JP3755777B2 - エキシマレーザ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ステッパ方式やステップ&スキャン方式の縮小投影露光装置の光源などとして用いられるエキシマレーザ装置に関し、特にそのレーザチャンバ内にハロゲンガスを含むレーザガスを充填してレーザパルス発振を行うエキシマレーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、ハロゲンガスを用いてエキシマレーザ装置を運転する場合、運転にしたがって電極材料の蒸発、レーザチャンバ構成材料との化学反応によりハロゲンガスが消費される。したがって、従来はハロゲンガスの消耗によるレーザ出力の低下を補うために次のような制御を行うようにしていた。
【0003】
すなわち、レーザの出力はレーザを励起するためにコンデンサに蓄積しておいた電気エネルギーを放電空間に投入してレーザ媒質ガス中で放電することにより得るが、このコンデンサの充電電圧を大きくするとレーザ出力は増加する。従って、従来においてはレーザ出力を検出し、この検出にしたがって充電電圧値を制御することでレーザ出力を安定化するようにしている。なお、この制御は通常パワーロック制御という。
【0004】
しかしながら、この制御によっても長時間の運転を続けているとハロゲンガスの消耗によって発振効率が低下し、次第に充電電圧(パワーロック電圧)を高くしていかないと所定の出力を維持できなくなる。
【0005】
係る不具合を解消すべく特開平3−166783号公報においては、各充電電圧値毎に発振効率(投入電力に対する出力レーザエネルギーの割合)を最大にするレーザガス圧力値が各別に存在することに着目し、レーザ発振の進行に対応して充電電圧が上昇していくに伴い、発振効率が最大値を維持するように充電電圧及びレーザガス圧力を制御するようにしている。
【0006】
すなわちこの従来技術は、レーザの発振効率を主眼とし、この発振効率が常に最大値を維持するように充電電圧及びレーザガス圧力を制御しようとするものである。
【0007】
この従来技術による手法は、エキシマレーザをレーザ出力をできるだけ大きくする事が最も重要である加工に用いる場合は、有効な方法となる。
【0008】
しかしながら、エキシマレーザをステッパ方式やステップ&スキャン方式の縮小投影露光装置に利用する場合は、各パルスのレーザ出力をいかに大きくする(発振効率を上げる)かということが問題になるのではなく、いかに均一な出力のパルス光を得るようにすることが、最も大きな目的となる。
【0009】
すなわち、上記従来技術によれば、均一なレーザ出力を得ることを主眼として、充電電圧制御及びレーザガス供給制御が行われていないために、露光精度を今1つ向上させることが不可能である。
【0010】
この発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、均一なパルス光出力を得ることができるエキシマレーザ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
この発明では、ハロゲンガスを含むレーザガスをレーザチャンバ内に封入し、このレーザチャンバ内でパルス放電を行うことにより前記レーザガスを励起してパルスレーザ発振を行うエキシマレーザ装置において、前記レーザチャンバ内に前記レーザガスを補給するガス補給手段と、前記各パルスレーザ発振光の出力エネルギーのばらつきを求めるばらつき計測手段と、前記演算されたばらつきが所定の目標値範囲内に入るよう前記ガス補給手段を制御してハロゲンガスを補給する制御手段とを具え、各パルスレーザ発振光の出力エネルギーのばらつきはレーザチャンバ内のハロゲンガス分圧に対応して所定の極小値をとるものであり、かつ前記目標値範囲の限界値は、前記極小値に対応するハロゲンガスガス分圧値よりも小さい第1の値と、前記極小値に対応するハロゲンガス分圧値よりも大きい第2の値との2つの値を有するものであり、前記制御手段は、前記演算された出力ばらつきが前記目標値範囲外となった場合、そのときの状態が、現ハロゲンガス分圧が前記第1の値より小さい状態であるかあるいは現ハロゲンガス分圧値が前記第2の値より大きい状態であるかを識別し、前者である場合にのみ前記ガス補給手段を制御してハロゲンガスを補給するようにしている。
【0012】
係る発明によれば、各パルス発振光の出力エネルギーを優先させるのではなく、各出力エネルギーのばらつきの抑制を最優先させてハロゲンガス供給制御を行うようにする。すなわち、レーザ出力のばらつきが最小またはその近傍の値となるハロゲンガス分圧を目指してハロゲンガス供給制御を行うようにする。
【0013】
したがって、この発明では、各パルス発振光の出力ばらつきが最小限に抑制させることができ、本発明のエキシマレーザ装置を半導体の縮小投影露光を行う縮小投影露光装置用など光源に適用するようにすれば、高精度の露光処理をなし得ることが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を添付図面に従って詳細に説明する。
【0015】
まず、図3を用いて本発明の要部の概略について説明する。
【0016】
図3は、KrFエキシマレーザのフッ素ガス分圧PF2(レーザチャンバ内のF2ガスのモル濃度に比例)を横軸にして、出力レーザ光エネルギーEおよび出力レーザ光エネルギーのばらつき(標準偏差)σを縦軸に示したものであり、レーザ電源電圧は一定にしている。
【0017】
この図3によれば、レーザ出力Eは、F2分圧がP1のときに最大値をとり(効率が最大)、この分圧値P1よりも低い分圧では単調増加で、この分圧値P1より高い分圧では単調減少となる。
【0018】
一方、レーザ出力のばらつきσは、F2分圧がP2のときに最小値をとり、この分圧値P2よりも低い分圧では単調減少で、この分圧値P2より高い分圧では単調増加となる。
【0019】
この図3において、本願発明者が着目した現象はP1≠P2となる点であり、本願発明では、レーザ出力(発振効率)は多少犠牲にしても、出力ばらつきσを最小にするフッ素分圧値P2を最優先の目標値として、またはフッ素分圧が該目標値近傍の所定の範囲内に入るようにF2ガス供給制御を行うようにする。
【0020】
なお、図3において、σcは出力ばらつきの許容限界値(許容上限値)であり、この許容限界値σcに対応するF2分圧には、PMIN及びPMAXの2つの値がある。したがって、出力ばらつきσを常にσcより小さくなるように制御するためには、F2分圧値PF2がPMINとPMAXの間になるように制御する必要がある。
【0021】
しかし、図2に示す出力ばらつきσはリニアな関係ではないため、前記制御の際に、出力ばらつき値σがσcに近い値になった場合、この状態がフッ素分圧がPMIN及びPMAXの何れに近い状態であるかを判断しないことには、F2ガスを供給すべきか否かを決定することができない。すなわち、F2分圧がPMINより小さいときにはF2ガスを供給する必要があり、F2分圧がPMAXより大きいときはF2ガスを供給する必要はない。
【0022】
そこで、F2ガス量がレーザパルス発振の進行にともなって減少することに着目すれば、以下のような制御を行う事で上記の問題は解消する。
【0023】
すなわち、レーザチャンバ内にレーザガスを補給した後、またはレーザチャンバ内のレーザガスを全て新しいレーザガスに入れ替えた後はレーザパルス発振が進行するにともなってF2ガスは減少する一方であるので、上記のガス補給またはガス交換の後に出力ばらつきσを監視していれば各時点の状態が図2のσ曲線の何れの位置にあるかを判断することができる。
【0024】
例えば、ガス補給またはガス交換の際に、レーザチャンバ内のF2分圧をPMAXよりも若干低い分圧値に設定するようにしておけば、レーザ発振回数の増加にともなってハロゲンガスは減少するので、これに対応してばらつき値σは図2のσ曲線上を矢印Fにそって移動することになる。すなわち、σはPMAXよりも若干低い分圧値に対応する値から減少し続けて極小値σMINに達した後、増加し始めるので、その後にσ=σcに達したときに、F2ガスを供給するようにすれば、出力ばらつき値σをσc以下に制御することができる。
【0025】
図4はこの発明を適用する狭帯域化エキシマレーザを示すものである。
【0026】
図4において、エキシマレーザ1のレーザチャンバ2は図示しない放電電極等を有し、レーザチャンバ2内には、F2などのハロゲンガス、Krなどの稀ガス、Neなどのバッファガスが封入されており、これらレーザガスを放電電極間の放電によって励起させてレーザパルス発振を行う。発光したパルス光は狭帯域化ユニット6(この場合はプリズムビームエキスパンダ3,4、グレーティング5が含まれる)によって狭帯域化されて、再びレーザチャンバ2に戻って増幅され、部分透過ミラー7を介して発振レーザ光Lとして出力される。出力された一部の光は再びレーザチャンバ2に戻りレーザ発振が起こる。
【0027】
発振されたレーザ光Lは、ビームスプリッタ8によってその一部がサンプリングされた後、エタロン分光器9に入射され、ラインセンサなどで構成される受光素子10に入射され、同心円状のフリンジパターンを形成する。エタロン分光器9には、予め波長が既知の基準光も入射されており、CPU11は受光素子10に形成される基準光及びレーザ光Lのフリンジパターンを比較することにより、出力レーザ光Lの波長及びスペクトル幅などを計測する。CPU11は、該計測した波長およびスペクトル幅データを波長コントローラ12に出力する。波長コントローラ12は、入力された波長およびスペクトル幅データに基づいてグレーティング5の角度を変えることにより、波長選択素子であるグレーティング5への光入射角度を変えて、レーザ発振波長を調整制御する。
【0028】
一方、前記ビームスプリッタ8を透過したレーザ光は、ビームスプリッタ13でさらのその一部がサンプリングされて受光素子14に入射される。CPU15では、受光素子14の受光出力に基づいて各パルス発振の光エネルギーPiを検出し、この出力Piに基づいてレーザ電源回路16およびガス補給装置17を制御する。レーザ電源回路16では電源電圧Viが制御され、ガス供給装置17ではレーザチャンバ2に対するレーザガスの補給が制御される。
【0029】
図5はガス補給装置17の各種具体例を示すものである。
【0030】
以下、この発明の実施例を添付図面に従って詳細に説明する。
【0031】
図5(a)〜(d)においては、2つのガスボンベ20,21が用いられ、一方のガスボンベ20には、F2,Kr,Neが、α:b:c(α=n・a,n>1)のモル比で充填されており、他方のガスボンベ21にはKr,Neがb:cのモル比で充填されている。
【0032】
すなわち、レーザチャンバ2へレーザガスを注入する際には(真空状態のレーザチャンバへガスを初期充填するとき、または出力ばらつきσが許容範囲外となってガスを途中補給するとき)、2つのガスボンベ20、21から所定量のガスをレーザチャンバ2へ注入することで、ガスボンベ20から注入されるF2ガスが他方のボンベ21から注入されるガスによって希釈されて、結果的にレーザチャンバ2内の混合ガスが理想的な混合比a:b:cとなるようにしている。
【0033】
なお、ガス補給の際、レーザチャンバ内ガスの全圧が上昇し過ぎた際には、排気バルブ22を開いてガスの一部を排気してレーザチャンバ内の全圧が所定圧を維持できるように調整するようにしている。なお、ガスを途中補給する際に、ガスボンベ20のみから補給するようにしても同様の効果を得ることができる。
【0034】
図5(a)においては、オンオフバルブ23,24によってガスの供給制御を行うようにしておりオンオフバルブ23,24の開閉時間を調整することにより、ガス流量を調整するようにしている。
【0035】
図5(b)においては、ガスの供給路にサブタンク25,26を設けるとともに、サブタンク25,26の下流側にオンオフバルブ27,28を設けるようにしている。
【0036】
図5(c)においては、ガスの供給路にマスフローコントローラ(質量流量制御装置)29,30を設けるようにしている。このマスフローコントローラ29,30は、質量流量が所望の一定値になるように通過するガス量を制御するものである。この図5(c)の構成の場合、マスフローコントローラ29,30の流量を一定に設定しておいてオンオフバルブ23,24の開閉時間を調整することによりガス流量を高精度に制御することが可能になる。なお、オンオフバルブ23,24を省略してマスフローコントローラ29,30のみによてガス流量を制御するようにしてもよい。
【0037】
次に、図6〜図9にしたがって出力ばらつきσの求め方について説明する。
【0038】
前述したように、エキシマレーザはいわゆるパルス放電励起ガスレーザであるために、レーザ発振は図6に示すようなパルス発振となる。なお、図5のタイムチャートにおいては、エキシマレーザを半導体露光装置の光源として用いる場合のパルス発振を示しているために、その運転状態は、レーザ光を所定回数連続してパルス発振させる連続パルス発振運転と、所定時間の間パルス発振を休止させる発振休止時間tとを繰り返すバーストモードとなっている。
【0039】
すなわち図7は、複数のICチップTPが配列された半導体ウェハWを示すものであるが、ステッパ方式の露光においては、半導体ウェハW上の1つのICチップTPに対して多数(数百個以上)のパルス光を照射する露光処理が終了すると、次の未照射ICチップTPに連続パルス光が照射されるようにウェハWまたは光学系を移動し、このステージ移動後に前記と同じ光照射を行う。このような露光及びステージ移動を交互に行いながら、半導体ウェハW上の全てのICチップTPへの露光が終了すると、その露光済みのウェハWを搬出して次のウェハWを照射位置に設置して前記と同じ光照射を繰り返す。
【0040】
このようにステッパ方式の半導体露光装置では露光とステージ移動とを交互に繰り返すようになっているので、露光装置の光源となるエキシマレーザの運転状態は、必然的に図5に示すようなバーストモードとなる。
【0041】
図8は、図6に示した1バースト周期内のパルス列を拡大して示したものである。各パルス光のエネルギーをPi(i=1,2,…)とし、またばらつきσを求める際の1つの集合のパルス数をNsとする。
【0042】
この場合は、ばらつきデータとして標準偏差σをパルス出力の平均値PAで割って規格化した値ε(=3・σ/PA)を用いる。即ち、前記Ns個のパルスが含まれる1つの集合毎に標準偏差σ及び出力平均値PAを計算し、該計算した標準偏差σおよび出力平均値PAからばらつきデータεを計算するようにしている。
【0043】
標準偏差σは以下のようにして求める。
【0044】
まず、Ns個のパルスの光エネルギーの積算値PTを下式にしたがって求める。なお、Σ(i=1,Ns)は、i=1からi=Nsまで積算する意味の記号である。
【0045】
PT=Σ(i=1,Ns)Pi=P1+P2+P3+…+PNs
次に、これらNs個のパルス光出力の平均値PAを下式に従って求める。
【0046】
PA=PT/Ns
次に、上記求めた平均値PAを用いてこれらNs個のパルスについての標準偏差σを下式(1)にしたがって求める。
【0047】
このように、ステッパ方式の場合は、1〜Ns、Ns+1〜2Ns、2Ns+1〜3Ns、という集合毎にσを求めるようにする。
【0048】
次に、上記求めた標準偏差σ及び出力平均値PAを用いて下式に従って出力ばらつきεを求めるようにする。
【0049】
ε=3・σ/PA
次に、ステップ&スキャン方式での標準偏差σの求め方について説明する。
【0050】
すなわち、ステッパ方式ではステージを停止させて露光を行うようにしているがステップ&スキャン方式ではステージを移動させながら露光を行うようにしており、大面積を露光できる利点を有している。
【0051】
すなわち、このステップ&スキャン方式では、ICチップTP上の全ての点にそれぞれ予め設定された所定個数N0のパルスレーザが入射されるよう1個のパルスレーザ(シートビームと呼称される細長い長方形の断面形状のビーム)が入射される度に加工物上でのパルスレーザ光の照射領域を所定のピッチずつずらせながら加工を行う。すなわち、図9に示すように、各シートビームの照射面積(P1、P2、P3、…で示されたエリア)はICチップ31の面積よりも小さく、これらのパルスレーザ光が順次所定のピッチΔPで重畳されながらスキャンされることで、各点に所定個数N0のシートビームが入射されてICチップTPの全面の露光が行われる。
【0052】
例えば、図9においては、N0=4であり、A点は、4つのパルスレーザ光P1、P2、P3およびP4の積算エネルギーによって露光され、またB点は4つのパルスレーザ光P2、P3、P4およびP5の積算エネルギーによって露光されるようになっている。以下の、C点、…も同様に4つのパルスレーザ光の積算エネルギーによって露光される。
【0053】
したがって、このようなステップ&スキャン方式で標準偏差σを求める場合は、標準偏差σを求める際の1つの集合のパルス数Ns=Noとし、上記(1)式を用いて標準偏差を求めるようにすればよい。また、1つのICチップに照射されるシートビームの総個数を1つの集合としてばらつきを求めるようにしても良い。
【0054】
以下、図1及び図2のフローチャートにしたがってハロゲンガスの補給制御について説明する。
【0055】
まず、オペレータはばらつきを求める際のデータ数Nsおよびばらつき値の許容限界値Stを適宜の値に設定した後、パルス発振を開始させる(ステップ100、110)。なお、ばらつき値の許容限界値Stは前記出力ばらつきεとの比較用の閾値で、図3のσcに対応する値である。Stは、例えば7%などの所定の数値に設定される。
【0056】
パルス発振が開始されると、CPU15は、まずガス補給サブルーチンを実行するか否かを決定するために参照するフラグFLAGと、当該バースト周期における現パルス発振数をカウントするカウンタのカウンタ値iと、各発振パルスの出力エネルギーを順次積算する積算カウンタのカウント値PTを0に初期化する(ステップ120、130)。
【0057】
次に、CPU15はパルスカウンタ値iを+1した後(ステップ140)、第1発目の発振パルスの出力エネルギーPiを計測し記憶する(ステップ150)。さらに、該計測した出力エネルギーPi(この場合は=0)を前回までのパルスエネルギー積算値PTに加算し、該加算結果PT+Piで積算カウンタ値PTを更新する(ステップ160)。次に、パルスカウント値iが前記設定値Nsに一致したか否かを判定し(ステップ170)、一致しない場合は一致するまで上記ステップ140〜ステップ160の手順を繰り返す。
【0058】
その後、パルス発振動作が進行してパルスカウント値iがNsに一致すると、CPU15はこれらNs個の発振パルス分の標準偏差σを前記(1)式に従って計算するとともに、当該Ns個の発振パルス分の出力の平均値PA(=PT/Ns)を計算する(ステップ180)。
【0059】
次のステップ190では、上記計算した標準偏差σを出力平均値PAで除すことにより規格化された出力ばらつきε(=3・σ/PA)を求め、この出力ばらつきεを前記許容限界値Stと比較する。この比較の結果、出力ばらつきεが設定値Stの範囲内に入っている(ε≦St)場合は、ハロゲンガス補給は必要ないので、手順をステップ120に移行してフラグFLAGを0に設定した後、ステップ130〜170の手順を繰り返すことにより次のNs個分のパルス発振の出力ばらつきεを演算する。
【0060】
しかし、ステップ190の判定において、ε>Stが成立する場合は前記フラグFLAG=−1であるか否かを判定する。そして、フラグFLAG=−1であった場合は、F2分圧がPMAX以上であったと判断してハロゲンガス補給を行わずに、手順をステップ130に移行させてこれ以降次の集合の出力ばらつきεを計算する。すなわち、フラグFLAG=−1であった場合は、F2ガス補給を行わずにパルス発振を継続させることで、F2ガスを図10の矢印Qにそって自然減少させ(レーザ発振によってF2ガスがレーザ電極などの材料と反応してフッ化物となりF2ガス自体が減少する)、該F2ガスの自然減少によって出力ばらつきεを設定値Stより小さくするのである。
【0061】
なお、ステップ200でフラグFLAG=−1であった場合にハロゲンガス補給を行うようにすれば、F2分圧は増大するので、出力ばらつきεは図10の矢印Rにそってさらに大きくなることになる。
【0062】
次に、ステップ200の判定でフラグFLAG=−1でないならば、次のステップ210でフラグFLAG=1であるか否かを判定し、フラグFLAG=1でない場合はフラグFLAGを1にセットした後、図2に示すガス補給サブルーチンを実行する(ステップ250)。
【0063】
このガス補給サブルーチンにおいては、先の図5に示したガス補給装置17によってF2,Kr,Neの混合ガスをレーザチャンバ2内に所定量補給する(図2ステップ300)。なお、この補給の後、レーザチャンバ内の全圧PTLが所定の設定圧Pthより大きくなった場合は(ステップ310)、レーザチャンバ2内のガスを排気するようにする(ステップ320)。
【0064】
このようにしてF2ガスの供給が終了すると、手順をステップ130に移行させてこれ以降次の集合のばらつきεを計算する。
【0065】
一方、ステップ210でフラグFLAG=1である場合は、前回計算した前の集合のばらつきεk-1を今回計算した現集合のばらつきεkと比較し、εk-1>εkである場合は、前回のガス補給で図10の矢印Sにそったばらつきεの減少が実現できたと判断して、手順をステップ250に移行してガス補給サブルーチンを実行させることによりさらにガス補給を実行する。
【0066】
しかし、ステップ20の判定で、εk-1≦εkが成立した場合は、図1の矢印Rにそったばらつきεの増加が生じたと判断して、フラグFLAG=−1に設定した後(ステップ240)、手順をステップ130に移行させることにより、ハロゲンガス補給を行わずに、これ以降次の集合のばらつきεを計算する。すなわち、この場合は、F2ガス補給を行わずにパルス発振を継続させることで、F2ガスを図10の矢印Qにそって自然減少させ、該F2ガスの自然減少によってばらつきεを設定値Stより小さくするのである。
【0067】
この図1に示す制御手順によれば、ε≦Stであるときは(ステップ190の判断がNOのとき)、F2ガスを供給しない。
【0068】
また、ε≧StであってかつPF2≧PMAXであると判断されるときも(ステップ200の判断がYESのときまたはステップ230の判断がNOのとき)、F2ガスを供給しないでF2ガスの自然減少を待つ。
【0069】
しかし、ε≧StであってかつPF2<PMINであると判断されるときは(ステップ210の判断がNOのときまたはステップ230の判断がYESのとき)、ε<StとなるまでF2ガスの供給制御を実行する。
【0070】
図11はこの発明の他の実施例を示すもので、ステップ400〜ステップ490の手順は、先の図1に示したフローチャートのステップ100〜ステップ190の手順と基本的に同じものである。
【0071】
この図11のF2ガス供給制御においては、ステップ490で出力ばらつきεを設定値Stと比較し(ステップ500)、ε>Stである場合は、現在のF2分圧値PF2がPMINより小さいか否かを判断し、PF2<PMINである場合にのみ先の図2に示したガス補給サブルーチンを実行させるようにしている(ステップ510)。
【0072】
この場合、F2分圧値を検出するために、図12に示すように、F2分圧値と正の相関を持つスペクトル幅Δλを検出するスペクトル幅検出センサを用い、このスペクトル幅検出センサの出力によってPF2<PMINであるか否かを判断するようにしている。
【0073】
なお、上記実施例では、出力ばらつき値としてNs個分の発振パルスの標準偏差σをNs個分の発振パルスの平均値Av(=PT/Ns)で除した値εを用いるようにしたが標準偏差σを出力ばらつきとして用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示すフローチャート。
【図2】ガス補給サブルーチンを示すフローチャート。
【図3】この発明の発想を説明するためのグラフ。
【図4】エキシマレーザ装置の構成例を示すブロック図。
【図5】ガス補給装置の各種構成例を示すブロック図。
【図6】バースト運転における各パルス発振の状態を示すタイムチャート。
【図7】ウェハに対する露光処理の状況を示す図。
【図8】1バースト周期内におけるばらつき値の求め方を説明する図。
【図9】ステップ&スキャン方式を説明する図。
【図10】図1のハロゲンガス補給制御の説明図。
【図11】この発明の他の実施例を示すフローチャート。
【図12】レーザスペクトル幅とハロゲンガス分圧値との関係を示す図。
【符号の説明】
1…エキシマレーザ装置
2…レーザチャンバ
3、4…プリズムビームエキスパンダ
5…グレーティング
6…狭帯域化ユニット
7…部分透過ミラー
8,13…ビームスプリッタ
9…エタロン分光器
10,14…受光素子
11,15…CPU
12…波長コントローラ
17…ガス補給装置
20,21…ガスボンベ
23,24…オンオフバルブ
25,26…サブタンク
29,30…マスフローコントローラ
Claims (8)
- ハロゲンガスを含むレーザガスをレーザチャンバ内に封入し、このレーザチャンバ内でパルス放電を行うことにより前記レーザガスを励起してパルスレーザ発振を行うエキシマレーザ装置において、
前記レーザチャンバ内に前記レーザガスを補給するガス補給手段と、
前記各パルスレーザ発振光の出力エネルギーのばらつきを求めるばらつき計測手段と、
前記演算されたばらつきが所定の目標値範囲内に入るよう前記ガス補給手段を制御してハロゲンガスを補給する制御手段と、
を具え、
各パルスレーザ発振光の出力エネルギーのばらつきはレーザチャンバ内のハロゲンガス分圧に対応して所定の極小値をとるものであり、かつ前記目標値範囲の限界値は、前記極小値に対応するハロゲンガスガス分圧値よりも小さい第1の値と、前記極小値に対応するハロゲンガス分圧値よりも大きい第2の値との2つの値を有するものであり、
前記制御手段は、前記演算された出力ばらつきが前記目標値範囲外となった場合、そのときの状態が、現ハロゲンガス分圧が前記第1の値より小さい状態であるかあるいは現ハロゲンガス分圧値が前記第2の値より大きい状態であるかを識別し、前者である場合にのみ前記ガス補給手段を制御してハロゲンガスを補給するエキシマレーザ装置。 - 前記ガス補給手段は、ハロゲンガス、希ガス及びバッファガスを含むガス供給源を有し、このガス供給源内のハロゲンガスの分圧はレーザチャンバ内のハロゲンガス分圧より大きな値に設定されるとともに、前記ガス供給源内の希ガスとバッファガスの分圧比はレーザチャンバ内の希ガスとバッファガスの分圧比とほぼ同じ値に設定されている請求項1記載のエキシマレーザ装置。
- 前記ガス補給手段は、ハロゲンガス、希ガス及びバッファガスを含む第1のガス供給源と、希ガス及びバッファガスを含む第2のガス供給源とを有し、第1のガス供給源内のハロゲンガスの分圧はレーザチャンバ内のハロゲンガス分圧より大きな値に設定されるとともに、第1及び第2のガス供給源内の希ガスとバッファガスの分圧比は夫々レーザチャンバ内の希ガスとバッファガスの分圧比とほぼ同じ値に設定されている請求項1記載のエキシマレーザ装置。
- 前記ガス補給手段は、ガス供給源からレーザチャンバへのガス供給路中にマスフローコントローラを有し、前記制御手段はこのマスフローコントローラを制御してハロゲンガスを補給する請求項2または3記載のエキシマレーザ装置。
- 前記ガス補給手段は、ガス供給源からレーザチャンバへのガス供給路中にオンオフバルブを有し、前記制御手段はこのオンオフバルブを制御してハロゲンガスを補給する請求項2または3記載のエキシマレーザ装置。
- 前記ガス補給手段は、ガス供給源からレーザチャンバへのガス供給路中にマスフローコントローラおよびオンオフバルブを有し、前記制御手段は前記マスフローコントローラおよびオンオフバルブを制御してハロゲンガスを補給する請求項2または3記載のエキシマレーザ装置。
- 前記ガス補給手段は、ガス供給源からレーザチャンバへのガス供給路中にサブタンクを具え、このサブタンクからレーザチャンバにレーザガスを供給する請求項2または3記載のエキシマレーザ装置。
- 前記ガス補給手段は、ガス供給源からレーザチャンバへのガス供給路中にサブタンクを 具え、このサブタンクからレーザチャンバにレーザガスを供給する請求項4または5または6記載のエキシマレーザ装置。
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