JP3753575B2 - タイヤサイドウォール用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、耐候性および耐屈曲疲労性等の耐動的疲労性を損なうことなく、低燃費性能を改良したタイヤサイドウォール用ゴム組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
空気入りタイヤにおけるサイドウォール部の役割は、カーカス部の保護と、タイヤ走行中のトレッド部の応力または歪を緩和することにあると云われており、中でもラジアルタイヤの方がバイアスタイヤよりも、その役割は重要であるとされている。そのため、カーカス部の保護で要求されるサイドウォール部の特性としては、オゾン劣化に関する耐候性、悪路走行時における耐外傷性、およびサイド部のセパレーション問題に関するカーカス部との接着性が挙げられる。一方、トレッド部の応力・歪緩和で要求されるサイドウォ−ル部の特性としては、耐動的疲労性、耐屈曲性が挙げられる。すなわち、空気入りタイヤは、種々の環境や条件下で使用されるので、上記のような種々の特性が要求される。しかも、最近では道路整備が進み、かつ、ラジアルタイヤの普及が進むにつれてタイヤ寿命がますます伸びており、上記の特性の中でも、特に耐動的疲労性と耐候性に関する改良要求が高まりつつある。
【0003】
また、外観の観点から云えば、タイヤサイドウォールに用いられるジエン系ゴムは、耐候性が不十分であるため、アミン系老化防止剤やパラフィン系ワックスが併用されている。しかしながら、アミン系老化防止剤あるいはパラフィン系ワックスを配合したジエン系ゴム製品は、時間の経過とともに、その表面にアミン系老化防止剤、パラフィン系ワックスがブリードアウトし、表面が赤色に変色して商品価値の低下を招くという問題があった。
【0004】
老化防止剤等の配合をしない処方としては、高い耐オゾン性能を有するEPTの応用が知られている。しかしながら、このEPTは、ジエン系ゴムとの共加硫性に問題がある。
【0005】
上記のような問題を解決するために、ペルオキシド加硫を用いた、天然ゴムとEPDMとからなるゴム組成物も開発されている。しかしながら、このようなペルオキシド加硫では、タイヤサイドウォールの特性として要求される耐亀裂成長性に難があり、また、耐疲労性に対しても良好でないという問題がある。
【0006】
本発明者らは、EPTの加硫速度を大幅に向上させてジエン系ゴムとの良好な共加硫性を有するEPTを開発することによって、耐候性および耐屈曲疲労性等の耐動的疲労性に優れるとともに低燃費性に優れたタイヤサイドウォール用ゴム組成物を得るべく鋭意研究し、EPTを構成するポリエンとして4,8 - ジメチル - 1,4,8 - デカトリエン(DMDT)等の特定の化合物を選択すれば、ジエン系ゴムとの共加硫性に優れたEPTが得られること、およびこのEPTとジエン系ゴムとを共加硫しても、ジエン系ゴムが本来的に有している優れた動的な機械的強度特性が損なわれないことを見出し、本発明を完成するに至った。なおDMDT−EPTはエチレン・プロピレン・4 - エチリデン - 8 - メチル - 1,7 - ノナジエン共重合体ゴム(EMND−EPT)と比較すると、加硫速度は同等であり、スコーチ安定性がよくなる特徴を持つ。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、耐候性および耐屈曲疲労性等の耐動的疲労性に優れるとともに、低燃費性に優れたタイヤサイドウォール用ゴム組成物を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係るタイヤサイドウォール用ゴム組成物は、
エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、下記一般式[1]で表わされるトリエン化合物に由来する構造単位とからなるランダム共重合体ゴム(A)と、
ジエン系ゴム(B)と、
カーボンブラック(C)と、
加硫剤(D)と
を含有してなり、
該ランダム共重合体ゴム(A)は、
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が99/1〜30/70の範囲にあり、
(ii)前記トリエン化合物に由来する構造単位の含有量が0.1〜30モル%であり、
(iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜10dl/gの範囲にあることを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物;
【0009】
【化2】
Figure 0003753575
【0010】
[式[1]中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、メチル基またはエチル基、R3およびR4はそれぞれ独立してメチル基またはエチル基である。]
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るタイヤサイドウォール用ゴム組成物について具体的に説明する。
【0012】
本発明に係るタイヤサイドウォール用ゴム組成物は、特定のランダム共重合体ゴム(A)とジエン系ゴム(B)とカーボンブラック(C)と加硫剤(D)とを含有してなる加硫可能なゴム組成物である。
【0013】
ランダム共重合体ゴム(A)
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、トリエン化合物に由来する構造単位とからなる。
【0014】
このような炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、 プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、3-エチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ペンテン、4-エチル-1- ヘキセン、3-エチル-1- ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。中でも、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましく用いられる。
【0015】
これらのα- オレフィンは、単独であるいは2種以上組合わせて用いることができる。 また、トリエン化合物に由来する構造単位は、下記一般式[1]で表わされる。
【0016】
【化3】
Figure 0003753575
【0017】
[式[1]中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、メチル基またはエチル基、R3およびR4はそれぞれ独立してメチル基またはエチル基である。]
【0018】
前記式[1]で示されるトリエン化合物の中では、R3およびR4がどちらもメチル基である化合物が好ましく、このようなトリエン化合物をモノマー原料として得られるランダム共重合体ゴムは、加硫速度およびスコーチ特性のバランスに特に優れている。
【0019】
前記式[1]で示されるトリエン化合物としては、具体的に下記化合物などが挙げられる。
【化4】
Figure 0003753575
尚、これらのトリエン化合物は、特願平11−146429号に記載した方法で製造することができる。
【0020】
上記トリエン化合物の中では、第1番目に例示した4,8 - ジメチル - 1,4,8 -デカトリエン(以下、DMDTと略記)が好ましい。
前記式[1]で示されるトリエン化合物は、トランス体およびシス体の混合物であってもよく、トランス体単独またはシス体単独であってもよい。
【0021】
前記式[1]で示されるトリエン化合物は、下記式[2]で示される共役ジエンを有する化合物とエチレンとを、遷移金属化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒の存在下に反応させることにより製造することができる。
【0022】
【化5】
Figure 0003753575
【0023】
(式[2]中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ上述した一般式[1]におけるR1、R2、R3およびR4と同じである。)
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、上記のようなエチレン、α- オレフィンおよびトリエン化合物それぞれの単量体から誘導される構成単位が、ランダムに配列して結合し、トリエン化合物に起因する分岐構造を有するとともに、主鎖は、実質的に線状構造となっている。
【0024】
この共重合体ゴムが実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重合体を含有しないことは、この共重合体ゴムが有機溶媒に溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体ゴムが135℃中のデカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0025】
また、このようなランダム共重合体ゴム(A)において、トリエン化合物から誘導される構成単位は、実質的に下記式[3]で示される構造を有している。
【0026】
【化6】
Figure 0003753575
【0027】
(式[2]中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ上述した一般式[1]におけるR1、R2、R3およびR4と同じである。)
なお、トリエン化合物から誘導される構成単位が上記構造を有していることは、この共重合体の13C−NMRスペクトルを測定することによって確認することができる。
【0028】
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)、たとえばエチレン・プロピレン・4,8 - ジメチル - 1,4,8 - デカトリエン(DMDT)共重合体ゴムは、既存のエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン(ENB)共重合体ゴムと比べ、加硫速度が約2倍速く、ほぼジエン系ゴムと同等の加硫速度であるため、ジエン系ゴムが本来的に有している優れた動的な機械的強度特性を損なうことなく、タイヤトレッドの初期物性を維持することができる。
【0029】
本発明で用いられるランダム共重合体ゴム(A)は、以下のような組成および特性を有する。
(i)このランダム共重合体ゴムは、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が60/40〜90/10、好ましくは70/30〜80/20の範囲にある。
【0030】
エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比がこの範囲内にあるとゴム弾性の点で好ましい。60/40未満になると、ランダム共重合体のガラス転移点が高温にシフトし、ゴム弾性が失なわれるため好ましくない。また、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比が、90/10を超えると、ランダム共重合体は樹脂様物質となり、ゴム弾性が失われるため好ましくない。
【0031】
(ii)このランダム共重合体ゴム(A)のトリエン化合物に由来する構造単位の含有量は0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜8モル%、より好ましくは0.5〜5モル%である。
ランダム共重合体ゴムのトリエン化合物含量が上記範囲内にあると、耐熱性に優れるとともに加硫速度が速い。
【0032】
(iii) このランダム共重合体ゴム(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜10dl/g、好ましくは2.0〜5.0dl/gの範囲にある。
【0033】
極限粘度[η]が上記のような範囲にあるランダム共重合体ゴム(A)を用いると、得られるゴム組成物は、ジエン系ゴムとのブレンド性に優れるとともにタイヤトレッドとして要求される機械的強度を発現することができる。
【0034】
本発明においては、ランダム共重合体ゴム(A)は、ランダム共重合体ゴム(A)とジエン系ゴム(B)との合計量100重量部に対して、20〜80重量部、好ましくは20〜70重量部、さらに好ましくは20〜60重量部の割合で用いられる。(A)と(B)との比がこの範囲内にあるとタイヤの機械的強度の点から好ましい。
【0035】
上記のようなランダム共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、上記一般式[1]で表わされるトリエン化合物に由来する構造単位とを、触媒の存在下に共重合させて得ることができる。
【0036】
このような触媒としては、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)などの遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)とからなるチーグラー型触媒が使用できる。
【0037】
本発明では、[a]可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒、あるいは[b]周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒が特に好ましく用いられる。
【0038】
本発明では、上記のような触媒[a](可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒)または触媒[b](周期律表第IV族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒)の存在下に、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、トリエン化合物に由来する構造単位とを、通常液相で共重合させる。
【0039】
この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレン等のα- オレフィンを溶媒として用いてもよい。
このような炭化水素溶媒としては、具体的には、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素およびそのハロゲン誘導体、
シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素およびそのハロゲン誘導体、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、および
クロロベンゼン等のハロゲン誘導体などが用いられる。
【0040】
これら溶媒は組み合わせて用いてもよい。
エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとトリエン化合物に由来する構造単位との共重合は、バッチ法、あるいは連続法いずれの方法で行なってもよい。共重合を連続法で実施するに際しては、上記触媒は以下のような濃度で用いられる。
【0041】
本発明において、上記触媒[a]、すなわち可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が用いられる場合には、重合系内の可溶性バナジウム化合物の濃度は、通常、0.01〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.05〜3ミリモル/リットルである。この可溶性バナジウム化合物は、重合系内に存在する可溶性バナジウム化合物の濃度の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。
【0042】
また、有機アルミニウム化合物は、重合系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で、2以上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の量で供給される。
【0043】
可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒[a]は、通常、上述の炭化水素溶媒、および/または液状の炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよび分岐鎖状ポリエン化合物で希釈されて供給される。この際、可溶性バナジウム化合物は上述した濃度に希釈されることが望ましく、また有機アルミニウム化合物は重合系内における濃度のたとえば50倍以下の任意の濃度に調整して重合系内に供給されることが望ましい。
【0044】
また、本発明においてメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物ともいう。)とからなる触媒[b]が用いられる場合には、重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常、0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。
【0045】
また、有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するアルミニウム原子の比(Al/遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の量で供給される。
【0046】
イオン化イオン性化合物の場合は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
【0047】
また、有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常、約0〜5ミリモル/リットル(重合度積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
【0048】
本発明において、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒[a]の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとトリエン化合物に由来する構造単位とを共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−50℃〜100℃、好ましくは−30℃〜80℃、さらに好ましくは−20℃〜60℃で、圧力が5MPa以下、好ましくは2MPa以下の条件下に行なわれる。
【0049】
また本発明において、メタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒[b]の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとトリエン化合物に由来する構造単位とを共重合させる場合には、共重合反応は、通常、温度が−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜120℃、さらに好ましくは0℃〜100℃で、圧力が8MPa以下、好ましくは5MPa以下の条件下に行なわれる。
【0050】
また反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常、5分〜5時間、好ましくは10分〜3時間である。
【0051】
本発明では、エチレン、炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよびトリエン化合物に由来する構造単位は、上述した特定組成のランダム共重合体ゴムが得られるような量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0052】
上記のようにしてエチレン、炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよびトリエン化合物に由来する構造単位を共重合させると、ランダム共重合体ゴムは通常これを含む重合液として得られる。この重合液は、常法により処理され、ランダム共重合体ゴムが得られる。
【0053】
ランダム共重合体ゴム(A)[不飽和性エチレン系共重合体]の上記のような調製方法は、特願平10−323222号に詳細に記載されている。
【0054】
ジエン系ゴム(B)
本発明で用いられるジエン系ゴム(B)としては、特に制限はなく、通常タイヤトレッドに用いられるゴムでよく、具体的には、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン- ブタジエンゴム(SBR)などが挙げられる。中でも、機械的強度のバランスがとれているイソプレン系ゴム、すなわち天然ゴム(NR)、スチレン- ブタジエンゴム(SBR)イソプレンゴム(IR)が好ましく用いられる。
【0055】
これらのジエン系ゴムは、単独で、または組合わせて用いることができる。
本発明においては、ジエン系ゴム(B)は、ランダム共重合体ゴム(A)およびジエン系ゴム(B)の合計量100重量部に対して、20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部、さらに好ましくは40〜60重量部の割合で用いられる。
【0056】
カーボンブラック(C)
本発明で用いられるカーボンブラック(C)としては、特に制限はなく、通常タイヤトレッドに使用されるカーボンブラックであればよく、具体的には、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MTなどのカーボンブラックが挙げられる。
【0057】
本発明においては、カーボンブラック(C)は、ランダム共重合体ゴム(A)およびジエン系ゴム(B)の合計量100重量部に対して、20〜120重量部、好ましくは30〜100重量部、さらに好ましくは40〜90重量部の割合で用いられる。カーボンブラック(C)を上記のような割合で用いると、耐摩耗性および耐動的疲労性に優れたタイヤトレッドを提供し得るゴム組成物が得られる。
【0058】
加硫剤(D)
本発明で好ましく用いられる加硫剤(D)は、イオウまたはイオウ化合物である。
【0059】
イオウとしては、具体的には、粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどが挙げられる。
イオウ化合物としては、具体的には、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物などが挙げられる。また、加硫温度で活性イオウを放出して加硫するイオウ化合物、たとえばモルフォリンジスルフィド、アルキルフェノ−ルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなども使用することができる。
【0060】
本発明では、粉末イオウが好ましく用いられる。
本発明においては、加硫剤(D)は、ランダム共重合体ゴム(A)およびジエン系ゴム(B)の合計量100重量部に対して、通常0.5〜10重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1.0〜5.0重量部の割合で用いられる。
【0061】
タイヤサイドウォール用ゴム組成物
本発明に係るタイヤサイドウォール用ゴム組成物は、上述したようなランダム共重合体ゴム(A)、ジエン系ゴム(B)、カーボンブラック(C)および加硫剤(D)を含有してなる。
【0062】
本発明に係るタイヤサイドウォール用ゴム組成物から得られるタイヤサイドウォールは、低燃費性に優れている。本発明で云う低燃費性に優れているかどうかは、損失正接(tanδ)の値が低いか高いかによって確認することができる。低燃費性は、損失正接の値が小さい程優れている。ゴム材料に歪を加えると、その発熱量は入力された歪の2乗に比例し、周波数とtanδに比例することが理論的に知られている。タイヤに伝えられた力が転がる力ではなく熱として消費される程低燃費性が失われるため、タイヤサイドウォールの材料としては発熱に関係するtanδが小さい程低燃費タイヤと云える。
【0063】
本発明に係るタイヤサイドウォール用ゴム組成物は、バンバリーミキサーのようなミキサー類による混合法等の周知のゴム状重合体混合法を採用することによって製造することができる。また、本発明においては、ゴム配合時に、ランダム共重合体ゴム(A)、ジエン系ゴム(B)、カーボンブラック(C)および加硫剤(D)のほかに、通常のゴム配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
【0064】
このような配合剤としては、軟化剤;微粉ケイ酸等のゴム補強剤;軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ等の充填剤;粘着付与剤;ワックス;結合用樹脂;酸化亜鉛;酸化防止剤;オゾン亀裂防止剤;加工助剤および加硫活性剤が挙げられる。これらの配合剤は、1種類または2種類以上組合わせて使用することができる。
【0065】
本発明に係るタイヤサイドウォール用ゴム組成物の加硫物は、上記のようなランダム共重合体ゴム(A)、ジエン系ゴム(B)、カーボンブラック(C)、加硫剤(D)および必要に応じて他の配合剤を、150〜200℃の温度で5〜60分間加熱して加硫するという通常の加硫方法を採用することにより得ることができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明に係るタイヤサイドウォール用ゴム組成物は、特定のエチレン・α- オレフィン・トリエン共重合体ゴムと、ジエン系ゴムと、カーボンブラックと、加硫剤とを含有してなるので、耐候性および耐屈曲疲労性等の耐動的疲労性に優れるとともに、低燃費性に優れたタイヤサイドウォールを提供することができる。
【0067】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における加硫ゴムについて行なった試験方法は、以下の通りである。
【0068】
[1]未加硫ゴムの物性試験
未加硫ゴムの物性試験は、JIS K 6300に準拠して行った。スコーチ安定性は、島津製作所(株)製のムーニービスコメーター(形式SMV−202)を用いて、125℃でムーニー粘度変化を測定し、t5[分]を求め、目安とした。このt5が長いほどスコーチ安定性がよいことを示す。また加硫速度は、モンサント社製のローターレスレオメーター(形式MDR2000)を用いて、160℃でトルクの変化を測定し、tc(90)を求め、目安とした。このtc(90)が短いほど加硫速度が速いことを示す。
【0069】
[2]動的粘弾性試験
動的粘弾性試験は、2mm厚の加硫ゴムシートについて、レオメトリック社製の粘弾性試験機(型式RDS−2)を用いて、測定温度0℃、周波数10Hzおよび歪率1%の条件で損失正接tanδ(振動減衰性の指標)を測定した。
【0070】
0℃における損失正接(tanδ)は、JIS K 6257(1993年)の空気加熱老化試験(100℃、48時間)前後の試験片について、それぞれ求め、さらにその変化率を求めた。
【0071】
[3]引張り試験
加硫ゴムシートを打抜いてJIS K 6251(1993年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製し、この試験片を用いて同JIS K 6251第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、100%モジュラス(M100 )、200%モジュラス(M200 )、300%モジュラス(M300 )、引張破断点応力TBおよび引張破断点伸びEBを測定した。
【0072】
[4]硬さ試験
硬さ試験は、JIS K 6253(1993年)に準拠して行ない、スプリング硬さHA(ショアーA硬度)を測定した。
【0073】
[5]動的引張疲労試験(上島疲労試験機)
加硫ゴムシートを打ち抜いてJIS K 6251に記載されている1号形ダンベル試験片を調製し、この試験片の縦方向の中心に2mmの傷を入れた。このようにして得られた試験片9本のうち、3本について伸長率を50%とし、設定温度23℃、回転速度300rpmの条件で伸長疲労させ、そのダンベル切断時の回数の平均値とその切断時の応力の平均値を求めた。また伸長率100%、145%の条件で同様に動的引張疲労試験を行なった。
【0074】
[6]亀裂成長試験(デマッチャ屈曲試験)
亀裂成長試験は、ASTM D 813に従って、デマッチャー試験機で亀裂成長に対する抵抗性を調べた。すなわち、亀裂が発生するまでの屈曲回数と試験片が完全に切断するまでの屈曲回数を測定した(測定温度40℃、回転速度300rpm)。
【0075】
また、実施例、比較例で用いたランダム共重合体ゴム(EPT)は、表1に示す通りである。
【0076】
【表1】
Figure 0003753575
(註)DMDT-EPT:エチレン・プロピレン・4,8 - ジメチル - 1,4,8 - デカトリエン共重合体ゴム
ENB-EPT :エチレン・プロピレン・5 - エチリデン - 2 - ノルボルネン共重合体ゴム
【0077】
【実施例1〜4】
[加硫ゴムの製造]
ランダム共重合体ゴム(A)として上記エチレン・プロピレン・4,8 - ジメチル - 1,4,8 - デカトリエン共重合体ゴム(DMDT−EPT)と、ジエン系ゴム(B)としてSBR1502とをブレンド比(SBR/DMDT−EPT)70/30で表2に従い配合し、未加硫の配合ゴムを得た。
【0078】
この配合に際して、上記の共重合体ゴム(DMDT−EPT)およびSBRのほかに、亜鉛華、ステアリン酸、カーボンブラック[商品名 カーボンブラックN330、旭カーボン(株)製]、加硫促進剤[商品名 サンセラーCM、三新興化学工業(株)製]、および硫黄を加えて8インチロール(前ロール/後ロール:100℃/100℃)で混練し配合ゴムを得た。
【0079】
【表2】
Figure 0003753575
【0080】
上記のようにして得られた配合ゴムをシート出しして、160℃に加熱されたプレスによりtc(90)+3分間加熱加圧して厚み2mmの加硫シートを作製し、上記の動的粘弾性試験、引張り試験、硬さ試験、動的引張疲労試験および亀裂成長試験を行なった。
【0081】
結果を表3に示す。
【0082】
【比較例1】
実施例1において、DMDT−EPT−1の代わりにENB−EPTを用いた以外は、実施例1と同様にして厚み2mmの加硫シートを作製し、上記の動的粘弾性試験、引張り試験、硬さ試験、伸長疲労試験および亀裂成長試験を行なった。
【0083】
結果を表3に示す。
【0084】
【表3】
Figure 0003753575
【0085】
実施例1〜3におけるDMDT−EPTからなるゴム組成物は、耐動的疲労性および耐亀裂成長性に優れ、また損失正接(tanδ)が低く、タイヤの低燃費性に優れている。
【0086】
これに対し、比較例1におけるENB−EPTからなるゴム組成物は、上記実施例1〜3に比べ、耐動的疲労性、耐亀裂成長性および低燃費性に劣っている。

Claims (2)

  1. エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、下記一般式[1]で表わされるトリエン化合物に由来する構造単位とからなるランダム共重合体ゴム(A)と、
    ジエン系ゴム(B)と、
    カーボンブラック(C)と、
    加硫剤(D)と
    を含有してなり、
    該ランダム共重合体ゴム(A)は、
    (i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)が99/1〜30/70の範囲にあり、
    (ii)前記トリエン化合物に由来する構造単位の含有量が0.1〜30モル%であり、
    (iii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜10dl/gの範囲にあることを特徴とするタイヤサイドウォール用ゴム組成物;
    Figure 0003753575
    [式[1]中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、メチル基またはエチル基、R3およびR4はそれぞれ独立してメチル基またはエチル基である。]
  2. 前記ランダム共重合体ゴム(A)およびジエン系ゴム(B)の合計量100重量部に対して、ランダム共重合体ゴム(A)の含有量が20〜80重量部であり、ジエン系ゴム(B)の含有量が20〜80重量部であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤサイドウォール用ゴム組成物。
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