JP3743154B2 - 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び成形材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばSMC(シートモールディングコンパウンド)等のシート状成形材料や、BMC(バルクモールディングコンパウンド)等のバルク状成形材料に好適に用いられる不飽和ポリエステル樹脂組成物およびこれを含む成形材料に関するものであり、均一着色性を有し、かつスカミングを発生せず、さらに表面平滑性および表面光沢に優れた成形品を得ることのできる不飽和ポリエステル樹脂組成物及び成形材料を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より不飽和ポリエステルは、例えば、SMCやBMC等に好適に用いられている。しかし、不飽和ポリエステルを用いたこのような材料は硬化時に収縮が起こり、補強用のガラス繊維が浮き出すことから、その硬化物の表面平滑性が失われるという問題点を有している。この収縮を防ぐために、通常熱可塑性重合体であるポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレートおよびゴムなどを添加し、低収縮化剤として用いている。ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートおよびゴムは、不飽和ポリエステル樹脂に不溶であるために、不飽和ポリエステル樹脂中に分散させた状態で存在することになり、成形品表面でミクロ的に不均一となることから、スカミング、色ムラさらに表面の微細な波打ちなどの欠陥を招く。一方、ポリ酢酸ビニルは、不飽和ポリエステルに溶解し、均一になることから成形品の表面平滑性には優れるが、成形品は白化し、着色性に問題がある。
【0003】
そこで、例えば、特公昭51−1276号公報、特公昭63−61344号公報、特開平9−241496号公報等には、硬化時の収縮を低減させ、スカミングを防止し、表面平滑性を向上させるために、低収縮化剤として三次元スチレンポリマーを用いた不飽和ポリエステル樹脂組成物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、低収縮化剤として三次元スチレンポリマーを用いることによって硬化時の収縮を低減させることはできるものの、三次元スチレンポリマーの膨潤等によって不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度の上昇を招くため、ガラス繊維等の補強材に対する含浸性が低下し、成形品の膨れ等の欠陥を生じ易くなる。特にSMC等のシート状成形材料に用いる場合、補強材を含んだ組成物の混練が可能なBMC等に比べて補強材に対する含浸性の低下が顕著なため、成形が困難となる。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を改善するものであり、その目的は、均一着色性、表面平滑性、表面光沢等の物性に優れた成形品を得ることができる不飽和ポリエステル樹脂組成物および成形材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究の結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
即ち、本発明は、式(1)で表される不飽和ポリエステルの相溶化パラメーターが9.0以下であることを特徴とする不飽和ポリエステルと重合性不飽和単量体からなる不飽和ポリエステル樹脂組成物。
【0008】
【数2】
SPSM:スチレンモノマーのSP値=9.3(cal/cm3)0.5
SPHP:n−ヘプタンのSP値=7.4(cal/cm3)0.5
SMv:スチレンモノマーの体積(25℃での密度を0.9001g/cm3とした)
HPv:n−ヘプタンの滴下量(ml)
(SPは25℃での相溶化パラメーターを表し、不飽和ポリエステル樹脂中の不揮発分を40重量%にスチレンモノマーで調整したものを40gサンプル瓶に取り、25℃の水槽に浸し、温度を一定にした後、n−ヘプタンで滴定し算出した値を示す。)更に、好ましくは低収縮化剤として熱可塑性重合体を含むこと、好ましくは低収縮化剤としての熱可塑性重合体が、ポリスチレンを主成分とする重合体、ポリメチルメタクリレートを主成分とする重合体、ポリ酢酸ビニルエステルを主成分とする重合体、の群から選択される1種以上であること、好ましくは更に補強材を含むこと、これらを含む成形材料を提供する。
【0009】
次に本発明を詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、式(1)で表される不飽和ポリエステルの相溶化パラメーターが9.0以下であることを特徴とする不飽和ポリエステルと重合性不飽和単量体からなる不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0011】
【数3】
SPSM:スチレンモノマーのSP値=9.3(cal/cm3)0.5
SPHP:n−ヘプタンのSP値=7.4(cal/cm3)0.5
SMv:スチレンモノマーの体積(25℃での密度を0.9001g/cm3とした)
HPv:n−ヘプタンの滴下量(ml)>0
SPは25℃での相溶化パラメーターを表し、不飽和ポリエステル樹脂組成物中の不揮発分を40重量%にスチレンモノマーで調整したものを40gサンプル瓶に取り、25℃の水槽に浸し、温度を一定にした後、n−ヘプタンで滴定し算出した値を示す。
【0012】
本発明に使用されうる不飽和ポリエステルは、不飽和ポリエステルの相溶化パラメーター(SP)が、9.0以下であればその組成は特に制限されるものではない。SPは、より好ましくは8.8以下、7.4より大きい値が好適である。相溶化パラメーターを9.0以下にすることによって、各種低収縮化剤との相溶性が向上し、分散性が改善されることによって、表面平滑性、光沢、均一着色性などの特徴が発現されるものである。相溶化パラメーターが9.0より大きい場合、低収縮化剤の分散性が悪くなり、スカミング等の欠陥が発生する。該本発明の不飽和ポリエステルは、α,β−不飽和カルボン酸または場合により飽和カルボン酸を含むα,β−不飽和カルボン酸とアルコールとから得られるものである。
【0013】
α,β−不飽和カルボン酸としては、例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロロマレイン酸、あるいはこれらのジメチルエステル類などが挙げられる。これらのα,β−不飽和カルボン酸はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、飽和カルボン酸としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘッド酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸などが挙げられる。これらの飽和カルボン酸はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0014】
一方、アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリンモノアリルエーテル、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2−メチルプロパンジオールなどのジオール類、トリメチロールプロパンなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類などが挙げられる。これらのアルコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
さらに、ジシクロペンタジエンを添加し、上記α,β−不飽和カルボン酸、飽和カルボン酸およびアルコールと共に反応し得られるジシクロペンタジエン系不飽和ポリエステルも使用できる。
【0016】
本発明の相溶化パラメーター(SP)とは、不飽和ポリエステル樹脂中の不揮発分を40重量%にスチレンモノマーで調整したものを40gサンプル瓶に取り、25℃の水槽に浸し、温度を一定にした後、n−ヘプタンで滴定し算出した値を示すものである。
【0017】
具体的には、温度を一定にした該試料に25℃のn−ヘプタンをビュレットで滴下しながら、スターラー、ガラス棒等を使用し、良く撹拌し、試料が白濁したら滴下量を読みとる。次に、下式を用いて相溶化パラメーターの(SP)を求めれば良い。
【0018】
【数4】
【0019】
SPSM:スチレンモノマーのSP値=9.3(cal/cm3)0.5
SPHP:n−ヘプタンのSP値=7.4(cal/cm3)0.5
SMv:スチレンモノマーの体積(25℃での密度を0.9001g/cm3とした)
HPv:n−ヘプタンの滴下量(ml)
【0020】
上記不飽和ポリエステルの製造方法は、特に限定されるものではなく、常用の方法を用いることができる。また、ジシクロペンタジエン系不飽和ポリエステルも常法によって合成できる。
【0021】
また、上記製造に際して、あるいは反応後、重合によるゲル化の防止や、得られる不飽和ポリエステルの保存安定性または硬化性を調整するために、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては特に限定されるものではなく、従来公知の重合禁止剤を用いることができる。具体的には、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、トルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ナフテン酸銅等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、一種のみを用いても良く、また、二種以上を適時混合して用いても良い。尚、上記重合禁止剤の添加量は、特に限定されるものではない。
【0022】
上記不飽和ポリエステルを溶解するための重合性単量体としてスチレンが用いられ、必要に応じ、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、ビニルトルエン、ジアリルフタレート等を併用しても良い。上記重合性単量体の配合量は、特に限定されるものではないが、不飽和ポリエステルに対して、10重量%〜70重量%の範囲内が好ましく、30重量%〜50重量%の範囲内がさらに好ましい。
【0023】
また、本発明において用いられる低収縮化剤は、通常不飽和ポリエステル樹脂組成物に用いられる低収縮化剤が使用でき、特に限定されるものではないが、スチレンモノマーの重合体を主成分とした低収縮化剤、メチルメタクリレートの重合体を主成分とした低収縮化剤、酢酸ビニルエステルの重合体を主成分とする低収縮化剤等を使用することができる。また、スチレンと酢酸ビニルエステルのブロック重合体も使用できる。均一着色性の点からは、スチレンモノマーの重合体を主成分とする低収縮化剤が好適に用いられる。さらに、好適にはメタクリル酸、メタクリル酸、およびそれらのエステル類を必要に応じ、重合体成分中30重量%までの範囲で共重合体としたものが良好である。また、重合体の分子量は特に限定されるものではないが、好ましくは、重量平均分子量10000以上のものが良い。
【0024】
該樹脂組成物を加熱硬化成形するために硬化触媒を用いる。本発明に使用される硬化触媒は、通常の高温硬化型の触媒を使用することが好ましい。例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどを挙げることができる。硬化触媒は1種のみを用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。硬化触媒の配合量は不飽和ポリエステル樹脂組成物100重量部あたり0.5〜7重量部であり、好ましくは1〜5重量部である。
【0025】
該不飽和ポリエステル樹脂組成物が、充填材や補強材等の添加剤をさらに含むことで、さらに優れた物性を有すると共に、種々の用途に使用可能な成形材料として用いることができる。
【0026】
上記充填材としてはとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、バーライト、バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト石灰石、セッコウ、アルミニウム微粉、中空バルーン、アルミナ、ガラス粉、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリブデンなどが挙げられる。これらの充填材は、作業性や得られる成形品の強度、外観、経済性などを考慮して選ばれるが、通常炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム、シリカなどがよく用いられる。
【0027】
強化材としては、通常強化材として用いられるものでよく、例えば、ガラス繊維、ポリエステル繊維、フェノール繊維、ポリビニルアルコール繊維、芳香族ポリアミド繊維、ナイロン繊維、炭素繊維がある。これらの形態としては、例えば、チョップドストランド、チョップドストランドマット、ロービング、織物状などが挙げられる。これらの繊維補強材は組成物の粘度や得られる成形品の強度などを考慮して選ばれる。
【0028】
本発明においては、本発明の目的が損なわれない範囲で、従来BMC/SMC用不飽和ポリエステル樹脂組成物に慣用されている各種添加剤、例えば、離型剤、顔料、なども所望に応じ配合することができる。
【0029】
離型剤としては、例えば、ステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩、あるいはアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。この離型剤は樹脂分100重量部に対して、通常0.5〜5重量部の割合で用いられる。これらの他に、消泡剤、減粘剤などを必要に応じて用いることができる。
【0030】
上記顔料としては、特に制限されるものではないが、ビヒクルとして飽和ポリエステルを使用することが好ましい。濃色として黄色酸化鉄(鉄黄)、赤色酸化鉄(弁柄)、カーボンブラック、フタロシアニンブルーなども用いることができる。
【0031】
また、SMCおよびBMCを作成する場合には、増粘剤として酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの金属酸化物や水酸化物を添加することができる。
【0032】
さらに、上記不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が高く、SMC等に使用困難な場合には、減粘剤を使用することもできる。減粘剤としては、得られる不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度を低下させることができるものであれば、特に限定されるものではない。このような減粘剤としては、具体的には、例えば、飽和ポリエステル系化合物、BYK(登録商標;品名W900、W905、W960、W965、W980、W990、W995、W996、W9010)等が挙げられる。これらの減粘剤は一種類のみを用いても良く、二種類以上を混合して用いても良い。
【0033】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いたSMCの製造法は、常温で液状の不飽和ポリエステル樹脂に、例えば、プラネタリーミキサー、ニーダーなどの公知の混合機を用いて、硬化触媒、低収縮化剤を混合分散させる。さらに無機フィラー、顔料、必要に応じて内部離型剤、分散剤、最後に増粘剤としてMgOを加え混合攪拌する。SMCを作製する場合の繊維強化材の添加部位は、通常SMCマシンにおける混合物圧延工程の手前である。混合機で調製されたコンパウンドは、2つの離型フィルムの一方または双方にフローコーターまたはドクターナイフによって0.3〜5mmの一定の厚さに塗布し、その上に繊維強化材をチョッパーにより切断して散布してから塗布面を内にして貼合わせ、圧延機によって圧延し厚さ0.5〜7mmのシートを得、両面を離型フィルムで被覆した状態でローラーによって巻とるか、折り畳む。
【0034】
増粘過程は、増粘剤の種および量によって温度が異なるが、常温および加熱によって数時間から数日で行う。得られたSMCの離型フィルムの剥離性は極めて良好である。
【0035】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いたBMCの製造法は、繊維強化材も含めたすべての成分をプラネタリーミキサー、ニーダーなどの公知の混合機を用いて同時に混合分散させる。混合された組成物はポリエチレンの袋に取り出し、密閉する。組成物はSMCの場合と同様、常温および加熱によって増粘させる。BMCの形状は、ペレット状、小石状、レンガ状など種々の形状と大きさが可能であるが、通常、径または一辺が0.7cm〜1mの大きさである。
【0036】
上記不飽和ポリエステル樹脂組成物の用途は、通常使用されうる範囲であれば、特に限定されるものではないが、成形材料、好ましくは、SMC、BMCなど、加熱圧縮成形用成形材料として用いることができる。
【0037】
【実施例】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、文中「部」とあるのは、重量部を示すものである。
【0038】
(実施合成例1)
攪拌機、還流冷却塔、不活性ガス導入管、温度計、及び滴下装置を取り付けた2リットルの四口フラスコにジプロピレングリコール67部、無水マレイン酸39部、テトラヒドロ無水フタル酸13部を仕込み、窒素ガス置換した。210℃まで昇温し、該反応温度を保ちながら約9時間撹拌することにより反応を完了させて不飽和ポリエステルを得た。該不飽和ポリエステルの酸価は20mgKOH/gであった。その後、該不飽和ポリエステル100部に対して、重合禁止剤としてハイドロキノン0.01部を加えた後、スチレンモノマー51部に溶解させることにより、液状の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0039】
所定の方法によって測定した相溶化パラメーターの下限は8.7であった。
【0040】
(実施合成例2)
攪拌機、還流冷却塔、不活性ガス導入管、温度計、及び滴下装置を取り付けた2リットルの四口フラスコにプロピレングリコール15部、ジプロピレングリコール46部、ネオペンチルグリコール34部、水素化ビスフェノールA15部、無水マレイン酸82部、イソフタル酸24部を仕込み、窒素ガス置換した。210℃まで昇温し、該反応温度を保ちながら約10時間撹拌することにより反応を完了させて不飽和ポリエステルを得た。該不飽和ポリエステルの酸価は18mgKOH/gであった。その後、該不飽和ポリエステル100部に対して、重合禁止剤としてハイドロキノン0.01部を加えた後、スチレンモノマー51部に溶解させることにより、液状の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0041】
所定の方法によって測定した相溶化パラメーターの下限は8.8であった。
【0042】
(実施合成例3)
攪拌機、還流冷却塔、不活性ガス導入管、温度計、及び滴下装置を取り付けた2リットルの四口フラスコにプロピレングリコール32部、ネオペンチルグリコール44部、無水マレイン酸86部を仕込み、150℃まで昇温後、120℃まで冷却し、ジシクロペンタジエン35部を仕込み、120〜140℃の温度で酸価220がとなるまで反応した。次に、トルハイドロキノンを0.01部加え、6時間反応後温度を下げ、スチレンモノマー103部、ターシャリーブチルカテコール0.01部仕込み、不揮発分64%、酸価18、粘度6.3psのジシクロペンタジエン系不飽和ポリエステルを得た。
【0043】
所定の方法によって測定した相溶化パラメーターの下限は8.8であった。
【0044】
(比較合成例1)
攪拌機、還流冷却塔、不活性ガス導入管、温度計、及び滴下装置を取り付けた2リットルの四口フラスコにプロピレングリコール78部、無水マレイン酸94部を仕込み、窒素ガス置換した。210℃まで昇温し、該反応温度を保ちながら約9時間撹拌することにより反応を完了させて不飽和ポリエステルを得た。該不飽和ポリエステルの酸価は19mgKOH/gであった。その後、該不飽和ポリエステル100部に対して、重合禁止剤としてハイドロキノン0.01部を加えた後、スチレンモノマー51部に溶解させることにより、液状の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0045】
所定の方法によって測定した相溶化パラメーターの下限は9.2であった。
【0046】
(比較合成例2)
攪拌機、還流冷却塔、不活性ガス導入管、温度計、及び滴下装置を取り付けた2リットルの四口フラスコにプロピレングリコール30部、エチレングリコール25部、水素化ビスフェノールA48部、無水マレイン酸96部、テトラヒドロ無水フタル酸3部を仕込み、窒素ガス置換した。210℃まで昇温し、該反応温度を保ちながら約10時間撹拌することにより反応を完了させて不飽和ポリエステルを得た。該不飽和ポリエステルの酸価は18mgKOH/gであった。その後、該不飽和ポリエステル100部に対して、重合禁止剤としてハイドロキノン0.01部を加えた後、スチレンモノマー51部に溶解させることにより、液状の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0047】
所定の方法によって測定した相溶化パラメーターの下限は9.1であった。
【0048】
(実施例1)
実施合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂80部、パラベンゾキノン0.06部、重量平均分子量28万のポリスチレンの50%スチレンモノマー溶液20部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛7部、炭酸カルシウム140部、顔料に飽和ポリエステルをビヒクルとしたフタロシアニンブルーを0.1部、硬化触媒としてt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート1.5部を混合し、均一に分散するまで充分撹拌した。その後、該混合物に、さらに増粘剤として酸化マグネシウム1.3部を添加した後、得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物中の含有量が26重量%となるように、補強材としての繊維長1インチのガラス繊維を分散させ、常用のSMC製造装置によってSMCを作成した。得られたSMCはアルミ蒸着フィルムに包み、40℃で約24時間熟成した。その後、該SMCを上型145℃、下型135℃に調整した金型に供給し、圧力70kgf/cm2(面圧)で4分間加圧保持することによって30×30cmの平板に成形した。得られた成形品のスカミング、均一着色性、表面平滑性、光沢の評価は、下記に示す方法で行った。結果を表1に示した。
【0049】
(実施評価方法)
スカミングの評価:目視によって、スカミングの有無を判定。
【0050】
均一着色性の評価:目視での評価とともに色差計(日本電色工業製カラーマシンΣ80)を使用し、成形品の任意の直線上で1cm間隔で12点以上のL値を測定する。該L値の平均値を算出し、それを標準としてL値のばらつき(標準偏差)を算出し指標とする。
【0051】
表面平滑性の評価:目視評価と、面歪測定機SURFMATIC(東京貿易(株))を使用し、表面凹凸の2次微係数を測定する。
【0052】
表面光沢:目視および光沢計(村上色彩技術研究所:GM26D)を使用し、60°光沢により評価。
【0053】
(実施例2)
実施合成例2で得られた不飽和ポリエステル樹脂80部を使用する以外は、実施例1と同様に不飽和ポリエステル樹脂組成物、SMCを作成した。また、成形および成形品評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0054】
(実施例3)
実施合成例3で得られた不飽和ポリエステル樹脂80部を使用する以外は、実施例1と同様に不飽和ポリエステル樹脂組成物、SMCを作成した。また、成形および成形品評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0055】
(比較例1)
比較合成例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂80部を使用する以外は、実施例1と同様に不飽和ポリエステル樹脂組成物、SMCを作成した。また、成形および成形品評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0056】
(比較例2)
比較合成例2で得られた不飽和ポリエステル樹脂80部を使用する以外は、実施例1と同様に不飽和ポリエステル樹脂組成物、SMCを作成した。また、成形および成形品評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
【0059】
【0060】
表1に記載の結果から明らかなように、本実施例によれば、従来よりも均一着色性、表面平滑性、光沢に優れた成形品が得られることが判った。
【0061】
【発明の効果】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステルの相溶化パラメーターが9.0以下であることにより、均一着色可能でかつ表面平滑性および表面光沢に優れた成形品をスカミング等の欠陥を発生しないものである。
【0062】
また、本発明では、特定の相溶化パラメーターを満足する不飽和ポリエステル樹脂組成物であれば特定の原料組成を必須としないことに特徴がある。
Claims (5)
- 不飽和ポリエステルと重合性不飽和単量体とからなる不飽和ポリエステル樹脂組成物において、式(1)で表される不飽和ポリエステルの相溶化パラメーター(以下SPと略す)が9.0以下であることを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂組成物。
SPHP:n−ヘプタンのSP値=7.4(cal/cm3)0.5
SMv:スチレンモノマーの体積(25℃での密度を0.9001g/cm3とした)
HPv:n−ヘプタンの滴下量(ml)
( SPは25℃での相溶化パラメーターを表し、不飽和ポリエステル樹脂中の不揮発分を40重量%にスチレンモノマーで調整したものを40gサンプル瓶に取り、25℃の水槽に浸し、温度を一定にした後、n−ヘプタンで滴定し算出した値を示す。) - 更に、低収縮化剤として熱可塑性重合体を含むことを特徴とする請求項1記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 低収縮化剤としての熱可塑性重合体が、ポリスチレンを主成分とする重合体、ポリメチルメタクリレートを主成分とする重合体、ポリ酢酸ビニルエステルを主成分とする重合体、の群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項2記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 更に、強化材を含むことを特徴とする請求項2〜3いずれか記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項2〜4の少なくとも何れか1項に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を含むことを特徴とする成形材料。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP07547698A JP3743154B2 (ja) | 1998-03-24 | 1998-03-24 | 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び成形材料 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP07547698A JP3743154B2 (ja) | 1998-03-24 | 1998-03-24 | 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び成形材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11269366A JPH11269366A (ja) | 1999-10-05 |
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