JP3742173B2 - X線診断装置 - Google Patents

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JP3742173B2 JP00687297A JP687297A JP3742173B2 JP 3742173 B2 JP3742173 B2 JP 3742173B2 JP 00687297 A JP00687297 A JP 00687297A JP 687297 A JP687297 A JP 687297A JP 3742173 B2 JP3742173 B2 JP 3742173B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はX線診断に係り、特にエネルギー分布の異なる複数スペクトルによる
X線診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
物質のX線吸収差を利用して被検体の内部構造を画像化したものがX線画像である。広いエネルギー分布を持った連続X線を被検体へ照射し、被検体透過後の連続X線の減弱度合を画像の濃淡として検出する。この画像の濃淡を示す信号レベルは透過X線の総エネルギーに対応した値であり、X線フィルムではフィルム濃度変化として(図14)、イメージインテンシファイア(以下、I.I.と略す)とTVカメラを用いた場合、モニター輝度変化として画像化される。これらは全ていわゆる白黒画像である。
【0003】
X線減弱係数はエネルギーの関数であるため、被検体を透過したX線はエネルギーの違いによる減弱の変化情報をスペクトルの形の変化として持っている。ところが従来のX線診断装置では、X線検出段階でそのスペクトル情報は失われ、総エネルギーに対応した信号としてのみ検出され画像化される。
【0004】
このことは、透過X線スペクトルは被検体の物質の種類により異なっているが、その総エネルギーが等しければ同じ信号として画像化されることを意味し、X線画像から被検体を構成する物質を特定することができないことを意味する。
【0005】
透過X線スペクトルの違いを検出し表示する第1の方法として、最もシンプルな発想は、3種類の単色X線を準備し、それぞれに赤(R),緑(G),青(B)の3原色を対応させる方法である。被検体透過後のそれぞれの単色X線の減弱度合を3原色の変化として画像化すれば、物質によるX線減弱エネルギー特性の差異をカラー画像の色彩の変化として表現できる。
【0006】
例えば、エネルギーE1 ,E2 ,E3 を持った単色X線をφ(E1 ),φ(E2 ),φ(E3 )とすれば、それぞれの総エネルギーEt1,Et2,Et3は、次の式(1)、(2)、(3)で表現される。
【0007】
【数1】
Et1=E1 ・φ(E1 )=E1 ・n1 …(1)
Et2=E2 ・φ(E2 )=E2 ・n2 …(2)
Et3=E3 ・φ(E3 )=E3 ・n3 …(3)
【0008】
ここでn1 ,n2 ,n3 はそれぞれの単色X線のX線光子数である。この3種類の単色X線がX線減弱係数μ(E)、厚さtを持った被検体を透過し、その透過X線をΨ(E1 ),Ψ(E2 ),Ψ(E3 )とすれば、それぞれの総エネルギーE′t1,E′t2,E′t3は、次の式(4)、(5)、(6)で表現される。
【0009】
【数2】
Figure 0003742173
【0010】
ここで、エネルギーE1 の単色X線を赤(R)、E2 の場合を緑(G)、E3 の場合を青(B)に対応させる。それぞれの色をR,G,Bの割合で混合すれば色(F)が与えられる。
【0011】
【数3】
C(F)=R(R)+G(G)+B(B) …(7)
ただし、
C=R+G+B
R,G,Bの単位は、各単色X線の総エネルギーがEt1,Et2,Et3のとき、各色の明るさが1:1:1となり白色となるようにとる。
【0012】
このような強度比の3種の単色X線を被検体に曝射すると、被検体透過後のC′(F)は、
【数4】
Figure 0003742173
このとき明度はC′/Cとなっている。
【0013】
色度のみの表現に書き換えれば、次の式(9)となる。
【数5】
(F)=r(R)+g(G)+b(B) …(9)
ここで、
r=R/(R+G+B)
g=G/(R+G+B)
b=B/(R+G+B)
r+g+b=1
【0014】
被検体透過後、式(10)となる。
【0015】
【数6】
Figure 0003742173
【0016】
以上により被検体透過後の信号の色(F)′が得られる。式から明らかなように色(F)′はエネルギーE1 ,E2 ,E3 のときの被検体のX線減弱係数の違いを各色の変化として表現したものになっている。
【0017】
しかし、この第1の方法は3種類の単色X線を得るためにシンクロトロン等の大掛かりな装置を必要とし、高価であるばかりでなく、設置面積、設備の大きさも膨大なものになるため実用化できない。又、結晶格子によるブラッグ反射を利用して特定の波長(エネルギー)を有するX線を選択する方法もあるが、画像化に必要な充分な強度が得られないため、これも実用化は難しい。
【0018】
第2の方法として、3種類のX線フィルタを利用し、X線管から発生する連続X線スペクトルをそれぞれのX線フィルタにより3種類のX線スペクトルに変えて被検体に照射し、それぞれのスペクトルに3原色を対応させて画像化する方法が考えられる。
【0019】
この方法は単色X線を利用する方法より比較的簡単であるが、全ての物質は低エネルギー側での減弱が多い、いわゆるhigh−pass特性を持つため、それぞれのX線スペクトルの平均エネルギーを画像化に必要な間隔で配置することが困難であり、又、相互に同じエネルギー成分を多く有するため物質のX線減弱エネルギー特性の違いを色の違いとして正確に表現することができない。このことを具体例を用いて説明する。
【0020】
[3種類のX線フィルタを利用した画像化の例]
図15にX線管電圧80kVのとき、通常のX線管から放出されるX線フォトンスペクトル(以下、スペクトルと略す)を示す。図15には、それぞれ厚さ(t)1mm,2mm,3mmのアルミニウム(Al)をX線フィルタとして配置した場合の透過スペクトルも同時に示した。
【0021】
それぞれのスペクトルの平均エネルギーは下記の表1に示す通りである。
【0022】
【表1】
Figure 0003742173
【0023】
図15から明らかなように、フィルタの厚さが増加するに従って低エネルギー側のX線フォトンが主として減少する。それぞれの透過スペクトルの平均エネルギーの変化は1〜2keV程度であり、このフィルタでは広い範囲のエネルギー特性変化を捕えることはできない。
【0024】
また、フィルタの厚さを増せば平均エネルギーを高エネルギー側へシフトさせることができる。20〜80keVのエネルギー範囲を3つの領域に分けるとすれば(80−20)÷3=20keVであるから、分割された領域毎の平均エネルギー差は、15〜20keV程度あることが望ましい。
【0025】
t1mmAlの透過X線平均エネルギー(46.4keV)に対して、15keVの差を持たせるために必要なAl厚はt50mm必要であり、そのときのX線フォトン数はt1mmAlのときの1/100以下となる。
【0026】
更に15keVの差をもったX線を得るためにはt200mm以上のAlフィルタが必要となり、そのときのフォトン数はt1mmAlのときの1/1,000,000以下となり、これだけのレベル差を持った信号を同一検出器で正確に検出することは不可能である。更に本質的な問題として、X線フィルタ自体による散乱及びフォトン数が極端に少ないときの量子ノイズの増加によりS/N的に使用不可となる。S/Nから考えればフォトン数はそれぞれの領域で同程度あることが望ましい。
【0027】
異種のX線フィルタを用いた場合のスペクトルを図16に示す。ここでは、フォトン数が同程度になるように、t1mmアルミニウム(Al),t0.03mm銅(Cu),t0.002mm鉛(Pb)を例として用いた。
【0028】
それぞれのスペクトルの平均エネルギーは下記の表2の通りである。
【0029】
【表2】
Figure 0003742173
【0030】
フォトン数を同程度にした場合の平均エネルギーは殆ど変わらない。平均エネルギーを変化させるためフィルタ厚を変えれば、アルミニウムのみの場合と同様にフィルタによる吸収を大きくしなければならなくなり、S/Nの点から利用することができない。
【0031】
フィルタによってスペクトルの平均エネルギーを変える方法としては、使用するエネルギー範囲内にK吸収端(K-edge)を持つような材料を利用する以外に方法はない。K吸収端とは、物質に固有のX線吸収係数が不連続に大きくなる点であり、K吸収端に相当するエネルギーはK殻電子を電離させるエネルギーに等しい。
【0032】
使用するX線スペクトルのエネルギー範囲を20〜80keV(X線管電圧80kV)とすれば、この範囲にK吸収端を持つ物質は、原子番号42(Mo)から原子番号78(Pt)の間の原子番号を持つ物質である。
【0033】
Mo(K吸収端20.0keV)を基準として、K吸収端が約5keV間隔となるような物質を選択し、その元素記号とK吸収端の値を配置した表を次に示す。
【0034】
【表3】
Figure 0003742173
【0035】
一般的にX線管陽極材料としては、タングステン(W)が使用されているため、そこから発生するX線は陽極自身による吸収の影響で69.5keVのところにスペクトルの不連続点を持っている。この不連続点を避けて、20keV〜65keV範囲を3分割するよう物質を選べば、モリブデン(Mo)−セシウム(Cs)−ガドリニウム(Gd)−ハフニウム(Hf)の組合せが得られる。20keV以下のX線強度は充分小さいからモリブデン(Mo)を使用する必要はなくセシウム(Cs)−ガドリニウム(Gd)−ハフニウム(Hf)の組合せを3種のフィルタ材料として用いれば良い。
【0036】
これらのフィルタ材料のK吸収端より低いところでのスペクトルの形が一致するように各材料の厚さを選択すると、セシウム(Cs)t0.19mm、ガドリニウム(Gd)t0.03mm、ハフニウム(Hf)t0.013mmとなる。このように厚さが調整された各物質の透過スペクトルを図17〜図19に示す。なお、この場合のX線条件は、それぞれX線管電圧(Eo )80kV,X線管電流100mA、曝射時間10msec、焦点−検出器間距離(SDD)1m(フォトン数は1cm2 当り)である。
【0037】
図17〜図19からも明らかなように、セシウム(Cs)のK吸収端は35.98keV、ガドリニウム(Gd)のK吸収端は50.23keV、ハフニウム(Hf)のK吸収端は65.34keVであり、このエネルギーのところでX線減弱が大きくなるので、それぞれのスペクトルの不連続線として現れる。
【0038】
それぞれの材料(フィルタ)透過後の平均エネルギーは46.3keV,45.6keV,46.5keVであり、アルミニウムt1.0mm透過後の平均エネルギー46.4keVに比べて殆ど変化はないが、スペクトルの形がK吸収端を超えるエネルギー範囲で大きく変化しているため、その範囲でのX線減弱エネルギー特性の変化情報を持つことができる。
【0039】
次に、3種類のX線フィルタ(Cs,Gd,Hf)透過スペクトルを用いて各種の被検体材料が表示される色がどのように変化するかを予測する。
【0040】
セシウム(Cs)透過X線スペクトルをφ1 (E)、ガドリニウム(Gd)透過X線スペクトルをφ2 (E)、ハフニウム(Hf)透過X線スペクトルをφ3 (E)とし、それぞれの総エネルギーをEt1,Et2,Et3とすれば、式(11)〜(13)となる。
【0041】
【数7】
Figure 0003742173
この3種類の互いに異なるスペクトルを持つX線がそれぞれX線減弱係数μ(E)、厚さtを持った被検体を透過し、その透過X線スペクトルをΨ1 (E),Ψ2 (E),Ψ3 (E)とすれば、それぞれの総エネルギーE′t1,E′t2,E′t3は、式(14)〜(16)となる。
【0042】
【数8】
Figure 0003742173
ここで、セシウム(Cs)透過X線を赤(R)、ガドリニウム(Gd)透過X線を緑(G)、ハフニウム(Hf)透過X線を青(B)に対応させ、各透過X線のエネルギーがEt1,Et2,Et3のとき各色の明るさが1:1:1となり、白色となるようにすれば、被検体透過後のC′(F)′は、式(17)となる。
【0043】
【数9】
Figure 0003742173
ただし、
C′=R′+G′+′B′
である。
【0044】
これを色度のみの表現に書き換えれば、式(18)となる。
【0045】
【数10】
(F)=r(R)+g(G)+b(B) …(18)
r=R/(R+G+B)
g=G/(R+G+B)
b=B/(R+G+B)
被検体透過後の色度(F)′は、式(19)となる。
【0046】
【数11】
Figure 0003742173
【数12】
Figure 0003742173
【数13】
Figure 0003742173
【0047】
(1)上記の測定条件における被検体が水(H2 O)1cmの場合のフィルタCs、Gd、Hfを用いたそれぞれの透過X線スペクトルを図20、図21、図22に示す。また、それぞれの透過X線スペクトルの総エネルギーを計算して、水が表示される色を予測すると、次のようになる。
【0048】
Figure 0003742173
【数14】
Figure 0003742173
【0049】
ここで、r′:g′:b′≒1:1:1だから、被検体が水の場合カラー表示された画像の色は、殆ど無彩色となる。但し、明度が(R′+G′+B′)/(R+G+B)=2.346/3=0.782であるから、白色より若干暗くなる(明るい灰色)。
【0050】
(2)同様の測定条件における被検体がヨウ素(I)0.1mmの場合のフィルタCs、Gd、Hfを用いたそれぞれの透過X線スペクトルを図23、図24、図25に示す。また、それぞれの透過X線スペクトルの総エネルギーを計算して、ヨウ素が表示される色を予測すると、次のようになる。
【0051】
Figure 0003742173
【数15】
Figure 0003742173
【0052】
ここで、r′:g′:b′=1.05:1.0:1.02だから、被検体がヨウ素の場合カラー表示された画像の色は、若干赤味がかった色ではあるがほぼ無彩色に近い。明度は、1.687/3=0.562であるから、(1)の場合の半分位の明るさとなる。
【0053】
(3)同様の測定条件における被検体がバリウム(Ba)0.2mmの場合のフィルタCs、Gd、Hfを用いたそれぞれの透過X線スペクトルを図26、図27、図28に示す。また、それぞれの透過X線スペクトルの総エネルギーを計算して、バリウムが表示される色を予測すると、次のようになる。
【0054】
Figure 0003742173
【数16】
Figure 0003742173
【0055】
ここで、r′:g′:b′=1.07:1.0:1.01だから、バリウムの場合もカラー表示された画像の色は、若干赤味がかった色ではあるが、ほぼ無彩色に近い。明度は1.353/3=0.451であるから(1)の場合の半分以下の明るさとなる。又、ヨウ素(I)とバリウム(Ba)との差も僅かであり、両者は殆ど区別できない。
【0056】
以上の水、ヨウ素(I)、バリウム(Ba)からなる3種の被検体の結果をまとめると、表4となり、またRGBの3次元空間内のベクトルで表示すると、図29となる。
【0057】
【表4】
Figure 0003742173
次に、各被検体間の色差を水(H2 O)を基準としてシュレーディンガーの式から求める。
【0058】
水(H2 O)の明度hは、
Figure 0003742173
ヨウ素(I)と水(H2 O)の各色の色差dx1 ,dx2 ,dx3 及び明度差dhは
dx1 =0.781−0.579=0.202
dx2 =0.782−0.550=0.232
dx3 =0.783−0.558=0.225
dh=0.782−(1.687/3)=0.22
∴H2 OとIの色差ds
【数17】
Figure 0003742173
これは殆ど検出できない色差である(図30のCIE色度図参照)。
【0059】
BaとH2 Oの各色の色差dx1 ,dx2 ,dx3 及び明度差dhは
dx1 =0.781−0.470=0.311
dx2 =0.782−0.439=0.343
dx3 =0.783−0.444=0.339
dh=0.782−(1.353/3)=0.331
∴H2 OとBaの色差ds
【数18】
Figure 0003742173
これも殆ど検出できない色差である。
【0060】
以上、述べたように3種類のK吸収端をもったX線フィルタを使用し、3原色を対応させても各種材料のX線減弱エネルギー特性の違いを色の違いとして検出できない。ここで選んだ材料は決して検出しにくいものではなく、むしろ、これらの材料を検出できなければ、他の材料の検出は殆ど不可能と考えて良い。
【0061】
各材料のX線減弱エネルギー特性を色の違いとして検出できない理由は、3種類のX線フィルタ透過スペクトルが、それぞれのK吸収端で異なる形をしているものの、全てのエネルギー範囲にX線光子は共通に分布しており、これらの総エネルギーに対してK吸収端によるエネルギーの変化の割合が少ないためと考えられる。
【0062】
これらのことから各種材料のX線減弱エネルギー特性の違いを色で表示する装置はまだ実用化されていない。
【0063】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、被検体の内部構造のみならず、物質構成の差異も画像化することが可能なX線診断方法及び装置を提供することである。
【0064】
本発明の目的をさらに詳しく説明すると、被検体のX線減弱係数のスペクトル特性を反映したX線画像を収集し、これをカラー画像として表示することにより、被検体の物質の種類に関する情報を含むX線診断画像を提供することである。
【0065】
また本発明の目的は、被検体透過後のそれぞれスペクトル分布が異なるX線の減弱度合を3原色の変化として画像化し、被検体の物質の種類によるX線減弱エネルギー特性の差異をカラー画像の色彩の変化として表現できるX線診断方法及び装置を提供することである。
【0066】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るX線診断装置は、X線を発生するためのX線管と、被検体を透過したX線を検出するためのX線検出部と、前記X線管と前記被検体の間に配置され、K吸収端が異なる少なくとも4種類のX線フィルタと、前記X線のパス上に前記4種類のX線フィルタを順次挿入するための機構と、前記X線検出部から出力される前記4種類のX線フィルタにそれぞれ対応する4種類の画像信号を記憶するためのメモリと、前記4種類の画像信号から差分処理により3種類の差分画像信号を発生し、前記3種類の差分画像信号をR信号、G信号、B信号にそれぞれ対応付けて出力する画像演算装置と、前記R信号、G信号、B信号に従ってカラー画像を表示する表示部とを具備する。
【0076】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明に係るX線診断装置の第1実施形態の構成を説明するブロック図である。同図において、X線診断装置1は、X線源であるX線管3と、X線フィルタ円板5と、X線フィルタ円板5を駆動するモータ7と、I.I.(イメージインテンシファイア)9と、光学系11と、TVカメラ13と、TVカメラ13から得られた画像を記憶する画像メモリ15a,15b,15c,15dと、画像演算装置17と、カラーモニタ19と、X線管3に高電圧を供給する高電圧発生器21と、X線の曝射及びX線フィルタ円板5の挿入および画像記憶を同期させるための同期装置23とを備えて構成されている。
【0077】
X線管3から曝射されたX線は被検体P透過後、I.I.9へ入射し、光学像へ変換される。この光学像は光学系11によりTVカメラ13に結像し、TVカメラ13によって電気信号に変換され、画像メモリ15へ蓄積される。画像メモリ15の信号は画像演算装置17により処理されカラーモニター19に表示される。
【0078】
X線管3と被検体Pとの間には、図1(b)に詳細を示すX線フィルタ円板5が挿入されておりモータ7により高速回転する。X線フィルタ円板5は、X線に対して透明な材質による円形の基板と、K吸収端の異なる4種類のX線フィルタ5a,5b,5c,5dからなり、円形の基板を4等分するそれぞれ挟み角90°の扇形にそれぞれK吸収端の異なる4種類のX線フィルタ5a,5b,5c,5dが貼付けられている。
【0079】
このK吸収端の異なる4種類のX線フィルタ5a,5b,5c,5dとしてはそれぞれの物質のK吸収端の値をEka,Ekb,Ekc,Ekdとすれば、これらのK吸収端がX線管3より曝射されるX線スペクトルを等エネルギー間隔で分割するような[(Ekd−Ekc)≒(Ekc−Ekb)≒(Ekb−Eka)]物質が好ましく、例えば、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、ガドリニウム(Gd)、ハフニウム(Hf)の組合せを用いる。
【0080】
これらのフィルタ材料のK吸収端より低いところでのスペクトルの形が一致するように各材料の厚さを選択すると、モリブデン(Mo)t0.07mm、セシウム(Cs)t0.19mm、ガドリニウム(Gd)t0.03mm、ハフニウム(Hf)t0.013mmとなる。
【0081】
そして、このX線フィルタ円板5がモータ7によって回転するため、時間とともに4種類のX線フィルタ5a,5b,5c,5dがX線パスに順次挿入され、異なるX線スペクトルによる画像が順次得られる。
【0082】
同期装置23は、X線管3に高電圧を供給するとともにX線曝射タイミングを制御する高電圧発生器21と、モータ7と、画像メモリ15a,15b,15c,15dに対して同期信号を送出し、例えばTVカメラ13の垂直ブランキング期間毎にX線曝射を行い、それぞれX線フィルタ5a,5b,5c,5dを透過した後に被検体Pを透過したX線画像をそれぞれの画像メモリ15a,15b,15c,15dに取り込まれるように制御する。
【0083】
画像演算装置17は、画像メモリ15a,15b,15c,15dに取り込まれた各画像間の減算を行い、それぞれの差分を得るためのものであり、カラーモニタ19は、これらの差分信号をそれぞれ赤(R),緑(G),青(B)に対応させてカラー画像表示する。
【0084】
次に、上記構成による本第1実施形態の動作を説明する。
図1において、被検体Pがないときの各X線フィルタ5a,5b,5c,5d透過後の画像信号をA,B,C,Dとすれば、その差分B−A,C−B,D−Cを画像演算装置17により得ることができる。
【0085】
ここで、被検体がないときの信号B−Aを赤(R)の最大信号、C−Bを緑(G)の最大信号、D−Cを青(B)の最大信号とすれば、この3色の合計が白色となる。
【0086】
次いで、被検体があるときの画像信号をA′,B′,C′,D′とすれば、B′−A′は被検体があるときの赤(R)信号、C′−B′は緑(G)信号、D′−C′は青(B)信号となり、被検体のX線減弱エネルギー特性の違いにより物質の種類による異なった色が得られる。
【0087】
図2は、同期装置23が制御するX線診断装置1のタイミング制御図である。例えば、静止画像により被検体を診断する場合、モータ7の1回転の期間(図2中にTで示す)に4回のX線曝射が行われる。それぞれのX線曝射は、モータ7によって回転するX線フィルタ円板5の各X線フィルタ5a,5b,5c,5dの中央部がX線パスを横切るタイミングで行われる。
【0088】
これらのX線曝射により形成された被検体PのX線画像は、I.I.9により光学像に変換され、さらにTVカメラ13によりビデオ信号に変換され、図示されないA/D変換器によりディジタル画像信号に変換された後、画像メモリ15に記憶される。
【0089】
画像メモリ15は、少なくとも画像メモリ15a,15b,15c,15dからなる4面の記憶領域を備えていて、それぞれ画像を記憶可能である。そして、X線フィルタ5a,5b,5c,5dをそれぞれ介して撮影された画像は、それぞれ画像メモリ15a,15b,15c,15dに格納されるように、同期装置23によって画像収集タイミングが制御されている。
【0090】
次いで、画像演算装置17により、それぞれの画像メモリから読み出された信号の差分演算が行われて、被検体PのX線減弱スペクトル特性に応じたカラー画像がカラーモニタ19に表示される。
【0091】
動画像を撮影する場合には、必要な期間だけ、図2に示したTのサイクルを繰り返せば、カラー動画像による透視を行うことができる。
【0092】
[カラー化のための演算の詳細]
次に、本発明におけるカラー化のための演算の詳細を説明する。
本発明の基本的な考え方は、3種類以上、より好ましくは4種類以上のX線フィルタを用いて、それぞれ被検体のX線透過量に応じたX線検出信号を収集し、これらのX線検出信号間の差分を計算することにより、X線減弱係数のスペクトル情報に寄与しない部分の影響を除去した各エネルギー帯毎のX線減弱係数に応じたX線検出信号を生成し、これをRGBに対応させることにより、被検体のX線減弱係数のスペクトル情報をカラー画像化するようにしたことである。
【0093】
従来技術で説明したように、3種類のX線フィルタを用いてそれぞれX線検出信号を収集するだけでは、K吸収端によるエネルギー変換が、それぞれのスペクトルに共通に存在する広い範囲のX線光子のエネルギーによって弱められた結果、3原色にそれぞれ対応するスペクトル成分を抽出し得なかった。
【0094】
この共通部分をスペクトルから除去してやれば、K吸収端によるスペクトル変化を信号として有効に利用することができる。実際の装置では個々のスペクトルを検出している訳ではないので、各エネルギー毎に不要部分を演算して除去する方法は採れない。
【0095】
そこで、信号に寄与しない不要部分のスペクトルを別のX線フィルタで作り、このスペクトルの総エネルギーをそれぞれの色に対応したX線の総エネルギーから引いてやれば、目的とするエネルギー変化を効率良く検出でき、認識可能な色差を得ることができる。
【0096】
このため、3種類のX線フィルタ(Cs,Gd,Hf)に加えて、Moフィルタを用意する。そしてK吸収端より低いエネルギーでのスペクトルの形が一致するようにMoの厚さを求めればt0.07mmとなる。
【0097】
セシウム(Cs)及びMoフィルタ透過スペクトルを図4に示す。
セシウム(Cs)透過スペクトルの総エネルギーからMo透過スペクトルの総エネルギーを引けば図4に示す斜線部分のみのエネルギーを取り出すことができる。
【0098】
次にガドリニウム(Gd)の場合、別のX線フィルタを探しても良いが、既にセシウム(Cs)透過スペクトルによる総エネルギーが得られているため、これを利用するのが最も効率的である。セシウム(Cs)及びガドリニウム(Gd)の場合のスペクトルを図5に示す。最後にガドリニウム(Gd)及びハフニウム(Hf)の場合を図6に示す。
【0099】
これら4種類のX線フィルタ透過スペクトルを同時に図7に示す。それぞれの領域は各K吸収端で明確に分離されており、平均エネルギーとしても充分に離れている。各領域に色信号を対応させれば、物質のX線減弱エネルギー特性による各領域の信号変化が色の変化として抽出できる。
【0100】
次に、4種類のX線フィルタ(Mo,Cs,Gd,Hf)透過スペクトルを用いて各種材料がどのような色として観察されるかを予測する。
【0101】
Mo透過X線スペクトルをφ0 (E)(図8参照)、セシウム(Cs)透過スペクトルをφ1 (E)、ガドリニウム(Gd)透過スペクトルをφ2 (E)、ハフニウム(Hf)透過スペクトルをφ3 (E)とし、その総エネルギーをEto,Et1,Et2,Et3とすれば、
【数19】
Figure 0003742173
となる。
【0102】
この4種類のX線がX線減弱係数μ(E)、厚さtを持った被検体を透過し、その透過X線スペクトルをΨ0 (E),Ψ1 (E),Ψ2 (E),Ψ3 (E)とすれば、それぞれの総エネルギーE′to,E′t1,E′t2,E′t3は、
【数20】
Figure 0003742173
となる。
【0103】
ここでセシウム(Cs)透過スペクトルからMo透過スペクトルを引いたものを赤(R)、ガドリニウム(Gd)透過スペクトルからセシウム(Cs)透過スペクトルを引いたものを緑(G)、ハフニウム(Hf)透過スペクトルからガドリニウム(Gd)透過スペクトルを引いたものを青(B)に対応させる。
【0104】
そして、それぞれの総エネルギーがEt1−Et0,Et2−Et1,Et3−Et2のとき各色の明るさが1:1:1となり、白色となるようにすれば、被検体透過後のC′(F)′は、
【数21】
Figure 0003742173
【数22】
Figure 0003742173
となる。
【0105】
ただし、
C′=R′+G′+B′
色度のみの表現に書換えた被検体透過後の色度(F)′は
【数23】
Figure 0003742173
【数24】
Figure 0003742173
【数25】
Figure 0003742173
(1)被検体が水(H2 O)1cmの場合、
Moフィルタ(0.07mm)+水(1cm)透過スペクトルを図9に示す。
【0106】
Figure 0003742173
【数26】
Figure 0003742173
若干赤色が減っているため緑青がかっているが、大きな減少ではないため、やはり灰色に近い。その明度は2.271/3=0.757である。
【0107】
(2)被検体がヨウ素(I)0.1mmの場合
Moフィルタ(0.07mm)+I(0.1mm)透過スペクトルを図10に示す。
【0108】
Figure 0003742173
【数27】
Figure 0003742173
この被検体がヨウ素の場合、表示される色は、緑成分が少なく、青紫色となり、その明度は、1.503/3=0.501である。
【0109】
(3)被検体がバリウム(Ba)0.2mmの場合
Moフィルタ(0.07mm)+Ba(0.2mm)透過スペクトルを図11に示す。
【0110】
Figure 0003742173
【数28】
Figure 0003742173
この被検体がバリウム(Ba)の場合、表示される色は、緑が少なく、Iよりも赤に近い紫色となる。明度は1.246/3=0.415である。
【0111】
以上の3種類の被検体の結果をまとめると、表5になる。
【表5】
Figure 0003742173
各被験体間の色差をH2 Oを基準としてシュレーディンガーの式から求める。
【0112】
2 Oの明度h
Figure 0003742173
IとH2 Oの各色の色差dx1 ,dx2 ,dx3 及び明度差dhは
dx1 =0.696−0.478=0.218
dx2 =0.786−0.393=0.393
dx3 =0.789−0.632=0.157
dh=0.757−(1.503/3)=0.256
∴H2 OとIの色差dsは
【数29】
Figure 0003742173
これは充分検出可能な色差である。
【0113】
BaとH2 Oの各色の色差dx1 ,dx2 ,dx3 及び明度差dhは
dx1 =0.696−0.478=0.218
dx2 =0.786−0.268=0.518
dx3 =0.789−0.500=0.289
dh=0.757−(1.246/3)=0.342
∴H2 OとBaの色差dsは
【数30】
Figure 0003742173
これも充分検出可能な色差である。
【0114】
以上の3種類の被検体、水(H2 O)、ヨウ素(I)、バリウム(Ba)に加えて、サマリウム(Sm)t0.1mmを本実施の形態によるX線診断装置により観察する場合の呈色を計算し、RGB3次元空間にベクトル表示すると、図12となる。Smの場合、緑に近い色となる。
【0115】
なお、本実施の形態においては、X線フィルタを4種類用いたが、5種類以上のX線フィルタを用いて、X線スペクトルをエネルギー的に分離してもよい。例えば、6種類の異なるK吸収端、Eka,Ekb,Ekc,Ekd,Eke,Ekf(Eka<Ekb<Ekc<Ekd<Eke<Ekf)をそれぞれ持つ6種類の物質a,b,c,d,e,fをフィルタとして用いて、それぞれ対応する画像A,B,C,D,E,Fを収集し、画像間演算、B−A,D−C,F−Eにより、カラー画像のR,G,B各成分を求めても良い。
【0116】
図13(a)は、本発明に係るX線診断装置の第2実施形態の構成を説明するブロック図である。同図において、X線診断装置1は、X線源であるX線管3と、X線フィルタ円板5と、X線フィルタ円板5を駆動するモータ7と、I.I.(イメージインテンシファイア)9と、光学系11と、TVカメラ13と、TVカメラ13から得られた画像を記憶する画像メモリ15a,15b,15cと、画像演算装置17と、カラーモニタ19と、X線管3に高電圧を供給する高電圧発生器21と、X線の曝射及びX線フィルタ円板5の挿入及び画像記憶を同期させるための同期装置23とを備えて構成されている。
【0117】
X線管3から曝射されたX線は被検体P透過後、I.I.9へ入射し、光学像へ変換される。この光学像は光学系11によりTVカメラ13に結像し、TVカメラ13によって電気信号に変換され、画像メモリ15へ蓄積される。画像メモリ15の信号は画像演算装置17により処理されカラーモニター19に表示される。
【0118】
X線管3と被検体Pとの間には、図13(b)に詳細を示すX線フィルタ円板5が挿入されておりモータ7により高速回転する。X線フィルタ円板5は、X線に対して透明な材質による円形の基板と、K吸収端の異なる3種類のX線フィルタ5a,5b,5cからなり、円形の基板を3等分するそれぞれ挟み角120°の扇形にそれぞれK吸収端の異なる3種類のX線フィルタ5a,5b,5cが貼付けられている。
【0119】
このK吸収端の異なる3種類のX線フィルタ5a,5b,5c,としてはそれぞれの物質のK吸収端の値をEka,Ekb,Ekcとすれば、これらのK吸収端がX線管3より曝射されるX線スペクトルを等エネルギー間隔で分割するような[(Ekc−Ekb)≒(Ekb−Eka)]物質、例えば、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、ガドリニウム(Gd)の組合せを用いる。
【0120】
これらのフィルタ材料のK吸収端より低いところでのスペクトルの形が一致するように各材料の厚さを選択すると、モリブデン(Mo)t0.07mm、セシウム(Cs)t0.19mm、ガドリニウム(Gd)t0.03mmとなる。
【0121】
そして、このX線フィルタ円板5がモータ7によって回転するため、時間とともに3種類のX線フィルタ5a,5b,5cがX線パスに順次挿入され、異なるX線スペクトルによる画像が順次得られる。
【0122】
同期装置23は、X線管3に高電圧を供給するとともにX線曝射タイミングを制御する高電圧発生器21と、モータ7と、画像メモリ15a,15b,15cに対して同期信号を送出し、それぞれX線フィルタ5a,5b,5cを透過した後に被検体Pを透過したX線画像をそれぞれの画像メモリ15a,15b,15cに取り込まれるように制御する。
【0123】
画像演算装置17は、画像メモリ15a,15b,15cに取り込まれた各画像間の減算を行い、それぞれの差分(15b−15a)、(15c−15b)を得るとともに、この差分に基づいて生成すべきRGB信号を計算するためのものであり、カラーモニタ19は、これらRGB信号をカラー画像表示する。
【0124】
次に、上記構成による本第2実施形態の動作を説明する。
例えば、静止画像により被検体を診断する場合、同期装置23が制御するタイミング制御は、モータ7の1回転の期間に3回のX線曝射が行われる。それぞれのX線曝射は、モータ7によって回転するX線フィルタ円板5の各X線フィルタ5a,5b,5cの中央部がX線パスを横切るタイミングで行われる。
【0125】
これらのX線曝射により形成された被検体PのX線画像は、I.I.9により光学像に変換され、さらにTVカメラ13によりビデオ信号に変換され、図示されないA/D変換器によりディジタル画像信号に変換された後、画像メモリ15に記憶される。
【0126】
画像メモリ15は、少なくとも画像メモリ15a,15b,15cからなる3面の記憶領域を備えていて、それぞれ画像を記憶可能である。そして、X線フィルタ5a,5b,5cをそれぞれ介して撮影された画像は、それぞれ画像メモリ15a,15b,15cに格納されるように、同期装置23によって画像収集タイミングが制御されている。
【0127】
次いで、画像演算装置17により、それぞれの画像メモリ15a,15b,15cから読み出された各画素毎に画像メモリ15b−15a,15c−15bの演算が行われ、それぞれエネルギー的に分離された低エネルギー領域のX線画像(B−A)と、高エネルギー領域のX線画像(C−B)が作成される。
【0128】
次いで、これら2つの画像について、各画素毎に両画像の階調を示す値の比である(C−B)/(B−A)の演算を行いつつ、その最小値MIN{(C−B)/(B−A)}及び最大値MAX{(C−B)/(B−A)}を求める。
【0129】
次いで、MIN{(C−B)/(B−A)}の値を持つ画素を例えば赤色、MAX{(C−B)/(B−A)}の値を持つ画素を例えば青紫色とし、(C−B)/(B−A)の値がMINとMAXの間の値を持つ画素を赤色から青紫色に至るいわゆるレインボー表示とするような、RGBの各成分を計算する。そして、この計算されたRGBにより、被検体PのX線減弱スペクトル特性に応じたカラー画像がカラーモニタ19に表示される。
【0130】
なお、最小値MIN{(C−B)/(B−A)}及び最大値MAX{(C−B)/(B−A)}の探索過程を除いて、予め設定されたそれぞれの(C−B)/(B−A)の値に対応する色表示を行っても良い。
【0131】
本実施の形態においても動画像を撮影する場合には、必要な期間だけ、上記の画像収集と画像演算・画像表示を繰り返せば、カラー動画像による透視を行うことができる。
【0132】
【発明の効果】
従来のX線画像が被検体の減弱係数エネルギー特性に関係なく白黒のいわゆる影絵であったのに対し、本発明によれば被検体内部の物質のX線減弱エネルギー特性の違いを色の違いとして表現できるため、X線画像の情報量が飛躍的に拡大した実用的なX線診断装置を提供できる。
【0133】
4種類以上の異なるK吸収端を持つX線フィルタを用い、エネルギー的に完全に分離した3種類のX線スペクトルを得、それを3原色に対応させ、被検体透過後のそれぞれのスペクトルの変化を色の変化して画像化することにより、被検体の減弱エネルギー特性を色彩的に表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線診断装置の第1の実施の形態を示す構成図(a)およびX線フィルタ詳細図(b)である。
【図2】図1のX線診断装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【図3】被検体がないときの画像信号の差分、B−A,C−B,D−Cによる白色表示を説明する図である。
【図4】t0.07mmモリブデン(Mo)(K吸収端:20.0keV)及びt0.19mmセシウム(Cs)(K吸収端:35.98keV)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図5】t0.19mmセシウム(Cs)(K吸収端:35.98keV)及びt0.03mmガドリニウム(Gd)(K吸収端:50.23keV)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図6】t0.03mmガドリニウム(Gd)(K吸収端:50.23keV)及びt0.013mmハフニウム(Hf)(K吸収端:65.34keV)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図7】4種のX線フィルタ、モリブデン(Mo)、セシウム(Cs)、ガドリニウム(Gd)及びハフニウム(Hf)の透過スペクトルの差異により、X線減弱エネルギースペクトルがR(20.0〜35.98keV)、G(35.98〜50.23keV)、B(50.23〜65.34keV)の各領域に分割されることを示すグラフである。
【図8】モリブデン(Mo)フィルタの有無による透過スペクトルの変化を示すグラフである。
【図9】t0.07mmモリブデン(Mo)フィルタを用いた場合の被検体t10mm水(H2O) の透過スペクトルを示すグラフである。
【図10】t0.07mmモリブデン(Mo)フィルタを用いた場合の被検体t0.1mmヨウ素(I)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図11】t0.07mmモリブデン(Mo)フィルタを用いた場合の被検体t0.2mmバリウム(Ba)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図12】第1の実施形態における4種類の被検体、水(H2O) 、ヨウ素(I)、バリウム(Ba)及びサマリウム(Sm)の色度差を示すRGB3次元空間ベクトル表示である。
【図13】本発明に係るX線診断装置の第2の実施の形態を示す構成図(a)およびX線フィルタ詳細図(b)である。
【図14】従来のX線撮影システムの概念を示すシステム構成図である。
【図15】X線管電圧80kVのX線フォトンスペクトル、及び厚さ1mm,2mm,3mmのアルミニウム(Al)をX線フィルタとして用いた場合の透過スペクトルを示すグラフである。
【図16】t1mmアルミニウム(Al)、t0.03mm銅(Cu)、t0.002鉛(Pb)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図17】t0.19mmセシウム(Cs)(K吸収端:35.98keV)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図18】t0.03mmガドリニウム(Gd)(K吸収端:50.23keV)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図19】t0.013mmハフニウム(Hf)(K吸収端:65.34keV)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図20】t0.19mmセシウム(Cs)フィルタを用いた場合の被検体t10mm水(H2O) の透過スペクトルを示すグラフである。
【図21】t0.03mmガドリニウム(Gd)フィルタを用いた場合の被検体t10mm水(H2O) の透過スペクトルを示すグラフである。
【図22】t0.013mmハフニウム(Hf)フィルタを用いた場合の被検体t10mm水(H2O) の透過スペクトルを示すグラフである。
【図23】t0.19mmセシウム(Cs)フィルタを用いた場合の被検体t0.1mmヨウ素(I)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図24】t0.03mmガドリニウム(Gd)フィルタを用いた場合の被検体t0.1mmヨウ素(I)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図25】t0.013mmハフニウム(Hf)フィルタを用いた場合の被検体t0.1mmヨウ素(I)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図26】t0.19mmセシウム(Cs)フィルタを用いた場合の被検体t0.2mmバリウム(Ba)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図27】t0.03mmガドリニウム(Gd)フィルタを用いた場合の被検体t0.2mmバリウム(Ba)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図28】t0.013mmハフニウム(Hf)フィルタを用いた場合の被検体t0.2mmバリウム(Ba)の透過スペクトルを示すグラフである。
【図29】3種類のX線フィルタによる3種類の被検体、水(H2O) 、ヨウ素(I)、バリウム(Ba)の色度差を示すRGB3次元空間ベクトル表示である。
【図30】色度座標を平面上に示したCIE色度図である。
【符号の説明】
1…X線診断装置、3…X線管、5…X線フィルタ円板、7…モータ、9…I.I.、11…光学系、13…TVカメラ、15a…画像メモリA、15b…画像メモリB、15c…画像メモリC、15d…画像メモリD、17…画像演算装置、19…カラーモニタ、21…高電圧発生器、23…同期装置。

Claims (7)

  1. X線を発生するためのX線管と、
    被検体を透過したX線を検出するためのX線検出部と、
    前記X線管と前記被検体の間に配置され、K吸収端が異なる少なくとも4種類のX線フィルタと、
    前記X線のパス上に前記4種類のX線フィルタを順次挿入するための機構と、
    前記X線検出部から出力される前記4種類のX線フィルタにそれぞれ対応する4種類の画像信号を記憶するためのメモリと、
    前記4種類の画像信号から差分処理により3種類の差分画像信号を発生し、前記3種類の差分画像信号をR信号、G信号、B信号にそれぞれ対応付けて出力する画像演算装置と、
    前記R信号、G信号、B信号に従ってカラー画像を表示する表示部とを具備することを特徴とするX線診断装置。
  2. 前記画像演算装置は、前記K吸収端が隣り合うX線フィルタに対応する画像信号どうしを差分することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
  3. 前記4種類のX線フィルタそれぞれのK吸収端を低位から順番にEka,Ekb,Ekc,Ekdと表記するとき、(Ekd−Ekc)と、(Ekc−Ekb)と、(Ekb−Eka)とはほぼ等価であることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
  4. 前記4種類のX線フィルタそれぞれのK吸収端を低位から順番にEka,Ekb,Ekc,Ekdと表記し、K吸収端Ekaを有するX線フィルタに対応するX線画像をA、K吸収端Ekbを有するX線フィルタに対応するX線画像をB、K吸収端Ekcを有するX線フィルタに対応するX線画像をC、K吸収端Ekdを有するX線フィルタに対応するX線画像をDと表記するとき、前記画像演算装置は、前記3種類の差分画像信号として(B−A)、(C−B)、(D−C)を発生することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
  5. 前記4種類のX線フィルタは、モリブデンのX線フィルタと、セシウムのX線フィルタ、ガドリニウムのX線フィルタ、ハフニウムのX線フィルタであり、
    前記画像演算装置は、前記モリブデンのX線フィルタに対応する画像信号と前記セシウムのX線フィルタに対応する画像信号とを差分し、前記セシウムのX線フィルタに対応する画像信号と前記ガドリニウムのX線フィルタに対応する画像信号とを差分し、前記ガドリニウムのX線フィルタに対応する画像信号と前記ハフニウムのX線フィルタに対応する画像信号とを差分することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
  6. 前記4種類のX線フィルタそれぞれは透過スペクトルがK吸収端の影響がないエネルギー部分で等しくなるように決定された厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
  7. 前記X線の発生に対して前記4種類のX線フィルタの前記X線パスに対する挿入及び前記4種類の画像信号の記憶を同期させる同期装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
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