JP3753959B2 - 燃焼排ガスの処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼排ガスの処理装置に関する。詳しくは、本発明は、ごみ焼却炉等の各種焼却炉から排出される飛灰及び焼却灰(以下、これらを併せて「焼却飛灰」と称する)中に含まれるポリ−塩化−p−ジベンゾダイオキシン類(PCDD)やポリ塩化ジベンゾフラン類(PCDF)、コプラナ−PCB(co−PCB)などの有機塩素化合物(以下、これらを併せて「ダイオキシン類」と称する)を効率的に分解処理したり、鉛、カドミウム、クロム、水銀等の有害な重金属類を高濃度に含有する飛灰等からの重金属の溶出を防止することができる。
【0002】
【従来の技術】
ごみ焼却炉等の焼却炉では、燃焼中にフェノール、ベンゼン等の有機化合物、クロロフェノール、クロロベンゼン等の塩素化芳香族化合物等のダイオキシン類前駆体が発生する。これらのダイオキシン類前駆体は、飛灰が存在すると、その触媒作用によってダイオキシン類となって焼却灰中に存在する。
【0003】
従来、このようなダイオキシン類含有飛灰の処理方法としては、次のような方法が提案されていた。
(1) ダイオキシン類含有飛灰を、窒素ガス等の還元性雰囲気下で、320℃では2時間、340℃では1〜1.5時間保持することによりダイオキシン類を分解する方法(ハーゲンマイヤープロセス:Organohalogen Compound, 27, 147-152 (1996),特開昭64−500320)。
【0004】
(2) ダイオキシン類含有飛灰を、ダイオキシン類生成抑制剤(ピリジン)の存在下で、300〜500℃で熱処理する(特開平4−241880号公報)。
ダイオキシン類は、従来より、300℃未満では熱分解しないとされており、上記の方法は、この定説通りに、300℃以上に加熱することによってダイオキシン類を分解するものであり、加熱処理中に、ダイオキシン前駆体からのダイオキシン類の生成を抑制するために、ダイオキシン類分解温度域でダイオキシン類生成抑制剤を飛灰に添加している。
【0005】
また、ごみ焼却場等で発生する飛灰等には、鉛、カドミウム、クロム、水銀、亜鉛、銅等の人体に有害な重金属類が高濃度に含有されている。これらは雨水等の環境水と接触すると溶出を起こし、土壌や地下水、河川、海水等を汚染する。
【0006】
そのため、従来、飛灰からの重金属類の処理法としては、次のような方法が提案されていた。
(1) 酸その他の溶媒によって重金属類を安定化する方法。
【0007】
(2) 重金属類を含む飛灰を溶融固化する方法。
(3) 重金属類を含む飛灰をセメントで固化する方法。
(4) 重金属類を含む飛灰を薬剤で処理する方法。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の方法には、以下のような問題点があった。まず、ダイオキシン類の処理方法に関しては、
(a) 処理温度が高く、処理時間も長いため、必要とするエネルギーが多く、処理コストも高くなる。
【0009】
(b) 冷却時にダイオキシン類が再合成する可能性がある。
(c) 窒素ガス等の還元性雰囲気下で処理する必要があるが、酸素を完全には遮断できないために、ダイオキシン類の分解率が低くなる。
【0010】
(d) 部分的に脱塩素反応が進行するため、より毒性の高いダイオキシン類が生成する。
また、重金属類の溶出防止方法に関しては、
(a) 溶融固化法では、1200〜1400℃の処理温度を必要とするため、エネルギー量が大きく、処理コストも高くなる。
【0011】
(b) セメント固化法では、pH値が高いと鉛が溶出し易くなすので、溶出防止対策としては十分ではない。また、処理物の減容化も図れない。
(c) 重金属類を含む飛灰を薬剤で処理する方法では、この目的で用いられる液体キレート剤が高価で、高コストになる。
【0012】
本発明者は、これらの従来法の問題点を解決し、従来法ではダイオキシン類を分解処理できないと考えられていた低温度域でも、短時間でダイオキシン類を分解除去することができ、それと同時に重金属類の溶出をも防止できる処理剤を考案し、特許出願を行った(特願2000−112916号)。
【0013】
先に提案された汚染媒体処理剤は、次式:
【0014】
【化3】
Figure 0003753959
【0015】
(式中、R1はそれぞれ独立して、水素、メチル基を表し;R2はそれぞれ独立して、R1が水素の場合には、水素、フェニル基を表し、R1がメチル基の場合には、水素、メチル基を表す)
の化合物を含むものである。
【0016】
なお、汚染媒体処理剤は、シリカ、アルミナ、ゼオライト、珪藻土又は活性炭から選択される担体に担持されていてもよい。
これらの汚染媒体処理剤を焼却飛灰を含む燃焼排ガスと接触させることにより、その中に含まれるダイオキシン類を300℃以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは230℃以下、最も好ましくは200℃以下の温度でも分解処理することができる。したがって、燃焼排ガスを300℃以下の温度に冷却した後に、これらの汚染媒体処理剤を排ガスに加えることによってダイオキシン類を処理することができる。また、上記の汚染媒体処理剤は、例えば900℃程度の高温下でもダイオキシン類を処理できることが分かった。したがって、上記の汚染媒体処理剤を、例えば焼却炉からの高温の排ガスに直接加えることによって、排ガス中のダイオキシン類を処理することができる。この場合、処理後の排ガス中には汚染媒体処理剤が残留しており、その後に排ガスを冷却する際にダイオキシン類が再合成されても、残留している汚染媒体処理剤によって、再合成されたダイオキシン類を300℃以下の温度で処理することができる。更に、ダイオキシン類分解反応に伴って汚染媒体処理剤化合物に由来する化合物が生成し、これと飛灰中の重金属類とを、水を加えて混練りすることによって反応させて水に不溶性の化合物を生成させることにより、飛灰等からの重金属類の溶出を防止することができる。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記に示す本発明者が提案した汚染媒体処理剤を用いて焼却飛灰を含む焼却炉排ガスを処理して、その中に含まれるダイオキシン類を効率よく分解処理し、且つ、焼却飛灰からの重金属類の溶出を防止するための装置を提供するものである。
【0018】
即ち、本発明は、焼却炉から排出される焼却飛灰を含む排ガスを所定温度に冷却するガス冷却装置;前記ガス冷却装置からの排出ガスを処理してその中に含まれる焼却飛灰を分離するための集塵装置;前記焼却炉からガス冷却装置への排出ガス及び/又はガス冷却装置からの排出ガスに汚染媒体処理剤を供給するための汚染媒体処理剤供給装置;前記集塵装置から排出される焼却飛灰に水及び/又は重金属溶出防止剤を加えて混練りするための混練り装置;を具備することを特徴とする燃焼排ガスの処理装置に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る燃焼排ガスの処理装置の具体的な一態様を説明する。図1は、本発明の一態様に係る燃焼排ガスの処理装置の構成を示す概念図である。以下の説明は、図1に示す本発明の一態様に係る燃焼排ガスの処理装置に関するもので、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
図1中、1は焼却炉、2はガス冷却塔、3はガス冷却塔から集塵装置への煙道、15は焼却炉からガス冷却塔への煙道、4は集塵装置、5は汚染媒体処理剤ホッパ、6及び14は汚染媒体処理剤供給配管、8は焼却灰貯留槽、9は混練り機である。焼却炉1から排出される排ガスは、900℃〜950℃の高温であるが、ガス冷却塔2により300℃以下の適当な温度に冷却される。ここでいう適当な温度とは、配管6を通して排ガス中に供給される汚染媒体処理剤によって、ダイオキシン類の再合成温度以下の温度でダイオキシン類を分解処理する反応の反応温度であり、ガス中のダイオキシン類の濃度や用いられる汚染媒体処理剤の種類、ガスの流量などによって変動するが、一般に、150℃以上、好ましくは180℃以上であって、300℃以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは230℃以下、最も好ましくは200℃以下の温度である。ガス冷却塔2を適宜制御することにより、所望の温度に排ガスを冷却することができる。なお、ガス冷却塔に代えて、排ガスを所望の温度に制御しながら冷却することのできる当該技術において公知の任意の冷却装置を用いることができる。冷却塔2で冷却された排ガスは、所望により設けられる煙道3を通って集塵装置4に送られ、そこで集塵処理されて、焼却飛灰が排ガスから分離される。
【0021】
図1に示す装置においては、煙道3及び/又は15に汚染媒体処理剤ホッパ5が配管6及び/又は14を介して接続されており、所定量の汚染媒体処理剤が煙道3及び/又は15内に供給される。汚染媒体処理剤としては、上述した先の出願に係る汚染媒体処理剤のいずれか、又はこれらを混合したものを用いることができる。これにより、煙道3及び/又は15を流れる焼却飛灰を含む排ガス中に含まれるダイオキシン類が、汚染媒体処理剤と反応して分解処理される。なお、汚染媒体処理剤は、図1に示すように、焼却炉1からガス冷却塔2への煙道15に供給しても、又はガス冷却塔2から集塵装置4への煙道3に供給してもよく、或いはこれらの両方に供給することもできる。更には、汚染媒体処理剤は、集塵装置4に直接供給することもできる。いずれの態様においても、汚染媒体処理剤とダイオキシン類との反応が十分に進行してダイオキシン類が分解処理される。
【0022】
本発明によれば、汚染媒体と、汚染媒体処理剤とを接触させることにより、まず汚染媒体中に含まれているダイオキシン類中の塩素原子と汚染媒体処理剤化合物とが反応し、ダイオキシン類の脱塩素反応又は六員環(ベンゼン環)の開裂反応が迅速に進行して、ダイオキシン類が分解処理される。
【0023】
本発明によれば、ダイオキシン類中の塩素と汚染媒体処理剤化合物とが反応することにより、従来法ではダイオキシン類は分解しないとされていた300℃よりも低い温度で、ダイオキシン類の脱塩素反応或いは六員環(ベンゼン環)の開裂反応が迅速に進行して、ダイオキシン類が分解される。
【0024】
本発明に係る汚染媒体の処理剤を、焼却飛灰を含む燃料排ガスと接触させてその中に含まれるダイオキシン類を処理する際に用いる汚染媒体処理剤の量は、排ガス中に含まれるダイオキシン類の量、及び飛灰中の重金属類の量によって変動するが、一般に、排ガス量に対して10〜500ppm、特に50〜200ppmの割合で供給することが好ましい。なお、汚染媒体の処理としては、汚染媒体の分解のほかに、その生成の抑制も含まれ、これは、▲1▼塩化水素ガスからの塩素ガスの生成抑制;▲2▼銅等の金属触媒の不活性化;の二つの作用による。
【0025】
排ガス中に含まれる焼却飛灰は、焼却炉排ガス中のダイオキシン類の吸着除去剤として焼却炉の煙道に吹き込まれた粉末活性炭を含むものであってもよい。
本発明に係る汚染媒体の処理剤を汚染媒体と接触させる際の形態は、ガス状、液状、水溶液状のいずれであってもよい。しかし、汚染媒体を、ガス状の本発明に係る処理剤と接触させた場合に最も効率よくダイオキシン類が分解処理されるので、式Iの化合物としては、300℃よりも低い温度で十分に高い蒸気圧を有するものが好ましい。また、液状又は水溶液の形態の本発明に係る処理剤を排ガスに噴霧したり、後段の混練り工程において焼却飛灰と混練りする場合においても、300℃よりも低い温度で十分にガス状になるような蒸気圧を有するものが好ましい。本発明において用いることのできる好ましい汚染媒体処理剤化合物の具体例としては、ジチオカルバジン酸ヒドラジン塩、2−メチルジチオカルバジン酸メチルヒドラジン塩又は3−フェニルジチオカルバジン酸フェニルヒドラジン塩等が挙げられる。
【0026】
本発明において、焼却飛灰を含む焼却炉排ガスと汚染媒体処理剤とを接触させる方法としては、以下のような方法を採用することができる。
A.汚染媒体処理剤を煙道3及び/又は15及び/又は集塵装置4において排ガス中に吹き込み、排ガス中のダイオキシン類と汚染媒体処理剤とを接触させる。
【0027】
B.汚染媒体処理剤を、処理対象の排ガスの温度程度に加熱してガス化し、このガスを含む気流を煙道3及び/又は15及び/又は集塵装置4において排ガス中に吹き込み、排ガス中のダイオキシン類と接触させる。
【0028】
C.汚染媒体処理剤の気化物又は該気化物を含むガスを煙道3及び/又は15及び/又は集塵装置4において排ガス中に吹き込み、排ガス中のダイオキシン類と接触させる。
【0029】
D.汚染媒体処理剤を、粉末活性炭、シリカ、アルミナ、珪藻土又はゼオライト等の担体に担持させたものを、煙道3及び/又は15及び/又は集塵装置4において排ガス中に吹き込み、排ガス中のダイオキシン類と接触させる。
【0030】
上記のようにダイオキシン類が分解処理された焼却飛灰を含む焼却炉排ガスは、集塵装置4において集塵処理され、焼却飛灰が分離される。集塵装置4に入る排ガスは、冷却塔2において300℃以下に冷却されたものであるので、バグフィルタや電気集塵器等、この温度範囲で当該技術において用いられている任意の集塵装置を用いることができる。
【0031】
集塵装置4において分離された焼却飛灰は、配管7を通って灰貯留槽8に送られる。所望により、灰貯留槽8に、焼却飛灰を300℃以下のダイオキシン類分解反応温度に保持するための加熱・保温装置を設けることができる。このような加熱・保温装置を灰貯留槽8に設けて、焼却飛灰を一定時間、例えば30分〜1時間、300℃以下の所定のダイオキシン類反応温度に保持することにより、ダイオキシン類の分解反応を更に十分に進行させることができる。
【0032】
焼却飛灰は、次に、混練り機9に誘導され、ここで水が配管10を通して加えられ、混練りされる。この混練り工程により、ダイオキシン類分解反応によって生成した汚染媒体処理剤化合物に由来する化合物(これが重金属類捕捉成分として機能する)と焼却飛灰中の重金属類とが反応して、水に不溶性の化合物が生成する。これによって、焼却飛灰からの重金属類の溶出が防止される。
【0033】
混練り機としては、当該技術において周知の混練機、例えば、押出造粒機、転動造粒機などを用いることができる。混練りは、常温〜80℃程度の温度で、混合物が均一な状態に混合されるまで行うことが好ましい。なお、混練りにより、重金属捕捉成分と重金属類との発熱反応が起こるので、混練機に加熱手段を用いる必要性はない。
【0034】
上述のように、前段の汚染媒体処理剤の添加工程において加える汚染媒体処理剤の量は、排ガス中に含まれるダイオキシン類の量及び焼却飛灰中に含まれる重金属類の量に依存して変動するが、この際にはダイオキシン類の処理に必要な量だけの汚染媒体を供給し、重金属類の溶出を防止するためには汚染媒体処理剤の量が不足する場合には、配管10を通して水に代えて又は水に加えて、キレート薬剤のような重金属捕捉性能を有することが当該技術において公知の薬剤を必要量添加してもよい。この目的で用いることのできる当該技術において公知の重金属捕捉性薬剤としては、ジチオカルバミン酸基を有する液体薬剤、含硫黄粉体系薬剤、セメントなどを挙げることができる。また、その使用量は、一般に、焼却飛灰の重量に対して、ジチオカルバミン酸基を有する液体薬剤にあっては1〜2%、含硫黄粉体系薬剤にあっては1〜5%、セメントにあっては5〜10%程度であってよい。
【0035】
混練り機9において混練りされて重金属類が水に不溶性の化合物に転化された焼却飛灰は、排出管11を介して外部に廃棄されるか、或いは、一定時間養生させた後、場外に排出される。
【0036】
一方、集塵装置4において焼却飛灰が分離除去された排ガスは、IDF(Induced Draft Fan:誘引送風機)12及び煙突13を通して系外に放出される。上記に示す汚染媒体処理剤は、ダイオキシン類と、還元性雰囲気下で接触させても、或いは酸素存在下、即ち大気中若しくは排ガス中で接触させても、ダイオキシン類を効率よく処理することができる。したがって、本発明に係る燃焼排ガスの処理装置においては、汚染媒体処理剤とダイオキシン類とを接触させる雰囲気を調整するのための設備や作業は不要である。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係る燃焼排ガスの処理装置によれば、本発明者が先に提案した低温活性の汚染媒体処理剤(ダイオキシン類処理及び重金属類溶出防止剤)を用いて、焼却炉から排出されるダイオキシン類を含む排ガスを極めて効率的に分解処理することができ、同時に、焼却飛灰からの重金属類の溶出を効果的に防止することができる。本発明に係る燃焼排ガスの処理装置は、ダイオキシン類の処理雰囲気を還元性雰囲気とすることなしに、大気中又は排ガス中でダイオキシン類の処理を実施することができるので、処理設備が簡単で、容易に実施することができる。
【0038】
【実施例】
以下の実施例によって、本発明をより具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の好ましい態様の例示であり、本発明を限定するものではない。
【0039】
なお、以下の実施例において、ダイオキシン類の濃度は、ガスクロマトグラフ・質量分析法によってダイオキシン類(PCDDs,PCDFs Total)の濃度として測定し、国際毒性等価係数(I−TEF)を用いて算出したダイオキシン類毒性等量値(ng−TEQ/g)として示した。また、重金属類の溶出濃度は、環境庁告示13号法に準拠して測定を行った。
【0040】
参考例1
ジチオカルバジン酸ヒドラジン塩5gと、飛灰100g(ダイオキシン類濃度950ng/g、重金属類濃度は表1に示す)とをよく混合し、容量500mLの蓋付き角型こう鉢へ移し入れた後、室温(20℃)、50℃、100℃、150℃の各温度で30分間加熱した。その後、処理物のダイオキシン濃度及び重金属類の溶出濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0041】
参考例2
2−メチルジチオカルバジン酸メチルヒドラジン塩5gと、飛灰100g(ダイオキシン類濃度950ng/g、重金属類濃度は表1に示す)とをよく混合し、容量500mLの蓋付き角型こう鉢へ移し入れた後、室温(20℃)、50℃、100℃、150℃の各温度で30分間加熱した。その後、処理物のダイオキシン濃度及び重金属類の溶出濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0042】
参考例3
3−フェニルジチオカルバジン酸フェニルヒドラジン塩5gと、飛灰100g(ダイオキシン類濃度950ng/g、重金属類濃度は表1に示す)とをよく混合し、容量500mLの蓋付き角型こう鉢へ移し入れた後、室温(20℃)、50℃、100℃、150℃の各温度で30分間加熱した。その後、処理物のダイオキシン濃度及び重金属類の溶出濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0043】
比較例1
シリカ粒子5gと、飛灰100gとをよく混合し、参考例1と同様に試験を実施した。処理物のダイオキシン類濃度及び重金属類の溶出濃度を表2に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003753959
【0045】
【表2】
Figure 0003753959
【0046】
表2より、比較例1では、飛灰を加熱するとダイオキシン類は増加し、室温〜200℃の温度域においては、ダイオキシン類は分解されずに、逆に生成していることが分かる。重金属類の溶出濃度も、鉛の溶出濃度はほとんど減少しておらず、溶出防止がなされていないことが分かる。一方、参考例1〜3においては、150℃以下の温度でダイオキシン類が効果的に分解されると同時に、鉛をはじめとする重金属類の溶出が防止されていることが分かる。
【0047】
実施例1
図1の燃焼排ガス処理装置を用いて実験を行った。焼却炉1からの排ガスをガス冷却塔2によって冷却し、煙道3を通して集塵装置4に送った。ジチオカルバジン酸ヒドラジン塩からなる汚染媒体処理剤を、集塵装置4の前段の煙道3において、燃焼排ガス1m3(NTP)当たり100mgの割合で排ガス中に吹き込み、排ガス中のダイオキシン類と接触させた。なお、集塵装置4内の排ガスの温度は、160℃であった。集塵装置4としては、バグフィルタを用いた。その後、集塵装置4から灰貯留槽8に払い落とされた焼却飛灰に水を30重量%添加し、押出造粒機によって混練り処理を行った。混練り処理後の処理物の重金属類の溶出濃度とpH値、ダイオキシン類の濃度測定を行った。結果を表3に示す。
【0048】
比較例2
実施例1と同一の燃焼排ガス処理装置において、煙道3又は集塵装置4において汚染媒体処理剤を供給しないで運転を行い、集塵装置4から灰貯留槽8に払い落とされた焼却飛灰に水を30重量%添加し、押出造粒機で混練り処理を行った。混練り処理後の処理物の重金属類の溶出濃度とpH値、ダイオキシン類の濃度測定を行った。結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
Figure 0003753959
【0050】
上記の結果から、本発明に係る燃焼排ガス処理装置によれば、ダイオキシン類が極めて効率的に分解処理され、且つ飛灰中の重金属類の溶出が効果的に防止されたことが分かる。
【0051】
実施例2
実施例1と同様に、図1の燃焼排ガス処理装置を用いて実験を行った。焼却炉1からの排ガスをガス冷却塔2によって冷却し、煙道3を通して集塵装置4に送った。ジチオカルバジン酸ヒドラジン塩からなる汚染媒体処理剤を、ガス冷却塔2の前段の煙道15において、燃焼排ガス1m3(NTP)当たり100mgの割合で排ガス中に吹き込み、排ガス中のダイオキシン類と接触させた。なお、集塵装置4内の排ガスの温度は、170℃であった。集塵装置4としては、バグフィルタを用いた。その後、集塵装置4から灰貯留槽8に払い落とされた焼却飛灰に水を30重量%添加し、押出造粒機によって混練り処理を行った。混練り処理後の処理物の重金属類の溶出濃度とpH値、ダイオキシン類の濃度測定を行った。結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
Figure 0003753959
【0053】
表4に示す結果から、本発明に係る燃焼排ガス処理装置において、汚染媒体処理剤を焼却炉からガス冷却塔への煙道中に加えても、実施例1(汚染媒体処理剤をガス冷却塔から集塵装置への煙道へ添加)と同様にダイオキシン類が極めて効率的に分解処理されると共に、飛灰中の重金属類の溶出が効果的に防止されたことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様に係る燃焼排ガス処理装置の構成を示す概念図である。

Claims (7)

  1. 焼却炉から排出される焼却飛灰を含む排ガスを所定温度に冷却するガス冷却装置;前記ガス冷却装置からの排出ガスを処理してその中に含まれる焼却飛灰を分離するための集塵装置;前記焼却炉からガス冷却装置への排出ガス及び/又はガス冷却装置からの排出ガスに次式:
    Figure 0003753959
    (式中、R は、それぞれ独立して、水素、メチル基を表し;R は、それぞれ独立して、R が水素の場合には、水素、フェニル基を表し、R がメチル基の場合には、水素、メチル基を表す)
    で示される化合物を含む汚染媒体処理剤を供給するための汚染媒体処理剤供給装置;前記集塵装置から排出される焼却飛灰に水及び/又は重金属類溶出防止剤を加えて混練りするための混練り装置;を具備することを特徴とする燃焼排ガスの処理装置。
  2. 集塵装置から排出される焼却飛灰を、混練り装置に導入する前に、300℃以下の温度で保持するための装置を更に具備する請求項1に記載の燃焼排出ガス処理装置。
  3. 汚染媒体処理剤が、シリカ、アルミナ、ゼオライト、珪藻土又は活性炭から選択される担体に担持されている請求項1に記載の燃焼排ガス処理装置。
  4. 焼却炉から排出される焼却飛灰を含む排ガスを所定温度に冷却するガス冷却装置;前記ガス冷却装置からの排出ガスを処理してその中に含まれる焼却飛灰を分離するための集塵装置;前記焼却炉からガス冷却装置への排出ガス及び/又はガス冷却装置からの排出ガスに次式:
    Figure 0003753959
    (式中、R は、それぞれ独立して、水素、メチル基を表し;R は、それぞれ独立して、R が水素の場合には、水素、フェニル基を表し、R がメチル基の場合には、水素、メチル基を表す)
    で示される化合物を含む汚染媒体処理剤を供給するための汚染媒体処理剤供給装置;
    を具備することを特徴とする燃焼排ガスの処理装置。
  5. 集塵装置から排出される焼却飛灰に水及び/又は重金属類溶出防止剤を加えて混練りするための混練り装置;を具備することを特徴とする請求項4に記載の燃焼排ガスの処理装置。
  6. 集塵装置から排出される焼却飛灰を、混練り装置に導入する前に、300℃以下の温度で保持するための装置を更に具備する請求項4又は5に記載の燃焼排出ガス処理装置。
  7. 汚染媒体処理剤が、シリカ、アルミナ、ゼオライト、珪藻土又は活性炭から選択される担体に担持されている請求項4〜6のいずれかに記載の燃焼排ガス処理装置。
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