JP3753077B2 - 半導体多層膜およびそれを用いた半導体素子ならびにその製造方法 - Google Patents

半導体多層膜およびそれを用いた半導体素子ならびにその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、III族窒化物半導体多層膜およびこれを用いた半導体素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
窒化物半導体材料は、禁制帯幅が充分大きく、バンド間遷移も直接遷移型であるため、短波長発光素子への適用が盛んに検討されている。また、電子の飽和ドリフト速度が大きいこと、ヘテロ接合による2次元キャリアガスの利用が可能なこと等から、電子素子への応用も期待されている。
【0003】
これらの素子を構成する窒化物半導体層は、有機金属気相成長法(MOVPE)、分子線気相成長法(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)等の気相成長法を用いエピタキシャル成長を行うことにより得られる。
【0004】
ところで、窒化物半導体材料を用いて光素子や電子素子を作製する場合、所定の開口パターンを有するマスクを用い、III属窒化物半導体層を成長させるプロセスがしばしば利用される。特にIII属窒化物半導体は化学的に安定なため、エッチングによる加工が困難であることから所望の層構造を形成するためにマスク成長に頼らざるを得ない場合があり、窒化物半導体素子の作製にあっては、マスク成長プロセスは技術的にきわめて重要な位置を占めている。
【0005】
このようなマスク材料に求められる特性として、その上に成長膜が成長しにくく、かつ、成長温度において化学的に安定であることが求められる。このような条件を満たすものとして、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等、シリコン系の材料が知られている。従来、マスク材料としては、シリコン酸化膜が広く利用され、特殊の場合にシリコン窒化膜等が用いられていた。これらの材料は、上記要求特性をある程度満足する上、エッチング加工が容易でパターニングを容易に行うことができるからである。このほかに酸化チタン等、他のマスク材料が提案される例もあったが、シリコン酸化膜を用いることで特に不都合となる点が見いだされておらず、取り扱いが容易でプロセスの実績の多いSiO2に代えてまで他のマスクを用いる理由が無かったことから、多くの場合、SiO2がマスク材料として利用されてきた。
【0006】
以下、SiO2マスクを用いた選択成長プロセスにより形成される半導体レーザの例について述べる。
【0007】
まず、リッジを形成した窒化ガリウム系半導体レーザの従来技術1(特開2000−58981号公報)について図1を参照して説明する。この例では、III族窒化物半導体レーザにおいて、選択成長を用いて電流狭窄構造を形成し、これにより、発振しきい値を小さくし、横モード制御性に優れ、且つ素子抵抗の低減を図っている。図1において、このIII−V族窒化物半導体レーザの層構造は、C面を表面とするサファイア基板101上に、厚さ30nmのGaNバッファー層102、厚さ3.0μmのn型GaNコンタクト層103、厚さ0.1μmのn型In0.1Ga0.9Nクラック防止層104、厚さ0.4μmのn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層105、厚さ0.1μmのn型GaN光ガイド層106、厚さ2.5nmのアンドープIn0.2Ga0.8N量子井戸層と厚さ5nmのアンドープIn0.05Ga0.95N障壁層からなる7周期の多重量子井戸構造活性層107、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8Nインジウム解離防止層108、厚さ0.1μmのp型GaN光ガイド層109、厚さ0.4μmのp型Al0.07Ga0.83Nクラッド層110、厚さ0.2μmのp型GaN層111、厚さ0.2μmの酸化珪素(SiO2)膜112、厚さ0.3μmのp型GaNコンタクト層113、Ni/Auの2層金属からなるp電極114、Ti/Alの2層金属からなるn電極115が形成されている。図1において、エッチングによりn型GaNコンタクト層103を露出させ、その上面にn電極115を形成している。
【0008】
次に、マスク成長によりリッジ部を形成した半導体レーザの他の例について述べる。特開2000−58461号公報には、V族原料にヒドラジンを用いて600℃以上800℃以下の成長温度で選択成長することにより多結晶の形成を抑制することができることが報告されている(以下、従来技術2と称する)。図2は従来技術2に係るIII−V族窒化物半導体レーザの概略断面図である。図2において、このIII−V族窒化物半導体レーザの層構造は、C面を表面とするサファイア基板201上に、GaNバッファー層202、n型GaNコンタクト層203、n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層204、n型GaN光閉込層205、多重量子井戸構造活性層206、p型GaN光閉込層207、p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層208、酸化珪素マスク209、p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層210およびp型GaNコンタクト層211からなるリッジ構造212、Ni/Auの2層金属からなるp電極213、Ti/Alの2層金属からなるn電極214が形成されている。図2において、エッチングによりn型GaNコンタクト層203を露出させ、その上面にn電極214を形成している。また、p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層210およびp型GaNコンタクト層211はマスク上への多結晶の形成を抑制するために、V族原料としてヒドラジンを用い、成長温度を700℃としている。マスク材料とアルミニウムの反応を抑制するためには成長温度を下げる必要があり、アンモニアよりも低温で分解するヒドラジンを用いることにより成長温度を下げることを可能とするものである。また、選択成長用マスク材料として、酸化珪素、窒化珪素、酸化チタン及びAl23が例示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、本発明者の検討の結果、上記のようにSiO2マスクを用いたマスク成長では、マスク成長層に不純物混入領域が発生するとの知見が得られた。図7はこの様子を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。断面SEM像において選択成長による再成長界面及びその上のp型半導体層に黒色の変色域が見られた。この箇所は、その後の検討によりシリコンの混入した箇所であることが判明した。III属窒化物半導体の結晶層を得るための成長温度は1000℃以上と高温で、かつ、低圧の状態となる。この状態におかれた場合、シリコン系マスクからシリコンが揮発し、III属窒化物半導体の結晶層に混入するものと推察される。
【0010】
III属窒化物半導体層中にシリコンが混入すると、設計した構造の多層膜が得られず、所望の特性を満たす素子を製造安定性良く得ることが困難となる。特に、III属窒化物半導体層の導電型がp型である場合、シリコンが混入した場合、p型不純物が補償されてしまい、高抵抗領域が発生したり、導電型がn型に反転した領域が発生し、所望通りの素子特性が得られなくなる場合がある。
【0011】
前記した従来技術1では、リッジ部において、このようなシリコンの混入等が発生し得る。一方、従来技術2では、マスク成長層を低温で形成するため、良質な結晶層を安定的に得られない場合があり、また、マスク成長層をマスク上に横方向に成長しづらく、狭い開口部に対して広いリッジを形成することが困難であった。
【0012】
シリコンの混入に対しては、その現象を逆に利用し、素子特性の向上を図ることも考えられる。本発明者らは特願2001−272784において、シリコンの混入により発生した高抵抗領域を利用した半導体レーザについて提案している。この一方、シリコンの混入自体を防止し、当初設計した通りの層構造を形成し、素子を安定製造する手法を開発することも重要な技術的課題である。
【0013】
この点、従来、マスクに由来する汚染や不純物がマスク成長層に混入することについての対策が検討された例はほとんどなかった。しかし、このことについて充分な対策を施せば、III属窒化物半導体多層膜の製造安定性を、従来に比し、飛躍的に向上させることも可能となる。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、マスク成長により形成した半導体層へのマスク由来の汚染や不純物の混入を防ぎ、設計通りの特性を備える半導体多層膜を製造安定性良く得るための技術を提供することを目的とする。
【0015】
具体的には、III属窒化物半導体レーザの、活性層上部のp型半導体層構造に適用した場合、良好な電流狭窄が実現され、I−V特性、内部損失等のばらつきの少ない、製造安定性に優れた半導体レーザを提供することを目的とする。また、電子素子への応用では、高周波特性の改善、基板への電子漏れの抑制などによるデバイス性能の向上を図ることを目的とする。
【0021】
本発明の半導体多層膜において、前記第二のIII族窒化物半導体層は、前記第一のIII族窒化物半導体層の上面から前記開口部の外の領域まで成長し、前記マスクの少なくとも一部を覆う形態をなす構成とすることができる。
【0026】
本発明によれば、第一のIII族窒化物半導体層と、この上に設けられた開口部を有するマスクと、前記開口部において前記第一のIII族窒化物半導体層から成長した第二のIII族窒化物半導体層と、を有し、前記マスクはAl により構成され、前記第二のIII族窒化物半導体層は、リッジ状に形成されるとともに、前記第一の III 族窒化物半導体層の上面から前記開口部の外の領域まで成長し、前記マスクの少なくとも一部を覆う形態をなし、前記開口部の幅が最小となる断面において、リッジ底面の幅をD、開口部の幅をdとし、前記マスク上の前記第二のIII族窒化物半導体層の厚みをhとしたとき、下記式
P=(D−d)/2h
により定義される形状因子Pが、2以上であることを特徴とする半導体多層膜が提供される。
【0027】
本発明によれば、第一のIII族窒化物半導体層と、この上に設けられた開口部を有するマスクと、前記開口部において前記第一のIII族窒化物半導体層から成長した第二のIII族窒化物半導体層と、を有し、前記マスクはAl により構成され、前記第二のIII族窒化物半導体層は、リッジ状に形成されるとともに、前記第一の III 族窒化物半導体層の上面から前記開口部の外の領域まで成長し、前記マスクの少なくとも一部を覆う形態をなし、前記リッジ部がストライプ状に一方向に延在して形成され、該ストライプ方向と垂直な面内において、リッジ底面の幅をD、開口部の幅をd、前記マスク上の前記第二のIII族窒化物半導体層の厚みをhとしたとき、下記式
P=(D−d)/2h
により定義される形状因子Pが、2以上であることを特徴とする半導体多層膜が提供される。
【0028】
本発明の半導体多層膜において、D/dが1.6以上である構成とすることができる。
【0029】
本発明の半導体多層膜において、前記マスクが、シリコンを含まない材料により構成することができる。
【0030】
本発明の半導体多層膜において、前記マスクを構成する材料の標準生成エンタルピーをΔHとしたとき、
ΔH<−1000kJ/mol
を満たす構成とすることができる。
【0031】
本発明の半導体多層膜において、前記マスクは、化学式M(n>0,m>0)により表される酸化物により構成され、前記酸化物の常温における標準生成エンタルピーをΔHとしたとき、
ΔH/m<−500kJ/mol
を満たす構成とすることができる。
【0033】
本発明の半導体多層膜において、前記第二のIII族窒化物半導体層は、1000℃以上の高温で形成された膜である構成とすることができる。
【0034】
本発明の半導体多層膜において、前記第二のIII族窒化物半導体層がp型半導体層である構成とすることができる。
【0035】
本発明の半導体多層膜において、前記マスクはAl23により構成することができる。
【0036】
本発明の半導体多層膜を備えた構成とすることができる。
【0037】
本発明の半導体多層膜と、活性層とを備えた構成とすることができる。
【0038】
本発明のIII族窒化物半導体光素子において、前記半導体多層膜を活性層上部に備え、前記マスクが電流狭窄部をなす構成とすることができる。
【0048】
本発明において、前記マスク、シリコンを含まない材料により構成されているので、第二のIII族窒化物半導体層へのシリコンの混入が防止され、設計通りの特性を備える半導体多層膜が得られる。
【0049】
本発明において、前記マスクを構成する材料の標準生成エンタルピーをΔHとしたとき、
ΔH<−1000kJ/mol
を満たす構成とした場合、マスク材料の分解等にともなう第二のIII族窒化物半導体層の汚染が防止され、設計通りの特性を備える半導体多層膜が得られる。
【0050】
また、マスクを、化学式M(n>0,m>0)により表される酸化物により構成し、この酸化物の常温における標準生成エンタルピーをΔHとしたとき、
ΔH/m<−500kJ/mol
を満たす構成とした場合、マスク材料の分解等にともなう第二のIII族窒化物半導体層の汚染がさらに効果的に防止され、設計通りの特性を備える半導体多層膜が得られる。
【0051】
表1に、種々の材料の標準生成エンタルピーをΔH等を示す。
【表1】
Figure 0003753077
上記式を満たす材料として、たとえばAl23、Ga23、HfO2、ZrO2、Ta25、T 23、Ti35が挙げられる。本発明では、Al により構成されたマスクを用いることにより、第二のIII族窒化物半導体層の汚染が効果的に防止され、設計通りの特性を備える半導体多層膜が得られる。
【0052】
なお、本発明におけるマスクは、少なくともその表面が上記材料により構成されたマスクであればよく、上記以外の材料からなる膜上に、上記材料からなる膜が積層した構造のマスクとすることもできる。
【0053】
本発明において、形状因子Pが下記式
【数13】
Figure 0003753077
を満たす構成とした場合、この半導体多層膜は、狭いマスク開口部と広いリッジ部とを併せ持った構造の半導体多層膜が実現される。ここで、上記式における変数は、図10のようになっている。図10は、マスク601から第二のIII族窒化物半導体層602が選択成長した様子を示す断面模式図である。このような半導体多層膜は、光素子または電子素子の一部に適用した場合、様々な利点が得られる。たとえばこの半導体多層膜を発光素子に適用し、リッジ上部に電極膜を設け、マスク開口部を電流狭窄部とする構造とした場合、広いリッジ部により良好な電極密着性および低い電極抵抗を実現しつつ、良好な電流狭窄を実現することができる。また、マスク開口部とリッジ側面の電極膜との間の距離が大きくなるため、リッジ側面に形成された電極膜による光吸収の影響が低減し、素子特性が向上する。
【0054】
形状因子Pが上記式を満たす半導体多層膜は、SiO2マスク等を用いた従来のマスク成長では実現することが困難であった。これに対し、本発明に規定する所定のマスク材料を選択すれば、上記式を満たす半導体多層膜を安定的に製造することができる。
【0055】
本発明において、第二のIII族窒化物半導体層は、良好な結晶性を得る観点から、1000℃以上の高温で形成された膜であることが好ましい。
【0056】
本発明は、第二のIII族窒化物半導体層がp型半導体層である場合、より効果的である。第二のIII族窒化物半導体層がp型半導体層である場合、マスク材料由来の汚染による導電型の変動が起こりやすいため、マスク材料由来の汚染を防止する本発明の効果がより顕著に発揮されるからである。
【0057】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体多層膜は、半導体レーザ、発光ダイオード等の発光素子、太陽電池、光センサー等の受光素子、変調器等に適用することができ、また、FET(電界効果型トランジスタ)等の電子素子に適用することもできる。
【0058】
本発明において、マスクをAl23により構成した場合、マスク材料由来の汚染を防止できるだけでなく、マスク上の横方向成長が促進され、狭いマスク開口部と広いリッジ部とを併せ持った構造を実現することができる。この点について、以下、結晶成長面をc面とする窒化ガリウム系半導体層の形成プロセスを例に挙げて詳細に説明する。
【0059】
c面を成長面とするGaN層上に設けられたマスクの開口部からAlGaN層を成長させる際、AlGaN層は、マスク開口部から上方および水平方向の両方向に成長する。従来用いられてきたSiO2マスクでは、上方への成長が水平方向への成長よりも優勢となる。これに対し、マスクをたとえばAl23により構成した場合、マスク上の横方向成長が促進され、マスク開口部に対してリッジが水平方向に張り出した形状を得ることができる。これにより、形状因子Pが前記した式を満たす半導体多層膜を実現することができる。
【0060】
形状因子Pが前述の式を満たす構造の半導体多層膜とした場合、素子性能の向上を図ることができる。たとえばこの半導体多層膜を発光素子に適用し、リッジ上部に電極膜を設け、マスク開口部を電流狭窄部とする構造とした場合、広いリッジ部により良好な電極密着性および低い電極抵抗を実現しつつ、良好な電流狭窄を実現することができる。また、マスク開口部とリッジ側面の電極膜との間の距離が大きくなるため、リッジ側面に形成された電極膜による光吸収の影響が低減し、素子特性が向上する。
【0061】
横方向成長の速度が低くても、マスク開口部が狭い場合は、上記Pの値はある程度高くなる。しかしながら、マスク開口部を狭くすると、マスク成長させる層の組成が変動したり、マスク汚染の影響がより顕著になりやすい。たとえばD/dが1.6以上となるような狭幅の開口部を有するSiO2マスクを用いてAlGaN層を選択成長させる場合、マスク上に多結晶Alが堆積する関係で、マスク成長の初期段階でGaが高組成になる傾向がある。また、マスク成長層中、マスク由来の汚染を受ける領域の占める割合が大きくなる。本発明は、こうした狭幅の開口部に半導体層を選択成長させた構造において、マスク汚染を排除し、広いリッジを実現することができる。
【0062】
Al23のような化学的に安定な材料は、反面、エッチング等によるパターニングが容易でなく、パターンニングの際、一定の工夫が必要となる。以下、Al23マスクの形成工程について説明する。まず図9のように、p型GaN光ガイド層8を成長した後、基板1を室温まで冷却し、成長装置から取り出す。次にc面を表面とするサファイア基板1をスパッタ装置に設置し、p型GaN層8の上に厚さ200nmのAl23層9を形成する(図9(a))。さらに、基板1を常圧CVD装置に設置し、Al23マスク層9の上に厚さ200nmのSiO2膜61を形成する(図9(b))。次に基板1を常圧CVD装置から取り出し、フォトレジストおよびバッファード弗酸によるエッチングにて、幅約2μmの開口部62を形成する(図9(c))。さらに95℃に熱した硫酸と燐酸の混酸によりAl23層を開口部62の部分のみ選択的にエッチングを行い、幅約2μmのストライプ状開口部14を形成する(図9(d))。その後、バッファード弗酸によりSiO2膜61を完全に除去する(図9(e))。以上のようにして、所定の形状にパターニングされたAl23層が形成される。
【0063】
本発明において、マスク表面は適宜、清浄化処理することができる。こうすることにより、マスク表面の表面張力が低下し、マスク表面における半導体層の横方向成長が一層促進される。
【0064】
マスク表面を清浄化する方法としては、バッファード・フッ酸等を用いたウェットエッチング、ラジカルイオンビームやイオンビームを用いた物理的化学的エッチング等のドライエッチング、オゾン照射、紫外線照射、還元性雰囲気下での熱処理などが挙げられる。また、これらの処理を組み合わせて行ってもよい。
【0065】
還元性雰囲気下の熱処理としては、例えば水素雰囲気下で400℃〜800℃程度に加熱することにより行われる。アッシング等によるレジスト剥離などフォトレジスト工程においてマスク表面に付着した酸化物等からなる不純物化合物は、この加熱還元処理によって、還元され、揮発性の高い元素あるいは化合物に変換され、マスク表面から除去される。
【0066】
上記清浄化処理の中でも特に、表面を一定量エッチングして新しい清浄面を露出させる処理を行うことが好ましく、そのような処理としてはエッチング処理が好ましい。表面を一定量エッチング除去する際、そのエッチング除去量は、表面から1〜500nm除去することが好ましく、10〜200nm除去することがより好ましい
【0067】
以上のような清浄化処理を行うことによって、マスク形成の際に発生しマスク表面に付着した不純物を除去することができ、その結果、マスク表面の表面エネルギーを低下させることができる。
【0068】
本発明における第一のIII族窒化物半導体層および第二のIII族窒化物半導体層は、900℃以上の温度で成長させることが好ましい。成長温度が低すぎると、良好な膜質の単結晶層を得ることが困難である。本発明における第一のIII族窒化物半導体層および第二のIII族窒化物半導体層は、たとえば、AlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成を有する層とする。これらの層を形成するエピタキシャル成長法としては、ハライド法、および有機金属熱分解法などの気相成長を用いる。ただし、第一のIII族窒化物半導体層の成長に関しては、分子線エピタキシー法、ガスソース分子線エピタキシー法などを用いて行ってもよい。
【0069】
本発明において、第二のIII族窒化物半導体層は、第一のIII族窒化物半導体層の上面から開口部の外の領域まで成長し、マスクの少なくとも一部を覆う形態をなす構成とすることができる。このような構成として、第二のIII族窒化物半導体層が図3〜図5のようなリッジを構成する例や、第二のIII族窒化物半導体層がマスク全面を覆うように形成される例等が挙げられる。本発明は、いずれの構成にも適用することができる。
【0070】
本発明において、第二のIII族窒化物半導体層がリッジ状に形成された構成とすることができる。この場合、本発明の構成を採用することにより、リッジ部におけるマスク材料の汚染が防止されるとともに、狭い開口部と広い再成長領域とを有する好適な形状のリッジ構造を実現でき、良好な電流狭窄と電極抵抗の低減を両立することができる。
【0071】
【実施例】
〈実施例1〉
図3は本発明に係るIII−V族窒化物半導体レーザの概略断面図である。本実施例では選択成長用マスク材料としてAl23を用いる。図3において、このIII−V族窒化物半導体レーザの層構造は、C面を表面とする厚さ330μmのサファイア基板1上に、厚さ40nmのGaNバッファー層2、厚さ1.5μmのn型GaNコンタクト層3、厚さ1μmのn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層4、厚さ0.1μmのn型GaN光ガイド層5、厚さ3nmのIn0.12Ga0.88N量子井戸層と厚さ5nmのIn0.02Ga0.98N障壁層からなる3周期の多重量子井戸構造活性層6、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8Nキャップ層7、厚さ0.1μmのp型GaN光ガイド層8、p型GaN光ガイド層8上に形成され、<1−100>方向の幅2μmのストライプ状開口部14を持った厚さ0.2μmのAl23マスク9、Al23マスク9上に選択的に形成された厚さ0.5μmのp型Al0.07Ga0.8Nクラッド層10、厚さ0.05μmのp型GaNコンタクト層11、Ni/Auの2層金属からなるp電極12、Ti/Alの2層金属n電極13が形成されている。図1において、エッチングによりn型GaNコンタクト層3を露出させ、その上面にn電極13を形成している。
【0072】
次に、図3の半導体レーザの製造工程について説明する。半導体膜の形成には有機金属化学気相成長装置(以下MOCVD)を用いた。成長圧力は全ての領域で100Torrとした。またV族元素供給源としてNH3を、III族元素供給源としてトリメチルガリウム(以下TMG)、トリメチルアルミニウム(以下TMA)、トリメチルインジウム(以下TMI)、ビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(以下(EtCp)2Mg)、シラン(以下SiH)を用い、有機金属についてはそれぞれのシリンダー温度を−10℃、20℃、30℃として、圧力760TorrのN2でバブリングすることにより、その飽和蒸気を反応管内に供給した。まず、反応管内にC面を表面とするサファイア基板1を設置し、水素雰囲気下で1100℃に加熱し、基板表面の清浄を行った。次に基板温度を500℃とし、TMG5sccm及びNH310slmを供給してサファイア基板1上に40nmのGaNバッファー層2を形成した。
【0073】
次にTMGの供給を中止し、基板温度を1100℃とした。ついでTMG15sccm、ドーパントとしてのSiH5sccm及びNH310slmを供給して基板上に厚さ1.5μmのn型GaNコンタクト層3を形成した。さらに、基板上にTMG15sccm、TMA5sccm、SiH5sccm及びNH310slmを供給し、厚さ1μmのn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層4を、ついでTMG15sccm、SiH5sccm及びNH310slmを供給し、厚さ0.1μmのn型GaN光ガイド層5を形成した。つぎに、基板1の温度を800℃に保持し、TMG10sccm、TMI50sccmもしくは30sccm及びNH310slmを供給して基板1上に膜厚3nmのIn0.2Ga0.8N量子井戸層と膜厚5nmのIn0.02Ga0.98N障壁層の3周期からなる多重量子井戸構造活性層6を形成した。つぎに活性層6上にTMG15sccm、TMA5sccm、ドーパントとして(EtCp)2Mg5sccm及びNH310slmを供給し、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8Nキャップ層7を形成した。ついで基板1の温度を1100℃に保持し、TMG15sccm、ドーパントとして(EtCp)2Mg5sccm及びNH310slmを供給して厚さ0.1μmのp型GaN光ガイド層8を形成した。
【0074】
つぎにAl23マスク9を形成した。まず基板1を室温まで冷却したのち成長装置から取り出し、スパッタ装置により膜厚0.2μmのAl23膜を形成したのち、フォトリソグラフ工程及びエッチング工程によって幅2.0μmの開口部14を形成した。
【0075】
その後、再び基板1を成長装置に設置して1100℃に加熱し、TMG15sccm、TMA5sccm、ドーパントとして(EtCp)2Mg 5sccm及びNH310slmを供給してp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層10を形成した。つぎに基板1上にTMG15sccm、(EtCp)2Mg5sccm及びNH310slmを供給し、厚さ0.05μmのp型GaNコンタクト層11を形成した。その後、基板1を成長装置より取り出し、リッジの頭部を除いて酸化珪素膜15を形成し、Ni/Auの2層金属からなるp電極12を真空蒸着により形成した。また、エッチングによりn型GaN層3を露出させ、その上面にTi/Alの2層金属からなるn電極13を真空蒸着により形成した。
【0076】
本実施例で得られた半導体レーザのリッジ部について、リッジ形状因子は表2に示した値となった。なお、本実施例におけるp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層10が本発明における第二のIII属窒化物半導体層に相当する。
【表2】
Figure 0003753077
【0077】
得られた半導体レーザについて性能を評価したところ、内部損失は30cm-1であった。本実施例によれば、内部損失等のばらつきの少ない、製造安定性に優れた半導体レーザが得られることが確認された。
【0078】
〈実施例2〉
図4は本発明に係るIII−V族窒化物半導体レーザの概略断面図である。本実施例では選択成長用マスク材料としてAl23を用いる。図4において、このIII−V族窒化物半導体レーザの層構造は、C面を表面とする厚さ330μmのn型GaN基板21上に、厚さ1.5μmのn型GaN層22、厚さ1μmのn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層23、厚さ0.1μmのn型GaN光ガイド層24、厚さ3nmのIn0.12Ga0.88N量子井戸層と厚さ5nmのIn0.02Ga0.98N障壁層からなる3周期の多重量子井戸構造活性層25、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8Nキャップ層26、厚さ0.1μmのp型GaN光ガイド層27、p型GaN光ガイド層27上に形成され、<1−100>方向の幅2μmのストライプ状開口部33を持った厚さ0.2μmのAl23マスク28、Al23マスク28上に選択的に形成された厚さ0.5μmのp型Al0.07Ga0.8Nクラッド層29、厚さ0.05μmのp型GaNコンタクト層30、Ni/Auの2層金属からなるp電極31、Ti/Alの2層金属n電極32が形成されている。
【0079】
次に、図4の半導体レーザの製造工程について説明する。半導体膜の形成にはMOCVDを用いた。成長圧力は全ての領域で100Torrとした。またV族元素供給源としてNH3を、III族元素供給源としてTMG、TMA、TMI、(EtCp)2Mg、SiHを用い、有機金属についてはそれぞれのシリンダー温度を−10℃、20℃、30℃として、圧力760TorrのN2でバブリングすることにより、その飽和蒸気を反応管内に供給した。まず、反応管内にC面を表面とするn型GaN基板21を設置し、水素雰囲気下で1100℃に加熱し、ついでTMG15sccm、ドーパントとしてのSiH5sccm及びNH310slmを供給して基板21上に厚さ1.5μmのn型GaN層22を形成した。さらに、基板21上にTMG15sccm、TMA5sccm、SiH5sccm及びNH310slmを供給し、厚さ1μmのn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層23を、ついでTMG15sccm、SiH5sccm及びNH310slmを供給し、厚さ0.1μmのn型GaN光ガイド層24を形成した。つぎに、基板21の温度を800℃に保持し、TMG10sccm、TMI50sccmもしくは30sccm及びNH310slmを供給して基板21上に膜厚3nmのIn0.2Ga0.8N量子井戸層と膜厚5nmのIn0.02Ga0.98N障壁層の3周期からなる多重量子井戸構造活性層25を形成した。つぎに活性層25上にTMG15sccm、TMA5sccm、ドーパントとして(EtCp)2Mg 5sccm及びNH310slmを供給し、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8Nキャップ層26を形成した。ついで基板21の温度を1100℃に保持し、基板21上にTMG15sccm、ドーパントとして(EtCp)2Mg5sccm及びNH310slmを供給して厚さ0.1μmのp型GaN光ガイド層27を形成した。つぎにAl23マスク28を形成した。まず基板21を室温まで冷却したのち成長装置から取り出し、スパッタ装置により膜厚0.2μmのAl23膜を形成したのち、フォトリソグラフ工程及びエッチング工程によって幅2.0μmの開口部33を形成した。
【0080】
その後、再び基板21を成長装置に設置して1100℃に加熱し、TMG15sccm、TMA5sccm、ドーパントとして(EtCp)2Mg5sccm及びNH310slmを供給してp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層29を形成した。つぎに基板21上にTMG15sccm、(EtCp)2Mg5sccm及びNH310slmを供給し、厚さ0.05μmのp型GaNコンタクト層30を形成した。その後、基板21を成長装置より取り出し、リッジの頭部を除いて酸化珪素膜34を形成し、Ni/Auの2層金属からなるp電極31を真空蒸着により形成した。また、基板21の裏面にTi/Alの2層金属からなるn電極32を真空蒸着により形成した。
【0081】
本実施例で得られた半導体レーザのリッジ部について、リッジ形状因子は表2に示した値となった。なお、本実施例におけるp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層29が本発明における第二のIII属窒化物半導体層に相当する。
【0082】
得られた半導体レーザについて性能を評価したところ、しきい値電流密度は3.6kA/cm2、内部損失は30cm-1であった。本実施例によれば、良好なI−V特性を有し、内部損失等のばらつきの少ない、製造安定性に優れた半導体レーザが得られることが確認された。
【0083】
〈比較例1〉
実施例2のAl23マスク28を、SiO2に代え、これ以外は実施例2と同様にして半導体レーザを作製した。得られた半導体レーザの層構造の観察およびレーザ特性の評価を行った。
【0084】
図6は、実施例2で得られた半導体レーザの断面SEM像である。一方、図7は比較例1で得られた半導体レーザの断面SEM像である。図6では、図7のSiO2をマスクとして用いた場合にみられる再成長界面およびその上の半導体層の暗転領域が消失している。さらに成長速度の縦横比が、SiO2を用いた場合には1.7であるのに対し、本発明によるAl23を用いた場合には2.1と大きくなっている。これにより、p型コンタクト層とp電極との接触面積が大きくなり、しきい値電圧はSiO2を用いた場合に比較して、1.5Vの低減が見られた。
【0085】
図8は、実施例2および比較例1によるIII−V族窒化物半導体レーザのI−V、I−L特性を示す図である。Al23をマスクとして用いた場合には、再成長界面のSi汚染が回避されているため、酸化珪素をマスクとして用いた場合に比較して、内部損失が5cm−1低減された。
【0086】
〈実施例3〉
図5は本発明に係るIII−V族窒化物半導体レーザの概略断面図である。本実施例では選択成長用マスク材料としてAl23を用いる。図5において、このIII−V族窒化物半導体レーザの層構造は、C面を表面とする厚さ330μmのサファイア基板71上に、厚さ40nmのGaNバッファー層72、厚さ1.5μmのn型GaNコンタクト層73、n型GaNコンタクト層73上に形成され、<1−100>方向の幅2μmのストライプ状開口部74を持った厚さ0.2μmのAl23マスク75、Al23マスク75上に選択的に形成された厚さ1μmのn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層76、厚さ0.1μmのn型GaN光ガイド層77、厚さ3nmのIn0.12Ga0.88N量子井戸層と厚さ5nmのIn0.02Ga0.98N障壁層からなる3周期の多重量子井戸構造活性層78、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8Nキャップ層79、厚さ0.1μmのp型GaN光ガイド層80、厚さ0.5μmのp型Al0.07Ga0.8Nクラッド層81、厚さ0.05μmのp型GaNコンタクト層82、Ni/Auの2層金属からなるp電極83、Ti/Alの2層金属n電極84が形成されている。図1において、エッチングによりn型GaNコンタクト層73を露出させ、その上面にn電極84を形成している。
【0087】
次に、図5の半導体レーザの製造工程について説明する。半導体膜の形成にはMOCVDを用いた。成長圧力は全ての領域で100Torrとした。またV族元素供給源としてNH3を、III族元素供給源としてTMG、TMA、TMI、(EtCp)2Mg、SiH4を用い、有機金属についてはそれぞれのシリンダー温度を−10℃、20℃、30℃として、圧力760TorrのN2でバブリングすることにより、その飽和蒸気を反応管内に供給した。まず、反応管内にC面を表面とするサファイア基板1を設置し、水素雰囲気下で1100℃に加熱し、基板表面の清浄を行った。次に基板温度を500℃とし、TMG5sccm及びNH310slmを供給してサファイア基板71上に40nmのGaNバッファー層72を形成した。次にTMGの供給を中止し、基板温度を1100℃とした。ついでTMG15sccm、ドーパントとしてのSiH45sccm及びNH310slmを供給して基板1上に厚さ1.5μmのn型GaNコンタクト層73を形成した。
【0088】
つぎにAl23マスク75を形成した。まずサファイア基板71を室温まで冷却したのち成長装置から取り出し、スパッタ装置により膜厚0.2μmのAl23膜を形成したのち、フォトリソグラフ工程及びエッチング工程によって幅2.0μmの開口部74を形成した。
【0089】
その後、再び基板71を成長装置に設置して1100℃に加熱し、基板71上にTMG15sccm、TMA5sccm、SiH45sccm及びNH310slmを供給し、厚さ1μmのn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層76を、ついでTMG15sccm、SiH45sccm及びNH310slmを供給し、厚さ0.1μmのn型GaN光ガイド層77を形成した。つぎに、基板71の温度を800℃に保持し、TMG10sccm、TMI50sccmもしくは30sccm及びNH310slmを供給して基板71上に膜厚3nmのIn0.2Ga0.8N量子井戸層と膜厚5nmのIn0.02Ga0.98N障壁層の3周期からなる多重量子井戸構造活性層78を形成した。
【0090】
つぎに活性層78上にTMG15sccm、TMA5sccm、ドーパントとして(EtCp)2Mg 5sccm及びNH310slmを供給し、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8Nキャップ層79を形成した。ついで基板71の温度を1100℃に保持し、基板71上にTMG15sccm、ドーパントとして(EtCp)2Mg5sccm及びNH310slmを供給して厚さ0.1μmのp型GaN光ガイド層80を形成した。つぎにTMG15sccm、TMA5sccm、ドーパントとして(EtCp)2Mg5sccm及びNH310slmを供給してp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層81を形成した。つぎに基板71上にTMG15sccm、(EtCp)2Mg5sccm及びNH310slmを供給し、厚さ0.05μmのp型GaNコンタクト層82を形成した。
【0091】
その後、基板71を成長装置より取り出し、リッジの頭部を除いて酸化珪素膜85を形成し、Ni/Auの2層金属からなるp電極83を真空蒸着により形成した。また、エッチングによりn型GaNコンタクト層73を露出させ、その上面にTi/Alの2層金属からなるn電極84を真空蒸着により形成した。
【0092】
本実施例で得られた半導体レーザのリッジ部について、リッジ形状因子は表2に示した値となった。なお、本実施例におけるp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層29が本発明における第二のIII属窒化物半導体層に相当する。
【0093】
得られた半導体レーザについて性能を評価したところ、良好なI−V特性を有し、内部損失等のばらつきの少ない、製造安定性に優れた半導体レーザが得られることが確認された。
【0094】
参考例4〉
実施例2のAl23マスク28を、Ta25に代え、これ以外は実施例2と同様にして半導体レーザを作製した。 得られた半導体レーザについて性能を評価したところ、良好なI−V特性を有し、内部損失等のばらつきの少ない、製造安定性に優れた半導体レーザが得られることが確認された。
【0095】
上記した各実施例は、選択成長を用いてレーザ構造を形成するという点で従来技術1ないし2に示したレーザと共通しているが、それに加え、Siを含まない選択成長用マスクを使用するという点で相違する。このため、選択再成長界面及びその上のp型半導体層にSi汚染が起こらないという利点を有する。それにより、Si汚染によって生成されるドナーによってアクセプタが補償されることを防ぎ、素子のI−V特性異常、内部損失の増大を回避することができるという顕著な効果を有する。くわえて、Al−O結合のように強い結合力を持ったマスク材料を用いることにより、供給原料のマスク上でのマイグレーションを促進するため、同一成長条件、同一層厚であっても横方向(面方向)への成長速度が大きくなる。これにより、p型GaNコンタクト層とp電極の接触面積を大きくすることができ、さらなる素子低抵抗化が図られるという顕著な効果を有する。
【0097】
また、上記実施例ではサファイア基板、GaN基板を用いた例について説明したが、SiC基板、MgAl2O4基板等を用いた場合にも本発明の実施に支障はない。また、各層厚、ドーピング濃度、組成についても、前記実施例の通りでなくても本発明を実施するにあたり支障はない。
【0098】
また、上記実施例ではマスク方向を<1−100>としているが、<11−20>など他の方向である場合にも本発明の実施に支障はない。
【0099】
【発明の効果】
以上本発明によれば、マスクを特定材料により構成しているため、マスク成長により形成した半導体層へのマスク由来の汚染や不純物の混入を防ぎ、所望の性能を備える半導体多層膜を安定的に得ることができる。また、マスク上においてマスク成長層の横方向成長が促進され、素子性能の向上に寄与する好適な形状のリッジ等を安定的に得ることができる。
【0100】
具体的には、III属窒化物半導体レーザの、活性層上部のp型半導体層構造に適用した場合、良好な電流狭窄が実現され、I−V特性、内部損失等のばらつきの少ない、製造安定性に優れた半導体レーザが得られる。また、電子素子への応用では、高周波特性の改善、基板への電子漏れの抑制などによるデバイス性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術1によるIII−V族窒化物半導体レーザの概略断面図である。
【図2】従来技術2によるIII−V族窒化物半導体レーザの概略断面図である。
【図3】実施例1によるIII−V族窒化物半導体レーザの概略断面図である。
【図4】実施例2によるIII−V族窒化物半導体レーザの概略断面図である。
【図5】実施例3によるIII−V族窒化物半導体レーザの概略断面図である。
【図6】実施例2によるIII−V族窒化物半導体レーザのリッジ部断面をSEM観察した結果を示す図である。
【図7】比較例1のIII−V族窒化物半導体レーザのリッジ部断面をSEM観察した結果を示す図である。
【図8】実施例2および比較例1によるIII−V族窒化物半導体レーザのI−V、I−L特性を示す図である。
【図9】Al23マスクのパターニング方法を説明するための図である。
【図10】リッジ形状因子の定義を説明するための図である。
【符号の説明】
1 C面を表面とするサファイア基板
2 GaNバッファー層
3 n型GaNコンタクト層
4 n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
5 n型GaN光ガイド層
6 多重量子井戸構造活性層
7 p型Al0.2Ga0.8Nキャップ層
8 p型GaN光ガイド層
9 Al23マスク
10 p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
11 p型GaNコンタクト層
12 p電極
13 n電極
14 Al23マスクのストライプ状開口部
15 酸化珪素膜
21 C面を表面とするn型GaN基板
22 n型GaN層
23 n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
24 n型GaN光ガイド層
25 多重量子井戸構造活性層
26 p型Al0.2Ga0.8Nキャップ層
27 p型GaN光ガイド層
28 酸化マグネシウムマスク
29 p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
30 p型GaNコンタクト層
31 p電極
32 n電極
33 酸化マグネシウムマスクのストライプ状開口部
34 酸化珪素膜
61 SiO2
62 開口部
71 サファイア基板
72 GaNバッファー層
73 n型GaNコンタクト層
74 ストライプ状開口部
75 Al23マスク
76 n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
77 n型GaN光ガイド層
78 多重量子井戸構造活性層
79 p型Al0.2Ga0.8Nキャップ層
80 p型GaN光ガイド層
81 p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
82 p型GaNコンタクト層
83 p電極
84 n電極
85 酸化珪素膜
101 サファイア基板
102 GaNバッファー層
103 n型GaNコンタクト層
104 n型In0.1Ga0.9Nクラック防止層
105 n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
106 n型GaN光ガイド層
107 多重量子井戸構造活性層
108 p型Al0.2Ga0.8Nインジウム解離防止層
109 p型GaN光ガイド層
110 p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
111 p型GaN層
112 酸化珪素膜
113 p型GaNコンタクト層
114 p電極
115 n電極
201 C面を表面とするサファイア基板
202 GaNバッファー層
203 n型GaNコンタクト層
204 n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
205 n型GaN光閉込層
206 多重量子井戸構造活性層
207 p型GaN光閉込層
208 p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
209 酸化珪素膜
210 p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
211 p型GaNコンタクト層
212 リッジ構造
213 p電極
214 n電極
601 マスク
602 第二のIII族窒化物半導体層

Claims (8)

  1. 第一のIII族窒化物半導体層と、この上に設けられた開口部を有するマスクと、前記開口部において前記第一のIII族窒化物半導体層から成長した第二のIII族窒化物半導体層と、を有し、
    前記マスクはAl により構成され、
    前記第二のIII族窒化物半導体層は、リッジ状に形成されるとともに、前記第一の III 族窒化物半導体層の上面から前記開口部の外の領域まで成長し、前記マスクの少なくとも一部を覆う形態をなし、
    前記開口部の幅が最小となる断面において、リッジ底面の幅をD、開口部の幅をdとし、前記マスク上の前記第二のIII族窒化物半導体層の厚みをhとしたとき、下記式
    P=(D−d)/2h
    により定義される形状因子Pが、2以上であることを特徴とする半導体多層膜。
  2. 第一のIII族窒化物半導体層と、この上に設けられた開口部を有するマスクと、前記開口部において前記第一のIII族窒化物半導体層から成長した第二のIII族窒化物半導体層と、を有し、
    前記マスクはAl により構成され、
    前記第二のIII族窒化物半導体層は、リッジ状に形成されるとともに、前記第一の III 族窒化物半導体層の上面から前記開口部の外の領域まで成長し、前記マスクの少なくとも一部を覆う形態をなし、
    前記リッジ部がストライプ状に一方向に延在して形成され、該ストライプ方向と垂直な面内において、リッジ底面の幅をD、開口部の幅をd、前記マスク上の前記第二のIII族窒化物半導体層の厚みをhとしたとき、下記式
    P=(D−d)/2h
    により定義される形状因子Pが、2以上であることを特徴とする半導体多層膜。
  3. 請求項1または2に記載の半導体多層膜において、
    D/dが1.6以上であることを特徴とする半導体多層膜。
  4. 請求項1乃至いずれかに記載の半導体多層膜において、
    前記第二のIII族窒化物半導体層は、1000℃以上の高温で形成された膜であることを特徴とする半導体多層膜。
  5. 請求項1乃至いずれかに記載の半導体多層膜において、
    前記第二のIII族窒化物半導体層がp型半導体層であることを特徴とする半導体多層膜。
  6. 請求項1乃至いずれかに記載の半導体多層膜を備えたことを特徴とするIII族窒化物半導体素子。
  7. 請求項1乃至いずれかに記載の半導体多層膜と、活性層とを備えたことを特徴とするIII族窒化物半導体素子。
  8. 請求項に記載のIII族窒化物半導体素子において、
    前記半導体多層膜を前記活性層上部に備え、前記マスクが電流狭窄部をなすことを特徴とするIII族窒化物半導体素子。
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