JP3742860B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、空気調和機に関し、さらに詳しくは熱交換器を通過する空気の偏流発生を解消し得るようにした空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、図1に示すように、ケーシング1内の中央部に配設されたファン(例えば、ターボファン)2の吹出側に該ターボファン2を囲繞するように内側熱交換器3Aと外側熱交換器3Bとを二重に配設し、これらの熱交換器3A,3Bの対向空間を二次側通路4とするとともに、前記両熱交換器3A,3Bの上端部を連結板5で連結し、該連結板5と前記ケーシング1との間に、前記外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bに連通する空気通路7を形成して、前記両熱交換器3A,3Bに前記ターボファン2からの一次側空気W1が直接送風されるように構成した天井埋込式の空気調和機、あるいは図12に示すように、ファン(例えば、シロッコファン)2の吹出側に位置し、該シロッコファン2から送風される一次側空気W1の流入方向に対する傾斜角αが小さくなるようにケーシング1内に配設された熱交換器3を備えた天井吊り下げ型の空気調和機は、従来からよく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の空気調和機の場合、図1に示す天井埋込式空気調和機においては、図3に示すように、外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bが、通路断面の狭い行き止まり形状とされているため、一次側通路6Bを流れる一次側空気W1の主流は、外側熱交換器3B自身の抵抗による整流作用が十分に働かず、該一次側通路6Bにおける外側熱交換器3Bと対向する壁面12に沿って流入した後に外側熱交換器3Bを通過することとなるため、外側熱交換器3Bを通過する空気の風速分布A′が下方側(換言すれば、奥側)に偏った不均一なものとなるし、図12に示す天井吊り下げ型空気調和機においては、一次側通路6が、熱交換器3の前方側に向かうに従って狭くなる行き止まり形状とされているため、一次側通路6を流れる一次側空気W1は、熱交換器3自身の抵抗による整流作用が十分に働かず、該一次側通路6における熱交換器3と対向する壁面12に沿って流入した後に熱交換器3を通過することとなるため、熱交換器3を通過する空気の風速分布A′が前方側(換言すれば、奥側)に偏った不均一なものとなる。
【0004】
上記したように熱交換器通過風速分布が不均一となると、熱交換能力が低下するし、局所的に風速が大きくなることによる空力騒音の発生やドレン水の飛散などの不具合が生じる。
【0005】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、通路断面が狭い行き止まり形状の一次側通路から熱交換器を通過する空気の風速分布が均一となるようにすることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、上記課題を解決するための手段として、ケーシング1内の中央部に配設されたファン2の吹出側に該ファン2を囲繞するように内側熱交換器3Aと外側熱交換器3Bとを二重に配設し、これらの熱交換器3A,3Bの対向空間を二次側通路4とするとともに、前記両熱交換器3A,3Bの上端部を連結板5で連結し、該連結板5と前記ケーシング1との間に、前記外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bに連通する空気通路7を形成して、前記両熱交換器3A,3Bに前記ファン2からの一次側空気W1が直接送風されるように構成した空気調和機において、前記外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bにおける前記外側熱交換器3Bの一次側に対向する壁面12に、前記一次側空気W1が衝突する形状の突部13を設けている。
【0007】
上記のように構成したことにより、外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bが通路断面の狭い行き止まり形状であっても、該一次側通路6Bを流れる一次側空気W1が、該外側熱交換器3Bの一次側に対向する壁面12に形成された突部13に衝突して、一次側空気W1の運動エネルギーが圧力に変換されることとなり、外側熱交換器3Bを通過する空気の風速分布Aが均一化される。その結果、熱交換能力が向上するし、空力騒音の発生やドレン水の飛散も防止できる。
【0008】
請求項2の発明では、上記課題を解決するための手段として、ファン2の吹出側に位置し、該ファン2から送風される一次側空気W1の流入方向に対する傾斜角αが小さくなるようにケーシング1内に配設された熱交換器3を備えた空気調和機において、前記熱交換器3の一次側通路6を形成する部材における前記熱交換器3の一次側に対向する壁面12に、前記一次側空気W1が衝突する形状の突部13を設けている。
【0009】
上記のように構成したことにより、熱交換器3の一次側通路6が通路断面の狭い行き止まり形状であっても、該一次側通路6を流れる一次側空気W1が、該熱交換器3の一次側に対向する壁面12に形成された突部13に衝突して、一次側空気W1の運動エネルギーが圧力に変換されることとなり、熱交換器3を通過する空気の風速分布Aが均一化される。その結果、熱交換能力が向上するし、空力騒音の発生やドレン水の飛散も防止できる。
【0010】
請求項3の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突部13における前記一次側空気W1の主流方向上の位置を、該一次側空気W1の主流方向に直交する方向において変化させた場合、一次側空気W1の主流方向のみならず、該一次側空気W1の主流方向に直交する方向においても風速分布の偏流が抑制されることとなり、熱交換器全体での通過風速分布を均一化することができる。
【0011】
請求項4の発明におけるように、請求項3記載の空気調和機において、前記突部13における一次側空気W1の主流方向上の位置が変化する部位に、一次側空気W1の主流の上流方向に延びる偏流防止手段14を設けた場合、突部13における一次側空気W1の主流方向上の位置を、該一次側空気W1の主流方向に直交する方向において変化させたことにより、前記ファン2から遠い位置となる突部13側に一次側空気W1の主流が流れ易くなって、一次側空気W1の主流方向に直交する方向に偏流が発生するおそれがあるが、偏流防止手段14を設けたことにより、上記偏流が効果的に抑制されることとなり、熱交換器全体での通過風速分布をより一層均一化することができる。
【0012】
請求項5の発明におけるように、請求項1、2、3および4のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突部13の基部13aを曲面で形成した場合、一次側空気W1が突部13に衝突したときに生ずる圧力損失や乱流騒音の発生を低減することができる。
【0013】
請求項6の発明におけるように、請求項1、2、3、4および5のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突部13を前記一次側空気W1の主流方向に複数形成するとともに、これらの突部13,13・・の突出量Lを、前記一次側空気W1の流速Uに対応させて変化させた場合、熱交換器の一次側空気W1が突部13,13・・に衝突したときの運動エネルギーの圧力への変換が平均化することとなり、熱交換器全体での通過風速分布をより一層均一化することができる。
【0014】
請求項7の発明におけるように、請求項1、2、3、4および5のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突部13を前記一次側空気W1の主流方向に複数形成するとともに、これらの突部13,13・・間を、下流側に向かうにしたがって流路が狭くなるようにテーパ面15,15・・で連結した場合、上流側に位置する突部13への一次側空気W1の衝突により該突部13の下流側において空気流の剥離Eが発生して下流側の突部13に衝突する風量が小さくなるという現象が生ずるが、突部13,13・・間を、下流側に向かうにしたがって流路が狭くなるようにテーパ面15,15・・で連結したことによって、突部13,13・・間において流路が徐々に狭まってテーパ面15,15・・に剥離した流れEが再付着することとなり、剥離Eによる悪影響を緩和することができる。
【0015】
請求項8の発明におけるように、請求項1、2、3、4、5、6および7のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突部13を形成する部材あるいは該突部13を含む壁面12全体を吸音材17で構成した場合、一次側空気W1の突部13への衝突により生ずるおそれのある衝突音を吸音材17が吸収することとなり、騒音発生を抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの好適な実施の形態について詳述する。
【0017】
第1の実施の形態
図1および図2には、本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機が示されている。
【0018】
この空気調和機は、天井埋込式空気調和機とされており、図1に示すように、直方体形状のケーシング1内の中央部に配設されたファン(例えば、ターボファン)2の吹出側に該ターボファン2を囲繞するように内側熱交換器3Aと外側熱交換器3Bとを二重に配設し、これらの熱交換器3A,3Bの対向空間を二次側通路4とするとともに、前記両熱交換器3A,3Bの上端部を連結板5で連結し、該連結板5と前記ケーシング1との間には、前記外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bに連通する空気通路7を形成して、前記両熱交換器3A,3Bに前記ターボファン2からの一次側空気W1が直接送風されるように構成されている。符号6Aは内側熱交換器3Aの内側に形成される一次側通路、8はファンモータ、9は空気吸込口、10は空気吹出口、11A,11Bは内側熱交換器3Aおよび外側熱交換器3Bからのドレンを受ける吸音断熱材製のドレンパンである。
【0019】
ところで、上記構成の空気調和機の場合、図3に示すように、一次側通路6Bにおける外側熱交換器3Bの一次側と対向する壁面12を平坦面のままとすると、前述したように、外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bが、通路断面の狭い行き止まり形状とされているため、一次側通路6Bを流れる一次側空気W1の主流は、熱交換器6B自身の抵抗による整流作用が十分に働かず、該一次側通路6Bにおける外側熱交換器3Bと対向する壁面12に沿って流入した後に外側熱交換器3Bを通過することとなるため、外側熱交換器3Bを通過する空気の風速分布が、図3に符号A′で示すように、下方側(換言すれば、奥側)に偏った不均一なものとなる
そこで、本実施の形態においては、前記一次側通路6Bにおける前記外側熱交換器3Bの一次側と対向する壁面12を、前記ドレンパン11Bの外側側面11Baと吸音材17とによって構成し、前記壁面12に、前記一次側空気W1が衝突する形状の突部13,13,13が設けている。そして、該各突部13の下方は鉛直面とされている。また、前記突部13,13,13のうちの再下端に位置するものは、前記ドレンパン11Bの外側側面11Baの上端部により構成されている。上記突部13は、図示の段形状に限定されるものではなく、壁面12から突出する突起形状とすることもできる。
【0020】
上記のように構成したことにより、図2に示すように、外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bが通路断面の狭い行き止まり形状であっても、該一次側通路6Bを流れる一次側空気W1が、該外側熱交換器3Bの一次側に対向する壁面12に形成された突部13,13,13に衝突して、一次側空気W1の運動エネルギーが圧力に変換されることとなり、外側熱交換器3Bを通過する空気の風速分布Aが均一化される。その結果、熱交換能力が向上するし、空力騒音の発生やドレン水の飛散も防止できる。しかも、該突部13を含む壁面12全体を吸音断熱材製のドレンパン11Bの外側側面11Baおよび吸音材17で構成しているので、一次側空気W1の突部13への衝突により生ずるおそれのある衝突音をドレンパン11Bの外側側面11Baおよび吸音材17が吸収することとなり、騒音発生を抑制することができる。なお、突部13を形成する部材のみを吸音材で構成してもよい。
【0021】
ところで、前記各突部13の高さ(換言すれば、一次側空気W1の主流方向上の位置)を、一次側空気W1の主流方向に直交する方向において同じとした場合、突部3が形成されていない壁面12に対応する部位と対向する外側熱交換器3Bを通過する空気の流速が落ちることとなる(図2の風速分布A参照)。
【0022】
上記不具合に対処するためには、図4に示すように、前記各突部13における前記一次側空気W1の主流方向の高さ(換言すれば、主流方向上の位置)を、該一次側空気W1の主流方向に直交する方向において変化させるとよい。このようにすると、一次側空気W1の主流方向のみならず、該一次側空気W1の主流方向に直交する方向においても風速分布の偏流が抑制されることとなり、熱交換器全体での通過風速分布を均一化することができる。
【0023】
上記したように、各突部13における前記一次側空気W1の主流方向の高さ(換言すれば、主流方向上の位置)を、該一次側空気W1の主流方向に直交する方向において変化させた場合、図6に示すように、高さの低い(換言すれば、ファン2から遠い位置となる)突部13側に一次側空気W1の主流が流れ易くなって、一次側空気W1の主流方向に直交する方向に偏流が発生するおそれがある。
【0024】
上記不具合に対処するためには、図5に示すように、前記各突部13における一次側空気W1の主流方向の高さ(換言すれば、主流方向上の位置)が変化する部位(即ち、突部13の両端部)に、一次側空気W1の主流の上流方向に延びる偏流防止手段(偏流防止板)14をそれぞれ設けるとよい。このようにすると、偏流防止手段14を設けたことによって、高さの低い(換言すれば、ファン2から遠い位置となる)突部13側に一次側空気W1の主流が流れにくくなり、上記偏流が効果的に抑制される。
【0025】
また、前記突部13の突出量Lは、前記一次側空気W1の流速に対応させて変化させるとよい。例えば、各位置における一次側空気W1の主流の平均流速、あるいは突部13が形成されている壁面近傍の流速をUとしたとき、L∝β(1/U2)の関係が成立するようにすればよい。即ち、図7に示すように、一次側空気W1の流速が速い(U=U1とされる)上流側の突出量L1より一次側空気W1の流速が遅い(U=U2とされる)下流側の突出量L2を大きくすればよい。このようにすると、熱交換器3Bの一次側空気W1が突部13に衝突したときの運動エネルギーの圧力への変換が平均化することとなり、熱交換器全体での通過風速分布をより一層均一化させることができる。
【0026】
さらに、図8に示すように、前記各突部13の基部13aを曲面で形成してもよい。このようにすると、一次側空気W1が突部13に衝突したときに生ずる圧力損失や乱流騒音の発生を低減することができる。
【0027】
さらにまた、図10に示すように、突部13,13間を鉛直面15′で連結した場合には、上流側に位置する突部13への一次側空気W1の衝突により該突部13の下流側において空気流の剥離Eが発生して下流側の突部13に衝突する風量が小さくなるという現象が生ずる。
【0028】
上記不具合に対処するためには、図9に示すように、突部13,13間を、下流側に向かうにしたがって流路が狭くなるようにテーパ面15で連結すればよい。このようにすると上流側に位置する突部13への一次側空気W1の衝突により、その下流側で生じた剥離Eが、突部13,13間において流路が徐々に狭まることにより、テーパ面15に再付着することとなり、剥離による悪影響を緩和することができる。
【0029】
第2の実施の形態
図11には、本願発明の第2の実施の形態にかかる空気調和機が示されている。
【0030】
この場合、空気調和機は、天井吊り下げ型空気調和機とされており、ファン(例えば、シロッコファン)2の吹出側に位置し、該シロッコファン2から送風される一次側空気W1の流入方向に対する傾斜角αが小さくなるように直方体形状のケーシング1内に配設された熱交換器3とを備えて構成されている。符号4は二次側通路、6は一次側通路、9は空気吸込口、10は空気吹出口、11は熱交換器3からのドレンを受けるドレンパン、16はファンケーシングである。
【0031】
ところで、上記構成の空気調和機の場合、図12に示すように、一次側通路6における外側熱交換器3Bの一次側と対向する壁面(例えば、ファンケーシング16の吹出口16aの一部)12を平坦面のままとすると、前述したように、一次側通路6が、熱交換器3の前方側に向かうに従って狭くなる行き止まり形状とされているため、一次側通路6を流れる一次側空気W1は、熱交換器3自身の抵抗による整流作用が十分に働かず、該一次側通路6における熱交換器3と対向する壁面(例えば、ファンケーシング16の吹出口16aの一部)12に沿って流入した後に熱交換器3を通過することとなり、熱交換器3を通過する空気の風速分布が、図12において符号A′で示すように、前方側(換言すれば、奥側)に偏った不均一なものとなる。
【0032】
そこで、本実施の形態においては、前記熱交換器3の一次側通路6を形成する部材における前記熱交換器の一次側に対向する壁面(例えば、ファンケーシング16の吹出口16aの一部)12には、前記一次側空気W1が衝突する形状の突部13,13・・が設けられている。
【0033】
上記のように構成したことにより、熱交換器3の一次側通路6が通路断面の狭い行き止まり形状であっても、該一次側通路6を流れる一次側空気W1が、該熱交換器3の一次側に対向する壁面12に形成された突部13,13・・に衝突して、一次側空気W1の運動エネルギーが圧力に変換されることとなり、熱交換器3を通過する空気の風速分布Aが均一化される。その結果、熱交換能力が向上するし、空力騒音の発生やドレン水の飛散も防止できる。
【0034】
本実施の形態においても、第1の実施の形態におけると同様に、突部13の形状等に工夫をこらすことができる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ケーシング1内の中央部に配設されたファン2の吹出側に該ファン2を囲繞するように内側熱交換器3Aと外側熱交換器3Bとを二重に配設し、これらの熱交換器3A,3Bの対向空間を二次側通路4とするとともに、前記両熱交換器3A,3Bの上端部を連結板5で連結し、該連結板5と前記ケーシング1との間に、前記外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bに連通する空気通路7を形成して、前記両熱交換器3A,3Bに前記ファン2からの一次側空気W1が直接送風されるように構成した空気調和機において、前記外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bにおける前記外側熱交換器3Bの一次側に対向する壁面12に、前記一次側空気W1が衝突する形状の突部13を設けて、外側熱交換器3Bの外側に形成される一次側通路6Bが通路断面の狭い行き止まり形状であっても、該一次側通路6Bを流れる一次側空気W1が、該外側熱交換器3Bの一次側に対向する壁面12に形成された突部13に衝突して、一次側空気W1の運動エネルギーが圧力に変換されるようにしたので、外側熱交換器3Bを通過する空気の風速分布Aが均一化されることとなり、熱交換能力が向上するし、空力騒音の発生やドレン水の飛散も防止できるという効果がある。
【0036】
請求項2の発明によれば、ファンの吹出側に位置し、該ファン2から送風される一次側空気W1の流入方向に対する傾斜角αが小さくなるようにケーシング1内に配設された熱交換器3を備えた空気調和機において、前記熱交換器3の一次側通路6を形成する部材における前記熱交換器3の一次側に対向する壁面12に、前記一次側空気W1が衝突する形状の突部13を設けて、熱交換器3の一次側通路6が通路断面の狭い行き止まり形状であっても、該一次側通路6を流れる一次側空気W1が、該熱交換器3の一次側に対向する壁面12に形成された突部13に衝突して、一次側空気W1の運動エネルギーが圧力に変換されるようにしたので、熱交換器3を通過する空気の風速分布Aが均一化されることとなり、熱交換能力が向上するし、空力騒音の発生やドレン水の飛散も防止できるという効果がある。
【0037】
請求項3の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突部13における前記一次側空気W1の主流方向上の位置を、該一次側空気W1の主流方向に直交する方向において変化させた場合、一次側空気W1の主流方向のみならず、該一次側空気W1の主流方向に直交する方向においても風速分布の偏流が抑制されることとなり、熱交換器全体での通過風速分布を均一化することができる。
【0038】
請求項4の発明におけるように、請求項3記載の空気調和機において、前記突部13における一次側空気W1の主流方向上の位置が変化する部位に、一次側空気W1の主流の上流方向に延びる偏流防止手段14を設けた場合、突部13における一次側空気W1の主流方向上の位置を、該一次側空気W1の主流方向に直交する方向において変化させたことにより、ファン2から遠い位置となる突部13側に一次側空気W1の主流が流れ易くなって、一次側空気W1の主流方向に直交する方向に偏流が発生するおそれがあるが、偏流防止手段14を設けたことにより、上記偏流が効果的に抑制されることとなり、熱交換器全体での通過風速分布をより一層均一化することができる。
【0039】
請求項5の発明におけるように、請求項1、2、3および4のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突部13の基部13aを曲面で形成した場合、一次側空気W1が突部13に衝突したときに生ずる圧力損失や乱流騒音の発生を低減することができる。
【0040】
請求項6の発明におけるように、請求項1、2、3、4および5のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突部13を前記一次側空気W1の主流方向に複数形成するとともに、これらの突部13,13・・の突出量Lを、前記一次側空気W1の流速Uに対応させて変化させた場合、熱交換器の一次側空気W1が突部13,13・・に衝突したときの運動エネルギーの圧力への変換が平均化することとなり、熱交換器全体での通過風速分布をより一層均一化することができる。
【0041】
請求項7の発明におけるように、請求項1、2、3、4および5のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突部13を前記一次側空気W1の主流方向に複数形成するとともに、これらの突部13,13・・間を、下流側に向かうにしたがって流路が狭くなるようにテーパ面15,15・・で連結した場合、上流側に位置する突部13への一次側空気W1の衝突により該突部13の下流側において空気流の剥離Eが発生して下流側の突部13に衝突する風量が小さくなるという現象が生ずるが、突部13,13・・間を、下流側に向かうにしたがって流路が狭くなるようにテーパ面15,15・・で連結したことによって、突部13,13・・間において流路が徐々に狭まってテーパ面15,15・・に剥離した流れEが再付着することとなり、剥離Eによる悪影響を緩和することができる。
【0042】
請求項8の発明におけるように、請求項1、2、3、4、5、6および7のいずれか一項記載の空気調和機において、前記突部13を形成する部材あるいは該突部13を含む壁面12全体を吸音材17で構成した場合、一次側空気W1の突部13への衝突により生ずるおそれのある衝突音を吸音材17が吸収することとなり、騒音発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機(天井埋込式空気調和機)の縦断面図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機(天井埋込式空気調和機)の要部拡大縦断面図である。
【図3】従来の天井埋込式空気調和機の要部拡大縦断面図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機(天井埋込式空気調和機)における一次側通路壁面に形成される突部の変形例を示す部分拡大斜視図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機(天井埋込式空気調和機)の一次側通路壁面に形成される突部の他の変形例を示す部分拡大斜視図である。
【図6】本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機(天井埋込式空気調和機)の一次側通路壁面に形成される突部の変形例における一次側空気の流れの一例を説明するための部分拡大斜視図である。
【図7】本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機(天井埋込式空気調和機)の一次側通路壁面に形成される突部の突出量と一次側空気の風速との関係を説明するための部分拡大断面図である。
【図8】本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機(天井埋込式空気調和機)の一次側通路壁面に形成される突部のもう一つの変形例を示す部分拡大断面図である。
【図9】本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機(天井埋込式空気調和機)の一次側通路壁面に形成される突部の他のもう一つの変形例を示す部分拡大断面図である。
【図10】本願発明の第1の実施の形態にかかる空気調和機(天井埋込式空気調和機)の一次側通路壁面に形成される突部近傍における一次側空気の流れの一例を説明するための部分拡大断面図である。
【図11】本願発明の第2の実施の形態にかかる空気調和機(天井吊り下げ型空気調和機)の縦断面図である。
【図12】従来の天井吊り下げ型空気調和機の縦断面図である。
【符号の説明】
1はケーシング、2はファン(ターボファンあるいはシロッコファン)、3は熱交換器、3Aは内側熱交換器、3Bは外側熱交換器、4は二次側通路、5は連結板、6,6A,6Bは一次側通路、7は空気通路、12は壁面、13は突部、13aは基部、14は偏流防止手段(偏流防止板)、15はテーパ面、16はファンケーシング、16aは吹出口、17は吸音材、αは傾斜角、W1は一次側空気。
Claims (8)
- ケーシング(1)内の中央部に配設されたファン(2)の吹出側に該ファン(2)を囲繞するように内側熱交換器(3A)と外側熱交換器(3B)とを二重に配設し、これらの熱交換器(3A),(3B)の対向空間を二次側通路(4)とするとともに、前記両熱交換器(3A),(3B)の上端部を連結板(5)で連結し、該連結板(5)と前記ケーシング(1)との間には、前記外側熱交換器(3B)の外側に形成される一次側通路(6B)に連通する空気通路(7)を形成して、前記両熱交換器(3A),(3B)に前記ファン(2)からの一次側空気(W1)が直接送風されるように構成した空気調和機であって、前記外側熱交換器(3B)の外側に形成される一次側通路(6B)における前記外側熱交換器(3B)の一次側に対向する壁面(12)には、前記一次側空気(W1)が衝突する形状の突部(13)を設けたことを特徴とする空気調和機。
- ファン(2)の吹出側に位置し、該ファン(2)から送風される一次側空気(W1)の流入方向に対する傾斜角(α)が小さくなるようにケーシング(1)内に配設された熱交換器(3)を備えた空気調和機であって、前記熱交換器(3)の一次側通路(6)を形成する部材における前記熱交換器(3)の一次側に対向する壁面(12)には、前記一次側空気(W1)が衝突する形状の突部(13)を設けたことを特徴とする空気調和機。
- 前記突部(13)における前記一次側空気(W1)の主流方向上の位置を、該一次側空気(W1)の主流方向に直交する方向において変化させたことを特徴とする前記請求項1および2のいずれか一項記載の空気調和機。
- 前記突部(13)における一次側空気(W1)の主流方向上の位置が変化する部位には、一次側空気(W1)の主流の上流方向に延びる偏流防止手段(14)を設けたことを特徴とする前記請求項3記載の空気調和機。
- 前記突部(13)の基部(13a)を曲面で形成したことを特徴とする前記請求項1、2、3および4のいずれか一項記載の空気調和機。
- 前記突部(13)を前記一次側空気(W1)の主流方向に複数形成するとともに、これらの突部(13),(13)・・の突出量(L)を、前記一次側空気(W1)の流速(U)に対応させて変化させたことを特徴とする前記請求項1、2、3、4および5のいずれか一項記載の空気調和機。
- 前記突部(13)を前記一次側空気(W1)の主流方向に複数形成するとともに、これらの突部(13),(13)・・間を、下流側に向かうにしたがって流路が狭くなるようにテーパ面(15),(15)・・で連結したことを特徴とする前記請求項1、2、3、4および5のいずれか一項記載の空気調和機。
- 前記突部(13)を形成する部材あるいは該突部(13)を含む壁面(12)全体を吸音材(17)で構成したことを特徴とする前記請求項1、2、3、4、5、6および7のいずれか一項記載の空気調和機。
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