JP3743554B2 - 自動車用シート装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、背もたれ部が前後方向に傾動自在とされた自動車用シート装置に係り、特に、背もたれ部が前傾して後側のシートに対する乗降が可能で、なおかつ、その前傾位置からシートをさらに前側に倒すことにより、シートの背面をテーブル等に使用可能な構造を持った自動車用シート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シートの背もたれ部を前傾させ、その後方に空くスペースを利用して、後側シートに乗ったり後側シートから車外に降りたりすることができる形式のリクライニングシートはウォークインシートと呼ばれ、従来、2ドア車ではフロントシート、ワンボックス車やミニバン等の4ドア以上の車種ではセカンドシート等に広く適用されている。また、近年では、背もたれ部をウォークイン位置からさらに前側に倒すとほぼ水平になり、背もたれ部の背面をテーブルや荷室の床として使用可能な便益性の高い構造のシートも提供されている。
【0003】
ところで、リクライニングシートは、一般に、着座部に背もたれ部が傾動軸を介して傾動自在に支持され、着座部側の固定ギヤに背もたれ部側の可動ギヤが噛み合うことにより、背もたれ部が任意の角度に保持され、レバー等により固定ギヤに対する可動ギヤの噛み合いを解除すると背もたれ部を傾動させることができるようになされている。また、上記ウォークインシートでは、通常、背もたれ部がばね等により前傾方向に常時付勢されており、ギヤの噛み合いをレバー等で解除すると背もたれ部が前方に倒れ、ストッパによって所定のウォークイン角度に停止するよう構成されている。このウォークイン位置ではギヤは噛み合っておらず、着座位置側への後傾動作はフリーな構造となっている。すなわち背もたれ部をウォークイン位置から着座位置に戻す際には、レバー等の操作は不要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のように背もたれ部をウォークイン位置から前に倒すと水平になってテーブル等に使用可能とされたリクライニングシートにあっては、構造の特性上、ウォークイン位置でもギヤの噛み合いにより傾動不能に保持される構造があった。したがってこの構造ではウォークイン位置から着座位置に背もたれ部を戻す際に、ギヤの噛み合いをレバー等の操作により解除する必要がある。そのような操作は、上述したように通常のウォークインシートでは不要であるから、習慣的にレバー等を操作せずに背もたれ部を戻そうとしてそれが果たせないといったことが起こり、使用者にとっては不満を覚える場合があった。
【0005】
よって本発明は、通常の着座位置およびウォークイン位置(前傾位置)に加え、水平位置の3位置に背もたれ部を移動させることができる構造において、ギヤの噛み合いを解除するためのレバー等を操作することなく背もたれ部をウォークイン位置から着座位置にスムーズに戻すことができる自動車用シート装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、着座部に傾動軸を介して傾動自在に支持された背もたれ部を、所定角度後傾した着座位置と、所定角度前傾した前傾位置と、最も前傾した水平位置のいずれかの位置に保持する保持機構と、この保持機構の保持作用を解除して背もたれ部を傾動自在の状態とする解除機構とを備えた自動車用シート装置であって、前記保持機構は、前記解除機構の非作動状態で、背もたれ部を、着座位置と水平位置において傾動不能に規制する一方、前傾位置においては、該前傾位置からさらに前傾することは規制するものの着座位置まで後傾することを許容することを特徴としている。
【0007】
本発明に係る保持機構によれば、解除機構が非作動状態で、着座位置もしくは水平位置においては背もたれ部が前後いずれの方向にも傾動しない状態に保持される。また、前傾位置においては、前傾位置からさらに前傾することが規制されるが、着座位置までの後傾は可能となる。すなわち、解除機構を作動させることなく背もたれ部を前傾位置から着座位置にスムーズに戻すことができる。
【0008】
本発明の保持機構としては、次のような具体例が挙げられる。
背もたれ部に傾動軸と平行な揺動軸を介して揺動自在に取り付けられ、揺動端側に係合ギヤとストッパピンとを備えた係合部材と、着座部に固定され、係合部材の係合ギヤおよびストッパピンが係合する被係合機構とを備え、この被係合機構は、係合ギヤが係合することにより背もたれ部を着座位置に保持する着座位置ギヤと、係合ギヤが係合することにより背もたれ部を水平位置に保持する水平位置ギヤと、着座位置ギヤと水平位置ギヤの間に形成されて係合ギヤが摺接する摺接部とを備えたギヤ部材と、ストッパピンが当接することにより背もたれ部を前傾位置に保持するとともに、背もたれ部が水平位置から前傾位置まで傾動する間においては係合ギヤを水平位置ギヤから退避させるストッパと、係合部材を被係合機構側に付勢する付勢機構とを備え、解除機構は付勢機構に抗して係合部材を被係合機構から離間させる機構である。
【0009】
本発明では、上記構成において、ストッパピンが補強部材を介して係合部材に連結されていることを好ましい形態としている。この形態により、ストッパピンがストッパに当接した際に生じる衝撃荷重が補強材を介して係合部材に伝わり分散するので、ストッパピンの耐久性を向上させることができる。
【0010】
また、係合部材を背もたれ部に支持する揺動軸の軸受部分に補強部材を設けることにより、ストッパピンにかかる衝撃によって背もたれ部が損傷を受けることが回避されるので好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1の(a),(b),(c)は、それぞれ一実施形態に係る自動車用シート装置が適用されたシート1の使用形態を示している。このシート1は、シートクッション(着座部)2とバックレスト(背もたれ部)3とを備えている。シートクッション2は、ガイドレール4を介して、フロア5に対し自動車の前進・後退方向である前後方向(図1における左右方向)に摺動自在に支持されている。バックレスト3は、その下端部がシートクッション2の後端部に対し前後方向に傾動自在に支持されている。このバックレスト3は、図1(a)で示す通常の着座位置と、図1(b)で示すウォークイン位置と、図1(c)で示すテーブル位置の三位置で使用することができるようになっている。
【0012】
上記着座位置は乗員が普通に着座する際の使用位置であり、バックレスト3の後傾角度はある程度の範囲内で任意に設定される。また、ウォークイン位置は、バックレスト3の後方に空くスペースを利用して当該シートの図示せぬ後側のシートに乗ったり後側シートから車外に降りたりする際の使用位置であり、一定の前傾角度に設定される。また、テーブル位置においては、バックレスト3がウォークイン位置からさらに前側に倒されてバックレスト3の背面がほぼ水平となり、その背面をテーブルとして使用することができる。
【0013】
図2は、一実施形態に係るシート装置6を示している。この装置6は、バックレスト3を上記三位置のいずれかの位置に保持するためのリクライニング機構7および付勢機構8と、付勢機構8の作用を解除してバックレスト3を傾動可能な状態とする解除機構9とから構成されている。以下これら機構7,8,9を順に説明していく。
【0014】
(1)リクライニング機構
図3はリクライニング機構7の分解図であり、以下、同図を参照してリクライニング機構7を説明する。
リクライニング機構7は、上記シートクッション2の図示せぬフレームに固定されるベースブラケット(着座部)10と、ベースブラケット10に固定された円盤状のギヤディスク(ギヤ部材)20と、上記バックレスト3の図示せぬフレームに固定され、ベースブラケット10に傾動軸30(図2参照)を介して傾動自在に支持されたバックブラケット(背もたれ部)40と、ベースブラケット10の上方に配置されてその後端部がバックブラケット40に揺動軸31(図2参照)を介して揺動自在に取り付けられたラッチ(係合部材)50とから構成されている。
【0015】
ベースブラケット10には、傾動軸30の挿通孔11が形成されている。また、ベースブラケット10の前部には略三角形状のストッパ12が形成されている。このストッパ12は、前方に向かってやや上り勾配に傾斜する上面側のストッパ面12aと、頂点12bより下側のなだらかなスロープ面12cとを有している。
【0016】
ギヤディスク20の中心には、傾動軸30の挿通孔21が形成されている。また、ギヤディスク20の周面には、複数の歯からなるギヤ22,23が2ヶ所に形成されている。これらギヤ22,23はギヤディスク20の周面のほぼ180゜にわたる周面において互いに離間して形成されており、この範囲における各ギヤ22,23の間の平滑な周面は、後述するラッチ50のラッチギヤ(係合ギヤ)53が摺接するランニング面(摺接部)24として設定されている。ギヤディスク20は、一方のギヤ22を上側に向け、他方のギヤ23を前方やや下側に向けた状態で、ベースブラケット10に互いの挿通孔11,21を合わせ、かしめ等の固定手段により固定されている。
【0017】
図2に示すように、この固定状態で、ベースブラケット10のストッパ12はギヤディスク20のランニング面24の領域内に配置されている。各ギヤ22,23の歯のピッチや大きさは同一であるが、長さすなわち歯の数は、ランニング面24よりも上側のギヤ22が下側のギヤ23よりも多い。なお、これ以降は、ランニング面24よりも上側の長い方のギヤ22を着座位置ギヤ22、下側の短い方のギヤ23をテーブル位置ギヤ(水平位置ギヤ)23と称する。
【0018】
バックブラケット40の縁部には横方向に突出する枠41が形成されている。バックブラケット40の下端部は半円状に形成され、その円部の中心には傾動軸30の挿通孔42が形成されている。また、この挿通孔42の上方かつ斜め後ろには、揺動軸31の挿通孔43が形成されている。
【0019】
ラッチ50の後端部には揺動軸31の挿通孔51が形成されている。また、ラッチ50の揺動端部である先端部の上部には三角形状の凸部52が形成され、下面にはギヤディスク20の各ギヤ22,23に噛み合うラッチギヤ53が形成されている。ラッチギヤ53の長さは、ギヤディスク20のテーブル位置ギヤ23の長さとほぼ同じに設定されている。ラッチギヤ53の先端側には、横方向に突出するストッパピン54が形成され、さらにこのストッパピン54の上方には、同じく横方向に突出する係合ピン55が形成されている。
【0020】
ラッチ50は、ストッパピン54を前側に配し、ラッチギヤ53を下に向けた状態で、バックブラケット40の挿通孔42に挿通孔51が合わせられ、この状態で各挿通孔42,51に揺動軸31が通されることより、バックブラケット40の枠41内で揺動軸31を中心に揺動するよう支持されている。ラッチ50は、後で説明する付勢機構8により、図2において矢印A方向に常に付勢されている。
【0021】
上記のようにラッチ50が取り付けられたバックブラケット40は、挿通孔42をギヤディスク20およびベースブラケット10の各挿通孔21,11に合わせ、ラッチ50がギヤディスク20の上方に配置された状態に組まれる。そして、各挿通孔11,21,42に傾動軸30が通されることにより、バックブラケット40はベースブラケット10に傾動軸30を介して傾動自在に支持されている。この状態で、ギヤディスク20はバックブラケット40の下端部における枠41内に収納された状態となる。
本実施形態では、ベースブラケットに固定されたギヤディスク20およびベースブラケット10に形成されたストッパ12により、本発明に係る被係合機構が構成されている。
【0022】
上記リクライニング機構7によると、図4(a)に示すように、ラッチ50のラッチギヤ53がギヤディスク20の着座位置ギヤ22に噛み合っているとき、バックブラケット40は着座位置に保持される。すなわち、図1(a)に示すように、バックレスト3が着座位置に保持される。
【0023】
また、図4(a)の状態から、ラッチ50を矢印B方向に揺動させて着座位置ギヤ22へのラッチギヤ53の噛み合いを外し、バックブラケット40を前に倒していくと、図4(b)に示すように、ラッチ50のストッパピン54がベースブラケット10のストッパ12のストッパ面12aに当接して係合する。これにより、バックブラケット40はウォークイン位置に保持される。すなわち、図1(b)に示すように、バックレスト3がウォークイン位置に保持される。
【0024】
さらに、図4(b)の状態から、ストッパピン54がストッパ12の頂点12bを乗り越え可能な位置となるまでラッチ50を矢印B方向に揺動させてストッパ12に対するストッパピン54の係合を外すと、バックブラケット40は前に倒れ、図4(c)に示すようにテーブル位置で停止する。すなわち、図1(c)に示すように、バックレスト3がテーブル位置に保持される。このテーブル位置は、ラッチ50のラッチギヤ53がギヤディスク20のテーブル位置ギヤ23に噛み合うことにより保持される。
【0025】
(2)付勢機構
次に、図2を参照して付勢機構8を説明する。
付勢機構は、図2においてラッチ50を矢印A方向に付勢する機構であって、バックブラケット40に対して下から上の方向にほぼ一列に配置されたアーム部材60、リンク70および引っ張りばね80によって構成されている。
【0026】
アーム部材60は、回動軸61を介してバックブラケット40に回動自在に取り付けられている。このアーム部材60は、回動中心からそれぞれ上下および後方に突出する上側アーム部62、下側アーム部63および後側アーム部64を有している。下側アーム部63はラッチ50の凸部52の横側(図2で表側)に重なっている。そして、その重なり部分には所定形状のガイド孔63aが形成されており、このガイド孔63aにラッチ50の係合ピン55が挿入されている。また、アーム部材60の回動中心の図2における裏側には、ラッチ50の凸部52に摺接するカム65が固定されている。アーム部材60の上側アーム部62には、リンク軸71を介してリンク70の一端部が回動自在に連結されている。このリンク70はバックブラケット40に回動軸72を介して回動自在に取り付けられており、その他端部には、一端がバックブラケット40に掛止された引っ張りばね80の他端が掛止されている。
【0027】
この付勢機構8によれば、引っ張りばね80の力でリンク70が図2おいて矢印F方向に回動し、これに追従してアーム部材60が矢印C方向に回動する。すると、図5(a)に示すように、カム65がラッチ50の凸部52に摺接しながらこの凸部52を押し、ラッチ50を矢印A方向に揺動させる。これにより、ラッチ50のラッチギヤ53がギヤディスク20の周面に押圧された状態となり、ラッチギヤ22がギヤディスク20の着座位置ギヤ22に噛み合う。また、アーム部材60が図2で矢印D方向に回動すると、図5(b)に示すように、ガイド孔63aにラッチ50の係合ピン55がガイドされることによりラッチ50が矢印B方向に回動し、ラッチ50はギヤディスク20から離れる。
なお、本実施形態では、上記リクライニング機構7と付勢機構8とで、本発明に係る保持機構が構成されている。
【0028】
(3)解除機構
次に、図1および図2を参照して解除機構9を説明する。
解除機構9は、図1に示すように、バックレスト3の肩部にバックレスト3の長手方向に移動自在に設けられた手動式のレバー90と、図2に示すように、上記付勢機構8を構成するアーム部材60の後側アーム64に一端が掛止され、他端がレバー90に連結されたプルケーブル91とによって構成されている。
【0029】
この解除機構9によれば、レバー90を引き上げてプルケーブル91を引っ張ると、アーム部材60が図2において矢印D方向に回動する。これにより、上記のようにラッチ50はギヤディスク20から離れる。また、レバー90を離すと引っ張りばね80の力によってアーム部材60は元の位置に戻り、ラッチ50はギヤディスク20側に付勢される。
【0030】
以上が本実施形態のシート装置6であり、次に、この装置6の作用を説明する。図4(a)に示すように、付勢機構8によりギヤディスク20側に付勢されているラッチ50のラッチギヤ53がギヤディスク20の着座位置ギヤ22に噛み合っているとき、バックレスト3は図1(a)に示すように着座位置に保持される。
【0031】
次に、バックレスト3を着座位置からウォークイン位置に設定するには、レバー90を引き上げ、バックレスト3を前に倒す。レバー90を引き上げると、ラッチ50は図4(a)の矢印B方向に揺動して着座位置ギヤ22へのラッチギヤ53の噛み合いが外れるので、バックブラケット40を前に倒すことができる。バックレスト3を前に倒していくと、図4(b)に示すように、ラッチ50のストッパピン54がベースブラケット10のストッパ12のストッパ面12aに当たる。これにより、バックレスト3は図1(b)に示すようにウォークイン位置に保持される。このような着座位置からウォークイン位置への操作の際には、ラッチギヤ53の先端部分がギヤディスク20のランニング面24に乗るまでの短い間だけレバー90を引き上げておけばよい。それから以降は、ラッチギヤ53が着座位置ギヤ22に噛み合うことはなくラッチギヤ53がランニング面24を摺接するので、バックブラケット40を傾動させることができるからである。
【0032】
次に、バックレスト3をウォークイン位置からテーブル位置に設定するには、ラッチ50のストッパピン54がストッパ12の頂点12bを乗り越え可能な位置となるまでレバー90を引き上げる。すると、ストッパ12に対するストッパピン54の係合が外れ、図6に示すようにストッパピン54がストッパ12の頂点に至った後、バックブラケット40はバックレスト3全体の自重によって前に倒れる。その過程においてラッチギヤ53はストッパ12のスロープ面12cを摺接し、最終的に図4(c)に示すようにギヤディスク20のテーブル位置ギヤ23に噛み合う。これにより、バックレスト3は図1(c)に示すようにテーブル位置に保持される。
【0033】
以上はバックレスト3を着座位置からウォークイン位置を経てテーブル位置に傾動させる動作であり、次に、この逆の動作を説明する。
バックレスト3をテーブル位置からウォークイン位置に設定するには、レバー90を引き上げてバックレスト3を起こす。レバー90を引き上げると、図4(c)の状態からラッチ50は矢印B方向に揺動してテーブル位置ギヤ23へのラッチギヤ53の噛み合いが外れる。バックレスト3を起こしていくと、ストッパピン54がストッパ12のスロープ面12cを頂点12bに向かって摺接することにより、ラッチギヤ53はギヤディスク20からさらに離れていく。この段階では、既にテーブル位置ギヤ23へのラッチギヤ53の噛み合いが外れているので、レバー90を引き上げる操作は不要となる。そして、ストッパ12の頂点12bを超えるとストッパピン54はストッパ面12aに達し、バックブラケット40はウォークイン位置に戻る。
【0034】
バックレスト3をウォークイン位置から着座位置に戻すには、バックレスト3を後方に倒していくだけでよい。すなわち、バックレスト3がウォークイン位置にあるとき、ラッチ50のラッチギヤ53はギヤディスク20のランニング面24に乗っており、バックレスト3を後方に倒していくとラッチギヤ53はギヤディスク20のランニング面24を摺接するので、バックレスト3を後方に倒すことができるのである。ラッチギヤ53の前端部分がギヤディスク20の着座位置ギヤ22に至るとラッチギヤ53はやっと着座位置ギヤ22に噛み合い、その段階でバックレスト3は着座位置に保持される。
【0035】
上記実施形態のシート装置6によれば、バックレスト3のウォークイン位置への保持は、ギヤディスク20に対するラッチ50のラッチギヤ53の噛み合いによるものではなく、ラッチ50のストッパピン54がベースブラケット10のストッパ12に当接することによりなされる。そして、ウォークイン位置から着座位置までの範囲では、ラッチギヤ53はギヤディスク20のランニング面24を摺接する。これにより、バックレスト3をウォークイン位置から着座位置に戻す操作は、単にバックレスト3を後方に倒すだけでスムーズになされ、レバー90を操作する煩わしさから解放される。
【0036】
また、バックレスト3を着座位置から前傾させる際には、ラッチギヤ53の先端部分がギヤディスク20のランニング面24に乗る短い間だけレバー90を操作していればよい。これ以降は、ラッチ50がギヤディスク20側に付勢されてもラッチギヤ53はランニング面24を摺接するので、バックレスト3をウォークイン位置まで前傾させることができる。また、バックレスト3をテーブル位置から起こす際には、はじめにレバー90を操作してギヤディスク20のテーブル位置ギヤ23からラッチ50のラッチギヤ53を外せば、その後はラッチ50のストッパピン54がベースブラケット10のストッパ12のスロープ面12cを摺接することによりラッチ50がギヤディスク20から離れていく。したがって、レバー90の操作時間は短くて済み、この後は、抵抗なく一気にバックレスト3を着座位置まで戻すことができる。
【0037】
以上のことから、バックレスト3を傾動させる際に必要なレバー90の操作はごく僅かの時間で済み、その結果、レバー90の操作に煩わされることなくバックレスト3をスムーズに傾動させることができる。
【0038】
次に、図7を参照して上記ストッパピン54の設け方を変更した他の実施形態を説明する。なお、図7で図3と同一構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
この場合、ラッチ50側にはストッパピン54は形成されておらず、ラッチ50に新たに組み込まれる長円状のストッパアーム(補強部材)100にストッパピン54が形成されている。ストッパアーム100はラッチ50の横側に並列されるもので、その一端部に揺動軸31が挿通される挿通孔101が形成されており、他端部にラッチ50側に延びるストッパピン54がかしめ等の固定手段により固定されている。また、ラッチ50の側面にはストッパアーム100側に突出する連結ピン56が形成され、この連結ピン56がストッパアーム100の中央部に形成された孔102に嵌合されることにより、ストッパアーム100はラッチ50と一体に連結されている。
【0040】
本実施形態によれば、ラッチ50とともにストッパアーム100が揺動し、ストッパピン54が上記ベースブラケット10のストッパ12に当接してバックレスト3がウォークイン位置に保持される。ストッパピン54がストッパ12に当接するとストッパピン54に衝撃が加わるが、本実施形態では、その衝撃荷重はストッパピン54のみならずストッパアーム100や連結ピン56を介してラッチ50にも伝わるので分散する。したがって、ストッパピン54の耐久性を向上させることができる。ここでは、ラッチ50の耐久性の向上を図っているが、ラッチ50の揺動軸31の軸受部分であるバックブラケット40の挿通孔43の周囲部分に、カラー等の補強部材を嵌め込むことにより、ストッパピン54にかかる衝撃によってバックブラケット40が損傷することが回避され、耐久性の向上が図られる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、解除機構の非作動状態で、背もたれ部を着座位置と水平位置において傾動不能に規制する一方、前傾位置においてはこの前傾位置からさらに前傾することは規制するものの着座位置まで後傾することを許容する構成なので、解除機構を作動させることなく背もたれ部を前傾位置から着座位置にスムーズに傾動させることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るシート装置が適用されたシートの使用形態を示す側面図で、(a)は着座位置、(b)はウォークイン位置、(c)はテーブル位置を示している。
【図2】 本発明の一実施形態に係るシート装置の側面図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係るシート装置の分解斜視図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係るシート装置の作用を示す側面図で、(a)は着座位置、(b)はウォークイン位置、(c)はテーブル位置を示している。
【図5】 本発明の一実施形態に係るラッチの動作を(a),(b)の順に説明する側面図である。
【図6】 本発明の一実施形態に係るシート装置の作用を示す側面図で、ラッチのストッパピンがストッパを乗り越える瞬間を示している。
【図7】 本発明の他の実施形態に係るシート装置の斜視図である。
【符号の説明】
1…シート、2…シートクッション(着座部)、3…バックレスト(背もたれ部)、6…シート装置、7…リクライニング機構、8…付勢機構、9…解除機構、10…ベースブラケット(着座部)、12…ストッパ、20…ギヤディスク(ギヤ部材)、22…着座位置ギヤ、23…テーブル位置ギヤ(水平位置ギヤ)、24…ランニング面(摺接部)、30…傾動軸、31…揺動軸、40…バックブラケット(背もたれ部)、50…ラッチ(係合部材)、53…ラッチギヤ(係合ギヤ)、54…ストッパピン、100…ストッパアーム(補強部材)。
Claims (4)
- 着座部に傾動軸を介して傾動自在に支持された背もたれ部を、所定角度後傾した着座位置と、所定角度前傾した前傾位置と、最も前傾した水平位置のいずれかの位置に保持する保持機構と、
この保持機構の保持作用を解除して背もたれ部を傾動自在の状態とする解除機構とを備えた自動車用シート装置であって、
前記保持機構は、前記解除機構の非作動状態で、前記背もたれ部を、前記着座位置と前記水平位置において傾動不能に規制する一方、前記前傾位置においては、該前傾位置からさらに前傾することは規制するものの着座位置まで後傾することを許容することを特徴とする自動車用シート装置。 - 前記保持機構は、
前記背もたれ部に前記傾動軸と平行な揺動軸を介して揺動自在に取り付けられ、揺動端側に係合ギヤとストッパピンとを備えた係合部材と、
前記着座部に固定され、前記係合部材の前記係合ギヤおよび前記ストッパピンが係合する被係合機構とを備え、
この被係合機構は、前記係合ギヤが係合することにより背もたれ部を着座位置に保持する着座位置ギヤと、前記係合ギヤが係合することにより背もたれ部を水平位置に保持する水平位置ギヤと、着座位置ギヤと水平位置ギヤの間に形成されて前記係合ギヤが摺接する摺接部とを備えたギヤ部材と、
前記ストッパピンが当接することにより背もたれ部を前傾位置に保持するとともに、背もたれ部が水平位置から前傾位置まで傾動する間においては係合ギヤを水平位置ギヤから退避させるストッパと、
前記係合部材を被係合機構側に付勢する付勢機構とを備え、
前記解除機構は付勢機構に抗して前記係合部材を被係合機構から離間させる機構であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用シート装置。 - 前記ストッパピンは補強部材を介して前記係合部材に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の自動車用シート装置。
- 前記背もたれ部における前記揺動軸の軸受部分に補強部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の自動車用シート装置。
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JP2001124561A JP3743554B2 (ja) | 2001-04-23 | 2001-04-23 | 自動車用シート装置 |
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