を1回停止させるフラッグをセットして、ここには現れていないルーチンでの膨張のための電磁弁操作を抑制し、収縮状態を維持する。通常は、1回の抑制にて、S4の条件を満たし、S9へ進む。S9では、タイマーをゼロに戻し、停止させる。又、S10にて圧力P3 を検出し、S11にて、所定圧力以下となっているかどうかを確認する。もし、所定圧力以下であればS12にてガス補充動作を行う。なお、別ルーチンでガス補充動作を行う場合には、S12にてそのためのフラッグを立てても良い。又、患者の心拍数がゆらぎ、時々ステップS4の条件を満たす場合には、タイマーが停止し、ゼロリセットされることにより、バルーンの膨張を抑制するためのステップS8に至ることがなくなる。もちろん、タイマーのタイムアップ以内にステップS4の条件が成立しなければ、その限りでない。このことにより、不必要に、バルーンの膨張を抑制し、患者への補助を減らすことがなくなる。
【0060】
通常のガス補充動作では、図4(D)に示すタイミング*2(図4(A),(B)におけるバルーンの収縮状態から膨張状態に切り換える直前のタイミング)で、図1に示す圧力センサ15による検出圧力を検出し、その検出圧力P3(図4(A))が、所定値となるように、電磁弁66を開き、二次配管系18にガスを補充する。電磁弁66の開度制御は、特に限定されないが、たとえば8ミリ秒×n回のタイミングで弁66を開ける制御である。n回は、たとえば2〜10回である。
【0061】
ステップS11で、たとえば検出圧力P3が0mmHgを下回った場合に、前述のガス補充動作を行い、P3が10mmHg程度になるように、ガスを補充する。また、本実施形態では、バルーン22の容積に合わせて、ガス補充を行う基準圧(しきい値)を変化させても良い。たとえば40ccの容量の場合には、P3=+10±5mmHg(ゲージ圧)と成るように制御し、30ccの容量の場合には、P3=−30±5mmHg(ゲージ圧)と成るように制御しても良い。検出圧力P3が、これらの値を下回ったときに、制御手段10により、電磁弁66を駆動し、二次ヘリウムガスタンク64から二次配管系18内にヘリウムガスを補充し、図4(A)に示す検出圧力P3が所定値となるように制御する。
【0062】
このように、本発明の第1実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置では、バルーン22の膨張・収縮の間隔が短い場合でも、バルーン22を含む二次配管系18の内部に適切な量のガスを補充することができる。その結果、本実施形態では、患者の心拍数が多い場合でも、二次配管系18内へのガスの入れ過ぎによる種々の問題点を解消することができる。また、その際に、本実施形態では、一拍または数拍程度に、バルーン22の膨張を停止するが、短時間であるので、バルーン22による治療には影響がない。また、定期的に二次配管系18の内部全体のガスを置換する駆動装置に比較して、本実施形態では、ガスの消費量が少なく経済的である。
【0063】
さらに、本実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置では、バルーンカテーテル20の駆動時において、特開平5−10952号公報とは異なり、バルーンカテーテル20のバルーン22を収縮状態から膨張状態に切り換える直前のタイミング(図4(D))で、二次配管系18の圧力P3を検出し、その検出された圧力P3が、所定値となるように、二次配管系18にガスを補充する。すなわち、上記公報に示す駆動装置では、図4(C)に示すようにバルーン22が膨らんだ状態の圧力(ブラトー圧)P4を検出し、これを一定になるように制御するのに対し、本実施形態では、バルーン22が萎んだ状態での圧力P3を検出し、所定値になるように制御する。言い替えれば、本実施形態では、バルーン22が萎んだ状態で、このバルーン22に接続される閉鎖配管系18に一定容量(一定モル数:化学当量比)のガスを入れる。その後、バルーン22などからの透過により減少したガス量を、必ず、バルーン22が萎んだ状態で監視する。
このため本実施形態では、外力により変形し得るバルーン22部分のガス圧への影響を排除し、任意の駆動配管系18(チューブやホースを含む)とバルーンの容量に応じたガスの化学当量が一定に保たれるようにすることが可能となる。このように制御すれば、プラトー圧(バルーンが膨らんだ状態での圧力)P4をも観測することにより、バルーン22が曲折されているなどの不測の事態によりバルーン22の容積が変化したことを検出することができる。たとえば、プラトー圧力P4が、通常よりも高くなった場合には、バルーン22が曲折されているなどの判断ができる。また、プラトー圧力P4が、通常よりも小さくなった場合には、ガスが透過以外の不測の事態で漏れていると判断することができる。
【0064】
もちろん、これらの欠点を含んだ状態でも、バルーン膨張期間が所定時間より十分に長く、安定した圧力P4 を検出し、この圧力値を所定値に保つために本実施形態を変形することは可能である。
その際のルーチンを図7に例示する。詳細な説明は図6の場合に膨張を収縮に、収縮を膨張に読み替えるのみで、他は同様である。
【0065】
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置について説明する。
本実施形態の医療用膨張・収縮駆動装置は、前記第1実施形態の医療用膨張・収縮駆動装置に比較し、図1に示す構成が同一であり、その制御手段10の機能のみが異なる。
【0066】
そこで、前記第1実施形態と共通する部分の説明は省略し、その相違する部分のみについて、図8に基づき説明する。
図8のステップS2にて、圧力の傾きを算出するため、直前の圧力値として用いるための圧力値を更新しておく。次に収縮から膨張へ切り換わり、ステップS3にて圧力の傾きを算出する際に、この直前の圧力値と現在の圧力値の差を求め、この差を圧力値の測定の時間間隔で除することによって、圧力の傾きbが得られる。この傾きbの絶対値を所定値βとステップS4にて比較する。所定値βは特に限定されないが0〜100mmHg/sec、望ましくは0〜50mmHg/secに設定される。これら以外の部分は第1実施形態と同等の動作となる。
【0067】
このように、本発明の第3実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置では、ステップS3で算出した圧力変化の傾きbが、所定の値βより小さい場合で、安定している場合(図4(A)の場合)に、二次配管系18内の圧力を検出し、その圧力に基づき、ガス補充動作を行う。また、圧力変化の傾きbが、所定の値βより大きい場合(図5(A)の場合)には、ステップS5にて、しばらくの間ガス補充を行わず、圧力変化の傾きbが、所定の値βより小さくなるまで待つ。所定時間内に、圧力変化の傾きbが、所定値βより小さくならなければ、ステップS8にて、膨張を1回以上停止させることにより、小さくなる条件が作られる。その状態で、二次配管系18内の圧力P3を検出し、その圧力P3に基づき、ガス補充動作を行う。
【0068】
したがって、本実施形態では、バルーン22を含む二次配管系18の内部に適切な量のガスを補充することができる。その結果、本実施形態では、患者の心拍が早くなった場合でも、二次配管系18内へのガスの入れ過ぎはなくなり、これによる種々の問題点を解消することができる。また、その際に、本実施形態では、バルーン22の膨張・収縮は基本的に停止しないので、バルーンによる治療には影響がない。また、定期的に配管系全体のガスを置換する駆動装置に比較して、本実施形態では、ガスの消費量が少なく経済的である。
【0069】
更に、第1実施形態と全く同様に、バルーンの膨張状態のプラトー圧力を一定にするために変形することも可能である。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0070】
たとえば、上述した実施形態では、一次側圧力発生手段として、二つのポンプ4a,4bを用いたが、本発明では、単一のポンプを用い、その陽圧出力端に陽圧タンクとしての第1圧力タンク2を接続し、また、ポンプの陰圧出力端に陰圧タンクとしての第2圧力タンク3を接続しても良い。その場合には、ポンプの台数を削減でき、装置の軽量化および省エネルギー化に寄与する。
【0071】
また、上記実施形態では、圧力切替え手段として、電磁弁11と電磁弁12との二つの電磁弁を用いたが、本発明は、これに限定されず、単一の三方電磁弁を用いて、圧力伝達隔壁40の入力端に加わる圧力を切り換えるようにしても良い。
【0072】
さらにまた、一次配管系17のガス種は、空気に限定されず、その他の流体であっても良い。また、二次配管系18のガス種もヘリウムガスに限定されず、その他の流体であっても良い。
さらに本発明では、一次配管系17および圧力伝達隔壁装置40を用いることなく、二次側配管系18内に直接に所定容量のガスを往復させる圧力発生手段を用いることもできる。その圧力手段としては、たとえばベローズおよびベローズを軸方向に伸縮駆動する駆動手段(たとえばモータ)から成り、ベローズの内部または外部を直接二次配管系18内に連通させる。このベローズを軸方向に往復移動させることで、所定のタイミングで二次配管系18内にガスを往復させ、バルーン22の膨張および収縮を行う。
【0073】
また、上述した実施形態では、被駆動機器として、バルーンカテーテルを用いたが、本発明に係る駆動装置は、膨張および収縮を繰り返す医療機器であれば、その他の医療機器の駆動用に用いることもできる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、被駆動機器の膨張・収縮の間隔が短い場合、あるいは不規則な場合でも、被駆動機器を含む配管系の内部にガスを過充填することはなくなる。また、配管系内のガスが足りなくなることもない。したがって、被駆動装置による良好な治療効果が期待できる。また、本発明では、被駆動装置の駆動を基本的には停止しない、または停止させても1拍〜数拍なので、被駆動機器による治療には影響がない。また、定期的に配管系全体のガスを置換する駆動装置に比較して、本発明では、ガスの消費量が少なく経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置の概略構成図である。
【図2】図2は圧力伝達隔壁装置の一例を示す要部断面図である。
【図3】図3(A)は各圧力タンクの内圧変化を示すグラフ、同図(B)はバルーン側の圧力変化を示すグラフ、同図(C)はバルーンの容積変化を示すグラフである。
【図4】図4は圧力検出のタイミングを示すチャート図である。
【図5】図5は脈拍が早い場合において二次配管系(バルーン)内の圧力変化を示す図である。
【図6】図6は本発明の一実施形態に係る制御手段の制御フローを示すフローチャート図である。
【図7】図7は本発明の他の実施形態に係る制御手段の制御フローを示すフローチャート図である。
【図8】図8は本発明のさらに他の実施形態に係る制御手段の制御フローを示すフローチャート図である。
【図9】図9はバルーンカテーテルの一例を示す概略断面図である。
【図10】図10はバルーンカテーテルの使用例を示す概略図である。
【符号の説明】
2… 第1圧力タンク
3… 第2圧力タンク
4a,4b… ポンプ(一次側圧力発生手段)
5,6,15… 圧力センサ
10… 制御手段
11,12,,16,19,66,68… 電磁弁
17… 一次配管系
18… 二次配管系
20… バルーンカテーテル
22… バルーン
40… 圧力伝達隔壁(二次側圧力発生手段)
60… 補充装置(ガス補充手段)

Claims (3)

  1. 被駆動機器の膨張および収縮を繰り返すように、被駆動機器に連通する配管系に、陽圧と陰圧とを交互に印加する圧力発生手段と、
    前記被駆動機器が収縮されている時間を算出する収縮時間算出手段と、
    前記収縮時間算出手段で算出された収縮時間が、所定時間以下の場合に、被駆動機器の膨張を1回以上連続して停止させ、収縮時間を所定時間以上とする膨張停止手段と、
    前記膨張停止手段で1回以上の膨張が停止された後に、次の膨張に切り換える直前のタイミングで、前記配管系の圧力を検出することが可能な圧力検出手段と、
    前記圧力検出手段で検出された圧力が、所定値となるように、前記配管系にガスを補充するガス補充手段と、
    を有する医療用膨張・収縮駆動装置。
  2. 被駆動機器の膨張および収縮を繰り返すように、被駆動機器に連通する配管系に、陽圧と陰圧とを交互に印加する圧力発生手段と、
    前記被駆動機器が膨張されている時間を算出する膨張時間算出手段と、
    前記膨張時間算出手段で算出された膨張時間が、所定時間以下の場合に、被駆動器の膨張を所定時間以上になる迄継続させる膨張継続手段と、
    前記膨張継続手段で所定時間以上の膨張が継続された後に、次の収縮に切り換える直前のタイミングで、前記配管系の圧力を検出することが可能な圧力検出手段と、
    前記圧力検出手段で検出された圧力が、所定値となるように、前記配管系にガスを補充するガス補充手段と、
    を有する医療用膨張・収縮駆動装置。
  3. 被駆動機器の膨張および収縮を繰り返すように、被駆動機器に連通する配管系に、陽圧と陰圧とを交互に印加する圧力発生手段と、
    前記配管系の内部圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記被駆動機器が収縮又は膨張状態から膨張又は収縮状態に切り替わる直前のタイミングで、前記圧力検出手段により、前記配管系の内部圧力の圧力変化の傾きを算出する圧力変化算出手段と、
    前記圧力変化算出手段で算出した圧力変化の傾きの絶対値が、所定の値よりも大きい場合には、前記配管系へのガス補充動作を、停止するガス補充停止手段と、
    前記圧力変化算出手段で算出した圧力変化の傾きの絶対値が、所定の値と同等以下の場合には、前記被駆動機器の収縮又は膨張状態から膨張又は収縮状態に切り換える直前のタイミングで、前記圧力検出手段により検出された配管系の内部圧力が所定値となるように、前記配管系にガスを補充するガス補充手段と、
    を有する医療用膨張・収縮駆動装置。
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