JP3743472B2 - 電解用電極及びその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素発生ないしは塩素発生を伴う工業用、民生用装置または各工業プロセスに幅広く使用される電解用電極及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属チタンを電極基体として、その上に熱分解法、電気メッキ法、スパッタリング法等により、白金族金属及び/またはその酸化物を含む電極活性層を設けた電極は、工業用、民生用装置または工業用プロセスに利用されている。具体的には、塩素発生を伴う食塩電解、酸素発生を伴うメッキ、金属表面処理、排水処理等があげられる。これらの電極には、高性能、長寿命、安価なことが要求され、特に寿命を延ばすため、各種の提案がなされている。
【0003】
その代表的な提案が、電極基体と電極活性層との間に中間層を設けることであり、一例として、特開昭59−38394号公報では、チタン及びスズから選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物とタンタル及びニオブから選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物との混合酸化物からなる中間層が、特開平2−247393公報ではチタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれた金属又はその合金からなる非晶質層上に前記金属の酸化物を形成させた中間層が、特開平5−59580公報ではニオブ、タンタル、チタン及びジルコニウムから選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含む中間層が、特開平6−146047号公報では、シリカ及びタンタルとの混合物からなる中間層が、特開平8−109490号公報では、タンタルまたはその合金の中間層が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記のいずれの方法においても、得られた電極は、電極活性層のクラックより浸透する電解液による電極基体の不働態化及び電極活性層の脱落により満足する寿命は得られていず、より緻密な構造の電極が要求されていた。
【0005】
より緻密な構造の提案としては、特開平7−11497号公報に、バルブ金属基体上にゾルゲル法により調製したバルブ金属酸化物及び/または炭素以外の周期律表第4B族の酸化物を含む緻密な中間層を設ける方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特開平7−11497号公報に開示されているゾルゲル法は、既知の技術であり、この方法で調製される二酸化チタンのゾルはコロイド溶液であり、このコロイド溶液から得られる二酸化チタン薄膜は、微粒子状チタン水和酸化物を単位とした凝集体でしかない。このため、これを中間層とした電極は、初期特性は問題ないが、過酷な条件や長期間の使用により中間層に多数のひび割れが発生し、電解液の浸透は避けられず、これによる電極基体の不働態化及び電極活性層の脱落が生じ、長寿命化の点において満足できるものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決する、電極基体と電極活性層との密着性を高め、電極活性層より浸透する電解液による電極基体の不働態化及び電極活性層の脱落を極力抑制した、より長寿命な電解用電極を提供することであり、また、このような電解用電極を安易かつ安価に製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、熱分解法または電気メッキ−熱処理法による電極活性層を設ける前に、高分子状二酸化チタン溶液を溶媒雰囲気下で付着、乾燥させる高分子状二酸化チタン前処理を採用することにより、非常に薄い均一な網目構造の非晶質な二酸化チタン超薄膜を得、上記課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、チタン基体上に電極活性層として白金族金属及び/またはその酸化物を設けてなる電解用電極であって、前記チタン基体と前記電極活性層との間に前記チタン基体成分と前記電極活性層成分とが相互拡散された拡散混合層を有する電解用電極において、この拡散混合層が、熱分解法または電気メッキ−熱処理法による電極活性層が設けられる前に、高分子状二酸化チタン前処理されてなるものであることを特徴とする電解用電極であり、さらに、高分子状二酸化チタン前処理が、チタン基体上に高分子状二酸化チタン溶液が溶媒雰囲気下で付着、乾燥され、二酸化チタン超薄膜が形成されてなるものであることを特徴とする電解用電極である。
【0010】
さらに、本発明は、チタン基体上に電極活性層として白金族金属及び/またはその酸化物を設けてなる電解用電極の製造法において、前記チタン基体上に高分子状二酸化チタン溶液を溶媒雰囲気下で付着、乾燥させる高分子状二酸化チタン前処理により、二酸化チタン超薄膜を形成させた後、熱分解法により白金族金属及び/またはその酸化物の電極活性層を形成させ、かつ前記チタン基体と前記電極活性層との間に前記チタン基体成分と前記電極活性層成分とが相互に拡散された拡散混合層を形成させることを特徴とする電解用電極の製造法であり、また、チタン基体上に電極活性層として白金族金属及び/またはその酸化物を設けてなる電解用電極の製造法において、前記チタン基体上に高分子状二酸化チタン溶液を溶媒雰囲気下で付着、乾燥させる高分子状二酸化チタン前処理により、二酸化チタン超薄膜を形成させた後、電気メッキ、ついで熱処理により、白金族金属及び/またはその酸化物の電極活性層を形成させ、かつ前記チタン基体と前記電極活性層との間に前記チタン基体成分と前記電極活性層成分とが相互に拡散された拡散混合層を形成させることを特徴とする電解用電極の製造法である。
【0011】
以下、本発明の電解用電極を、図面を用いて説明する。
【0012】
本発明の電解用電極の拡散混合層部分の断面模式図を図1に示す。
【0013】
図1に示すように、本発明の電解用電極におけるチタン基体1と電極活性層3との間の拡散混合層2は、チタン基体成分4と電極活性層成分5とが相互に拡散しあい、混在状態を形成している。すなわち、拡散混合層3は、高分子状二酸化チタン前処理により設けられた二酸化チタン6を中心としてチタン基体成分4と電極活性層成分5とが、各々連続的に濃度分布をもって混合した混合層となっている。
【0014】
チタン基体側から見ると、拡散混合層3は、順次、チタン基体成分が多く、電極活性層成分の少ない部分、チタン基体成分と電極活性成分とがほぼ同じ位の部分、チタン基体成分が少なく、電極活性層成分が多い部分と、境目なく連続的に変化している。また、拡散混合層3内の二酸化チタン6は、非常に薄く、微量のため、X線光電子分光装置を用いても検出できないが、二酸化チタン6として拡散混合層の一部に分散している。
【0015】
これに比し、図2に示すように、従来の中間層を有する電極は、電極基体7、中間層8、電極活性層3からなる3層構造である。
【0016】
以上のように、本発明の電解用電極は、チタン基体と電極活性層との間にチタン基体成分と電極活性層成分とが分子レベルで相互に拡散された拡散混合層を有しており、従来の微粒子状チタン水和酸化物を単位とした凝集体から形成される中間層を有する3層構造の電極とは、全く異なっており、本発明の電解用電極は、チタン基体と電極活性層との密着性が高く、従来の電極のような過酷な条件や長期間の使用による中間層のひび割れによる電極基体の不動態化や電極活性層の脱落が極めて少ないため、長時間の使用に耐えることができる。
【0017】
次に、本発明の電解用電極の製造法について、詳細に説明する。
【0018】
本発明に用いられる高分子状二酸化チタン前処理により形成される二酸化チタン超薄膜は、非常に薄い均一な網目構造を有し、かつ非晶質であることが必要である。
【0019】
二酸化チタン超薄膜が、非常に薄い均一な網目構造を有するためには、チタン基体上に付着させる二酸化チタンの溶液が、従来法により得られるゾル、すなわち微粒子状チタン水和酸化物を単位とした凝集体ではなく、二酸化チタンが適度に縮合した平面構造を有する高分子状二酸化チタンの溶液でなければならない。本発明に用いられる高分子状二酸化チタン溶液は、このような要件を満たすものである。
【0020】
以下、本発明での高分子状二酸化チタン前処理に用いられる高分子状二酸化チタン溶液の調製方法を示す。
【0021】
本発明に用いられる高分子状二酸化チタン溶液は、芳香族化合物溶媒1lに対してチタンアルコキシドを0.03〜1.5molとなる量で溶解させ、ついで温度0〜6℃で、水1〜20wt%を含有する水−アルコール混合溶液を、チタンアルコキシド1molに対して水が0.5〜2molとなる量で添加させた後、温度0〜60℃で、超音波下または撹拌放置下、加水分解、脱水縮合させることにより調製される。なお、好ましくはチタンイオンとして0.1〜1mol/lの濃度に濃縮させた高分子状二酸化チタン溶液が用いられる。得られた高分子状二酸化チタン溶液は、芳香族化合物溶媒の芳香環が核となり、芳香環の面を基準にして水酸化チタンの脱水縮合が進行した平面構造を有する高分子状二酸化チタンの溶液である。
【0022】
チタンアルコキシドのアルコキシ基は、炭素数1〜8であり、好ましくは1〜5である。一例として、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基等があげられる。
【0023】
チタンアルコキシドを溶解させる溶媒は、芳香族化合物溶媒であり、1種または2種以上が用いられる。一例として、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等があげられる。特にベンゼンを用いた場合、チタンアルコキシドの3量体が形成され易く、反応生成物の構造を制御でき、かつ均一な網目構造をもった高分子状二酸化チタン溶液が調製できるので好都合である。
【0024】
チタンアルコキシドを溶解させた芳香族化合物溶媒に添加される水−アルコール混合溶液中のアルコールは、水の活量を調節する、すなわち加水分解を抑制し、ゆっくり反応させるためものである。このため、水−アルコール混合溶液の配合割合、添加速度、添加時の温度も反応制御には重要であり、初期段階ではなるべくゆっくりと反応させることが必要である。反応が急激に進行すると、微粒子状二酸化チタンの凝集体が形成されるため好ましくない。
【0025】
本発明に用いられるアルコールは、炭素数1〜10のアルコールであり、好ましくは炭素数1〜10の1価アルコールである。これらの1種または2種以上が用いられる。一例として、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、ノニルアルコール、n−デシルアルコール等があげられる。
【0026】
本発明で用いられる水−アルコール混合溶液中の水の含有量は、1〜20wt%であり、かつチタンアルコキシドを溶解させた芳香族化合物溶媒に添加される水−アルコール混合溶液は、チタンアルコキシド1molに対して水が0.5〜2molとなる量である。
【0027】
水−アルコール混合溶液中の水の含有量が1wt%未満の場合、反応速度が遅すぎて実用的でない。また、20wt%を超える場合、加水分解反応が急激に進行するため好ましくない。
【0028】
チタンアルコキシドを溶解させた芳香族化合物溶媒に添加される水−アルコール混合溶液が、チタンアルコキシド1molに対して水が0.5mol未満の場合、未反応物が多くなり好ましくない。また、2molを超える場合、反応が急激に進行するため好ましくない。
【0029】
また、チタンアルコキシドを溶解させた芳香族化合物溶媒に水−アルコール混合溶液を添加させる時の温度は、反応制御の面から0〜6℃が好ましい。
【0030】
次に、チタンアルコキシドを溶解させた芳香族化合物溶媒に水−アルコール混合溶液を添加させた後、温度0〜60℃で、超音波下または撹拌放置下、加水分解、脱水縮合させることにより、本発明に用いられる高分子状二酸化チタン溶液が得られる。
【0031】
加水分解、脱水縮合させる時の温度が60℃を超える場合、反応が速すぎて、また0℃未満の場合、逆に反応が遅くなりすぎて好ましくない。
【0032】
本発明に用いられる高分子状二酸化チタン溶液は、芳香族化合物溶媒中の芳香環が核となり芳香環の面を基準にして水酸化チタンの脱水縮合が進行した平面構造をもった高分子状二酸化チタンを有し、従来のゾルゲル法により得られる微粒子状チタン水和酸化物のコロイド溶液でない。
【0033】
ついで、好ましくはチタンイオンとして0.1〜1mol/lの濃度に調製された高分子状二酸化チタン溶液を、ハケ塗り、スプレー塗布、浸漬、スピンコート等により、チタン基体上に溶媒雰囲気下で付着させた後、温度120〜250℃で乾燥させ、二酸化チタン超薄膜を得る。
【0034】
また、本発明に用いられる二酸化チタン超薄膜が非晶質であるためには、高分子状二酸化チタン溶液をチタン基体上に溶媒雰囲気下で付着させた後の乾燥温度を120〜250℃とし、ゆっくりと乾燥させることである。
【0035】
乾燥温度が120℃未満では、溶媒が完全に除去できず、また、250℃を超えると、二酸化チタンの一部または全部が結晶化してしまい、熱処理時の二酸化チタン超薄膜の結晶化による流動化現象が不十分となり、拡散混合層の形成が十分に行われない。
【0036】
ついで、熱分解法及び電気メッキ−熱処理法により、電極活性層及び拡散混合層を形成させる
【0037】
熱分解法により電極活性層として白金族金属酸化物及び/またはその酸化物を設ける場合には、白金族化合物を含むアルコール溶液を塗布、乾燥させた後、空気中、温度400〜550℃で熱分解して白金族金属酸化物及び/またはその酸化物を形成させ、本発明の電解用電極を得る。
【0038】
電気メッキ−熱処理法により電極活性層として白金族金属及び/またはその酸化物を設ける場合には、メッキ前の活性化処理として酸溶液中で陰分極を行い、白金族化合物を含む電着液中、電気メッキさせた後、空気中、温度350〜550℃で熱処理して白金族金属酸化物及び/またはその酸化物を形成させ、本発明の電解用電極を得る。
【0039】
熱処理温度が350℃未満では、チタン及び白金族金属が十分に相互拡散されず、拡散混合層の形成が不十分となる。また、熱処理温度が550℃以上を超えても、性能面で、処理温度が350〜550℃の場合とほとんど変わらず、不経済性である。
【0040】
【作用】
本発明の電解用電極の拡散混合層は、高分子状二酸化チタン前処理により形成される、非常に薄い均一な網目構造を有し、かつ非晶質の二酸化チタン超薄膜を熱処理した時に、二酸化チタン超薄膜の結晶化による流動化現象が生じ、チタン基体成分及び電極活性層成分の各々が分子レベルで相互に拡散されて形成されたものであり、高分子状二酸化チタン前処理により設けられた二酸化チタンを中心としてチタン基体成分と電極活性層成分とが、各々連続的に濃度分布をもって混合した混合層である。すなわち、前記二酸化チタン超薄膜は、チタン基体成分及び電極活性層成分が拡散する際の媒体的作用をするものと考えられる。
【0041】
本発明の電解用電極は、チタン基体と電極活性層との間にチタン基体成分と電極活性層成分とが相互に拡散された拡散混合層を有しており、従来の中間層を有する3層構造の電極とは、全く異なったものであり、チタン基体と電極活性層との密着性が高く、従来の電極に見られる過酷な条件や長期間の使用による中間層のひび割れによる電極基体の不動態化や電極活性層の脱落がなく、長時間の使用に耐えることができる。また、本発明の電解用電極の製造法は、安易かつ安価である。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基き説明する。なお、本発明は、これらの実施例になんら限定されない。
【0043】
実施例1(熱分解法)
チタン基体としては、チタン板(縦60mm×横15mm×厚さ1mm)をアルカリ脱脂した後、沸騰10wt%シュウ酸溶液で30分間エッチング処理したものを用いた。
【0044】
次に、以下に示す高分子状二酸化チタン前処理を行い、二酸化チタン超薄膜を形成した。
【0045】
チタン−n−ブトキシド2mlを芳香族化合物溶媒であるベンゼン200mlに溶解させた後、温度6℃で攪拌しながら、水0.106ml及びn−ブタノール2.48mlの水−アルコール混合溶液を滴下させ、ついで温度6℃で1時間超音波下、加水分解、脱水縮合させた。その後、温度60℃で、チタンイオンとして0.6mol/lの濃度となるまで、エバポレーターを用いて濃縮し、高分子状二酸化チタン溶液を調製した。次に、調製された高分子状二酸化チタン溶液を浸漬法によりチタン基体上に付着させた後、温度200℃で20分間乾燥し、二酸化チタン超薄膜を形成した。
【0046】
ついで、形成した二酸化チタン超薄膜上に、白金族化合物として塩化イリジウム酸20wt%を含むブタノール溶液を塗布し、温度450℃で2時間焼成し、熱分解法によるIrO2電極活性層を形成させて電解用電極を得た。
【0047】
得られた電解用電極を陽極として、カーボンを陰極として用いて、温度60℃、1mol/l硫酸中、電流密度200A/dm2で通電させ、槽電圧が5V上昇した時の経過時間を電極寿命として判定したところ、15,800時間であった。結果を表1に示す。
【0048】
実施例2(熱分解法)
実施例1において、高分子状二酸化チタン前処理時、1時間超音波下の代りに2時間撹拌放置下とした以外は、実施例1と同様にして、熱分解法によるIrO2電極活性層を形成させて電解用電極を得た。得られた電解用電極の電極寿命は、15,200時間であった。結果を表1に示す。
【0049】
実施例3(熱分解法)
実施例1において、芳香族化合物溶媒であるベンゼンの代りにキシレンを用いた以外は、実施例1と同様にして、熱分解法によるIrO2電極活性層を形成させて電解用電極を得た。得られた電解用電極の電極寿命は、14,800時間であった。結果を表1に示す。
【0050】
実施例4(熱分解法)
実施例1において、白金族化合物として塩化イリジウム酸20wt%を含むブタノール溶液の代りに塩化白金酸20wt%を含むブタノール溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、熱分解法によるPt電極活性層を形成させて電解用電極を得た。得られた電解用電極の電極寿命は、1,800時間であった。結果を表1に示す。
【0051】
実施例5(熱分解法)
実施例1において、白金族化合物として塩化イリジウム酸20wt%を含むブタノール溶液の代りに塩化イリジウム酸:タンタルブトキシド=70:30(mol比)を20%含有するブタノール溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、熱分解法によるIrO2/Ta25電極活性層を形成させて電解用電極を得た。得られた電解用電極の電極寿命は、4,950時間であった。結果を表1に示す。
【0052】
実施例6(電気メッキ−熱処理法)
実施例1において、熱分解法の代りに、1N硫酸浴中、電流密度40mA/dm2で2〜3秒間陰分極し、ついで、ジニトロジアンミン白金30g/l、硫酸50ml/l及びリン酸60ml/lの電着液中、0.8A/dm2で10分間電気メッキした後、さらに温度400℃で2時間熱処理し、電気メッキ−熱処理法によるPt電極活性層を形成させて電解用電極を得た。得られた電解用電極の電極寿命は、1,740時間であった。結果を表1に示す。
【0053】
比較例1(熱分解法)
特開平7−11497号公報に基いて、窒素雰囲気中でチタンテトライソプロポキシド1.420g及びアセチルアセトン0.501gをイソプロピルアルコール5mlに溶解し、室温で攪拌しながら、N,N−ジメチルホルムアミド0.365g及びイオン交換水0.09gの混合溶液を滴下させた後、約30分間攪拌し、加水分解、重縮合させて得たゾルを、実施例1で用いたのと同様のチタン基体上に浸漬法により付着させ、ついで温度200℃で20分間乾燥させた後、実施例1に準じて、熱分解法によるIrO2電極活性層を形成させて電解用電極を得た。得られた電解用電極の電極寿命は、6,300時間であった。結果を表1に示す。
【0054】
比較例2(電気メッキ−熱処理法)
比較例1において、比較例1と同様にして調製したゾルを浸漬、乾燥させた後、実施例6に準じて、電気メッキ−熱処理法によるPt電極活性層を形成させて電解用電極を得た。得られた電解用電極の電極寿命は、450時間であった。結果を表1に示す。
【0055】
比較例3(電気メッキ−熱処理法)
実施例6において、高分子状二酸化チタン前処理での乾燥温度200℃を300℃とした以外は、実施例6と同様にして、電気メッキ−熱処理法によるPt電極活性層を形成させて電解用電極を得た。得られた電解用電極の電極寿命は、1,050時間であった。結果を表1に示す。
【0056】
比較例4(電気メッキ−熱処理法)
実施例6において、電気メッキ後の熱処理温度400℃を300℃した以外は、実施例6と同様にして、電気メッキ−熱処理法によるPt電極活性層を形成させて電解用電極を得た。得られた電解用電極の電極寿命は、1,280時間であった。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003743472
【0058】
【発明の効果】
本発明の電解用電極は、チタン基体と電極活性層との間にチタン基体成分と電極活性層成分とが相互に拡散された拡散混合層を有し、従来の中間層を有する3層構造の電極と全く異なったものであり、チタン基体と電極活性層との密着に優れており、従来の電極に見られる過酷な条件や長期間の使用による中間層のひび割れによる電解液の浸透に起因する電極基体の不働態化及び電極活性層の脱落がなく、長時間の使用に耐える得るものであり、工業用及び民生用装置または各工業プロセス用途の電極として極めて有用である。また、本発明の電解用電極は、安易かつ安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解用電極の拡散混合層部分の断面模式図である。
【図2】従来の中間層を有する電極の断面模式図である。
【符号の説明】
1.チタン基体
2.拡散混合層
3.電極活性層
4.チタン基体成分
5.電極活性層成分
6.二酸化チタン
7.電極基体
8.中間層

Claims (16)

  1. チタン基体上に電極活性層として白金族金属及び/またはその酸化物を設けてなる電解用電極であって、前記チタン基体と前記電極活性層との間に前記チタン基体成分と前記電極活性層成分とが相互拡散された拡散混合層を有する電解用電極において、前記拡散混合層が、熱分解法もしくは電気メッキ−熱処理法による電極活性層が設けられる前に、高分子状二酸化チタン前処理されてなるものであることを特徴とする電解用電極。
  2. 高分子状二酸化チタン前処理が、チタン基体上に高分子状二酸化チタン溶液が溶媒雰囲気下で付着、乾燥され、二酸化チタン超薄膜が形成されてなるものであることを特徴とする請求項に記載の電解用電極。
  3. チタン基体上に電極活性層として白金族金属及び/またはその酸化物を設けてなる電解用電極の製造法において、前記チタン基体上に高分子状二酸化チタン溶液を溶媒雰囲気下で付着、乾燥させる高分子状二酸化チタン前処理により、二酸化チタン超薄膜を形成させた後、熱分解法により白金族金属及び/またはその酸化物からなる電極活性層を形成させ、かつ前記チタン基体と前記電極活性層との間に前記チタン基体成分と前記電極活性層成分とが相互に拡散された拡散混合層を形成させることを特徴とする電解用電極の製造法。
  4. 高分子状二酸化チタン溶液が、チタンアルコキシドを芳香族化合物溶媒に溶解させ、ついで温度0〜6℃で水−アルコール混合溶液を添加させた後、温度0〜60℃で、超音波下または撹拌放置下、加水分解、脱水縮合させたものであることを特徴とする請求項に記載の電解用電極の製造方法。
  5. 高分子状二酸化チタン溶液が、芳香族化合物溶媒1lに対してチタンアルコキシドを0.03〜1.5molとなる量で溶解させ、ついで温度0〜6℃で、水含有量が1〜20wt%の水−アルコール混合溶液を、チタンアルコキシド1molに対して水が0.5〜2molとなる量で添加させた後、温度0〜60℃で、超音波下または撹拌放置下、加水分解、脱水縮合させたものであることを特徴とする請求項に記載の電解用電極の製造法。
  6. 芳香族化合物溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンからなる群から選ばれた1種もしくは2種以上であることを特徴とする請求項または請求項に記載の電解用電極の製造法。
  7. チタンアルコキシドのアルコキシ基の炭素数が、1〜5であり、かつ水−アルコール混合溶液のアルコールが、炭素数1〜10の1価アルコールからなる群から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の電解用電極の製造方法。
  8. 乾燥温度が、120〜250℃であることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の電解用電極の製造法。
  9. 熱分解法での処理温度が、400〜550℃であることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の電解用電極の製造法。
  10. チタン基体上に電極活性層として白金族金属及び/またはその酸化物を設けてなる電解用電極の製造法において、前記チタン基体上に高分子状二酸化チタン溶液を溶媒雰囲気下で付着、乾燥させる高分子状二酸化チタン前処理により、二酸化チタン超薄膜を形成させた後、電気メッキ、ついで熱処理により、白金族金属及び/またはその酸化物からなる電極活性層を形成させ、かつ前記チタン基体と前記電極活性層との間に前記チタン基体成分と前記電極活性層成分とが相互に拡散された拡散混合層を形成させることを特徴とする電解用電極の製造法。
  11. 高分子状二酸化チタン溶液が、チタンアルコキシドを芳香族化合物溶媒に溶解させ、ついで温度0〜6℃で水−アルコール混合溶液を添加させた後、温度0〜60℃で、超音波下または撹拌放置下、加水分解、脱水縮合させたものであることを特徴とする請求項10に記載の電解用電極の製造方法。
  12. 高分子状二酸化チタン溶液が、芳香族化合物溶媒1lに対してチタンアルコキシドを0.03〜1.5molとなる量で溶解させ、ついで温度0〜6℃で、水含有量が1〜20wt%の水−アルコール混合溶液を、チタンアルコキシド1molに対して水が0.5〜2molとなる量で添加させた後、温度0〜60℃で、超音波下または撹拌放置下、加水分解、脱水縮合させたものであることを特徴とする請求項10に記載の電解用電極の製造法。
  13. 芳香族化合物溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンからなる群から選ばれた1種もしくは2種以上であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の電解用電極の製造法。
  14. チタンアルコキシドのアルコキシ基の炭素数が、1〜5であり、かつ水−アルコール混合溶液のアルコールが、炭素数1〜10の1価アルコールからなる群から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の電解用電極の製造方法。
  15. 乾燥温度が、120〜250℃であることを特徴とする請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の電解用電極の製造法。
  16. 熱処理温度が、350〜550℃であることを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の電解用電極の製造法。
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