JP3762465B2 - 殺虫活性を有する13位エーテル置換ミルベマイシン誘導体 - Google Patents

殺虫活性を有する13位エーテル置換ミルベマイシン誘導体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、殺虫、殺ダニ又は駆虫活性を示す13位に置換基を有するミルベマイシン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミルベマイシン類およびアベルメクチン類は一連の16員マクロライド化合物であり、例えば特開昭50−29742号、同56−32481号、同54−61198号公報等に記載されている、公知の下記の式(II)で表される化合物である。
【0003】
【化2】
Figure 0003762465
【0004】
上記のミルベマイシン類およびアベルメクチン類は、いずれも殺虫、殺ダニまたは駆虫活性を有することが知られており、それらの13位に種々の置換基を導入した半合成ミルベマイシン類も上記生物活性を有することが報告されている。
13位にエーテル結合を有するミルベマイシン類は、特開昭61−178986号公報において、低級アルキル、フェニル又はベンジルエーテル類が、特開昭61−200993号公報において、低級アルコキシメチルエーテル類が、特開平2−174780号公報においては、置換又は無置換フェネチルエーテル類が、特開平3−20858号公報においては、低級アルキルエーテル類が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ダニ類、植物害虫類もしくは動物寄生虫に対して優れた殺ダニ、殺虫若しくは駆虫活性を有する新規なミルベマイシン化合物を開発することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、より強い生物活性を示す13位にエーテル結合を有するミルベマイシン類を探索した結果、新たに、以下に示されるような13−フェネチルエーテル類のうち、エチル基の2位に低級アルキル基が2個置換し、フェニル基上のアミノ基に種々アシル置換した誘導体に、強い殺虫活性を見い出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、一般式(I)
【0008】
【化3】
Figure 0003762465
【0009】
[式中、R1 はメチル基;エチル基;イソプロピル基;又はsec-ブチル基を示しR2 は、C1 −C3 アルキル基を示し、Yは、C2 −C3 アルカノイル基;C1 −C3 アルキルスルホニル基;C2 −C5 アルコキシカルボニル基;アミノC2 −C7 アルカノイル基(当該アミノ基は、下記置換基群Aから選ばれる同一又は異なった1又は2個の置換基により置換されていてもよい。また当該アルカノイル基はフェニル基又はC1 −C3 アルキルチオ基で置換されていてもよい。);窒素原子を環原子として1個含み、硫黄原子を含んでもよい飽和5又は6員複素環カルボニル基(当該窒素原子は、下記置換基群Aから選ばれる置換基により置換されていてもよい。また当該カルボニル基は、窒素原子以外に置換している。);5又は6員ラクタムカルボニル基(当該窒素原子は、下記置換基群Aから選ばれる置換基により置換されていてもよい。また当該カルボニル基は、窒素原子以外に置換している。);α−(C1 −C3 アルコキシイミノ)−α−(5又は6員芳香族複素環)−アセチル基{当該複素環基は、アミノ基(当該アミノ基は、下記置換基群Aから選ばれる同一又は異なった1又は2個の置換基で置換されてもよい)、ハロゲン原子若しくはC1 −C3 アルキル基から選択された1又は2個の置換基で置換されていてもよい}を示す。
【0010】
(置換基群A)
1 −C3 アルキル基;ホルミル基;C2 −C3 アルカノイル基;C2 −C4 ハロアルカノイル基;C7 −C19アラルキル基;C2 −C5 アルコキシカルボニル基;C3 −C5 ハロアルコキシカルボニル基;C7 −C11アリールカルボニル基;C8 −C10アラルキルオキシカルボニル基;C2 −C5 アルコキシカルボニルアミノC2 −C3 アルカノイル基;C2 −C5 アルコキシカルボニルアミノ(C7 −C11アリールカルボニル基]で表わされる13位置換ミルベマイシン誘導体に関するものである。
【0011】
以下に、詳細に説明する。
【0012】
前記一般式(I)において、R1 で挙げられた「アルキル基」のうち、好適には、メチル基又はエチル基であり、更に好適には、エチル基である。
【0013】
2 の定義における「C1 −C3 アルキル基」は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基であり、好適には、メチル基である。
【0014】
Y及び置換基群Aの定義における「C2 −C3 アルカノイル基」は、例えば、アセチル、プロピオニル基であり、好適にはアセチル基である。
【0015】
Yの定義における「C1 −C3 アルキルスルホニル基」は、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、プロパンスルホニル、イソプロピルスルホニル基であり、好適にはメタンスルホニル基である。
【0016】
Y及び置換基群Aの定義における「C2 −C5 アルコキシカルボニル基」は、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert- ブトキシカルボニル基であり、好適にはメトキシカルボニル基である。
【0017】
Yの定義における「アミノC2 −C7 アルカノイル基(当該アルカノイル基は、フェニル基又はC1 −C3 アルキルチオ基で置換されていてもよい)」とは、場合によってはフェニル基又はC1 −C3 アルキルチオ基で置換された「アミノC2 −C7 アルカノイル基」であり、「アミノC2 −C7 アルカノイル基」は、アミノ基が置換したC1 −C6 の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基にカルボニル基が結合してなる基であり、例えばアミノアセチル、2−アミノプロピオニル、3−アミノプロピオニル、2−アミノブチリル、3−アミノブチリル、4−アミノブチリル、3−アミノ−3−メチルプロピオニル、2−アミノ−2−メチルプロピオニル、2−アミノペンタノイル、3−アミノペンタノイル、4−アミノペンタノイル、5−アミノペンタノイル、2−アミノ−3−メチルブチリル、2−アミノ−2−メチルブチリル、1−アミノ−シクロブタン−1−カルボニル、2−アミノヘキサノイル、3−アミノヘキサノイル、4−アミノヘキサノイル、5−アミノヘキサノイル、2−アミノ−3−メチルペンタノイル、2−アミノ−4−メチルペンタノイル、2−アミノ−3,3−ジメチルブチリル、1−アミノシクロペンタン−1−カルボニル、2−アミノヘプタノイル、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボニル、α−アミノフェニルアセチル、2−アミノ−3−フェニルプロピオニル、2−アミノ−4−フェニルブチリル、2−アミノ−3−メチルチオプロピオニル、2−アミノ−3−エチルチオプロピオニル、2−アミノ−3−プロピルチオプロピオニル、2−アミノ−3−イソプロピルチオプロピオニル、2−アミノ−4−メチルチオブチリル、2−アミノ−4−エチルチオブチリル、2−アミノ−4−プロピルチオブチリル、2−アミノ−4−イソプロピルチオブチリル基であり、好適にはアミノアセチル、2−アミノプロピオニル、3−アミノプロピオニル、2−アミノ−2−メチルプロピオニル、2−アミノ−3−メチルブチリル、2−アミノ−3,3−ジメチルブチリル、2−アミノ−4−メチルペンタノイル、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボニル、α−アミノフェニルアセチル、2−アミノ−4−メチルチオブチリルであり、更に好適には、アミノアセチル、2−アミノプロピオニル、3−アミノプロピオニル、2−アミノ−2−メチルプロピオニル、2−アミノ−3−メチルブチリル、1−アミノシクロヘキシル−1−カルボニル基であり、特に好適には、アミノアセチル、2−アミノプロピオニル、3−アミノプロピオニル、2−アミノ−2−メチルプロピオニル基である。
【0018】
Yの定義における「窒素原子を1つ含み、硫黄原子を含んでもよい飽和5又は6員複素環カルボニル基」は、例えばピロリジンカルボニル、ピペリジンカルボニル、チアゾリジンカルボニル基であり、好適には、ピロリジンカルボニル基、チアゾリジンカルボニル基であり、更に好適には、ピロリジン−2−カルボニル基である。
【0019】
Yの定義における「5又は6員ラクタムカルボニル基」とは、例えば5員(γ−)ラクタム−5−カルボニル、6員(δ−)ラクタム−6−カルボニルであり、好適には、5員(γ−)ラクタム−5−カルボニルである。
【0020】
Yの定義における「α−(C1 −C3 アルコキシイミノ)−α−(5又は6員芳香族複素環)−アセチル基{当該複素環基は、アミノ基(当該アミノ基は、下記置換基群Aから選ばれる同一又は異なった1又は2個の置換基で置換されてもよい)、ハロゲン原子若しくはC1 −C3 アルキル基から選択された1又は2個の置換基で置換されていてもよい}」における、
「C1 −C3 アルコキシイミノ基」とは、例えば、メトキシイミノ、エトキシイミノ、プロポキシイミノ又はイソプロポキシイミノ基であり、好適には、メトキシイミノ基である。
【0021】
「5乃至6員芳香族複素環基」とは、例えば、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基のような窒素、酸素又は硫黄原子より選択された1又は2個の原子を環原子として有する5員又は6員芳香族複素環基であり、好適には、2−フリル基、2−チエニル基、4−チアゾリル基である。
【0022】
「ハロゲン原子」とは、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のような原子であり、好適には、塩素、臭素、フッ素原子である。
【0023】
「C1 −C3 アルキル基」とは、下記置換基群Aにおける「C1 −C3 アルキル基」と同じ基を示す。
【0024】
置換基群Aの定義における「C1 −C3 アルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基であり、好適には、メチル基である。
【0025】
置換基群Aの定義における「C2 −C4 ハロアルカノイル基」は、前記した「C2 −C4 アルカノイル基」に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のようなハロゲン原子が1ないし3個置換した基であり、好適には、クロロアセチル基である。
【0026】
置換基群Aの定義における「C7 −C19アラルキル基」は、例えば、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル基であり、好適にはトリフェニルメチル基である。
【0027】
置換基群Aの定義における「C2 −C5 ハロアルコキシカルボニル基」は、前記した「C2 −C5 アルコキシカルボニル基」に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、のようなハロゲン原子が1ないし3個置換した基であり、好適には、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基である。
【0028】
置換基群Aの定義における「C7 −C11アリールカルボニル基」は、ベンゾイル、ナフトイル基であり、好適には、ベンゾイル基である。
【0029】
置換基群Aの定義における「C8 −C10アラルキルオキシカルボニル基」は、例えばベンジルオキシカルボニル、フェニルエトキシカルボニル、フェニルプロピルオキシカルボニル基であり、好適には、ベンジルオキシカルボニル基である。
【0030】
置換基群Aの定義における「C2 −C5 アルコキシカルボニルアミノC2 −C3 アルカノイル基」は、前記したC2 −C5 アルコキシカルボニル基にアミノ基が付加した基が、前記したC2 −C3 アルカノイル基についた基であり、好適には、メトキシカルボニルアミノアセチルである。
【0031】
置換基群Aの定義における「C2 −C5 アルコキシカルボニルアミノアリールカルボニル基」は、前記したC1 −C4 アルコキシカルボニル基にアミノ基が付加した基が、前記したアリールカルボニル基についた基であり、好適には、4−(メトキシカルボニルアミノ)ベンゾイル基である。
【0032】
以下に好適な化合物を挙げる。
【0033】
好適には、
(1)R2 がC1 −C2 アルキル基である化合物、
(2)Yが、C2 −C3 アルカノイル基;C1 −C3 アルキルスルホニル基;C2 −C3 アルコキシカルボニル基;アミノC2 −C6 アルカノイル基(当該アミノ基は、下記置換基群A1 から選ばれる同一又は異なった1又は2個の置換基により置換されていている。また当該アルカノイル基は、フェニル基又はC1 −C2 アルキルチオ基で置換されていてもよい。また当該アルカノイル基はフェニル基又はC1 −C3 アルキルチオ基で置換されていてもよい。);窒素原子を環原子として1個含む飽和5又は6員複素環カルボニル基(当該窒素原子は、下記置換基群A1 から選ばれる置換基により置換されていてもよい。また当該カルボニル基は、窒素原子以外に置換している。);5員(γ−)ラクタムカルボニル基(当該窒素原子は、下記置換基群A1 から選ばれる1個の置換基により置換されていてもよい。また当該カルボニル基は、5位に置換している。);α−(C1 −C2 アルコキシイミノ)−α−(5員芳香族複素環)−アセチル基{当該複素環基は、アミノ基(当該アミノ基は、下記置換基群Aから選ばれる同一又は異なった1又は2個の置換基で置換されてもよい)、ハロゲン原子若しくはC1 −C3 アルキル基から選択された1又は2個の置換基で置換されていてもよい}
(置換基群A1
1 −C3 アルキル基;ホルミル基;C2 −C3 アルカノイル基;C2 −C3 ハロアルカノイル基;C2 −C5 アルコキシカルボニル基;C7 −C11アリールカルボニル基;C2 −C5 アルコキシカルボニルアミノC2 −C3 アルカノイル基。
【0034】
更に好適には、
(3)R1 はメチル、エチル基である化合物、
(4)Yが、C2 −C3 アルカノイル基;C1 −C3 アルキルスルホニル基;アミノC2 −C5 アルカノイル基(当該アミノ基は、下記置換基群A2 から選ばれる1又は2個の置換基により置換されている。当該アルカノイル基は、メチルチオ基で置換されていてもよい。);窒素原子を1個含む飽和5又は6員複素環カルボニル基(当該窒素原子は、下記置換基群A2 から選ばれる1個の置換基により置換されている。)である化合物、
(置換基群A2
1 −C2 アルキル基;C2 −C3 アルカノイル基;C2 −C5 アルコキシカルボニル基;C7 −C11アリールカルボニル基。
【0035】
特に好適には、
(5)R1 がエチル基である化合物、
(6)R2 がメチル基である化合物、
(7)Yが、C2 −C5 アルコキシカルボニルアミノC2 −C3 アルカノイル基又は1−(C2 −C5 アルコキシカルボニル)−ピロリジン−2−カルボニル基である化合物、
最適には、
(8)13−[2−{4−(メトキシカルボニルアミノアセチルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA4
(9)13−[2−{4−(アセチルアミノアセチルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA4
(10)13−[2−{4−(2−メトキシカルボニルアミノ−2−メチルプロピオニルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA4
(11)13−[2−{4−(1−メトキシカルボニルピロリジン−2−イル−カルボニルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA4
次に、本発明の化合物の具体例を表1に示すが、表中、R1 、R2 及びYは、一般式(I)に示されたものと同意義を示す。
【0036】
【化4】
Figure 0003762465
【0037】
下記表において、略号は、以下の基又は符号を示す。
【0038】
Ac・・・・・・アセチル Bn・・・・・・・ベンジル
Bu・・・・・・ブチル Et・・・・・・・エチル
Hex・・・・・ヘキシル Lac・・・・・・ラクタム
Me・・・・・・メチル
Pen・・・・・ペンチル Ph・・・・・・・フェニル
Pip・・・・・ピペリジニル Pr・・・・・・・プロピル
Pyr・・・・・ピロリジニル Thd・・・・・・チアゾリジニル
Thi・・・・・チエニル Thl・・・・・・チアゾリル
i−・・・・・・イソ c−・・・・・・・シクロ
s−・・・・・・セカンダリー
【0039】
【表1】
Figure 0003762465
Figure 0003762465
Figure 0003762465
上記化合物のうち、好適には、化合物番号1、10、18、20、25、26、31、32、34、35、36、37、38、41、45、46、47、54、56、59、62、63、66、68、70、74及び75の化合物であり得、更に好適には、化合物番号10、25、26、34、35、36、37、45、46、54、59、66又は68の化合物であり得、特に好適には、化合物番号25、26、34、35、46、54、59又は68の化合物である。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明の式(I)に示す化合物は、次の工程図に示す方法により製造することができる。
【0041】
【化5】
Figure 0003762465
【0042】
【化6】
Figure 0003762465
【0043】
本製造法の出発物質である式(III)で表される15−ヒドロキシミルベマイシン誘導体は、特開平6−220068号公報に記載の公知化合物である。
【0044】
又、本製造法のもう一つの出発物質である一般式(VII )で表される化合物は、[4−NO264 −C(R22 −CH2 −OH](VII )
(式中、R2 は前記したものと同意義を有する。)
既知の方法を組み合わせ、市販試薬を出発物質として利用することにより得られる。すなわち、市販の4−ニトロフェニル酢酸エステルの、塩基−アルキルハライドによるα位のアルキル化により得られたα−(4−ニトロフェニル)−α,α−アルキル酢酸エステルをリチウムアルミニウムヒドリドで還元し得られる。
【0045】
工程Aは、一般式(IV)で表される化合物の製造法であり、一般式(III)で表される化合物に、強力な有機酸であるトリフルオロメタンスルホン酸の存在下、一般式(VII)で表わされるアルコールを作用させることにより、行なわれる。
【0046】
使用されるトリフルオロメタンスルホン酸の量は、原則として触媒量であって、1当量は必要としないが、使用されるアルコール(VII)の反応性の違いにより大幅に変わりうる。
【0047】
また、反応系中に、無機化合物の粉末を添加すると、反応を促進し、良好な結果をあたえる場合がある。そのような無機化合物としては、トリフルオロメタンスルホン酸銅、沃化第一銅、沃化亜鉛、沃化コバルト、沃化ニッケルのような金属塩、セライト、シリカゲル、アルミナ等を挙げることができ、好適には、トリフルオロメタンスルホン酸銅、沃化第一銅のような銅塩であり、最も好適には、沃化第一銅である。
【0048】
反応に使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、アルコール(VII)自体を溶媒と兼ねて用いることもできる。好適には、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類及びアセトニトリルのようなニトリル類などを挙げることができる。
【0049】
反応温度は−10℃乃至100℃で行なわれ、好適には、0℃乃至50℃である。
【0050】
反応時間は、主に反応温度、原料化合物又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常5分間乃至6時間であり、好適には10分乃至2時間である。
【0051】
工程Bは、一般式(IV)で表わされる化合物を還元剤と反応させ、5位のカルボニル基を水酸基に還元し、一般式(V)で表わされる化合物を製造する工程である。
【0052】
還元に使用される試剤として、カルボニル基を還元できて、化合物(IV)の他の官能基に影響を与えないものであれば特に限定せずに使用しうる。そのような還元剤として、ナトリウムボロヒドリドやジボランのような水素陰イオンによる還元剤をあげることができるが、好適にはナトリウムボロヒドリドである。
【0053】
反応溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に限定なく使用しうるが、還元剤としてナトリウムボロヒドリドを使用した場合は、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールの使用が特に好適である。
【0054】
反応は通常、0℃乃至50℃で行なわれ、反応時間は5分乃至2時間である。工程Cは、一般式(V)で表される化合物のニトロ基を還元して、アミノ基を有する一般式(VI)で表される化合物を製造する工程である。
【0055】
ニトロ基の還元は、通常使用される方法が使用できる。そのような例のひとつとして貴金属触媒を使用した接触還元をあげることができる。反応に使用する触媒に好適なものとしてパラジウム−炭素、パラジウム−硫酸バリウム、酸化白金等をあげることができる。
【0056】
反応に使用する溶媒に好適なものとしては、例えばメタノール、エタノールのようなアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類;または酢酸エチルのようなエステル類をあげることができる。
【0057】
反応温度は好適には10℃乃至80℃であり、反応時間は通常10分間乃至5時間程度である。
【0058】
もうひとつの好適な還元方法として、酢酸溶媒下の亜鉛末による還元を挙げることができる。
【0059】
反応温度は好適には0℃乃至室温であり、反応時間は通常30分乃至12時間程度である。
【0060】
工程Dは、一般式(VI)で表される化合物のアミノ基と、式:Y−OH(Yは、前記したものと同意義を示す)で表される酸もしくはその反応性誘導体とを反応させることにより、本発明の一般式(I)で表される化合物を製造する工程である。
【0061】
式:Y−OHで表される酸の反応性誘導体としては、例えば酸ハライド(酸クロリド、酸ブロミド等)、酸無水物、混合酸無水物、活性エステル、活性アミドなど、縮合反応に通常用いられるものがあげられる。
【0062】
式:Y−OHで表される酸を用いる場合は、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、よう化2−クロロ−1−メチルピリジニウム、p−トルエンスルホン酸、硫酸等の脱水剤が使用され、好適には、よう化2−クロロ−1−メチルピリジニウムである。その使用量は、式:Y−OHで表される酸に対して、通常1〜5当量、好適には1〜2当量である。
【0063】
使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンのような炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、テトラヒドロプランのようなエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類及びアセトニトリルのようなニトリル類並びにこれらの溶媒の混合物等であり、更に好適には、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンである。
【0064】
反応温度は、通常、−70〜90℃であるが、好適には0〜60℃である。反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬又は使用される溶媒の種類によって異なるが、通常、15分〜一昼夜であり、好適には30分乃至6時間である。
【0065】
式:Y−OHで表される酸の酸ハライドを用いる場合は、反応は好適には塩基の存在下で行われ、好適な塩基としては、たとえば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5(DBN)または1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)のような有機塩基が挙げられる。
【0066】
式:Y−OHで表される酸の酸ハライドは、通常1〜10当量、そして塩基は、通常2〜8当量使用される。
【0067】
反応に使用される溶媒、反応温度、反応時間等は、カルボン酸自体を使用するときと、それぞれ同様である。
【0068】
反応は通常、0℃乃至50℃で行なわれ、反応時間は5分乃至2時間である。
各工程の反応終了後、それぞれの目的物である式(IV)、(V)、(VI)及び(I)の化合物は、周知の方法で反応混合物より単離され、必要に応じカラムクロマトグラフィー等の公知の手段によって精製される。
【0069】
式(III)の化合物の出発原料である天然物のミルベマイシン類およびその類縁化合物は醗酵生産物であって、単一化合物もしくはそれらの混合物のいずれでもありえる。従って、式(I)の化合物も単一化合物もしくは混合物として製造されうる。
【0070】
本発明化合物を動物および人における駆虫剤として使用する場合は、液体飲料として経口的に投与することができる。飲料は普通ベントナイトのような懸濁剤および湿潤剤またはその他の賦形剤と共に適当な非毒性の溶剤または水での溶液、懸濁液または分散液である。一般に飲料はまた消泡剤を含有する。飲料処方は一般に活性化合物を約0.01〜0.5重量%、好適には0.01〜0.1重量%を含有する。
【0071】
乾燥した固体の単位使用形態で経口投与することが望ましい場合は、普通所望量の活性化合物を含有するカプセル、丸薬または錠剤を使用する。これらの使用形態は、活性成分を適当な細かく粉砕された希釈剤、充填剤、崩壊剤および/または結合剤、例えばデンプン、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム、植物性ゴムなどと均質に混和することによって製造される。このような単位使用処方は、治療される宿主動物の種類、感染の程度および寄生虫の種類および宿主の体重によって駆虫剤の重量および含量に関して広く変化させることができる。
【0072】
動物飼料によって投与する場合は、それを飼料に均質に分散させるか、トップドレッシングとして使用されるかまたはペレットの形態として使用される。普通望ましい抗寄生虫効果を達成するためには、最終飼料中に活性化合物を0.0001〜0.02%を含有している。
【0073】
また、液体担体賦形剤に溶解または分散させたものは、前胃内、筋肉内、気管内または皮下に注射によって非経口的に動物に投与することができる。非経口投与のために、活性化合物は好適には落花生油、棉実油のような適当な植物油と混合する。このような処方は、一般に活性化合物を0.05〜50重量%含有する。
【0074】
また、ジメチルスルホキシドまたは炭化水素溶剤のような適当な担体と混合することによって局所的に投与し得る。この製剤はスプレーまたは直接的注加によって動物の外部表面に直接適用される。
【0075】
最善の結果を得るための活性化合物の最適使用量は、治療される動物の種類および寄生虫感染の型および程度によってきまるが、一般に動物体重1kg当り約0.01〜100mg、好適には0.5〜50.0mgを経口投与することによって得られる。このような使用量は一度にまたは分割した使用量で1〜5日のような比較的短期間にわたって与えられる。
【0076】
本発明の化合物を農業又は園芸用に使用する場合には、種々の製剤として使用される。例えば、粉剤、粗粉剤、水溶剤、微粒剤、水和剤、粒剤、ドライフロアブル、錠剤、乳液、乳剤、水性若しくは油性懸濁剤、水性若しくは油性液剤(懸濁剤、液剤は直接噴霧され、希釈もできる。)、エアゾール又は高分子物質中のカプセルをあげることができる。使用される担体は有機若しくは無機の天然物又は合成物でありえ、活性化合物を作用点に到達させることの補助のため、及び活性化合物の貯蔵、輸送、取扱いの便をよくするため等に使用される。又、担体に関する周知の技術に従って、固体、液体及び気体の担体が選択される。
【0077】
上記製剤は常法に従って製造される。例えば、活性化合物を担体、希釈剤(溶剤等)又は必要に応じて界面活性剤とよく混合し、必要に応じて粉砕・造粒・打錠・被覆・吸収等の工程を経て製剤化される。
【0078】
粉剤、粗粉剤、水溶剤、微粒剤、水和剤、粉剤、ドライフロアブル、錠剤等の固形剤を調製するための担体としては、カオリナイト及びパイロフィライト系クレー、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト・酸性白土等のモンモリロナイト系クレー、アタパルジャイト、セピオライト、珪藻土、軽石、珪砂等の天然鉱物の粉末またはそれらの粒状物、含水または無水の合成無晶形二酸化珪素、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機化合物の微粉、砂糖、乳糖、グルコース等の糖類、でんぷん、デキストリン、微結晶セルロース、木粉、コーヒー豆の粉末、籾殻粉末、小麦粉、タブ粉等の有機物、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の無機塩類、尿素等を挙げることが出来る。
【0079】
好適な溶剤としては以下のものが挙げられる;キシレン、メチルナフタレン、アルキルベンゼン、フェニルキシリルエタン等の芳香族高沸点溶剤、パラフィン系及びナフテン系高沸点溶剤、オレイン酸、アジピン酸、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、マレイン酸、フタール酸等種々のカルボン酸のエステル類、種々のリン酸エステル類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、N−アルキルピロリドン類、ジメチルスルホキサイドのような極性溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール等のグリコール類並びにそれらのポリマー、及びこれら種々のグリコールのエーテルまたはエステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ラウリルアルコール等のアルコール類及びこれらアルコールの種々のエステル並びにエーテル類、エポキシ化されてもよいヤシ油、大豆油のような植物油;または水。
【0080】
界面活性剤は良好な乳化、分散、湿潤性を有する製剤を得るために用い、通常の農薬製剤に用いるノニオン、アニオン、カチオン、両性イオン性の界面活性剤を用いることができる。
【0081】
を用いることができる。
【0082】
好適なノニオン活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアリールアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、砂糖の脂肪酸エステル、グリセリン及びペンタエリスリットの脂肪酸エステル、プルロニックタイプの界面活性剤、アセチレンアルコール並びにアセチレンジオール及びこれらにエチレンオキサイドを付加した界面活性剤、シリコン系界面活性剤、アルキルグルコサイド等を挙げることができる。
【0083】
好適なアニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アルキルサルフェートの塩、アルキルメチルタウライドの塩、上記のエチレンオキサイドを付加したノニオン界面活性剤を硫酸またはリン酸でエステル化し、必要によってはこれを適当なアルカリで中和したアニオン界面活性剤、リグニンスルホン酸塩、(アルキル)ナフタレンスルホン酸及びその縮合物の塩、フェノールスルホン酸及びその縮合物の塩、アクリル酸・マレイン酸・スチレンスルホン酸・及びビニル基等の縮合物の塩よりなる種々のポリカルボン酸型及びポリスルホン酸型ポリソープ、1−(2−オクテノイル)−ソヂウムサクシネートを付加したでんぷんまたはデキストリンのようなでんぷん系の界面活性剤、カルボキシメチルセルロースの塩、高級脂肪酸のナトリウム、カリウム塩のような石鹸類、α−オレフィンスルホン酸塩等を挙げることができる。
【0084】
好適なカチオン界面活性剤としては、アミン塩型、第4級アンモニウム塩型、高級脂肪族アミン及び脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
【0085】
好適な両性イオン性界面活性剤としては、アミノ酸型或いはベタイン型の界面活性剤、レシチン等を挙げることができる。
【0086】
これら各種の界面活性剤の水素原子の1部または全部をフッソ原子で置換した界面活性剤もまた、表面張力を低下させる作用が強く、有効に使用し得る。
【0087】
これらの界面活性剤は、用途に応じて、単独で或いは混合して用いられる。
【0088】
又、組成物は安定剤、消泡剤、粘度調節剤、結合剤、粘着剤又はそれらの混合物を含むことができ、さらに特別の効果を達成するために、受精促進剤、その他活性物質を含むこともある。
【0089】
殺虫殺ダニ組成物は一般に以下の成分を含む(但し、%し重量で表わす。):活性化合物0.01〜99%、好適には0.1〜95%;固体又は液体添加物1〜99.99%;界面活性剤0〜25%、好適には0.1〜25%、販売品が濃縮された形である場合には、一般に使用する前に、有効成分濃度が0.001〜0.0001重量%(1〜10ppm)に希釈される。
【0090】
本発明の化合物は、それらの商業上、有用な製剤及び、それらの製剤によって調製された使用形態で、他の活性化合物、例えば、殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺センチュウ剤、殺カビ剤、生長調整剤又は除草剤との混合剤として、存在することもできる。ここで、上記殺虫剤としては、例えば、有機リン剤、カーバメート剤、カーボキシレート系薬剤、クロル化炭化水素系薬剤、微生物より生産される殺虫性物質などを挙げることができる。
【0091】
更に、本発明の化合物は、共力剤との混合剤としても、存在することができ、斯る製剤及び、使用形態は、商業上有用なものを挙げることができる。該共力剤は、それ自体、活性である必要はなく、活性化合物の作用を増幅する化合物である。
【0092】
【実施例】
次に、本発明を、実施例により具体的に説明する。
【0093】
【実施例1】
(工程A)13−[2−(4−ニトロフェニル)−2−メチルプロポキシ]−5−ケトミルベマイシン A 4 IV :R 1 =Et、R 2 =Me)
15−ヒドロキシ−5−ケトミルベマイシンA4 (54mg、0.097mmol)と2−(4−ニトロフェニル)−2−メチルプロパノール(38mg、0.194mmol)及びヨウ化銅(I )(37mg)のジクロロメタン溶液(2ml)に、アルゴン気流下、氷冷下でトリフルオロメタンスルホン酸(8.6μl)を加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を5%重そう水と飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、35.6mg(50%)の目的物を得た。
【0094】
核磁気共鳴スペクトル(200MHz) δ(CDCl3) : 8.14(d, 2H, J=8.9Hz), 7.51(d, 2H, J=8.9Hz), 6.54(t, 1H, J=1.9Hz), 5.64〜5.86(m, 2H), 5.22 〜5.48(m, 2H), 5.16(t, 1H, J=3.0Hz), 4.72(br.s, 2H), 3.45 (s, 1H), 3.84(s, 1H), 3.48〜3.67(m, 2H), 3.31(d, 1H, J=9.0Hz), 3.12(d, 2H, J=9.0Hz), 2.98 〜3.09(m, 1H), 1.87(s, 6H).
【0095】
【実施例2】
(工程B)13−[2−(4−ニトロフェニル)−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA 4 (V:R 1 =Et、R 2 =Me)
13−[2−(4−ニトロフェニル)−2−メチルプロポキシ]−5−ケトミルベマイシンA4 (582mg、0.793mmol)のメタノール溶液(5ml)に、氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム(45mg)を加え、0℃で30分間撹拌した。反応終了後、反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水と飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、466mg(80%)の目的物を得た。
【0096】
核磁気共鳴スペクトル(200MHz)δ(CDCl3) : 8.15(d,2H,J=8.9Hz), 7.51(d, 2H, J=8.9Hz), 5.65〜5.79(m, 2H), 5.20 〜5.41(m, 3H), 4.28(t, 1H, J=6.0Hz), 3.99(s, 1H), 3.95(d, 1H, J=6.0Hz), 3.32(d, 1H,J=8.9Hz),
質量スペクトル(m/z ):735(M+), 717, 700, 607, 572, 554.
【0097】
【実施例3】
(工程C)13−[2−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA 4 VI :R 1 =Et、R 2 =Me)
13−[2−(4−ニトロフェニル)−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA4 (25mg、0.034mmol)の酢酸溶液(1ml)に、室温で亜鉛末(11mg)を加え、2時間撹拌した。反応終了後、反応液に酢酸エチルを加え、不溶物をろ別した。ろ液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を4%重曹水と飽和食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、14.2mg(59%)の目的物を得た。
【0098】
核磁気共鳴スペクトル(200MHz)δ(CDCl3)ppm : 7.14(d, 2H, J=8.5Hz), 6.63(d, 2H, J=8.6Hz), 5.66 〜5.80(m, 2H), 5.23 〜5.40(m, 3H), 5.10(t, 1H, J=7.7Hz), 4.29(d, 1H,J=6.1Hz), 3.95(d, 1H, J=6.1Hz), 3.22(d, 1H, J=8.9Hz).質量スペクトル(m/z ):705(M+), 687, 540, 279.
【0099】
【実施例4】
(工程D)
13−[2−{4−(メトキシカルボニルアミノアセチルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA 4 I: 1 =Et,R 2 =Me,Y=COCH 2 NHCOOMe)(化合物番号26)
N−メトキシカルボニルグリシン(2.0g,15.0mmol)の塩化メチレン溶液(20ml)に、13−[2−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA4 (3.53g、5.0mmol),トリエチルアミン(1.12g,10.0mmol)及びヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム(2.56g,10.0mmol)を順次加え、その後室温で、1.5時間撹拌した。反応終了後、反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を4%重曹水と飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1.03g(25%)の目的物を得た。
【0100】
質量スペクトル (FAB-MS) : 970(M+ +トリエタノールアミン+H)
核磁気共鳴スペクトル(270MHz)δ(CDCl3)ppm:8.12(br.s, 1H), 7.43(d, 2H, J=8.5Hz), 7.30(d, 2H, J=8.5Hz), 5.65〜5.80(m, 2H), 5.57(br.s, 1H), 5.24 〜5.41(m, 3H), 5.13(t, 1H, J=8.0Hz), 4.64 and 4.70(ABq, 2H, J=15.5Hz), 4.29(t, 1H, J=6.1Hz), 4.05(s, 1H), 4,00(d, 1H, J=5.7Hz), 3.95(d, 1H, J=6.1Hz), 3.73(s, 3H).
以下、実施例5〜11の化合物は実施例4と同様の方法により得られた。
【0101】
【実施例5】
13−[2−{4−(アセチルアミノアセチルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA 4 (化合物番号46)(収率65%)
質量スペクトル(FAB-MS): 954(M+ +トリエタノールアミン+H)
核磁気共鳴スペクトル(200MHz)δ(CDCl3)ppm:8.55(br.s, 1H), 7.44(d, 2H, J=8.7Hz), 7.30(d, 2H, J=8.7Hz), 6.70(br.s, 1H), 5.67〜5.80(m, 2H), 5.25 〜5.41(m, 3H), 5.12(t, 1H, J=7.4Hz), 4.67(br.s, 2H), 4.29(t, 1H, J=6.2Hz), 4.10(d, 2H, J=4.9Hz), 4.05(br.s, 1H), 3.95(d, 1H, J=6.2Hz).
【0102】
【実施例6】
13−[2−(4−アセチルアミノフェニル)−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA 4 (化合物番号1)(収率24%)
質量スペクトル(FAB-MS): 897(C44H61N9+トリエタノールアミン+H+
核磁気共鳴スペクトル(200MHz)δ(CDCl3)ppm: 7.40(d, 2H, J=9.0Hz), 7.28(d, 2H, J=9.0Hz), 5.74(m, 2H), 5.25〜5.39(m, 3H), 5.12(t, 1H,J=7.3Hz), 4.66(br.s, 2H), 4.28(t, 1H, J=7.8Hz), 4.02(s,1H), 3.94(d, 1H, J=6.2Hz),3.52(m,1H), 3.26(m,2H), 3.01.〜3.13(m,3H).
【0103】
【実施例7】
13−[2−(4−メタンスルホニルアミノフェニル)−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA 4 (化合物番号10)(収率20%)
質量スペクトル(FAB-MS): 983(C43H61N10 S+トリエタノールアミン+H+ )核磁気共鳴スペクトル(200MHz)δ(CDCl3)ppm: 7.33(d, 2H, J=9.0Hz), 7.14(d, 2H, J=9.0Hz), 6.68(br,1H), 5.64〜5.80(m, 2H),5.25〜5.40(m, 3H), 5.13(m, 1H), 4.66(br.s, 2H), 4.30(m, 1H), 4.01(s,1H), 3.93(d, 1H, J=6.2Hz),3.55(m,1H), 3.25(m,2H), 3.00〜3.15(m,3H), 2.97(s,3H).
【0104】
【実施例8】
13−[2−(4−メトキシカルボニルアミノフェニル)−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA 4 (化合物番号20)(収率55%)
質量スペクトル(FAB-MS): 913(C44H61NO10+トリエタノールアミン+H+
核磁気共鳴スペクトル(200MHz)δ(CDCl3)ppm: 7.28(s, 4H), 6.61(br,1H), 5.64 〜5.75(m, 2H), 5.24 〜5.40(m, 3H), 5.11(m, 1H), 4.67(br.s, 2H), 4.25〜4.31(m, 1H), 4.01(s,1H), 3.94(d, 1H, J=6.2Hz), 3.76(s,3H), 3.55(m,1H), 3.22 〜3.27(m,2H), 2.99〜3.13(m,5H).
【0105】
【実施例9】
13−[2−{4−(N−メトキシカルボニル−N−メチルアミノアセチルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA 4 (化合物番号35)(収率51%)
質量スペクトル(FAB-MS): 984(C47H60NO11+トリエタノールアミン+H+
核磁気共鳴スペクトル(200MHz)δ(CDCl3)ppm:8.10(br.s, 1H), 7.42(d,2H,J=8.7Hz), 7.29(d,2H,J=8.7Hz), 5.64〜5.75(m, 2H), 5.23 〜5.39(m, 3H), 5.12(t,1H,J=7.7Hz), 4.66(br.s, 2H), 4.29(t, 1H,J=6.5Hz), 4.02(s,3H), 3.93(d, 1H, J=6.5Hz), 3.75(s,3H), 3.52(m,1H), 3.24(m,2H), 2.99〜3.13(m,5H).
【0106】
【実施例10】
13−[2−{4−(2−メトキシカルボニルアミノ−2−メチルプロピオニルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA 4 (化合物番号54)(収率45%)
質量スペクトル(FAB-MS): 998(C48H68N2O11 +トリエタノールアミン+H+ )核磁気共鳴スペクトル(200MHz)δ(CDCl3)ppm:8.50(br.s, 1H), 7.46(d,2H,J=8.8Hz), 7.30(d,2H,J=8.8Hz), 5.70〜5.80(m, 2H), 5.25 〜5.45(m, 3H), 5.10 〜5.25(m,2H), 4.67(br.s, 2H), 4.29(d,1H,J=4.4Hz), 3.94(d,1H,J=6.2Hz), 3.70(s,3H),
【0107】
【実施例11】
13−[2−{4−(1−メトキシカルボニルピロリジン−2−イル−カルボニルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA 4 (化合物番号68)(収率53%)
質量スペクトル(FAB-MS):1010(C49H68N2O11 +トリエタノールアミン+H+ )核磁気共鳴スペクトル(200MHz)δ(CDCl3)ppm:9.10(br.s, 1H), 7.44(d,2H,J=8.5Hz), 7.28(d,2H,J=8.5Hz), 5.70〜5.80(m, 2H), 5.25 〜5.40(m,4H), 5.10(m,1H), 4.67(s,2H), 4.47(1m,1H), 4.30(d,1H,J=7.7Hz), 3.97(d,1H,J=6.2Hz), 3.77(s,3H)
本発明の化合物を農園芸用薬剤として使用する場合は、たとえば、以下に示す製剤例のように調製して使用することができる。
【0108】
【製剤例1】(水和剤)
化合物番号26番の化合物10%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5%、リグニンスルホン酸ナトリウム2.5%及び珪藻土85%をよく粉砕混合して水和剤を得る。
【0109】
【製剤例2】(乳剤)
化合物番号26番の化合物5%、乳化剤ソルポールSM100(東邦化学株式会社製)10%及びキシレン85%をよく混合して乳剤を得る。
【0110】
【製剤例3】(粒剤)
化合物番号46番の化合物3%、合成無晶形二酸化珪素1%、リグニンスルホン酸ナトリウム5%及びクレー91%をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して粒剤を得る。
【0111】
【製剤例4】(乳剤)
化合物番号46番の化合物2.5%及びBHT(酸化防止剤)1.0%をシクロヘキサノン26.5%に溶解する。次いで、シルガード309(ダウコーニングシリコン社製、シリコン系界面活性剤)50.0%、エキセパールMC(花王(株)製、ヤシ脂肪酸のメチルエステル)20.0%を加え、混合溶解して乳剤を得る。
【0112】
次に、生物試験例をあげて、具体的にその効果を示す。
【0113】
なお、以下の表2、表3及び表4の比較化合物1及び2は、特開平2−174780号公報中の実施例に記載の化合物であり、次に示す構造を有する化合物である。
【0114】
【化7】
Figure 0003762465
【0115】
【試験例1】
コナガに対する殺虫試験
上記製剤例2の方法に従って調製し、有効成分化合物を1%含有する乳剤を、有効成分濃度が1ppmの濃度になるよう、水で希釈した。その薬液にキャベツ葉を10秒間浸漬し、風乾後、直径8cmのポリエチレンカップに入れた。その中にコナガ3齢幼虫を10頭入れ、蓋をした。その後25℃の恒温室におき、3日後に死亡率(苦悶虫を含む)を調査した。試験は2連制で行った。結果を表2に示す。
【0116】
【表2】
Figure 0003762465
【0117】
【試験例2】
ハスモンヨトウに対する殺虫試験
上記製剤例2の方法に従って調製し、有効成分化合物を1%含有する乳剤を、有効成分濃度が10ppmとなるよう、水で希釈した。その薬液に人工飼料(インセクタL)5gを20秒間浸漬し、風乾後、直径8cmのポリエチレンカップに入れた。その中にハスモンヨトウ3齢幼虫を10頭入れ、蓋をした。その後25℃の恒温室におき、3日後に死亡率(苦悶虫を含む)を調査した。試験は2連制で行った。結果を表3に示す。
【0118】
【表3】
Figure 0003762465
【0119】
【試験例3】
チャノコカクモンハマキに対する殺虫試験
上記製剤例2の方法に従って調製し、有効成分化合物を1%含有する乳剤を、有効成分濃度が10ppmとなるよう、水で希釈した。その薬液に人工飼料(インセクタL)5gを20秒間浸漬し、風乾後、直径8cmのポリエチレンカップに入れた。その中にチャノコカクモンハマキ4齢幼虫を10頭入れ、蓋をした。その後25℃の恒温室におき、3日後に死亡率(苦悶虫を含む)を調査した。試験は2連制で行った。結果を表4に示す。
【0120】
【表4】
Figure 0003762465
【0121】
【発明の効果】
前記一般式(I)で表される本発明の新規13−置換ミルベマイシン誘導体は殺ダニ、殺虫又は駆虫活性を有し、ダニ類、植物害虫もしくは動物寄生虫によって引き起こされる種々の病害に対してすぐれた防除効果を示す。
【0122】
即ち、本発明の化合物は果樹、野菜及び花卉に寄生するハダニ科(Tetranychidae)及びフシダニ科(Eriophyidae)等のハダニ類の成虫及び卵、動物に寄生するマダニ科(Ixodidae)、ワクモ科(Dermanyssidae) 及びヒゼンダニ科(Sarcoptidae) 等に対して殺ダニ活性を有しているばかりではなく、既存の殺ダニ剤が効かなくなり近年大問題となって来ている抵抗性のダニに対しても、すぐれた活性を有している。
【0123】
本発明の化合物は、また強力な殺虫作用を現わす。従って、それらは、殺虫剤として、使用することができる。そして、本発明の活性化合物は、栽培植物に対し、薬害を与えることなく、有害昆虫に対し、的確な防除効果を発揮する。また本発明化合物は広範な種々の害虫、有害な吸汁性昆虫、咀嚼系昆虫およびその他の植物寄生害虫、貯蔵害虫、衛生害虫等の防除のために使用でき、それらの駆除撲滅のために適用できる。
【0124】
そのような害虫類の例としては、以下の如き害虫類を例示することができる。昆虫類として、鞘翅目害虫、例えば、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum) 、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigitioctomaculata)、トビイロムナボソコメツキ(Agriores fuscicollis)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、コロラドポテトビートル(Leptinotarsa decemkineata) 、ジアブロテイカ(Diabrotica spp.) 、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus) 、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus) 、ヒラタキクイムシ(Lyctusbruneus) 、鱗翅目虫、例えば、マイマイガ(Lymantria dispar)、ウメケムシ(Malacosoma neustria) 、アオムシ(Pieris rapae)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura) 、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、ニカメイチュウ(Chilosuppressalis) 、アワノメイガ(Pyrausta nubilalis)、コナマダラメイガ(Ephestia cautella) 、コカクモンハマキ(Adoxophyes orana)、コドリンガ(Carpocapsa pomonella)、カブラヤガ(Agrotisfucosa) 、ハチミツガ(Galleria mellonella) 、コナガ(Plutella mylostella) 、ミカンハモグリガ(フェニル yllocnistis citrella);半翅目虫、例えばツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcuscomstocki) 、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ニセダイコンアブラムシ(Rhopalosiphum pseudobrassicas) 、ナシグンバイ(Stephanitis nashi) 、アオカメムシ(Nazara spp.) 、トコジラミ(Cimex lectularius) 、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum) 、キジラミ(Psylla spp.) 、直翅目虫、例えば、チャバネゴキブリ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana) 、ケラ(Gryllotalpa africana)、バッタ(Locusta migratoria migratoriodes);等翅目虫、例えば、ヤマトシロアリ(Deucotermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosamus);双翅目虫、例えば、イエバネ(Musca domestica) 、ネッタイシマカ(Aedes aegypti) 、タネバエ(Hylemia platura) 、アカイエカ(Culex pipiens) 、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)、コガタアカイエエ(Culex tritaeniorhynchus) 等を挙げることができる。
【0125】
本発明の化合物は、殺虫、殺ダニ活性に加えて、殺線虫性を有し、作物植物や樹木類における線虫を防除するのに使用し得る。より具体的には、本発明の化合物は、植物寄生性の線虫および土壌中で自由に生息する線虫の両方に対して使用できる。植物寄生性の線虫の具体例は、外部寄生性線虫、例えば、オオハリセンチュウ種(Xiphinena spp.)、ハリセンチュウ種(Longidorus spp. )、ユミハリセンチュウ種(Trichodorous spp. );半内部寄生線虫、例えば、ティレンクス種(Tylenchulus spp.);移動性内部寄生線虫、例えば、ネグサレセンチュウ種(Pratylenchus spp.)、ラドホラス種(Rdopholus spp.)、ラセンセンチュウ種(Scutellonena spp. )および定着性内部寄生線虫、例えば、シストセンチュウ種(Heterodera spp. )、ジャガイモシストセンチュウ種(Globodera spp.)、ネコブセンチュウ種(Meloidogyne spp.);並びに茎葉内部寄生線虫、例えば、ジティレンクス種(Ditylenchus spp.)、マツノザイセンチュウに代表されるアフェレコイテス種(Aphelenchoides spp. )およびネモグリセンチュウ種(Hiroheaniella spp.)などが挙げられる。
【0126】
更に、獣医学の医薬分野においては、本発明の新規化合物を種々の有害な動物寄生虫(内部および外部寄生虫)、例えば、昆虫類およびぜん虫に対して使用して有効である。このような動物寄生虫の例としては、以下の如き害虫を例示することができる。
【0127】
昆虫類としては例えば、ウマバエ(Gasterophilus spp.)、サシバエ(Stomoxys spp.) 、ハジラミ(Trichodectes spp.) 、サシガメ(Rhodnius spp.) 、イヌノミ(Ctenocephalides canis) 等を挙げることができる。
【0128】
本発明ではこれらすべてを包含する虫類に対する殺虫作用を有する物質として殺虫剤と呼ぶことがある。
【0129】
更に、本発明の化合物は動物および人間の駆虫剤として優れた殺寄生虫活性を有している。
【0130】
特に豚、羊、山羊、牛、馬、犬、猫および鶏のような家畜、家禽およびペットに感染する次の線虫に有効である。ヘモンクス属(Haemonchus)、トリコストロンギルス属(Trichostrongylus)、オステルターギヤ属(Ostertagia)、ネマトディルス属(Nematodirus) 、クーペリア属(Cooperia)、アスカリス属(Ascaris) 、ブノストムーム属(Bunostomum)、エスファゴストムーム属(Oesophagostomum) 、チャベルチア属(Chabertia) 、トリキュリス属(Trichuris) 、ストロンギルス属(Storongylus) 、トリコネマ属(Trichonema)、デイクチオカウルス属(Dictyocaulus)、キャピラリア属(Capillaria)、ヘテラキス属(Heterakis) 、トキソカラ属(Toxocara)、アスカリディア属(Ascaridia) 、オキシウリス属(Oxyuris) 、アンキロストーマ属(Ancylostoma) 、ウンシナリア属(Uncinaria) 、トキサスカリス属(Toxascaris)及びパラスカリス属(Parascaris)。
【0131】
ネマトディルス属、クーペリア属及びエソファゴストムーム属のある種のものは腸管を攻撃し、一方ヘモンクス属及びオステルターギア属のものは胃に寄生し、ティクチオカウルス属の寄生虫は肺に見出されるが、これらにも活性を示す。また、フィラリア科(Filariidae)やセタリヤ科(Setariidae)の寄生虫は心臓及び血管、皮下及びリンパ管組織のような他の組織及び器官に見出され、これらにも活性を示す。
【0132】
また、人間に感染する寄生虫に対しても有用であり、人間の消化管の最も普通の寄生虫は、アンキロストーマ属(Ancylostoma) 、ネカトール属(Necator) 、アスカリス属(Asdaris) 、ストロンギィロイデス属(Strongyloides) 、トリヒネラ属(Trichinella) 、キャピラリア属(Capillaria)、トリキュリス属(Trichuris) およぴエンテロビウス属(Enterobius)である。
【0133】
消化管の外の、血液または他の組織及び器官に見出される他の医学的に重要な寄生虫であるフィラリア科のブツヘレリア属(Wuchereria)、ブルージア属(Brugia)、オンコセルカ属(Onchoceca) 及びロア糸状虫属(Loa) 並びに蛇状線虫科(Dracunculidae) のドラクンクルス属(Deacunculus) の寄生虫、腸管内寄生虫の特別な腸管外寄生状態におけるストロンギロイテス属及びトリヒネラ属にも活性を示す。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で表されるれミルベマイシン誘導体。
    Figure 0003762465
    [式中、R1 はメチル基;エチル基;イソプロピル基;又はsec-ブチル基を示しR2 は、C1 −C3 アルキル基を示し、Yは、C2 −C3 アルカノイル基;C1 −C3 アルキルスルホニル基;C2 −C5 アルコキシカルボニル基;アミノC2 −C7 アルカノイル基(当該アミノ基は、下記置換基群Aから選ばれる同一又は異なった1又は2個の置換基により置換されていてもよい。また当該アルカノイル基はフェニル基又はC1 −C3 アルキルチオ基で置換されていてもよい。);窒素原子を環原子として1個含み、硫黄原子を含んでもよい飽和5又は6員複素環カルボニル基(当該窒素原子は、下記置換基群Aから選ばれる置換基により置換されていてもよい。また当該カルボニル基は、窒素原子以外に置換している。);5又は6員ラクタムカルボニル基(当該窒素原子は、下記置換基群Aから選ばれる置換基により置換されていてもよい。また当該カルボニル基は、窒素原子以外に置換している。);α−(C1 −C3 アルコキシイミノ)−α−(5又は6員芳香族複素環)−アセチル基{当該複素環基は、アミノ基(当該アミノ基は、下記置換基群Aから選ばれる同一又は異なった1又は2個の置換基で置換されてもよい)、ハロゲン原子若しくはC1 −C3 アルキル基から選択された1又は2個の置換基で置換されていてもよい}を示す。
    (置換基群A)
    1 −C3 アルキル基;ホルミル基;C2 −C3 アルカノイル基;C2 −C4 ハロアルカノイル基;C7 −C19アラルキル基;C2 −C5 アルコキシカルボニル基;C3 −C5 ハロアルコキシカルボニル基;C7 −C11アリールカルボニル基;C8 −C10アラルキルオキシカルボニル基;C2 −C5 アルコキシカルボニルアミノC2 −C3 アルカノイル基;C2 −C5 アルコキシカルボニルアミノ(C7 −C11アリールカルボニル基]
  2. 一般式(I)において、R2 はC1 −C2 アルキル基を示し、Yは、C2 −C3 アルカノイル基;C1 −C3 アルキルスルホニル基;アミノC2 −C6 アルカノイル基(当該アミノ基は、下記置換基群A1 から選ばれる同一又は異なった1又は2個の置換基により置換されている。また当該アルカノイル基はフェニル基又はC1 −C3 アルキルチオ基で置換されていてもよい。);窒素原子を環原子として1個含む飽和5又は6員複素環カルボニル基(当該窒素原子は、下記置換基群A1 から選ばれる置換基により置換されていてもよい。当該カルボニル基は、窒素原子以外に置換している。);5員(γー)ラクタムカルボニル基(当該窒素原子は、下記置換基群A1 から選ばれる置換基により置換されていてもよい。また当該カルボニル基は、5位に置換している。);α−(C1 −C2 アルコキシイミノ)−α−(5員芳香族複素環)−アセチル基{当該複素環基は、アミノ基(当該アミノ基は、下記置換基群Aから選ばれる同一又は異なった1又は2個の置換基で置換されてもよい)、ハロゲン原子若しくはC1 −C3 アルキル基から選択された1又は2個の置換基で置換されていてもよい}を示す請求項1に記載のミルベマイシン誘導体。
    (置換基群A1
    1 −C3 アルキル基;ホルミル基;C2 −C3 アルカノイル基;C2 −C3 ハロアルカノイル基;C2 −C5 アルコキシカルボニル基;C7 −C11アリールカルボニル基;C2 −C5 アルコキシカルボニルアミノC2 −C3 アルカノイル基。
  3. 一般式(I)において、
    1 がメチル又はエチル基を示す請求項2に記載のミルベマイシン誘導体。
  4. 一般式(I)において、
    Yは、C2 −C3 アルカノイル基;C1 −C3 アルキルスルホニル基;アミノC2 −C5 アルカノイル基(当該アミノ基は、下記置換基群A2 から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよい。当該アルカノイル基はメチルチオ基で置換されていてもよい。);窒素原子を1個含む飽和5又は6員複素環カルボニル基(当該窒素原子は、下記置換基群A2 から選ばれる1個の置換基により置換されている)を示す請求項3に記載のミルベマイシン誘導体。
    (置換基群A2
    1 −C2 アルキル基;C2 −C3 アルカノイル基;C2 −C5 アルコキシカルボニル基;C7 −C11アリールカルボニル基。
  5. 一般式(I)において、
    1 は、エチル基、R2 がメチル基、Yは、C2 −C5 アルコキシカルボニルアミノC2 −C3 アルカノイル基を示す請求項4に記載のミルベマイシン誘導体。
  6. 一般式(I)において、
    1 は、エチル基、R2 がメチル基、Yは2−{(C1 −C4 アルコキシ)カルボニル}ピロリジンカルボニル基を示す請求項4に記載のミルベマイシン誘導体。
  7. 13−[2−{4−(メトキシカルボニルアミノアセチルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA4
  8. 13−[2−{4−(アセチルアミノアセチルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA4
  9. 13−[2−{4−(2−メトキシカルボニルアミノ−2−メチルプロピオニルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA4
  10. 13−[2−{4−(1−メトキシカルボニルピロリジン−2−イル−カルボニルアミノ)フェニル}−2−メチルプロポキシ]ミルベマイシンA4
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