JP3761769B2 - 熱式流量センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車のエンジンや空調機器等の制御または性能試験等で使用され、空気等流体の流量測定を実施するための流量センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図17は例えば特開平6−317443号公報に記載された従来の熱式流量センサを示す上平面図である。また、図18は同じく特開平6−317443号公報に記載された従来の熱式流量センサを示す下平面図である。図17および図18において、101はプレート状の基板、102は発熱抵抗体、103は測定抵抗体、104は補償抵抗体、105は基準抵抗体、106は配線部である。発熱抵抗体102、測定抵抗体103および補償抵抗体104は、例えば厚膜抵抗または薄膜抵抗として形成され、その抵抗値は温度依存性を有する。また、基準抵抗体105は例えば厚膜抵抗として形成される。さらに、発熱抵抗体102は電気絶縁性の基板101を介して測定抵抗体103の裏側に形成されており、これら両抵抗は効率的に熱結合されている。
【0003】
図19は上記の熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す図である。図19において、図17および図18と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。111,112は固定抵抗体、113は例えば差動増幅器として与えられる調整増幅器、Vdは電源電圧、Voutは出力電圧である。
【0004】
図19に示されるA点とB点との間において、直列に接続された基準抵抗体105(抵抗値R1)、補償抵抗体104(抵抗値Ra)および固定抵抗体111(抵抗値R2)と、直列に接続された測定抵抗体103(抵抗値Rs)および固定抵抗体112(抵抗値R3)とは互いに並列に接続される。そして、補償抵抗体104と固定抵抗体111との接続部位として与えられるC点が調整増幅器113の一方の入力端子に接続され、測定抵抗体103と固定抵抗体112との接続部位として与えられるD点が調整増幅器113の他方の入力端子に接続されることで、ホイートストンブリッジが構成される。
【0005】
また、調整増幅器113の出力端子は発熱抵抗体102の一方の端部に接続され、発熱抵抗体102の他方の端部は基準抵抗体105と測定抵抗体103との接続部位として与えられるA点に接続されている。さらに、固定抵抗体111と固定抵抗体112との接続部位として与えられるB点には電源電圧Vdを与える電圧源が接続され、発熱抵抗体102の両端部間における電位差が出力電圧Voutとして得られる。
【0006】
次に、流量測定回路の動作について説明する。
ホイートストンブリッジが平衡状態にある際には、測定抵抗体103の抵抗値Rsは以下の式(1)で表される。
Rs=(R1+Ra)R3/R2 ・・・(1)
発熱抵抗体102には電流Ihが供給されて、測定抵抗体103の抵抗値Rsが式(1)で表される値になるようにその温度が制御される。したがって、流体流量の変動により測定抵抗体103の温度が変化して、ホイートストンブリッジが不平衡状態になると、調整増幅器113が発熱抵抗体102に流れる加熱電流Ihを制御して、元の平衡状態に復帰させるように作用する。この結果、測定抵抗体103と補償抵抗体104との温度差が常に一定に保持される。
【0007】
発熱抵抗体102を上記のように温度制御した場合には、発熱抵抗体102から流体へ伝わる強制対流による熱伝達量Pfは、熱伝達率をh、発熱抵抗体102と流体との温度差をΔTh、発熱抵抗体102の表面積をSとすると、以下の式(2)で表される。
Pf=h・S・ΔTh ・・・(2)
また、発熱抵抗体102から発生するジュール熱Wは、発熱抵抗体102の抵抗値をRh、発熱抵抗体102に供給される電流をIhとすると、以下の式(3)で表される。
W=Rh・Ih2 ・・・(3)
【0008】
熱平衡状態にあるときには、式(2)の熱伝達量Pfと、式(3)のジュール熱Wとは等しくなるので次式が成立する。
h・S・ΔTh=Rh・Ih2 ・・・(4)
したがって、式(4)をIhについて解くと式(5)が導かれる。
Ih=(h・S・ΔTh/Rh)1/2 ・・・(5)
熱伝達率hは流体の流量Qに依存するために、加熱電流Ihを検出することにより流体流量Qを知ることができる。発熱抵抗体102の抵抗値Rhは流量によらず一定に制御されているから、発熱抵抗体102の両端部間における電位差を測定することにより流体流量Qを求めることができる。
【0009】
次に、流体の温度が変化した場合の補正方法について説明する。図19に示される流量測定回路において、例えば流体温度が高くなると、式(2)におけるΔThが小さくなるのに応じて式(5)におけるIhも小さくなって、流量変動が無くても出力が小さくなるという望ましくない現象が生じる。しかし、補償抵抗体104の作用によりこの現象を補償することが可能となる。流体温度が高くなるのに応じて補償抵抗体104の温度も高くなるので、補償抵抗体104の抵抗値Raが大きくなる。この際、ホイートストンブリッジの平衡状態が崩れて、調整増幅器113の作用により発熱抵抗体102に流れる電流Ihが増加させられ、ΔThの減少に基づく電流Ihの減少を補償して、流体温度が変化しても電流Ihが変化しないように制御することが可能である。
【0010】
ところで、実際には式(5)における熱伝達率hも流体温度により変化するために、この影響も含めた形で補償する必要が生じる。図19に示された流量測定回路においては、基準抵抗体105を調整することで流体温度に応じた熱伝達率hの変化を補償することが可能となる。発熱抵抗体102と測定抵抗体103との間の熱的な結合が非常に良好な場合には、両者の温度はほぼ等しくなる。また、両者を同質の材料で同様に形成すれば、その抵抗温度特性もほぼ同一と考えてよい。したがって、発熱抵抗体102の温度Thと測定抵抗体103の温度Tsとは等しく、それぞれの温度と流体温度の差として与えられるΔThとΔTsとも等しい。また、発熱抵抗体102の抵抗温度計数αh と測定抵抗体103の抵抗温度計数αs とも等しい。この際、式(5)におけるΔTh/Rhは以下の式(6)に示すように変形することができる。
【数1】
Figure 0003761769
ここで、Rh0は温度が摂氏0度の際の発熱抵抗体102の抵抗値、Rs0は温度が摂氏0度の際の測定抵抗体103の抵抗値である。
【0011】
式(1)を利用してΔTs/Rsを変形すると、以下の式のようになる。
【数2】
Figure 0003761769
ここで、Taは流体の温度、Ra0は温度が摂氏0度の際の補償抵抗体104の抵抗値である。したがって、ΔTh/Rhは以下の式(10)で表される。
【数3】
Figure 0003761769
式(10)に基づいて、ΔTh/Rhの温度計数βは以下の式(11)で表される。
【数4】
Figure 0003761769
【0012】
式(11)から明らかなように、ΔTh/Rhについての温度係数βは負の値となり、R1を調整してγを変化させることでΔTh/Rhについての温度係数βを制御することが可能である。式(5)における熱伝達率hの温度係数は1500〜1800ppm/℃程度であるので、式(11)におけるβを調整することで、流体温度に応じた熱伝達率hの変化を補償することが可能となる。図20は、流体温度に応じた熱伝達率hの変化に対する補償動作を示す図である。図20に示されるように、温度が高くなると熱伝達率hは大きくなるとともにΔTh/Rhは小さくなる。したがって、基準抵抗体105の抵抗値R1を適切に選定することで、図20において太線で示される温度により変化しない電流Ihを得ることができる。以上のように、補償抵抗体104および基準抵抗体105を設けることで、流体温度が変化しても出力電流の変化しない流量センサを得ることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来の熱式流量センサに係る上記の説明では、式(4)を導く際に発熱抵抗体102が発生するジュール熱Wがすべて強制対流熱伝達により流体に伝わることを前提としたが、実際には発熱抵抗体102から強制対流熱伝達により流体に伝達される熱量はジュール熱Wの一部であり、ジュール熱Wにより生じる他の熱量として熱伝導により基板1へ伝わる伝熱量(Pd)や熱放射による放熱量(Pr)が存在する。したがって、式(5)は正確には以下に示す式のように表される。
Figure 0003761769
ここで、Hは対流、伝導および放射等すべての伝熱形態の総和としての熱伝達率であり、熱放散係数と称する。熱量Pdおよび熱量Prは流量依存性をほとんど有さないために、Pfに対するPdやPrの割合が大きいほど熱放散係数Hの流量依存性は小さくなり感度が低下するという課題があった。
【0014】
また、熱量Pfのみではなく、熱量Pdおよび熱量Prも流体の温度により変化するので、流体温度が変化した際の補償はこの影響をも含めた形で実施する必要がある。すなわち、熱放散係数Hの温度による変化を補償しなければならない。特に、熱放射による放熱量Prの温度係数は大きいために、Prの割合が相対的に大きくなる小流量域では熱放散係数Hについての温度係数も大きくなる。しかし、Pfが流体流量によっても変化するために、流体流量に応じて熱放散係数Hについての温度係数が変化することになる。具体的には、式(11)で表されるΔTh/Rhについての温度係数βは流体流量によっては変化しないために、ある流量において熱放散係数Hの温度による変化を補償したとしても、別の流量においては誤差が生じるという課題があった。図21は熱放散係数等についての温度係数の変化を示す図である。図21に示されるように、流量が大きくなると熱放散係数Hについての温度係数は一般的には小さくなるが、ΔTh/Rhについての温度係数は変化しないために、全流量域において温度補償を実施することは不可能である。
【0015】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、高感度で温度補償をより効果的に実施することができる熱式流量センサを得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る熱式流量センサは、流体の流れ方向に沿って配置され、基板および当該基板の一方の面に形成された1または複数の絶縁膜層からなるプレート状の基体部と、基体部において流体の流れ方向について上流側に形成された第1の温度検出抵抗体と、基体部において流体の流れ方向について下流側に形成された第2の温度検出抵抗体と、基体部において第1の温度検出抵抗体および第2の温度検出抵抗体を加熱するように形成され、しかも流れ方向について第1、第2の温度検出抵抗体の間に形成された発熱抵抗体と、基体部において発熱抵抗体の影響を受けない位置に形成された流体温度検出抵抗体とを備え、第1の温度検出抵抗体第2の温度検出抵抗体とを直列接続し、かつ発熱抵抗体、流体温度検出抵抗体および1または複数の固定抵抗体とともにブリッジ回路を構成するように接続し、第1の温度検出抵抗体と第2の温度検出抵抗体との接続部位の電圧を用いてブリッジ回路の不平衡状態を検出してブリッジ回路を平衡状態へ復帰させるように発熱抵抗体に流される流体流量と相関関係を有する加熱電流を検出することで流体流量を測定するようにしたものである。
【0017】
この発明に係る熱式流量センサは、流体の流れ方向に沿って配置され、基板および当該基板の一方の面に形成された1または複数の絶縁膜層からなるプレート状の基体部と、基体部において流体の流れ方向について上流側に形成された第1の温度検出抵抗体と、基体部において流体の流れ方向について下流側に形成された第2の温度検出抵抗体と、基体部において第1の温度検出抵抗体および第2の温度検出抵抗体を加熱するように形成され、しかも流れ方向について第1、第2の温度検出抵抗体の間に形成された発熱抵抗体と、基体部において発熱抵抗体の影響を受けない位置に形成された第1の流体温度検出抵抗体と、基体部において発熱抵抗体の影響を受けない位置に形成された第2の流体温度検出抵抗体とを備え、第1の温度検出抵抗体、第2の温度検出抵抗体、発熱抵抗体、第1の流体温度検出抵抗体、第2の流体温度検出抵抗体および1または複数の固定抵抗体をブリッジ回路を構成するように接続して、流体流量に応じた第1の温度検出抵抗体、及び、第2の温度検出抵抗体の温度変化に基づいて生起する不平衡状態からブリッジ回路を平衡状態へ復帰させるように発熱抵抗体に流される流体流量と相関関係を有する加熱電流を検出することで流体流量を測定するようにしたものである。
【0018】
この発明に係る熱式流量センサは、加熱電流の測定について発熱抵抗体の両端部間における電圧値を測定する電圧測定手段を備えるようにしたものである。
【0019】
この発明に係る熱式流量センサは、直列に接続される第1の温度検出抵抗体と第2の温度検出抵抗体とから成る抵抗体の両端部間における電圧値を測定する電圧測定手段を備えるようにしたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による熱式流量センサの構成を示す平面図である。図2はこの発明の実施の形態1による熱式流量センサの薄肉部を示す拡大図である。図3は図1のA−A’線矢視断面図である。ただし、図3に示される断面図は、図の垂直方向においてある程度拡大して示されている。これらの図において、1はシリコン等から形成される基板、2は基板1を裏側からエッチングして形成した空気スペース、3は空気スペース2上に設けられたダイヤフラム型の薄肉部、4は発熱抵抗体(抵抗値Rh)、5は温度検出抵抗体(抵抗値Rs)である。温度検出抵抗体5は、図1に示される流れ方向を基準にして上流部に配置される第1の温度検出抵抗体5a(抵抗値Rsu)と、流れ方向を基準にして下流部に配置される第2の温度検出抵抗体5b(抵抗値Rsd)とに区画される。
【0021】
また、6は流体の温度を測定する流体温度検出抵抗体(抵抗値Ra)、7は配線部、8,9は発熱抵抗体4の両端部にそれぞれ配線部を介して接続された電極、10は第1の温度検出抵抗体5aの一方の端部に配線部を介して接続された電極、11は第2の温度検出抵抗体5bの一方の端部に配線部を介して接続された電極、12は第1の温度検出抵抗体5aと第2の温度検出抵抗体5bとの接続部位に配線部を介して接続された共通電極、13,14は流体温度検出抵抗体6の両端部にそれぞれ配線部を介して接続された電極、16,17は絶縁層である。なお、薄肉部3は、絶縁層16,17、並びに絶縁層16,17に挟まれた発熱抵抗体4および温度検出抵抗体5から構成されている。また、基板1、絶縁層16および絶縁層17から、流体内に設置される熱式流量センサのプレート状の基体部が構成される。
【0022】
発熱抵抗体4、温度検出抵抗体5および流体温度検出抵抗体6は、スパッタリングまたは蒸着等の成膜技術により薄膜形成した後に、エッチングにより所望の抵抗値になるようにパターニングしている。抵抗材料としては、信頼性の高い白金等を使用するのが好適である。また、この実施の形態1においては、発熱抵抗体4の消費電力低減および応答性向上を図って、発熱抵抗体4および温度検出抵抗体5を薄肉部3に形成しているが、特性上問題のない場合には必ずしも薄肉部3を形成する必要はない。なお、以降の実施の形態においても同様に、必ずしも薄肉部を形成する必要はない。
【0023】
また、図4はこの発明の実施の形態1による熱式流量センサの取り付け形態を示す図である。図4に示されるように、流体の流通する管路等に付設されたホルダ等の取り付け部材に対して、基板1の基板面が流体の流れ方向に沿うように、すなわち流線に対して基板面が平行となるように熱式流量センサを取り付ける。この際、ダイヤフラム(薄肉部)3に形成された第1の温度検出抵抗体5aが流れ方向について上流側に位置するとともに、第2の温度検出抵抗体5bが流れ方向について下流側に位置するように熱式流量センサの向きを決定する。
【0024】
図5はこの発明の実施の形態1による熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。図5において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。21,22,23は固定抵抗体、24は出力抵抗体(抵抗値Ro)、25は差動増幅器、26はトランジスタ、27は定電圧源(電源電圧Vb)、28は定電圧源(電源電圧Vc)、29は電圧フォロワ、30は出力端子(電圧Vout)である。
【0025】
図5に示される定電圧源28と接地部との間において、直列に接続された固定抵抗体21(抵抗値R1)、流体温度検出抵抗体6(抵抗値Ra)および固定抵抗体22(抵抗値R3)と、直列に接続された第1の温度検出抵抗体5a(抵抗値Rsu)、第2の温度検出抵抗体5b(抵抗値Rsd)および固定抵抗体23(抵抗値R2)とは互いに並列に接続される。そして、流体温度検出抵抗体6と固定抵抗体22との接続部位が差動増幅器25の一方の入力端子に接続され、第1の温度検出抵抗体5aと第2の温度検出抵抗体5bとの共通電極が差動増幅器25の他方の入力端子に接続されている。このように、第1および第2の温度検出抵抗体5a,5b、流体温度検出抵抗体6、固定抵抗体21,22,23および差動増幅器25によりホイートストンブリッジ(ブリッジ回路)が構成されている。また、差動増幅器25の出力端子はトランジスタ26を介して発熱抵抗体4の一方の端部に接続され、発熱抵抗体4の他方の端部は出力抵抗体24(抵抗値Ro)に接続されている。トランジスタ26のコレクタ端子は、定電圧源27に接続されている。なお、出力抵抗体24は固定抵抗であり、その両端部間における電圧は、以下の式(15)で表される。
Vout=Ro×Ih ・・・(15)
したがって、出力端子30の出力電圧Voutを測定することにより、流体流量によって変化する加熱電流Ihを算出することができる。
【0026】
次に、流量測定回路の動作について説明する。
基本的には、図5に示される流量測定回路は、第1の温度検出抵抗体5aの温度が流体温度検出抵抗体6により測定される流体の温度よりも常に一定温度だけ高くなるように、発熱抵抗体4の温度を制御する。
【0027】
ホイートストンブリッジが平衡状態にある際には、第1の温度検出抵抗体5aの抵抗値Rsuは、以下の式(16)で表される。
Rsu=(R1+Ra)(R2+Rsd)/R3 ・・・(16)
発熱抵抗体4に電流Ihを供給して、抵抗体5aの抵抗値Rsuが式(16)で表される値になるようにその温度を制御する。したがって、流体流量の変動による第1の温度検出抵抗体5aの温度変化、あるいは流体の温度の変動による流体温度検出抵抗体6の温度変化等に起因してホイートストンブリッジが不平衡状態となると、差動増幅器25およびトランジスタ26が発熱抵抗体4に流れる加熱電流Ihを制御して平衡状態を保持するように機能する。
【0028】
流体の流量が増加すると、発熱抵抗体4の上流部は温度が低下し、下流部は上流部からの熱が伝わって温度が上昇する。発熱抵抗体4の上流部に位置する第1の温度検出抵抗体5aの温度が低下すると、ホイートストンブリッジが不平衡状態となって、発熱抵抗体4へ供給される加熱電流Ihが増大して第1の温度検出抵抗体5aの温度を上げるように回路が動作する。しかし、この際発熱抵抗体4の下流部に位置する第2の温度検出抵抗体5bの温度も上昇して抵抗値Rsdも上昇するので、式(16)で表される第1の温度検出抵抗体5aの抵抗値Rsuも上昇する。したがって、第1の温度検出抵抗体5aに熱量を供給する発熱抵抗体4の温度も上昇させる必要がある。すなわち、流量が増加するのに応じて、式(5)中のΔThが大きくなる。これにより、ΔThが流量に依らず一定である場合よりも加熱電流Ihの流量依存性が大きくなり流量感度が向上する。
【0029】
図6は流量に対する各物理量の変化を本願発明と従来技術との間で比較した図である。流量が増大すると、式(16)に基づいて第1の温度検出抵抗体5aの抵抗値Rsuは増大するが、従来例の測定抵抗体103の抵抗値Rsは流量に依らず一定である(図6(a))。したがって、第1の温度検出抵抗体5aと流体との温度差ΔTsuは流量とともに増大する。一方、従来例では測定抵抗体103と流体との温度差ΔTsは変化しない(図6(b))。また、ΔTsuを増大させるために、発熱抵抗体4と流体との温度差ΔThも増大する。一方、従来例のΔThは変化しない(図6(c))。ΔThが増大すると、発熱抵抗体4の抵抗値Rhも増大する(図6(d))。熱放散係数Hの流量依存性については、本願発明と従来例とで差異はない(図6(e))。したがって、式(5)で表される加熱電流Ihについては、本願発明のほうが大きな流量依存性を有する(図6(f))。
【0030】
以上のように、この実施の形態1によれば、第1の温度検出抵抗体5aと、第2の温度検出抵抗体5bと、発熱抵抗体4と、流体温度検出抵抗体6と、複数の固定抵抗体21,22,23とを備え、これらの抵抗体をホイートストンブリッジを構成するように接続して、流体流量に応じた第1の温度検出抵抗体5aの温度変化に基づいて生起する不平衡状態からホイートストンブリッジを平衡状態へ復帰させるように発熱抵抗体4に流される流体流量と相関関係を有する加熱電流Ihを検出するように構成したので、流体流量が増加するほど上流側に位置する第1の温度検出抵抗体5aの温度が下流側に位置する第2の温度検出抵抗体5bの温度に対してより低くなるとともに、平衡状態に復帰するために発熱抵抗体4から供給される熱量が第1の温度検出抵抗体5aおよび第2の温度検出抵抗体5bにともに供給されることに基づいて、流体流量が増加するのに応じて発熱抵抗体4の温度を上昇させるように回路を組むことが可能となり、加熱電流Ihの流量依存性を高めることができるから、流量感度が向上した熱式流量センサを得ることができるという効果を奏する。
【0031】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2による熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。図7において、図5と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。図7に示される流量測定回路は、図5に示される流量測定回路と比較すると、電圧フォロワ29が発熱抵抗体4の電位が高い側の端部に接続されるとともに、発熱抵抗体4の電位が低い側の端部が接地部に直接的に接続されて、出力電圧Voutとして発熱抵抗体4の両端部間における電圧が与えられる点で相違する。すなわち、入力端子を発熱抵抗体4について電位の高い側に接続した電圧フォロワ29により、発熱抵抗体4の両端部間における電圧を測定する電圧測定手段が構成される。
【0032】
上記のように電圧フォロワ29および出力端子30を接続することで、出力電圧Voutは、以下の式(17)および式(18)で表される。
Figure 0003761769
流体流量が増大すると、実施の形態1において説明したように、加熱電流Ihが従来例と比較して大きく変化するが、上式から明らかなように抵抗値Rhの増加が出力電圧Voutを増加させるように作用するので、出力電圧Voutについての流量依存性をより向上することができる。
【0033】
図8は流量に対する各物理量の変化を本願発明と従来技術との間で比較した図である。流量が増大すると、実施の形態1で説明したように、従来技術と比較して、発熱抵抗体4の抵抗値Rhが増加する(図8(a))とともに、加熱電流Ihの増加割合が大きくなる(図8(c))。したがって、抵抗値Rhの増加が出力電圧Voutを増加させるように作用するので、流量の増加に応じて出力電圧Voutの増加割合は大きくなり、出力電圧Voutについての流量依存性はより大きくなる(図8(d))。
【0034】
また、図9は順流方向および逆流方向の流量に対する各物理量の変化を本願発明と従来技術との間で比較した図である。流れの方向が逆になると、式(16)においてRsdの作用が逆に現れる。すなわち、流れ方向が逆の場合には、第2の温度検出抵抗体5bが流体の流れの上流側に位置することとなって流体によって冷却されるために、第2の温度検出抵抗体5bの抵抗値Rsdが低下するので、ホイートストンブリッジの平衡を保持するために第1の温度検出抵抗体5aの抵抗値Rsuも低下する。したがって、発熱抵抗体4が第1の温度検出抵抗体5aに対して供給する必要のある熱量も減少するために、発熱抵抗体4の温度が低下してその抵抗値も低下する(図9(a))。また、発熱抵抗体4と流体との温度差として与えられるΔThも減少する(図9(b))。しかし、熱放散係数Hは流れの方向に依らずに流体流量の増加とともに大きくなる(図9(c))。そして、これら物理量を乗じて得た数値の平方根として与えられる出力電圧Voutは、結果的に順流域では流量の増加とともに増加し、逆流域では流量の増加とともに減少する(図9(d))。したがって、出力電圧Voutを測定することにより、順流および逆流双方の流体流量を測定することができる。
【0035】
以上のように、この実施の形態2によれば、加熱電流Ihを測定するために、発熱抵抗体4の両端部間における電圧を測定するように構成したので、発熱抵抗体4の抵抗値の増加が出力電圧を増加させるように作用して、出力電圧Voutについての流量依存性を高めることができるので、より流量感度が向上した熱式流量センサを得ることができるという効果を奏する。
【0036】
また、発熱抵抗体4の両端部間における電圧を測定するように構成したので、順流域においては流量の増加とともに出力電圧を増加させ、逆流域においては流量の増加とともに出力電圧を減少させることが可能となり、順流および逆流を識別できて、順流および逆流双方の流体流量を測定することができるという効果を奏する。
【0037】
実施の形態3.
図10はこの発明の実施の形態3による熱式流量センサの構成を示す平面図である。図11はこの発明の実施の形態3による熱式流量センサの流体温度検出抵抗体を示す拡大図である。図10および図11において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。図11に示されるように、流体温度検出抵抗体6は、図10に示される流れ方向を基準にして上流部に配置される第1の流体温度検出抵抗体6a(抵抗値Rau)と、流れ方向を基準にして下流部に配置される第2の流体温度検出抵抗体6b(抵抗値Rad)とに区画される。また、15は第1の流体温度検出抵抗体6aと第2の流体温度検出抵抗体6bとの接続部位に配線部を介して接続された共通電極である。
【0038】
図12はこの発明の実施の形態3による熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。図12に示される流量測定回路は、図5に示される流量測定回路と比較すると、第1の流体温度検出抵抗体6aと第2の流体温度検出抵抗体6bとの共通電極15が差動増幅器25の一方の入力端子に接続されている点で相違する。
【0039】
ホイートストンブリッジが平衡状態にある際には、第1の温度検出抵抗体5aの抵抗値Rsuは、以下の式(19)で表される。
Figure 0003761769
流体流量が増加したときには、実施の形態1と同様に、発熱抵抗体4と流体との温度差ΔThが大きくなるために、ΔThが流体流量に依らず一定であった従来例と比較すると感度が向上する。
【0040】
さらに、この実施の形態においては、式(11)で示したΔTh/Rhについての温度係数βを求めてみると、以下の式のようになる。
【数5】
Figure 0003761769
ここで、Rau0は温度が摂氏0度の際の第1の流体温度検出抵抗体6aの抵抗値である。式(21)において、流体の温度が上昇した場合には、第2の流体温度検出抵抗体6bの抵抗値Radと第2の温度検出抵抗体5bの抵抗値Rsdとが同時に大きくなり、所定の流量ポイントではKの変化をキャンセルするように作用する。しかし、流体流量が当該所定の流量ポイントよりも大きくなると、抵抗値Radは変化しないが抵抗値Rsdは大きくなるために、Kは小さくなる。これにより、式(20)で表されるΔTh/Rhについての温度係数βの絶対値も小さくなる。すなわち、温度係数βに流量依存性を持たせることができる。したがって、流量依存性を有する熱放散係数Hの温度特性を効果的に補償することができる。
【0041】
図13は流量に対する各物理量の変化を本願発明と従来技術との間で比較した図である。図13に示されるように、流体流量が大きくなると、第2の温度検出抵抗体5bの抵抗値Rsdが大きくなり、ΔTh/Rhについての温度係数βの絶対値が小さくなる。熱放散係数Hについての温度係数は流体流量が大きいほど小さいので、ΔTh/Rhについての温度係数βにより効果的に温度補償がなされて、流体温度が変化しても加熱電流Ihのドリフトが小さな流量センサを得ることができる。
【0042】
以上のように、この実施の形態3によれば、実施の形態1と同等の効果が得られるとともに、第1の温度検出抵抗体5aと、第2の温度検出抵抗体5bと、発熱抵抗体4と、第1の流体温度検出抵抗体6aと、第2の流体温度検出抵抗体6bと、複数の固定抵抗体21,22,23とを備え、これらの抵抗体をホイートストンブリッジを構成するように接続して、流体流量に応じた第1の温度検出抵抗体5aの温度変化に基づいて生起する不平衡状態からホイートストンブリッジを平衡状態へ復帰させるように発熱抵抗体4に流される流体流量と相関関係を有する加熱電流を検出するように構成したので、流体流量に対する第2の流体温度検出抵抗体6bの抵抗値Radの変化の割合と第2の温度検出抵抗体5bの抵抗値Rsdの変化の割合との差異に基づいてΔTh/Rhについての温度係数βに流量依存性を持たせるように回路を組むことができて流体温度に対する温度補償が可能となるので、流体温度が変化しても加熱電流Ihのドリフトが小さい流量センサを得ることができるという効果を奏する。
【0043】
また、図14はこの発明の実施の形態3による熱式流量センサを用いた流量測定回路の変形例に係る構成を示す回路図である。図14に示される流量測定回路は、図12に示される流量測定回路と比較すると、第2の流体温度検出抵抗体6bに並列に抵抗値可変の可変抵抗体31を設け、第2の温度検出抵抗体5bに並列に抵抗値可変の可変抵抗体32を設けた点で相違する。これにより、式(21)における抵抗値Rsdおよび抵抗値Radを細かに調整することができて、より効率的に温度補償を実施することが可能となる。
【0044】
実施の形態4.
図15はこの発明の実施の形態4による熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。図15において、図12と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。図15に示される流量測定回路は、図12に示される流量測定回路と比較すると、電圧フォロワ29が発熱抵抗体4の電位が高い側の端部に接続されるとともに、発熱抵抗体4の電位が低い側の端部が接地部に直接的に接続されて、出力電圧Voutとして発熱抵抗体4の両端部間における電圧が与えられる点で相違する。すなわち、入力端子を発熱抵抗体4について電位の高い側に接続した電圧フォロワ29により、発熱抵抗体4の両端部間における電圧を測定する電圧測定手段が構成される。
【0045】
この実施の形態4による流量測定回路は、実施の形態3による流量測定回路に対して実施の形態2による流量測定回路の特徴部を付加した回路として与えられるものである。したがって、実施の形態3と同等の効果が得られるとともに、出力電圧についての流量依存性を高めることができるので、より流量感度が向上した熱式流量センサを得ることができるという効果を奏する。また、順流域においては流量の増加とともに出力電圧を増加させ、逆流域においては流量の増加とともに出力電圧を減少させることが可能となり、順流および逆流を識別できて、順流および逆流双方の流体流量を測定することができるという効果を奏する。
【0046】
実施の形態5.
図16はこの発明の実施の形態5による熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。図16において、図5と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。41は第2の温度検出抵抗体5bと固定抵抗体23との接続部位に入力端子が接続される電圧フォロワ、42は出力端子(電圧Vd)である。
【0047】
電圧フォロワ41および出力端子42を接続することで、出力電圧Vdは以下の式(23)により求められる。
Vd=R2/(Rsu+Rsd+R2)・Vc ・・・(23)
第1の温度検出抵抗体5aの抵抗値Rsuおよび第2の温度検出抵抗体5bの抵抗値Rsdは、順流の流体流量が増大すると大きくなり、逆流の流体流量が増大すると小さくなる。また、電圧Vcは定電圧源の電圧であり一定である。したがって、電圧Vdは、順流の流体流量が増大すると低下し、逆流の流体流量が増大すると上昇する。この電圧Vdを検出することで、流れの方向を知ることが可能となる。なお、第1の温度検出抵抗体5aと第2の温度検出抵抗体5bとから成る温度検出抵抗体5の両端部間における電圧値はVc−Vdとして求められるので、第2の温度検出抵抗体5bと固定抵抗体23との接続部位に入力端子が接続される電圧フォロワ41から温度検出抵抗体5の両端部間における電圧値を測定する電圧測定手段が構成される。
【0048】
以上のように、この実施の形態5によれば、第1の温度検出抵抗体5aと第2の温度検出抵抗体5bとから成る温度検出抵抗体5の両端部間における電圧値を測定するように構成したので、順流と逆流とで流体流量の増大に対する電圧値の増減方向が反対となるため、流れの方向を知ることが可能になるという効果を奏する。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、流体の流れ方向に沿って配置され、基板および当該基板の一方の面に形成された1または複数の絶縁膜層からなるプレート状の基体部と、基体部において流体の流れ方向について上流側に形成された第1の温度検出抵抗体と、基体部において流体の流れ方向について下流側に形成された第2の温度検出抵抗体と、基体部において第1の温度検出抵抗体および第2の温度検出抵抗体を加熱するように形成され、しかも流れ方向について第1、第2の温度検出抵抗体の間に形成された発熱抵抗体と、基体部において発熱抵抗体の影響を受けない位置に形成された流体温度検出抵抗体とを備え、第1の温度検出抵抗体、第2の温度検出抵抗体、発熱抵抗体、流体温度検出抵抗体および1または複数の固定抵抗体をブリッジ回路を構成するように接続して、流体流量に応じた第1の温度検出抵抗体、及び、第2の温度抵抗体の温度変化に基づいて生起する不平衡状態からブリッジ回路を平衡状態へ復帰させるように発熱抵抗体に流される流体流量と相関関係を有する加熱電流を検出することで流体流量を測定するように構成したので、流体流量が増加するほど上流側に位置する第1の温度検出抵抗体の温度が下流側に位置する第2の温度検出抵抗体の温度に対してより低くなるとともに、平衡状態に復帰するために発熱抵抗体から供給される熱量が第1の温度検出抵抗体および第2の温度検出抵抗体にともに供給されることに基づいて、流体流量が増加するのに応じて発熱抵抗体の温度を上昇させるように回路を組むことが可能となり、加熱電流の流量依存性を高めることができるので、流量感度が向上した熱式流量センサを得ることができるという効果を奏する。
【0050】
この発明によれば、流体の流れ方向に沿って配置され、基板および当該基板の一方の面に形成された1または複数の絶縁膜層からなるプレート状の基体部と、基体部において流体の流れ方向について上流側に形成された第1の温度検出抵抗体と、基体部において流体の流れ方向について下流側に形成された第2の温度検出抵抗体と、基体部において第1の温度検出抵抗体および第2の温度検出抵抗体を加熱するように形成され、しかも流れ方向について第1、第2の温度検出抵抗体の間に形成された発熱抵抗体と、基体部において発熱抵抗体の影響を受けない位置に形成された第1の流体温度検出抵抗体と、基体部において発熱抵抗体の影響を受けない位置に形成された第2の流体温度検出抵抗体とを備え、第1の温度検出抵抗体、第2の温度検出抵抗体、発熱抵抗体、第1の流体温度検出抵抗体、第2の流体温度検出抵抗体および1または複数の固定抵抗体をブリッジ回路を構成するように接続して、流体流量に応じた第1の温度検出抵抗体、及び、第2の温度検出抵抗体の温度変化に基づいて生起する不平衡状態からブリッジ回路を平衡状態へ復帰させるように発熱抵抗体に流される流体流量と相関関係を有する加熱電流を検出することで流体流量を測定するように構成したので、流体流量に対する第2の流体温度検出抵抗体の抵抗値の変化の割合と第2の温度検出抵抗体の抵抗値の変化の割合との差異に基づいて、発熱抵抗体と流体との温度差を発熱抵抗体の抵抗値で除することで得られる値に係る温度係数に流量依存性を持たせるように回路を組むことができて流体温度に対する温度補償が可能となるので、流体温度が変化しても加熱電流のドリフトが小さい流量センサを得ることができるという効果を奏する。
【0051】
この発明によれば、加熱電流の測定について発熱抵抗体の両端部間における電圧値を測定する電圧測定手段を備えるように構成したので、発熱抵抗体の抵抗値の増加が出力電圧を増加させるように作用して、出力電圧についての流量依存性を高めることができるので、より流量感度が向上した熱式流量センサを得ることができるという効果を奏する。
【0052】
この発明によれば、直列に接続される第1の温度検出抵抗体と第2の温度検出抵抗体とから成る抵抗体の両端部間における電圧値を測定する電圧測定手段を備えるように構成したので、順流と逆流とで流体流量の増大に対する電圧値の増減方向が反対となるため、流れの方向を知ることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による熱式流量センサの構成を示す平面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による熱式流量センサの薄肉部を示す拡大図である。
【図3】 図1に示される熱式流量センサのA−A’線矢視断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による熱式流量センサの取り付け形態を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態1による熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。
【図6】 流量に対する各物理量の変化を本願発明と従来技術との間で比較した図である。
【図7】 この発明の実施の形態2による熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。
【図8】 流量に対する各物理量の変化を本願発明と従来技術との間で比較した図である。
【図9】 順流方向および逆流方向の流量に対する各物理量の変化を本願発明と従来技術との間で比較した図である。
【図10】 この発明の実施の形態3による熱式流量センサの構成を示す平面図である。
【図11】 この発明の実施の形態3による熱式流量センサの流体温度検出抵抗体を示す拡大図である。
【図12】 この発明の実施の形態3による熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。
【図13】 流量に対する各物理量の変化を示す図である。
【図14】 この発明の実施の形態3による熱式流量センサを用いた流量測定回路の変形例に係る構成を示す回路図である。
【図15】 この発明の実施の形態4による熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。
【図16】 この発明の実施の形態5による熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。
【図17】 従来の熱式流量センサを示す上平面図である。
【図18】 従来の熱式流量センサを示す下平面図である。
【図19】 従来の熱式流量センサを用いた流量測定回路の構成を示す回路図である。
【図20】 流体温度に応じた熱伝達率の変化に対する補償動作を示す図である。
【図21】 熱放散係数等についての温度係数の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 基板、2 空気スペース、3 薄肉部、4 発熱抵抗体、5 温度検出抵抗体、5a 第1の温度検出抵抗体、5b 第2の温度検出抵抗体、6 流体温度検出抵抗体、6a 第1の流体温度検出抵抗体、6b 第2の流体温度検出抵抗体、7 配線部、8,9,10,11,12,13,14,15 電極、16,17 絶縁層、21,22,23 固定抵抗体、24 出力抵抗体、25 差動増幅器、26 トランジスタ、27,28 定電圧源、29,41 電圧フォロワ、30,42 出力端子、31,32 可変抵抗体。

Claims (4)

  1. 流体の流れ方向に沿って配置され、基板および該基板の一方の面に形成された1または複数の絶縁膜層からなるプレート状の基体部と、
    該基体部において流体の流れ方向について上流側に形成された第1の温度検出抵抗体と、
    前記基体部において流体の流れ方向について下流側に形成された第2の温度検出抵抗体と、
    前記基体部において前記第1の温度検出抵抗体および前記第2の温度検出抵抗体を加熱するように形成され、しかも流れ方向について第1、第2の温度検出抵抗体の間に形成された発熱抵抗体と、
    前記基体部において前記発熱抵抗体の影響を受けない位置に形成された流体温度検出抵抗体とを備え、
    前記第1の温度検出抵抗体前記第2の温度検出抵抗体とを直列接続し、かつ前記発熱抵抗体、前記流体温度検出抵抗体および1または複数の固定抵抗体とともにブリッジ回路を構成するように接続し、前記第1の温度検出抵抗体と前記第2の温度検出抵抗体との接続部位の電圧を用いてブリッジ回路の不平衡状態を検出してブリッジ回路を平衡状態へ復帰させるように前記発熱抵抗体に流される流体流量と相関関係を有する加熱電流を検出することで流体流量を測定することを特徴とする熱式流量センサ。
  2. 流体の流れ方向に沿って配置され、基板および該基板の一方の面に形成された1または複数の絶縁膜層からなるプレート状の基体部と、
    該基体部において流体の流れ方向について上流側に形成された第1の温度検出抵抗体と、
    前記基体部において流体の流れ方向について下流側に形成された第2の温度検出抵抗体と、
    前記基体部において前記第1の温度検出抵抗体および前記第2の温度検出抵抗体を加熱するように形成され、しかも流れ方向について第1、第2の温度検出抵抗体の間に形成された発熱抵抗体と、
    前記基体部において前記発熱抵抗体の影響を受けない位置に形成された第1の流体温度検出抵抗体と、
    前記基体部において前記発熱抵抗体の影響を受けない位置に形成された第2の流体温度検出抵抗体とを備え、
    前記第1の温度検出抵抗体、前記第2の温度検出抵抗体、前記発熱抵抗体、前記第1の流体温度検出抵抗体、前記第2の流体温度検出抵抗体および1または複数の固定抵抗体をブリッジ回路を構成するように接続して、流体流量に応じた前記第1の温度検出抵抗体、及び、第2の温度検出抵抗体の温度変化に基づいて生起する不平衡状態からブリッジ回路を平衡状態へ復帰させるように前記発熱抵抗体に流される流体流量と相関関係を有する加熱電流を検出することで流体流量を測定することを特徴とする熱式流量センサ。
  3. 加熱電流の測定について発熱抵抗体の両端部間における電圧値を測定する電圧測定手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱式流量センサ。
  4. 直列に接続される第1の温度検出抵抗体と第2の温度検出抵抗体とから成る抵抗体の両端部間における電圧値を測定する電圧測定手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱式流量センサ。
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