JP3760828B2 - 共重合体およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン系樹脂用の接着剤として用いられる共重合体およびその用途に関する。また本発明は、ポリ塩化ビニルからなるものに似たフィルム、シートまたはパイプの製造に適した共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にストレッチフィルムやラップフィルム、パイプとして用いられる共重合体には、ポリ塩化ビニルにみられるような粘弾特性(弾性回復性や遅延回復性)と耐熱性とのバランスおよび透明性が要求される。しかし、ポリ塩化ビニルは、燃焼時に有害物質が発生する可能性がある等環境汚染に関して問題視されている。現在、エチレン共重合体等のポリマーによるポリ塩化ビニルの代替が検討されているが、十分満足のいくものが得られていないのが実状である。
【0003】
また、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂に対する接着性に優れる接着剤は、家電製品のハウジング、自動車の外装用品等に幅広く使用されており、既に、該接着剤として、エチレン−アルケニル芳香族炭化水素共重合体を有効成分とする接着剤が提案されている(特開2001−19924号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
最近、ポリプロピレンに対して、さらに接着性を向上せしめた接着剤が求められるようになってきた。本発明の目的は、オレフィン系樹脂(中でもポリプロピレン)に対する接着性に優れる接着剤、および該接着剤として用いられる共重合体を提供することにあり、そして、層間の接着性に優れた積層体を提供することにある。
また本発明のほかの目的は、環境汚染の観点で問題視されているハロゲンを含有しない構成をとり得る共重合体であって、透明性に優れ、また粘弾特性と耐熱性とのバランスに優れた共重合体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エチレンと下記ビニル化合物(I)との共重合体であって、共重合体の骨格において、置換基Rで置換された炭素原子同士が1個のメチレン基によって隔てられる構造を有する共重合体を有効成分とする接着剤および該接着剤からなる層が被着体に積層してなる積層体にかかるものである。
ビニル化合物(I):飽和炭化水素基Rを含む構造式CH2=CH−Rで表され、置換基Rの立体パラメータEsが−2.77〜−1.64であり、かつ置換基Rの立体パラメータB1が1.53〜2.90であるビニル化合物。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるビニル化合物(I)は、特定の範囲の立体パラメータEsおよびB1の飽和炭化水素基Rを有するCH2=CH−Rで表されるビニル化合物である。
ここでいう立体パラメータEsおよびB1は、置換基の立体的嵩高さを表すパラメータ(Esは三次元的な広がりを、B1は二次元的な広がりを表す)であり、文献(C.Hansch and A.Leo:“Exploring QSAR Fundamentals and Applications in Chemistry and Biology”Chapter3(ACS Professional Reference Book,Wasington,DC(1995))に記載されている方法で求める。
Esの値が小さいほど三次元的な広がりが大きく、B1の値が大きいほど二次元的な広がりが大きいことを表す。
【0007】
本発明において、該置換基Rの立体パラメータEsは−2.77〜−1.64であり、好ましくは−2.37〜−1.71、より好ましくは−2.22〜−1.75であり、また置換基Rの立体パラメータB1は1.53〜2.90であり、好ましくは1.70〜2.50である。
該立体パラメータEsが小さすぎると、共重合体を得ることが困難であり、また大きすぎると、得られる共重合体は弾性回復性や遅延回復性に劣り好ましくない。また、該立体パラメータB1が小さすぎると、共重合体は弾性回復性や遅延回復性に劣り、大きすぎると、共重合体を得ることが困難となるので好ましくない。
【0008】
かかる置換基Rとして具体的には、例えばシクロヘキシル基、シクロペンチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。本発明で使用するビニル化合物(I)として好ましくは、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、3−メチルブテン−1、または3−メチルペンテン−1であり、中でも特にビニルシクロヘキサンが好ましい。
【0009】
以下に、ビニル化合物(I)を例示する。
【0010】
参考のため、ビニル化合物(I)に該当しないいくつかのビニル化合物の立体パラメータを以下に示す。これらの化合物のビニル基に結合した置換基は、あまり嵩高くない。
【0012】
本発明の共重合体においては、ビニル化合物(I)の共重合組成は通常5〜90mol%である。かかるビニル化合物(I)の共重合組成は、1 H−NMRスペクトルや13C−NMRスペクトルを用いる定法により容易に求められる。
【0013】
ビニル化合物(I)の共重合組成がより低いと、透明性および粘弾特性に優れ、また柔軟性に優れたフィルムまたはシート(中でもストレッチフィルムまたはラップフィルム)として好適な軟質ポリ塩化ビニルのような共重合体が得られる。その場合のビニル化合物(I)の共重合組成としてより好ましくは10〜50mol%であり、さらに好ましくは15〜45mol%であり、特に好ましくは20〜40mol%であり、最も好ましくは25〜35mol%である。ビニル化合物(I)の共重合組成がより高いと、耐熱性に優れたパイプ等として好適な硬質ポリ塩化ビニルのような共重合体が得られる。その場合のビニル化合物(I)の共重合組成としてより好ましくは40〜90mol%であり、さらに好ましくは50〜90mol%であり、特に好ましくは60〜85mol%であり、最も好ましくは65〜85mol%である。このようにビニル化合物(I)の共重合組成がより高いと、制振性能にもより優れる。
【0014】
接着性能の観点から、ビニル化合物(I)の共重合組成としてより好ましくは5〜70mol%であり、さらに好ましくは10〜60mol%であり、特に好ましくは10〜55mol%である。
【0015】
本発明の共重合体におけるポリマー骨格(ポリマーの分子鎖中に分岐したポリマー鎖がある場合はそれも含む。)中のエチレンとビニル化合物(I)のシーケンスは、13C−NMRスペクトルにより決定される。表1は、種々のメチレン炭素の化学シフトをまとめたものである。表1において、実測値は、本明細書の実施例に記載した方法で測定した際の実測値を示し、計算値は、文献(L.P.Lindeman,J.Q.Adams:ANALYTICAL CHEMISTRY,Vol.43,No.10,1245〜1252,1971)の方法で求めた計算値を示す。
【表1】
【0016】
ここで、Sαα等の表記は次のルールに従うものとする。
本発明のエチレンとビニル化合物(I)との共重合体においては、共重合体の骨格中にはビニル化合物(I)由来の置換基Rの結合した3級炭素原子と、2級炭素原子とが存在する。そして、該共重合体の骨格中において2つの3級炭素原子に挟まれた2級炭素原子に着目し、一方の3級炭素原子のα位に該当するとともに他方の3級炭素原子のα位に該当する位置の2級炭素原子をSααとし、また例えば、一方の3級炭素原子のα位に該当するとともに他方の3級炭素原子のγ位に該当する位置の2級炭素原子をSαγとする。まとめると以下の表2の通りであり、Sαα、SαγおよびSββについて構造式で示すと、以下の式(1)や(2)に記載の通りである。
【表2】
なお、3級炭素原子からの位置がδ位よりも遠く(例えばε位)ても、それが2級炭素の化学シフトに及ぼす影響はδ位と同程度であるので、Sαε等とはせずにSαδ等と表記する。
【0017】
【0018】
ビニルシクロヘキサンの共重合組成が2mol%で結晶性を有するエチレンとビニルシクロヘキサンとの共重合体の13C−NMRスペクトルにおいては、ポリマー骨格中のメチレン炭素は、Sαδ(32.1ppm)、Sγδ(30.7ppm)、Sδδ(30.0ppm)、Sβδ(28.3ppm)の4種類のみ観測され、ビニルシクロヘキサンの単位がポリマー骨格中で孤立している(つまり、シクロヘキシル基で置換された炭素原子同士が、4個以上のメチレン基によって隔てられる)構造しか存在しないことがわかった。
【0019】
表1における化学シフトの値は、ビニル化合物(I)がビニルシクロペンタン、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1であってもあまり変わらない。
【0020】
本発明の共重合体は好ましくは、その骨格において、ビニル化合物(I)に由来する置換基Rで置換された炭素原子同士が1個のメチレン基によって隔てられる構造を有する。即ち本発明の他の好ましい共重合体は、13C−NMRスペクトルにおいて、Sααとして示されるメチレン基に基づくピークが観測される。かかる場合には、ポリマー骨格中で2つのビニル化合物(I)に由来する単位が同方向で2個連続して結合した、いわゆるhead−to−tail結合した連鎖が存在することを表し、このような結合が起きた場合、ビニル化合物(I)の共重合組成を広範囲で制御することができ、共重合体は粘弾特性や柔軟性、接着性、耐熱性、制振性能に優れ、好ましい。
本発明において、オレフィン系樹脂に対する接着性に優れる接着剤として用いられる共重合体は、エチレンと下記ビニル化合物(I)との共重合体であって、共重合体の骨格において、置換基Rで置換された炭素原子同士が1個のメチレン基によって隔てられる構造を有する共重合体である。
【0021】
本発明における共重合体は、耐候性という観点から共重合体の末端を除くポリマーの全ての分子構造(置換基Rも含む)中に2重結合を含まないことが好ましい。ポリマーの分子構造中に二重結合を含む共重合体は熱安定性に劣って成形加工中のゲル化によるフィシュアイ発生などの問題が生じる場合が多い。
【0022】
本発明の共重合体は、機械的強度、透明性といった観点から重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が好ましくは1.5〜4.0であり、さらに好ましくは1.5〜3.5であり、特に好ましくは1.5〜3.0である。
【0023】
本発明の共重合体は機械的強度の観点から、重量平均分子量(Mw)が好ましくは10,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは30,000〜500,000であり、特に好ましくは50,000〜400,000である。また、本発明の共重合体は接着性能の観点から、重量平均分子量(Mw)が好ましくは1,000〜500,000であり、さらに好ましくは2,000〜300,000であり、特に好ましくは5,000〜200,000である。
【0024】
本発明の共重合体は、機械的強度の観点から極限粘度[η]の値が好ましくは0.25〜10.0dl/gであり、さらに好ましくは0.3〜6.0dl/gであり、特に好ましくは0.35〜5.0dl/gである。
【0025】
本発明における共重合体は、エチレンとビニル化合物(I)に加え、さらに1種またはそれ以上の付加重合性モノマーとの共重合体であっても良い。該付加重合性モノマーとしては、例えば炭素数3〜20のα−オレフィン、または他のビニル化合物を挙げることができる。
【0026】
かかるα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1等の直鎖状オレフィン類、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチル−ヘキセン−1等の分岐状オレフィン類等が挙げられる。より好ましいα−オレフィンは、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、または4−メチルペンテン−1であり、特に好ましくはプロピレン、ブテン−1、またはへキセン−1である。
【0027】
また他のビニル化合物の具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられ、それらの1種または2種以上が好ましく用いられる。
【0028】
かかる本発明の共重合体は、例えば、イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドおよびメチルアルモキサンを接触させて得られる触媒の存在下、エチレンとビニル化合物(I)とを共重合することにより製造される。その際、エチレンやビニル化合物(I)の投入量、重合温度や重合時間などの重合条件を適宜変更することで、共重合組成や分子量等の異なる共重合体を得ることができる。
【0029】
かかる製造方法においては、用いる触媒の種類や重合条件によっては、本発明の共重合体以外にエチレンの単独重合体やビニル化合物(I)の単独重合体が副生することがある。そのような場合は、ソックスレー抽出器等を用いた溶媒抽出を行うことにより、容易に本発明の共重合体を分取することができる。かかる抽出に用いる溶媒はビニル化合物(I)の種類に応じて適宜選ぶことができる。例えば、ポリビニルシクロヘキサン等ビニル化合物(I)の単独重合体はトルエンを用いた抽出の不溶成分として、またポリエチレンはクロロホルムを用いた抽出の不溶成分として除去することができ、共重合体は両溶媒の可溶成分として分取することができる。
もちろん本発明の共重合体は、用途により問題なければ、そのような副生物の存在したまま使用してもよい。
【0030】
かかる本発明の透明性に優れ粘弾特性と耐熱性のバランスに優れる共重合体は、ポリ塩化ビニルから得られるようなフィルム、シートまたはパイプとして、或いは容器等として使用され、またコンパクトディスク等の記憶媒体の基盤やレンズとして用いられる。
【0031】
フィルム、シート、パイプ或いは容器は例えば、円形ダイから溶融させた樹脂を押出し、筒状に膨らませたフィルムを巻き取るインフレーション成形加工や、直線状ダイから溶融させた樹脂を押出し、フィルムまたはシートを巻き取るTダイ成形加工やカレンダー成形加工、ブロー成形加工、射出成形加工、異形押出し成形加工などにより得ることができる。
【0032】
かかる本発明の成形品は、柔軟性や粘弾特性に優れる。かかる柔軟性や粘弾特性は引張り試験を行い、ヒステリシスカーブを取得することにより調べることができる。
【0033】
本発明の共重合体は、他の素材との2層以上の多層フィルム、シートまたはパイプといった形態で使用することも可能である。その際フィルム、シートまたはパイプは、共押出法、ドライラミネーション法、サンドイッチラミネーション法、押出ラミネーション法等公知の各種貼り合わせ方法等により製造できる。他の素材としては、紙、板紙、アルミニウム薄膜、セロハン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等公知の素材を用いることができる。
【0034】
本発明の成形品には必要に応じて、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無滴剤、顔料、フィラー等公知の添加剤を含有させることができる。また、ラジカル重合法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合エラストマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート等の公知の高分子物質が配合されていてもよい。
本発明の成形品は、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、紫外線照射、電子線照射等の公知の後処理を施すことができる。
【0035】
本発明において、オレフィン系樹脂に対する接着性に優れる接着剤として用いられる共重合体は、エチレンと下記ビニル化合物(I)との共重合体であって、共重合体の骨格において、置換基Rで置換された炭素原子同士が1個のメチレン基によって隔てられる構造を有する共重合体であり、本発明の接着剤は該共重合体を有効成分とする接着剤である。本発明の接着剤には、接着性を損なわない範囲でフェノール系安定剤、フォスファイト系安定剤、アミン系安定剤、アミド系安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、沈降防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤などの安定剤;揺変剤、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、耐候剤、顔料分散剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、難燃剤、油剤、染料などの添加剤;酸化チタン(ルチル型)、酸化亜鉛などの遷移金属化合物、カーボンブラック等の顔料;ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ウオラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、ガラスフレーク、硫酸バリウム、クレー、カオリン、微粉末シリカ、マイカ、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、セライトなどの無機、有機の充填剤等を含有していてもよい。
【0036】
さらに、接着剤は、水、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メタノ−ル、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類等の溶剤を含有していても良い。接着剤における溶媒の含有量は、共重合体100重量部に対して、通常、150〜3000重量部程度、好ましくは200〜2000重量部程度である。
接着剤が溶媒を含有する場合には、共重合体、安定剤、添加剤、顔料、充填剤等が溶媒に溶解していても分散していてもよい。
【0037】
本発明の積層体は該接着剤からなる層が被着体に積層してなるものである。
被着体としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体などのオレフィン系樹脂;ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、エチレン・(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の極性基含有熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂などの極性基含有熱硬化性樹脂;金属、ガラス、セメントなどの無機材料;紙、木材などのセルロース系高分子材料などが挙げられる。
また、積層体には、2種類以上の異なった種類の被着体を使用しても良い。
被着体の中でも極性基含有熱可塑性樹脂またはオレフィン系樹脂が好ましく、とりわけ、ポリプロピレンが好適である。
被着体は、例えば、前記の安定剤、添加剤、顔料、充填剤、溶剤等を含有していても良い。
【0038】
本発明の積層体の製造方法としては、例えば、被着体、接着剤、被着体の順に順次積層したのち熱プレスする方法;被着体の上に溶液状の接着剤を塗布したのち溶媒を乾燥し他の被着体を積層する方法;被着体の上に溶液状の接着剤を塗布し、次いで被着体を形成する材料を溶解した溶液を塗布したのち加熱することにより接着、積層する方法;被着体、共重合体および被着体を共押出し成形により積層する方法などが挙げられる。
【0039】
前記被着体を形成する材料を溶解した溶液としては、例えば、極性基含有熱可塑性樹脂または極性基含有熱硬化性樹脂と、顔料、溶剤などを含有してなる溶液が挙げられる。極性基含有熱可塑性樹脂または極性基含有熱硬化性樹脂と、顔料、溶剤などを含有してなる溶液は、塗料として取扱うことができる。即ち本発明の接着剤は、基材と塗料との接着性を高めるための接着剤としても用いられ、その場合、本発明で得られる積層体における被着体は本発明の接着剤からなる層の両側にあり、被着体の一方は基材、他方は塗膜である。
塗料としては、2種類以上の極性基含有熱可塑性樹脂または極性基含有熱硬化性樹脂を混合して使用しても良く、さらに、少なくとも1種類の塗料を複数回塗装してもよい。
【0040】
本発明の接着剤の使用形態のほかの例としては、自動車のコンソールボックスやバンパーのような形状の基材と、木目調などに加飾した加飾フィルムを熱成形により該基材の表面形状に腑形したものとを接着させる接着剤としての使用形態が挙げられる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例によりその範囲を限定されるものではない。なお、実施例中における重合体の性質は、下記の方法によって測定した。
【0042】
極限粘度[η]は、ウベローデ型粘度計を用い、テトラリンを溶媒として135℃で測定した。
【0043】
ガラス転移点は、DSC(セイコー電子工業社製 SSC−5200)を用いて、以下の条件で測定し、その変曲点より求めた。
昇温 20℃〜200℃(20℃/分)10分間保持
冷却 200℃〜−50℃(20℃/分)10分間保持
測定 −50℃〜300℃(20℃/分)
【0044】
分子量および分子量分布は、下記の2種類のゲル・パーミュエーション・クロマトグラフを用いて求めた。なお、分子量分布は重量平均分子量と数平均分子量との比(重量平均分子量/数平均分子量)で評価した。
(実施例1および2の場合)
機種 Waters製 150−CV
カラム shodex 806M/S
測定温度 145℃
測定溶媒 オルトジクロロベンゼン
測定濃度 1mg/ml
(実施例3の場合)
機種 日本分光社製 800シリーズ
カラム shodex A806M
測定温度 45℃
測定溶媒 テトラヒドロフラン
測定濃度 0.5mg/ml
(実施例6〜8および比較例1、2の場合)
機種 Waters製 150−C)
カラム shodex A−80M
測定温度 140℃
測定溶媒 オルトジクロロベンゼン
測定濃度 1mg/ml
【0045】
重合体中のビニル化合物(I)の共重合組成および重合体の構造は、13C−NMR解析により求めた。
13C−NMR装置 BRUKER社製 DRX600
測定溶媒 オルトジクロロベンゼンとオルトジクロロベンゼン−d4の4:1(容積比)混合液
測定温度 135℃
【0046】
重合体のヒステリシスカーブは、ストログラフ−T(東洋精機製作所製)を用い、以下の条件にて求めた。
試験片 厚み0.3mm 幅3mmのプレスシート
引張り速度 50mm/分
引張り倍率 2倍
チャック間距離 35mm
測定温度 23℃
【0047】
重合体の固体粘弾性は、EXSTAR−6000(セイコー・インスツルメント製)を用い、以下の条件にて求めた。
試験片 20mm×3.0mm×0.3mmのプレスシート
周波数 5Hz
昇温速度 3℃/分
変位振幅 5μm
【0048】
重合体の屈折率は、150℃で3分間予熱後150℃で3〜5MPaの圧力下3分間熱プレスすることにより成形した厚さ100μmのフィルムを、10mm×30mmの大きさに切り取り試験片として、アッベ屈折計 3型(株式会社アタゴ製)を用いて調べた。
【0049】
[実施例1]
アルゴンで置換した5000mlのオートクレーブ中にビニルシクロヘキサン220g、脱水トルエン1480gを投入した。40℃に昇温後、エチレンを0.8MPa仕込んだ。メチルアルモキサンのトルエン溶液[東ソー・アクゾ(株)製MMAO、Al原子換算濃度 6wt%]8.9mlを仕込み、つづいてイソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド 17.3mgを脱水トルエン 8.7mlに溶解したもの(実際にはけん濁状態であった)と上記のメチルアルモキサンのトルエン溶液 2.2mlとを予め混合したものを投入した。反応液を1時間攪拌した後、反応液をメタノール 6000ml中に投じ、沈殿した白色固体をロ取した。該固体をメタノールで洗浄後、減圧乾燥した結果、重合体 254gを得た。
【0050】
該重合体の溶媒分別による精製を行った。該重合体 4.05gについて、トルエンを用いたソックスレー抽出(10時間)を行ったところ、トルエンに可溶な成分として重合体 4.01gを得た。さらに、得られたトルエンに可溶な重合体のうち2.73gの重合体について、クロロホルムを用いたソックスレー抽出(10時間)を行ったところ、クロロホルムに可溶な成分として重合体 2.56gを得た。このトルエンおよびクロロホルムに可溶な重合体の[η]は0.72dl/gで、屈折率は1.504、数平均分子量は54,000、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.9、ガラス転移点は−24℃、ビニルシクロヘキサンの共重合組成は23mol%であった。
得られた重合体の13C−NMRスペクトルを図1に示す。ビニルシクロヘキシル基で置換された炭素原子同士が、1個のメチレン基によって隔てられる構造を有することが確認できた。
該重合体のプレスシートは非常に透明性が高く、また柔軟性および弾性回復性に優れていた。
得られた重合体の固体粘弾性を図10に示す。
【0051】
[実施例2]
アルゴンで置換した400mlのオートクレーブ中にビニルシクロヘキサン102.7ml、脱水トルエン43.5mlを投入した。30℃に昇温後、エチレンを0.8MPa仕込んだ。メチルアルモキサンのトルエン溶液[東ソー・アクゾ(株)製MMAO、Al原子換算濃度 6wt%]2.8mlを仕込み、つづいてイソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド 1.1mgを脱水トルエン 1.1mlに溶解したもの(実際にはけん濁状態であった)を仕込んだ。反応液を1時間攪拌した後、反応液をメタノール 500ml中に投じ、沈殿した白色固体をロ取した。該固体をメタノールで洗浄後、減圧乾燥した結果、重合体 18.6gを得た。
【0052】
該重合体の溶媒分別による精製を行った。該重合体 8.34gについて、クロロホルムを用いたソックスレー抽出(10時間)を行ったところ、クロロホルムに可溶な成分として重合体 7.97gを得た。このクロロホルムに可溶な重合体の[η]は0.35dl/gで、屈折率は1.511、数平均分子量は27,000、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.8、ガラス転移点は7℃、ビニルシクロヘキサンの共重合組成は37mol%であった。
得られた重合体の13C−NMRスペクトルを図2に示す。ビニルシクロヘキシル基で置換された炭素原子同士が、1個のメチレン基によって隔てられる構造を有することが確認できた。
得られた重合体の固体粘弾性を図11に示す。
該重合体のヒステリシスカーブを図14に示す。プレスシートは非常に透明性が高く、また柔軟性および弾性回復性に優れていた。
【0053】
[実施例3]
実施例2におけるエチレンの仕込み量を0.8MPaから0.2MPaに変えた以外は実施例2と同様に操作したところ、重合体 38.9gを得た。該重合体の溶媒分別による精製を行った。該重合体 2.01gについて、トルエンを用いたソックスレー抽出(10時間)を行ったところ、トルエンに可溶な成分として重合体 1.99gを得た。さらに、得られたトルエンに可溶な重合体のうち1.23gの重合体について、クロロホルムを用いたソックスレー抽出(10時間)を行ったところ、ほぼ全量がクロロホルムに可溶な成分として回収できた。回収された重合体の[η]は0.39dl/gで、屈折率は1.512、数平均分子量は39,000、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は2.0、ガラス転移点は81℃、ビニルシクロヘキサンの共重合組成は71mol%であった。
得られた重合体の13C−NMRスペクトルを図3に示す。ビニルシクロヘキシル基で置換された炭素原子同士が、1個のメチレン基によって隔てられる構造を有することが確認できた。
該重合体のプレスシートは非常に透明性が高かった。
得られた重合体の固体粘弾性を図12に示す。
【0054】
[実施例4]
実施例2におけるエチレンの仕込み量を0.8MPaから0.6MPaに変えた以外は実施例2と同様に操作したところ、重合体 7.78gを得た。該重合体の溶媒分別による精製を行った。該重合体 7.29gについて、クロロホルムを用いたソックスレー抽出(10時間)を行ったところ、クロロホルムに可溶な成分として重合体 6.55gを得た。回収された重合体の[η]は0.36dl/gで、ガラス転移点は23℃、ビニルシクロヘキサンの共重合組成は44mol%であった。
得られた重合体の13C−NMRスペクトルを図4に示す。ビニルシクロヘキシル基で置換された炭素原子同士が、1個のメチレン基によって隔てられる構造を有することが確認できた。
得られた重合体の固体粘弾性を図13に示す。
該重合体の該重合体のヒステリシスカーブを図15に示す。プレスシートは非常に透明性が高く、また柔軟性および弾性回復性に優れていた。
【0055】
[実施例5]
実施例2におけるビニルシクロヘキサンの量を22mlに、脱水トルエンの量を174mlに、重合温度を50℃に、メチルアルモキサンのトルエン溶液[東ソー・アクゾ(株)製MMAO、Al原子換算濃度 6wt%]の量を2.4mlに、またイソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドの脱水トルエン溶液をイソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド 0.9mgを脱水トルエン 1.7mlに溶解したものに変えた以外は実施例2と同様に操作したところ、重合体 29.5gを得た。この重合体の[η]は0.64dl/gで、ガラス転移点は−20℃、融点は56℃、ビニルシクロヘキサンの共重合組成は16mol%であった。
得られた重合体の13C−NMRスペクトルを図5に示す。ビニルシクロヘキシル基で置換された炭素原子同士が、1個のメチレン基によって隔てられる構造を有することが確認できた。
該重合体のプレスシートは柔軟性および弾性回復性に優れていた。
【0056】
[実施例6]
実施例1におけるビニルシクロヘキサンの量を441gに、脱水トルエンの量を1233gに、イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドの脱水トルエン溶液をイソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド 8.7mgを脱水トルエン 8.7mlに溶解したものに、反応時間を2時間に変えた以外は実施例1と同様に操作したところ、重合体 133.9gを得た。この重合体の[η]は0.66dl/gで、数平均分子量は47,000、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は2.1、ガラス転移点は−25℃、ビニルシクロヘキサンの共重合組成は25mol%であった。
得られた重合体の13C−NMRスペクトルを図6に示す。ビニルシクロヘキシル基で置換された炭素原子同士が、1個のメチレン基によって隔てられる構造を有することが確認できた。
該重合体のプレスシートは非常に透明性が高く、また柔軟性および弾性回復性に優れていた。
【0057】
[実施例7]
実施例1におけるビニルシクロヘキサンの量を1102gに、脱水トルエンの量を519gに、イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドの脱水トルエン溶液をイソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド 8.7mgを脱水トルエン 8.7mlに溶解したものに、反応温度を30℃に、反応時間を2時間30分に変えた以外は実施例1と同様に操作したところ、重合体 236.2gを得た。この重合体の数平均分子量は31,000、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は2.4、ガラス転移点は1℃、ビニルシクロヘキサンの共重合組成は34mol%であった。
得られた重合体の13C−NMRスペクトルを図7に示す。ビニルシクロヘキシル基で置換された炭素原子同士が、1個のメチレン基によって隔てられる構造を有することが確認できた。
該重合体のプレスシートは非常に透明性が高く、また柔軟性および弾性回復性に優れていた。
【0058】
[実施例8]
実施例1におけるビニルシクロヘキサンの量を1102gに、脱水トルエンの量を514gに、エチレンの仕込み量を0.8MPaから0.4MPaに、メチルアルモキサンのトルエン溶液[東ソー・アクゾ(株)製MMAO、Al原子換算濃度 6wt%]の量を11.1mlにそれぞれ変更し、イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドの脱水トルエン溶液と上記のメチルアルモキサンのトルエン溶液とを予め混合したものにおけるイソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドの量を21.6mgに、脱水トルエンの量を10.8mlに、上記のメチルアルモキサンのトルエン溶液の量2.8mlに変更し、反応時間を40分に変えた以外は実施例1と同様に操作したところ、重合体 850gを得た。この重合体の数平均分子量は22,000、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は4.2、ガラス転移点は52℃、ビニルシクロヘキサンの共重合組成は53mol%であった。
得られた重合体の13C−NMRスペクトルを図8に示す。ビニルシクロヘキシル基で置換された炭素原子同士が、1個のメチレン基によって隔てられる構造を有することが確認できた。
該重合体のプレスシートは非常に透明性が高く、また柔軟性および弾性回復性に優れていた。
【0059】
[実施例9]
アルゴンで置換した400mlのオートクレーブ中に3−メチル−1−ブテン31.6g、脱水トルエン 88mlを投入した。50℃に昇温後、エチレンを0.8MPa仕込んだ。メチルアルモキサンのトルエン溶液[東ソー・アクゾ(株)製MMAO、Al原子換算濃度 6wt%]2.9mlを仕込み、つづいてイソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド 4.3mgを脱水トルエン 8.7mlに溶解したものを仕込んだ。反応液を1時間攪拌した後、反応液をメタノール 500ml中に投じ、沈殿した白色固体をロ取した。該固体をメタノールで洗浄後、減圧乾燥した結果、重合体 0.17gを得た。
該重合体の3−メチル−1−ブテンの共重合組成は9.1mol%であった。
得られた重合体の13C−NMRスペクトルを図9に示す。イソプロピル基で置換された炭素原子同士が、1個のメチレン基によって隔てられる構造を有することが確認できた。
【0060】
<接着剤および積層体の製造例>
ポリプロピレン(住友化学工業社製、ノーブレンAY564)を使用し、東洋精機(株)社製ラボプラストミルφ20mm押出し機T−ダイス付にて100μm厚みの成形フィルムを得、被着体とした。
また、同じポリプロピレンを使用し、東芝社製5.5オンス射出成形機(IS100E)にて2mm厚みの成形シートを得、別な被着体とした。
熱プレス成形機にて、温度180℃、圧力5MPaの条件で、鋼板(4mm厚み)/アルミ板(200μm)/ポリテトラフルオロエチレンシート(200μm)/実施例5〜8のいずれかで得られた共重合体+50μmPET(ポリエチレンテレフタレート)型枠/ポリテトラフルオロエチレンシート(200μm)/アルミ板(200μm)/鋼板(4mm厚み)の構成でプレス加工を実施し、シート状の接着剤を得た。
次に、上からアルミ箔、被着材(100μm厚みのポリプロピレンフィルム)、シート状の接着剤、被着材(2mm厚みのポリプロピレンシート)およびアルミ箔を順次積層し、ヒートシールテスター(テスター産業社製)にて、上部より180℃、0.3MPaの圧力で3秒間保持し積層体の一部(25mm幅)を接着した。得られた積層体のアルミ箔を剥がし、温度23℃、湿度50%にて1時間静置した。その後、積層体を10mm幅×100mm長さ(接着長さ25mm)に切り出し、温度23℃、湿度50%にて接着していない部分をつかみ、剥離速度100mm/秒、剥離角度180°でピール剥離試験を実施した。ポリプロピレンに対する剥離強度を表3にまとめた。
【0061】
[比較例1]
<エチレンとスチレンの共重合体の製造例>
攪拌羽根を備えた100LのSUS製重合器を用いて連続的にエチレンとスチレンの共重合を以下の通り行った。重合器下部から重合溶媒としてヘキサンを84.7kg/時間、エチレン2.8kg/時間、スチレン4.15kg/時間の速度で連続的に供給した。一方、重合器上部から重合器中の重合液が100Lとなるように連続的に重合液を抜き出した。触媒としてイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロリド、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびトリイソブチルアルミニウムをそれぞれ0.348g/時間、1.081g/時間、6.912g/時間の速度で重合器下部から重合器中に連続的に供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることで50℃で行った。重合器から抜き出した重合液に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させ、脱モノマー、水洗浄後、大量の水中でスチームにより溶媒を除去して共重合体を取り出し、80℃で昼夜減圧乾燥した。以上の操作により、エチレン−スチレン共重合体が2kg/時間の速度で得られた。この共重合体のガラス転移点は−20℃、融点は44℃で、スチレンの共重合組成は16モル%であった。
【0062】
比較例1についても、接着剤および積層体を前述と同様に製造し、得られた積層体のポリプロピレンに対する剥離強度の結果を表3にまとめた。芳香族ビニル化合物であるスチレンとエチレンとの共重合体の接着性は極めて低かった。
【0063】
[比較例2]
接着剤として低密度ポリエチレン(スミカセンL705、住友化学工業(株)製)のシート(50μm)を用いた。前述と同様に積層体を製造し、得られた積層体のポリプロピレンに対する剥離強度の結果を表3にまとめた。嵩高い置換基を有しないポリエチレンの接着性は極めて低かった。
【0064】
【表3】
ここで、VCHとはビニルシクロヘキサンを表す。
【0065】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、オレフィン系樹脂、中でもポリプロピレンに対する接着性に優れる接着剤、および該接着剤として用いられる共重合体が提供され、また、環境汚染の観点で問題視されているハロゲンを含有しない構成をとり得る共重合体であって、透明性に優れ粘弾特性と耐熱性とのバランスに優れた共重合体が提供される。本発明のこれらの共重合体は、固体粘弾性の測定結果においてtanδの値が高くなっていることからも明らかなように、制振性にも優れており、中でも、ビニル化合物(I)の共重合組成の高いものは制振性により優れていて、制振材料としても用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られた共重合体の13C−NMRスペクトルである。
【図2】図2は、実施例2で得られた共重合体の13C−NMRスペクトルである。
【図3】図3は、実施例3で得られた共重合体の13C−NMRスペクトルである。
【図4】図4は、実施例4で得られた共重合体の13C−NMRスペクトルである。
【図5】図5は、実施例5で得られた共重合体の13C−NMRスペクトルである。
【図6】図6は、実施例6で得られた共重合体の13C−NMRスペクトルである。
【図7】図7は、実施例7で得られた共重合体の13C−NMRスペクトルである。
【図8】図8は、実施例8で得られた共重合体の13C−NMRスペクトルである。
【図9】図9は、実施例9で得られた共重合体の13C−NMRスペクトルである。
【図10】図10は、実施例1で得られた共重合体の固体粘弾性を測定したデータである。
【図11】図11は、実施例2で得られた共重合体の固体粘弾性を測定したデータである。
【図12】図12は、実施例3で得られた共重合体の固体粘弾性を測定したデータである。
【図13】図13は、実施例4で得られた共重合体の固体粘弾性を測定したデータである。
【図14】図14は、実施例2で得られた共重合体のヒステリシスカーブである。
【図15】図15は、実施例4で得られた共重合体のヒステリシスカーブである。
Claims (6)
- エチレンと下記ビニル化合物(I)との共重合体であって、ポリプロピレン用接着剤に用いる共重合体であり、共重合体の骨格において、置換基Rで置換された炭素原子同士が1個のメチレン基によって隔てられる構造を有する共重合体を有効成分とするポリプロピレン用接着剤。
ビニル化合物(I):飽和炭化水素基Rを含む構造式CH2=CH−Rで表され、置換基Rの立体パラメータEsが−2.77〜−1.64であり、かつ置換基Rの立体パラメータB1が1.53〜2.90であるビニル化合物。 - ビニル化合物(I)の共重合組成が5〜90mol%であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤。
- ビニル化合物(I)の置換基Rが2級アルキル基である請求項1または2に記載の接着剤。
- ビニル化合物(I)がビニルシクロヘキサンである請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤。
- イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドおよびメチルアルモキサンを接触させて得られる触媒の存在下、エチレンとビニル化合物(I)とを共重合してなる請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤からなる層がポリプロピレンに積層してなる積層体。
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