JP3749109B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電力用のスイッチング素子により電力変換を行う電力変換装置に関し、特にスイッチング素子の保護回路の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高電圧・大電流のMOS(Metal Oxcide Semiconductor)ゲート型の電力用スイッチング素子が実用化されてきている。MOSゲート型のスイッチング素子は、従来より使われているGTO(ゲート・ターンオフ)サイリスタ系のスイッチング素子に比べて、スイッチング速度が速く、安全動作領域が広く、制御性が高く、ゲート駆動回路が小型化できるなどの多くの利点がある。
【0003】
直列送電などの応用分野においては、高電圧の電力変換装置を実現する必要があるため、多数のスイッチング素子を直列接続することが行われている。MOSゲート型のスイッチング素子は、スイッチング速度が速いので、直列に接続されたスイッチング素子間のスイッチングタイミングのバラつきが少ないという利点がある。
【0004】
図20は、直列接続された複数のスイッチング素子により構成された従来の電力変換装置の主要部を示す回路図である。同図においては、スイッチング素子201a乃至201dが直列に接続される。スイッチング素子201としてはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられる。スイッチング素子201aのコレクタ・エミッタ端子間には並列接続されたスナバダイオード5aと抵抗6a、およびこれに接続されたスナバコンデンサ4aが接続される。スイッチング素子201aのゲート・エミッタ端子間にはゲート抵抗202aとゲート駆動回路203aとが接続される。スイッチング素子201b乃至201dにも同様に、スナバダイオード5b乃至5d、抵抗6b乃至6d、スナバコンデンサ4b乃至4d、ゲート抵抗202b乃至202d、ゲート駆動回路203b乃至203dがそれぞれ接続される。
【0005】
スイッチング素子201aおよび201bは、常に同時にスイッチングする一つのアームを構成する。また、スイッチング素子201cおよび201dは、スイッチング素子201a,201bとは逆の位相でスイッチングするアームを構成する。すなわち、スイッチング素子201aおよび201bにオンゲート信号が与えられるときには、スイッチング素子201cおよび201dにはオフゲート信号が与えられる。
【0006】
このように、スイッチング素子201aおよび201bには同時にスイッチングするようにゲート信号が与えられる。ところが、実際には素子間のバラつきにより僅かにスイッチングにバラつきが発生する。特にターンオフのタイミングのバラつきの影響は大きく、先にターンオフしたスイッチング素子は、他のスイッチング素子に比べて大きなオフ電圧を分担することになる。こうしたオフ電圧の分担のバラつきはスイッチング素子の信頼性に関わるため、できるだけ小さくする必要がある。
【0007】
こうした問題に対応するのが、それぞれのスイッチング素子201a乃至201dについて、スナバコンデンサ4a乃至4d、スナバダイオード5a乃至5d、スナバ抵抗6a乃至6dによって構成されたスナバ回路である。
【0008】
このスナバ回路の動作についてスイッチング素子102aを例に説明する。スイッチング素子102aがターンオフした直後のコレクタ端子(正極端子)からエミッタ端子(負極端子)に流れる主電流は、一旦スナバ回路に転流し、スナバコンデンサ4aの容量と主電流の値とで定まる傾き(dV/dt)に従い、スイッチング素子102aのコレクタ・エミッタ間の電圧が上昇していく。スイッチング素子102aのターンオフタイミングのバラつきΔtとスイッチング素子102aの電圧分担のバラつきΔVとの間には、ΔV=Δt×dV/dtという関係があるから、スナバコンデンサ4aの容量をある程度大きくして(dV/dt)を小さくすればΔVも問題がならない程度に小さくすることができる。
【0009】
ところで、スイッチング素子102aの扱える電流容量が不足する場合には、スイッチング素子102aを並列に接続して使用することが行われている。図21は、並列接続されたスイッチング素子により構成された従来の電力変換装置の主要部を示す回路図である。同図においては、スイッチング素子201a,201bのそれぞれのコレクタ端子同士、エミッタ端子同士が接続され、それぞれのゲート・エミッタ端子間にゲート駆動回路203a,203bが接続される。スイッチング素子201aおよび201bにより一つのアームが構成され、ゲート駆動回路203a,203bに同一のゲート信号を与えることで2つのスイッチング素子201a,201bを同一のタイミングで動作させるようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図20に示した直列接続の構成では、いずれかのスイッチング素子が、オフしているべきときに誤ってターンオンしてしまう、いわゆる誤点弧などの要因により、直流電圧を短絡させてしまった場合に問題が発生する。
【0011】
すなわち、直流短絡した状態では、ターンオンしたスイッチング素子だけで電力変換装置の直流電圧を支えることになり、各スイッチング素子間で分担する電圧のバラつきが生じることとなる。直流短絡状態でスイッチング素子が流すことのできる短絡電流は、スイッチング素子の静特性によって決まるものであり、製造バラつきが大きい。そして、流すことのできる短絡電流が大きいスイッチング素子ほど小さな電圧を分担し、短絡電流が小さいスイッチング素子ほど大きな電圧を分担することとなる。
【0012】
直流短絡状態でのスイッチング素子の電圧分担のバラつきΔVは、スイッチング素子間のバラつきをΔI、スナバコンデンサの容量をC、短絡時間をtとすると、ΔV=ΔI×t/Cとなる。現在の素子製造技術では、流すことのできる短絡電流の値はスイッチング素子の定格電流の5倍から7倍程度と幅が広く、また短絡電流のバラつきはほぼスイッチング素子の定格電流の値に匹敵するほど大きなバラつきとなる。このため、直流短絡状態での電圧分担のバラつきを実用上問題のないレベルに抑えるためには、非常に大きなスナバコンデンサを装備することが考えられる。しかしながら、スナバコンデンサを大きくすれば、スナバ抵抗で消費する損失も大きくなり、電力変換装置全体としての効率の低下、大型化、高コスト化といった問題を招くこととなる。
【0013】
また、図21に示した並列接続の構成でも、いずれかのスイッチング素子が、オフしているべきときに誤ってターンオン(誤点弧)して直流電圧を短絡させてしまった場合に問題が発生する。
【0014】
すなわち、並列に接続されたスイッチング素子のいずれかがターンオンしても他のスイッチング素子はオフした状態にあるため、スイッチング素子間で甚だしい電流分担の不平衡が生じる。このため、たとえ短時間で誤点弧が終わりスイッチング素子がオフ状態に復帰しようとしたとしても、電流分担の不平衡のために通常では発生しない大きな電圧サージが誤点弧したスイッチング素子や並列に接続された他のスイッチング素子に印加され、スイッチング素子が破壊されてしまうおそれがある。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、直列接続の構成において直流短絡時の電圧分担のばらつきを簡易な構成で低減し得る電力変換装置を提供することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、並列接続の構成において直流短絡時の電流分担の不平衡に起因するサージ電圧によるスイッチング素子の破壊を防止し得る電力変換装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明に係る電力変換装置は、制御端子に与えられる信号によって正極端子から負極端子へ流れる主電流が制御されるスイッチング素子を複数直列に接続した電力変換装置において、各スイッチング素子は主電流の一部を分流して取り出すためのセンス端子を有し、このセンス端子により分流されたセンス電流を各スイッチング素子毎に検出するセンス電流検出手段と、このセンス電流が各スイッチング素子について同じ値に設定された所定値を超えないように各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御することによりスイッチング素子が短絡したときの短絡電流を制限する短絡電流制限手段と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、複数のスイッチング素子のセンス端子からのセンス電流が各スイッチング素子で同じ値の所定値を超えないように各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御するようにしたことで、いずれかのスイッチング素子で直流短絡が発生しても各スイッチング素子の短絡電流をほぼ一定の値に揃えることができ、直列接続での各スイッチング素子の電圧分担のばらつきを簡易な構成で抑えることができる。
【0019】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の電力変換装置において、複数のスイッチング素子により一つのアームが構成され、複数のアームにより電力変換装置が構成されるものであって、前記センス電流の所定値は、一つのアームを構成する各スイッチング素子で同じ値のものが用いられることを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は2記載の電力変換装置において、前記センス電流の所定値を定めるセンス電流指令値を設定するセンス電流設定手段を有することを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の本発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の電力変換装置において、前記スイッチング素子の正極端子・負極端子間の電圧を各スイッチング素子毎に検出する電圧検出手段を有することを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の本発明は、請求項4記載の電力変換装置において、前記センス電流設定手段は、前記電圧検出手段により検出された電圧が所定値を超えたときの増加分に応じてセンス電流指令値を変更する変更手段を有することを特徴とする。
【0023】
請求項6記載の本発明は、請求項4又は5に記載の電力変換装置において、前記電圧検出手段により検出された電圧が所定値を超えないように各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御する信号制御手段を有することを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、スイッチング素子の正極端子・負極端子間の電圧が所定値を超えないように各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御するようにしたことで、従来の充放電型のスナバ回路をスイッチング素子毎に備える必要性がなくなるので、より簡易な構成とすることができる。
【0025】
請求項7記載の本発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の電力変換装置において、前記信号制御手段によりスイッチング素子の制御端子に与えられる信号を定める信号指令値を設定する信号設定手段を有することを特徴とする。
【0026】
請求項8記載の本発明は、請求項7記載の電力変換装置において、前記信号設定手段は、前記電圧検出手段により検出された電圧が所定値を超えたときの増加分に応じて信号指令値を変更する変更手段を有することを特徴とする。
【0027】
請求項9記載の本発明は、請求項6乃至8のいずれかに記載の電力変換装置において、前記電圧検出手段により検出された電圧に応じて前記短絡電流制限手段による動作と前記信号制御手段による動作とを切り替える切替手段を有することを特徴とする。
【0028】
請求項10記載の本発明は、請求項6乃至9のいずれかに記載の電力変換装置において、前記信号制御手段は、短絡時だけではなく通常のスイッチング動作時にも各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0029】
請求項11記載の本発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載の電力変換装置において、前記複数のスイッチング素子は並列に接続されたものであって、前記センス電流検出手段により検出された各スイッチング素子のセンス電流に基づいていずれかのスイッチング素子が誤点弧したことが検知された場合に、他のスイッチング素子を点弧させる点弧手段を有することを特徴とする。
【0030】
本発明にあっては、並列に接続された複数のスイッチング素子のうち、いずれか1つに直流短絡が発生した場合には、他のスイッチング素子を点弧(ターンオン)させるようにしたことで、並列接続構成での直流短絡時における電流分担の不平衡が解消され、サージ電圧によるスイッチング素子の破壊を防止することができる。
【0031】
請求項12記載の本発明は、請求項11記載の電力変換装置において、前記短絡電流制限手段は、前記点弧手段により他のスイッチング素子が点弧された後、センス電流が所定値を超えないように各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御することを特徴とする。
【0032】
請求項13記載の本発明は、正極端子から負極端子へ流れる主電流の一部を分流して取り出すためのセンス端子を備えたスイッチング素子を複数備えた電力変換装置において、スイッチング素子毎にセンス端子の電位と負極端子の電位とを等しくする電位制御手段を有することを特徴とする。
【0033】
本発明にあっては、スイッチング素子のセンス端子の電位と負極端子の電位とが等しくなるようにしたことで、センス端子および負極端子の電気的条件が等しくなるようにしている。
【0034】
請求項14記載の本発明は、請求項13記載の電力変換装置において、前記電位制御手段は、スイッチング素子のセンス端子にベース端子が接続されたトランジスタと、このトランジスタのエミッタ端子とスイッチング素子の負極端子との間に接続され、トランジスタのエミッタ端子の電位をスイッチング素子の負極端子の電位に対してトランジスタのベース・エミッタ間の電位差だけ引き下げた電位とする電位引下手段と、を有することを特徴とする。
【0035】
請求項15の本発明は、請求項14記載の電力変換装置において、前記電位引下手段は、順方向にバイアスされたダイオードにより構成されたものであって、このダイオードのアノード端子がスイッチング素子の負極端子に接続され、カソード端子がトランジスタのエミッタ端子に接続されたことを特徴とする。
【0036】
請求項16記載の本発明は、請求項14記載の電力変換装置において、前記電位引下手段は、前記トランジスタと同一種類のトランジスタにより構成されたものであって、このトランジスタのベース端子がスイッチング素子の負極端子に接続され、このトランジスタのエミッタ端子が前記トランジスタのエミッタ端子に接続されたことを特徴とする。
【0037】
請求項17記載の本発明は、請求項16記載の電力変換装置において、前記トランジスタおよびこれと同一種類のトランジスタにより作動増幅器を構成したことを特徴とする。
【0038】
請求項18記載の本発明は、請求項13記載の電力変換装置において、前記電位制御手段は、スイッチング素子のセンス端子にエミッタ端子が接続されたトランジスタと、このトランジスタのベース端子とスイッチング素子の負極端子との間に接続され、トランジスタのベース端子の電位をスイッチング素子の負極端子の電位に対してトランジスタのエミッタ・ベース間の電位差だけ引き下げた電位とする電位引下手段と、を有することを特徴とする。
【0039】
請求項19記載の本発明は、請求項18記載の電力変換装置において、前記電位引下手段は、順方向にバイアスされたダイオード又は前記トランジスタと同一種類のトランジスタにより構成されたことを特徴とする。
【0040】
請求項20記載の本発明は、請求項13乃至19のいずれかに記載の電力変換装置において、センス端子により主電流から分流されたセンス電流を検出するセンス電流検出手段と、前記センス電流検出手段により検出されたセンス電流が所定値を超えないようにスイッチング素子の制御端子に与える信号を制御することによりスイッチング素子が短絡したときの短絡電流を制限する短絡電流制限手段と、を有することを特徴とする。
【0041】
請求項21記載の本発明は、請求項20記載の電力変換装置において、前記短絡電流制限手段は、センス電流を積分する積分手段を有し、この積分手段による積分値が所定値を超えた場合に制限することを特徴とする。
【0042】
請求項22記載の本発明は、請求項20記載の電力変換装置において、前記短絡電流制限手段は、センス電流が所定値を超えたときに所定時間の計測を開始する計測手段を有し、センス電流が所定値を超えた状態でこの所定時間が経過したときに制限することを特徴とする。
【0043】
請求項23記載の本発明は、請求項20乃至22のいずれかに記載の電力変換装置において、前記センス電流検出手段により検出されたセンス電流が所定値を超えた場合に、スイッチング素子の制御端子とこのスイッチング素子を駆動する駆動回路との間に接続された抵抗をより値の大きな抵抗に切り替える抵抗切替手段と、を有することを特徴とする。
【0044】
請求項24記載の本発明は、請求項20乃至22のいずれかに記載の電力変換装置において、スイッチング素子の制御端子に並列接続された値の異なる複数の抵抗と、この複数の抵抗にそれぞれ接続された駆動回路と、前記センス電流検出手段により検出されたセンス電流が所定値を超えた場合に、より値の大きな抵抗に接続された駆動回路を作動させる作動手段と、を有することを特徴とする。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0046】
[第1の実施の形態]
図1は、一実施の形態における電力変換装置の主要部の構成を示す回路図である。同図の電力変換装置は、図20に示したものに対して、スイッチング素子210a乃至201dの代わりに、センス端子7a乃至7dをそれぞれ備えたMOSゲート型のスイッチング素子1a乃至1dが直列に接続されるとともに、各センス端子7a乃至7dがそれぞれゲート駆動回路3a乃至3dに接続されたた構成である。なお、その他、図20と同一物には同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0047】
スイッチング素子1a乃至1d、ゲート駆動回路3a乃至3dはそれぞれ同様の構成であるので、ここではスイッチング素子1a、ゲート駆動回路3aを例に説明する。
【0048】
スイッチング素子1aのセンス端子7aは、スイッチング素子1aのコレクタ端子(正極端子)からエミッタ端子(負極端子)へ流れる主電流の一部を分流したセンス電流を取り出すためのものであり、ゲート駆動回路3aは、このセンス電流が一定となるようにスイッチング素子1aのゲート端子に与えるゲート電圧をフィードバック制御する機能を備えるものである。
【0049】
図2は、ゲート駆動回路3aの構成を示す回路図である。同図のゲート駆動回路3aは、ゲート電源15a,16aが直列接続され、これに並列にゲート信号発生回路14aが接続される。ゲート電源15aの正極線にはNPN型のオンゲートトランジスタ12aのコレクタ端子が接続され、ゲート電源15bの負極線にはPNP型のオフゲートトランジスタ13aのコレクタ端子が接続される。オンゲートトランジスタ12aのベース端子とオフゲートトランジスタ13aのベース端子とが接続され、その接続点はゲート信号発生回路14aに接続される。ゲート電源15a,16aによってオンゲートトランジスタ12a、オフゲートトランジスタ13a、およびゲート信号発生回路14aに電力が供給される。
【0050】
オンゲートトランジスタ12aのエミッタ端子は、オンゲート抵抗10aを介してスイッチング素子1aのゲート端子に接続される。オンゲート抵抗10aとゲート端子とを接続する接続線には、オフゲートトランジスタ13aのエミッタ端子がオフゲート抵抗11aを介して接続される。
【0051】
また、この接続線には、ダイオード17aのアノード端子が接続され、ダイオード17aのカソード端子はNPN型のトランジスタ9aのコレクタ端子に接続される。トランジスタ9aのベース端子はスイッチング素子1aのセンス端子7aに接続される。トランジスタ9aのエミッタ端子はスイッチング素子1aのエミッタ端子に接続されるとともに、ゲート電源15a,16aの接続点に接続される。またトランジスタ9aのベース・エミッタ端子間にはセンス抵抗8aが接続される。
【0052】
通常の動作時には、ゲート信号発生回路14aからの信号に基づいてオンゲートトランジスタ12aとオフゲートトランジスタ13aとが交互に導通する。オンゲートトランジスタ12aによるオンゲート電圧はオンゲート抵抗10aを経由してスイッチング素子1aのゲート端子に供給される。また、オフゲートトランジスタ13aによるオフゲート電圧はオフゲート抵抗11aを経由してスイッチング素子1aのゲート端子に供給される。このオンゲート電圧はゲート電源15aにより定められ、オフゲート電圧はゲート電源16aにより定められる。
【0053】
ここで、直流短絡が発生してスイッチング素子1aの主電流が急増すると、センス端子7aから流れ出すセンス電流も急増し、センス抵抗8aの両端の電圧が上昇してトランジスタ9aが導通する。これにより、トランジスタ9aのコレクタ電流がスイッチング素子1aの制御端子に供給されるゲート電圧を引き下げる方向へダイオード17aに流れ、その結果スイッチング素子1aの主電流が減少してセンス抵抗8aによって定まる一定の値に制限される。
【0054】
このように、ダイオード17a、トランジスタ9a、センス抵抗8a等により短絡電流制限回路が構成され、これらの回路定数については、他のゲート駆動回路3b乃至3dにおいても同じ値のものを用いるようにする。
【0055】
したがって、本実施の形態によれば、各スイッチング素子のセンス端子からのセンス電流が、全てのスイッチング素子について同じ値に設定された所定値を超えないように各スイッチング素子の制御端子に与えるゲート電圧を制御するようにしたことで、スイッチング素子の静特性のバラつきによらずに各スイッチング素子の短絡電流をほぼ一定の値に揃えることができ、もって直列接続の構成における直流短絡時の電圧分担のばらつきを抑えることができる。
【0056】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態においては、各ゲート駆動回路に設けた短絡電流制限回路の回路定数を揃えることで、各スイッチング素子の短絡電流の値を揃えることとした。しかしながら、実際には回路定数のわずかなバラつきによって各スイッチング素子に短絡電流のバラつきが生じることが考えられる。第2の実施の形態では、この点に対応した電力変換装置について説明する。
【0057】
図3は、本実施の形態における電力変換装置の主要部の構成を示す回路図である。同図の電力変換装置は、図1に対して、上側アームを構成するスイッチング素子1a,1bのゲート駆動回路43a,43bにセンス電流設定部18aを接続し、下側アームを構成するスイッチング素子1c,1dのゲート駆動回路43c,43dにセンス電流設定部18bを接続した構成である。なお、その他、図1と同一物には同一の符号を付すこととし、ここではその説明を省略する。
【0058】
ゲート駆動回路43a乃至43dは同一構成であるので、ゲート駆動回路43aを例にその機能について説明する。図4は、ゲート駆動回路43aの構成を示す回路図である。同図のゲート駆動回路43aは、図2に対して、トランジスタ9aのエミッタ端子が、その接続先としてダイオード17aの代わりに、トランジスタ9aと同一種類のトランジスタ19aのエミッタ端子に接続される。この接続点は抵抗40aを介してスイッチング素子1aのエミッタ端子に接続される。トランジスタ19aのコレクタ端子はゲート電源15aの正極線に接続されて電力供給を受け、トランジスタ19aのベース端子にはセンス電流設定部18aが接続される。なお、その他、図2と同一物には同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0059】
センス電流設定部18aからはセンス電流指令値が出力され、トランジスタ19aのベース端子に与えられる。このような構成において、トランジスタ9aが導通してスイッチング素子1aのゲート電圧を制御し始めるのは、トランジスタ9aのベース電位がトランジスタ19aのベース電位、すなわちセンス電流指令値を上回ったときである。
【0060】
一方、トランジスタ9aのベース電位は、センス電流とセンス抵抗8aとの積で定まるものである。よって、直流短絡が生じた場合、トランジスタ9aのベース電位がセンス電流指令値を超えたところで、センス電流に基づく制御がかかり始め、トランジスタ9aのベース電位がセンス電流指令値を超えないようにセンス電流がフィードバック制御され、これによりスイッチング素子1aの主電流が制御される。すなわち、短絡電流の値は、センス電流指令値によって設定される。
【0061】
したがって、本実施の形態によれば、同じアームを構成する複数のスイッチング素子のゲート駆動回路に同一のセンス電流指令値を与え、スイッチング素子のセンス電流およびセンス抵抗により定まる電位がこのセンス電流指令値を超えないようにスイッチング素子の主電流を制御するようにしたことで、短絡電流制限回路の回路定数のわずかなバラつきによって生じる各スイッチング素子の短絡電流のバラつきを抑制することができ、ひいては直流短絡時の電圧分担のバラつきを小さくすることができる。
【0062】
[第3の実施の形態]
第2の実施の形態では、同じアームを構成する各スイッチング素子のゲート駆動回路に同一のセンス電流指令値を与えることとした。しかしながら、各スイッチング素子は異なる主回路電位にあるため、各スイッチング素子毎にコレクタ・エミッタ端子間電圧(以下、「電圧Vce」という)が若干異なっている。このため、センス電流指令値のような信号の伝送は、例えば光信号で行うこと等により電気的に絶縁しなければならず、装置の構成が複雑になり好ましくない。第3の実施の形態では、この点に対応した電力変換装置について説明する。
【0063】
図5は、本実施の形態における電力変換装置の主要部の構成を示す回路図である。同図の電力変換装置は、図1に対して、各スイッチング素子1a乃至1dのコレクタ端子がそれぞれのゲート駆動回路53a乃至53dに接続された構成であり、ゲート駆動回路53a乃至53dにおいて各スイッチング素子1a乃至1dの電圧Vceをモニターできるようにしている。なお、その他、図1と同一物には同一の符号を付すこととし、ここではその説明を省略する。
【0064】
ゲート駆動回路53a乃至53dは同一の構成であるので、ゲート駆動回路53aを例にその機能について説明する。図6は、ゲート駆動回路53aの構成を示す回路図である。同図のゲート駆動回路53aは、図4に対して、トランジスタ19aのベース端子が、その接続先としてセンス電流設定部18aの代わりに、抵抗21aおよびこの抵抗21aにカソード端子が接続されたツェナーダイオード22aを介してスイッチング素子1aのコレクタ端子に接続される。
【0065】
ゲート電源15aには、抵抗41aおよびこの抵抗41aにカソード端子が接続されたツェナーダイオード23aが並列に接続される。この抵抗41aおよびツェナーダイオード23aの接続点と、ツェナーダイオード22aのアノード端子およびトランジスタ19aのベース端子の接続点との間に抵抗20aが接続される。なお、オンゲートトランジスタ12a、オンゲート抵抗10a、オフゲートトランジスタ13a、オフゲート抵抗11aについては図面を簡易にするため省略してある。その他、図4と同一物には同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0066】
これらセンス抵抗4a、トランジスタ9a,19a、ダイオード17a、ツェナーダイオード23a等によりセンス電流指令値を設定して短絡電流を制限する短絡電流制限回路が構成され、ツェナーダイオード22a、抵抗21aによりスイッチング素子1aの電圧Vceを検出する検出回路が構成され、ツェナーダイオード22a,23a、抵抗20a,21aによりスイッチング素子1aの電圧Vceが所定値を超えたときの増加分に応じてセンス電流指令値を変更する変更回路が構成される。これらの回路定数については、他のゲート駆動回路53b乃至53dにおいても同じ値のものを用いるようにする。
【0067】
抵抗21aおよびツェナーダイオード22aは、スイッチング素子1aの電圧Vceの過度な上昇を抑えるためにも使用される。すなわち、スイッチング素子1aの電圧Vceがツェナーダイオード22aにより定まる一定の電圧値よりも低い値であれば、短絡電流を定めるセンス電流指令値はツェナーダイオード23aでのみ決まる。
【0068】
ここで、スイッチング素子1aで流すことのできる短絡電流の値が直列に接続された他のスイッチング素子1b乃至1dのものよりも低い場合には、直流短絡状態になると、スイッチング素子1aの電圧Vceは他のスイッチング素子のものよりも上昇し、やがてツェナーダイオード22aが導通する。ツェナーダイオード22aが導通するとその等価抵抗はきわめて小さくなるので、この状態ではトランジスタ19aのベース電位、すなわちセンス電流指令値は、スイッチング素子1aの電圧Vceとツェナーダイオード23aの電圧を抵抗20aと抵抗21aとによって分圧した値となる。
【0069】
よって、スイッチング素子1aの電圧Vceがツェナーダイオード22aの電圧よりも上昇しようとするとセンス電流指令値が上昇し、これによってスイッチング素子1aに流れる短絡電流が増大し、その分だけスイッチング素子1aの電圧Vceが減少することとなる。これにより、スイッチング素子1aの電圧Vceはツェナーダイオード22aにより定まる所定値を超えないように制御される。
【0070】
したがって、本実施の形態によれば、スイッチング素子の電圧Vceが所定値を超えたときの増加分に応じてセンス電流指令値を変更することにより、この電圧Vceが各スイッチング素子について同じに設定された所定値を超えないようにしたことで、各スイッチング素子の短絡電流にバラつきがあった場合でも、電圧Vceをほぼ一定の値に揃えることができる。
【0071】
[第4の実施の形態]
第3の実施の形態においては、スイッチング素子の電圧Vceに応じてセンス電流指令値を変更させ、間接的にスイッチング素子へのゲート電圧を制御することとしたが、もっと直接的にこのゲート電圧を制御することも考えられる。本実施の形態においては、この点に対応した電力変換装置について説明する。
【0072】
本実施の形態における電力変換装置の基本的な構成は図5に示したものと同様であり、そのゲート駆動回路53a乃至53dとは内部構成が異なるゲート駆動回路63a乃至63dを用いた構成である。
【0073】
ゲート駆動回路63a乃至63dは同一構成であるので、ゲート駆動回路63aを例にその機能について説明する。図7は、本実施の形態におけるゲート駆動回路63aの構成を示す回路図である。同図のゲート駆動回路63aは、図6に対して、トランジスタ9aのコレクタ端子が、その接続先としてダイオード17aの代わりに抵抗20aに接続され、この抵抗20aの他端子はゲート電源15aの正極線に接続される。スイッチング素子1aのコレクタ端子に直列接続されたツェナーダイオード22aおよび抵抗21aは、その接続先としてトランジスタ19aのベース端子に代えて、トランジスタ9aのコレクタ端子および新たに設けられたPNP型のトランジスタ24aのベース端子に接続される。
【0074】
このトランジスタ24aのコレクタ端子はゲート電源15aの負極線に接続される。トランジスタ24aのエミッタ端子にはダイオード42aのカソード端子が接続され、ダイオード42aのアノード端子はゲート信号発生回路14aとスイッチング素子1aのゲート端子とを接続する接続線に接続される。なお、その他、図6と同一物には同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0075】
これらツェナーダイオード22a、抵抗21a、ダイオード42a、トランジスタ24a等により所定値を超えないようにスイッチング素子1aの電圧Vceを直接的に制御する電圧(信号)制御回路が構成され、トランジスタ9a等により電圧指令値を設定する電圧設定回路が構成され、ツェナーダイオード22a、抵抗21a、トランジスタ9a、抵抗20a等により電圧指令値を変更する変更回路が構成される。これらの回路定数については、他のゲート駆動回路63b乃至63dにおいても同じ値のものを用いるようにする。
【0076】
トランジスタ24aは、前段のトランジスタ9aによって決まるゲート電圧指令値を電流増幅してスイッチング素子1aのゲート端子に伝えるものであり、その電圧増幅度は1であるので、スイッチング素子1aのゲート電位は、ほぼトランジスタ9aのコレクタ電位によって決まる。すなわち、トランジスタ9aのコレクタ電位が上昇するとスイッチング素子1aのゲート電位も上昇し、その主電流がより多く流れることとなる。
【0077】
通常時においては、このトランジスタ9aのコレクタ電位は、抵抗20aの値とトランジスタ9aのコレクタ電流の値とによって決まる。すなわち、センス電流がセンス抵抗8aで定める所定値よりも大きくなり、トランジスタ9aが導通を始めると、センス電流の増加に伴ってこのコレクタ電流も増加するので、結局はトランジスタ9aのコレクタ電位の変化はセンス電流の変化によってのみ決定される。
【0078】
ここで、スイッチング素子1aの電圧Vceがツェナーダイオード22aにより定まる電圧値を超えると、ツェナーダイオード22aが導通を始め、その等価抵抗は極めて小さくなる。この状態においては、トランジスタ9aのコレクタ電位、すなわちゲート電圧指令値は、スイッチング素子1aのコレクタ端子からツェナーダイオード22aおよび抵抗21aを介して流れてくる電流からトランジスタ9aのコレクタ電流を差し引いた値により定まるので増加することとなる。
【0079】
よって、スイッチング素子1aの電圧Vceがツェナーダイオード22aにより定まる電圧値よりも上昇しようとするとゲート電圧指令値が上昇し、これによってスイッチング素子1aに流れる主電流が増大し、その分だけスイッチング素子1aの電圧Vceが減少することとなる。
【0080】
したがって、本実施の形態によれば、スイッチング素子の電圧Vceをツェナーダイオード22aによって検出し、電圧Vceが所定値を超えた場合には、トランジスタ24aのコレクタ電位をその分だけ上昇させ、このコレクタ電位をトランジスタ24aおよびダイオード42aを介してスイッチング素子のゲート電位に伝えるようにしたことで、これに応じてスイッチング素子に流れる主電流が増大してスイッチング素子の電圧Vceを減少させることができ、電圧Vceをほぼ一定に制御することができる。
【0081】
また、各ゲート駆動回路において電圧制御回路の回路定数を揃えるようにしたことで、各スイッチング素子の電圧Vceをほぼ一定の値に揃えることができる。
【0082】
[第5の実施の形態]
第4の実施の形態においては、センス電流指令値を変更することによりスイッチング素子のゲート電圧を調整して短絡電流を制限する短絡電流制限回路と、スイッチング素子の電圧Vceに応じてスイッチング素子のゲート電圧を直接的に制御する電圧制御回路とが同時に動作するよになっている。これに対して、スイッチング素子の短絡時の電圧・電流に応じて2つの制限回路を切り替えることが考えられる。本実施の形態においては、この点に対応した電力変換装置について説明する。
【0083】
本実施の形態における電力変換装置の基本的な構成は図5に示したものと同様であり、そのゲート駆動回路53a乃至53dとは内部構成が異なるゲート駆動回路73a乃至73dを用いた構成である。
【0084】
ゲート駆動回路73a乃至73dは同一構成であるので、ゲート駆動回路73aを例にその機能について説明する。図8は、ゲート駆動回路73aの構成を示す回路図である。同図のゲート駆動回路73aは、図7に対して、スイッチング素子1aのコレクタ端子に直列接続されたツェナーダイオード22aおよび抵抗21aが、その接続先としてトランジスタ9aのコレクタ端子に代えて、新たに設けられたNPN型のトランジスタ26aのベース端子に接続される。この接続点には抵抗25aが接続され、抵抗25aの他端子はゲート電源15aの負極線に接続される。トランジスタ26aのエミッタ端子には抵抗45aが接続され、抵抗45aの他端子はゲート電源15aの負極線に接続される。また、トランジスタ26aのエミッタ端子にはダイオード27aのアノード端子が接続され、トランジスタ9aのコレクタ端子にはダイオード28aのアノード端子が接続される。それぞれのダイオード27a,28aのカソード端子が接続され、その接続点はトランジスタ24aのベース端子に接続される。また、その接続点には抵抗44aが接続され、抵抗44aの他端子はゲート電源15aの負極線に接続される。なお、その他、図7と同一物には同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0085】
これらトランジスタ26aや並列接続されたダイオード27a,28a等により短絡電流制限回路と電圧制御回路とを切り替える切替回路が構成される。この回路定数については他のゲート駆動回路73b乃至73dにおいても同じ値のものを用いるようにする。
【0086】
スイッチング素子1aのゲート電位は、トランジスタ24aのベース電位によって制御される。このトランジスタ24aのベース端子には、スイッチング素子1aの電圧Vce検出用のダイオード27aと、センス電流検出用のダイオード28aとが並列に接続されており、どちらか電位の高い方のダイオードのみが導通することとなる。
【0087】
スイッチング素子1aの電圧Vceがツェナーダイオード22aで定まる値よりも低い場合には、トランジスタ26aのエミッタ電位はトランジスタ9aのコレクタ電位に比較して小さいので、ダイオード28aのみが導通し、トランジスタ24aのベース電位はセンス電流のみによって決定される。
【0088】
一方、スイッチング素子1aの電圧Vceがツェナーダイオード22aで定まる値よりも高くなった場合には、ツェナーダイオード22aが導通し、やがてトランジスタ26aのエミッタ電位がトランジスタ9aのコレクタ電位を上回るようになる。このとき、ダイオード27aが導通し、ダイオード28aが非導通となり、トランジスタ24aのベース電位はスイッチング素子1aの電圧Vceのみによって決定される。
【0089】
したがって、本実施の形態によれば、スイッチング素子のゲート電位を制御するトランジスタ24aのベース電位を定める際に、スイッチング素子の電圧Vceが通常である場合には、ダイオード28aが導通してセンス電流により定まり、スイッチング素子の電圧Vceが所定値を超えた場合には、ダイオード27aが導通して電圧Vceにより定まるようにしたことで、スイッチング素子の電圧・電流の状態に応じて短絡電流制限回路と電圧制御回路と切り替えてスイッチング素子のゲート電圧を決定することができる。
【0090】
[第6の実施の形態]
第1乃至第5の実施の形態においては、各スイッチング素子について従来の充放電型のスナバ回路を用いることを前提としていたが、第3乃至5の実施の形態に示したように、いずれかのスイッチング素子の分担電圧が上昇しすぎたときにはゲート駆動回路に設けた電圧制御回路によってこの分担電圧のバラつきを抑えることが可能になった場合には、ことさら各スイッチング素子に充放電型のスナバ回路を備える必要性はなく取り外した構成とすることができる。
【0091】
しかしながら、各スイッチング素子の電圧分担のバラつきは直流短絡時のみでなく通常のターンオフスイッチングの過渡期にも発生する。通常のターンオフスイッチングでは、直流短絡時に比べて過渡時間がきわめて短いために、直流短絡時ほど深刻な電圧分担のアンバランスは発生しないものの、電圧分担のアンバランスはより小さいことが望ましいことに変わりはない。そこで、本実施の形態にでは、充放電型のスナバ回路を取り外したとしても、各スイッチング素子の電圧分担のアンバランスをさらに抑えることのできる電力変換装置について説明する。
【0092】
本実施の形態における電力変換装置の基本的な構成は図5のようにスイッチング素子1a乃至1dが直列接続され、各スイッチング素子毎にゲート駆動回路83a乃至83dが設けられた構成である。ゲート駆動回路83a乃至83dは同一構成であるので、ゲート駆動回路83aを例にその機能について説明する。
【0093】
図9は、本実施の形態におけるゲート駆動回路83aの構成を示す回路図である。同図のゲート駆動回路83aは、図8に対して、新たに設けたダイオード29aのアノード端子がトランジスタ26aのエミッタ端子とダイオード28aのアノード端子とを接続する接続線に接続され、ダイオード29aのカソード端子がスイッチング素子1aのゲート端子とゲート信号発生回路14aとを接続する接続線に接続された構成である。なお、その他、図8と同一物には同一の符号を付すこととし、ここではその説明を省略する。
【0094】
このダイオード29aにより通常のスイッチング動作時における電圧制御回路が構成され、その回路定数については他のゲート駆動回路83b乃至83dにおいても同じ値のものを用いるようにする。
【0095】
ダイオード29aは、通常のターンオフスイッチング時において、その過渡期にスイッチング素子1aの電圧Vceが上昇してトランジスタ26aのエミッタ電位が上昇したときに導通して電圧Vceを減少させるためのものである。すなわち、ダイオード29aが導通することによって、ターンオフによりスイッチング素子1aのゲート閾値電圧の程度まで下がったゲート電位が引き上がり、スイッチング素子1aに主電流がより多く流れるようになって電圧Vceを減少させる。
【0096】
このダイオード29aの動作によって、スイッチング素子1aのゲート電位が引き上げられてターンオフし始めたスイッチング素子1aのターンオフ動作を遅らせ、これによってスイッチング素子1aの分担電圧を引き下げる。
【0097】
したがって、本実施の形態によれば、ダイオード29aによりスイッチング素子の電圧Vceが所定値を超えた場合には、その増加分だけスイッチング素子のゲート電位を増加させて電圧Vceが一定になるようにしたことで、通常のターンオフのように過渡期が短くても各スイッチング素子の電圧分担のアンバランスを抑えることができる。
【0098】
[第7の実施の形態]
第1乃至第6の実施の形態においては、複数個のスイッチング素子を直列接続したときの各スイッチング素子間の電圧分担のバラつきを防止することとした。これに対し、本実施の形態では、複数のスイッチング素子を並列接続したときの各スイッチング素子間の電流不平衡を防止する電力変換装置について説明する。
【0099】
図10は、本実施の形態における電力変換装置の主要部の構成を示す回路図である。同図の電力変換装置は、図21に対して、スイッチング素子201a,201bの代わりにセンス端子を備えたスイッチング素子1a,1bが並列に接続される。このスイッチング素子1a,1bにはそのセンス端子7a,7bからのセンス電流に基づいてゲート電位を制御するゲート駆動回路93a,93bがそれぞれ接続される。スイッチング素子1a,1bのエミッタ端子、センス端子はそれぞれゲート駆動回路93a,93bに接続され、各スイッチング素子のコレクタ端子はゲート抵抗2a,2bを介してそれぞれゲート駆動回路93a,93bに接続される。このゲート駆動回路93a,93bは、強制短絡信号発生回路32およびゲート光信号発生回路34と光信号の送受信が可能に構成される。また、スイッチング素子1aおよび1bにより一つのアームが構成される。
【0100】
ゲート駆動回路93a,93bは、スイッチング素子1a,1bのセンス端子7a,7bからのセンス電流を用いて直流短絡事故が発生したことを検知すると、このセンス電流が所定値を超えないようにそれぞれスイッチング素子1a,1bのゲート電位をフィードバック制御するとともに、直流短絡を検出した旨を通知するための短絡検出光信号を強制短絡信号発生回路32へ送信する。
【0101】
強制短絡信号発生回路32では、同一のアームを構成するスイッチング素子1a,1bのそれぞれのゲート駆動回路93a,93bから送信されてきた短絡検出光信号の論理和を取り、いずれか一方のスイッチング素子について直流短絡が発生した場合に強制短絡信号を生成し、これをゲート光信号発生回路34へ送出する。
【0102】
ゲート光信号発生回路34では、この強制短絡信号に基づいてゲート光信号を生成し、このゲート光信号をゲート駆動回路93a,93bの双方に送信する。
【0103】
ゲート駆動回路93a,93bでは、ゲート光信号を受信した場合には、それぞれに接続されたスイッチング素子1a,1bをターンオン(点弧)させる。この構成により、いずれかのスイッチング素子について直流短絡が検知された場合には、他のスイッチング素子についても点弧されるので、各スイッチング素子での電流分担の不平衡が解消され、大きなサージ電圧の発生が回避される。
【0104】
また、このゲート駆動回路93a,93bは同一の構成であり、各内部の短絡電流制限回路ではセンス電流の所定値が同じ値になるように設定されるので、スイッチング素子が点弧された後、各スイッチング素子のセンス電流は同じ値となるように制御される。
【0105】
したがって、本実施の形態によれば、並列に接続された複数のスイッチング素子のうち、いずれか1つに直流短絡が発生した場合には、他のスイッチング素子も短絡させるようにしたことで、並列接続構成での直流短絡時における電流分担の不平衡が解消され、サージ電圧によるスイッチング素子の破壊を防止することができる。
【0106】
また、本実施の形態によれば、各スイッチング素子についてセンス電流の所定値として同じ値が用いられるようにしたことで、各スイッチング素子の電流分担の不平衡に起因するスイッチング素子の破壊を防止することができる。
【0107】
[第8の実施の形態]
上記各実施の形態においては、センス端子を備えたスイッチング素子を用いることとしたが、このセンス端子の実態は、スイッチング素子に内蔵されている多くのIGBT素子の一部のエミッタ端子を別に取り出したものである。このセンス端子から流れるセンス電流が主電流に対して比例した値となるようにするためには、センス端子とエミッタ端子との電気的条件がなるべく等しくなるようにする必要がある。
【0108】
ところが、前述したようにセンス端子をトランジスタのベース端子に接続した場合には、このトランジスタのベース・エミッタ端子間電圧の分(約0.6V)だけ、センス端子の電位がエミッタ端子の電位よりも高くなってしまう。このため、センス電流が流れにくくなる。特に、通常のスイッチング時にはセンス電流は流れにくく、直流短絡が発生して初めて急激にセンス電流が流れ出すようになってしまう。
【0109】
本実施の形態では、このような点に鑑み、センス端子の電位とエミッタ端子の電位との差を低減する電力変換装置について説明する。本電力変換装置は、直列接続あるいは並列接続された複数のスイッチング素子を備えるものであるが、ここではその全体図面を省略し、複数のスイッチング素子のうちの1つであるスイッチング素子101とその周辺回路について説明する。
【0110】
図11は、本実施の形態におけるスイッチング素子101およびその周辺回路の構成を示す回路図である。スイッチング素子101のゲート端子はゲート抵抗106を介してゲート駆動回路107に接続され、スイッチング素子101のエミッタ端子103はゲート駆動回路107に接続され、スイッチング素子101のセンス端子102はNPN型のトランジスタ105のベース端子およびセンス抵抗104に接続される。
【0111】
このトランジスタ105のコレクタ端子はダイオード115のカソード端子に接続され、ダイオード115のアノード端子はスイッチング素子101のゲート端子に接続される。センス抵抗104の他端子はバイアス電源109の負極線に接続され、バイアス電源109の正極線はゲート駆動回路とスイッチング素子101のエミッタ端子103とを接続する接続線に接続される。
【0112】
また、この接続線にはダイオード108のアノード端子が接続され、ダイオード108のカソード端子はトランジスタ105のエミッタ端子に接続される。このトランジスタ105のエミッタ端子とバイアス電源109の負極線との間にはバイアス抵抗110およびバイパスコンデンサ111が並列に接続される。
【0113】
ゲート駆動回路107は、スイッチング素子101のオン・オフ動作をゲート抵抗106を介して制御する。
【0114】
スイッチング素子101のコレクタ端子からエミッタ端子103へ流れる主電流の一部はセンス端子102からセンス電流として取り出される。そして、トランジスタ105、ダイオード115、センス抵抗104、ゲート抵抗106等によりこのセンス電流が所定値を超えないようにスイッチング素子が短絡したときの短絡電流を制限する短絡電流制限回路が構成される。
【0115】
ダイオード108にはバイアス抵抗110により定まる一定の電流が流れるので、このバイアス抵抗110の定数を調整することによりダイオード108のアノード・カソード間の電圧を0.7V程度とし、トランジスタ105のベース・エミッタ間の電圧とほぼ等しくなるようにする。
【0116】
このような構成により、ダイオード108は、トランジスタ105のエミッタ端子の電位が、スイッチング素子101のエミッタ端子103の電位からトランジスタ105のベース・エミッタ間の電位差だけ引き下げた電位となるように作用する。
【0117】
したがって、本実施の形態によれば、トランジスタ105のエミッタ端子の電位とダイオード108のカソード端子の電位とは等しく、トランジスタ105のベース・エミッタ間電圧とダイオード108のアノード・カソード間電圧が等しいことから、トランジスタ105のベース電位すなわちセンス端子102の電位を、ダイオード108のアノード端子の電位すなわちエミッタ端子103の電位と等しくすることができる。
【0118】
[第9の実施の形態]
第8の実施の形態においては、トランジスタ105のベースエミッタ間電圧をダイオード108のアノード・カソード間電圧で補償するようにした。本実施の形態では、この補償の精度をより高めた電力変換装置について説明する。
【0119】
本電力変換装置は、直列接続あるいは並列接続された複数のスイッチング素子を備えるものであるが、ここではその全体図面を省略し、複数のスイッチング素子のうちの1つであるスイッチング素子101とその周辺回路について説明する。
【0120】
図12は、本実施の形態におけるスイッチング素子101およびその周辺回路の構成を示す回路図である。同図においては、図11に対して、ダイオード108の代わりにトランジスタ115と同一種類のトランジスタ112を用いている。このトランジスタ112のコレクタ端子とベース端子とは、ゲート駆動回路107とスイッチング素子101のエミッタ端子103との接続線に接続され、トランジスタ112のエミッタ端子はトランジスタ105のエミッタ端子に接続される。なお、その他、図11と同一物については同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0121】
トランジスタ105とトランジスタ112とは、同一種類であるのでそのベース・エミッタ間電圧は等しい。このような構成により、トランジスタ112は、スイッチング素子101のエミッタ端子103の電位からトランジスタ105のベース・エミッタ間の電位差だけ引き下げた電位がトランジスタ112のエミッタ端子の電位、すなわちトランジスタ105のエミッタ端子の電位となるように作用する。
【0122】
したがって、本実施の形態によれば、トランジスタ105と同一種類のトランジスタ112を用いるようにしたことで、スイッチング素子101のセンス端子102の電位とエミッタ端子103の電位とを等しくする精度を向上させることができる。
【0123】
なお、トランジスタ105とトランジスタ112との間に温度差があると、ベース・エミッタ間電圧に温度依存性があるためにセンス端子102の電位が変動してしまうので、さらに精度を上げるためにはトランジスタ105とトランジスタ112とを近接して取り付ける等により温度差の影響を受けにくくすることが望ましい。
【0124】
[第10の実施の形態]
本実施の形態では、図12に示した周辺回路をわずかに変更することによって差動増幅器を構成するようにした電力変換装置について説明する。
【0125】
本電力変換装置は、直列接続あるいは並列接続された複数のスイッチング素子を備えるものであるが、ここではその全体図面を省略し、複数のスイッチング素子のうちの1つであるスイッチング素子101とその周辺回路について説明する。
【0126】
図13は、本実施の形態におけるスイッチング素子101およびその周辺回路の構成を示す回路図である。同図においては、図12に対して、トランジスタ112のコレクタ端子が、コレクタ抵抗113を介してゲート電源9の正極線に接続されるとともにゲート駆動回路107に接続され、そのコレクタ電位をモニタ可能になっている。なお、その他、図12と同一物については同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0127】
このような構成により、センス電流が増大してトランジスタ105のコレクタ電流が増加すると、逆にトランジスタ112のコレクタ電流は減少するのでトランジスタ112のコレクタ電位は増加する。すなわち、トランジスタ112のコレクタ端子の電位は、センス電流の増加に伴って増加する。
【0128】
したがって、本実施の形態によれば、トランジスタ105とトランジスタ112とで差動増幅器を構成するようにしたことで、トランジスタ112のコレクタ電位をセンス電流の値のモニタ出力として使用することができる。
【0129】
[第11の実施の形態]
第8乃至第10の実施の形態においては、スイッチング素子のセンス端子102をトランジスタ105のベース端子に接続した構成について説明したが、トランジスタのエミッタ端子に接続することも考えられる。そこで、本実施の形態では、この点に対応した電力変換装置について説明する。
【0130】
本電力変換装置は、直列接続あるいは並列接続された複数のスイッチング素子を備えるものであるが、ここではその全体図面を省略し、複数のスイッチング素子のうちの1つであるスイッチング素子101とその周辺回路について説明する。
【0131】
図14は、本実施の形態におけるスイッチング素子101およびその周辺回路の構成を示す回路図である。同図においては、図12に対して、トランジスタ105,112の代わりに同一種類のPNP型のトランジスタ130,131を用いている。トランジスタ131はベース接地で用いられ、そのエミッタ端子はスイッチング素子101のセンス端子102に接続され、そのコレクタ端子はセンス抵抗104に接続される。一方、トランジスタ131のエミッタ端子はスイッチング素子101のエミッタ端子103とゲート駆動回路107とを接続する接続線に接続され、そのコレクタ端子はバイアス抵抗110に接続される。これらのトランジスタ130,131のそれぞれベース端子は接続され、バイアス抵抗110に接続される。
【0132】
また、ダイオード115のカソード端子は、新たに設けられたNPN型のトランジスタ114のコレクタ端子に接続される。このトランジスタ114のベース端子は、トランジスタ130のコレクタ端子とセンス抵抗104とを接続する接続線に接続され、トランジスタ114のエミッタ端子は、ゲート電源109の負極線に接続される。
【0133】
これらトランジスタ130、トランジスタ114、ダイオード115、センス抵抗104、ゲート抵抗106等により短絡電流制限回路が構成される。なお、その他、図12と同一物については同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0134】
トランジスタ130およびトランジスタ131は、同一種類であるのでそのエミッタ・ベース間電圧は等しい。このような構成により、トランジスタ131は、スイッチング素子101のエミッタ端子103の電位からトランジスタ130のエミッタ・ベース間の電位差だけ引き下げた電位がトランジスタ130のエミッタ端子の電位となるように作用する。
【0135】
したがって、本実施の形態によれば、トランジスタ130のエミッタ端子の電位とトランジスタ131のエミッタ端子の電位とは等しく、トランジスタ130のエミッタ・ベース間電圧とトランジスタ131のエミッタ・ベース間電圧が等しいことから、トランジスタ130のエミッタ電位すなわちスイッチング素子101のセンス端子102の電位を、トランジスタ131のエミッタ電位すなわちスイッチング素子101のエミッタ端子103の電位と等しくすることができる。
【0136】
また、本実施の形態によれば、トランジスタ130のコレクタ電流はそのエミッタ電流すなわちスイッチング素子101のセンス電流とほぼ同一であり、このコレクタ電流によって、スイッチング素子101のゲート・エミッタ間電圧を調整するトランジスタ114が動作することとなる。
【0137】
この構成により、スイッチング素子101のセンス電流はトランジスタ130というある種のバッファを経由してから処理されるようになるので、フィードバック制御などに起因する震動等の現象を抑制でき、より安定した動作を実現することができる。
【0138】
なお、本実施の形態においては、PNP型のトランジスタ130のベースバイアス電圧を設定するために同一種類のトランジスタ130を用いることとしたが、これに限られるものではない。例えば、第8の実施の形態に示したようにダイオードの順方向電圧を用いるようにしてもよい。
【0139】
[第12の実施の形態]
第8乃至第11の実施の形態においては、スイッチング素子101のゲート・エミッタ間電圧をゲート抵抗106を介して制御することとしていた。しかしながら、このゲート抵抗106は、第8乃至第10の実施の形態においてはトランジスタ105、第11の実施の形態においてはトランジスタ114のコレクタ抵抗に相当するものである。トランジスタの電圧増幅度はコレクタ抵抗の値に比例することから、ゲート抵抗106の値によってトランジスタ105あるいはトランジスタ114の電圧増幅度が大幅に変わることになる。
【0140】
一方、ゲート抵抗106は、スイッチング素子の電磁ノイズの調整などのためにしばしば現場で変更されるものであり、これによってトランジスタ105あるいはトランジスタ114の電圧増幅度が影響を受けてしまうのは望ましくない。そこで、本実施の形態では、この点に対応した電力変換装置について説明する。
【0141】
本電力変換装置は、直列接続あるいは並列接続された複数のスイッチング素子を備えるものであるが、ここではその全体図面を省略し、複数のスイッチング素子のうちの1つであるスイッチング素子101とその周辺回路について説明する。
【0142】
図15は、本実施の形態におけるスイッチング素子101およびその周辺回路の構成を示す回路図である。同図においては、図14に対して、新たなPNP型トランジスタ118を設けている。このトランジスタ118は、そのエミッタ端子がダイオード115のカソード端子に接続され、そのベース端子はトランジスタ114のコレクタ端子に接続され、そのコレクタ端子はゲート電源109の負極線に接続される。
【0143】
また、トランジスタ114は、そのエミッタ端子がエミッタ抵抗117を介してゲート電源109の負極線に接続され、そのコレクタ端子はコレクタ抵抗116を介してゲート電源109の正極線に接続される。
【0144】
これらのトランジスタ114,118、ダイオード115、エミッタ抵抗117、コレクタ抵抗116、ゲート抵抗106、センス抵抗104等により短絡電流制限回路が構成される。なお、その他、図14と同一物には同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0145】
このような構成により、トランジスタ118はエミッタフォロワで使用され、その電圧増幅度は1となる。スイッチング素子101のゲート・エミッタ電圧はこのトランジスタ118により制御される。
【0146】
また、短絡電流制限回路の増幅度は、もっぱらトランジスタ114のコレクタ抵抗116とエミッタ抵抗117との比率によって決定されるので、スイッチング素子101の静特性に合せてこの2つの抵抗を調整するようにする。
【0147】
したがって、本実施の形態によれば、スイッチング素子101のゲート・エミッタ間電圧を制御するトランジスタ118をエミッタフォロワで使用するようにしたことで、その電圧増幅度は1であるので、ゲート抵抗106が変更されても電圧増幅度に影響を与えないようにすることができる。
【0148】
また、本実施の形態によれば、コレクタ抵抗116およびエミッタ抵抗117を調整することで、短絡電流制限回路はゲート抵抗106の値に関らず、常に最適な動作を維持することができる。
【0149】
[第13の実施の形態]
第8乃至第12の実施の形態においては、短絡電流制限回路の制限電流値はセンス抵抗104によって定まる一定値となっていた。一方、スイッチング素子101がターンオンする際には、対になるスイッチング素子の逆導通ダイオードの逆回復電流が流れるために、ターンオンの過渡期に短いパルス幅で大きな電流が流れてしまうことがしばしば起こる。この場合には、短絡電流制限回路が追従してしまう。しかしながら、こうした過渡的なラッシュカレントはそれ自体問題となるものではないので、この過渡的なラッシュカレントに対しては短絡電流制限回路が動作しないようにすることが望ましい。そこで、本実施の形態では、この点に対応した電力変換装置について説明する。
【0150】
本電力変換装置は、直列接続あるいは並列接続された複数のスイッチング素子を備えるものであるが、ここではその全体図面を省略し、複数のスイッチング素子のうちの1つであるスイッチング素子101とその周辺回路について説明する。
【0151】
図16は、本実施の形態におけるスイッチング素子101およびその周辺回路の構成を示す回路図である。同図においては、図15に対して、センス抵抗104に並列にコンデンサ119が接続される。なお、その他、図15と同一物には同一の符号を付すこととし、ここではその説明を省略する。
【0152】
このような構成により、短絡電流制限回路は、センス電流とセンス抵抗104との積がコンデンサ119の容量によって定まる値を超えなければ動作しないので、短いパルス幅のセンス電流に対しては動作しないようになる。近似的には、直流短絡の発生等によりセンス電流を時間積分した値が所定値を超えたときにはじめて短絡電流制限回路の動作が始まり、短絡時間が長くなるにつれて短絡電流の制限値はコンデンサ119の値とは無関係にセンス抵抗104により定まる一定値に収束する。
【0153】
したがって、本実施の形態によれば、コンデンサ119をセンス抵抗104に並列接続したことで、ターンオン過渡期などの短いパルス幅のサージ電流に対しては短絡電流制限回路を追従させないことができる。
【0154】
[第14の実施の形態]
第13の実施の形態においては、コンデンサ119をセンス抵抗104に並列接続することとしたが、本実施の形態では、別の構成によりターンオン過渡期などの短いパルス幅のサージ電流に対して短絡電流制限回路を追従させないようにした電力変換装置について説明する。
【0155】
本電力変換装置は、直列接続あるいは並列接続された複数のスイッチング素子を備えるものであるが、ここではその全体図面を省略し、複数のスイッチング素子のうちの1つであるスイッチング素子101とその周辺回路について説明する。
【0156】
図17は、本実施の形態におけるスイッチング素子101およびその周辺回路の構成を示す回路図である。同図においては、図16に対して、コンデンサ119の代わりに遅延回路120がセンス抵抗104に並列に接続され、この遅延回路120からの駆動電圧によって動作するFET121のドレイン端子がトランジスタ114のエミッタ抵抗117に接続され、FET121のソース端子がゲート電源109の負極線に接続される。なお、その他、図16と同一物には同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0157】
センス電流がセンス抵抗104により定まる値を超えたところで、遅延回路120はカウント動作を開始する。そして、センス電流が所定値を超えた状態で一定時間経過したところで、遅延回路120はFET121を駆動する。FET121が駆動することによってはじめてトランジスタ114が動作可能となり、これにより短絡電流制限回路が動作を開始する。
【0158】
したがって、本実施の形態によれば、センス電流が所定値を超えた状態で一定時間が経過したところで短絡電流制限回路を動作させるようにしたことで、第13の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0159】
[第15の実施の形態]
第8乃至第14の実施の形態においては、いずれもセンス抵抗104の値を変更することにより短絡電流の制限値を自由に設定可能である。しかし、短絡電流の制限値は、スイッチング素子101の最大遮断電流の値より低いものでなければならず、さもなくば短絡電流を遮断する際にスイッチング素子101を破壊してしまうおそれがある。
【0160】
一方、IGBTを用いたスイッチング素子101では、その最大遮断電流はゲート抵抗106の値に依存し、このゲート抵抗の値を大きくすることによって最大遮断電流を大きくすることができる。通常の動作時においては最大遮断電流を大きくする必要はないが、短絡などの事故が発生した場合には最大遮断電流を大きくできればスイッチング素子101の安全性は多いに増す。本実施の形態では、こうしたスイッチング素子101の特性を応用した電力変換装置について説明する。
【0161】
本電力変換装置は、直列接続あるいは並列接続された複数のスイッチング素子を備えるものであるが、ここではその全体図面を省略し、複数のスイッチング素子のうちの1つであるスイッチング素子101とその周辺回路について説明する。
【0162】
図18は、本実施の形態におけるスイッチング素子101およびその周辺回路の構成を示す回路図である。同図においては、図15に対して、新たにゲート抵抗切替回路122が設られる。このゲート抵抗切替回路122は、スイッチング素子101のゲート端子とゲート駆動回路107との間に接続され、さらにセンス抵抗104とトランジスタ114のベース端子とを接続する接続線に接続される。ゲート抵抗切替装置122は、ゲート抵抗106の他、値の異なるゲート抵抗を内蔵し、これらのゲート抵抗の切り替えが可能な構成となっている。なお、その他、図15と同一物には同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0163】
ゲート抵抗切替回路122は、センス抵抗104の両端電圧をモニターすることによりセンス電流を検出し、短絡電流制限回路の動作を検知する。そして短絡電流制限回路の動作/非動作に基づいてスイッチング素子101のゲート抵抗を切り替える。すなわち、センス電流が通常の値であって短絡電流制限回路が非動作である場合には通常時用のゲート抵抗を用いることとし、センス電流が所定値よりも大きく短絡電流制限回路が動作した場合には、通常用のゲート抵抗をより値の大きいゲート抵抗に切り替えるようにする。
【0164】
したがって、本実施の形態によれば、センス電流が所定値よりも大きく短絡電流制限回路の動作が検知された場合には、通常用のゲート抵抗をより値の大きいゲート抵抗に切り替えるようにしたことで、スイッチング素子101の最大遮断電流が大きくなり、より大きな短絡電流を安全に遮断することができる。
【0165】
[第16の実施の形態]
第15の実施の形態においては、ゲート抵抗切替回路122によりゲート抵抗を切り替えることとしたが、本実施の形態では、別の構成によりゲート抵抗を切り替えるようにした電力変換装置について説明する。
【0166】
本電力変換装置は、直列接続あるいは並列接続された複数のスイッチング素子を備えるものであるが、ここではその全体図面を省略し、複数のスイッチング素子のうちの1つであるスイッチング素子101とその周辺回路について説明する。
【0167】
図19は、本実施の形態におけるスイッチング素子101およびその周辺回路の構成を示す回路図である。同図においては、図18に対して、ゲート駆動回路107の代わりにオンゲート駆動回路123、オフゲート駆動回路124,125が並列に接続され、オンゲート駆動回路123はオンゲート抵抗126を介して、オフゲート駆動回路124はオフゲート抵抗127を介して,オフゲート駆動回路125はオフゲート抵抗128を介してそれぞれスイッチング素子101のゲート端子に接続される。また、オフゲート駆動回路124,125は、それぞれセンス抵抗104とトランジスタ114のベース端子とを接続する接続線に接続される。なお、その他、図18と同一物には同一の符号を付すこととし、ここでは説明を省略する。
【0168】
オフゲート駆動回路124,125は、センス抵抗104の両端電圧をモニターすることによりセンス電流を検出し、短絡電流制限回路の動作/非動作に基づいていずれか一方のオフゲート駆動回路のみが動作するように構成される。むろん、短絡電流制限回路が動作しているときに動作するゲート駆動回路に接続されたオフゲート抵抗の値をより大きく設定しておく。
【0169】
このような構成により、センス抵抗104の両端電圧があるレベルを超えるまでは一方のオフゲート駆動回路が動作してこれに接続されたオフゲート抵抗が用いられ、あるレベルを超えてからはもう一方のオフゲート駆動回路が動作してこれに接続されたより値の大きなオフゲート抵抗が用いられるようになる。
【0170】
したがって、本実施の形態によれば、2つのオフゲート駆動回路124,125を並列に接続し、短絡事故等の発生時には、より値の大きいゲート抵抗に接続された方のオフゲート駆動回路を動作させるようにしたことで、通常のスイッチング動作時よりも大きな遮断耐量をスイッチング素子101に与えることができ、より大きな短絡電流を安全に遮断することができる。
【0171】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る電力変換装置によれば、複数のスイッチング素子のセンス端子からのセンス電流が各スイッチング素子で同じ値の所定値を超えないように各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御するようにしたことで、いずれかのスイッチング素子で直流短絡が発生しても各スイッチング素子の短絡電流をほぼ一定の値に揃えることができ、直列接続での各スイッチング素子の電圧分担のばらつきを簡易な構成で抑えることができる。
【0172】
本発明に係る電力変換装置によれば、並列に接続された複数のスイッチング素子のうち、いずれか1つに直流短絡が発生した場合には、他のスイッチング素子を点弧させるようにしたことで、並列接続構成での直流短絡時における電流分担の不平衡が解消され、サージ電圧によるスイッチング素子の破壊を防止することができる。
【0173】
本発明に係る電力変換装置によれば、スイッチング素子のセンス端子の電位と負極端子の電位とが等しくなるようにしたことで、センス端子および負極端子の電気的条件を等しくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における電力変換装置の主要部の構成を示す回路図である。
【図2】第1の実施の形態におけるゲート駆動回路の構成を示す回路図である。
【図3】第2の実施の形態における電力変換装置の主要部の構成を示す回路図である。
【図4】第2の実施の形態におけるゲート駆動回路の構成を示す回路図である。
【図5】第3の実施の形態における電力変換装置の主要部の構成を示す回路図である。
【図6】第3の実施の形態におけるゲート駆動回路の構成を示す回路図である。
【図7】第4の実施の形態におけるゲート駆動回路の構成を示す回路図である。
【図8】第5の実施の形態におけるゲート駆動回路の構成を示す回路図である。
【図9】第6の実施の形態におけるゲート駆動回路の構成を示す回路図である。
【図10】第7の実施の形態における電力変換装置の主要部の構成を示す回路図である。
【図11】第8の実施の形態におけるスイッチング素子およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【図12】第9の実施の形態におけるスイッチング素子およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【図13】第10の実施の形態におけるスイッチング素子およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【図14】第11の実施の形態におけるスイッチング素子およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【図15】第12の実施の形態におけるスイッチング素子およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【図16】第13の実施の形態におけるスイッチング素子およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【図17】第14の実施の形態におけるスイッチング素子およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【図18】第15の実施の形態におけるスイッチング素子およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【図19】第16の実施の形態におけるスイッチング素子およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【図20】 従来の直列接続されたスイッチング素子により構成された電力変換装置の主要部を示す回路図である。
【図21】 従来の並列接続されたスイッチング素子により構成された電力変換装置の主要部を示す回路図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d スイッチング素子
2a,2b ゲート抵抗
3a,3b,3c,3d ゲート駆動回路
4a,4b,4c,4d スナバコンデンサ
5a,5b,5c,5d スナバダイオード
6a,6b,6c,6d スナバ抵抗
7a,7b,7c,7d センス端子
8a センス抵抗
9a トランジスタ
10a オンゲート抵抗
11a オフゲート抵抗
12a オンゲートトランジスタ
13a オフゲートトランジスタ
14a ゲート信号発生回路
15a ゲート電源
16a ゲート電源
17a ダイオード
18a,18b センス電流設定部
19a トランジスタ
20a 抵抗
21a 抵抗
22a ツェナーダイオード
23a ツェナーダイオード
24a トランジスタ
25a 抵抗
26a トランジスタ
27a ダイオード
28a ダイオード
29a ダイオード
30a,30b ゲート光信号
31a,31b 短絡検出光信号
32 強制短絡信号発生回路
34 ゲート光信号発生回路
40a 抵抗
41a 抵抗
42a ダイオード
44a 抵抗
45a 抵抗
43a,43b,43c,43d ゲート駆動回路
53a,53b,53c,53d ゲート駆動回路
63a,73a,83a ゲート駆動回路
93a,93b ゲート駆動回路
101 スイッチング素子
102 センス端子
103 エミッタ端子
104 センス抵抗
105 トランジスタ
106 ゲート抵抗
107 ゲート駆動回路
108 ダイオード
109 バイアス電源
110 バイアス抵抗
111 バイパスコンデンサ
112 トランジスタ
113 コレクタ抵抗
114 トランジスタ
115 ダイオード
116 コレクタ抵抗
117 エミッタ抵抗
118 トランジスタ
119 コンデンサ
120 遅延回路
121 FET
122 ゲート抵抗切替回路
123 オンゲート駆動回路
124 オフゲート駆動回路
125 オフゲート駆動回路
126 オンゲート抵抗
127 オフゲート抵抗
128 オフゲート抵抗
130 トランジスタ
131 トランジスタ
201a,201b,201c,201d スイッチング素子
202a,202b,202c,202d ゲート抵抗
203a,203b,203c,203d ゲート駆動回路

Claims (24)

  1. 制御端子に与えられる信号によって正極端子から負極端子へ流れる主電流が制御されるスイッチング素子を複数直列に接続した電力変換装置において、
    各スイッチング素子は主電流の一部を分流して取り出すためのセンス端子を有し、
    このセンス端子により分流されたセンス電流を各スイッチング素子毎に検出するセンス電流検出手段と、
    このセンス電流が各スイッチング素子について同じ値に設定された所定値を超えないように各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御することによりスイッチング素子が短絡したときの短絡電流を制限する短絡電流制限手段と、
    を有することを特徴とする電力変換装置。
  2. 複数のスイッチング素子により一つのアームが構成され、複数のアームにより電力変換装置が構成されるものであって、
    前記センス電流の所定値は、一つのアームを構成する各スイッチング素子で同じ値のものが用いられることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
  3. 前記センス電流の所定値を定めるセンス電流指令値を設定するセンス電流設定手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の電力変換装置。
  4. 前記スイッチング素子の正極端子・負極端子間の電圧を各スイッチング素子毎に検出する電圧検出手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電力変換装置。
  5. 前記センス電流設定手段は、前記電圧検出手段により検出された電圧が所定値を超えたときの増加分に応じてセンス電流指令値を変更する変更手段を有することを特徴とする請求項4記載の電力変換装置。
  6. 前記電圧検出手段により検出された電圧が所定値を超えないように各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御する信号制御手段を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の電力変換装置。
  7. 前記信号制御手段によりスイッチング素子の制御端子に与えられる信号を定める信号指令値を設定する信号設定手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電力変換装置。
  8. 前記信号設定手段は、前記電圧検出手段により検出された電圧が所定値を超えたときの増加分に応じて信号指令値を変更する変更手段を有することを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
  9. 前記電圧検出手段により検出された電圧に応じて前記短絡電流制限手段による動作と前記信号制御手段による動作とを切り替える切替手段を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の電力変換装置。
  10. 前記信号制御手段は、短絡時だけではなく通常のスイッチング動作時にも各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御する制御手段を有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の電力変換装置。
  11. 前記複数のスイッチング素子は並列に接続されたものであって、
    前記センス電流検出手段により検出された各スイッチング素子のセンス電流に基づいていずれかのスイッチング素子が誤点弧したことが検知された場合に、他のスイッチング素子を点弧させる点弧手段を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電力変換装置。
  12. 前記短絡電流制限手段は、前記点弧手段により他のスイッチング素子が点弧された後、センス電流が所定値を超えないように各スイッチング素子の制御端子に与える信号を制御することを特徴とする請求項11記載の電力変換装置。
  13. 正極端子から負極端子へ流れる主電流の一部を分流して取り出すためのセンス端子を備えたスイッチング素子を複数備えた電力変換装置において、
    スイッチング素子毎にセンス端子の電位と負極端子の電位とを等しくする電位制御手段を有することを特徴とする電力変換装置。
  14. 前記電位制御手段は、スイッチング素子のセンス端子にベース端子が接続されたトランジスタと、
    このトランジスタのエミッタ端子とスイッチング素子の負極端子との間に接続され、トランジスタのエミッタ端子の電位をスイッチング素子の負極端子の電位に対してトランジスタのベース・エミッタ間の電位差だけ引き下げた電位とする電位引下手段と、
    を有することを特徴とする請求項13記載の電力変換装置。
  15. 前記電位引下手段は、順方向にバイアスされたダイオードにより構成されたものであって、このダイオードのアノード端子がスイッチング素子の負極端子に接続され、カソード端子がトランジスタのエミッタ端子に接続されたことを特徴とする請求項14記載の電力変換装置。
  16. 前記電位引下手段は、前記トランジスタと同一種類のトランジスタにより構成されたものであって、このトランジスタのベース端子がスイッチング素子の負極端子に接続され、このトランジスタのエミッタ端子が前記トランジスタのエミッタ端子に接続されたことを特徴とする請求項14記載の電力変換装置。
  17. 前記トランジスタおよびこれと同一種類のトランジスタにより作動増幅器を構成したことを特徴とする請求項16記載の電力変換装置。
  18. 前記電位制御手段は、スイッチング素子のセンス端子にエミッタ端子が接続されたトランジスタと、
    このトランジスタのベース端子とスイッチング素子の負極端子との間に接続され、トランジスタのベース端子の電位をスイッチング素子の負極端子の電位に対してトランジスタのエミッタ・ベース間の電位差だけ引き下げた電位とする電位引下手段と、
    を有することを特徴とする請求項13記載の電力変換装置。
  19. 前記電位引下手段は、順方向にバイアスされたダイオード又は前記トランジスタと同一種類のトランジスタにより構成されたことを特徴とする請求項18記載の電力変換装置。
  20. センス端子により主電流から分流されたセンス電流を検出するセンス電流検出手段と、
    前記センス電流検出手段により検出されたセンス電流が所定値を超えないようにスイッチング素子の制御端子に与える信号を制御することによりスイッチング素子が短絡したときの短絡電流を制限する短絡電流制限手段と、
    を有することを特徴とする請求項13乃至19のいずれかに記載の電力変換装置。
  21. 前記短絡電流制限手段は、センス電流を積分する積分手段を有し、
    この積分手段による積分値が所定値を超えた場合に制限することを特徴とする請求項20記載の電力変換装置。
  22. 前記短絡電流制限手段は、センス電流が所定値を超えたときに所定時間の計測を開始する計測手段を有し、
    センス電流が所定値を超えた状態でこの所定時間が経過したときに制限することを特徴とする請求項20記載の電力変換装置。
  23. 前記センス電流検出手段により検出されたセンス電流が所定値を超えた場合に、スイッチング素子の制御端子とこのスイッチング素子を駆動する駆動回路との間に接続された抵抗をより値の大きな抵抗に切り替える抵抗切替手段を有することを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の電力変換装置。
  24. スイッチング素子の制御端子に並列接続された値の異なる複数の抵抗と、
    この複数の抵抗にそれぞれ接続された駆動回路と、
    前記センス電流検出手段により検出されたセンス電流が所定値を超えた場合に、より値の大きな抵抗に接続された駆動回路を作動させる作動手段と、
    を有することを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の電力変換装置。
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