JP3761747B2 - 塗装構成体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、塗装構成体に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、窯業系基材上に、該基材にも無機塗装にも密着性の高い有機塗膜を塗布し、さらにその上から無機塗装を塗布して得られる塗装構成体において、該有機塗膜がシリカ粉5〜15重量%を含むことを特徴とする塗装構成体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、屋根瓦や外装材、あるいは内装材等の建築材において、窯業系基材や樹脂系基材等の表面に有機系の塗料を塗布して塗装品とする場合、塗料としては一般的に有機系のもの、とくにアクリル系塗装が用いられてきた。しかし、光や雨水による劣化等の理由から耐候性や耐腐食性等の面で充分な性能が得られず、近年では有機塗膜の上に無機質のコーティング剤(無機塗装)を用いて、塗装構成体とすることが検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような事情から、これまでにも、各種の素材や組成物を用いた塗装構成体が建築材として提案され、実用化されてきた。とくに近年注目されている無機質コーティング剤の多くは、その物自体の耐候性や耐腐食性が比較的良好である。
【0004】
しかし、下地である基材や有機塗膜が、無機質コーティング剤による塗膜を通じて紫外線により変質、劣化し、塗装品としての耐候性や寿命を損なうという問題があり、それに対して、発明者らはこれまでに特有なケイ素アルコキシド系組成物に、酸化チタン微粉末等の紫外線吸収剤を配合した新しい無機質コーティング剤を提案し、(特開平9−249822号公報)解決している。
【0005】
さらに、発明者らは塗装品全体としての耐候性の向上や、色調の自由度の改善といった課題も種々の組成のケイ素アルコキシド系組成物にカーボン粉末を配合して安価に作成できる新しい無機コーティング剤を提供し、(特願平11−80568号)解決した。
【0006】
しかし、有機塗装に無機塗装を塗布する場合、有機層と無機層の間での密着力が弱いため、無機塗膜が剥離しやすく、長期耐久性が不十分であるという問題があった。近年、建築物のメンテナンスフリー化に伴い、高デザイン性で長期耐久性を有する建材への要求が高まっていることから、有機・無機層間の密着性の向上が大きな課題となっている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして第1には、窯業系基材上に、該基材にも無機塗装にも密着性の高い有機塗膜を塗布し、さらにその上から無機塗装を塗布してなる塗装構成体において、該有機塗膜がシリカ粉5〜15重量%を含むことを特徴とする塗装構成体を提供する。
【0008】
また、第2には塗装構成体の有機塗膜が、アクリルエマルジョン塗料による塗膜であって、アクリルエマルジョン塗料は、メチルメタクリレートおよびブチルアクリレートを樹脂主成分とし、塗膜のゲル分率が30%以下であることを特徴とする塗装構成体を提供する。
【0009】
さらに、第3には、塗装構成体の有機塗膜が、アクリルエマルジョン塗料による塗膜であって、アクリルエマルジョン塗料は、メチルメタクリレートおよびブチルアクリレートを樹脂主成分とし、塗膜のTg(ガラス転移温度)が50℃以下であることを特徴とする塗装構成体を提供する。
【0010】
そして、第4には、塗装構成体の有機塗膜が、アクリルエマルジョン塗料による塗膜であって、アクリルエマルジョン塗料は、メチルメタクリレートおよびブチルアクリレートを樹脂主成分とし、上塗りの無機質コーティング剤との接触角が40度以下であることを特徴とする塗装構成体を提供する。
【0011】
さらに、第5には塗装構成体において、無機塗装とはケイ素アルコキシドコーティングであることを特徴とする塗装構成体を提供する。
【0012】
また、第6には塗装構成体において、無機塗装の構造が
(a)一般式 (R1 n SiX4-n
(式中、R1 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オルガノシランを、有機溶媒及び/又は水に分散されたコロイド状シリカ中で部分加水分解してなる、オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液と、
(b)平均組成式 (R2 a Si(OH)b (4-a-b)/2
(式中、R2 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、aおよびbはそれぞれ0.2≦a≦2.0、0.0001≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数である。)で表される、分子中にシラノール基を含有するポリオルガノシロキサンと、(c)硬化触媒の、(a)、(b)、(c)の3成分を必須成分として含有するケイ素アルコキシド系組成物であることを特徴とする塗装構成体を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は以上のとおりの特徴を有するものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明においては、前記第1〜6の塗装構成体はいずれも、窯業系基材上に、該窯業系基板にも無機塗装にも密着性の高い有機塗膜を塗布し、さらにその上から無機塗装を塗布する塗装構成体において、該有機塗膜がシリカ粉5〜15重量%を含むことを特徴とする塗装構成体を表わす。この塗装構成体は発明者らがすでに提供している特願平11−80568号記載のものと同様のものであるが、有機塗膜中にシリカ粉を配合することはこの出願の発明において初めて創案されたものである。
【0014】
図1は、このような塗装構成体の構成例を示したものである。
図1は窯業系基材(1)の表面にエポキシ塗料などで有機塗膜(2)を設け、この上に無機質コーティング剤を塗装して無機質塗膜(3)を設けた塗装構成体を示すものであり、無機質塗膜(3)はその下の有機塗膜(2)の上に塗膜として形成され、さらに有機塗膜(2)はその下の窯業系基材(1)の上に塗膜として形成されることになる。
【0015】
まず第一に塗装構成体を構成する窯業系基材は各種のものであってよい。無機質コーティング剤を表層に塗装することによって特願平11−80568号に記載されるように耐候性を高めることができるので、窯業系外装材のように、屋外で使用され耐候性を特に高く要求される基材が好ましいが、内装材として使用されるものであってもよい。窯業系基材の外装材は、瓦や外壁材等の用途に使用されるものである。窯業系基材は、無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無機充填剤、繊維質材料等を配合し、成形した後に養生硬化させて作製されるものであり、水硬性膠着材としては、特に限定されるものではないが、たとえばポルトランドセメント、高炉セメント、高炉スラグ、ケイ酸カルシウム、石膏等から選ばれたものの一種あるいは複数種を用いることができる。また無機充填剤としてはフライアッシュ、ミクロシリカ、珪砂等を、繊維質材料としてはパルプ、合成繊維、アスベスト等の無機繊維や、スチールファイバー等の金属繊維を、それぞれ単独であるいは複数種併せて用いることができる。成形は押出成形や注型成形、抄造成形、プレス成形等の方法により行うことができ、成形の後、必要に応じてオートクレープ養生、蒸気養生、常温養生を行なって、外装材として使用される窯業系基材を作製することができる。
【0016】
上記のように作製される窯業系基材の表面には、溶剤系、水溶性あるいはエマルジョン系のシーラーにより目止めを行い、基材表面への吸い込みのばらつきを調製するようにしてもよい。使用されるシーラーとしては、特に限定されるものではないが、アクリル系やラテックス系のものを使用することができる。このシーラーの上には意匠性や耐久性の向上のために、アクリル系やラテックス系の有機塗膜を形成するようにしてもよい。
【0017】
また、この発明の塗装構成体では窯業系基材の上にシリカ粉を含有した有機質の層が塗布されている。そして、これは防錆性向上、意匠性の向上、塗膜密着性の向上のために設けるものであり、有機質の層の樹脂材料は、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系、フッ素系の樹脂や塗料など、どのような材料であってもよいが、特に好ましくはアクリルエマルジョン塗料による塗膜であって、アクリルエマルジョン塗料は、メチルメタクリレート(MMA)およびブチルアクリレート(BA)を樹脂主成分としている。またこの有機塗膜にはシリカ粉0.1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%を含有していることを必須とする。シリカ粉を含有することにより、ケイ素アルコキシド系組成物である無機層と有機層の密着性が極めて優れたものとなるのである。
【0018】
また、有機層がアクリルエマルジョン塗料による塗膜の場合は、少なくとも次のいずれかの要件を具備していてもよい。
▲1▼ 塗膜の有機溶剤に対するゲル分率が30%以下であること。
▲2▼ 塗膜のTg(ガラス転移温度)が50℃以下であること。
▲3▼ 上塗りの無機質コーティング剤との接触角が40度以下であること。
以上のとおりのシリカ含有有機質膜を形成し、その表面に無機質コーティング剤の塗装を施した塗装構成体の場合には、耐候性とともに塗膜密着性より強固なものとなる。
【0019】
前記▲1▼のように有機溶剤に対する塗膜のゲル分率を低いものとすることは、塗膜が有機溶剤に侵されやすいものとすることを意味している。つまり、ここでのゲル分率は、耐溶剤性の指標としてあり、たとえば具体的には、塗膜のゲル分率は、塗布後に乾燥(120℃、4分間)した塗膜をアセトンに5時間浸漬した後の残存した重量割合として示されるものである。
【0020】
有機塗膜と無機質塗膜との構成において有機塗膜のゲル分率、すなわち耐溶剤性が低いことは、上塗りの無機質コーティング剤中の有機溶剤が有機塗膜との界面で有機塗膜を膨潤溶解させ、有機塗膜と無機質塗膜との間が融着して強固な物理的密着が得られ、経時的変化にも強い状況となることを意味している。
【0021】
この発明においては、以上のような有機塗膜のゲル分率は、30%以下となるようにしている。より好ましくは、0%、あるいはその近似の値となるようにすることで、前記の無機質コーティング剤による無機質塗膜の強い密着性を得るようになる。
有機溶剤に対するゲル分率を低くすることは、前記アクリルエマルジョン塗料における樹脂成分の組成とその割合を調整することによって可能とされる。
【0022】
アクリルエマルジョン塗料では、前記のとおり、メチルメタクリレート(MMA)とブチルアクリレート(BA)とを樹脂主成分、すなわち樹脂成分のうちの50重量%以上を占めるようにすることを本願の発明の態様とするが、この主成分の割合と、メチルメタクリレート(MMA)とブチルアクリレート(BA)との相互の割合の調整が行われるようにする。前記のゲル分率を低くするためには、一般的には主成分としてのメチルメタクリレート(MMA)とブチルアクリレート(BA)の割合を、重量比としてMMA/BA=1〜2とすることが適当であり、より好ましくはMMA/BA=1.1〜1.6とすることが考慮される。メチルメタクリレート(MMA)の割合が重量比で3を超える場合にはゲル分率の30%以下への低下は期待できず、実質的な密着性の向上の効果は得られない。一方、重量比が1未満となる場合には、逆に塗装品としての塗膜の強度、耐久性等が充分なものとならない傾向にある。
【0023】
重量比MMA/BA=1.1〜1.6の範囲においては、ゲル分率が実質的に0になり、優れた密着性が得られることになる。
また樹脂主成分としてのメチルメタクリレート(MMA)とブチルアクリレート(BA)の樹脂成分全体に占める割合は60重量%以上とするのが適当である。他成分としてのアクリレート、あるいはメタクリレート等の配合が可能とされる。
【0024】
なかでも、ゲル分率の低下のために効果的な配合成分としては、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)が例示される。このものは、全樹脂成分のうちの10重量%以上40重量%以下で配合されるのが効果的である。
また、この発明の無機質コーティング剤による無機質塗膜を形成し、下層としての有機質層との密着性をさらに向上させるためには、有機質層を、アクリルエマルジョン塗料による塗膜とし、そのガラス転移温度:Tgが50℃以下とすることが有効である。
【0025】
Tgを50℃以下の低いレベルにすることにより、塗膜が軟化して無機質塗膜との界面が融着状態となりやすくし、結果的に物理的に強固な密着性を有する塗装品が得られるものとする。
アクリルエマルジョン塗料による塗膜としてこのようなTgの低いものは、前記ゲル分率の場合と同様に樹脂主成分としてのメチルメタクリレート(MMA)とブチルアクリレート(BA)の割合を調整することにより可能とされる。Tgの低下は、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)の配合、さらにはシリコーン成分の配合によっても効果的なものとなる。
【0026】
そしてまた、この発明の場合には、アクリルエマルジョン塗料による塗膜の上塗り無機質コーティング剤による塗膜に対する接触角を40℃以下と小さくすることによっても有機質層としての塗膜と無機質塗膜との間の密着性を向上させることができる。
無機質塗膜に対する接触角が小さいということは、濡れ性が良いこと、すなわち、有機塗膜に対して無機質コーティング剤を均一に塗布することができ、しかも有機塗膜中の水抜け等により生成したポアー(細孔)等にも無機質コーティング剤が侵入し、アンカリング効果が得られて安定化し、密着性が良好となることを意味している。
【0027】
このように接触角を小さくするためには、前記と同様にアクリルエマルジョン塗料の組成を調整するとともに、シリコーン成分の配合が効果的でもある。このシリコーン成分は、有機塗膜のTgを低くするためにも有効に使用されるものであるが、より好ましくは、このシリコーン成分としては、前記のとおりのこの発明の無機質コーティング剤に用いたものと同様のものとすることが考慮される。Tgの低下、そして以上のとおりに接触角を小さなものとするためシリコーン成分をアクリルエマルジョン塗料に配合する場合には、その割合は、全樹脂成分のうちの割合として、5重量%以上20重量%以下とするのが適当である。5重量%未満の場合には実質的な効果が得られないし、一方20重量%を超える場合には前記のゲル分率が大きなものとなって、かえって密着性を阻害することになる。
【0028】
アクリルエマルジョン塗料を有機塗膜とする場合、この発明の以上のとおりの樹脂成分のエマルジョンに対する割合は、特に限定されることはないが、水媒体との比率として、一般的には70〜96重量%、より適当には85〜95%とすることが考慮される。
エマルジョンには乳化剤、分散剤が適宜に配合される。低分子乳化剤、そして反応型乳化剤が好ましくは使用される。ただ塗膜密着性の観点からはフリーソープとして密着不良の要因となる低分子乳化剤の使用を抑えるのが望ましいことから、低分子乳化剤は50%未満、反応型乳化剤50%以上の割合とするのが望ましい。
【0029】
また有機塗膜に添加するシリカ粉は広く市販されているものでよく、その粒径は限定されるものではないが、通常数μm 〜100μm 、中でも有機塗装中での均一分散性を考慮して、数μm 〜30μm 程度の微粉が好ましい。有機塗装への配合割合は5〜15重量%が好ましい。5重量%以下ではUV長時間照射後に剥離が生じやすくなり、15重量%以上では窯業系基材や無機層との密着性が悪くなる。さらに、シリカ粉を均一に分散するためには有機塗装がエマルジョン、溶液、または溶融状態において、サンドミルやボールミル、ペイントシェーカーなどの一般的な混合装置を用いて混合することができる。この際には、密着性や耐候性が落ちないレベルで添加助剤やフィラーを添加してもよい。
【0030】
また、エマルジョンには顔料をはじめ、鉱物油系の消泡剤や、造粘剤、パラフィン系等の撥水剤等を適宜に配合することができる。
樹脂成分以外のものの配合については、エマルジョン全体について5重量%以下の割合となるようにするのが好ましい。
【0031】
さらに、この出願の発明の塗装構成体は有機質層の上に無機層を塗布してなる。無機質層として用いられるケイ素アルコキシド系組成物について説明する。このケイ素アルコキシド系組成物は、
(a)一般式 (R1 n SiX4-n ………(I)
(式中、R1 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オルガノシランを、有機溶媒と水のうち少なくとも一方に分散されたコロイド状シリカ中で、X1モルに対し0.001〜0.5モルを使用する条件下で部分加水分解して得られるオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液と、
(b)平均組成式(R2 a Si(OH)b (4-a-b)/2 ……(II)
(式中、R2 は各々同一又は異種の置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、(R2 中の5〜50重量%がフェニル基であることが好ましい)、aおよびbはそれぞれ0.2≦a≦2.0、0.0001≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数である。)で表される、分子中にシラノール基を含有するポリオルガノシロキサンと、(c)硬化触媒の、(a)、(b)、(c)の3成分を必須成分として含有するものであり、(a)成分においてシリカを固形分として5〜95重量%含有し、かつ加水分解性オルガノシランの少なくとも50モル%がn=1のオルガノシランであり、(a)成分1〜99重量部に対して(b)を99〜1重量部(両者の合計量を100重量部とする)配合するのが好ましい。
【0032】
ケイ素アルコキシド系組成物に用いられる(a)成分のシリカ分散オリゴマーは、被膜形成に際して硬化反応に預かる官能性基としての加水分解性基Xを有するベースポリマーの主成分である。これは、有機溶媒あるいは水、もしくはこれらの混合溶液に分散したコロイド状シリカに、前記一般式(I)式で表される加水分解性オルガノシランの1種又は2種以上を加え、コロイド状シリカ中の水あるいは別途添加された水により加水分解性オルガノシランを部分加水分解することで得られる。
【0033】
前記一般式(I)で表される加水分解性オルガノシラン中のR1 としては、炭素数1〜8の置換又は非置換の1価の炭化水素基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基などの置換炭化水素基等を例示することができる。これらの中でも合成の容易さ、あるいは入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基及び、フェニル基が好ましい。
【0034】
前記一般式(I)中の加水分解性基Xとしては、アルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、エノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基などが挙げられる。これらの中でも入手の容易さ及びシリカ分散オリゴマー溶液(a)を調製し易いことからアルコキシ基が好ましい。このような加水分解性オルガノシランとしては、上記一般式(I)中のnが0〜3の整数である、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキシシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン類、アミドシラン類などが挙げられる。これらの中でも入手の容易さ及びシリカ分散オリゴマー溶液(a)を調製し易いことからアルコキシシラン類が好ましい。
【0035】
一般にシランカップリング剤とよばれるオルガノシラン化合物もアルコキシシラン類として用いることができる。
これらの一般式(I)の加水分解性オルガノシランのうち、50モル%以上がn=1で表される3官能性のものであることが好ましい。より好ましくは60モル%以上であり、最も好ましくは70モル%以上である。n=1の3官能性のものが50モル%未満では、十分な塗膜硬度を得ることが難しいと共に、乾燥硬化性が劣り易くなるものである。
【0036】
(a)成分で使用するコロイド状シリカとしては、水分散性あるいはアルコールなどの非水系の有機溶媒分散性コロイド状シリカを使用することができ、このコロイド状シリカは、微粒子シリカ成分を水、メタノール等の有機溶剤または、これらの混合溶剤中に分散して使用するが、それらがコロイド状である限り、その粒径や溶剤種は制限されるものではない。一般にこのようなコロイド状シリカは固形分としてのシリカを20〜50重量%含有しており、この値からシリカ配合量を決定できる。
【0037】
水分散性コロイド状シリカを使用する場合、固形分以外の成分として存在する水は(a)成分の加水分解に用いることができる。水分散性コロイド状シリカは通常水ガラスから作られるが、このようなコロイド状シリカは市販品を容易に入手することができる。また有機溶媒分散性のコロイド状シリカは、前記水分散性コロイド状シリカの水を有機溶媒と置換することで容易に調製することができる。このような有機溶媒分散性コロイド状シリカも水分散性コロイド状シリカと同様に市販品を容易に入手することができる。
【0038】
(a)成分中のコロイド状シリカは、ケイ素アルコキシド系組成物の硬化被膜の硬度を高くするために必須のものである。(a)成分中においてコロイド状シリカは、シリカ固形分として5〜95重量%の範囲で含有されるのが好ましい。より好ましくは10〜90重量%、最も好ましくは20〜85重量%の範囲である。含有量が5重量%未満であると所望の被膜硬度が得られず、また95重量%を超えるとシリカの均一分散が困難となり、(a)成分にゲル化等の不都合を招来するおそれがある。
【0039】
(a)成分のオルガノシランのシリカ分散オリゴマーは、通常、一般式(I)の加水分解性オルガノシランを水分散性コロイド状シリカまたは有機溶媒分散性コロイド状シリカの少なくとも一方の中で部分加水分解して得ることができる。加水分解性オルガノシランに対する水の使用量は、加水分解性基X1モルに対して水0.001〜0.5モルが好ましい。水の使用量が0.001モル未満であると充分な部分加水分解物を得ることができず、また水の使用量が0.5モルを超えると部分加水分解物の安定性が悪くなるおそれがある。部分加水分解する方法は特に限定されないものであり、加水分解性オルガノシランとコロイド状シリカとを混合して必要量の水を添加配合すればよく、このとき部分加水分解反応は常温で進行するが、部分加水分解反応を促進させるために60〜100℃に加温するようにしてもよい。さらに部分加水分解反応を促進させる目的で、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸などの無機酸や有機酸を触媒として用いてもよい。
【0040】
(a)成分のオルガノシランのシリカ分散オリゴマーは、長期的に安定した性能を得るために、液のpH値を2.0〜7.0の範囲に、より好ましくはpH2.5〜6.5の範囲に、さらにより好ましくはpH3.0〜6.0の範囲に調整するのがよい。pH値がこの範囲外であると、特に水の使用量がX1モルに対し0.3モル以上のときに(a)成分の長期的な性能低下が著しくなることがある。(a)成分のpH値がこの範囲外にあれば、この範囲より酸性側のときにはアンモニア、エチレンジアミン等の塩基性試薬を添加してpH値を調整すればよく、この範囲より塩基性側のときには塩酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を用いてpH値を調整すればよい。この調整の方法は特に限定されるものではない。
【0041】
ケイ素アルコキシド系組成物で用いる(b)成分のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンは、平均組成式が上記(II) 式で表されるものであり、(II) 式中のR2 としては、上記(I)式中のR1 と同じものを例示することができるが、R2 中の5〜50重量%はフェニル基である。フェニル基が5重量%未満では塗膜の伸びが低下しクラックが発生し易くなり、50重量%を超えると硬化が遅くなり過ぎてしまうおそれがある。この他のR2 は好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−アミノプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換炭化水素基、より好ましくはメチル基およびエチル基のアルキル基である。また(II) 式中、a及びbはそれぞれ0.2≦a≦2.0、0.0001≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数であり、aが0.2未満又はbが3を超えると、硬化被膜にクラックを生じるなどの不都合があり、またaが2を超え4以下の場合又はbが0.0001未満であると、硬化がうまく進行しないものである。
【0042】
このような(II) 式のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンは、たとえば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、もしくはこれらに対応するアルコキシシランの1種もしくは2種以上の混合物を公知の方法により大量の水で加水分解することによって得ることができる。シラノール基含有ポリオルガノシロキサンを得るために、アルコキシシランを用いて公知の方法で加水分解した場合、加水分解されないアルコキシ基が微量に残ることがある。つまりシラノール基と極微量のアルコキシ基が共存するようなポリオルガノシロキサンが得られることがあるが、このようなポリオルガノシロキサンを用いても差支えない。
【0043】
またこのような(b)成分のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンの分子量は700〜20000が好ましい。ここでいう分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による標準ポリスチレン換算による重量平均分子量であり、700未満の場合、形成された塗膜の硬化性が遅く、またクラックが発生し易くなり、20000を超える場合、顔料を添加されたケイ素アルコキシド系組成物から形成された塗膜に光沢がなく、また平滑性も悪くなるおそれがある。
【0044】
ケイ素アルコキシド系組成物で用いる(c)成分の硬化触媒は、上記の(a)成分と(b)成分との縮合反応を促進し、被膜を硬化させるものである。このような触媒としては、アルキルチタン酸塩、オクチル酸錫およびジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレート等のカルボン酸の金属塩; ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩;酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチルペンタミン等のアミン類;N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネート等のチタニウム化合物、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン等のハロゲン化シラン等があるが、これらの他にも(a)成分と(b)成分との縮合反応に有効なものであれば特に制限されない。
【0045】
(a)成分と(b)成分の配合割合は、(a)成分1〜99重量部に対して(b)成分99〜1重量部であり、好ましくは(a)成分5〜95重量部に対して(b)成分95〜5重量部、より好ましくは(a)成分10〜90重量部に対して(b)成分90〜10重量部である(但し、(a)成分と(b)成分の合計量100重量部)。(a)成分が1重量部未満であると常温硬化性に劣ると共に十分な被膜硬度が得られない。逆に(a)成分が99重量部を超えると硬化性が不安定で且つ良好な被膜が得られないおそれがある。
【0046】
また(c)成分の硬化触媒の添加量は、(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して0.0001〜10重量部であることが好ましい。より好ましくは0.0005〜8重量部であり、最も好ましくは0.0007〜5重量部である。硬化触媒(c)の添加量が0.0001重量部未満であると常温で硬化しない場合があり、また硬化触媒(c)の添加量が10重量部を超えると被膜の耐熱性や耐候性が悪くなる場合がある。
【0047】
上記のように精製されるケイ素アルコキシド系組成物には顔料やフィラーを添加してもよい。添加する顔料種としては、カーボンブラック、キナクリドン、ナフトールレッド、シアニンブルー、シアニングリーン、ハンザイエロー等の有機顔料や、酸化チタン、硫酸バリウム、弁柄、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化鉄赤、複合金属酸化物等の無機顔料がよく、これらの群から選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、耐候性を向上させるには無機顔料が好ましい。またフィラーとしてはシリカ粉や硫酸バリウム等を用いることができるものであり、上記に列挙する群から選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。顔料やフィラーの粒径は特に限定されないが、平均粒径で0.01〜4μm程度が好ましい。
【0048】
顔料の添加量は顔料の種類により隠蔽性が異なるので特に限定されないが、無機顔料の場合、樹脂固形分100重量部に対して15〜80重量部の範囲が好ましい。15重量部未満の場合は隠蔽性を十分に得ることができず、また80重量部を超えると塗膜の平滑性が悪くなるおそれがある。顔料の分散は通常の方法で行うことができ、またその際に分散剤、分散助剤、増粘剤、カップリング剤等を使用することが可能である。
【0049】
そして、この出願の発明においては、上記のケイ素アルコキシド系組成物は、紫外線を防御するためにカーボン粉末やその他の紫外線防御剤が配合されていてもよい。カーボン粉末そのものについては、市販品をはじめとするカーボンブラックやグラファイト粉末等の各種のものでよく、比較的安価なものとして入手されるものであってよい。
【0050】
カーボン粉末は、無機質コーティング剤において30μm以下の平均粒径のものとして配合されるようにするのが望ましい。より好ましくは10μm以下である。30μmを超える平均粒径の場合には、カーボン粉末の均一分数が難しく、また、所要の耐紫外線効果が充分に得られないことになる。このため、均一分散処理が可能な範囲で、30μm以下、さらには10μm以下となるようにできるだけ小さな平均粒径のものとする。
【0051】
また、カーボン粉末の配合割合については、ケイ素アルコキシド系組成物の固形分に対する重量比として、一般的にはカーボン粉末が3重量%以上30重量%以下とするのが適当である。より好ましくは5重量%以上20重量%以下である。一般的に、たとえば無機質コーティング剤の塗布量を10g/m2 程度とした場合、3重量%未満の配合では充分な紫外線カットの効果を得ることは難しく、一方、30重量%を超える場合には、カーボン粉末の配合によって黒色あるいはその近似色となった無機質コーティング塗膜の光沢が失われる傾向にあり、また、強度等の性能も低下するため適当ではない。
【0052】
カーボン粉末の配合が均一分散として行われるようにするには、あらかじめカーボンのペーストを用意し、このものを前記のケイ素アルコキシド系組成物に混合することが有効でもある。
すなわち、前記(a)のオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液に用いる一般式(R1 n SiX4-n で表される加水分解性オルガノシランには微粒子カーボン粉末を容易に分散させることができ、この分散液は長期貯蔵安定性にも優れていることが、発明者等によって見いだされている。そこでこの加水分解性オルガノシランにカーボン粉末を添加して分散させたペースト状態で使用することが有効となる。加水分解性オルガノシランにカーボン粉末を直接添加する他に、(R1 n SiX4-n の加水分解性オルガノシランをコロイド状シリカ中で部分加水分解して調製した(a)のオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液にカーボン粉末を添加して分散させるようにしてもよく、カーボン粉末を分散させたこのシリカ分散オリゴマー溶液をケイ素アルコキシド系組成物に添加することによって、この発明の無機質コーティング剤を調製することができる。
【0053】
上記の分散はサンドミルやボールミル、ペイントシェーカーなど一般的な混合装置を用いて行うことができる。またこの際に耐候性が落ちないレベルで添加助剤やフィラーを添加してもよい。
また、この発明の無機質コーティング剤には、さらに、または代わりに、所望により、従来より知られている有機系あるいは無機系の紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0054】
紫外線吸収剤としては、2(2′ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物や、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物などの有機系紫外線吸収剤や、微粒子酸化亜鉛や微粒子酸化チタンなどの無機系紫外線吸収剤を用いることができるものであり、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤とを併用することもできる。
【0055】
さらにこれらの有機塗装、無機塗装はそれぞれ通常の塗布方法で塗装を行うことができる。たとえば刷毛塗り、スプレー、浸漬、フロー、ロール、カーテン、ナイフコート等の各種の塗布方法を採用することができる。また有機溶媒で希釈して使用することもでき、希釈割合は特に制限はなく必要に応じて希釈割合を決定すればよい。塗布被膜の厚みは特に制限されないものであり、0.1〜100μm程度であればよいが、塗膜が長期的に安定して密着し、クラックやハガレが発生しないようにするためには1〜80μmの範囲が好ましい。なお、焼き付けは、5〜250℃程度が好ましい。
【0056】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。もちろん、この出願の発明は以下の例によって限定されるものではない。
また以下においては、特に説明がない限り、「%」は「重量%」を、「部」は「重量部」を示している。
【0057】
【実施例】
〔ケイ素アルコキシド系組成物の調製〕
(a)成分の調製
攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー及び温度計を取り付けたフラスコ中にイソプロピルアルコール分散コロイダルシリカゾル(日産化学工業社製「IPA−ST」、粒子径10〜20μm、固形分30%、H2 O0.5%)100部、メチルトリメトキシシラン68部、ジメチルメトキシシラン18部、水2.7部、無水酢酸0.1部を投入し、攪拌しながら80℃の温度で約3時間かけて部分加水分解反応を行ない、そして冷却することによって(a)成分を得た。このものは室温で48時間放置したときの固形分が36%であった。
【0058】
この(a)成分調製条件は次の通りとした。
・加水分解性基X1モルに対する水のモル数 …0.1
・(a)成分のシリカ分含有量 …40.2%
・n=1の加水分解性基含有オルガノシランのモル% …77モル%
【0059】
(b)成分の調製
攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロール及び温度計を取り付けたフラスコに水1000部、アセトン50部を計り取り、その混合溶液中にメチルトリクロロシラン59.7部(0.4モル)、ジメチルジクロロシラン51.6部(0.4モル)、フェニルトリクロロシラン42.3部(0.2モル)をトルエン200部に溶解したものを攪拌下に滴下しながら加水分解した。滴下40分後に攪拌を止め、反応液を分液ロートに移し入れて静置した後、2層に分離した下層の塩酸水を分液除去し、次に上層のオルガノポリシロキサンのトルエン溶液を減圧ストリッピングにより残存している水、および塩酸を過剰のトルエンと共に留去して除去し、平均分子量3000のシラノール基含有オルガノポリシロキサンのトルエン60%溶液を得た。このものはR4 中のフェニル基量が14%である。
【0060】
(a)成分、(b)成分および(c)成分の調合
硬化触媒の(c)成分としてN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランを用い、(a)成分65部、(b)成分50部、(c)成分1部の割合で混合して攪拌することによって、ケイ素アルコキシド系組成物(B)を調製した。
【0061】
(実施例1〜3)
シリカ粉含有ポリマーの調合
樹脂分に対してシリカ濃度が5、15重量%となるようにシリカ粉を溶液状態のエポキシ塗料に、またシリカ濃度が樹脂分に対して10重量%となるようにアクリルエマルジョン塗料にそれぞれ添加し、ボールミルにて軽く攪拌した。
【0062】
窯業系基材(松下電工(株)製)の表面に上で調合したシリカ粉含有エポキシ塗料およびアクリル塗料を乾燥膜厚約40μm になるように塗装し、エポキシ塗料では90℃20分間、アクリル塗料では120℃4分間、それぞれ焼付処理することによって有機塗膜を形成した。さらにこの上に上記の無機質コーティング剤を乾燥塗膜厚約5μm になるよう塗布し、150℃20分間焼き付けて塗膜構成体を作製した。
【0063】
(比較例1)
窯業系基材(松下電工製)の表面にシリカ粉を含有しないエポキシ塗料を乾燥膜厚約40μm になるように塗装し、90℃20分間焼付処理することによって有機塗膜を形成した。さらにこの上に上記の無機質コーティング剤を乾燥塗膜厚約5μm になるよう塗布し、150℃20分間焼き付けて塗装構成体を形成した。
【0064】
(比較例2)
窯業系基材にシリカ粉を3重量%添加したアクリルエマルジョン塗料を塗布し、120℃4分間乾燥し、有機塗膜を形成した。さらにその上に上記無機塗装を乾燥塗膜厚約5μm になるよう塗布し、150℃20分で焼き付けて塗装構成体を作製した。
【0065】
(比較例3)
窯業系基材にシリカ粉を20重量%添加したエポキシ塗料を乾燥膜厚40μm になるように塗布し、90℃20分間焼き付けした上に無機塗装を乾燥膜厚約5μm になるように塗布し、150℃20分で焼き付けて塗装構成体とした。
【0066】
<密着試験>
実施例1〜3及び比較例1〜3で得た塗装構成体を60℃の温水に8時間浸漬し、その後16時間風乾する工程を1サイクルとして30サイクル繰り返し、JIS5400に従い、密着性試験を行った。
【0067】
<耐候性試験>
実施例1〜3及び比較例1〜2で得た塗装構成体について、アイスパーUVテスターにてUV照射を1500hrまで行い、塗装構成体の光沢、色を測定した(日本電色社製「Σ80」)。
密着性試験およびUV照射による耐候性試験の結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0003761747
【0069】
表1の結果に見られるように、いずれの有機塗料を用いた塗装構成体でも、シリカ粉を5〜15重量%添加した有機層を用いたもので密着性、耐候性ともに優れていることが分かる。一方、シリカ粉添加量が3重量%のものでは密着性が良好とはいえず、また耐候性も悪いことが分かる。さらにシリカ粉添加量が20重量%の塗装構成体では密着性が悪く、耐候性もあまり良くないことが分かる。
【0070】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明では、窯業系基材上に該基材にも無機塗装にも密着性の高い有機塗膜を塗布し、さらにその上から無機塗装を塗布して得られる塗装構成体において、有機塗膜にシリカ分を5〜15重量%添加することによって、塗装構成体の有機・無機層間の密着性が向上し、塗装構成体の長期耐久性が大きく向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は塗装構成体の概略を示した断面図である。
【符号の説明】
1 窯業系基材
2 有機塗膜
3 無機質塗膜

Claims (6)

  1. 窯業系基材上に、該基材にも無機塗装にも密着性の高い有機塗膜を塗布し、さらにその上から無機塗装を塗布して得られる塗装構成体において、該有機塗膜がシリカ粉5〜15重量%を含むことを特徴とする塗装構成体。
  2. 前記塗装構成体において有機塗膜が、アクリルエマルジョン塗料による塗膜であって、アクリルエマルジョン塗料は、メチルメタクリレートおよびブチルアクリレートを樹脂主成分とし、塗膜のゲル分率が30%以下であることを特徴とする請求項1の塗装構成体。
  3. 前記塗装構成体において有機塗膜が、アクリルエマルジョン塗料による塗膜であって、アクリルエマルジョン塗料は、メチルメタクリレートおよびブチルアクリレートを樹脂主成分とし、塗膜のTg(ガラス転移温度)が50℃以下であることを特徴とする請求項1、または2の塗装構成体。
  4. 前記塗装構成体において有機塗膜が、アクリルエマルジョン塗料による塗膜であって、アクリルエマルジョン塗料は、メチルメタクリレートおよびブチルアクリレートを樹脂主成分とし、上塗りの無機質コーティング剤との接触角が40度以下であることを特徴とする請求項1〜3の塗装構成体。
  5. 前記塗装構成体において、無機塗装とはケイ素アルコキシドコーティングであることを特徴とする請求項1〜4の塗装構成体。
  6. 前記塗装構成体において、その構造が
    (a)一般式 (R1 n SiX4-n
    (式中、R1 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表す。nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オルガノシランを、有機溶媒及び/又は水に分散されたコロイド状シリカ中で部分加水分解してなる、オルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液と、
    (b)平均組成式 (R2 a Si(OH)b (4-a-b)/2
    (式中、R2 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、aおよびbはそれぞれ0.2≦a≦2.0、0.0001≦b≦3、a+b<4の関係を満たす数である。)で表される、分子中にシラノール基を含有するポリオルガノシロキサンと、(c)硬化触媒の、(a)、(b)、(c)の3成分を必須成分として含有するケイ素アルコキシド系組成物を含む無機質コーティング剤であることを特徴とする請求項1〜5の塗装構成体。
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