JP3744708B2 - 加工コスト見積もり装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械加工製品のCADデータを利用して、その製品を製造する際の機械加工の加工コストを見積もるための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
設計時間の短縮や労力軽減のため、CAD(Computer Aided Design)の利用が進んでいる。更に、製造工程までの自動化を見据え、CADシステムで作成したデータを製造工程の工作機械等の制御に利用しようとするCAD/CAM(Computer Aided Manufacturing)システムも現れている。製造・加工のためには一般に3次元の形状データが必要だが、近年の3次元CAD技術の進歩によりソリッドモデラなどの3次元データを取り扱い可能なCADシステムが現れ、CAD/CAMの実現に寄与している。
【0003】
CAD/CAMは、例えば金型設計・製造の分野で実用化が進んでいる。特に、近年では、モデル形状を各部の寸法パラメータの変更に連動して変更することができるパラメトリックソリッドCADが利用され、設計の効率化のみならず製造工程とのデータの共用化が可能となっている。
【0004】
さて、製造コスト低減の要請に応えるため、機械加工製品設計においても、加工コスト(加工に要する時間や加工のための費用など)を意識した設計が求められている。しかしながら、現実問題として、1度の設計で加工コストの要求水準を満足させることは熟練した設計者でも困難なことである。したがって、実際には、いったんCAD等で設計を行った後、その設計図面を元に技術者が加工コストの見積もりや工程表の作成を行い、必要に応じて設計にフィードバックをかけることになる。加工コストの見積もりや工程表の作成には、機械加工に対する広範かつ正確な知識が必要とされるため、熟練した技術者が必要とされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような人手による作業では、いくら熟練者とはいっても、見積もり結果が得られるまでに数日という時間を要する。このため、見積もりに応じて設計の修正を繰り返して適切な設計を得るには、膨大な時間がかかることになりかねない。設計現場に日程的な余裕が与えられない場合は、見積もり結果を設計に反映させることは困難となる。また、人手による見積もりを続けるには、妥当な見積もりができる熟練者を継続的に養成し、維持していく必要がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、CAD/CAMシステムの製品モデルの情報から、その機械加工に必要な加工コストを自動的に見積もるための装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、機械加工製品のCADモデルにおける各加工対象面に対し、粗さ属性を設定する粗さ設定手段と、それら各加工対象面に設定された粗さ属性とに基づき、前記製品の加工対象面群に関する加工コストを算出するコスト見積もり手段とを有する。
【0008】
切削や研磨などにより製品を形成する機械加工では、仕上げ粗さ(精度)が加工コストに大きな影響を与える。本実施形態では、CADモデルの各加工対象面に粗さ属性を設定することにより、その粗さ属性から加工コストを自動計算することができる。なお、ここでいう加工コストは、加工に要する時間、加工に要する費用の両方の概念を含むものとする。
【0009】
本発明では、コスト見積もり手段は、前記CADモデルにおける隣接する加工対象面同士をグループ化することにより、前記CADモデルに含まれる加工対象面群を1以上の面グループに分けるグループ化手段と、グループ化手段で求められた各面グループごとに、当該面グループが成す形状に基づき当該面グループを所定の形状タイプのいずれに属するかを判定するタイプ判定手段と、形状タイプと粗さ属性との組合せに応じた加工コスト算出ルールを記憶したコストデータベースと、前記各面グループごとに、前記タイプ判定手段で求めた当該面グループの形状タイプと、その面グループを構成する各面の粗さ属性との組合せに対応する加工コスト算出ルールを前記コストデータベースから求め、このルールに基づき当該面グループの加工コストを算出する個別コスト算出手段とを含む。
【0010】
本発明では、加工部位の形状によって加工の内容(用いる工具や手順)が異なり、これが加工コストに影響を与えることを考慮して、粗さ属性だけでなく、形状も考慮して加工コストを求めるようにした。この態様では、形状タイプと粗さとの組合せごとに加工コスト算出ルールを定め、これをデータベース化しておく(コストデータベース)。加工部位は、隣接する加工対象面のグループとして規定される。例えば、この面グループに属する面の数や、それらの配置関係などにより、形状タイプを判定することができる。そしてこの形状タイプと粗さ属性から、上記データベースからコスト算出ルールを特定することができ、このルールを用いてその面グループの加工コストを求めることができる。なお、加工コスト算出ルールとしては、例えば単位面積当たり、あるいは単位加工時間当たりのレートを用いることができる。例えば、単位面積当たりのレートを用いる場合は、そのレートに当該面グループの面積を乗じれば、加工コストが求められる。
【0011】
なお、工作機械では、ワークのセットの仕方などで主加工方向が定まり、この主加工方向について加工速度が最大となる。これに対し、加工部位を形成する際の加工方向が主加工方向と異なる場合には、加工速度が遅くなる。特に加工方向が主加工方向に対して斜めになる場合は、加工速度はかなり遅くなる。このようなことを考慮して、主加工方向に対する面グループの向きに応じて加工コスト算出ルールを細分化することも好適である。
【0012】
また、同じ加工方法で加工でき、製品に比較的頻繁に現れる規格的な形状の部位は、その部位の種類が決まれば加工コストが定まる。そこで、それら規格的な部位を種類ごとに分類し、各種類ごとに加工コストの算出ルールをデータベース化し、設計段階でCADモデルの特殊加工部位にその種類を属性として設定しておけば、そのデータベースから特殊加工部位の加工コストを求めることができる。加工対象面の粗さ属性をベースとする上述の方式は、どのような形状の部位にも適用可能であるという利点があるが、計算処理はこの特殊加工部位方式の方が簡便である。したがって、両者の方式を組み合わせることにより、効率のよい見積もり処理を実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。以下では、プレス加工用金型の設計における加工コスト見積もりシステムを例にとって説明する。しかしながら、以下の説明から明らかなように、本実施形態の手法は、プレス加工用金型のみならず、切削、研磨など機械加工によって製造する製品一般に適用可能である。
【0014】
[システム構成]
図1は、本発明に係る加工コスト見積もりシステムの概略構成を示す機能ブロック図である。図1において、CADシステム10は、モデル形状をパラメトリックに変更可能なソリッドモデラである。このCADシステム10を用いて作成された金型のCADデータ12は、金型の形状を表すソリッドモデルのデータと、そのソリッドモデルの各構成要素に設定された属性データを含んでいる。
【0015】
<加工属性>
周知のように、ソリッドモデルでは、1つの製品(オブジェクト)を構成する構成要素を、頂点、辺(エッジ)、面、シェル(空間を囲む領域。複数の面で規定される)といった幾何学概念の階層ごとに整理し、管理している。各構成要素には一意的な識別情報(以下「ID」と呼ぶ)が付与され、このIDにより各構成要素を指定、参照可能となっている。
【0016】
CADシステム10は、このようなオブジェクトの構成要素に対して、各種の属性データを設定するための機構を有する。構成要素には様々な種類の属性データが設定可能であるが、本実施形態の目的である機械加工のコスト見積もりに関係するのは、粗さ属性と特殊加工部位タイプ属性である。
【0017】
粗さ属性は、面を加工するときの目標となる面の粗さであり、仕上げ精度とも呼ばれる。したがって、粗さ属性は面に対して設定される。ただし、粗さ属性は、ソリッドモデルの必ずしもすべての面に設定されるわけではなく、加工対象の面にのみ設定される。金型の場合、鋳物から切削、研磨等の機械加工により各面を形成していくが、そのような機械加工を行う面についてのみ粗さ属性を設定する。
【0018】
特殊加工部位タイプ属性は、ソリッドモデルの各構成要素のうち、予め定められた特殊加工部位タイプに該当する構成要素に付与される属性である。
【0019】
金型には、ガイドポスト穴やプレス取付座など、形状・サイズが決まっている規格的な部位が設けられる。このような規格的な部位は、加工の内容が定まっており、加工に要する時間等も分かっている。本実施形態では、このような規格的な部位を特殊加工部位と呼び、ガイドポスト穴やプレス取付座等のようにタイプ分けしている。CADシステム10における設計において、そのような規格的な部位を設ける場合には、その部位の属性データとして、ガイドポスト穴等の特殊加工部位タイプを設定する。
【0020】
図2は、CADデータ12に含まれる粗さ属性のデータ内容の一例を示す図である。このデータには、加工対象面ごとに、CADデータにおけるID(面ID)と粗さ属性の設定値(▽、▽▽など)が設定されている。図3は、CADデータ12に含まれる特殊加工部位属性のデータ内容の一例を示す図である。このデータには、各部位ごとに、CADデータにおけるID(部位ID)と特殊加工部位タイプ(ガイドポスト穴など)が設定されている。なお、ここでは、粗さ属性と特殊加工部位属性を別々の図に示したが、これは必ずしもCADデータ12において粗さ属性と特殊加工部位属性とが別々に保持されていることを意味するものではなく、これらはCADデータにおける各構成要素の属性データ領域にまとめて保持されていてもよい。
【0021】
<加工費見積もり処理部>
加工費見積もり処理部14は、このような粗さ属性、特殊加工部位属性が設定されたCADデータを元に、加工データベース(以下「データベース」を「DB」と略す)20を参照して、金型の加工コスト(加工時間及び加工費)の見積もりを行う。加工DB20には、形状タイプ判定ルールDB21、面加工部位DB23、特殊加工部位DB25、作業コードDB27、及び加工単価DB29の5種のDBが含まれる。この加工費見積もり処理部14の見積もり処理では、粗さ属性の設定されている面(すなわち加工対象面)群と、特殊加工部位属性が設定されている部位群とについて、それぞれ加工コストを算出し、その合計を金型の全体的な加工コストとする。
【0022】
(1)加工対象面群の加工コスト
加工対象面面群の加工コストは、基本的には、各面の粗さ属性と面積から求められる。これは、機械加工においては粗さ(仕上げ精度)の値に応じて単位面積当たりの加工に要する単価(時間や費用)が異なることを考慮したものである。より厳密には、加工部位の形状やサイズ(面積あるいは切削する体積)、あるいは工作機械の主たる加工方向(主加工方向と呼ぶ)に対する加工部位の向き、あるいは設計対象である金型の種類(上型、下型、パッドなど)によって、用いる刃具や加工手順(工作機械の動かし方など)、工作機械が異なり、それがコストの差につながるので、それらの条件も考慮する。
【0023】
加工部位は、隣接する加工対象面の集まりとして規定される。そのような隣接加工対象面の集まりを面グループと呼ぶ。加工部位の形状とは、この面グループの形状である。本実施形態では、この面グループの形状を、予め定めた複数の形状タイプに分類する。これは、金型製作において現れる形状を、その形状を形成するのに必要となる加工方法なども加味して分類したものである。
【0024】
例えば形状タイプには、図4に示す「壁なし面」や図5に示す「彫り込み」を初めとして様々なタイプが存在する。形状タイプの判定は、その面グループを構成する面の数やそれら各面のトポロジカルな配置関係、各面の形状やサイズなどから定められる。例えば、ある面グループの面の数が1(すなわち隣接面なし)であり、その面の形状が平面であれば、その面の形状タイプは「壁なし面」となる。また、図5に例示した「彫り込み(3面)」という形状タイプは、2つの面が交わる角の部分を四角く彫り込んだときにできる形状であり、ある面グループで1つの面に対して隣接する垂直面が3つあった場合には、この面グループは「彫り込み(3面)」という形状タイプに分類される。このような形状タイプの判定のためのルールが形状タイプ判定ルールDB21に登録されており、加工費見積もり処理部14ではこのDB21を参照して各面グループの形状タイプを判定する。
【0025】
さて、本実施形態では、加工部位の形状タイプ、主加工方向に対する向き、仕上げ粗さ及びサイズ(面積)に基づき、加工部位を複数の加工タイプに分類し、各加工タイプごとに単位面積当たりの加工時間(単位加工時間と呼ぶ)を定め、これをデータベース化しておく。このDBが面加工部位DB23である。ある加工部位(面グループ)の加工時間を求めるには、その加工部位の形状、向き、仕上げ粗さ、サイズから単位加工時間を求め、その単位加工時間にその加工部位の面積を乗じればよい。
【0026】
図6に、面加工部位DB23のデータ内容の一例をテーブル形式で示す。このテーブルでは、各加工タイプにはそれぞれ識別のための番号が割り当てられており、各加工タイプは、形状タイプ、主加工方向に対する「向き」、仕上げ粗さ、サイズ(面積)の4つのファクタの組合せによって分類されている。これら4つのファクタを定めると加工の種類(すなわち加工に用いる刃具や加工手順など)が定まってくるため、それに応じて単位面積当たりの加工時間(単位加工時間)を定めることができる。
【0027】
すなわち、形状タイプは、加工部位の形状であり、加工の難易に大きな影響を与える。この点では、主加工方向に対する「向き」も同様である。ここでいう「向き」は、その加工部位を加工する際の加工の方向の、主加工方向に対する向きである。例えば、壁なしの面(図2参照)の場合、面に垂直な方向が加工の方向であり、この方向が主加工方向と同じならばその面は「正面」、その方向が主加工方向に垂直ならば「側面」になる。また、加工部位がドリル穴や通し穴などの穴の場合は、穴の中心軸の方向が加工方向であり、これの主加工方向に対する向きが、ここでいう「向き」である。加工部位の加工方向が主加工方向に一致する場合がもっとも加工が容易であり、加工に要する時間が短い。そして、加工方向が主加工方向に垂直な場合が、一般にその次に加工が容易である。そして、加工方向が主加工方向に対して斜めを向いている場合が、工作機械の制御がもっとも複雑になり、加工に要する時間ももっとも長くなる。
【0028】
仕上げ粗さは、用いる刃具やその送り速度、加工手順などに影響を与えるので、加工時間にも影響を与える。当然ながら、仕上げ粗さが粗いほど、単位加工時間は短くなる。また、加工部位の面積が広い場合と狭い場合とで、用いる刃具や加工条件などが変わることは周知であり、加工部位のサイズも、単位加工時間に影響を与える。
【0029】
図6では、単位加工時間としては、単位面積(例えば100cm2)当たりに要する加工時間を「時間」単位で表している。図6のテーブルによれば、例えばある加工部位(面グループ)について、形状タイプが「壁なし」、向きが「正面」、仕上げ粗さが「▽▽」、サイズが「100未満」と分かった場合は、その部位の加工の際の単位加工時間は0.08時間であることが分かる。これにその加工部位の面積(例えば、その加工部位を構成する面群の総面積)を乗じることにより、その部位を加工するのに要する加工時間が求められる。そして、すべての面グループについて求めた加工時間を総和すれば、その製品の加工対象面群全体についての加工時間が求められる。
【0030】
なお、以上では、加工タイプの分類を4つのファクタにより行ったが、それら4つのファクタのすべての組合せを考える必要はなく、金型なら金型の設計に現れる組合せのみを考えればよい。例えば、斜めに穴を彫り込むことがない製品ならば、形状「穴」について「斜め」という向きは考慮しなくてよい。したがって、そのような組合せに応じた加工タイプは面加工部位DB23に登録しなくてもよい。
【0031】
また、以上に示した4つのファクタによる加工タイプの分類はあくまで一例であり、様々な変形が可能である。例えば、それら4つのファクタに加え、ワークの材質によって更に分類することも可能である。材質に応じて刃具その他の加工条件が変わってくるので、単位加工時間も変わってくるからである。材質の異なる複数の製品を設計する場合には、材質も考慮することが必要となる。
【0032】
以上、加工時間について説明したが、加工費の場合は、更にもう一つファクタが加わる。それは、設計対象である金型部品の種類(上型、下型、パッドなど。この分類を型部品タイプとよぶ)である。すなわち、型部品タイプが異なれば用いる工作機械やワークのセットの仕方などの諸条件が異なり、これが加工費の差につながる。例えば、上型や下型などの比較的大きな型部品の場合は、大型のNC工作機械でほぼ自動で加工されるのに対し、小さな型部品の場合は小型の工作機械でマニュアル操作で加工されることが多い。ここで、前者と後者とで同じ加工タイプの部位を加工する場合を考える。この場合、加工時間は、切削、研磨等、物理的な処理に要する時間なので、加工タイプ(加工の内容)が同じならば工作機械が違ってもそのレート(単位加工時間)はほとんど変わらない。これに対し、加工費の場合は、用いる工作機械の種類、特に自動であるかマニュアル操作が必要か、によってそのレート(加工単価)が変わってくる。すなわち、後者は前者よりも人件費が多くかかり、これが加工単価に差を生む。そこで、本実施形態では、加工タイプと型部品タイプにより作業の種類を分類し、作業の種類ごとに加工単価を定めている。この作業種類の分類のための情報を登録したのが作業コードDB27であり、作業の種類ごとの加工単価を登録したのが加工単価DB29である。
【0033】
図7は、作業コードDB27のデータ内容をテーブル形式で表した図である。作業コードは、作業の種類ごとに一意的に割り当てたコードであり、これは本システムの後流であるCAMシステムでも利用できるように定めることが好ましい。図から分かるように、加工タイプと型部品タイプとの組合せごとに、作業コードが定められている。型部品タイプは、型部品の種類ごとに割り当てられたコードであり、例えば、型部品タイプ「52」及び「62」は、それぞれ上型及び下型を示す。加工タイプが「001」(壁なし、正面・・・)で加工対象が上型「52」又は下型「62」の場合、作業コードは共に「J22」となる。これは、上型と下型とでは、加工タイプ「001」については同じ工作機械、工作条件で工作できるので、作業の内容が同じとなるからである。これに対し、同じ加工タイプ「001」でも型部品タイプがパッド「32」となると、加工に用いる工作機械又は工作条件が変わってくるので作業の種類が変わり、異なる作業コード「DT」に分類されることになる。
【0034】
図8は、加工単価DB29のデータ内容を示した図である。図示のように、加工単価DB29には、各作業コードごとに、加工単価(すなわち単位時間当たりの加工費)が登録されている。
【0035】
したがって、ある加工部位(面グループ)の加工費を求めるには、その部位の加工タイプと型部品タイプから作業コードDB27を参照して作業コードを求め、次にその作業コードに対応する加工単価を加工単価DB29から求め、この加工単価を、前述の方法で求めた当該加工部位の加工時間に乗算すればよい。
【0036】
なお、以上のように、加工費を求めるのに、単位時間当たりの加工単価を用いたのは、加工費は人件費等、時間をファクタとする費目を含むためである。これに対し、加工時間は、純粋に工作機械による物理的な処理にかかる時間なので、加工内容(すなわち加工タイプ)と加工の量(すなわち加工面積)から定めることができる。
【0037】
また、以上では、加工タイプごとに単位加工時間を定めたが、これは加工タイプが共通していれば、用いる工作機械の種類等の条件が異なっていても単位面積当たりの加工時間がほぼ同じになるからであった。これに対し、もし同じ加工タイプでも工作機械の種類によって単位加工時間が大きく変わるような場合があれば、その場合には、単位加工時間は加工タイプごとではなく、作業コードごとに定めることになる。このような場合も、本発明の範囲に含まれる。
【0038】
(2)特殊加工部位群の加工コスト
次に、特殊加工部位群の加工コストの求め方を説明する。
【0039】
上記の加工対象面群の加工コストは、加工時間については、部位の形状や向き、仕上げ粗さ、サイズなどで決まる加工タイプと加工面積により定め、加工費については、加工タイプと型部品タイプにより定まる作業コードと加工時間から定めた。このように、加工対象面群の加工コストを求めるには、加工対象面をグループ化して各面グループごとに形状を判定し、更にこの形状や仕上げ粗さなどの条件から加工タイプを判定するなどの多くの手順が必要であった。
【0040】
これに対し、特殊加工部位は、形状、サイズその他の加工条件等が定まっているので、処理をもっと単純化できる。例えば、「ガイドポスト穴」というタイプの特殊加工部位であれば、その形状、サイズ、仕上げ粗さ、向きが決まっているので、その部位1個当たりの加工時間も分かる。このような特殊加工部位のタイプごとに、その加工時間(単位面積当たりではなく、当該部位1個当たりである)をデータベース化しておけば、特殊加工部位のタイプさえ分かれば、それから加工時間を求めることができる。このデータベースが、図1の特殊加工部位DB25である。
【0041】
図9に、特殊加工部位DB25のデータ内容の一例を示す。図示のように、特殊加工部位DB25には、各特殊加工部位タイプごとに1個当たりの加工時間が登録されている。なお、このDBはもっと詳細にすることもできる。例えば、ガイドポスト穴に複数のサイズがある場合には、各サイズごとに別々のタイプと捉え、それぞれ加工時間を登録しておけばよい。
【0042】
したがって、CADデータ12に特殊加工部位が含まれていれば、その部位の特殊加工部位タイプから、特殊加工部位DB25を参照することにより、加工時間を求めることができる。同じタイプの特殊加工部位が複数あれば、そのタイプの加工時間を個数分だけ累積すれば、それら同タイプの特殊加工部位群の総加工時間となる。
【0043】
以上の説明から分かるように、特殊加工部位タイプは、前述の面加工部位DB23(図6参照)の加工タイプと加工部位の面積とを組み合わせたものと等価であると言える。特殊加工部位について、前述の加工対象面群のコスト計算と同様の方法を適用することももちろん可能であるが、本実施形態では、できるだけ見積もり処理時間を低減するため、規格化された部位についてはより簡単に計算ができるようにしたのである。
【0044】
特殊加工部位群の加工費については、前述の加工対象面群の場合と同様、型部品タイプを考慮する必要がある。すなわち、特殊加工部位群の場合も、加工対象面群の場合と同様、加工のタイプ(すなわち特殊加工部位タイプ)と型部品タイプとにより、作業コード分類を行い、作業コードごとに加工単価を定める。このようにする理由は、前述の加工対象面群のコスト計算の場合と同様なので、説明を省略する。
【0045】
したがって、本実施形態のシステムでは、特殊加工部位群についても、図7と同様のテーブルが作業コードDB27に登録されており(この場合特殊加工部位タイプが図7の「加工タイプ」に対応する)、それら各作業コードに対応する加工単価が加工単価DB29に登録されている。なお、ここでは、分かり易くするため、特殊加工部位タイプを「ガイドポスト穴」などの名称で示したが、このタイプは、当然ながら、加工タイプと同様識別番号で表してもよい。
【0046】
作業コードDB27と加工単価DB29から求めた加工単価を、前述の方法で求めた加工時間に乗じることにより、加工費を求めることができる。すべての特殊加工部位について、そのようにして求めた加工費を総和することにより、前特殊加工部位についての加工費が求められる。
【0047】
[処理手順]
次に、フローチャートを用いて、本実施形態における加工コストの見積もり処理の手順を説明する。
【0048】
<全体>
まず、図10を参照して、全体的な処理手順を説明する。
【0049】
まず、パラメトリックに形状変更が可能なCADシステム10により、設計者が金型の形状設計を行う(S10)。次に、このCADシステム10上で、設計者が、形状設計によりできたソリッドモデルに対し、粗さ属性及び特殊加工部位属性の設定を行う(S12、S14)。粗さ属性は、モデルの面のうち、加工対象の面に対して設定し、その属性値は仕上げ粗さのレベルである。特殊加工部位属性は、所定のいずれかの特殊加工部位タイプに該当する部位に対して設定し、その属性値は特殊加工部位タイプである。このように設定された属性データは、CADデータ12に保持される。ここまでがCADシステム10における処理である。
【0050】
形状設計、及び粗さ属性、特殊加工部位属性の設定が完了すると、加工費見積もり処理部14における見積もり処理が開始される。この見積もり処理においては、まずオペレータが、型部品タイプや主加工方向などの見積もりの前提条件を入力する(S16)。すなわち、これから見積もりを行う金型が、上型、下型、パッド等のいずれの型部品タイプに該当するのか、及び加工作業の際の主加工方向はそのソリッドモデルに対してどの方向なのか、等の条件を入力するわけである。型部品タイプや主加工方向は、CADデータ(形状及び各種属性データ)だけから自動判定することができないので、人手による入力を行う。なお、もちろん、これら見積もり条件は、CADシステム10にて予め設定しておいてもよい。
【0051】
見積もり条件の入力が完了すると、見積もり処理が開始される。本実施形態では、粗さ属性の設定された面群(すなわち加工対象面群)についての見積もりと、特殊加工部位属性が設定された部位群についての見積もりとを、概念上、分けて行う。ここでは、前者を面加工見積もり処理(S20)と呼び、後者を特殊加工見積もり処理(S30)と呼ぶ。これらS20及びS30の処理の詳細については、後に改めて説明する。いずれにしても、S20によれば粗さ属性の設定された面群についての総加工費を求めることができ、S30によれば特殊加工部位属性が設定された部位群についての総加工費を求めることができる。これらS20及びS30の処理は、全く独立に行うことができるので、それら処理の実行順序は図示のものに限られない。
【0052】
面加工見積もり処理(S20)と特殊加工見積もり処理(S30)の両方が完了すると、それら両者の見積もり結果を統合して、金型全体の加工費を求める(S40)。これにより、金型を製作するのに機械加工処理に要する総費用が分かる。これが金型の加工費として出力される。
【0053】
なお、本実施形態のシステムでは、この総加工費に加え、金型製作のための工程表を作るための原データを出力する。この工程表用原データは、単純には、加工部位ごとの作業コードと加工時間との組合せを羅列したものでよい。特殊加工部位については、同じタイプのものが複数あっても定型的な処理が繰り返されるだけなので、加工部位ごとと言うよりはタイプごとに作業コードと加工時間を集計すればよい。作業コードや加工時間の情報は、見積もり処理の過程で求めることができるので、これを工程表用原データとして用いるのである。後流の工程設計では、この原データを見ながら、設計者が適切な作業の順序を定め、工程表を作成することになる。
【0054】
このような一連の手順により、金型を加工する際の加工費及び工程表用原データ30(図1参照)が求められる。
【0055】
以上、本実施形態の見積もり処理の全体の流れを説明した。このような処理により、金型の総加工費が求められると、これを目標額と比較することにより、与えられたCADモデルが加工費の要件を満足する設計であるか否かが判定できる。
【0056】
では、次に、面加工見積もり処理(S20)及び特殊加工見積もり処理(S30)の詳細を順に説明する。
【0057】
<面加工見積もり>
面加工見積もり処理(S20)の詳細な手順は、図11に示される。この手順では、まずCADデータ12から加工対象面の抽出を行う(S202)。加工対象面は、粗さ属性の設定された面である。加工費見積もり処理部14は、CADデータ12(ソリッドモデル)の各面の属性データを調べ、粗さ属性の設定された面を加工対象面として抽出する。
【0058】
次に、加工費見積もり処理部14は、抽出した加工対象面群を、面同士の隣接関係に着目してグループ化する(S204)。この処理では、抽出した各加工対象面ごとに、CADデータ12を参照して、その加工対象面に隣接する加工対象面を抽出していく。これにより、各加工対象面ごとに、その面(基準面と呼ぶ)と、その面に隣接する加工対象面(隣接面と呼ぶ。無い場合もあれば、1個又は複数ある場合もある)群からなる面グループが求められる。
【0059】
このS204の段階では、各加工対象面ごとに隣接面群をグループ化するので、同じ面が複数の面グループに含まれる場合がある。この段階の面グループを、抽出面グループと呼ぶ。図12は、抽出面グループ群のデータ内容の一例を示す図である。この例では、各面グループごとに基準面のID(CADデータにおけるその面のID)が示され、それに隣接する隣接面のIDが列挙されている。S202で抽出された各加工対象面ごとに隣接面の面グループを求めるので、各加工対象面はいずれかの面グループの基準面となっている。例えば、図5に示した「彫り込み3面」の加工部位を構成する加工対象面の面グループを例にとって考えてみる。図5の各面に括弧書きで示した数字は、その面のIDを示す。この部位で、ID45の面を注目したときの面グループがグループ1である。この場合、ID45の面が基準面であり、ID62、75、76の各面が隣接面となる。これに対し、ID62の面に注目した場合、グループkが形成される。この場合、ID62の基準面に対し、隣接面はID45及び75の面のみとなる(ID76の面はID62の面から見て隣接面ではない)。
【0060】
このように、各加工対象面に着目して隣接面のグループを形成していくと、1つの面が複数の面グループに属する場合が出てくる(図12のグループ1とグループkを参照)。そこで、本実施形態では、同一の面が所属する面グループの間引きを行い、1つの面が1つの面グループのみに属するようにする(S206)。これは、本実施形態では、1つの面グループを、同じ加工内容を施す1つの加工部位とみなすからである。S206の間引き処理は、各種の条件に基づき行う。
【0061】
その条件の一つとしては、面グループを構成する面の数の多いものを残すという条件がある。この条件は、前述の図12のグループ1とグループk(対応部位の形状は図5参照のこと)との比較から理解することができる。すなわち、グループ1とグループkとは、ID76の面が含まれるか否かが異なるだけで、その他の構成面は全く同じである。この場合、上記条件によりグループkが間引かれることになる。図5の形状を加工しようとすれば、ID76の面だけ他の3面と別に加工するわけにはいかない(仮にそのようにしたとすれば、非常に効率が悪い)ことから、上記条件の妥当性は理解されよう。
【0062】
また、別の間引き条件として、主加工方向に対する基準面の向きに関する条件を用いることもできる。この条件は、基準面の法線方向が主加工方向に一致する面グループを最高の優先順位、主加工方向に垂直なものを優先順位第2位、主加工方向に対して斜め(平行でも垂直でもない)場合を優先順位第3位として、もっとも優先順位の高い面グループのみを残すという条件である。この条件は、構成面が全く同じ面グループが複数あった場合に、そのいずれを残すかを決める条件として用いることができる。例えば、図5の形状の場合、ID45の面を基準面とした面グループ(図12のグループ1)と、ID75を基準面とした面グループとは、面の数もそのグループを構成する面も全く同じである。このような場合、グループ1は、基準面(ID45)の法線方向が主加工方向に一致する(すなわち最高優先順位を持つ)ので、これが選択され、ID75の面を基準面としたグループは間引かれることになる。
【0063】
このように、主加工方向に対する基準面の向きを間引き条件に考慮するのは、もっとも加工コストの低い(加工時間、費用が少ない)ものを残すためである。すなわち、図5に示した形状は、主加工方向に沿って加工を進めても、ID75の面に垂直な方向に沿って加工を進めても、加工することはできるが、主加工方向に沿って加工する方が加工速度が速い(さらに言えばワークのセットのし直し等の作業も発生しにくい)ので、その方向に合致した面グループを選択するわけである。
【0064】
このような間引き条件に従った間引き処理が完了すると、残った各面グループ(間引き後面グループと呼ぶ)ごとに、形状タイプの判定を行う(S208)。この判定は、形状タイプ判定ルールDB21の諸ルールに従い、前述した手順で行われる。この処理により、各面グループ(すなわち加工部位)ごとに、その形状タイプが決まる。また、このとき、同時にその面グループを構成する各面の粗さ属性値から、その面グループの仕上げ粗さが求められる。また、各面グループの基準面の法線方向と主加工方向との関係から、その面グループの「向き」も決定できる。
【0065】
形状タイプが判定されると、次に、各間引き後面グループごとに、加工面積を求める(S210)。この加工面積は、例えば、その面グループを構成する面群の総面積などである。加工面積は、CADデータ12の各面の情報から、求めることができる。なお、形状タイプの判定(S208)と加工面積の算出(S210)は、いずれを先に行ってもよい。
【0066】
各間引き後面グループの形状タイプ及び加工面積が求められると、それら各グループの加工時間を求める(S212)。加工時間は、前述のように、形状タイプ、向き、仕上げ粗さ、加工面積(これらはこれまでのステップで求められている)などのファクタから面加工部位DB23にて単位加工時間を求め、その単位加工時間に加工面積を乗じることにより求めることができる。なお、このステップでは、各面グループの加工時間を求める過程で、それら各面グループの加工タイプが特定できる。
【0067】
各間引き後面グループの加工時間及び加工タイプが求められると、次にそれら各面グループに作業コードを割り当てる(S214)。このステップでは、前述したように、各面グループの加工タイプと、設計対象の型部品のタイプ(上型、下型など)とから、作業コードDB27を参照して、各面グループに割り当てる作業コードを決定する。
【0068】
作業コードの割り当てが終わると、各間引き後面グループの作業コードとS212で求めたそれら各面グループの加工時間から、加工費を算出する(S216)。このステップでは、各間引き後面グループごとに、加工単価DB29からそのグループの作業コードに対応する加工単価を求め、この加工単価をその面グループの加工時間に乗算する。これにより、個々の面グループの加工費が求められる。これら個々の面グループの加工費を総和することにより、設計対象の金型全体についての加工費(ただし特殊加工部位に関する費用は除く)が求められる。
【0069】
このような処理手順により、粗さ属性が設定された面群の加工に要する総加工費が求められる。また、この処理手順の副産物として、各面グループごとに作業コードと加工時間とが分かるので、これらの情報を例えばリスト化して出力すれば、これを工程表作成の基礎となる原データとして用いることができる。
【0070】
<特殊加工見積もり>
次に、特殊加工見積もり(S30)の詳細な手順を図13を参照して説明する。
【0071】
この手順は、CADデータ12から特殊加工部位属性の設定された部位を抽出する(S302)ことから始まる。特殊加工部位属性には、「ガイドポスト穴」などの特殊加工部位タイプが設定されており、このステップでは、各特殊加工部位ごとにそのタイプが求められる。
【0072】
次に、各特殊加工部位のタイプの情報に基づき、特殊加工部位DB25を参照して、加工時間を算出する(S304)。特殊加工部位DB25は、各特殊加工部位タイプごとの1個当たりの加工時間の情報を保持しているので、これを参照すれば各特殊加工部位ごとの加工時間が分かる。なお、特殊加工部位は定型的な形状であり、タイプが同じであれば加工内容が全く同じであるので、もし設計対象の金型に同じタイプの特殊加工部位が複数あれば、それらは続けて一気に加工した方が効率的である。そこで、このステップでの加工時間は、各特殊加工部位タイプごとに集計する。すなわち各タイプごとに、1個当たりの加工時間とその個数を乗算することにより、各タイプごとの加工時間を求める。
【0073】
加工時間が求められると、次に特殊加工部位タイプと設計対象の型部品のタイプとから、作業コードDB27を参照して、各特殊加工部位タイプに割り当てる作業コードを決定する(S306)。この処理は、前述の面加工見積もりのS214と同様の処理内容でよい。
【0074】
そして、このようにして作業コードの割り当てが終わると、各特殊加工部位タイプの作業コードとS304で求めたそれら各タイプの加工時間から、加工費を算出する(S308)。このステップでは、各特殊加工部位タイプの作業コードから、加工単価DB29を参照して、そのコードに対応する加工単価を求め、この加工単価を当該タイプの加工時間に乗算することにより、個々のタイプについての加工費を求める。そして、このようにして求めた加工費をすべての特殊加工部位タイプについて総和することにより、特殊加工部位群の総加工費を求めることができる。なお、この手順でも、総加工費算出の副産物として、工程表用原データを求めることができる。
【0075】
以上説明した面加工見積もり処理(S20)及び特殊加工見積もり処理(S30)の結果を統合することにより、設計対象の金型の総加工費を求めることができる。
【0076】
[金型設計支援統合システム]
以上では、加工コスト見積もりのためのシステムを説明した。次に、この見積もりシステムを組み込んだ金型設計支援統合システムについて説明する。
【0077】
図14は、金型設計支援統合システムの全体像を表す機能ブロック図である。このシステムにおいて、加工費見積もり処理部14及び加工DB20が、既に説明した加工コスト見積もりシステムを構成している。この統合システムは、その加工コスト見積もりシステムの他に、購入費の見積もりシステムを有し、金型の製作に必要な総費用(型費と呼ぶ)を求めることができる。
【0078】
すなわち、金型では、主要部分は鋳物等に機械加工を施すことにより製作されるが、その他に取り付け具など、細々とした規格的な部品が必要となる。これらの部品は、既製品を購入することによりまかなうことができる。金型が予算内で製作できるか否かは、加工費だけでなく、購入費も含めた型費で判断する必要がある。この統合システムは、このような型費のチェックを行うための装置である。
【0079】
この統合システムにおいて、型費見積もり部13は、加工費の見積もり機構と、購入費の見積もり機構とから構成される。前者は、CADシステム10、CADデータ12、加工費見積もり処理部14及び加工DB20により構成され、その手順は既に説明したとおりなので、ここでは説明を省略する。
【0080】
一方、購入費の見積もりは、購入費見積もり処理部15が購入品DB40を参照して行う。購入品DB40には、既製部品それぞれの単価が登録されている。購入費見積もり処理部15は、CADデータ12から各既製部品の呼び名を検出し、その呼び名に基づいて、購入品DB40から各既製部品の単価を求め、すべての部品についてその単価を総和することにより、総購入費を求める。なお、部品によっては、供給元に追加加工を要請する場合があるので、そのような追加加工の費用は、例えばオペレータが推算して購入費見積もり処理部15に入力し、これが総購入費に反映される。
【0081】
このようにして求められた総加工費、総購入費が型費チェック処理部16で合計され、型費が求められる。そして、型費チェック処理部16は、求められた型費と、予め登録されていた型費目標とを比較する。そして、型費チェック処理部16は、型費が型費目標の許容範囲で収まっている場合は、CADデータ12が示す設計が目標を満足するものと判断し、部品明細表や工程表用原データ、型費などの結果データ50を出力する。逆に、求めた型費が型費目標の許容範囲を超える場合は、CADシステム10に対し、CADデータ12を修正すべき旨のメッセージを送る。
【0082】
このような統合システムにより、金型設計が目標予算を満足するものかどうかを素早く判定することができ、予算内で収まるよう、設計にフィードバックをかけることができる。
【0083】
ここで、CADシステム10は、パラメトリックに形状変更が可能なソリッドモデラなので、目標予算を超過した場合は、一部の寸法を変えることにより容易に設計を変更することができる。
【0084】
[その他]
以上、本発明に係る加工コスト見積もりシステム及びこのシステムを組み込んだ金型設計支援統合システムの実施形態について説明した。
【0085】
以上説明したように、本実施形態では、CADのモデルの加工対象面に粗さ属性を設定し、その粗さ属性の情報に基づき加工コスト(加工時間や加工費)を求める。特に、本実施形態では、各加工部位の形状タイプと粗さ属性に着目し、各部位に必要な加工内容(加工タイプ)をデータベース化したことにより、CADデータから自動的に各加工部位の加工タイプを判定することが可能となった。判定した加工タイプに応じて加工時間や加工費のレートが定まるので、そのレートから加工時間、加工費を求めることができる。なお、本実施形態では、加工費のレート(加工単価)は、加工内容だけでなく型部品タイプも考慮して定めた。これにより、製作対象の特徴により、用いる工作機械が異なってくる場合などにも対応した、きめ細かい加工費計算が可能になる。
【0086】
また、本実施形態では、定型的な加工内容で形成することができる部位(特殊加工部位)については、上述の粗さと面積による見積もりの代わりに、もっと単純化した1箇所当たりのレートによる見積もりを可能にしたので、加工費の見積もりが高速化できる。
【0087】
このように、本実施形態によれば、加工費や型費を自動見積もりすることができ、この見積もり結果を設計にフィードバックすることができるので、加工費や型費の低減を実現することが可能になる。
【0088】
また、本実施形態において設定した加工対象面の粗さ属性や特殊加工部位属性は、当該システムの後流のCAMシステムでのNC計算に利用することができる。
【0089】
なお、以上に説明した実施形態では、加工コストのレート、すなわち単位加工時間や加工単価をデータベース化したが、これはあくまで一例である。加工コストの見積もりのためには、加工コストの算出規則が分かっていればよいので、その算出式などをデータベース化することも好適である。例えば、ある加工を繰り返し行うのに、一律的な初期コストと繰り返しに応じた従量的なコストがかかる場合などは、加工コストは単純な単価ベースでは求められないが、このような場合にはレートの代わりにその算出ルールをデータベースに登録しておけばよい。
【0090】
また、以上の例では、1つの加工タイプ(加工内容)は1つの作業コードに対応づけていた。しかしながら、1つの加工タイプの部位を形成しようとした場合、複数の作業が必要となる場合がある。例えば、非常に精密な仕上げが必要な部位の場合、粗加工に加え、何段階かの仕上げ研磨が必要になる場合がある。このような場合には、1つの加工タイプが、必要な複数の作業を表す複数の作業コードにマッピングされる場合が出てくる。そのような加工タイプについては、面加工部位DB23等のデータベースに、例えば各作業ごとの単位加工時間の算出規則を登録しておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る加工コスト見積もりシステムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】 CADデータに含まれる粗さ属性のデータ内容の一例を示す図である。
【図3】 CADデータに含まれる特殊加工部位属性のデータ内容の一例を示す図である。
【図4】 形状タイプの一例を示す図である。
【図5】 形状タイプの別の例を示す図である。
【図6】 面加工部位DBのデータ内容の一例をテーブル形式で表した図である。
【図7】 作業コードDBのデータ内容の一例をテーブル形式で表した図である。
【図8】 加工単価DBのデータ内容の一例を示した図である。
【図9】 特殊加工部位DBのデータ内容の一例を示す図である。
【図10】 実施形態の見積もりシステムの全体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図11】 面加工見積もり処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図12】 抽出面グループのデータ内容の一例を示す図である。
【図13】 特殊加工見積もり処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図14】 実施形態の加工コスト見積もりシステムを組み込んだ金型設計支援統合システムの一例を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
10 CADシステム、12 CADデータ、13 型費見積もり部、14 加工費見積もり処理部、15 購入費見積もり処理部、16 型費チェック処理部、20 加工DB、21 形状タイプ判定ルールDB、23 面加工部位DB、25 特殊加工部位DB、27 作業コードDB、29 加工単価DB、30加工費及び工程表用原データ、40 購入品DB。

Claims (5)

  1. 機械加工製品のCADモデルにおける各加工対象面に対し、粗さ属性を設定する粗さ設定手段と、
    それら各加工対象面に設定された粗さ属性とに基づき、前記製品の加工対象面群に関する加工コストを算出するコスト見積もり手段と、
    を含み、
    前記コスト見積もり手段は、
    前記CADモデルにおける隣接する加工対象面同士をグループ化することにより、前記CADモデルに含まれる加工対象面群を1以上の面グループに分けるグループ化手段と、
    グループ化手段で求められた各面グループごとに、当該面グループが成す形状に基づき当該面グループを所定の形状タイプのいずれに属するかを判定するタイプ判定手段と、
    形状タイプと粗さ属性との組合せに応じた加工コスト算出ルールを記憶したコストデータベースと、
    前記各面グループごとに、前記タイプ判定手段で求めた当該面グループの形状タイプと、その面グループを構成する各面の粗さ属性との組合せに対応する加工コスト算出ルールを前記コストデータベースから求め、このルールに基づき当該面グループの加工コストを算出する個別コスト算出手段と、
    を含むことを特徴とする加工コスト見積もり装置。
  2. 前記コストデータベースの加工コスト算出ルールは、面グループの形状タイプ、粗さ属性に加え、予め設定された主加工方向に対する当該面グループの向きに応じて更に分類され、前記個別コスト算出手段は、各面グループの向きを考慮して前記コストデータベースから加工コスト算出ルールを検索することを特徴とする請求項記載の加工コスト見積もり装置。
  3. 各面グループの加工コストを総和することにより総加工コストを算出する面加工コスト算出手段を更に備えることを特徴とする請求項又は請求項記載の加工コスト見積もり装置。
  4. 前記CADモデルにおいて所定の特殊加工部位に該当する部位にその特殊加工部位の種類を表す特殊加工属性を設定する手段と、
    CADモデルから各特殊加工部位を抽出する手段と、
    特殊加工部位の種類ごとの加工コスト算出ルールを登録した特殊加工コストデータベースと、
    CADモデルから抽出した各特殊加工部位の加工コスト算出規則を前記特殊加工コストデータベースから求め、それらを総和することにより特殊加工部位に関する総加工コストを算出する手段と、
    この特殊加工部位に関する総加工コストと、前記面加工コスト算出手段で求められた加工コストとを総和することにより、前記CADモデル全体の総加工コストを求める手段と、
    を含む請求項記載の加工コスト見積もり装置。
  5. 加工タイプと粗さ属性の組合せごとに加工単価を登録した加工単価データベースと、
    製品を表すCADデータから、粗さ属性の設定された面を抽出する手段と、
    それら抽出面同士を隣接関係に基づいてグループ化して面グループを形成し、各面グループごとに、当該面グループの成す形状に基づき当該面グループの加工タイプを判定する手段と、
    各面グループごとに、当該面グループの加工タイプと粗さ属性との組合せに対応する加工単価を前記加工単価データベースから求め、この加工単価と当該面グループを構成する面の面積とから当該面グループの加工コストを算出し、求められた各面グループの加工コストを総和することにより、前記加工対象面群全体の加工コストを算出する手段と、
    を有する加工コスト見積もり装置。
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