JP3741913B2 - シリンダブロックの鋳造装置及び鋳造方法 - Google Patents

シリンダブロックの鋳造装置及び鋳造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダブロックの鋳造装置、及びその装置を用いた鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金型のキャビティ内に突入させたボアピンに、アルミニウムもしくはアルミニウム合金系の複合材料(例えばアルミニウムもしくはアルミニウム合金中に炭化珪素粒子、強化繊維等の強化材を複合一体化した複合材)又は繊維成形体(例えばアルミナ繊維、カーボン繊維、セラミック繊維等の強化用繊維をバインダ等を用いて所定形状に成形したもの)よりなる円筒状のシリンダボア補強体を嵌合保持させ、その保持状態でキャビティ内に溶融金属を充填して、該補強体がシリンダボア部に鋳包まれたシリンダブロックをダイカスト鋳造するようにしたシリンダブロック鋳造方法は、例えば特開平7−132362号公報、同8−197229号公報等に記載されるように従来公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、鋳造過程で溶湯金属がキャビティに充填された後、完全に凝固するのを待って(即ちキュアリング完了後に)シリンダボア補強体よりボアピンを引き抜くようにしていたが、溶湯金属の充填から凝固完了までの間の上記補強体の収縮変形量が比較的大きいため、ボアピンの引き抜きの時点(即ち凝固完了時点)ではボアピンに該補強体が緊密に接合、一体化していて、ボアピンの引き抜きが容易でなかったり或いは困難であったりすることがあった。この場合に、ボアピンを無理に引き抜こうとすると、シリンダボア部にクラック(割れ)が発生したり、或いはボアピンの駆動系が過負荷となって作動異常や故障を生じ易くなる等の問題がある。
【0004】
また此のような問題を回避してボアピンの引き抜きを無理なく容易に行うためには、ボアピンの抜き勾配を比較的大きく(例えば1/40〜1/50程度に)設定すればよいが、そのように抜き勾配を大きくすると、鋳造完了後のボア部内周面に対する仕上げ加工量が増えてしまい、従って、そのボア部自体が上記補強体の存在により高硬度となっている点とも関係して加工コスト増や作業能率低下をもたらすといった別の問題が生じる。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、ボアピンの抜き勾配を特に大きく設定しなくても、ボアピンをシリンダボア補強体より無理なく容易確実に引き抜くことができるようにして、無理な引き抜きに因るシリンダボア部のクラック発生を回避し、併せてボアピンの駆動系の作動異常や故障発生を回避して従来の上記問題を一挙に解決できるようにした、シリンダブロックの鋳造装置及び鋳造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、固定ダイベースとこれに進退可能な可動ダイベースとの間にシリンダブロック成形用キャビティを形成し、そのキャビティ内に突入させたボアピンに円筒状のシリンダボア補強体を嵌合保持した状態で該キャビティ内に溶融金属を充填して、該補強体がシリンダボア部に鋳包まれたシリンダブロックをダイカスト鋳造するようにした、シリンダブロックの鋳造装置において、一方のダイベースに、ボアピンと、該ボアピンに平行な押出しピンとを、その各々のピンがキャビティ内に張出す前進位置とキャビティ内から退出する後退位置との間を移動し得るようにそれぞれ支持し、ボアピンには、これを前進位置と後退位置間で強制駆動し得る駆動装置を連結し、この駆動装置又はボアピンと、押出しピンとの間には、その間をボアピンの前進時に連動させる状態と連動させない状態とに切替え可能な切替え連動機構を設けたことを特徴とする。
【0007】
この特徴によれば、シリンダボア補強体のキャビティ内へのセット前や、同補強体からのボアピンの引き抜き時には、切替え連動機構を非連動状態にしておくことで、押出しピンを後退位置に保持したままボアピンを所定のタイミングで前進又は後進させることが可能であり、例えば後述する請求項2,3の発明方法を支障なく実施することができる。また鋳造製品の離型時には、切替え連動機構を連動状態にしておくことで、ボアピンの駆動装置を押出しピンの駆動手段に兼用して押出しピンを前進駆動することができ、押出しピン本来の製品押出し作用が支障なく得られる。
【0008】
更に請求項2の発明は、前記請求項1に記載の鋳造装置を使用し、前記キャビティ内に突入させたボアピンに、アルミニウムもしくはアルミニウム合金系の複合材料または繊維成形体よりなる円筒状のシリンダボア補強体を嵌合保持させ、その保持状態でキャビティ内に溶融金属を充填して、前記シリンダブロックをダイカスト鋳造するようにしたシリンダブロックの鋳造方法であって、キャビティに充填された溶融金属が半凝固状態にあるときに、ボアピンをシリンダボア補強体より引き抜くことを特徴とし、また請求項3の発明は、請求項2の発明の上記特徴に加えて、溶融金属のキャビティへの充填完了後、15秒〜20秒の間に、ボアピンをシリンダボア補強体より引き抜くことを特徴とする。
【0009】
上記請求項2,3の発明の特徴によれば、溶湯金属のキャビティ内充填から凝固完了までの間の上記シリンダボア補強体の収縮変形量が比較的大きくても、その補強体からボアピンを引き抜くタイミングを従来より早目に(即ち該補強体の収縮変形量が大きくなってボアピンに緊密に接合、一体化する前に)設定されるから、該ボアピンを補強体より無理なく容易確実に引き抜くことができるようになり、その結果、無理な引き抜きに因るシリ ンダボア部のクラック発生が回避されると共に、ボアピンの駆動系の負荷軽減が図られて該駆動系の作動異常や故障発生も回避される。またボアピンの引き抜きを無理なく行うために、ボアピンの抜き勾配を特に大きく設定する必要もないことから、鋳造完了後のボア部内周面に対する仕上げ加工量をゼロないしは極力少なくすることが可能となる。
【0010】
尚、本発明において、「シリンダボア補強体がシリンダボア部に鋳包まれ」とは、シリンダボア補強体が特に繊維成形体である場合には、シリンダブロック鋳造時に溶融金属が繊維成形体の繊維間に浸入して繊維成形体がマトリックス金属と複合一体化されることが含まれる。また本発明において、「溶融金属が半凝固状態にあるとき」とは、キャビティ内に注入され凝固の始まった溶融金属全部が完全に硬化する前(即ちキュアリング完了前)であればよく、例えばキャビティ内の大部分の溶融金属は凝固したが、一部の溶融金属は未凝固の状態にあるときも含まれる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0012】
添付図面において、図1は、本発明の一実施例に係る鋳造装置を示す全体縦断面図、図2は、前記鋳造装置の溶湯充填完了状態を示す要部拡大断面図、図3は、図2の状態よりボアピン引き抜いた直後の状態を示す図2対応図、図4は、図3の状態より切替え連動機構を連動状態に切替えた状態を示す図2対応図、図5は、図4に状態より可動ダイベースを後退させた状態を示す図2対応図、図6は、図5の状態より押出しピン及びボアピンを前進させた状態を示す図2対応図、図7は、キャビティへの溶湯充填が完了してからボアピンを引き抜くまでの間の経過時間とボア部のクラック発生頻度との関係を示すグラフ、図8は、本発明方法により鋳造されたシリンダブロックの一例を示す横断面図である。
【0013】
先ず、図8において、本発明方法により鋳造された直列多気筒エンジン用のシリンダブロック1は、クランク軸方向(図8の紙面と直交する方向)に間隔をおいて並ぶ複数のシリンダボア部1bに、該ボア部1bを補強すべく繊維成形体よりなる円筒状のシリンダボア補強体Sが鋳包まれており、その繊維成形体は、従来周知のように無数の強化用繊維(例えばアルミナ繊維、カーボン繊維、セラミック繊維等)をバインダ等を用いて円筒状に成形して構成されるものであって、シリンダブロック1の鋳造過程では加圧状態のマトリックス金属溶湯が繊維成形体の繊維間に浸入することにより該マトリックス金属と複合一体化されるものである。シリンダブロック1のシリンダボア部1bの下方には、クランクケース部1cが一体に連設されており、そのクランクケース部1cには、相隣なるシリンダボア部1b相互の境界壁の下端にそれぞれ連なる複数のジャーナル壁部1jがクランク軸方向に間隔をおいて一体に形成されている。
【0014】
次に図1〜図6を参照して、上記シリンダブロック1をダイカスト鋳造するためのダイカスト鋳造装置Dの構造を説明する。この鋳造装置Dは、共通のベース体B上に固定ダイベース2とこれに進退可能な可動ダイベース3とを備えており、その固定ダイベース2の可動ダイベース3との対向面には固定ダイ4が固着される。またその可動ダイベース3の固定ダイベース2との対向面には、シリンダブロック1のシリンダヘッド結合面を成形するための第1可動ダイ5が固着されると共に、シリンダブロック1の両側面を成形するための一対の第2可動ダイ6が前記対向面に沿って互いに開閉摺動可能に取付けられる。而して前記固定ダイ4、第1及び第2可動ダイ5,6は本発明の金型を構成するものであり、またそれらダイ4,5,6により両ダイベース2,3間にはシリンダブロック成形用キャビティCが形成される。
【0015】
尚、可動ダイベース3は、図示しない従来周知の駆動案内手段に以て固定ダイベース2に対し強制的に進退駆動される。また一対の第2可動ダイ6,6は、これらと固定ダイベース2との間に設けた従来周知のカムスライド機構(図示せず)により、或いは第2可動ダイ6と可動ダイベース3との間に設けた専用のアクチュエータ(図示せず)により駆動されて、可動ダイベース3が固定ダイベース2に最接近するのに応じて第2可動ダイ6,6相互が最も近接し、また可動ダイベース3が固定ダイベース2より後退するのに応じて第2可動ダイ6,6相互が徐々に離れるようになっている。
【0016】
可動ダイベース3は、後端を開放した有底筒状に形成され、その底壁に相当する前壁3f及び第1可動ダイ5には、シリンダブロック1のシリンダボア部1bに対応したボアピンPと、該ボアピンPを挟んでその両側に平行に延びる複数の押出しピンPkとが、その各々のピンP,PkがキャビティC内に張出す前進位置とキャビティC内から退出する後退位置との間をそれぞれ往復摺動し得るようにそれぞれ貫通支持される。
【0017】
可動ダイベース3の後端部には、その後端開口を塞ぐ背壁7が固着され、その背壁7には複数の駆動棒8がそれぞれ摺動可能に嵌挿される。その各駆動棒8の前端は、可動ベース3の内部空間20においてボアピンPの後端ボス部bに固着した引抜き板9に連結され、またその駆動棒8の後端は、背壁7の後面に装着した複動式油圧シリンダよりなる駆動装置Aに駆動板10を介して連結される。従ってその駆動装置Aにより、駆動板10、駆動棒8及び引抜き板9を介してボアピンPをそれの前記前進位置と後退位置間で強制駆動することができる。
【0018】
また可動ベース3の前壁3fと背壁7との間には、可動ベース3の内部空間20を前後に貫通する複数の案内バー11が一体的に架設されており、それらバー11には、各押出しピンPkの後端を固着した押出し板12と、前記引抜き板9とが各々摺動可能に貫通支持される。
【0019】
また駆動装置A又はボアピンPと、押出しピンPkとの間には、その間をボアピンPの前進時に連動させる連動状態と連動させない非連動状態とに切替え可能な切替え連動機構Iが設けられる。この切替え連動機構Iは、図示例では各案内バー11の側方で押出し板12の後面に固着される複数の複動式切替えシリンダ13と、このシリンダ13のピストンロッドに固着されてボアピンPの後端ボス部bに係合する作動位置と、同ボス部bより離れる不作動位置との間を押出し板12の後面に沿って摺動し得る係合ブロック14とより構成される。
【0020】
またボアピンPと押出しピンPkとの間には、ボアピンPの後退に連動して押出しピンPkを追従後退させる後退連動機構が設けられ、この後退連動機構は、図示例ではボアピンPの外周に突設されてボアピンPの後退時に押出し板12に係合し得るストッパ15より構成される。
【0021】
而して切替え連動機構Iは、切替えシリンダ13を伸長させて作動位置におくことにより前記連動状態に切替えられ、この状態ではボアピンPの前進動作を、引抜き板9、ボス部b、係合ブロック14及び押出し板12を介して押出しピンPkに連動させて該ピンPkを前進させることができ、一方、切替えシリンダ13を不作動位置におくことにより前記非連動状態に切替えられ、この状態では押出しピンPkを後退位置に置き去りにしたままボアピンPだけを前進させることができる。また両ピンP,Pkとも前進位置にある状態よりボアピンPを後退駆動させるときは、その後退動作がストッパ15及び押出し板12を介して押出しピンPkに伝達されて該ピンPkを追従後退させることができる。
【0022】
次に上記ダイカスト鋳造装置Dを用いてシリンダブロック1をダイカスト鋳造する過程を図1〜図6を参照して説明する。
【0023】
鋳造開始前の状態では、可動ダイベース3が固定ダイベース2より離れており、ボアピンPは、第1可動ダイ5の成形面よりキャビティC側に張出した前進位置に保持され、また押出しピンPkは、前記キャビティCより退出した後退位置に保持され、さらに切替えシリンダ13は不作動位置にある。そしてボアピンPの外周に、予め別の工程で円筒状に成形された繊維成形体よりなるシリンダボア補強体Sを嵌合保持させる。次いで、可動ダイベース3を前進駆動して固定ダイベース2に最接近させて型締めを行い、これにより、図1に示すように固定ダイ4、可動ダイ5,6,6によりシリンダブロック成形用キャビティCが形成される。
【0024】
しかる後に、固定ダイ4の成形面に開口する注湯ゲート21より、図2に示すようにマトリックス金属であるアルミニウムもしくはアルミニウム合金の溶融金属Mを高速で充填し加圧する。そして、キャビティCへのキャビティCに充填加圧された溶融金属Mが硬化前の半凝固状態にあるときに(図示例では溶湯金属のキャビティCへの充填完了後、15秒〜20秒の間に)、図示しない制御装置からの制御信号に基づいて駆動装置Aを伸長作動させることにより、図3に示すようにボアピンPをシリンダボア補強体Sより引き抜く。
【0025】
而して上記溶湯金属MのキャビティC内充填から凝固完了までの間に於けるシリンダボア補強体Sの収縮変形量が比較的大きくても、本実施例では、シリンダボア補強体SからボアピンPを引き抜くタイミングを従来より早目に(即ち該補強体Sの収縮変形量が大きくなってボアピンPに緊密に接合、一体化する前に)設定しているから、該ボアピンPをシリンダボア補強体Sより無理なく容易確実に引き抜くことができるようになり、その結果、無理な引き抜きに因るシリンダボア部1bのクラック発生が回避されると共に、ボアピンPの駆動系の負荷軽減が図られて該駆動系の作動異常や故障発生も回避される。またボアピンPの引き抜きを無理なく容易に行うために、ボアピンPの抜き勾配を特に大きく設定する必要もない(例えば1/400程度の僅かな抜き勾配であっても引抜きが可能である)ことから、鋳造完了後のボア部内周面に対する仕上げ加工量をゼロないしは極力少なくすることが可能となる。
【0026】
図7は、キャビティCへの溶湯充填が完了してからボアピンPを引き抜くまでの間の経過時間とボア部1bのクラック発生頻度との関係を示すグラフであり、このグラフによれば、経過時間が20秒を過ぎて溶湯金属が実質的に凝固完了状態に移行した時点でボアピンPを引き抜くようにした場合には、クラックの発生頻度が急速に増加していることが判る。また経過時間が15秒未満では、溶湯の凝固が未だ不十分で、シリンダボア補強体Sの保持が十分ではないため、この時期にボアピンPを引き抜くことも好ましいことではない。従って、本発明でいう「溶融金属が半凝固状態にあるとき」とは、キャビティ内に注入され凝固の始まった溶融金属が、シリンダボア補強体Sに対する必要な保持力を発揮し得る程度に硬化してから後で、且つその溶融金属全部が完全に硬化する前(即ちキュアリング完了前)の状態をいい、例えばキャビティ内の大部分の溶融金属は凝固したが、一部の溶融金属は未凝固の状態にあるときも含まれる。
【0027】
上記のようにしてボアピンPをシリンダボア補強体Sより引き抜いた後、切替えシリンダ13を作動位置まで伸長させて係合ブロック14を、図4に示すようにボアピンPの後端ボス部bに係合させる。そして可動ダイベース3を固定ダイベース2より引き離すように後退させると、図5に示すように鋳造後のシリンダブロック1が固定ダイベース2(固定ダイ4)より分離され、可動ダイベース3(第1可動ダイ5)に付着した状態のまま後退する。尚、鋳造後のシリンダブロック1が第1可動ダイ5に付着するのは、押出しピンPkの摺動間隙に不可避的に侵入するバリの存在等に因るものと考えられる。
【0028】
しかる後に駆動装置Aを収縮作動させると、図6に示すように駆動板10、駆動棒8及び引き抜き板9を介してボアピンPが前進駆動されると同時に、引き抜き板9から係合ブロック14及び押し出し板12を介して押出しピンPkも前進駆動され、これにより、その押出しピンPkの先端は、シリンダブロック1を前方に押し出して、該ブロック1を可動ダイベース3(第1可動ダイ5)より強制的に離型させ、その離型したシリンダブロック1は、両ダイベース2,3間の下方に配置された受け台(図示せず)に受けられる。
【0029】
シリンダブロック1を取り出した後は、駆動装置Aを再度伸長作動させてボアピンP及び押出しピンPkを後退させ、しかる後に切替えシリンダ13を不作動位置まで収縮させて両ピンP,Pkの連動関係を解いてから、駆動装置Aを再び収縮作動させてボアピンPのみを前進させ、次回の鋳造工程に備える。
【0030】
上記金型装置Dの構造によれば、シリンダボア補強体SのキャビティC内へのセット前や、同補強体SからのボアピンPの引き抜き時には、切替え連動機構Iを非連動状態(即ち切替えシリンダ13を不作動位置)におくことで、押出しピンPkを後退位置に保持したままボアピンPを所定のタイミングで前進又は後進させることが可能であり、また鋳造製品の離型時には、切替え連動機構Iを連動状態(即ち切替えシリンダ13を作動位置)におくことで、ボアピンPの駆動装置Aを押出しピンPkの駆動手段に兼用して押出しピンPkを前進駆動することができ、押出しピンPk本来の製品押出し機能が支障なく発揮される。
【0031】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。例えば前記実施例では、シリンダボア補強体としてアルミナ繊維、カーボン繊維、セラミック繊維等の強化用繊維をバインダ等を用いて円筒状に成形した繊維成形体を用いたものを示したが、本発明では斯かる繊維成形体に代えて、アルミニウムもしくはアルミニウム合金系の複合材料(例えばアルミニウムもしくはアルミニウム合金中に炭化珪素粒子を複合一体化した複合材や、アルミニウムもしくはアルミニウム合金を繊維成形体と予め複合一体化した繊維強化複合材)を円筒状に成形して使用するようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、固定ダイベースとこれに進退可能な可動ダイベースとの間にシリンダブロック成形用キャビティを形成し、そのキャビティ内に突入させたボアピンに円筒状のシリンダボア補強体を嵌合保持した状態で該キャビティ内に溶融金属を充填して、シリンダブロックをダイカスト鋳造するようにした鋳造装置において、一方のダイベースに、ボアピンと、該ボアピンに平行な押出しピンとを、その各々のピンがキャビティ内に張出す前進位置とキャビティ内から退出する後退位置との間を移動し得るようにそれぞれ支持し、ボアピンには、これを前進位置と後退位置間で強制駆動し得る駆動装置を連結し、この駆動装置又はボアピンと、押出しピンとの間には、その間をボアピンの前進時に連動させる状態と連動させない状態とに切替え可能な切替え連動機構を設けたので、切替え連動機構を非連動状態にしておけば、押出しピンを後退位置に停止保持したままボアピンを所定のタイミングで前進又は後進させることが可能であり、例えば後述する請求項2,3の発明方法を支障なく実施することができる。また切替え連動機構を連動状態にしておけば、ボアピンの駆動装置を押出しピンの駆動手段に兼用することができて、押出しピン専用の駆動装置が不要となり、それだけ構造の簡素化やコスト節減が図られる。
【0033】
また請求項2,3の発明によれば、アルミニウムもしくはアルミニウム合金系の複合材料または繊維成形体よりなる円筒状のシリンダボア補強体でシリンダボア部が補強されたシリンダブロックの鋳造過程で、キャビティに充填された溶融金属が半凝固状態にあると きに(特に請求項3の発明では溶融金属の充填完了後15秒〜20秒の間に)、ボアピンをシリンダボア補強体より引き抜くようにしたので、溶湯金属のキャビティ内充填から凝固完了までの間のシリンダボア補強体の収縮変形量が比較的大きくても、その補強体からボアピンを引き抜くタイミングが従来より早目に(即ち該補強体の収縮変形量が大きくなってボアピンに緊密に接合、一体化する前に)設定されることで、該ボアピンをシリンダボア補強体より無理なく容易確実に引き抜くことが可能となり、従って無理な引き抜きに因るシリンダボア部のクラック発生が回避されると共に、ボアピンの駆動系の負荷軽減が図られて該駆動系の作動異常や故障発生も回避される。またボアピンの引き抜きを無理なく行うためにボアピンの抜き勾配を特に大きく設定する必要もないことから、鋳造完了後のボア部内周面に対する仕上げ加工量をゼロないしは極力少なくすることができて、コスト節減や作業能率向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る鋳造装置の型閉め直後の状態を示す全体縦断面図
【図2】 前記鋳造装置の溶湯充填完了状態を示す要部拡大断面図
【図3】 図2の状態よりボアピン引き抜いた直後の状態を示す図2対応図
【図4】 図3の状態より切替え連動機構を連動状態に切替えた状態を示す図2対応図
【図5】 図4に状態より可動ダイベースを後退させた状態を示す図2対応図
【図6】 図5の状態より押出しピン及びボアピンを前進させた状態を示す図2対応図
【図7】 キャビティへの溶湯充填が完了してからボアピンを引き抜くまでの間の経過時間とボア部のクラック発生頻度との関係を示すグラフ
【図8】 本発明方法により鋳造されたシリンダブロックの一例を示す横断面図
【符号の説明】
A・・・・駆動装置
C・・・・キャビティ
D・・・・鋳造装置(ダイカスト鋳造装置)
I・・・・切替え連動機構
M・・・・溶融金属
P・・・・ボアピン
Pk・・・押出しピン
S・・・・シリンダボア補強体
1・・・・シリンダブロック
1b・・・シリンダボア部
2・・・・固定ダイベース
3・・・・可動ダイベース

Claims (3)

  1. 定ダイベース(2)とこれに進退可能な可動ダイベース(3)との間にシリンダブロック成形用キャビティ(C)を形成し、そのキャビティ(C)内に突入させたボアピン(P)に円筒状のシリンダボア補強体(S)を嵌合保持した状態で該キャビティ(C)内に溶融金属(M)を充填して、該補強体(S)がシリンダボア部(1b)に鋳包まれたシリンダブロック(1)をダイカスト鋳造するようにした、シリンダブロックの鋳造装置において、
    一方のダイベース(3)に、ボアピン(P)と、該ボアピン(P)に平行な押出しピン(Pk)とを、その各々のピン(P,Pk)がキャビティ(C)内に張出す前進位置とキャビティ(C)内から退出する後退位置との間を移動し得るようにそれぞれ支持し、
    ボアピン(P)には、これを前進位置と後退位置間で強制駆動し得る駆動装置(A)を連結し、
    この駆動装置(A)又はボアピン(P)と、押出しピン(Pk)との間には、その間をボアピン(P)の前進時に連動させる状態と連動させない状態とに切替え可能な切替え連動機構(I)を設けたことを特徴とする、シリンダブロックの鋳造装置。
  2. 前記請求項1に記載の鋳造装置を使用し、前記キャビティ(C)内に突入させたボアピン(P)に、アルミニウムもしくはアルミニウム合金系の複合材料または繊維成形体よりなる円筒状のシリンダボア補強体(S)を嵌合保持させ、その保持状態でキャビティ(C)内に溶融金属(M)を充填して、前記シリンダブロック(1)をダイカスト鋳造するようにしたシリンダブロックの鋳造方法であって、
    キャビティ(C)に充填された溶融金属(M)が半凝固状態にあるときに、ボアピン(P)を前記シリンダボア補強体(S)より引き抜くことを特徴とする、シリンダブロックの鋳造方法。
  3. 溶融金属(M)のキャビティ(C)への充填完了後、15秒〜20秒の間に、ボアピン(P)をシリンダボア補強体(S)より引き抜くことを特徴とする、請求項2に記載のシリンダブロックの鋳造方法。
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