JP3748700B2 - ラックピニオン式舵取装置及びこれに用いるブーツ - Google Patents
ラックピニオン式舵取装置及びこれに用いるブーツ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、舵取り操作に応じて回転するピニオン軸のピニオンと噛合するラック歯が設けられ、車体の左右方向へ移動するラック軸の中途部にタイロッド取付体を取付けてなるラックピニオン式舵取装置及びこれに用いるブーツに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の舵取装置の一形式として、舵輪(ステアリングホイール)に連動連結されたピニオン軸のピニオンを車体の左右方向に延設されたラック軸のラック歯に噛合させてなり、舵取りのための舵輪の回転操作をラック軸の軸長方向の移動に変換し、この移動を一対のタイロッドから左右の操向車輪(一般的には前輪)に伝えて舵取りを行わせる構成としたラックピニオン式舵取装置がある。
【0003】
このようなラックピニオン式舵取装置は、更に、左右の操向車輪との連結のための前記タイロッドをラック軸の両端部に各別に取付けてなるエンドテイクオフ形と、前記タイロッドをラック軸の中途部に一つのタイロッド取付体を介して取付けてなるセンタテイクオフ形とに大別される。
【0004】
センタテイクオフ形のラックピニオン式舵取装置は、左右の操向車輪に至るタイロッドが長寸となる反面、これらと操向車輪との相対的な位置関係の設定に自由度が大きいという利点を有しており、一部の車種において採用されている。
【0005】
ブーツは、前記ラック軸の周りに両端部が封止されるように配置され、伸縮が可能なブーツ本体の中間部に、前記ラック軸の軸長方向と交叉する突起を有する前記タイロッド取付体の前記突起が嵌合される嵌合部を設けてなり、ラック軸周りにゴミ、水などの異物が入るのを防ぐものである。
【0006】
タイロッド取付体のラック軸への取付けは、実開昭57−174275号公報、米国特許第4,601,602号等に開示されている如く、タイロッド取付体の突起をブーツの嵌合部に嵌合し、前記突起を貫通するねじ体を、ラック軸に設けられた取付孔に緊締することにより取付け、タイロッド取付体をブーツの外側に配置することにより実現されている。
【0007】
前記突起の外周面は、上記米国特許第4,601,602号に記載されているものを図10に示すように、基端から先端に向かって小径となるテーパ面に形成され、この突起Aのテーパ面の中途に環状溝Bが設けられている。そして、ブーツCの嵌合部は貫通している。この貫通孔Dは、前記突起Aの外形よりも小径に形成され、該貫通孔Dを突起Aの先端から環状溝Bへと無理やり押し込むことにより、該貫通孔Dを環状溝Bに嵌合し、ブーツCの突起Aが嵌合される嵌合部の封止性を高め、該嵌合部からブーツC内にゴミ、水などの異物が入るのを防ぐようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のラックピニオン式舵取装置にあっては、ブーツCの貫通孔Dを突起Aの先端から環状溝Bへと無理やり押し込み、該貫通孔Dを環状溝Bに嵌合することにより、ブーツCの嵌合部の封止性を高め、タイロッド取付体Eをラック軸Fに取付けるように構成されているから、ブーツCの突起Aへの嵌め込みが非常に困難である。従って、タイロッド取付体Eの取付け作業性が悪く、コスト高になるという問題があった。
【0009】
このような問題点に対し本発明出願人は、前記突起が嵌合されるブーツの嵌合部を、前記突起の外形に対応する嵌合内面が設けられた筒状に形成して、ブーツの嵌合部の突起への嵌め込みを容易に行うことができ、しかも、この嵌め込みにより嵌合部の封止性を高めることができるようにしたラックピニオン式舵取装置を先に出願した。
【0010】
ところが、このラックピニオン式舵取装置によると、ラック軸の往復移動に追従してブーツの前記嵌合部に対する長手方向一方側及び他方側が縮小/伸長するときの前記嵌合部の封止性に改善の余地があった。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ブーツの前記嵌合内面に周方向に延びる突条を設けることにより、ラック軸の移動に追従してブーツが伸縮する場合の嵌合部の封止性を高めることができて、しかも、タイロッド取付体の取付作業性を高めることができるラックピニオン式舵取装置及びこれに用いるブーツを構成することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係るラックピニオン式舵取装置は、舵取り操作に応じて回転するピニオン軸のピニオンと噛合するラック歯が設けられ、車体の左右方向へ移動するラック軸に、該ラック軸の軸長方向と交叉する突起を有するタイロッド取付体が前記突起を貫通して前記ラック軸に緊締されるねじ体により取付けられており、前記ラック軸の周りに両端部が封止されるように配置され、前記突起が嵌合される嵌合部を有する伸縮が可能なブーツを設けてなるラックピニオン式舵取装置において、前記突起は、基端から先端に向かって小径となるテーパ状に形成されており、前記嵌合部は、前記突起の外形に対応させて基端から先端に向かって小径となるテーパ状に形成された嵌合内面を有し、且つ弾性変形が可能な筒状であり、該嵌合内面に周方向に延び、且つ前記突起の外面と接触する突条が設けられており、前記突起が前記嵌合部に嵌合するとき該嵌合部が弾性変形し、該嵌合部の弾性復元力により前記嵌合内面が前記突起の外面に接触するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係るブーツは、舵取り操作に応じて移動するラック軸の周りに両端部が封止されるように配置され、伸縮が可能なブーツ本体の中間部に、前記ラック軸の軸長方向と交叉する方向に突設され、且つ基端から先端に向かって小径となるテーパ状に形成された突起を有するタイロッド取付体の前記突起が嵌合される嵌合部を設けてなるブーツにおいて、前記嵌合部は、基端から先端に向かって小径となるテーパ状に形成された嵌合内面を有し、且つ弾性変形が可能な筒状であり、該嵌合内面に周方向に延び、且つ前記突起の外面と接触すべき突条が設けられており、前記突起が前記嵌合部に嵌合するとき該嵌合部が弾性変形し、該嵌合部の弾性復元力により前記嵌合内面が前記突起の外面に接触するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
第1発明及び第4発明にあっては、ブーツの嵌合部を突起に嵌め込むことにより、突起の外形に対応する嵌合内面、及び該嵌合内面に設けた突条が突起の外面と接触し、これら嵌合内面及び突条により封止することができるから、ラック軸の移動に追従してブーツが伸縮する場合の嵌合部の封止性を高めることができる。また、嵌合部は、嵌合内面が設けられた筒状に形成しているから、嵌合部の突起への嵌め込みを容易に行うことができ、タイロッド取付体の取付作業を簡易に行うことができる。
【0015】
第2発明に係るラックピニオン式舵取装置は、前記突条が、前記突起との接触により撓むようにしてあることを特徴とする。
第3発明に係るラックピニオン式舵取装置は、前記突起及び嵌合部は前記ラック軸の軸長方向に離隔した二箇所に設けてあり、前記突条は各嵌合部の嵌合内面の周方向位置で、且つ前記ラック軸の移動時に前記ブーツが伸長する側に設けてあることを特徴とする。
【0016】
第2発明にあっては、ブーツの嵌合部を突起に嵌め込むことにより、突条が突起の外面と接触して撓むとともに、嵌合内面が突起の外面と接触することになるから、ラック軸の移動に追従して移動するブーツの嵌合部に対する長手方向一方側及び他方側の伸縮量が所定量以上になって、嵌合内面の一部が突起と接触しない状態となる場合、嵌合内面に設けた突条が弾性復帰して突起との接触状態を良好に保つことができ、嵌合部の封止性をより一層高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係るラックピニオン式舵取装置の要部の構成を示す縦断正面図、図2は要部の構成をさらに拡大した断面図、図3は要部の構成を分解した縦断面図、図4はブーツを示すもので、(a) は一部を省略した断面図、(b) は底面図、(c) は縦断側面図、図5はラック軸の底面図、図6はラックピニオン式舵取装置全体の断面図である。
【0018】
図6に示したラックピニオン式舵取装置は、一端部が舵輪(ステアリングホイール)に連動連結され、他端部にピニオン(図示せず)が設けられたピニオン軸1と、前記ピニオンに噛合するラック歯(図示せず)が設けられ、車体の左右方向に延設されたラック軸2と、該ラック軸2の周りに配置される円筒状の伸縮が可能なブーツ3と、これらラック軸2及びブーツ3間に介在されてラック軸2及びブーツ3を支持するラックハウジング4と、一対のタイロッド5,5の基端部を保持する一つのタイロッド取付体6と、該タイロッド取付体6を、前記ブーツ3及びラックハウジング4を貫通してラック軸2の中途部に取付けるねじ体7,7とを備えたセンタテイクオフ形のラックピニオン式舵取装置である。
【0019】
ラック軸2は、図6に示すように、一端部が閉止された円筒形をなす前記ラックハウジング4の内部に軸長方向への摺動が自在に支承されている。また、ラック軸2の一端部には、前記タイロッド取付体6を取付けるための一対の取付孔21,21が軸長方向に所定間隔を隔てて穿設されている。これら取付孔21,21は、図1に示すように、ラック軸2の軸長方向と交叉するように傾斜しており、その開口部に、平坦状の受座22,22が設けられている。
【0020】
ラックハウジング4は、図6に示すように、一端が閉止され、他端が開放された有底筒状に形成され、その閉止側の中途部には、これと交叉する態様にピニオンハウジング8が連設してあり、該ピニオンハウジング8の内部には、軸心回りでの回転自在に前記ピニオン軸1が支承され、該ピニオン軸1の回転がラック軸2の軸長方向の摺動に変換されるようになしてある。
【0021】
ラックハウジング4の開放側の中途部には、図6に示すように、前記タイロッド取付体6をラックハウジング4に対し移動させるための窓孔41を設け、該窓孔41の形成域周りを前記ブーツ3により覆い、ゴミ、水などの異物が窓孔41からラックハウジング4内に侵入するのを防止するようにしている。
【0022】
タイロッド取付体6は、図1に示すように、タイロッド5の基端部を挾持する一対の挾持片61,62と、これら挾持片61,62の一端を連結する連結片63と、一方の挾持片61に所定間隔を隔てて固着され、ラック軸の軸長方向と交叉する一対の筒状の突起64,64とを備え、これら突起64,64の中心部孔に対応する貫通孔65が各挾持片61,62に穿設されている。そして、これら貫通孔65及び突起64の中心部孔に前記ねじ体7を挿通して、該ねじ体を前記ラック軸の取付孔に緊締することにより、突起をラック軸の受座22,22に当接させ、タイロッド取付体をブーツの外側に配置している。
【0023】
ブーツ3は、可撓性を有する合成樹脂、ゴムなどにより筒状に形成されるもので、図4に示すように、両端部を蛇腹形状とした伸縮部31,31、及びこれら伸縮部31,31を連結する連結筒部32を有するブーツ本体30を備え、前記連結筒部32に、前記タイロッド取付体6と対向する扁平部33を設けている。また、伸縮部31,31の両端は、取付環9,9によりラックハウジング4に着脱可能に取付けられている。
【0024】
扁平部33には、図4(a)に示すように、前記突起64,64が嵌合される嵌合部34,34が設けられている。この嵌合部34,34は、前記突起64,64の外形に対応する嵌合内面34a,34aが設けられており、弾性変形が可能な筒状に形成している。即ち、突起64,64と同様、基端から先端に向かって小径となるテーパ状に形成して、嵌合内面34a,34aを突起64,64の外面に密着状に接触させて、嵌合部34,34の封止性を高めることができるようにしている。そして、該嵌合部34,34及び前記突起64,64を、図1に示すように、基端から先端に向かって離反するように傾斜させている。
【0025】
実施の形態1の前記嵌合部34,34の嵌合内面34a,34aには、周方向に連続しており、前記突起64,64の外面と接触する突条35,35を設けて、これら嵌合内面34a,34a及び突条35,35の突起64,64との接触により封止するようにしている。
【0026】
この場合、図2に示す如く突条35,35が突起64,64の外面と接触して嵌合部34,34が押し広げられるように弾性変形するとともに、この嵌合部34,34の弾性復元力により嵌合内面35a,35aが突起64,64の外面と接触することになる。このように突条35,35を設けた場合、嵌合部34,34の弾性復元力を、突条35,35を設けない場合に比べて大きくすることができる。
【0027】
突条35,35は、図3、図4に示す如く嵌合部34,34の長手方向に所定間隔を隔てて複数個設けるのであるが、一個でもよい。また、周方向に連続して設ける他、ラック軸2の移動時に伸長する側、即ち、図1においては左側の嵌合部34に対し左側部分、右側の嵌合部34に対し右側部分にのみ設けてもよい。この場合の突条35,35は、両端に向かって漸次突出高さが低くなり、嵌合内面34a,34aとの間に段差が生じないようにするのが好ましい。
【0028】
図1〜図4に示した前記嵌合部34,34は、先端部から径方向内側へ突出する鍔36,36を突設して、ブーツ3の嵌合部34,34を突起64,64に嵌合した状態でねじ体7,7を緊締することにより、鍔36,36を、前記突起64,64の先端面とラック軸2の受座22,22との間で挾圧し、該鍔36,36を弾性変形させ、嵌合部34,34の封止性をより一層高めることができるようにしている。
【0029】
また、前記ラック軸2の受座22,22に、前記鍔36,36の厚さよりも若干短い突部23,23を設けて、ねじ体7,7を取付孔21,21に緊締した場合、突起64,64を突部23,23で受止め、前記鍔36,36に過大の挾圧力が作用するのを回避し、鍔36,36の挾圧力による破損を防止するようにしている。
【0030】
尚、図において10はラック軸2の取付孔21,21間の外周面に嵌合され、ラックハウジング4の内周面に接触する略C字形の滑り軸受、11は該滑り軸受10を固定するピン、12は滑り軸受10の内側のラック軸2に設けるシールリングである。
【0031】
また、図6に示した実施の形態のラックピニオン式舵取装置は、ラック軸2の摺動を油圧により補助する動力舵取装置として構成されており、ラック軸2に補助力を加える油圧シリンダ13は、ラック軸2の一端に同軸をなして連結されたピストンロッド14を、ラックハウジング4の開放端部に連設されたシリンダチューブ15内に延設し、この延設端に取付けたピストン16を、その外周に巻装されたシールリング17を介してシリンダチューブ15摺動自在に内嵌せしめて構成されている。
【0032】
シリンダチューブ15は、ラックハウジング4との連結端の逆側を閉止してなる有底円筒形の部材であり、ラックハウジング4との連結側には、その内側にシール部材18を保持するシールホルダ19が取付けてある。ピストンロッド14は、前記シール部材18によりその中途部を液密に封止してシリンダチューブ15の内部に延設してある。
【0033】
以上の如く油圧シリンダ13は、ピストン16の両側にて液密に封止された一対の油室をシリンダチューブ15の内側に形成してなり、これらの油室への外部からの油圧送給に応じてピストン16の両側に発生する圧力差により前記ピストンロッド14を軸長方向に押し引きし、該ピストンロッド14の基端に連結された前記ラック軸2に軸長方向の移動力を加える構成となっている。
【0034】
ピストン16両側の油室は、シリンダチューブ15の外側の該当位置に夫々接続された各別の送油管20,20により、前記ピニオンハウジング8の外側に設けられた一対の送油ポート81,82に接続されている。該ピニオンハウジング8には、舵取りのための舵輪操作に伴って前記ピニオン軸1に加わる操舵トルクに応じて油圧の給排動作を行い、前記送油ポート81,82のいずれかに送出する公知の油圧制御弁が内蔵されており、送油ポート81,82への送出油圧が送油管20,20を経て油圧シリンダ13に送給され、この送給に応じて発生する油圧力がラック軸2に加えられ、前述の如く生じる舵取りが補助される構成となっている。
【0035】
以上の如く構成されたセンタテイクオフ形のラックピニオン式舵取装置のタイロッド5,5をラック軸2に取付ける場合、タイロッド5,5の基端部をタイロッド取付体6の挾持片61,62間に介在させ、これら挾持片61,62の貫通孔65、タイロッド5の基端部の貫通孔51及び突起64,64の中心部孔にねじ体7,7を挿通した状態で、突起64,64をブーツ3の嵌合部34,34に嵌合し、この状態でねじ体7,7をラック軸2の取付孔21,21に緊締することにより、嵌合部34,34を押し広げるように弾性変形させることができ、この嵌合部34,34の弾性復元力により嵌合内面34a,34a及び突条35,35を突起64,64の外面に接触させることができる。
【0036】
また、舵輪の回転操作によりピニオン軸1を介してラック軸2が軸長方向へ往復移動した場合、該ラック軸2に取付けられたタイロッド取付体6を介してブーツ3がラック軸2の移動に追従して往復移動する。
【0037】
このラック軸2の往移動により、例えばブーツ3の嵌合部34,34に対する長手方向一方側(図1の左側)の伸縮部31が縮小し、他方側(図1の右側)が伸長することになり、また、ラック軸2の復移動により、ブーツ3の嵌合部34,34に対する長手方向他方側(図1の右側)の伸縮部31が縮小し、一方側(図1の左側)が伸長することになる。
【0038】
このようにブーツ3の嵌合部34,34に対する長手方向一方側又は他方側が伸長する場合、伸長側の嵌合部34に伸縮部31の伸長力が作用して嵌合内面34aの一部が突起64と接触しない状態となる。
【0039】
しかし、実施の形態1では、嵌合部34,34の嵌合内面34a,34aに突条35,35を設けて、これら嵌合内面34a,34a及び突条35,35を突起64,64の外面に接触させるようにしており、また、突条35,35を設けた場合、嵌合部34,34の弾性復元力を、突条35,35を設けない場合に比べて大きくすることができるから、ラック軸2の移動に追従してブーツ3が移動することにより、嵌合内面34aの一部が突起64と接触しない状態となるものの、嵌合部34の弾性復元力により突条35の突起との接触状態を良好に保つことができる。従って、嵌合部34,34の封止性を良好に高めることができる。
【0040】
しかも、前記した従来例のように、予めタイロッド取付体6をブーツ3に取付けることなく、換言すると、突起64,64の外面に環状溝を設け、該環状溝にブーツ3の嵌合部を無理やり押し込んで取付ける必要がなく、単に嵌合部34,34を突起64,64に嵌合してねじ体7,7を緊締するだけの簡単な作業により、タイロッド取付体6の固定に影響を及ぼすことなくブーツ3の嵌合部34,34の封止性を高めることができる。
【0041】
そして、前記タイロッド5,5は、タイロッド取付体6を介してブーツ3と共にラック軸2に取付けられることになり、前記窓孔41の形成範囲内にて生じるラック軸2の両方向の摺動は、前記連結筒部32の両側の伸縮部31,31の伸縮によって許容される。
【0042】
以上説明した実施の形態1の突条35は、嵌合部34,34を突起64,64に嵌め込み、ねじ体7,7を緊締したとき、弾性変形により撓んで嵌合内面と重なるように形成してもよい。この実施の形態の場合、その他の構成は実施の形態1と同様であるため、詳細な説明を省略する。斯く構成することにより、ラック軸2の移動に追従して移動するブーツ3の嵌合部34,34に対する長手方向一方側及び他方側の伸縮量が所定量以上になって、嵌合内面34a,34aの一部が突起64,64と接触しない状態となる場合、突条35,35が弾性復帰して突起64,64との接触状態を良好に保つことができるから、ブーツ3の前記伸縮量が所定量以上になった場合の封止性をより一層高めることができる。
【0043】
また、実施の形態1の嵌合部34,34は、先端部の鍔36,36をなくして、図7に示す如く少なくとも先端部分を前記突起64,64の外形よりも小径に形成し、前記突起64,64に嵌合により先端部分を押し広げるように弾性変形させるときの弾性復元力を大きくするように構成してもよい。この実施の形態の場合、その他の構成は実施の形態1と同様であるため、詳細な説明を省略する。斯く構成することにより、実施の形態1と同様、嵌合部34,34の封止性を良好に高めることができる。尚、この実施の形態においても突条35を、前記したように弾性変形により撓んで嵌合内面と重なるように形成してもよい。
【0044】
尚、以上説明した実施の形態では、2本のねじ体7,7を用いてタイロッド取付体6をラック軸2に取付ける構造のものについて説明したが、その他、タイロッド取付体6のラック軸2への取付けは、図8に示すように1本のねじ体7を用いて行ってもよい。
【0045】
またタイロッド取付体6をラック軸2に取付けるためのねじ体7,7は、図1及び図6に示すように、ラック軸2の軸長方向と交差するように傾斜させた構成とする他、図9に示すようにラック軸2の軸長方向とほゞ直交する構成としてもよいのである。これら図8及び図9の実施の形態は、基本的に図1〜図7に示す実施の形態と同様であるため、共通の符号を用い、詳細な説明を省略する。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述した如く第1発明及び第4発明によれば、突起の外形に対応する嵌合内面、及び該嵌合内面に設けた突条を突起の外面と接触させて、これら嵌合内面及び突条により封止することができるから、ラック軸の移動に追従してブーツが伸縮する場合の嵌合部の封止性を良好に高めることができる。しかも、筒状の嵌合内面を突起に嵌め込むことにより封止することができるから、タイロッド取付体の取付作業を簡易に行うことができ、コストを低減できる。
【0047】
第2発明によれば、ラック軸の移動に追従して移動するブーツの嵌合部に対する長手方向一方側及び他方側の伸縮量が所定量以上になって、嵌合内面の一部が突起と接触しない状態となる場合、嵌合内面に設けた突条が弾性復帰して突起との接触状態を良好に保つことができるから、嵌合部の封止性をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るラックピニオン式舵取装置の要部の構成を示す縦断正面図である。
【図2】本発明に係るラックピニオン式舵取装置の要部の構成をさらに拡大した断面図である。
【図3】本発明に係るラックピニオン式舵取装置の要部の構成を分解した縦断面図である。
【図4】本発明に係るブーツを示すもので、(a) は一部を省略した断面図、(b) は底面図、(c) は縦断側面図である。
【図5】本発明に係るラックピニオン式舵取装置のラック軸の底面図である。
【図6】本発明に係るラックピニオン式舵取装置の全体の断面図である。
【図7】本発明に係るラックピニオン式舵取装置の別の実施の形態を拡大した断面図である。
【図8】本発明に係るラックピニオン式舵取装置の別の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図9】本発明に係るラックピニオン式舵取装置の別の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図10】従来例を示すラックピニオン式舵取装置の断面図である。
【符号の説明】
2 ラック軸
3 ブーツ
34 嵌合部
34a 嵌合内面
35 突条
6 タイロッド取付体
64 突起
7 ねじ体
Claims (4)
- 舵取り操作に応じて回転するピニオン軸のピニオンと噛合するラック歯が設けられ、車体の左右方向へ移動するラック軸に、該ラック軸の軸長方向と交叉する突起を有するタイロッド取付体が前記突起を貫通して前記ラック軸に緊締されるねじ体により取付けられており、前記ラック軸の周りに両端部が封止されるように配置され、前記突起が嵌合される嵌合部を有する伸縮が可能なブーツを設けてなるラックピニオン式舵取装置において、前記突起は、基端から先端に向かって小径となるテーパ状に形成されており、前記嵌合部は、前記突起の外形に対応させて基端から先端に向かって小径となるテーパ状に形成された嵌合内面を有し、且つ弾性変形が可能な筒状であり、該嵌合内面に周方向に延び、且つ前記突起の外面と接触する突条が設けられており、前記突起が前記嵌合部に嵌合するとき該嵌合部が弾性変形し、該嵌合部の弾性復元力により前記嵌合内面が前記突起の外面に接触するように構成してあることを特徴とするラックピニオン式舵取装置。
- 前記突条は、前記突起との接触により撓むようにしてある請求項1記載のラックピニオン式舵取装置。
- 前記突起及び嵌合部は前記ラック軸の軸長方向に離隔した二箇所に設けてあり、前記突条は各嵌合部の嵌合内面の周方向位置で、且つ前記ラック軸の移動時に前記ブーツが伸長する側に設けてある請求項1または2記載のラックピニオン式舵取装置。
- 舵取り操作に応じて移動するラック軸の周りに両端部が封止されるように配置され、伸縮が可能なブーツ本体の中間部に、前記ラック軸の軸長方向と交叉する方向に突設され、且つ基端から先端に向かって小径となるテーパ状に形成された突起を有するタイロッド取付体の前記突起が嵌合される嵌合部を設けてなるブーツにおいて、前記嵌合部は、基端から先端に向かって小径となるテーパ状に形成された嵌合内面を有し、且つ弾性変形が可能な筒状であり、該嵌合内面に周方向に延び、且つ前記突起の外面と接触すべき突条が設けられており、前記突起が前記嵌合部に嵌合するとき該嵌合部が弾性変形し、該嵌合部の弾性復元力により前記嵌合内面が前記突起の外面に接触するように構成してあることを特徴とするブーツ。
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JP02626298A JP3748700B2 (ja) | 1998-02-06 | 1998-02-06 | ラックピニオン式舵取装置及びこれに用いるブーツ |
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