JP3742495B2 - サーボアンプの筐体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーボアンプの回路を収納する筐体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、アンプを構成するプリント基板や半導体素子を備える回路部分は筐体内に収納され、これによって内部部品の保護や外観を良好に保つことが行われている。このようなアンプにおいて、サーボアンプはIGBT等のパワー半導体を使用しているため、内部部品から発生する発熱量が多いため、熱をアンプ外に放熱するためにヒートシンク(放熱器)を備える構成としている。
【0003】
そのため、サーボアンプの筐体は、ヒートシンクとカバーを構成部品として備えている。
【0004】
図10,図11は従来のサーボアンプの筐体を説明するための概略断面図である。図10に示す従来構成において、サーボアンプの筐体はヒートシンク2と樹脂製カバー3を備え、内部にプリント基板4及びパワー半導体素子5を収納している。このサーボアンプの筐体において、ヒートシンク2と樹脂製カバー3とは個別に形成され、それぞれをネジ6によって結合している。
【0005】
又、図11に示す他の従来構成において、サーボアンプの筐体を構成するヒートシンク2と樹脂製カバー3は、図10と同様に、ヒートシンク2と樹脂製カバー3とを個別に形成しておき、樹脂製カバー3の端部に形成しておいたスナップ7を、ヒートシンク2の端部に掛止することによって、ヒートシンク2と樹脂製カバー3との結合を行っている。なお、一般に、ヒートシンクはアルミニウム製のものが使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来用いられているサーボアンプの筐体では、ヒートシンクと樹脂製カバーとを、ネジ締めや樹脂のスナップ等の固定手段を用いて結合を行う構成であるため、固定手段やそのための工具を必要とするという問題や、結合のための組み立て工数が増加するという問題がある。
【0007】
又、アルミニウム製のヒートシンクと樹脂製のカバーとでは、機械的強度に大きな差があるため、ネジ締めや樹脂のスナップ等の固定手段を用いると、樹脂部分に応力が加わり結合部分の強度が低下して、樹脂割れの原因となるという問題もある(図10中のA、及び図10中のB)。
【0008】
そこで、本発明は従来のサーボアンプの筐体の持つ問題点を解決し、ヒートシンクと樹脂製カバーとを固定手段を用いることなく結合することができるサーボアンプの筐体を提供することを目的とし、又、ヒートシンクと樹脂製カバーとの接合部分の強度が高いサーボアンプの筐体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のサーボアンプの筐体は、ヒートシンクと樹脂製カバーとを同時に一体成形することによって、ヒートシンクと樹脂製カバーとを固定手段を用いずに結合を行い、又、樹脂部に発生する応力を低減させてヒートシンクと樹脂製カバーとの接合部分の強度を高めるものである。
【0010】
そこで、本発明のサーボアンプの筐体は、ヒートシンクと樹脂製カバーとを同時に一体成形するために、ヒートシンク及び樹脂性カバーを備えたサーボアンプの筐体において、ヒートシンクはカバーと接合する接合面の少なくとも一部に凸状又は凹状、もしくは凹凸状の第1の係合部を備え、樹脂製カバーは、第1の係合部と係合する第2の係合部を備えた構成とし、第2の係合部をカバー成形と同時に第1の係合部に接して形成するものである。
【0011】
ヒートシンクは、筐体内の熱を外部に放熱するための放熱器であり、アルミニウム等の熱伝導性の良好な素材により形成され、樹脂製カバーとともにサーボアンプの筐体を構成する。
【0012】
樹脂製カバーは、サーボアンプの回路構成部品を被って、部品の保護や良好な外観を形成するものである。
【0013】
本発明のサーボアンプの筐体によれば、樹脂製カバーの成形時において、樹脂製カバーをヒートシンク接合面に形成された第1の係合部と接するように成形する。この成形によって、樹脂製カバーが第1の係合部と接する部分には、第1の係合部に対応した第2の係合部が成形と同時に形成され、第1の係合部と第2の係合部の係合によって、ヒートシンクと樹脂製カバーの接合が行われる。
【0014】
したがって、ヒートシンクと樹脂製カバーとは同時に一体成形されることになり、この一体成形は同時にヒートシンクと樹脂製カバーの接合をも行う。これにより、固定手段やそのための工具は不要となり、又、樹脂部分にも固定による応力は発生しないため、接合部の強度は高まる。
【0016】
特に、本発明のサーボアンプの筐体は、ヒートシンクを少なくとも第1の係合部を有する構成部分のブロック構成とし、このブロックを複数個用いてヒートシンクを構成するものであり、各ブロックの結合は、ヒートシンク側の第1係合部と樹脂製カバーの第2係合部との係合によって行うことができる。これによって、放熱特性の異なるブロックを用いることができ、この放熱特性の異なるブロックを組み合わせることによって、サーボアンプの放熱特性に対応したヒートシンクを持つサーボアンプの筐体を構成することができる 。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施の形態の第1の構成例について、図1のサーボアンプの筐体の断面図,図2のサーボアンプの筐体の一部斜視図,図3のカバー成形時の断面図を用いて説明する。
【0019】
図1において、筐体1は、ヒートシンク2及び樹脂製カバー3を備え、内部にプリント基板4及びパワー半導体素子5を収納する。ヒートシンク3はアルミニウム製とすることができ、パワー半導体素子5等の発熱部分と接するベース21と、外部に熱を放出するための放熱用のフィン22を備える。ヒートシンク3のベース21部分の外周部分には凹形状の溝23が形成され、これによって第1の係合部を構成している。この溝23はベース21の全外周に渡って形成することも、又、一部の周部分にのみ形成することもできる。
【0020】
樹脂製カバー3は、少なくとも、ヒートシンク2のベース21部分に形成した溝23と接する位置に成形され、溝23の第1の係合部11と係合する部分には第2の係合部12が成形される。ヒートシンク2と樹脂製カバー3との接合は、この第1の係合部11と第2の係合部12との係合によって行うことができる。
【0021】
図2の斜視図は、ヒートシンク2のベース21部分と樹脂製カバー3の一部分を示している。樹脂製カバー3の成形を行うことにより、樹脂製カバー3の内面部分には、ヒートシンク2の溝23に対応して凸状の第2の係合部12が成形と同時に形成される。したがって、第1の係合部11である溝23と第2の係合部12とは係合状態で成形が行われることになる。
【0022】
図3は、サーボアンプの筐体を形成する工程を説明する図である。筐体の形成は型形成により行うことができる。この型形成による筐体の形成では、少なくとも、ヒートシンク2の第1の係合部11を内側に収納すると共に、樹脂製カバー3を成形する型6を用いる。図3では型6内にヒートシンク2を収納する構成例を示しているが、必ずしもヒートシンク2全体を収納する構成である必要はなく、ヒートシンク2の第1の係合部11を内側に収納する構成部分と、樹脂製カバー3を成形する構成部分を備えていればよい。図3ではこの型6部分を斜線で示している。
【0023】
型6にヒートシンク2をセットすると、型6の内側部分、及び型6とヒートシンク2との間に、樹脂製が入り込む隙間が形成される。この隙間が、樹脂製カバー3の成形部分となる。溶融した樹脂を隙間内に注入すると、樹脂は隙間を満たし、ヒートシンク2の第1係合部11では、その形状に対応して変形する。樹脂が硬化した後、型6をはずすことによって、樹脂製カバー3の成形が完了する。このとき、ヒートシンク2の第1係合部11と樹脂製カバー3の第2の係合部12は係合した状態で成形され、これによって、ヒートシンク2と樹脂製カバー3は同時に接合した状態で一体成形される。
【0024】
図4は本発明の実施の形態の第2の構成例を説明するための斜視図であり、図2と同様に、ヒートシンク2のベース21部分と樹脂製カバー3の一部分を示している。図4(a)は、ヒートシンク2の第1係合部24を凸状で形成する構成例である。この構成例では、樹脂製カバー3の第2係合部12’は、第1係合部側の凸状形状24に対応して凹状の形状に成形される。
【0025】
又、図4(b)は、ヒートシンク2の第1係合部24を凸状及び凹状で形成する構成例である。この構成例では、樹脂製カバー3の第2係合部12’は、第1係合部側の凹状形状の溝23、及び凸状形状24に対応して凸状、及び凹状の形状に成形される。なお、溝23の深さは任意に設定することができる。
上記構成により、前記第1の構成例と同様に、第1の係合部11と第2の係合部12とは係合状態で成形が行われる。
【0026】
図5は本発明の実施の形態の第3の構成例を説明するための断面図である。第3の構成例は、樹脂製カバーの高さを低くした構成とするものであり、その他の構成は第3の構成例と同様である。この構成例によれば、樹脂製カバー3’は回路部品の低い部分のみを被い、高い部分については外部からの干渉が可能な状態となるため、回路部品の保守性を高めることができる。
【0027】
図6,図7は本発明の実施の形態の第4の構成例を説明するための、ヒートシンクの斜視部及び断面図である。第4の構成例は、ヒートシンク2を複数個のブロックに細分化し、この細分化したブロックを組み合わせて結合させることによってヒートシンクを構成するものである。細分化したブロック部分は、ベース部21’に少なくとも第1の係合部11’を有する構成とし、放熱フィン22’は任意に設ける構成とすることができる。放熱フィン22’を備えないブロックはベース部のみの構成とし、他のブロックの結合材として使用することができる。なお、図6では、各ブロックは同一形状で同一寸法の場合を示し、それぞれ放熱フィン22’を備える場合を示している。
【0028】
図8,図9は本発明の実施の形態の第5の構成例を説明するための、ヒートシンクの斜視部及び断面図である。第5の構成例は、第4の構成例と同様に、ヒートシンク2を複数個のブロックに細分化し、この細分化したブロックを組み合わせて結合させることによってヒートシンクを構成するものである。細分化したブロック部分は、ベース部21’,21’’に少なくとも第1の係合部11’,11’’を有する構成とし、放熱フィン22’,22’’は任意に設ける構成とすることができる。放熱フィン22’を備えないブロックはベース部のみの構成とし、他のブロックの結合材として使用することができる。
【0029】
第5の構成例の各ブロックは、ベース部21’,21’’のピッチ、及び放熱フィン22’,22’’の高さを異ならせる構成である。このブロックのピッチやフィンの高さを異ならせることによって、異なる放熱特性を得ることができる。
【0030】
この構成によれば、発熱量の異なる回路部品に応じて、異なる放熱特性のブロックを組み合わせ、これによってヒートシンクを構成することができる。
【0031】
図9は、パワー半導体素子5’の放熱特性に対応したブロックと、パワー半導体素子5’’の放熱特性に対応したブロックとを組み合わせた構成を示す。この組み合わせは、回路部品の発熱特性に応じて任意に設定することができ、樹脂製カバーの成形時に、各ブロックの組み合わせを設定して配置し、カバー成形と共に一体成形する。
【0032】
上記第4,5の構成によれば、 ヒートシンクの形状及び放熱特性を任意に設定することができ、押し出しやダイカストで一つのヒートシンクを成形する場合よりも、大きな自由度の設計が可能となる。
【0033】
なお、本発明のサーボアンプの筐体に用いるヒートシンク及びブロックは、押し出し品、加工品、アルミ板の加工品、あるいはアルミダイカストを用いることができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のサーボアンプの筐体によれば、ヒートシンクと樹脂製カバーとを固定手段を用いることなく結合することができ、又、ヒートシンクと樹脂製カバーとの接合部分の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1の構成例を説明するためのサーボアンプの筐体の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の第1の構成例を説明するためのサーボアンプの筐体の一部斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の第1の構成例を説明するためのサーボアンプの筐体のカバー成形時の断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態の第2の構成例を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の第3の構成例を説明するための断面図である。
【図6】本発明の実施の形態の第4の構成例を説明するための、ヒートシンクの斜視部である。
【図7】本発明の実施の形態の第4の構成例を説明するための、ヒートシンクの断面図である。
【図8】本発明の実施の形態の第5の構成例を説明するための、ヒートシンクの斜視部である。
【図9】本発明の実施の形態の第5の構成例を説明するための、ヒートシンクの断面図である。
【図10】従来のサーボアンプの筐体を説明するための概略断面図である。
【図11】従来のサーボアンプの筐体を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 ヒートシンク
3,3’ 樹脂製カバー
4 プリント基板
5 パワー半導体素子
6 型
11,11’,11’’ 第1の係合部
12 第2の係合部
21,21’,21’’ ベース部
22,22’,22’’ 放熱フィン
23 溝
24 凸状部分
Claims (1)
- ヒートシンク及び樹脂性カバーを備えたサーボアンプの筐体において、
前記ヒートシンクは、カバーと接合する接合面の少なくとも一部に凸状又は凹状、もしくは凹凸状の第1の係合部を備えた複数個のブロックで構成され、
前記樹脂製カバーは、第1の係合部と係合する第2の係合部を備え、第2の係合部はカバー成形と同時に第1の係合部に接して形成され、第1係合部と第2係合部との係合によって複数個のブロックの結合を行うサーボアンプの筐体。
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