JP3742713B2 - シール部材およびスナップリングの組み付け装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、シャフトの周りをシールするシール部材と、このシール部材を固定するスナップリングとを組み付ける装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10および図11に示した従来例は、ギヤポンプPのオイルシールおよびスナップリングを組み付ける装置である。
この従来の装置において、作業台1上に下から順にマウンティングフランジ2、ボディ3およびカバー4を積み重ね、それらを複数のボルト6で締め付けてギヤポンプPを構成するようにしている。
【0003】
このようにギヤポンプPを組み付ける過程では、ボルト6をカバー4側から挿入するが、その理由は次のとおりである。すなわち、マウンティングフランジ2は減速機などに直接固定するので、その固定する面にボルト6の頭部を出っ張らせるわけにはいかない。しかし、カバー4側は他の機器と接触させる箇所がないので、ボルト6の頭部をいくら出っ張らせてもまったく問題ない。そこで、カバー4側にボルト6頭部を位置させるために、そのカバー4側からボルト6を挿入するようにしている。
【0004】
また、ボルト6を締め付けるときには、図10のように、作業台1に向かって上から下に力を作用させる方が、ギヤポンプPの位置決めが簡単であり、しかも、安定的に力を作用させることができる。
以上のような理由から、マウンティングフランジ2を一番下にして、作業台1に載せ、一番上のカバー4側からボルト6を挿入するようにしている。このようにして挿入したボルト6によって、マウンティングフランジ2、ボディ3およびカバー4を一体化してギヤポンプPを構成するようにしている。
なお、上記ギヤポンプP内には、図示していないギヤを組み込んでいて、このギヤのシャフト5をマウンティングフランジ2から突出させている。この突出したシャフト5は、作業台1に形成した孔1aに挿入している。
【0005】
上記のようにしてボルト締め作業が終わったら、次に、図11に示すシール組み付け作業に移る。
なお、マウンティングフランジ2には、オイルシール7を組み込むためのシール孔9と、スナップリング8を組み込むための環状溝10とを形成している。
そして、これらシール孔9および環状溝10にオイルシール7やスナップリング8を組み付けるときには、ギヤポンプPを反転して、マウンティングフランジ2を上側にする。このようにマウンティングフランジ2を上側にすれば、オイルシール7やスナップリング8を上から下に向かって挿入できるので、その作業がやりやすくなる。
【0006】
上記のようにギヤポンプPを反転させたら、マウンティングフランジ2の上面に圧入ガイド11をセットする。この圧入ガイド11は、図11に示すように上方に向かって径を大きくしたテーパ状のガイド孔11aを形成している。そして、このガイド孔11aの軸線と、シール孔9の軸線とを一致させている。
【0007】
上記のように圧入ガイド11をセットしたら、シャフト5にキャップ治具12をかぶせ、このキャップ治具12にオイルシール7とスナップリング8とを順番にはめ込む。キャップ治具12は、シャフト5の外周にオイルシール7をはめこむときに、その内周がシャフト5のエッジなどで傷つかないようにするものである。
また、キャップ治具12の上端には、テーパ面12aを形成し、このテーパ面12aによってオイルシール7を挿入しやすくするとともに、そのオイルシール7の内周が傷つかないようにしている。
【0008】
上記のようにオイルシール7とスナップリング8とをはめ込んだら、キャップ治具12の上から筒状の圧入部材13をはめ込む。そして、上方に設けた圧入シリンダ14によってこの圧入部材13を図中下側に押し、スナップリング8とオイルシール7とを圧入ガイド11のガイド孔11a内に圧入する。
スナップリング8は、ガイド孔11a内に入っていく過程で、その外周がガイド孔11aに接触する。この状態からさらに下がると、スナップリング8の外径は、ガイド孔11aによって縮められる。そして、この径を縮められたスナップリング8は、ガイド孔11aからマウンティングフランジ2のシール孔9に入り、また、このスナップリング8に押されてオイルシール7もシール孔9に入っていく。
【0009】
シール孔9に入ったスナップリング8は、環状溝10に達すると、縮められていた径が自らの弾性力で広がる。そのため、このスナップリング8が環状溝10から抜けなくなる。そして、このスナップリング8によってオイルシール7もシール孔9から抜けなくなる。このようにしてオイルシール7およびスナップリング8の組み付け作業が完了する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、ボルト締め作業時と、シール組み付け作業時とで、ギヤポンプPを反転させなければならないし、この反転作業を人手に頼っていた。しかし、ギヤポンプPは重量がかさむので、その反転作業が大変で作業効率が悪くなるだけでなく、ややもすると作業者の手首を痛めたりするという問題があった。
そこで、オイルシール等の組み付け作業を機械によって自動化することも考えられるが、この場合には、ギヤポンプPを反転させる装置と、反転させるだけのスペースとが必要となり、装置が大型化したり複雑化したりするという問題があった。
【0011】
この発明の目的は、シール部材およびスナップリングを自動的に組み付けることができ、かつ、小型のシール部材およびスナップリングの組み付け装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、シール部材およびスナップリングの組み付け対象と、この組み付け対象に形成した貫通孔と、この貫通孔に挿入したシャフトと、このシャフトを囲むようにしたシール孔と、このシール孔の内周に形成した環状溝と、上記シール孔に組み込むシール部材と、上記環状溝に組み込むとともにシール孔よりもその径を大きくしたスナップリングと、上記組み付け対象の下面に当接させ、かつ軸線方向下に向かって広がるテーパ状のガイド孔を形成した圧入ガイドと、この圧入ガイドの真下に位置するとともにその軸線を上記ガイド孔の軸線に一致させた筒部材と、この筒部材の孔に挿入するキャップ治具と、上記筒部材を上下動させる駆動機構とを備え、上記圧入ガイドは、その上面に位置するガイド孔の最小径を上記シール孔の径とほぼ同じにし、その下面に位置する最大径を上記スナップリングの外径よりも大きくする一方、上記筒部材の径は、上記シール孔の径よりも小さくした点に特徴を有する。
【0013】
そして、ガイド孔の最小径側を上面にした圧入ガイドを、シール孔を下側にした組み付け対象の下面に当接するとともに、これらガイド孔の軸線とシール孔の軸線とを一致させる。
一方、上記圧入ガイドの下方に設けた筒部材の上端面に、スナップリングとシール部材とを順に置き、キャップ治具を筒部材の孔に挿入する。次に、この筒部材を移動して、その軸線とガイド孔の軸線とを一致させてからシリンダを作動し、筒部材を上昇させる。筒部材が上昇すると、キャップ治具にシャフトが入り、シャフトのエッジなどがキャップ治具によって覆われる一方、ガイド孔に筒部材が入っていく。筒部材がガイド孔に入っていく過程で、ガイド孔によってスナップリングの外周が押されて縮径され、この縮径したスナップリングがガイド孔からシール孔に入る。そして、環状溝に達すると、このスナップリングは拡径し、抜けなくなる。また、このスナップリングによってシール部材もシール孔から抜けなくなる。
【0014】
第2の発明は、筒部材の上端面に凸部を形成し、筒部材の上端面にスナップリングを置いたときに、上記凸部とこのスナップリングの内径との間に所定のすき間ができる構成にした点に特徴を有する。
第3の発明は、筒部材に径方向の小孔を形成し、この小孔にピンを出し入れ自在にする一方、キャップ治具は、上記ピンを挿入する凹部を形成した点に特徴を有する。
シール部材およびスナップリングを組み付け対象に組み付けた後、上記ピンを小孔に入れて、その先端をキャップ治具の凹部に臨ませる。そして、シリンダを作動し、筒部材を下げると、キャップ治具も一体となって下がり、シャフトからキャップ治具が抜ける。
【0015】
第4の発明は、筒部材内に、そこに挿入されたキャップ治具を受ける可動台と、この可動台を支えるスプリングとを備えた点に特徴を有する。
第5の発明は、キャップ治具の挿入方向先端に、先細りのテーパ面を形成した点に特徴を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1〜9にギヤポンプに関する実施例を示す。
図1(b)に示すように、テーブル16には、この発明の筒部材に相当する圧入ブロック17を固定している。この圧入ブロック17の外径は、図1(a)に示すマウンティングフランジ2に形成したシール孔9の内径よりもわずかに小さくしている。また、テーブル16には、この発明の駆動機構に相当するシリンダ15のロッド15aを固定していて、このシリンダ15の作動によって、テーブル16とともに圧入ブロック17が上昇したり下降したりする。
【0017】
上記圧入ブロック17には軸線に沿った孔18を形成するとともに、この孔18には、可動台20と、この可動台20を支えるスプリング21とを設けている。そして、この圧入ブロック17の孔18内に、図3に示すようなキャップ治具19を挿入したとき、上記可動台20とスプリング21とでこのキャップ治具19を支えるようにしている。
【0018】
上記キャップ治具19は、図1(a)に示すシャフト5の外周に、オイルシール7をはめ込むときに、その内周がシャフト5のエッジやスプラインなどで傷つかないようにするものである。また、このキャップ治具19の挿入方向の先端には、テーパ面19aを形成するとともに、このテーパ面19aよりも図中上側に、環状凹部30を形成している。さらに、この環状凹部30の上下にもテーパ面30a、30bを形成している。そして、これらテーパ面19a、30a、30bによって、オイルシール7を挿入しやすくするとともに、そのオイルシール7の内周が傷つかないようにしている。
【0019】
一方、圧入ブロック17の上端面17aには、図9(a)に示すC形の凸部22を形成し、この凸部22の外周には、図9(b)に示すようにスナップリング8を置くようにしている。凸部22の外径は、スナップリング8の内径よりも小さく設定し、上記上端面17aにスナップリング8を置いたとき、凸部22とスナップリング8の内径との間にすき間Lができる。このようにすき間Lを形成したのは、このすき間L分だけ、スナップリング8を径方向に縮めるからである。また、このすき間Lは、スナップリング8が縮まったとき、このスナップリング8の外径が後で説明するシール孔よりも小さくなるだけの間隔を保持している。
【0020】
また、圧入ブロック17の側面には、小孔23を形成し、この小孔23にピン25を挿入している。このピン25は、小シリンダ24のロッド24aに固定されていて、小シリンダ24の作動によって小孔23内を移動し、その先端を孔18に出し入れ可能にしている。
なお、小シリンダ24は、支柱26を介してテーブル16に固定している。
【0021】
さらに、テーブル16は、図示していない移動装置によって、図4に示すようにマウンティングフランジ2の下、すなわちこのマウンティングフランジ2を支える図示していない支持機構の真下に位置したり、その真下から退避したりできるようにしている。
このマウンティングフランジ2は、この発明の組み付け対象に相当するもので、貫通孔31にシャフト5を回転自在に組み込んでいる。また、このシャフト5の周りに上記貫通孔31よりも大きなシール孔9を形成している。そして、このシール孔9の内周に環状溝10を形成している。
【0022】
上記マウンティングフランジ2の下面2aには、圧入ガイド11を設けている。この圧入ガイド11は、下方に向かって径を大きくしたテーパ状のガイド孔27と、このガイド孔27の上側に連続する最小径部28とからなり、最小径部28はマウンティングフランジ2のシール孔9の径よりもわずかに小さくしている。また、このガイド孔27の最大径は、上記スナップリング8の外径よりも十分大きくしている。
【0023】
なお、図示するようにマウンティングフランジ2の下面とガイド部材11の上面とを合わせたとき、マウンティングフランジ2に形成したシール孔9の軸線とガイド部材11に形成したガイド孔27の軸線とが一致するようにしている。
また、圧入ガイド11は、図示していない装置によって移動可能で、上記支持機構に保持されたマウンティングフランジ2の真下に位置したり、そこから退避したりできるようにしている。そして、マウンティングフランジ2の真下にあるときには、この圧入ガイド11を、図1に示すように、マウンティングフランジ2にぴったりと接触した状態を保てるようにしている。
【0024】
次に、この実施例におけるオイルシールおよびスナップリングの組み付けについて説明する。
図2に示すように、圧入ブロック17の上端面17aに、スナップリング8とオイルシール7とを下から順に置く。このとき、スナップリング8の内周と凸部22との間にすき間Lができるので、スナップリング8が多少ガタつく。しかし、多少ガタついたとしても、スナップリング8は凸部22によってある程度センタリングされる。このようにスナップリング8とオイルシール7とをセットしたら、図3に示すように、つかみ装置29によってキャップ治具19を圧入ブロック17の孔18に挿入する。このようにすれば、キャップ治具19がスナップリング8とオイルシール7とを貫通し、このキャップ治具19によってオイルシール7がセンタリングされる。
【0025】
また、キャップ治具19の先端には先細りのテーパ面19aを形成するとともに、環状凹部30の両側には互いに向き合うテーパ面30a、30bを形成している。したがって、これらテーパ面19a、30a、30bによって、オイルシール7の内面は傷つかずに、スムーズに相対移動する。
【0026】
上記のようにキャップ治具19を孔18に挿入したら、図示していない移動装置によってテーブル16を移動して、圧入ブロック17を、図4に示すように圧入ガイド11の真下にセットする。このように両者をセットしたら、シリンダ15を作動して、テーブル16を上昇する。テーブル16の上昇にともなって圧入ブロック17も上昇し、その上端面17aが圧入ガイド11のガイド孔27に入っていく。また、このとき、キャップ治具19にシャフト5が入り込み、このシャフト5のエッジやスプラインなどがキャップ治具19によって覆われる。
【0027】
圧入ブロック17がガイド孔27に入っていくと、図5に示すようにガイド孔27にスナップリング8の外周が接触するが、この状態からさらに圧入ブロック17を上昇すると、スナップリング8の外周がガイド孔27に押しつけられる。このガイド孔27は、テーパ状になっているので、スナップリング8には径方向の力が作用する。したがって、スナップリング8は、その径をが縮めながら、センタリングされる。また、このように径が縮まったスナップリング8は、圧入ブロック17の上端面17aとともに最小径部28に入っていく。そして、このスナップリング8が最小径部28を介してシール孔9に入っていけば、オイルシール7もこのスナップリング8に押されてシール孔9に入っていく。
【0028】
圧入ブロック17がさらに上昇すると、図6に示すように、オイルシール7がシール孔9の上部9aに当たり、スナップリング8が、環状溝10に達する。スナップリング8が、環状溝10に達すると、自らの弾性で径が広がり、環状溝10にぴったりと組み込まれる。このようにして環状溝10に組み込まれたスナップリング8によって、オイルシール7もシール孔9から抜けなくなる。このようにして、オイルシール7およびスナップリング8の組み付けが完了する。
【0029】
なお、圧入ブロック17が上昇すれば、シャフト5の先端がキャップ治具19の内側に出っ張った環状凹部30に当たる。そのため、その時点でキャップ治具19の上昇が止まり、それ以降はキャップ治具19が可動台20を押し、スプリング21が縮まることになる。
【0030】
オイルシール7およびスナップリング8の組み付けが完了したら、図7に示すように、小シリンダ24を作動し、ピン25を孔18内に突出させることにより、その先端をキャップ治具19に形成した環状凹部30に挿入する。次に、シリンダ15を収縮して、圧入ブロック17が下降すると、図8(b)に示すように圧入ブロック17とともにキャップ治具19も一体的に下降する。このようにすれば、キャップ治部19をシャフト5から確実に取り外すことができる。
【0031】
上記のように取り外したキャップ治具19は、環状凹部30からピン25を抜き、スプリング21のバネ力でその一端を孔18から突出させる。そして、この突出した一端をつかみ装置29でつかんで引き抜き、所定の位置に移動して、次の組み付けに備えて待機させる。このようにすれば、一つのキャップ治具19を何度も使うことができる。
【0032】
なお、上記の実施例の説明では、オイルシール7とスナップリング8とを組み付ける行程を詳細に説明したが、その行程の以前に、マウンティングフランジ2、ボディ3およびカバー4をあらかじめボルト6で締結しておくこと従来と同様である。ただし、この実施例では、オイルシール7とスナップリング8とを、下から組み付けられるようにしているので、上にしたカバー4側からボルト6を締め付けたとしても、オイルシール7およびスナップリング8の組み付け時に、ギヤポンプPを反転させなくてもよい。このように反転させなくてもよい点が、従来と決定的に違う。このようにギヤポンプPを反転する必要がなくなるので、その分、作業効率もよくなる。また、ギヤポンプPを反転する装置もいらなくなるので、装置全体も小型化できる。
【0033】
そして、この実施例では、ギヤポンプPを例としているが、この発明の装置は、ギヤポンプPに限定されない。例えば、シリンダのピストンロッドの周りに、シール部材を組み付ける場合にも用いることができる。つまり、この発明の装置は、組み付け対象に形成した貫通孔に、シャフトを挿入し、この挿入したシャフトの周りにシール部材やスナップリングを組み付けるものであれば、どのようなものにも適用できる。
【0034】
また、この実施例では、圧入ブロック17の上端面17aに、C形の凸部22を形成しているが、この凸部22の形状はC形に限らない。圧入ブロック17の上端面17aにスナップリング8を置いたとき、このスナップリング8を縮径でき、かつ、縮径したスナップリング8の外径がシール孔9よりも小さくできるなら、凸部22はどのような形状でもよい。そして、スナップリング8をある程度センタリングして上端面17aに置くことができれば、この凸部22はなくてもよい。
さらに、キャップ治具19に形成した環状凹部30は、環状に限らない。キャップ治具19に挿入したシャフト5の先端を位置規制することができ、かつ、ピン25を挿入することができる位置に凹部があればよい。
【0035】
【発明の効果】
第1の発明は、例えばギヤポンプのように、上にしたカバー側からボルト締め作業をするとともに、このカバーとは反対側のマウンティングフランジにシール部材やスナップリングを組み付ける場合でも、そのギヤポンプを反転せずにシール部材およびスナップリングを組み付けることができる。したがって、反転作業を人手に頼っていた従来とは異なり、その作業効率が向上するととともに、作業者が、反転作業のために手首を痛めるようなこともなくなる。
また、ギヤポンプを反転する装置がいらなくなる分、装置を小型化できるし、それを反転させるための制御機構も不要になるので、全体的に装置を簡素化して、コストダウンさせることができる。
【0036】
第2の発明によれば、筒部材の上端面にスナップリングを置いたときに、このスナップリングが凸部によってある程度センタリングされる。そのため、筒部材の上端面に置いたときのスナップリングのズレが少なくなり、その分、このスナップリングをセンタリングする圧入ガイドのガイド孔の最大径を小さくすることができる。したがって、圧入ガイドの径も小さくなり、小型化できる。
【0037】
第3の発明によれば、キャップ治具を確実に回収できるので、1つのキャップ治具で足りる。
第4の発明によれば、スプリングのバネ力によって、回収したキャップ治具の一端が筒部材の孔から突出するので、キャップ治具をつかみやすく、筒部材から簡単に引き抜くことができる。
第5の発明によれば、キャップ治具をシール部材に挿入するときに、そのシール部材を傷つけたりしない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の装置の断面図であり、(a)はマウンティングフランジ2に圧入ガイド11を当接した状態を示す図であり、(b)はオイルシール7およびスナップリング8をセットする前の圧入ブロック17を示す図である。
【図2】実施例の装置の断面図であり、(a)はマウンティングフランジ2に圧入ガイド11を当接した状態を示す図であり、(b)はオイルシール7およびスナップリング8を圧入ブロック17にセットした状態を示す図である。
【図3】実施例の装置の断面図であり、(a)はマウンティングフランジ2に圧入ガイド11を当接した状態を示す図であり、(b)はキャップ治具19を圧入ブロック17の孔18に挿入した状態を示す図である。
【図4】実施例の装置の断面図であり、(a)はマウンティングフランジ2に圧入ガイド11を当接した状態を示す図であり、(b)は圧入ブロック17をマウンティングフランジ2の真下に移動した状態を示す図である。
【図5】実施例の装置の断面図であり、スナップリング8の外周がガイド孔27に当接した状態を示す図である。
【図6】実施例の装置の断面図であり、オイルシール7およびスナップリング8の組み付けが完了した状態を示す図でる。
【図7】実施例の装置の断面図であり、ピン25をキャップ治具19の環状凹部30に挿入した状態を示す図である。
【図8】実施例の装置の断面図であり、(a)はマウンティングフランジ2にオイルシール7およびスナップリング8を組み付けた状態を示す図であり、(b)は圧入ブロック17を下げてマウンティングフランジ2およびガイド部材11から圧入ブロック17を抜いた状態を示す図である。
【図9】圧入ブロック17の上端面17aを上から見た図であり、(a)はなにも置いていない状態を示す図で、(b)はスナップリング8をセットした状態を示す図で、(c)はスナップリング8およびオイルシール7をセットした状態を示す図である。
【図10】従来例の装置を示す図であり、ボルト6を締め付けるときの状態を示す図である。
【図11】従来例の装置を示す図であり、オイルシール7およびスナップリング8を組み付けるときの状態を示す図である。
【符号の説明】
2 この発明の組み付け対象に相当するマウンティングフランジ
5 シャフト
7 この発明のシール部材に相当するオイルシール
8 スナップリング
9 シール孔
10 環状溝
11 圧入ガイド
17 この発明の筒部材に相当する圧入ブロック
18 孔
19 キャップ治具
19aテーパ面
20 可動台
21 スプリング
22 凸部
23 小孔
25 ピン
27 ガイド孔
30 この発明の凹部に相当する環状凹部
31 貫通孔
【発明の属する技術分野】
この発明は、シャフトの周りをシールするシール部材と、このシール部材を固定するスナップリングとを組み付ける装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10および図11に示した従来例は、ギヤポンプPのオイルシールおよびスナップリングを組み付ける装置である。
この従来の装置において、作業台1上に下から順にマウンティングフランジ2、ボディ3およびカバー4を積み重ね、それらを複数のボルト6で締め付けてギヤポンプPを構成するようにしている。
【0003】
このようにギヤポンプPを組み付ける過程では、ボルト6をカバー4側から挿入するが、その理由は次のとおりである。すなわち、マウンティングフランジ2は減速機などに直接固定するので、その固定する面にボルト6の頭部を出っ張らせるわけにはいかない。しかし、カバー4側は他の機器と接触させる箇所がないので、ボルト6の頭部をいくら出っ張らせてもまったく問題ない。そこで、カバー4側にボルト6頭部を位置させるために、そのカバー4側からボルト6を挿入するようにしている。
【0004】
また、ボルト6を締め付けるときには、図10のように、作業台1に向かって上から下に力を作用させる方が、ギヤポンプPの位置決めが簡単であり、しかも、安定的に力を作用させることができる。
以上のような理由から、マウンティングフランジ2を一番下にして、作業台1に載せ、一番上のカバー4側からボルト6を挿入するようにしている。このようにして挿入したボルト6によって、マウンティングフランジ2、ボディ3およびカバー4を一体化してギヤポンプPを構成するようにしている。
なお、上記ギヤポンプP内には、図示していないギヤを組み込んでいて、このギヤのシャフト5をマウンティングフランジ2から突出させている。この突出したシャフト5は、作業台1に形成した孔1aに挿入している。
【0005】
上記のようにしてボルト締め作業が終わったら、次に、図11に示すシール組み付け作業に移る。
なお、マウンティングフランジ2には、オイルシール7を組み込むためのシール孔9と、スナップリング8を組み込むための環状溝10とを形成している。
そして、これらシール孔9および環状溝10にオイルシール7やスナップリング8を組み付けるときには、ギヤポンプPを反転して、マウンティングフランジ2を上側にする。このようにマウンティングフランジ2を上側にすれば、オイルシール7やスナップリング8を上から下に向かって挿入できるので、その作業がやりやすくなる。
【0006】
上記のようにギヤポンプPを反転させたら、マウンティングフランジ2の上面に圧入ガイド11をセットする。この圧入ガイド11は、図11に示すように上方に向かって径を大きくしたテーパ状のガイド孔11aを形成している。そして、このガイド孔11aの軸線と、シール孔9の軸線とを一致させている。
【0007】
上記のように圧入ガイド11をセットしたら、シャフト5にキャップ治具12をかぶせ、このキャップ治具12にオイルシール7とスナップリング8とを順番にはめ込む。キャップ治具12は、シャフト5の外周にオイルシール7をはめこむときに、その内周がシャフト5のエッジなどで傷つかないようにするものである。
また、キャップ治具12の上端には、テーパ面12aを形成し、このテーパ面12aによってオイルシール7を挿入しやすくするとともに、そのオイルシール7の内周が傷つかないようにしている。
【0008】
上記のようにオイルシール7とスナップリング8とをはめ込んだら、キャップ治具12の上から筒状の圧入部材13をはめ込む。そして、上方に設けた圧入シリンダ14によってこの圧入部材13を図中下側に押し、スナップリング8とオイルシール7とを圧入ガイド11のガイド孔11a内に圧入する。
スナップリング8は、ガイド孔11a内に入っていく過程で、その外周がガイド孔11aに接触する。この状態からさらに下がると、スナップリング8の外径は、ガイド孔11aによって縮められる。そして、この径を縮められたスナップリング8は、ガイド孔11aからマウンティングフランジ2のシール孔9に入り、また、このスナップリング8に押されてオイルシール7もシール孔9に入っていく。
【0009】
シール孔9に入ったスナップリング8は、環状溝10に達すると、縮められていた径が自らの弾性力で広がる。そのため、このスナップリング8が環状溝10から抜けなくなる。そして、このスナップリング8によってオイルシール7もシール孔9から抜けなくなる。このようにしてオイルシール7およびスナップリング8の組み付け作業が完了する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、ボルト締め作業時と、シール組み付け作業時とで、ギヤポンプPを反転させなければならないし、この反転作業を人手に頼っていた。しかし、ギヤポンプPは重量がかさむので、その反転作業が大変で作業効率が悪くなるだけでなく、ややもすると作業者の手首を痛めたりするという問題があった。
そこで、オイルシール等の組み付け作業を機械によって自動化することも考えられるが、この場合には、ギヤポンプPを反転させる装置と、反転させるだけのスペースとが必要となり、装置が大型化したり複雑化したりするという問題があった。
【0011】
この発明の目的は、シール部材およびスナップリングを自動的に組み付けることができ、かつ、小型のシール部材およびスナップリングの組み付け装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、シール部材およびスナップリングの組み付け対象と、この組み付け対象に形成した貫通孔と、この貫通孔に挿入したシャフトと、このシャフトを囲むようにしたシール孔と、このシール孔の内周に形成した環状溝と、上記シール孔に組み込むシール部材と、上記環状溝に組み込むとともにシール孔よりもその径を大きくしたスナップリングと、上記組み付け対象の下面に当接させ、かつ軸線方向下に向かって広がるテーパ状のガイド孔を形成した圧入ガイドと、この圧入ガイドの真下に位置するとともにその軸線を上記ガイド孔の軸線に一致させた筒部材と、この筒部材の孔に挿入するキャップ治具と、上記筒部材を上下動させる駆動機構とを備え、上記圧入ガイドは、その上面に位置するガイド孔の最小径を上記シール孔の径とほぼ同じにし、その下面に位置する最大径を上記スナップリングの外径よりも大きくする一方、上記筒部材の径は、上記シール孔の径よりも小さくした点に特徴を有する。
【0013】
そして、ガイド孔の最小径側を上面にした圧入ガイドを、シール孔を下側にした組み付け対象の下面に当接するとともに、これらガイド孔の軸線とシール孔の軸線とを一致させる。
一方、上記圧入ガイドの下方に設けた筒部材の上端面に、スナップリングとシール部材とを順に置き、キャップ治具を筒部材の孔に挿入する。次に、この筒部材を移動して、その軸線とガイド孔の軸線とを一致させてからシリンダを作動し、筒部材を上昇させる。筒部材が上昇すると、キャップ治具にシャフトが入り、シャフトのエッジなどがキャップ治具によって覆われる一方、ガイド孔に筒部材が入っていく。筒部材がガイド孔に入っていく過程で、ガイド孔によってスナップリングの外周が押されて縮径され、この縮径したスナップリングがガイド孔からシール孔に入る。そして、環状溝に達すると、このスナップリングは拡径し、抜けなくなる。また、このスナップリングによってシール部材もシール孔から抜けなくなる。
【0014】
第2の発明は、筒部材の上端面に凸部を形成し、筒部材の上端面にスナップリングを置いたときに、上記凸部とこのスナップリングの内径との間に所定のすき間ができる構成にした点に特徴を有する。
第3の発明は、筒部材に径方向の小孔を形成し、この小孔にピンを出し入れ自在にする一方、キャップ治具は、上記ピンを挿入する凹部を形成した点に特徴を有する。
シール部材およびスナップリングを組み付け対象に組み付けた後、上記ピンを小孔に入れて、その先端をキャップ治具の凹部に臨ませる。そして、シリンダを作動し、筒部材を下げると、キャップ治具も一体となって下がり、シャフトからキャップ治具が抜ける。
【0015】
第4の発明は、筒部材内に、そこに挿入されたキャップ治具を受ける可動台と、この可動台を支えるスプリングとを備えた点に特徴を有する。
第5の発明は、キャップ治具の挿入方向先端に、先細りのテーパ面を形成した点に特徴を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1〜9にギヤポンプに関する実施例を示す。
図1(b)に示すように、テーブル16には、この発明の筒部材に相当する圧入ブロック17を固定している。この圧入ブロック17の外径は、図1(a)に示すマウンティングフランジ2に形成したシール孔9の内径よりもわずかに小さくしている。また、テーブル16には、この発明の駆動機構に相当するシリンダ15のロッド15aを固定していて、このシリンダ15の作動によって、テーブル16とともに圧入ブロック17が上昇したり下降したりする。
【0017】
上記圧入ブロック17には軸線に沿った孔18を形成するとともに、この孔18には、可動台20と、この可動台20を支えるスプリング21とを設けている。そして、この圧入ブロック17の孔18内に、図3に示すようなキャップ治具19を挿入したとき、上記可動台20とスプリング21とでこのキャップ治具19を支えるようにしている。
【0018】
上記キャップ治具19は、図1(a)に示すシャフト5の外周に、オイルシール7をはめ込むときに、その内周がシャフト5のエッジやスプラインなどで傷つかないようにするものである。また、このキャップ治具19の挿入方向の先端には、テーパ面19aを形成するとともに、このテーパ面19aよりも図中上側に、環状凹部30を形成している。さらに、この環状凹部30の上下にもテーパ面30a、30bを形成している。そして、これらテーパ面19a、30a、30bによって、オイルシール7を挿入しやすくするとともに、そのオイルシール7の内周が傷つかないようにしている。
【0019】
一方、圧入ブロック17の上端面17aには、図9(a)に示すC形の凸部22を形成し、この凸部22の外周には、図9(b)に示すようにスナップリング8を置くようにしている。凸部22の外径は、スナップリング8の内径よりも小さく設定し、上記上端面17aにスナップリング8を置いたとき、凸部22とスナップリング8の内径との間にすき間Lができる。このようにすき間Lを形成したのは、このすき間L分だけ、スナップリング8を径方向に縮めるからである。また、このすき間Lは、スナップリング8が縮まったとき、このスナップリング8の外径が後で説明するシール孔よりも小さくなるだけの間隔を保持している。
【0020】
また、圧入ブロック17の側面には、小孔23を形成し、この小孔23にピン25を挿入している。このピン25は、小シリンダ24のロッド24aに固定されていて、小シリンダ24の作動によって小孔23内を移動し、その先端を孔18に出し入れ可能にしている。
なお、小シリンダ24は、支柱26を介してテーブル16に固定している。
【0021】
さらに、テーブル16は、図示していない移動装置によって、図4に示すようにマウンティングフランジ2の下、すなわちこのマウンティングフランジ2を支える図示していない支持機構の真下に位置したり、その真下から退避したりできるようにしている。
このマウンティングフランジ2は、この発明の組み付け対象に相当するもので、貫通孔31にシャフト5を回転自在に組み込んでいる。また、このシャフト5の周りに上記貫通孔31よりも大きなシール孔9を形成している。そして、このシール孔9の内周に環状溝10を形成している。
【0022】
上記マウンティングフランジ2の下面2aには、圧入ガイド11を設けている。この圧入ガイド11は、下方に向かって径を大きくしたテーパ状のガイド孔27と、このガイド孔27の上側に連続する最小径部28とからなり、最小径部28はマウンティングフランジ2のシール孔9の径よりもわずかに小さくしている。また、このガイド孔27の最大径は、上記スナップリング8の外径よりも十分大きくしている。
【0023】
なお、図示するようにマウンティングフランジ2の下面とガイド部材11の上面とを合わせたとき、マウンティングフランジ2に形成したシール孔9の軸線とガイド部材11に形成したガイド孔27の軸線とが一致するようにしている。
また、圧入ガイド11は、図示していない装置によって移動可能で、上記支持機構に保持されたマウンティングフランジ2の真下に位置したり、そこから退避したりできるようにしている。そして、マウンティングフランジ2の真下にあるときには、この圧入ガイド11を、図1に示すように、マウンティングフランジ2にぴったりと接触した状態を保てるようにしている。
【0024】
次に、この実施例におけるオイルシールおよびスナップリングの組み付けについて説明する。
図2に示すように、圧入ブロック17の上端面17aに、スナップリング8とオイルシール7とを下から順に置く。このとき、スナップリング8の内周と凸部22との間にすき間Lができるので、スナップリング8が多少ガタつく。しかし、多少ガタついたとしても、スナップリング8は凸部22によってある程度センタリングされる。このようにスナップリング8とオイルシール7とをセットしたら、図3に示すように、つかみ装置29によってキャップ治具19を圧入ブロック17の孔18に挿入する。このようにすれば、キャップ治具19がスナップリング8とオイルシール7とを貫通し、このキャップ治具19によってオイルシール7がセンタリングされる。
【0025】
また、キャップ治具19の先端には先細りのテーパ面19aを形成するとともに、環状凹部30の両側には互いに向き合うテーパ面30a、30bを形成している。したがって、これらテーパ面19a、30a、30bによって、オイルシール7の内面は傷つかずに、スムーズに相対移動する。
【0026】
上記のようにキャップ治具19を孔18に挿入したら、図示していない移動装置によってテーブル16を移動して、圧入ブロック17を、図4に示すように圧入ガイド11の真下にセットする。このように両者をセットしたら、シリンダ15を作動して、テーブル16を上昇する。テーブル16の上昇にともなって圧入ブロック17も上昇し、その上端面17aが圧入ガイド11のガイド孔27に入っていく。また、このとき、キャップ治具19にシャフト5が入り込み、このシャフト5のエッジやスプラインなどがキャップ治具19によって覆われる。
【0027】
圧入ブロック17がガイド孔27に入っていくと、図5に示すようにガイド孔27にスナップリング8の外周が接触するが、この状態からさらに圧入ブロック17を上昇すると、スナップリング8の外周がガイド孔27に押しつけられる。このガイド孔27は、テーパ状になっているので、スナップリング8には径方向の力が作用する。したがって、スナップリング8は、その径をが縮めながら、センタリングされる。また、このように径が縮まったスナップリング8は、圧入ブロック17の上端面17aとともに最小径部28に入っていく。そして、このスナップリング8が最小径部28を介してシール孔9に入っていけば、オイルシール7もこのスナップリング8に押されてシール孔9に入っていく。
【0028】
圧入ブロック17がさらに上昇すると、図6に示すように、オイルシール7がシール孔9の上部9aに当たり、スナップリング8が、環状溝10に達する。スナップリング8が、環状溝10に達すると、自らの弾性で径が広がり、環状溝10にぴったりと組み込まれる。このようにして環状溝10に組み込まれたスナップリング8によって、オイルシール7もシール孔9から抜けなくなる。このようにして、オイルシール7およびスナップリング8の組み付けが完了する。
【0029】
なお、圧入ブロック17が上昇すれば、シャフト5の先端がキャップ治具19の内側に出っ張った環状凹部30に当たる。そのため、その時点でキャップ治具19の上昇が止まり、それ以降はキャップ治具19が可動台20を押し、スプリング21が縮まることになる。
【0030】
オイルシール7およびスナップリング8の組み付けが完了したら、図7に示すように、小シリンダ24を作動し、ピン25を孔18内に突出させることにより、その先端をキャップ治具19に形成した環状凹部30に挿入する。次に、シリンダ15を収縮して、圧入ブロック17が下降すると、図8(b)に示すように圧入ブロック17とともにキャップ治具19も一体的に下降する。このようにすれば、キャップ治部19をシャフト5から確実に取り外すことができる。
【0031】
上記のように取り外したキャップ治具19は、環状凹部30からピン25を抜き、スプリング21のバネ力でその一端を孔18から突出させる。そして、この突出した一端をつかみ装置29でつかんで引き抜き、所定の位置に移動して、次の組み付けに備えて待機させる。このようにすれば、一つのキャップ治具19を何度も使うことができる。
【0032】
なお、上記の実施例の説明では、オイルシール7とスナップリング8とを組み付ける行程を詳細に説明したが、その行程の以前に、マウンティングフランジ2、ボディ3およびカバー4をあらかじめボルト6で締結しておくこと従来と同様である。ただし、この実施例では、オイルシール7とスナップリング8とを、下から組み付けられるようにしているので、上にしたカバー4側からボルト6を締め付けたとしても、オイルシール7およびスナップリング8の組み付け時に、ギヤポンプPを反転させなくてもよい。このように反転させなくてもよい点が、従来と決定的に違う。このようにギヤポンプPを反転する必要がなくなるので、その分、作業効率もよくなる。また、ギヤポンプPを反転する装置もいらなくなるので、装置全体も小型化できる。
【0033】
そして、この実施例では、ギヤポンプPを例としているが、この発明の装置は、ギヤポンプPに限定されない。例えば、シリンダのピストンロッドの周りに、シール部材を組み付ける場合にも用いることができる。つまり、この発明の装置は、組み付け対象に形成した貫通孔に、シャフトを挿入し、この挿入したシャフトの周りにシール部材やスナップリングを組み付けるものであれば、どのようなものにも適用できる。
【0034】
また、この実施例では、圧入ブロック17の上端面17aに、C形の凸部22を形成しているが、この凸部22の形状はC形に限らない。圧入ブロック17の上端面17aにスナップリング8を置いたとき、このスナップリング8を縮径でき、かつ、縮径したスナップリング8の外径がシール孔9よりも小さくできるなら、凸部22はどのような形状でもよい。そして、スナップリング8をある程度センタリングして上端面17aに置くことができれば、この凸部22はなくてもよい。
さらに、キャップ治具19に形成した環状凹部30は、環状に限らない。キャップ治具19に挿入したシャフト5の先端を位置規制することができ、かつ、ピン25を挿入することができる位置に凹部があればよい。
【0035】
【発明の効果】
第1の発明は、例えばギヤポンプのように、上にしたカバー側からボルト締め作業をするとともに、このカバーとは反対側のマウンティングフランジにシール部材やスナップリングを組み付ける場合でも、そのギヤポンプを反転せずにシール部材およびスナップリングを組み付けることができる。したがって、反転作業を人手に頼っていた従来とは異なり、その作業効率が向上するととともに、作業者が、反転作業のために手首を痛めるようなこともなくなる。
また、ギヤポンプを反転する装置がいらなくなる分、装置を小型化できるし、それを反転させるための制御機構も不要になるので、全体的に装置を簡素化して、コストダウンさせることができる。
【0036】
第2の発明によれば、筒部材の上端面にスナップリングを置いたときに、このスナップリングが凸部によってある程度センタリングされる。そのため、筒部材の上端面に置いたときのスナップリングのズレが少なくなり、その分、このスナップリングをセンタリングする圧入ガイドのガイド孔の最大径を小さくすることができる。したがって、圧入ガイドの径も小さくなり、小型化できる。
【0037】
第3の発明によれば、キャップ治具を確実に回収できるので、1つのキャップ治具で足りる。
第4の発明によれば、スプリングのバネ力によって、回収したキャップ治具の一端が筒部材の孔から突出するので、キャップ治具をつかみやすく、筒部材から簡単に引き抜くことができる。
第5の発明によれば、キャップ治具をシール部材に挿入するときに、そのシール部材を傷つけたりしない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の装置の断面図であり、(a)はマウンティングフランジ2に圧入ガイド11を当接した状態を示す図であり、(b)はオイルシール7およびスナップリング8をセットする前の圧入ブロック17を示す図である。
【図2】実施例の装置の断面図であり、(a)はマウンティングフランジ2に圧入ガイド11を当接した状態を示す図であり、(b)はオイルシール7およびスナップリング8を圧入ブロック17にセットした状態を示す図である。
【図3】実施例の装置の断面図であり、(a)はマウンティングフランジ2に圧入ガイド11を当接した状態を示す図であり、(b)はキャップ治具19を圧入ブロック17の孔18に挿入した状態を示す図である。
【図4】実施例の装置の断面図であり、(a)はマウンティングフランジ2に圧入ガイド11を当接した状態を示す図であり、(b)は圧入ブロック17をマウンティングフランジ2の真下に移動した状態を示す図である。
【図5】実施例の装置の断面図であり、スナップリング8の外周がガイド孔27に当接した状態を示す図である。
【図6】実施例の装置の断面図であり、オイルシール7およびスナップリング8の組み付けが完了した状態を示す図でる。
【図7】実施例の装置の断面図であり、ピン25をキャップ治具19の環状凹部30に挿入した状態を示す図である。
【図8】実施例の装置の断面図であり、(a)はマウンティングフランジ2にオイルシール7およびスナップリング8を組み付けた状態を示す図であり、(b)は圧入ブロック17を下げてマウンティングフランジ2およびガイド部材11から圧入ブロック17を抜いた状態を示す図である。
【図9】圧入ブロック17の上端面17aを上から見た図であり、(a)はなにも置いていない状態を示す図で、(b)はスナップリング8をセットした状態を示す図で、(c)はスナップリング8およびオイルシール7をセットした状態を示す図である。
【図10】従来例の装置を示す図であり、ボルト6を締め付けるときの状態を示す図である。
【図11】従来例の装置を示す図であり、オイルシール7およびスナップリング8を組み付けるときの状態を示す図である。
【符号の説明】
2 この発明の組み付け対象に相当するマウンティングフランジ
5 シャフト
7 この発明のシール部材に相当するオイルシール
8 スナップリング
9 シール孔
10 環状溝
11 圧入ガイド
17 この発明の筒部材に相当する圧入ブロック
18 孔
19 キャップ治具
19aテーパ面
20 可動台
21 スプリング
22 凸部
23 小孔
25 ピン
27 ガイド孔
30 この発明の凹部に相当する環状凹部
31 貫通孔
Claims (5)
- シール部材およびスナップリングの組み付け対象と、この組み付け対象に形成した貫通孔と、この貫通孔に挿入したシャフトと、このシャフトを囲むようにしたシール孔と、このシール孔の内周に形成した環状溝と、上記シール孔に組み込むシール部材と、上記環状溝に組み込むとともにシール孔よりもその径を大きくしたスナップリングと、上記組み付け対象の下面に当接させ、かつ軸線方向下に向かって広がるテーパ状のガイド孔を形成した圧入ガイドと、この圧入ガイドの真下に位置するとともにその軸線を上記ガイド孔の軸線に一致させた筒部材と、この筒部材の孔に挿入するキャップ治具と、上記筒部材を上下動させる駆動機構とを備え、上記圧入ガイドは、その上面に位置するガイド孔の最小径を上記シール孔の径とほぼ同じにし、その下面に位置する最大径を上記スナップリングの外径よりも大きくする一方、上記筒部材の径は、上記シール孔の径よりも小さくしたことを特徴とするシール部材およびスナップリングの組み付け装置。
- 筒部材の上端面に凸部を形成し、筒部材の上端面にスナップリングを置いたときに、上記凸部とこのスナップリングの内径との間に所定のすき間ができる構成にしたことを特徴とする請求項1記載のシール部材およびスナップリングの組み付け装置。
- 筒部材に径方向の小孔を形成し、この小孔にピンを出し入れ自在にする一方、キャップ治具は、上記ピンを挿入する凹部を形成したことを特徴とする請求項1または2記載のシール部材およびスナップリングの組み付け装置。
- 筒部材内に、そこに挿入されたキャップ治具を受ける可動台と、この可動台を支えるスプリングとを備えた請求項1〜3のいずれかに記載のシール部材およびスナップリングの組み付け装置。
- キャップ治具の挿入方向先端に、先細りのテーパ面を形成した請求項1〜4のいずれかに記載のシール部材およびスナップリングの組み付け装置。
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