JP3742446B2 - 画像形成装置の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置において像担持体上に潜像パターンを形成して、その電位及びトナー付着量から現像特性を測定し、その現像特性から画像形成時の各種電位を決定する画像形成装置における電位制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式画像形成装置においては、一般に感光体ドラム等からなる像担持体をモータなどの駆動手段で回転させて帯電装置により像担持体を均一に帯電させた後に、像担持体に対して露光装置による像露光で画像を書き込んで静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置で現像してから転写装置で転写材に転写して定着装置で転写材に定着させている。
【0003】
このような電子写真方式画像形成装置において、像担持体上に静電潜像のパターンを形成して静電潜像電位を測定し、該パターンを現像装置で顕像化した後にそのトナー付着量から現像特性を求め、その現像特性から現像バイアス電位、像担持体の帯電電位等の各種電位を算出する方法が知られている。例えば、あらかじめ潜像パターンの数だけトナー付着量の基準値を用意しておき、これらの基準値と各潜像パターン上のトナー付着量とをそれぞれ比較することにより各種電位を決定する電位制御方法▲1▼がある。また、他の電位制御方法としては、潜像パターンの静電潜像電位及びそのパターンを顕像化した後のトナー付着量をそれぞれの測定手段を用いて測定し、その測定データから現像装置の現像特性、いわゆる現像γの直線近似式を直線近似によって求め、その直線近似式の傾きを現像効率とし、この現像効率から各種電位を求める方法▲2▼が提示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記電位制御方法▲1▼では、上記基準値を正しく定めることが困難であり、とりわけ、環境変動、経時変動の大きな現像剤が用いられる場合には上記各種電位を制御するアルゴリズムが現像剤の環境変動、経時変動による影響を回避するために複雑になり、安定した電位を得るのに非常に時間がかかる。また、上記電位制御方法▲2▼では、近似直線方程式の傾きのみから各種電位を決定するので、現像剤や像担持体の変動に対して精度の点で十分であるとは言えず、電位制御が不安定となり易い。とりわけ、電位変動の影響を受け易いフルカラー複写機に応用した場合には、電位変化により色変動が起こり易く、特にフルカラー画像のハイライト部の安定性に欠けることになる。
【0005】
また、顕像化された潜像パターンは、一般にある程度の数(階調)を有している方が、現像特性を得るためには好ましいものの、潜像パターンの顕像化に伴うトナー消費量の増大や、パターン形成に多くの時間がかかるという不具合が生じてしまうので、頻繁に形成することができなかった。
このため、次のパターン形成までの現像特性の変化に迅速に対応することができなかった。
【0006】
本発明は、上記欠点を改善し、潜像パターンの顕像化に伴うトナー消費量を増大させることなく、短時間で精度の良い電位制御を行うことができて現像剤の変動に対して画像再現に最適な画像形成装置における電位制御方法、及び、この種の電位制御方法を採用した画像形成装置に最適な画像形成装置のトナー補給制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体を帯電装置による帯電で均一帯電させた後に、露光装置による露光で画像を書き込んで静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置で現像する画像形成装置における該帯電の電位、該露光を受けた露光部の電位及び該現像装置で使用する現像バイアス電圧の制御方法であって、次のことを特徴とする。
まず、画像形成装置の起動時に、次の第一制御を行う。すなわち、上記像担持体上に電位が互いに異なる複数の潜像パターンを形成してその電位を電位測定手段で測定するとともに該潜像パターンを上記現像装置で顕像化してそのトナー付着量をトナー付着量測定手段で測定し、かつ、これらの測定結果に基づいて現像γ特性線を求める。
そして、この第一制御を行う周期よりも短い周期で、次の第二制御を行う。すなわち、いずれも上記現像γ特性線のトナー付着量が多く飽和特性を示す箇所に至る前の直線区間内にあって上記起動時に形成する複数の潜像パターンの総数よりも総数が少ないくなるように上記起動時の測定結果に基づいて選択した電位が互いに異なる複数の潜像パターンを該像担持体上に形成し、その電位を電位測定手段で測定するとともに該潜像パターンを顕像化してそのトナー付着量をトナー付着量測定手段で測定し、かつ、これらの測定結果に基づいて上記帯電装置で用いる電位、上記露光装置で用いる電位及び現像バイアス電圧を決定する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明を適用できる画像形成装置の概略構成図である。
この画像形成装置は、フルカラー複写機からなる電子写真方式の画像形成装置の例である。この複写機は電子写真方式のカラー画像記録装置からなるプリンタ部101及びカラー画像読み取り装置(以下、カラースキャナと称す)102を有する。カラースキャナ102は、コンタクトガラスからなる原稿載置台119上の原稿を露光ランプからなる光源120により照射し、その反射光像を反射ミラー121〜123および結像レンズ124からなる光学系を介してカラーセンサ125に結像して原稿のカラー画像情報を、例えば青、緑、赤に色分解して読み取り、電気的な画像信号に変換する。このカラーセンサ125は原稿のカラー画像情報を、例えば青、緑、赤毎に色分解する色分解手段と、この色分解手段で色分解された各色の画像情報を電気的な画像信号に変換するCCDからなる光電変換素子とにより構成され、3色同じ読み取りを行う。カラーセンサー125で得られた青、緑、赤の色分解画像信号はその強度レベルをもとにして画像処理部(図示せず)で色変換処理を受けて黒(以下BKと称す)、シアン(以下Cと称す)、マゼンタ(以下Mと称す)、黄色(以下Yと称す)のカラー画像データに変換される。
【0013】
プリンタ部101はその画像処理部からのカラー画像データによりBK、C、M、Yの顕像を形成して最終的なカラーコピーを形成する。ここに、BK、C、M、Yの画像データを得るためのカラースキャナ102は、プリンタ部102の動作と所定のタイミングを取って露光ランプ120及び光学系121〜123が左方向へ移動することによって原稿載置台119上の原稿を走査し、1回の原稿走査毎に一色の画像データを得る。カラースキャナ102がこのような動作を合計4回繰り返すことによって、画像処理部が順次にBK、C、M、Yの4色の画像データを得る。そして、各色の画像データを得る度毎にプリンタ部102で順次にその画像データにより顕像を形成してこれらを重ね合わせて4色フルカラー画像を形成する。
【0014】
プリンタ部101においては、感光体ドラムからなる像担持体103は非画像形成時(複写待機時)には停止している。また、感光体ドラム103は、画像形成時(複写時)にはメインモータにより回転駆動されて帯電チャージャからなる帯電手段104により均一に帯電された後に1回転毎にレーザ光学系からなる露光手段105によるレーザ光照射で黒色、シアン、マゼンタ、イエローの各色成分の画像露光が順次に行われることにより、各色成分の静電潜像が順次に形成される。
【0015】
レーザ光学系105は、画像処理部からのカラー画像データを光信号に変換して感光体ドラム103に原稿画像に対応した光書き込みを行なって静電潜像を形成する。このレーザ光学系105は、レーザや、その発光駆動制御を行う発光駆動制御部、ポリゴンミラー、これを回転させるモータ、f/θレンズ、反射ミラー等で構成され、レーザが発光駆動制御部でカラー画像データにより駆動されて発光する。このレーザからの光信号はポリゴンミラーにより偏向されてf/θレンズ、反射ミラーを介して感光体ドラム103に照射される。
【0016】
感光体ドラム103は図中矢印で示すように、反時計方向に回転する。そして、この感光体ドラム103の回りには感光体クリーニング装置112、除電ランプ113、帯電チャージャ104、BK現像装置106、C現像装置107、M現像装置108、Y現像装置109、光学方式反射濃度センサ208、中間転写ベルト110などが配置されている。各現像装置106〜109は、感光体ドラム103上の静電潜像を現像するために現像剤の穂を感光体ドラム103の表面に接触させて回転する現像スリーブ106a、107a、108a、109aと、内部の現像剤を汲み上げて攪拌するために回転する現像パドル106b、107b、108b、109bおよび現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度センサ106c、107c、108c、109cなどで構成されている。待機状態では4箇の現像装置106〜109の全てが現像スリーブ106a、107a、108a、109a上の現像剤は穂切り(現像不作動)状態になっており、現像装置106〜109の各現像動作の順序(BK、C、M、Yの各画像形成の順序)はBK、C、M、Yの順でその静電潜像を現像する順序となっている。ただし、各色の画像形成の順序はこれに限定されるものではなく、任意の順序とすることができる。
【0017】
複写動作の開始時には、感光体ドラム103が回転して帯電チャージャ104により均一に帯電される。そして、カラースキャナ102が所定のタイミングでBK画像データを得るための読み取りを開始し、このカラースキャナ102からの画像データにより画像処理部がBK画像データを得てこのBK画像データに基づいてレーザ光学系105が感光体ドラム103にレーザ光による光書き込みを行って潜像を形成する。以下、このBK画像データによる静電潜像をBK潜像と称す。C、M、Yの各画像データによる静電潜像も同様にC潜像、M潜像、Y潜像と称す。このBK潜像をその先端部から現像可能とすべく、BK現像装置106の現像位置に潜像先端部が到着する前に現像スリーブ106aが回転を開始して現像剤の穂立てを行い、BK潜像をBKトナーで現像する。そして以後、感光体ドラム103上のBK潜像領域の現像動作を続けるが、潜像後端部がBK現像位置を通過した時点で速やかにBK現像位置を106の現像スリーブ106a上の現像剤穂切りを行なって現像不作動状態にする。これは少なくとも、次のC画像データによるC潜像先端部が到着する前に完了させる。なお、現像剤の穂切りは現像スリーブ106aの回転方向を、現像動作中とは逆方向に切替えることで行う。この時、他の現像装置107〜109は現像不作動状態のままである。
【0018】
感光体ドラム103上のBKトナー像は、感光体ドラム103と等速で駆動されている中間転写ベルト110の表面に転写される(以下、感光体ドラム103から中間転写ベルト110へのトナー像転写をベルト転写と称す)。ベルト転写は、感光体ドラム103と中間転写ベルト110が接触している状態において、中間転写ベルト110と接触している転写バイアスローラからなる電極111に所定のバイアス電圧を印加することで行う。感光体ドラム103はBKトナー像の転写後に感光体クリーニング装置112によりクリーニングされて除電ランプ113により除電され、再び帯電チャージャ104により均一に帯電される。なお、中間転写ベルト110は感光体ドラム103に順次に形成されたBK、C、M、Yの各トナー像が同一面に順次に位置合せして転写されることにより4色重ねのベルト転写画像が形成され、その後、このベルト転写画像が後述のように転写材としての転写紙に一括して転写される。
【0019】
ところで、感光体ドラム103側ではBK作像工程の次にC作像工程に進み、このC作像工程では所定のタイミングでカラースキャナ103がC画像データを得るための読み取りを始め、カラースキャナ103からの画像データにより画像処理部がC画像データを得てこのC画像データに基づいてレーザ光学系105が感光体ドラム103にレーザ光による光書き込みを行ってC潜像を形成する。
【0020】
C現像装置107はその現像位置に対して、先のBK潜像後端部が通過した後で且つC潜像の先端が到着する前に現像スリーブ107aが回転を開始して現像剤の穂立てを行い、C潜像をCトナーで現像する。以後、C現像装置107は感光体ドラム103上のC潜像領域の現像を続けるが、C潜像の後端部が通過した時点で、先のBK現像装置106の場合と同様にC現像スリーブ107a上の現像剤の穂切りを行う。これもやはり次のM潜像先端部が到着する前に完了する。
【0021】
感光体ドラム103上のCトナー像は、感光体ドラム103と等速で駆動されている中間転写ベルト110の表面に転写される。感光体ドラム110はCトナー像の転写後に感光体クリーニング装置112によりクリーニングされて除電ランプ113により除電され、再び帯電チャージャ104により均一に帯電される。
【0022】
感光体ドラム103側ではC作像工程の次にM作像工程に進み、このM作像工程では所定のタイミングでカラースキャナ103がM画像データを得るための読み取りを始め、カラースキャナ102からの画像データにより画像処理部がM画像データを得てこのM画像データに基づいてレーザ光学系105が感光体ドラム103にレーザ光による光書き込みを行ってM潜像を形成する。
【0023】
M現像装置108はその現像位置に対して、先のC潜像後端部が通過した後で且つM潜像の先端が到着する前に現像スリーブ108aが回転を開始して現像剤の穂立てを行い、M潜像をMトナーで現像する。以後、M現像装置108は感光体ドラム103上のM潜像領域の現像を続けるが、M潜像の後端部が通過した時点で、先のC現像装置107の場合と同様にM顕像スリーブ108a上の現像剤の穂切りを行う。これもやはり次のY潜像先端部が到着する前に完了する。
感光体ドラム103上のMトナー像は、感光体ドラム103と等速で駆動されている中間転写ベルト110の表面に転写される。感光体ドラム103はMトナー像の転写後に感光体クリーニング装置112によりクリーニングされて除電ランプ113により除電され、再び帯電チャージャ104により均一に帯電される。
【0024】
感光体ドラム103側ではM作像工程の次にY作像工程に進み、このY作像工程では所定のタイミングでカラースキャナ102がY画像データを得るための読み取りを始め、カラースキャナ102からの画像データにより画像処理部がY画像データを得てこのY画像データに基づいてレーザ光学系105が感光体ドラム103にレーザー光による光書き込みを行ってY潜像を形成する。
【0025】
Y現像装置109はその現像位置に対して、先のM潜像後端部が通過した後で且つY潜像の先端が到着する前に現像スリーブ109aが回転を開始して現像剤の穂立てを行い、Y潜像をYトナーで現像する。以後、Y現像位置109は感光体ドラム103上のY潜像領域の現像を続けるが、Y潜像の後端部が通過した時点で、先のM現像装置108の場合と同様にY顕像スリーブ109a上の現像剤の穂切りを行う。これもY潜像後端部が到着する前に完了する。感光体ドラム103上のYトナー像は、感光体ドラム103と等速で駆動されている中間転写ベルト110の表面に転写される。
【0026】
また、中間転写ベルト110は駆動ローラ131、ベルト転写バイアスローラ111および従動ローラ132、133に張架されて電源回路からベルト転写バイアスローラ111を介して転写バイアス電圧が印加され、図示してない駆動モータにより駆動ローラ131が駆動されて中間転写ベルト110が回転する。
ベルトクリーニング装置115は、ゴムブレード、中間転写ベルト110に対する接離機構などで構成されており、1色目のBK画像をベルト転写した後にC画像、M画像、Y画像のベルト転写を行っているときには、ゴムブレードが接離機構によって中間転写ベルト110から離間されている。
【0027】
紙転写バイアスローラ114は通常、中間転写ベルト110から離間しており、中間転写ベルト110に形成された4色の重ね画像が転写紙に一括して転写される時にタイミングを取って接離機構で押圧されて中間転写ベルト110に当接し、紙転写バイアスローラ114に所定のバイアス電圧が電源回路より印加されて紙転写バイアスローラ114と中間転写ベルト110との間を通過する転写紙へ中間転写ベルト110上の4色の重ね画像を転写させる。
(以下余白)
【0028】
この場合、転写紙は転写紙カセットからなる給紙装置134から給紙ローラ135によりレジストローラ136へ給紙され、レジストローラ136はその転写紙を中間転写ベルト110上の4色重ね画像の先端部が紙転写位置に到着するタイミングに合わせて給紙する。
【0029】
中間転写ベルト110から4色重ねトナー像が一括して転写された転写紙は、搬送ベルトからなる搬送装置により定着装置117へ搬送され、定着装置117の所定温度にコントロールされている定着ローラ117aと加圧ローラ117bによる加熱・加圧によりトナー像が定着されて排紙トレイ118へフルカラーコピーとして搬出される。
また、ベルト転写後の感光体ドラム103は、感光体クリーニング装置112で表面がクリーニングされる。
連続的に複写を行うリピートコピー時には、カラースキャナ102の動作および感光体ドラム103への画像形成が1枚目のY(4色目)作像工程に引き続いて開始され、所定のタイミングで2枚目のBK(1色目)作像工程に進む。
また、中間転写ベルト110は4色重ね画像を1枚目の転写紙へ一括して転写する工程に引き続いて表面がクリーニング装置115でクリーニングされてそこに2枚目のBKトナー像がベルト転写される。その後は1枚目と同様な動作が行われ、以降1枚毎に同様な動作が行われる。
【0030】
図1は、本複写機に内蔵されている制御系を示す。
この制御系はメイン制御部201と複数の周辺制御部とにより構成され、メイン制御部201はメインCPU202と、制御プログラム及び各種データを記憶したROM203と、ワーク領域として各種データを一時的に記憶するRAM204と、各周辺制御部等との入出力を行うためのI/Oインターフェース部205とにより構成される。
【0031】
また、メイン制御部201はI/Oインターフェース部205を介してレーザ光学系制御部206、電源回路207、反射濃度センサ208、トナー濃度センサ106c、107c、108c、109c、環境センサ210、表面電位センサ211、トナー補給回路212、中間転写ベルト駆動部213等が接続されている。レーザ光学系制御部206はメインCPU202から指示に基づいてレーザー光学系105を制御し、電源回路207はメインCPU202からの指示に基づいて帯電チャージャ104に高圧を印加して転写バイアスローラ111、紙転写バイアスローラ114に転写バイアス電圧を印加するとともに現像ローラ106a、107a、108a、109aにそれぞれ現像バイアス電位を印加する。反射濃度センサ208は感光体ドラム103上のトナー像の反射濃度をイエロー現像装置109と中間転写ベルト110との間で光学的に検知し、環境センサ210は温度や湿度を検知する。表面電位センサ211は感光体ドラム103の表面電位を帯電チャージャ104と黒現像装置106との間で検知する。
【0032】
トナー補給回路212はメインCPU202からの指示に基づいてマゼンタトナー補給部からマゼンタ現像装置108へマゼンタトナーを補給させ、同様に図示しない複数のトナー補給回路がそれぞれメインCPU202からの指示に基づいて黒トナー補給部、シアントナー補給部、イエロートナー補給部から黒現像装置106、シアン現像装置107、イエロー現像装置109へ黒トナー、シアントナー、イエロートナーを補給させる。中間転写ベルト駆動部213はCPU202からの指示に基づいて駆動ローラ131を駆動して中間転写ベルト110を回転させる。
【0033】
図3(a),(b)は、メイン制御部201の電位制御ルーチンを示す。
本実施形態の電位制御ルーチンによる電位制御には、電位制御aと電位制御bとがある。メイン制御部201の電位制御aのルーチンでは、電源オン時の状態をジャム等の異常処理時と区別するために、ステップ501で定着装置117の定着温度を検知する定着温度センサからの入力信号を基に、定着装置117の定着温度が100℃を越えているか否かを判断し、定着装置117の定着温度が100℃を越えている場合には異常と判定して電位制御aは行わない。
一方、電位制御bは画像形成時に毎回行うようにしている。
なお、本実施形態では、電位制御aは基本的に装置起動時に行うようにしているが、予め定められたコピー枚数の複写毎、または一定時間毎等必要に応じて行うようにしてもよい。
【0034】
以下に、電位制御(a)について説明する。
メイン制御部201は、定着装置117の定着温度が100℃を越えていない場合には、ステップ502で表面電位センサ211の較正を行い、以後の電位計算ではその校正値を用いる。次に、メイン制御部201は、ステップ503のVsg調整では、反射濃度センサ208から感光体ドラム103の地肌部に対する出力値を取り込んで反射濃度センサ208から感光体ドラム103の地肌部へ照射された光の反射光が一定値になるように反射濃度センサ208の発光量を調整する。
【0035】
次に、メイン制御部201は、感光体ドラム103上に潜像パターンを形成する(ステップ504)。
図4に示すように、感光体ドラム103の幅方向中央部にN個の階調濃度を持つ静電潜像(N個の静電潜像パターン)301、302、303・・・を感光体ドラム103の回転方向に沿って所定の間隔で形成し、例えば10個の相異なる階調濃度を持つ各辺が40mmである矩形の潜像パターン301、302、303・・・を10mmの間隔をおいて形成し、ステップ505でこれらの静電潜像301、302、303・・・の電位に対する表面電位センサ211の出力値を読み込んでRAM204に格納する。そして、メイン制御部201は10個の潜像パターン301、302、303・・・を黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色分、感光体ドラム103上に順次に所定の間隔をおいて顕像化する。
【0036】
次に、メイン制御部201は、ステップ506のPセンサ検知では、感光体ドラム103上の4色分の潜像パターン301、302、303・・・を1色分毎に黒現像装置106、シアン現像装置107、マゼンタ現像装置108、イエロー現像装置109に現像させて顕像化させることにより各色のトナー像とし、この各色のトナー像に対する反射濃度センサ208の出力値を各色毎にVpi(i=1〜N)としてRAM204に格納する。
【0037】
なお、メイン制御部201は、感光体ドラム103を帯電チャージャ104に均一に帯電させ、レーザ光学系制御部206を介してレーザ光学系105の出力を変えて潜像パターン301、302、303・・・を形成してそのパターンを顕像化しているが、このような方法に限らず、レーザ光学系105を作動させずに各現像装置106〜109の現像バイアス電位を切り換えて潜像パターンを顕像化するようにしてもよい。
【0038】
次に、メイン制御部201は、ステップ507の付着量算出ステップにおいて、上記RAM204に格納した反射濃度センサ208の出力値をROM203に格納されているテーブルを参照し、単位面積当りのトナー付着量に換算してRAM204に格納する。そして、ステップ508〜510を実行する。以下、これらのステップについて詳細に説明する。
【0039】
図5は、ステップ505で得られた電位データとステップ507で得られたトナー付着量データとの各潜像パターンにおける関係をx−y平面上にプロットしたものである。x軸は電位ポテンシャル(現像バイアス電位VBと感光体ドラム103の表面電位VDとの差:VB−VD)(単位V)を示し、y軸は単位面積当りのトナー付着量(mg/cm2)を示している。本実施形態の光学方式反射濃度センサ208のような赤外光反射型センサは、一般的に、図9に示すように、トナー付着量が多い多付着部において飽和特性を示し、得られた検出値が実際のトナー付着量に対応しなくなる。
このため、多付着部において得られた反射濃度センサ208の検出値をそのまま用いてトナー付着量を算出してしまうと、実際の付着量とは異なった付着量を得ることになり、このトナー付着量を基に行うトナー補給制御を正確に行うことができなくなってしまう。
そこで、本実施形態のメイン制御部201は、各色の潜像パターン毎に、表面電位センサ211と反射濃度センサ208から得られた潜像パターンの電位と、その顕像化後のトナー付着量のデータとを後述のように電位データXn(n=1〜10)とトナー付着量データYnとの関係(現像装置の現像γ特性)の直線区間だけ選択する。しかも、この区間のデータに対する各現像装置106〜109の現像特性の最小自乗法適用の直線近似による現像特性の近似直線方程式(E)を各色毎に得、この近似直線方程式(E)により各色毎に制御電位を計算するようにしている。
【0040】
最小自乗法の計算は次の式を用いる。
Xave=ΣXn/k・・・(1)
Yave=ΣYn/k・・・(2)
Sx=Σ(Xn−Xave)*(Xn−Xave)・・・(3)
Sy=Σ(Yn−Yave)*(Yn−Yave)・・・(4)
Sxy=Σ(Xn−Xave)*(Yn−Yave)・・・(5)
表面電位センサ211と反射濃度センサ208から得られた潜像パターンの電位、顕像化後のトナー付着量のデータから求まる近似直線方程式(E)をY=A1*X+B1としたとき、係数A1、B1は上記変数を用いて
A1=Sxy/Sx・・・(6)
B1=Yave−A1*Xave・・・(7)
と表せる。
【0041】
また、近似直線方程式(E)の相関係数Rは、
R*R=(Sxy*Sxy)/(Sx*Sy)・・・(8)
と表わせる。本実施形態では、メイン制御部201は、ステップ508において、各色毎に表面電位センサ211と反射濃度センサ208とから得られた潜像パターンの電位データXn、顕像化後のトナー付着量のデータYnの数値が若い方から5個のデータの組(X1〜X5、Y1〜Y5)、(X2〜X6、Y2〜Y6)、(X3〜X7、Y3〜Y7)、(X4〜X8、Y4〜Y8)、(X5〜X9、Y5〜Y9)、(X6〜X10、Y6〜Y10)を取り出し、上述した式(1)〜(8)に従って直線近似計算を行うとともに、相関係数Rを算出して下記のような6組の近似直線方程式及び相関係数(9)〜(14)を得る。
【0042】
Y11=A11*X+B11 ;R11・・・(9)
Y12=A12*X+B12 ;R12・・・(10)
Y13=A13*X+B13 ;R13・・・(11)
Y14=A14*X+B14 ;R14・・・(12)
Y15=A15*X+B15 ;R15・・・(13)
Y16=A16*X+B16 ;R16・・・(14)
メイン制御部201は、得られた6組の近似直線方程式のうちから相関係数R11〜R16のうちの最大値のものに対応する1組の近似直線方程式を近似直線方程式(E)として選択する。
【0043】
次に、メイン制御部201は、ステップ509で、各色毎に上述の選択した近似直線方程式(E)において、図6に示すようにYの値が必要最大トナー付着量Mmaxとなる時のXの値、すなわち現像ポテンシャルの値Vmaxを算出する。黒現像装置106、シアン現像装置107、マゼンタ現像装置108、イエロー現像装置109の各現像バイアス電位VBと感光体ドラム103上の各色の画像露光による表面電位(露光電位)VLとは上述の式から次の式(15)(16)で与えられ、
Vmax=(Mmax−B1)/A1・・・(15)
VB−VL=Vmax=(Mmax−B1)/A1・・・(16)
VBとVLとの関係は近似直線方式(E)の係数を用いて表わすことができる。
したがって(16)式は、
Mmax=A1*Vmax+B1・・・(17)
となる。
【0044】
ここで、感光体ドラム103の露光前の帯電電位VDと現像バイアス電位VBとの関係は、図6に示すような直線方程式、すなわち、
Y=A2*X+B2・・・(18)
とx軸との交点のx座標VK(現像装置の現像開始電圧)と実験的に求めた地汚れ余裕電圧Vαとから、
VD−VB=VK+Vα・・・(19)
で与えられる。
【0045】
したがって、Vmax、VD、VB、VLの関係は、(16)(19)式により決まる。この例ではVmaxを参照値として、これと各制御電圧VD、VB、VLの関係をあらかじめ実験等によって求め、図7に示すようにテーブル化してROM203に格納してある。そして、メイン制御部201は、ステップ510で、各色毎に上記算出したVmaxに最も近いVmaxを有するテーブルを選択し、その選択したテーブルに対応した各制御電圧VB、VD、VLを目標電位とする。
【0046】
次に、メイン制御部201は、ステップ511で、レーザ光学系制御部206を介してレーザ光学系105のレーザ発光パワーを最大光量となるように制御し、表面電位センサ211の出力値を取り込むことにより感光体ドラム103の残留電位を検出する。そして、ステップ512で、その残留電位が0でない時には上記テーブルにより決定した目標電位VB、VD、VLに対してその残留電位分の補正を行って目標電位とする。最後に、ステップ513で、感光体ドラム103の帯電チャージャ104による帯電電位が上記目標電位VDになるように電源回路207を調整し、レーザ光学系制御部206を介してレーザ光学系105におけるレーザ発光パワーを感光体ドラム103の露光電位が上記目標電位VLになるように調整し、かつ、黒現像装置106、シアン現像装置107、マゼンタ現像装置108、イエロー現像装置109の各現像バイアス電圧がそれぞれ上記目標電位VBになるように電源回路207を調整する。
次に、このVD、VLの目標電位を中心にテーブルで所定個の電位(本実施形態では着目した目標電位を中心に、上下のテーブルから得られる2個の電位)に対して、同様の残留電位分の補正を行い、最終的な目標電位とする。そして、VDの目標電位を達成するように帯電チャージャ104に印加する帯電チャージャグリッド電圧VGを変化させて、VDが目標電位となるように調整する。次に、VDが得られたら、VLの目標電位を達成するようにレーザーパワーを調整する。そして、所定の電位に対して得られる帯電チャージャグリッド電圧VG、レーザパワーの調整値をRAM204に格納する。この値は、次の電位制御bで用いる。
【0047】
次に、本発明の特徴であるメイン制御部201の電位制御bについて、図3(b)を用いて説明する。
ステップ601の潜像パターン形成では、前述の電位制御aと同様、図4に示すように感光体ドラム103の幅方向中央部にN個の階調濃度を持つ静電潜像パターン(N個の潜像パターン)301、302、303・・・を感光体ドラム103の回転方向に沿って所定の間隔で形成する。本実施形態の電位制御bでは、3個の相異なる階調濃度を持つ各辺が40mmである矩形の潜像パターン301、302、303を10mmの間隔をおいて形成し、ステップ602でこれらの潜像パターン301、302、303の電位に対する表面電位センサ211の出力値を読み込んでRAM204に格納する。そして、メイン制御部201は3個の潜像パターン301、302、303を黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色分、感光体ドラム103上に順次に所定の間隔をおいて顕像化する。
【0048】
ここで重要なのは、潜像パターンを形成するときの電位(レーザパワー)である。この電位は、電位制御aで得られた現像特性(図5参照)から近似直線方程式を求めたときに用いた電位データ及びトナー付着量データの上下限から決まる直線区間を、適当に分割した潜像パターンとなるような3つの電位とすることが望ましく、これがパッチ数を減らすポイントとなる。
ここで、もしこの直線区間の算出が困難である場合には、ある程度の精度低下を認めた上で、あらかじめ実験によって潜像パターン上への狙いのトナー付着量を決めておいてもよい。
【0049】
次に、ステップ603のPセンサ検知(反射濃度センサ208による検知)では、感光体ドラム103上の4色分の潜像パターン301、302、303を1色分毎に黒現像装置106、シアン現像装置107、マゼンタ現像装置108、イエロー現像装置109に現像させて顕像化させることにより各色のトナー像とし、この各色のトナー像に対する反射濃度センサ208の出力値を各色毎にVpi(i=1〜N)としてRAM204に格納する。
【0050】
次に、ステップ604のトナー付着量検出では、ステップ603でRAM204に格納した反射濃度センサ208の出力値を、ROM203に格納されたテーブルを参照することにより単位面積当たりのトナー付着量M/A(mg/cm2)に換算した後、RAM204に格納する。
【0051】
図8は、上記ステップ602で得られた電位データと上記ステップ604で得られた付着量データとの各パッチにおけるデータをx−y平面上にプロットしたものである。図8のx軸は、電位ポテンシャル、すなわち現像バイアスと感光体ドラム103の表面電位との差:Vb−Vd(V)を示し、y軸は、単位面積当たりのトナー付着量M/A(mg/cm2)を示している。
【0052】
この電位制御bでは、上記表面電位センサ211と反射濃度センサ208とから得られたパターンデータは、図8に示すように、ほぼ直線区間にあるため、この区間内のデータに対してステップ605で直線方程式を求め、ここからステップ606で、必要最大トナー付着量MmaxのときのXの値、すなわち電位ポテンシャルVmaxを算出する。
本実施形態の電位制御bでは、3点のデータのうち2点を選び、次の3つの直線方程式を求める。
Y21=A21*X+B21・・・(20)
Y22=A22*X+B22・・・(21)
Y23=A23*X+B23・・・(22)
X=Vmax=(Mmax−B1)/A1・・・(15)
なお、本実施形態の電位制御bの処理は、電位制御aの補正的な立場で行っており、得られるVmaxの値が、電位制御aの処理で得られるVmaxの値と大きく異なることはなので、電位制御bで求めたVmaxが、電位制御aで求めたVmaxに最も近い値となるような直線を選択するようにしている。これにより、例えば、一時的な画像の検出ミスなどによる急激な変化が生じた場合に、このときの検出結果をそのまま用いてVmaxを求めてしまうことを防止することができる。
【0053】
ここで、本実施形態の電位制御bでは、3点から2点を選んで直線方程式を求めているが、このような求め方に限定されるものではなく、上述のように近似直線を求めたり、パターン数を増やすことも勿論可能である。しかし、あまり数を増やすと本来の画像形成以外にトナーを多く消費することになるので、できるだけ少ないデータで直線方程式が求められることが望ましい。
【0054】
次に、ステップ607では、Vmaxを参照値として上記VD、VB、VLの関係を図7に示すようなデータテーブルの形でROM203に持たせておき、各色ごとに、上記算出したVmaxに最も近いVmaxを有するテーブルを選択し、その選択したテーブルにより制御電圧VB、VD、VLを目標電位として求める。
【0055】
次に、ステップ608では、ステップ607で求めた目標電位を設定する。
ここで、電位制御bは電位制御aと異なり、画像形成時に毎回行っているので、VD、VLが目標値になるようにフィードバック制御を行うことが時間的に困難である。このため、あらかじめ電位制御aの処理で求めた3つのテーブルに対するVG、及びレーザパワーの調整値の関係を直線近似したものから、計算によって該調整値を決定している。
【0056】
以上、本発明の電位制御方法では、感光体ドラム103上に相異なるトナー付着量を有する複数の潜像パターンを形成してその電位を表面電位センサ211で測定するとともに該潜像パターンを顕像化してそのトナー付着量を反射濃度センサ208で測定し、これらの測定電位とトナー付着量との関係から装置起動時の現像装置の現像特性を電位制御aによって算出している。更に、電位制御bでは、装置起動後、画像形成毎に上記複数の潜像パターンの数を少なくして現像特性を算出している。
そして、電位制御a及び電位制御bによって得られた現像特性に基づいて複写機からなる画像形成装置の画像形成時の現像ポテンシャルを決定するための各種電位VB、VD、VLを決定しており、感光体ドラム103上に電位制御aを算出するときに形成する潜像パターンよりも少数の潜像パターンを形成するので、電位制御bで、電位制御aと同じ数の潜像パターンを形成する場合に比して、パターン形成時間を短くすることができるとともに、パターン形成に伴うトナー消費をできるだけ少なくして現像特性を正確に把握することができる。
【0057】
しかも、本実施形態の電位制御bは電位制御aの補正的な立場で行われ、電位制御aで求めたVmaxの値に最も近い値を採用している。これにより、例えば、一時的な画像の検出ミスなどにより、電位制御bで求めた検出結果に急激な変化が生じたとしても、このような検出ミスなどに基づく誤った電位制御を防止することができ、現像特性を正確に把握して、得られた現像特性から最適画像を再現することができる。
【0058】
特に、本実施形態では、上記測定で複数組の電位及びトナー付着量のデータを得てこの複数組の電位及びトナー付着量の関係が直線的に変化する区間を算出し、この区間における上記測定した電位及びトナー付着量のデータから現像特性を直線近似することにより近似直線方程式を得て、この近似直線方程式を現像特性として用いるので、簡単な構成ながら反射濃度センサ208の検出特性が非直線性を有していても、この非直線性に影響されずに精度の良い電位制御を行うことができ、現像剤の変動に対して画像再現に最適である。
【0059】
また、A、Bを係数として現像特性の直線部における近似直線方程式をY=A*X+Bとし、測定した電位のデータをX、トナー付着量のデータをY、現像装置の現像バイアス電位VB、感光体ドラム103の露光電位VLと電位制御で最大トナー付着量Mmaxが得られる電位Vmaxとの関係を
Mmax=A*Vmax+B
VB−VL=Vmax
とするので、現像バイアス電位VB、感光体ドラム103の露光電位VLの制御を精度良く行うことができる。
【0060】
また、上記測定で得られたN組の組合わせの電位及びトナー付着量のデータの中からM(M≦N)組のデータに対して最小自乗法を適用することによって得られるK個の直線に対して各直線の相関係数を算出し、相関関数の最大値が得られるデータの組み合せの区間を上記区間とするので、より精度の良い電位制御を行うことができる。
【0061】
次に、以上の電位制御方法のように、現像装置の現像特性を算出して上記画像形成装置の画像形成時の各種電位を決定する電位制御方法を採用した画像形成装置に採用することが最適なトナー補給制御方法に関する発明の実施形態ついて説明する。
前述の実施形態に係る電位制御方法では、相異なるトナー付着量を有する複数の潜像パターンを形成し、この潜像パターンの電位及びその顕像化後のトナー付着量を測定し、この測定した電位とトナー付着量のデータとの関係から、現実の(その時点の)現像装置の現像特性を算出する。そして、算出した現像特性を前提として、所望の最大トナー付着量Mmaxを得られ、かつ、所望の地汚れ余裕電圧を確保し得るように、帯電チャージャ104の電源回路207、レーザ光学系105のレーザ発光パワー、各現像装置の現像バイアス電位などを調整し、画像形成時の各種電位を決定するように制御する。
この現像特性には、現像剤の変動、例えば、現像剤(キャリアとトナーそれぞれ)の帯電量(Q/M)の変動の影響も反映されているので、例えば現像剤が寿命に近づいていって現像剤の帯電量が低下していく場合にも、所望の最大トナー付着量Mmaxを得られ、かつ、所望の地汚れ余裕電圧を確保し得る良好な画像が形成できる。
【0062】
例えば、縦軸に感光体ドラム103上のトナー付着量、横軸に感光体ドラム103上の電位、をそれぞれ取って、第一回目のパッチパタ−ン形成時に求められた近似直線方程式Y=A1*X+B1、第二回目の同近似直線方程式がY=A2*X+B2、第三回目の同近似直線方程式がY=A3*X+B3を示すように、現像特性が経時で変化する。そして、現像剤が寿命に近づいていく場合、現像剤の帯電量が低下していく結果、上記近似直線方程式の例えば傾きが次第に大きくなる。これに伴い、算出した現像特性に対応する近似直線方程式に応じて、所望の最大トナー付着量Mmaxを得られ、かつ、所望の地汚れ余裕電圧を確保し得るように、VD,VB,VLを調整するので、例えば、近似直線方程式の傾きが大きくなった現像特性の下でも所望の画像を形成できる。
【0063】
ところが、このような電位制御方法を採用した画像形成装置におけるトナー補給制御方法として、従来公知の顕像化後の潜像パターンを用いたトナー補給制御方法を単に併用すると不具合が発生する恐れがある。
すなわち、従来公知の潜像パターンを用いたトナー補給制御方法では、感光体ドラム103上にトナ−付着量検知用の潜像パタ−ンを形成し、このパターンを顕像化したときに付着するトナー付着量を、反射濃度の大小により判断することによりトナ−補給量を制御する。この潜像パタ−ンを形成する電位ポテンシャル(感光体ドラム103上のパッチ電位と現像バイアス電位との差)は常に一定に保たれている。このため、前述のように、現像剤が寿命に近づいていってトナー、キャリアともに帯電量(Q/M)が低下し、上記近似直線方程式の傾きが大きくなるように現像特性が変化していった場合、現実の現像剤のトナー濃度がかなり低くなっても、顕像化後の潜像パターン上にはある程度のトナー付着量を得ることができる。よって、上記顕像化後のパターンの反射濃度の大小に応じて補給されるトナー量が現実のトナー濃度のわりに少なくなり、トナー濃度低下が進む。これにより、キャリアに付着しているトナーが少なくなり、キャリアが感光体ドラム103表面との直接接触で感光体ドラム103側に移転してしまう、キャリア付着などの不具合が発生してしまう。
【0064】
そこで、本実施形態のトナー補給制御方法においては、上記電位制御a,bにおいて算出した現像特性に応じて、トナー補給条件を決定することにより、現像剤の変動によるトナー補給制御上の不具合を防止するようにしている。以下、前述の図3(a),(b)に示す電位制御方法を採用した画像形成装置に適用した本実施形態のトナー補給制御方法について説明する。
【0065】
画像形成動作が開始されると、画像形成後に毎回、所定の作像条件によって電位制御b用の潜像パターンを、感光体ドラム103上の画像の後端から一定間隔をおいた非画像領域に形成し、表面電位センサ211により、潜像パターン部の表面電位Vpを測定し、Vpの測定結果に基づき、潜像パターンの現像ポテンシャルが一定になるように、潜像パターンの現像時に現像バイアスを印加する。そして、反射濃度センサ208により、感光体ドラム103の地肌部の基準反射濃度Vsgと検知パターン部の反射濃度Vspを測定する。なお、該地肌部の基準反射濃度Vsgは、電位制御aの実行時、感光体ドラム103上にトナーのない状態(本実施形態では約4V付近)において調整されたものを用いている。
また、トナー補給は、電位制御bに用いている潜像パターンの測定結果に基づいて行われる。
図9は、本実施形態の装置に適用した反射濃度センサ208の出力特性の一例である。特性線aは、黒トナーを示し、特性線bは、カラートナーを示している。この反射濃度センサ208の出力特性は、現像能力(トナー濃度)が低く、顕像化後のパターン上のトナー付着量が少ないときに反射光量が増え、センサ208の出力、すなわちVspの値が上昇する。逆に、現像能力が高く、顕像化後のパターン上のトナー付着量が多いときに反射光量が減り、Vspの値も下降する。ただし、特性線bで示すカラートナーの場合は、トナー付着量が所定以上になるとトナー表面からの反射光が増えて再びゆるやかに上昇する特性を持っている。
【0066】
したがって、反射濃度センサ208の出力特性に応じて好ましい制御レベル、すなわち、トナーの付着量の規定値がおおよそ決まり、本実施形態では、黒トナーの付着量の規定値を0.4mg/cm2、カラートナーの付着量の規定値を0.3mg/cm2としている。
このため、電位制御aで求めた現像特性より黒トナーの付着量で0.4mg/cm2、カラートナーの付着量で0.3mg/cm2になる現像ポテンシャルの潜像パターンを電位制御bの潜像パターンの1つに含めている。
例えば、黒トナーの場合で電位制御aで求めた現像特性が図5のようであったとき、直線領域の判定及びトナー付着量が上記規定値になったときの潜像パターン3点の現像ポテンシャルを決定する。
黒トナー :V0.4=(0.4−B1)/A1
カラートナー :V0.3=(0.3−B1)/A1
そして、例えばトナー付着量が規定値(0.3,0.4,0.5)の3点で決定しておいたとすれば、このような付着量になる現像ポテンシャル3点を電位制御aの処理で用いた近似直線方程式により求めると、79,110,142(V)となる。
なお、上記規定値は、(0.3,0.4,0.5)の3点に限らず、以下の基準で決定すればよい。
すなわち、反射濃度センサ208の感度特性が直線性を示す範囲であり、現像ポテンシャルを決めるための黒トナーの付着量の規定値とカラートナーの付着量の規定値とを含み、更に、望ましくは3点がM/Aで等間隔となるように決定すればよい。
【0067】
本実施形態では、上記補給時電位算出に引き続き、これで決定した上記Vbを現像スリーブに印加して、上記パッチパタ−ンを現像する。この現像されたパッチパタ−ン上のトナ−像に対する反射光を反射濃度センサ208により検知し、この電位をVspとする。あらかじめ、トナ−非現像領域の反射光量をVsgとして求めておき、VspとVsgの比に基づいてトナ−補給量を決める。
トナー補給制御は黒トナーの場合は0.4mg/cm2(カラートナーの場合は0.3mg/cm2)となるように形成した、現像ポテンシャルが110(V)のときの潜像パターンを顕像化したときの反射濃度センサ208の出力に基づいてトナー補給を行う。このときの補給量は、反射濃度センサ208の出力に基づいてROM203内に格納されたデータテーブルを参照することにより次のように求められる。
実際のトナー補給時間X(sec)は求めたトナー補給量をTadd(mg)、トナー補給モータの補給能力をK(mg/sec)とすると、
X=Tadd/K
で表され、上記条件のときのTona1〜3が、求めたトナー補給量Taddに相当する。
【0068】
これにより、トナー補給に用いる、顕像化後のパターン濃度はトナー補給の追従する範囲で維持されるが、経時の環境変動などにより、同じトナー濃度でも現像能力が異なることがあるため、次第にトナー濃度が好ましい濃度範囲(例えば、4〜7wt%)から外れて上昇あるいは下降してしまうことが考えられる。
【0069】
一般に、現像特性線の傾きは、トナー濃度が高くなると大きくなり、また、絶対湿度が低くなると小さくなっていくという性質がある。
【0070】
そこで、本発明においてはこの性質を考慮し、トナー濃度が所定の範囲にあるように現像特性と環境特性とから、現像特性線の傾きが大きく、望ましくは、絶対湿度の低い場合、トナー濃度が低下するように変更し、また、現像特性線の傾きが小さく、望ましくは、絶対湿度の高い場合、トナー濃度が上昇するように、トナー補給制御に用いる潜像パターンの現像ポテンシャルを変更する。
例えば、電位制御aの結果、現像特性線の傾きが大きく、望ましくは、絶対湿度の低いと判断された場合、トナー濃度が低下するようにその程度に応じて、電位制御bの0.4mgを狙っている潜像パターンの現像ポテンシャルを数十V大きくする。これにより、潜像パターン上のトナー付着量は上昇するため、トナー補給量は抑えられ、トナー濃度が低下する。
【0071】
なお、反射濃度センサ208がトナーの低付着量領域から高付着量領域まで同程度の感度を有していれば、特に湿度センサを設けなくても、検出された検出値に基づいてトナー濃度、画像濃度を制御できる。しかしながら、一般的に、反射濃度センサは、トナーの高付着量領域で感度が低いため、中程度の付着量域で検出された検出値を基に、高付着量領域の付着量を予想している。また、温度や湿度などの環境の変動、特に湿度に大きな変動があると、トナーの帯電量(Q/M)に影響し、パッチパターン部のトナー付着量が変動するので、この予測がしにくくなる。このため、湿度センサ等の環境変動を検知できるセンサを用いた方が、絶対湿度の条件を考慮してトナー付着量を検出するためには望ましく、トナー濃度、画像濃度を制御するのに有利なことが多い。
【0072】
ここで、環境の変動を検知するセンサを持っていないために環境変動の検知ができない場合には、電位制御aの結果による現像特性線の傾き、すなわち、選択された電位制御テーブルのナンバーによって、現像特性線の傾きが所定の傾きよりも大きかったり、小さかったりしたときに、同様に電位制御bのトナー補給制御に用いている潜像パターンの現像ポテンシャルを現像特性線の傾きが大きい場合には大きく、小さい場合には小さくする。これによれば、環境の変動を考慮できる場合に比してトナー濃度変動量が若干増えるものの、ある程度のトナー濃度範囲に抑えることができる。
【0073】
以上、本実施形態のトナー補給制御方法によれば、通常このような制御を行うと、電位制御aだけでは次の現像特性の測定まではトナー濃度が変化すると、画像も変化してしまうのに対し、画像形成時に毎回電位制御を行っている電位制御bによって各電位が制御されるので、トナー濃度変化のような短いレンジの変化に追従して安定した画像を得ることができる。
【0074】
特に、本実施形態のトナー補給制御方法では、現像特性を装置内において直接検出しているので、最適な画像電位を得ることができるとともに、最適なトナ−濃度制御条件を決定することができる。これにより、その時点での最良な画像を保証することができる。
また、現像特性として、感光体ドラム103上の潜像電位とトナ−付着量との関係が直線特性を示す領域における直線方程式を用いて現像特性として用いるため、計算精度の安定性を得ることができるとともに、制御ル−チンを簡明に構成することができる。
また、感光体ドラム103上のトナ−付着量を検出する反射濃度センサ208を現像特性の算出とトナ−補給との両方に用いることができるので、センサの数を必要最小限に抑えることができる。これにより構成が簡単になり、コスト面でも非常に有利である。とりわけ、フルカラ−システムの構成時において、トナ−濃度制御の各色ごとのトナ−濃度制御用にセンサをそれぞれ持たせる必要が無いので、非常に有利である。
【0075】
なお、本実施形態のトナー補給制御方法においては、潜像パターン形成時の現像バイアスを、算出した現像特性(現像剤の特性変動の影響を受けている)を前提にして、黒トナーの場合は0.4mg/cm2、カラートナーの場合は0.3mg/cm2の付着量が得られるように補正するため、逆にトナー濃度が許容範囲の下限に近づいた場合にも、ある程度のパターンへのトナー付着量を得るようにしている。このため、現実のトナー濃度のわりにトナー補給量が少なくなり、トナー濃度が過剰な低下を生じる恐れがある。しかし、このような恐れは、従来周知の最適のトナー補給量を確保する各種の技術、例えば、画像データを用いてトナー消費量を予測し、予測したトナー消費量をトナー補給量設定に当たって参考にする技術を併用することによって無くすことができる。無論、本実施形態の装置においても、このような技術が採用されている。
(以下、余白)
【0076】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、第一制御を行う周期よりも短い周期で行う第二制御で形成する潜像パターンの総数は、起動時に行う第一制御で形成する潜像パターンの総数よりも少数なので、第一制御で形成する潜像パターンの数と同数のパターンを形成する場合に比して、パターン形成時間を短くすることができるとともに、パターン顕像化に伴うトナー消費を少なくできる。しかも、起動時に求めた上記現像γ特性線の直線区間に内にある潜像パターンを用いるので、起動時よりも少ない数の潜像パターンを形成するわりには現像特性を正確に把握することができる。
よって、各種電位制御を精度良く行うことができ、現像剤の変動に対して画像再現に最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用できる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】同例の機構部を示す断面図である。
【図3】同例の電位制御(a)及び(b)のフローを示すフローチャートである。
【図4】同例の感光体ドラム及びパッチパターンを展開して示す図である。
【図5】同例における感光体ドラムの表面電位とトナー付着量との関係を示す特性図である。
【図6】同例の近似直線と制御電位との関係を示す図である。
【図7】同例のテ−ブルを示す図である。
【図8】同例の電位制御(b)におけるトナー補給制御の説明図である。
【図9】同例の反射濃度センサの出力特性図である。
【符号の説明】
103 感光体ドラム
108 現像装置
201 メイン制御部
208 光学方式反射濃度センサ
211 表面電位センサ
Claims (1)
- 像担持体を帯電装置による帯電で均一帯電させた後に、露光装置による露光で画像を書き込んで静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置で現像する画像形成装置における該帯電の電位、該露光を受けた露光部の電位及び該現像装置で使用する現像バイアス電圧の制御方法であって、次のことを特徴とする。
まず、画像形成装置の起動時に、次の第一制御を行う。すなわち、上記像担持体上に電位が互いに異なる複数の潜像パターンを形成してその電位を電位測定手段で測定するとともに該潜像パターンを上記現像装置で顕像化してそのトナー付着量をトナー付着量測定手段で測定し、かつ、これらの測定結果に基づいて現像γ特性線を求める。
そして、この第一制御を行う周期よりも短い周期で、次の第二制御を行う。すなわち、いずれも上記現像γ特性線のトナー付着量が多く飽和特性を示す箇所に至る前の直線区間内にあって上記起動時に形成する複数の潜像パターンの総数よりも総数が少なくなるように上記起動時の測定結果に基づいて選択した電位が互いに異なる複数の潜像パターンを該像担持体上に形成し、その電位を電位測定手段で測定するとともに該潜像パターンを顕像化してそのトナー付着量をトナー付着量測定手段で測定し、かつ、これらの測定結果に基づいて上記帯電装置で用いる電位、上記露光装置で用いる電位及び現像バイアス電圧を決定する。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP25194195A JP3742446B2 (ja) | 1995-09-04 | 1995-09-04 | 画像形成装置の制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP25194195A JP3742446B2 (ja) | 1995-09-04 | 1995-09-04 | 画像形成装置の制御方法 |
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JPH0973221A JPH0973221A (ja) | 1997-03-18 |
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ID=17230262
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-
1995
- 1995-09-04 JP JP25194195A patent/JP3742446B2/ja not_active Expired - Lifetime
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