JP3763958B2 - 眼科装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検眼に対して装置を所定の位置関係に位置合わせする眼科装置に関する。
【0002】
【従来技術】
眼屈折力測定装置や非接触眼圧計等の眼科装置では、被検眼に対して装置の測定光学系を所定の位置関係にアライメント調整して測定を行う。
アライメント機構としては、被検眼角膜に投影されたアライメント指標を検出し、その検出情報に基づいて装置を移動する移動手段を駆動制御することにより、自動的にアライメント調整したり追尾させるものが提案されている。装置の駆動制御に使用するアライメント指標は被検眼正面から指標光束を投影して角膜頂点に輝点を形成する他、複数のアライメント指標を投影し、角膜に形成される輝点の位置関係に基づいて角膜中心を検出するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、角膜表面の状態、他の発光物(蛍光灯等)や被検者の涙などの影響によって、多数の散乱光が角膜表面に輝点として現れてしまう(本明細書ではこのような輝点を技儒アライメント指標像といいます)ことがあり、アライメント指標との区別がつかずに角膜中心検出を妨げることがある。このような時には、装置は誤ったアライメント状態を判断したり、アライメントの検出自体ができなくなってしまう。また、輝点情報を順次メモリに記憶していくものは、散乱光により多数の輝点が検出されると、メモリの許容範囲を超えてしまい検出が途中でストップしてしまうこともあった。
【0004】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、散乱光による影響を極力無くしてアライメント検出を容易にできる眼科装置を提供することを技術課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0006】
(1) 被検眼を検査測定する測定部を備え、前記測定部を被検眼に対して所定の位置にアライメントする眼科装置において、被検眼の角膜に所定の配置関係を持つ複数のアライメント指標を投影する指標投影手段と、被検眼角膜に形成される所定の輝度レベル以上の輝点を検出する輝点検出手段と、前記指標投影手段により投影されるアライメント指標の配置情報及び検出された輝点情報に基づいて、検出された輝点について、室内照明光等の散乱光による輝点である疑似アライメント指標像とアライメント指標像とを区別し、アライメント情報として使用可能なアライメント指標像を特定するアライメント指標像特定手段と、該アライメント指標像特定手段により特定されたアライメント指標像の位置情報に基づいて、前記測定部を被検眼に対して移動するように指示する移動指示手段と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の眼科装置において、前記アライメント指標像特定手段は、前記検知された輝点数が所定量を超えたか否かを判断する第1判断手段と、前記検出された輝点の分布が所定の枠内存在するかを判断する第2判断手段とを備え、前記第1判断手段により輝点数が所定量を超えかつ前記第2判断手段により輝点の分布が所定の枠内であると判断されたときに、被検眼の上下方向から順次数えてその所定量に達する位置までの輝点を疑似アライメント指標像とすることを特徴とする。
(3) (1)の眼科装置において、前記アライメント指標像特定手段は、前記検出された輝点の位置情報を記憶する記憶手段と、該記憶された輝点位置情報が所定量を超えたか否かを判断する第1判断手段と、該判断手段により輝点位置情報が所定量を超えたと判断されたときにはさらに輝点の分布が所定の大きさの領域内にあるか否かを判断する第2判断手段と、該第2判断手段により輝点位置の分布が所定の大きさ内にあると判定されたときはその輝点位置の分布領域を擬似アライメント指標像領域と決定する擬似アライメント指標像領域決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を非接触式眼圧計を実施例の装置として挙げ、図面に基づいて説明する。
【0014】
[全体構成]
図1に実施例である非接触式眼圧計の概観概略図を示す。1は基台であり、基台1には被検眼を固定するための顎台2が固設されている。3は本体部、4は後述する光学系を収納した測定部であり、5は本体部3と測定部4を移動するためのジョイスティックである。ジョイスティック5の操作により本体部3は基台1の水平面上を検者に対して前後方向(Z方向)及び左右方向(X方向)に摺動し、測定部4は本体部3に対して上下方向(Y方向)に移動する。
【0015】
基台1に対する本体部3の移動は、ジョイスティック5の軸の下方に形成された球面および下端部と、下端部が摺動する摺動板と、摺動板と接し基台1に貼り付けされた摩擦板と、本体部3と一体のハウジング3a内部の球軸受けの構成により水平方向の微動が実現される。また、本体部3に対する測定部4の上下動は、ジョイスティック5の外周上部の回転ノブ5aと共に回転するスリット板を挟み軸に設けられた光源および受光素子とにより、受光素子の信号から回転ノブ5aの回転方向および回転量を検出し、その検出結果に基づいて測定部4を上下動させるY軸モータを駆動制御することによって行われる。このジョイスティック機構の詳細については、本出願人による特開平6−7292号(発明の名称眼科装置のジョイスティック機構)に記載されているので、これを参照されたい。
【0016】
また、測定部4は本体部3に対して左右方向(X方向)及び前後方向(Z方向)にも移動する。これらの移動はジョイスティック5によらず、後述する制御回路によって駆動制御されるX軸モータ及びZ軸モータにより行われる。
【0017】
6は圧縮気体を被検眼に向けて噴出するためのノズルが配置されたノズル部である。測定部4の被検者側にはノズル部6を中心にして被検眼の角膜周辺にアライメント指標を投影する4個の光源7a〜7dが配置されている。本体部3の側部にはノズル部6が被検眼に接近できる移動限界を規制するためのツマミ8が配置されている。また、本体部3のジョイスティック5側(検者側)には、観察用のTVモニタが備えられている。
【0018】
[光学系]
図2は装置のアライメント光学系の要部構成図であり、上から見たときの図である。なお、非接触式眼圧計は被検眼角膜に圧縮した気体を吹き付けて所定の形状に変形させ、直接あるいは間接的に検出されたその時の気体圧に基づいて、被検眼の眼圧を測定するものであるが、この測定機構自体の説明は本発明とは関係が薄いことから省略する。詳細については本出願人による特開平5−56931号(発明の名称 非接触式眼圧計)を参照されたい。
【0019】
(観察光学系) 10は観察光学系であり、L1はその光軸を示す。観察光学系10は上下左右方向の第1及び第2アライメント用の指標(後述する)を検出する指標検出光学系を兼ねる。観察光学系10の光路上には角膜変形用の気体を噴出するノズル9がガラス板8a,8bに保持されて配置され、その軸と光軸L1は一致している。光軸L1上には、ビームスプリッタ11、対物レンズ12、ビームスプリッタ14、フィルタ15、CCDカメラ16が配置されている。フィルタ15は、第1及び第2アライメント指標光学系(後述する)とレチクル投影光学系の光束(波長950nm)を透過し、可視光及び距離指標投影光学系(後述する)の光束(波長800nm)に対して不透過の特性を持っており、CCDカメラ16に不必要なノイズ光が混入することを防止する。CCDカメラ16に撮像される前眼部像及び指標像はTVモニタ17に映出され、検者はこれを観察する。
【0020】
(レチクル投影光学系) 20はレチクル投影光学系20を示す。21は波長950nmの赤外光を出射するレチクル投影用光源、22は円環状のマークが形成されたレチクル板、23は投影レンズである。レチクル投影用光源21に照明されたレチクル板22上のレチクルは、投影レンズ23、ビームスプリッタ14、フィルタ15を介してCCDカメラ16に受像される。
【0021】
なお、レチクル投影用光源21から出射される光束には、CCDカメラ16による指標像の検出を容易にするため、所定の周波数で出力に変調がかけられ、これにより光源7a〜7dおよび光源31から出射される光束とが区別される。また、レチクル像はTVモニタ上で観察できればよいので、光量を落として指標像との輝度の差から区別するようにしてもよいし、パタ−ンジェネレ−タにより電気的に生成させてもよい。
【0022】
(固視光学系) 固視光学系25は、可視光を発する光源26、固視標板27、投影レンズ28を持つ。光源26の点灯により固視標板27を出射した光束は、投影レンズ28、ビームスプリッタ14、対物レンズ12、ビームスプリッタ11を介し、ノズル9を通り被検眼に入射する。
【0023】
(第1アライメント指標投影光学系) 30は第1アライメント指標投影光学系を示す。31は中央指標投影用光源、32は投影レンズである。光源31は波長950nmの赤外光を出射する。光源31を出射した赤外光束は投影レンズ32によって平行光束とされた後、ビームスプリッタ11によって反射され、光軸L1に沿ってノズル9内を通過して被検眼角膜Ecに照射される。角膜Ecで鏡面反射する光束は光源31の虚像である第1アライメント指標i1を形成する。第1アライメント指標i1の光束は、CCDカメラ16の撮像素子上に第1アライメント指標i1の像を形成する。
【0024】
(第2アライメント指標投影光学系) 第2アライメント指標投影光学系7は4個の光源7a〜7dを持つ(図1参照)。光源7aと7b及び光源7cと7dは、それぞれ光軸L1を挟んで同じ高さ距離に配置され、指標の光学的距離を同一にしている。光源7a〜7dは第1アライメント指標投影光学系の光源と同じ波長950nmの赤外光を出射する。光源7a、7bからの光は被検眼の角膜周辺に向けて斜め上方向から照射され、光源7a、7bの虚像である指標i2、i3を形成する。また、光源7a、7bは瞼の開き具合を検出するための光源を兼ねている。光源7c、7dからの光は被検眼の角膜周辺に向けて斜め下方向から照射され、光源7c、7dの虚像である指標i4、i5を形成する。光源7a〜7dは被検眼前眼部を照明する照明用光源を兼ねている。
【0025】
4個の指標i2、i3、i4、i5の光束は観察光学系10を介してCCDカメラ16に入射し、CCDカメラ16の撮像素子上に像を形成する。
【0026】
(距離指標投影光学系) 50は距離指標投影光学系であり、L2はその光軸を示す。光軸L2は光軸L1に対して傾斜して設けられ、ノズル9から所定の作動距離離れた位置で両光軸は交差する。51は光源7a〜7d及び光源31と異なる波長800nmの光を出射する距離指標投影用の光源であり、52は投影レンズである。
【0027】
光源51を出射した光は投影レンズ52によって平行光束とされ、光軸L2に沿って角膜Ecに照射される。角膜Ecで鏡面反射した光束は光源51の虚像である指標i6を形成する。
【0028】
(距離指標検出光学系) 60は距離指標検出光学系であり、L3はその光軸を示す。光軸L3と光軸L2は光軸L1に対して対称な軸であり、光軸L3と光軸L2の両光軸は光軸L1上で交差する。光軸L3上には受光レンズ61、フィルタ62、一次元検出素子63が配置されている。フィルタ62は、光源51から出射される波長800nmの光束を透過し、光源7a〜7dおよび光源31から出射される950nmの光束に対して不透過の特性を持ち、一次元検出素子63にノイズ光が入射することを防止する。
【0029】
指標i6を形成する光源51の角膜反射光束は、受光レンズ61、フィルタ62を介し一次元検出素子63に入射する。被検眼が観察光軸L1の軸方向(前後方向)に移動すると、指標i6の像も一次元検出素子63の検出方向に移動するため、一次元検出素子63上における指標i6の像の偏位から被検眼の位置が検出される。
【0030】
[制御系]
図3に装置の制御系の要部構成図を示す。70は制御回路、71は画像処理回路、72は距離指標の検出処理回路である。74〜76は本体部3に対して測定部4を駆動させるX軸、Y軸およびZ軸モータ、77〜79は各モータの駆動回路である。80は測定系、81は文字情報や図形等を生成する表示回路、82は合成回路である。83はアライメントモ−ド切換スイッチであり、アライメントを指標検出に基づいて装置が行うオ−トアライメントにするか、検者によるジョイスティック5のみの操作で行うかを選択する。84は測定開始の信号を入力する測定スイッチである。
【0031】
画像処理回路71はCCDカメラ16からの撮影像に対して画像処理を施し、その処理結果を制御回路70に入力する。制御回路70はその入力信号により、指標像の位置情報や瞳孔位置情報を得る。
【0032】
また、制御回路70は検出処理回路72を介して入力される一次元検出素子63からの信号により、被検眼Eに対する前後方向の偏位情報を得る。制御回路70が得た偏位情報は表示回路81に送られ、表示回路81はその情報に基づき距離マ−クの図形信号とTVモニタ17上における位置信号を発生させる。表示回路81からの出力信号は合成回路82によりCCDカメラ16からの映像信号と合成され、TVモニタ17上に出力される。
【0033】
図4はXY方向が適正な状態にアライメントされたときのTVモニタ17上に表示される画面例を示した図である。XY方向が適正な状態にアライメントされた状態では、第2アライメント指標投影光学系により角膜周辺に形成された4つの指標像i20、i30、i40、i50と、第1アライメント指標投影光学系により角膜中心付近に形成された指標像i10が映出される。41はレチクル像を示す。42は距離マ−クを示し、距離マ−ク42は被検眼の角膜とノズル部6との距離に対応してレチクル像41の上下をリアルタイムに移動し、角膜が適正作動距離にあるとレチクル像41に重なる。
【0034】
以上のような構成を持つ装置において、オートアライメントのモードを選択した時の動作を説明する。検者は顎台2を使って被検眼を固定させ、被検眼には固視標を固視させる。測定の準備ができたら、検者はTVモニタ17を観察して前眼部像及びアライメント指標像が現れるようにジョイスティック5等を操作し、被検眼に対して測定部4を粗くアライメントする。
【0035】
制御回路70はCCDカメラ16からの映像信号によりアライメント指標像が検出できるようになると、その位置情報に基づいてX軸モータ74及びY軸モータ75を駆動制御して、測定部4をXY方向でのアライメント完了状態になるように移動する。
CCDカメラ16からの出力信号によりアライメント指標像(以下、単に指標像ともいう)の輝点を検出する処理プロセスを説明する(図6のフローチャート参照)。CCDカメラ16からの一画面分の画像信号が画像処理回路71の画像メモリに記憶されると、輝点検出処理が行われる。輝点検出は一画面の左上(x,y)=(0,0)の座標位置からスタートし(STEP-1〜STEP-3)、画面の右下(x,y)=(xlim,ylim)に向かって検出を進めていく(STEP-9〜STEP-12)。この間、所定の閾値以上の輝度信号データが検出できると(STEP-4)、輝点の立ち上がり位置信号である輝点エッジ(全ての輝度信号の位置を記憶しなくても、立ち上がり信号により各y座標における輝点のおおよその位置は分かる)の数のカウントを行い、カウントした輝点エッジ数が所定のストック容量内(例えば、100個)で収まれば、その座標位置を記憶する(STEP-5〜STEP-8)。
このような輝点エッジの検出で、カウントしたエッジ数が所定のストック容量内に収まり、かつ(x,y)=(xlim,ylim)まで検出が終了したら(STEP-11)、データメモリに記憶された輝点エッジの位置情報に基づいて、各輝点の個別の位置を算出する。各輝点はそれぞれ大きさを持つが、その個別の位置は連続するy座標上の輝点エッジ位置の中央を取れば算出できる(STEP-13)。
各輝点の個別の位置が算出されたら、散乱光による輝点とアライメント指標像の輝点との区別をしてアライメント指標像の位置を特定する(STEP-14)。
アライメント指標像の特定について説明する。まず、アライメント指標像を特定するための基礎とする各指標像の位置関係を、図5により説明する。図5は、ある基準の角膜曲率を持つ被検眼に対して、適正な状態にアライメントされた時の各アライメント光により形成された指標像の位置関係を示す。適正な状態にアライメントされたときの指標像i10に対して、指標像i40とi50は、Y軸の下方向にともに略幅a分離れ、X軸方向には両側にそれぞれ略幅c分離れて位置するものとする。また、指標像i20とi30はY軸の上方向にともに略幅a分離れ、X軸方向には両側に幅cよりも小さくなるように(幅cの半分までにはならないように)それぞれ略幅b分離れて位置するものとする。この位置関係及び間隔は、角膜形状や被検眼に対する装置の相対位置により多少の変化はあるものの大きく変動することはないので、これと算出された輝点の位置情報の比較を行うことにより、散乱光による輝点と指標像の区別及びその指標像が何れのものか特定できる。
例えば、図7に示すように、離れた輝点101〜103と多数の輝点が集まった輝点群104、105が検出されたとする。輝点群104、105は被検眼の涙等の要因でアライメント光源7c、7dの光により散乱した輝点として現われたものである。各輝点の位置関係と距離について各輝点毎に順番に見ていき、図5の指標像の位置関係との比較により、アライメント指標像である可能性が少ないものを順次削除していく。図7の例では、輝点101〜103がそれぞれ指標像i10、i20、i30であると特定できる。輝点群104、105の中に指標像i40、i50の輝点もある可能性があるが、何れか判断できないときは特定不可として、アライメントの情報として使用しないようにする。
アライメント指標像の特定ができたら、制御回路70はその指標像の数と位置関係に基づいて測定部4を移動制御してアライメントを行う(STEP-15)。この方法については後述する。
図6のSTEP-6において、データメモリに書き込まれた輝点エッジ数が所定のストック容量の範囲を超えた場合について説明する。この場合、輝点エッジ位置の分布を見る。輝点エッジ位置の分布は、初め検出された輝点エッジ位置からのy座標のライン数により判断できる(STEP-16)。この数が予め設定した数(以下、設定ライン数LNという)を超えていなければ、輝点エッジ数が所定のストック容量を超えたy座標のところから、輝点検出のy座標をy+1に更新した後(STEP-18)、STEP-2に戻ってデータメモリに記憶した輝点エッジ数のカウントと座標の番地の初期値化を行う。その後、改めて前述したSTEP-3〜STEP-12の処理を繰り返す。このとき、データメモリに記憶される輝点エッジ位置の座標は上書きされていくことにより、設定ライン数LNの範囲のデータはデータメモリから順次消去される。
ここで、設定ライン数LNは、図5で示した指標像i10、i20、i30又は指標像i10、i40、i50が検出できる範囲よりやや広めの範囲に設定する(被検眼の固体差を考慮する)。これは、散乱光による輝点があったとしても、少なくともこれら3つのアライメント指標像が特定できれば、後述する指標像の数と位置関係に基づく測定部4の誘導ができるからである。例えば、蛍光灯等により散乱光が角膜表面にできている場合、画面上では被検眼の上の方に輝点が集中して生じることがある。この場合、輝点エッジのデータがメモリのストック容量をオーバーし、かつ輝点は集中しているので、その分布は設定ライン数LNを下回る。したがって、この集中したデータは削除され、それより下の領域で検出されるアライメント指標像のみのを特定が行われる。
逆に、初めに検出された輝点エッジ位置からのライン数が設定ライン数LNを超えていれば、この画面における検出は終了し、ここまでデータメモリに記憶された輝点エッジの位置情報(又は更に移動量情報も加えて)に基づいて、各輝点の個別位置の算出、アライメント指標像の特定を行ってアライメントを実行する(前述したSTEP-13〜STEP-15)。例えば、図7に示した例で、輝点群104、105の輝点が多数ある場合は、この途中でメモリのストック容量をオーバーする。このときy座標の検出ライン数は設定ライン数LNを超えることになるので、この範囲で各輝点の個別位置の算出、指標像の特定を行う。
なお、上記の実施例では輝点エッジの数をカウントして、その数が所定のストック容量になったかを判断するようにしたが、これはSTEP-13で行うように、大きさを持つ各輝点の数としてカウントし、その数及び分布によりSTEP-16以降を判断しても良い
次に、以上のような輝点検出処理により検出された(特定できた)指標像の数と位置関係に基づく測定部4の誘導を、図8〜図14を使用して説明する。なお、以下の説明上使用する指標像の順番は、画面の上から下に順次ふり、同一高さのものは左を先にする。
【0036】
<指標像が全5つ中1つのとき>
検出された指標像が指標像i10と特定できたときのみ測定部4を移動し、指標像i10と特定できないときには、測定部4の移動は行わない。検出された指標像が次の条件を満たすときは、その指標像が指標像i10と特定できる。
【0037】
I.検出された指標像が基準位置を中心にして所定の範囲内(例えば、ノズル9の径に相当する大きさ内)に存在する。
【0038】
II.かつ、適正作動距離に対してZ方向のずれが所定の範囲内である(距離指標投影光学系50による指標i6の像が一次検出素子63で検出でき、その偏位が所定の範囲内にある)。
【0039】
<指標像が全5つ中2つのとき>
[A]1番目と2番目の指標像のX座標の差が小さく(幅b以下)、かつ1番目と2番目の指標像のY座標の差が大きい(略幅2a)場合:図8(a)、(b)に示すように指標像i20、i40の組み合わせと、指標像i30、i50の組み合わせの2通りがある。さらにこの2通りを次のように区別する。
I.1番目のX座標>2番目のX座標の場合:指標像i30、i50と判断できる。
II.1番目のX座標<2番目のX座標の場合:指標像i20、i40と判断できる。
【0040】
[B]1番目と2番目の指標像のY座標の差が略同じ場合:図9(a)、(b)に示すように指標像i20、i30の組み合わせと、指標像i40、i50の組み合わせの2通りがある。さらにこの2通りを次のように区別する。
I.1番目と2番目のX座標の差≦幅2bの場合:指標像i20、i30と判断できる。
II.1番目と2番目のX座標の差>幅2bの場合:指標像i40、i50と判断できる。
【0041】
[C]1番目と2番目の指標像のY座標の差が略aで、かつ1番目の指標像のみが基準位置(中心光軸)を中心にして所定の範囲内にある場合:図10(a)、(b)に示すように指標像i10、i40の組み合わせと、指標像i10、i50の組み合わせの2通りがあり、いずれも1番目のものが指標像i10として特定できる。
【0042】
[D]1番目と2番目の指標像のY座標の差が略aで、かつ2番目の指標像のみが基準位置(中心光軸)を中心にして所定の範囲内にある場合:図11(a)、(b)に示すように指標像i10、i20の組み合わせと、指標像i10、i30の組み合わせの2通りがあり、いずれも2番目のものが指標像i10として特定できる。
【0043】
[E]1番目と2番目の指標像のX座標の差が略同じではなく、かつ1番目と2番目の指標像のY座標の差が大きい(略2a)場合:図12(a)、(b)に示すように指標像i20、i50の組み合わせと、指標像i30、i40の組み合わせの2通りがある。
上記のように特定できる指標像のパターンとその位置関係に基づく測定部4の誘導方法について説明する。まず、上記[C],[D]のように、指標像i10が特定できたパターンのときは、これを基に測定部4を誘導する。
指標像i10が特定できないパターンのときは、2つの指標像から角膜中心のXY座標を割り出し、その座標位置に基づいて測定部4を誘導する。例えば、上記[A]のI.のように指標像i30、i50が特定できたときの角膜中心のY座標は、『(Y1+Y2)/2』で割り出せる。一方、X座標は、指標像i30を基準として考えればそのX座標であるX1 に幅bの座標分を加え、『X1 +b』で一応割り出せる。しかし、これは角膜の大きさの固体差の影響を受けて不正確になりやすい。各指標像の座標位置は角膜曲率の大きさ変化にほぼ比例して変化する。X座標についてはこの関係を利用し、幅bの座標分の代わりに、指標像i30、i50のY座標間隔にある定数αを乗算し、これを指標像i30のX座標であるX1 に加える(又は指標像i50のX座標であるX2 に加える)。すなわち、この場合のX座標は、『X1+(Y2−Y1)×α』とすることができる。このようにすると、ただ単に定数を加える場合に比べて、より精度の高い角膜中心位置の座標を割り出すことができる。なお、定数αの値は指標投影系と検出系の配置の関係から予め設定しておく。
同様に、[A]のII.のように指標像i20、i40が特定できたときの角膜中心のXY座標は、(X1−(Y2−Y1)×α,(Y1+Y2)/2)となる。
また、同様な考えに基づき、[B]のIの指標像i20、i30と特定できたときの角膜中心のXY座標は、((X1+X2)/2,Y1+(|X1−X2|)×β)となる。[B]のII.の指標像i40、i50と特定できたときの角膜中心のXY座標は、((X1+X2)/2,Y1−(|X1−X2|)×γ)となる。ここで、定数β、γの値も、指標投影系と検出系の配置の関係から予め設定しておく。
【0044】
[E]のように、指標像i20、i50の組み合わせと、指標像i30、i40の組み合わせが特定できたときの角膜中心のXY座標は、((X1+X2)/2,(Y1+Y2)/2)とすることができる。
【0045】
以上のようにして、検出できる指標像が2つであっても、指標像i10と判断できればそれに基づき、指標像i10が特定できないときは2つの指標像から求められる角膜中心位置に基づき測定部4を誘導するようにすれば、角膜中心に対して測定部4の中心軸を一致させるように測定部4が常に移動するようになる。これにより測定部4の誘導が安定する。
【0046】
<指標像が全5つ中3つのとき>
指標像が3つ以上検出されると、その位置関係により指標像i10〜i50のいずれのものか特定できるようになる。制御回路70は1番目の指標像のXY座標(X1,Y1)、2番目の指標像のXY座標(X2,Y2)、3番目の指標像のXY座標(X3,Y3)をそれぞれ得ることにより、次のように測定部4の移動を行う。
【0047】
[A]1番目と2番目の指標像のY座標の差が略2aの場合:図13(a)に示す2通りがある。この場合は、指標像i10が検出されていない状態であるが、制御回路70は角膜中心がXY座標((X2+X3)/2,(Y1+Y2)/2)にあるものとして、測定部4の移動を行う。
【0048】
[B]1番目と2番目の指標像のY座標の差が略aで、かつ2番目と3番目のY座標が略同じ場合:これは図13(b)に示すケ−スである。1番目のものが指標像i10として特定できるため、これを基に測定部4を移動させる。
【0049】
[C]1番目と2番目の指標像のY座標が略同じで、2番目と3番目の指標像のY座標の差が略2aの場合:図13(c)に示す2通りがある。図13(a)のときと同様、指標像i10が検出されていないが、角膜中心がXY座標((X1+X2)/2,(Y1+Y3)/2)にあるものとして測定部4の移動を行う。
【0050】
[D]2番目と3番目の指標像のY座標の差が略aで、かつ1番目と2番目のY座標が略同じ場合:これは図13(d)に示したケ−スである。3番目のものが指標像i10として特定できるため、これを基に測定部4の移動制御を行う。
【0051】
[E]上記A〜Eの条件を満たさない場合:図13(e)に示す4つケ−スがある。この場合、2番目のもの指標像が指標像i10として特定できるため、これを基に移動を行う。
【0052】
<指標像が全5つ中4つのとき>
制御回路70は各指標像をXY座標を得て、次のように測定部4の移動を行う。
【0053】
[A]1番目と2番目の指標像のY座標が略同じでない場合:図14(a)に示す2つのケ−スがある。2番目のものが指標像i10として特定できるため、これを基に移動を行う。
【0054】
[B]3番目と4番目の指標像のY座標が略同じでない場合:図14(b)に示す2つのケ−スがある。3番目のものが指標像i10として特定できるため、これを基に移動を行う。
【0055】
[C]上記A,B以外の条件の場合:図14(c)に示したケ−スである。これは指標像i10のみが検出されていないので、角膜頂点が4つの指標像の中点、例えば、((X1+X2)/2,(Y1+Y3)/2)にあるものとして、測定部4の移動を行う。
【0056】
<指標像が全5つ中5つのとき>
指標像が全て検出できており、指標像i10が特定できるので、これを基に測定部4の移動を行う。
【0057】
以上、検出された指標像の数と位置に基づいた測定部4の誘導方法(基本的に本出願人による特願平9−137527号に記載のものと同じ)ついて説明したが、どの場合においても指標像i10が検出されて特定できたときにはそれを基準に、指標像i10が検出及び特定できないときには他の指標像の座標を基に移動を行う。また、最終的なXY方向のアライメント状態の判定は、5つの指標像が全て検出されていなくても、検出及び特定できた指標像i10が所定の許容範囲にあればアライメントが完了したと判定できる。この時の指標像i10の位置検出はy座標の立ち上がり位置だけでなく、エッジ処理等により精密に輝点の中心を算出する。
以上のような検出処理プロセスを1画面分の画像信号ごとに繰り返すことにより、散乱光による輝点があっても指標像の輝点が特定できればアライメントを完了するように測定部4を移動する。指標像の輝点が特定でないときには、その前に得られた情報に基づいて測定部4を引き続き移動する。一定時間内に指標像の輝点が特定できずにアライメントを実行できない場合は、モニタ17の画面にその旨を表示して検者にジョイスティックによる操作をすすめてもよい。
測定部4の移動により、指標像i10が所定の許容範囲内に入ればXY方向のアライメントを完了する。Z方向のアライメントは一次元検出素子63からの信号に基づいてそのずれ量を得て、測定部4を移動する。XY方向及びZ方向のアライメントが共に完了したら、制御部70は測定開始信号を自動的に発して測定系80による測定を実行する。
上記の実施例ではCCDカメラ16からの画像信号を一旦画像処理回路内の画像メモリに記憶した後に輝点検出を行うものとしたが、CCDカメラ16からの画像信号から直接的に輝点を検出するようにしても良い。この場合の例を図15を使用して説明する(図15は、図3に示す制御系の構成図に対して異なる部分のみ示している)。
【0058】
CCDカメラ16からの画像信号には、一画面の先頭を示すV-sync信号(垂直同期信号)と、一走査線の先頭を示すH-sync信号(水平同期信号)が含まれている。同期信号分離回路201はこれをV-syncとH-syncを分離した後、画像処理回路202に入力する。また、CCDカメラ16からの画像信号はコンパレータ203に入力される。コンパレータ203は所定の閾値レベルの信号と比較することにより、所定の閾値レベル以上の信号を輝点検出信号として画像処理回路202に入力する。画像処理回路202にはサンプリングクロックを発生するクロック回路204が接続されており、画像処理回路202はサンプリングクロック信号、H-sync及びコンパレータ203からの輝点検出信号をカウントする機能を有している。
【0059】
サンプリングクロックのカウント数はH-syncが入力されるとクリアされ、H-syncと輝点検出信号のカウント数はV-syncが検出されるとクリアされる。この関係により、サンプリングクロックのカウント数は画像のx座標を、H-syncのカウント数は画像のy座標を表すことができる。また、サンプリングクロックのカウント数は一画像中で検出された輝点の数として表すことができる。但し、この場合の輝点の座標及び数は、輝点端(輝点エッジ)を表す。これらの輝点の情報は順次データメモリに記憶される。そして、先の実施例と同様に、記憶した輝点エッジ数が所定のストック容量に収まるか否か(STEP-6)、輝点エッジの分布が設定ライン数LNを超えたか否か(STEP-17)の判断が行われ、集中した輝点の情報が削除されて輝点位置の算出、指標像の特定が行われる。
このようにCCDカメラ16からの画像信号から直接的に輝点位置を検出するようにすると、その処理が迅速に行え、より精度の高いアライメント検出が行える。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、散乱光により角膜表面に多数の輝点が検出される場合であっても、その集中した部分での輝点検出を実行しないことにより、アライメント指標像の特定が容易になる。これによりアライメント状態の判断の間違いを抑えることができる。また、輝点情報をストックするメモリのエリアもより有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例である非接触式眼圧計の外観概略図である。
【図2】実施例である非接触式眼圧計の制御系の要部構成図である。
【図3】実施例である非接触式眼圧計の制御系の要部構成図である。
【図4】被検眼が適正な状態にアライメントされたときのTVモニタ上に表示される画面例を示した図である。
【図5】アライメント状態を判定するときの基礎とする5つの指標像の位置関係を示す図である。
【図6】装置の指標像検出プロセスのフローチャートを示す図である。
【図7】輝点群と区別して指標像を特定する方法を説明する図である。
【図8】指標像が2つ検出された場合に、いずれのものかを特定する第1の組み合わせを示す図である。
【図9】指標像が2つ検出された場合に、いずれのものかを特定する第2の組み合わせを示す図である。
【図10】指標像が2つ検出された場合に、いずれのものかを特定する第3の組み合わせを示す図である。
【図11】指標像が2つ検出された場合に、いずれのものかを特定する第4の組み合わせを示す図である。
【図12】指標像が2つ検出された場合に、いずれのものかを特定する第5の組み合わせを示す図である。
【図13】指標像が3つ検出された場合の指標像の位置関係を示す図である。
【図14】指標像が4つあるいは5つ検出された場合の指標像の位置関係を示す図である。
【図15】輝点検出の変容例を示す図である。
【符号の説明】
7 第2アライメント指標投影光学系
7a〜7d 光源
10 観察光学系
16 CCDカメラ
30 第1アライメント指標投影光学系
31 光源
70 制御回路
71 画像処理回路
74 X軸モータ
75 Y軸モータ
76 Z軸モータ
Claims (3)
- 被検眼を検査測定する測定部を備え、前記測定部を被検眼に対して所定の位置にアライメントする眼科装置において、被検眼の角膜に所定の配置関係を持つ複数のアライメント指標を投影する指標投影手段と、被検眼角膜に形成される所定の輝度レベル以上の輝点を検出する輝点検出手段と、前記指標投影手段により投影されるアライメント指標の配置情報及び検出された輝点情報に基づいて、検出された輝点について、室内照明光等の散乱光による輝点である疑似アライメント指標像とアライメント指標像とを区別し、アライメント情報として使用可能なアライメント指標像を特定するアライメント指標像特定手段と、該アライメント指標像特定手段により特定されたアライメント指標像の位置情報に基づいて、前記測定部を被検眼に対して移動するように指示する移動指示手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
- 請求項1の眼科装置において、前記アライメント指標像特定手段は、前記検知された輝点数が所定量を超えたか否かを判断する第1判断手段と、前記検出された輝点の分布が所定の枠内存在するかを判断する第2判断手段とを備え、前記第1判断手段により輝点数が所定量を超えかつ前記第2判断手段により輝点の分布が所定の枠内であると判断されたときに、被検眼の上下方向から順次数えてその所定量に達する位置までの輝点を疑似アライメント指標像とすることを特徴とする眼科装置。
- 請求項1の眼科装置において、前記アライメント指標像特定手段は、前記検出された輝点の位置情報を記憶する記憶手段と、該記憶された輝点位置情報が所定量を超えたか否かを判断する第1判断手段と、該判断手段により輝点位置情報が所定量を超えたと判断されたときにはさらに輝点の分布が所定の大きさの領域内にあるか否かを判断する第2判断手段と、該第2判断手段により輝点位置の分布が所定の大きさ内にあると判定されたときはその輝点位置の分布領域を擬似アライメント指標像領域と決定する擬似アライメント指標像領域決定手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
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